二十歳になった従兄弟を連れて酒を飲みに行くことになった24

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「いや俺、結婚する気なんてないんだけど……」
「今はそうでも、おばさんは期待してると言うか、あなたが結婚することも子供作ることも疑ってないし、あなただって、その気になれば相手は見つけられるでしょ?」
 スペック高いしなどと続くから頭が痛い。またわけがわからないことを言い出して、とはならなかったが、何を言い出しているんだと、今度はこちらが盛大に呆れてしまう。
「なんだよスペック高いって。至って普通の見た目で、はっきりケチで、恋人に金掛けたくないのが原因でふられて来たってもの教えただろ」
「だからその気になれば、って言ってるじゃないですか。稼ぎの良さと貯蓄の多さは高スペックって言われるんですよ。それにケチって言いながらも奢ってくれたし、このままヤれなかったらホテル代が無駄って言いながらも、このままヤラないで終わってもいいやって思ってるっぽいのにヤらせないならお金出せとか言わないし。婚活中によっぽど出し渋らなきゃ、ケチだって堅実って評価になりますって」
 相手の口調もいささか呆れた様子を呈しているが、さすがに余計なお世話も甚だしいとしか言えそうにない。ただまぁ、何に引っかかっているかはわかった気がする。多分。
「俺の稼ぎやら貯蓄額やらってのは、やっぱうちの母情報なの?」
 さすがに自分の母から相手の母へ伝わった話の又聞きとは思えない。
「えー……まぁ」
 気まずそうに視線が揺れたから、母からあれこれこちらの情報を引き出した、と考えるのが正解だろうか。
 給与や貯蓄額やらの詳細を知らせているわけではないが、親が不安にならない程度には稼いでいるし貯めてもいると教えていたし、その貯蓄をいつか家庭をもつ時のためにと親が誤解するだろう態度を取っていた自覚は確かにある。のらりくらりと親の期待を躱しながら、親が結婚やら孫やらを諦めるのを待てばいいという判断だ。
 欠片もその気がないと知られるのは面倒が増えそうだと思ったし、だから親に結婚する気がないと宣言する必要などないと思っていた。というか、今だってそう思っている。親がしびれを切らして追求でもしてこない限りは、極力結婚の意志がないことは隠しておくほうが無難だろう。
 恋人になるかも知れない相手が、自分より先に親からあれこれ聞いている、なんて状況があまりにイレギュラー過ぎる。
「一応確認するけど、うちの母に、俺の恋人の有無とか、結婚の意志とか、聞いてくれみたいなこと言われてないよな?」
「そういうのは、なかったです」
「そういうのは、てことは、俺の結婚絡みでやっぱ何か言われてる?」
「えー……いやぁ……」
 言葉を濁すので、間違いなく何か言われてはいるようだ。一体何を言ったのか、正直聞きたくない気持ちもでかいが、これは聞かないわけにいかないだろう。
「なんか変なこと言ったっぽいな? で、何言った? いったい何聞かされた?」
「でも冗談みたいな感じだったし、チラッと言われただけで本気じゃなかったと思うし」
「冗談でも言っていいことと悪いことってあるだろ。てかマジになんか相当ヤバいこと言ったの?」
「あー……その、大学とかバイト先にいい子居ないか、みたいなことを、ほんと、チラッとですけど」
 どうやら、稼いでるし貯め込んでるし若いお嫁さんが来たら絶対大事にすると思う、的な事を言ったらしい。年の差オッケーな代わりに専業主婦狙いの子とか、などと具体的な話も出たようだから、それはちっとも冗談じゃなくてかなり本気じゃないのか。
 というか結婚予定の彼女がいる的な嘘は、さすがに見破られていたようだ。

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二十歳になった従兄弟を連れて酒を飲みに行くことになった23

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 わかりやすく順番に話してくれというこちらの要望に、沿ってくれたのかも知れない。
「別に他に付き合いたい相手がいるわけでなし、お前が俺を捨てる気になるまで待ってやるつもりだけど、って言ったら?」
 俺からはふらないって思ってくれていいよと付け加えてやる。なのに、喜ぶような様子は欠片もなく、むしろ呆れられた気配がする。
「だから年齢考えてくださいってば。あなたクズだよとか言いながらも優しいから、本気で俺の気が済むまで付き合ってくれそうで、そんなの困るんですよ。というかあなたこそ、俺をつけあがらせるし、そんな俺に付け込まれること考えてくださいよ。さっきのあなたじゃないですけど、どこまで先のこと考えて言ってんですか、それ」
 数ヶ月も付き合ってやれば飽きるか幻滅するって思ってませんかと言われたけれど、数ヶ月で相手からもう終わりにしようと言われるならそれでもいいし、逆にだらだらと何年も続いたとしたって別に構わなかった。正直にそう伝えれば、やっぱりまた、ちっとも年齢を考えてないと返された上に、二十歳の彼と一回り以上年上の自分とでは、一年の価値が違うだろうとまで言われてしまう。
 まるでこちらの一年のほうが貴重だという口ぶりだけれど、普通は若い子の一年のほうが貴重なはずなのに。年齢差があるお付き合いの場合、大抵は年上側が若い子のいい時期を食い潰している、的な見方をされるものなはずだ。
「一年の価値が俺とお前で違うってのはわかるけど、それと俺の年齢がどう絡んでんだかわからねぇよ。俺がお前に付き合って自分の時間を無駄にするんだとして、それをお前が気にする必要ある? 逆に俺は、お前の貴重な二十代をケチなおっさんに付き合わせようとしてるんだけど? こんだけ年齢差あって、普通に仕事してんだから金だって本気でないわけじゃないけど、お前相手に金銭的な優位を利用する気がないってのは、お前の俺が好きって気持ちがなかったら成立しない関係だぞ。というか、たいした金出さずに若い体抱かせてもらうんだから、時間くらい好きに持ってけば?」
 時間くらい好きに持って行けと言ったところで、こちらにも仕事やらがあるのでそうそう相手に時間が割けるわけではないけれど、やらせてくれないなら会う必要がないと思うほど性欲に支配された思考は抜けているから、ただ一緒に居たいだけなどという理由で傍をうろつかれても受け入れてやれると思う。もちろん枯れたわけじゃないので、やりたい気持ちになった時に断られるというのが続くのは困るが、現状そうなる可能性は低そうだとしか思えない。
「もし俺が女の子だったら、あなたの言い分にも納得、できるんですけど……」
 黙って聞いていた相手が、先程までの呆れた様子から一転して、苦しげな声を絞り出すからドキリとして息を飲んだ。
「若いって言ったって、男の俺にそこまでする価値、ないですよ。付き合ったって結婚できないし子供も産めないし。年齢的にそろそろ後がないんだから、俺なんかに付き合って時間無駄にするべきじゃないです」
 一人息子なんだから、と続いた言葉に、ようやく彼が気にする年齢の意味が理解できた気はしたが、こんなに何度もケチだと訴えているのに結婚したい意思があると思われていることに驚く。自分の稼いだ金を嫁だの子供だののために使う、という生活を受け入れられるなら、とっくに結婚していただろう。
 恋人を作らなくなった理由の一つに、年齢的に相手が結婚を期待する、というのが間違いなくある。男である彼と恋人になってもいいと思ったのだって、結婚やらをせっつかれる面倒さがないから、という考えがあったことを否定する気もない。

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二十歳になった従兄弟を連れて酒を飲みに行くことになった22

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 少なくとも、なんでここでそんな言葉が出てくるんだと、いちいち驚いたり悩んだりはしなくなった。と思ったそばから。
「俺ちゃんと言いましたよ。期待したくないし、ぬか喜びしたくないし、リップサービスで好きって言われたら泣いちゃうって」
 睨みつけてくる瞳に、ぶわりと涙がたまって流れ出すからギョッとする。しかもその後すぐに、自ら開けた距離を再度縮めて胸元にすりよってくるから、何してんだと思わずにいられなかった。
 顔を隠したいだけなのか、もしくは先程泣いた時の姿勢に戻っただけなのか。どちらにしろ、恋人になんてなりたくないという口ぶりで、泣きながらくっついて甘えてくる仕草のチグハグさには、結局驚かされて考え込む羽目になっている。考え込む原因になっているのは、泣く直前の言葉のせいも大きそうだけれど。
 本当に恋人は居ないのだと伝えた結果、なぜ期待やぬか喜びをしたくないと泣かれるのかがわからない。
 恋人がいると強く信じていて、嘘をついているように思っている。という線が一番強そうではあるが、じゃあなぜそんな誤解をしているのか。そんなのどう考えたって、親経由情報だろう。彼女が居る素振りで、親の結婚やら孫やらの催促をのらりくらりと躱していた自覚がなくはないので、まぁ間違いなくそれが原因だ。
「うちの親から何か聞いてんのかもだけど、恋人居ないってのはホントだぞ」
「今はっ、そ、でも、俺がっ……邪魔に」
「邪魔? 二股とか、俺がお前と恋人になった後、他の女に目ぇ向ける心配してる? 一応、そういうことするタイプのクズでもないつもりなんだけど」
 やりたい盛りの頃ならそこに、やらせてくれる限りは、という一文が追加されていたかも知れない。ただここ何年もオナホで充分な生活をしていたことを思うと、セックスの頻度や良し悪し如何で、他の女を探そうとはならないはずだ。
 というかそもそも、恋人なんていらない気持ちのが大きい。それでもこの従兄弟との恋人関係を有りと考えるのは、相手の抱える複雑な感情の何割かが現在の自分への恋情として存在するなら、いっそ恋人関係になってしまった方が、抱くにしろ飲みに行くにしろ扱いやすそうだと思ったからだ。
 ついでに言うなら、恋人なんていらないと思ってるからこそ、恋人になってもいいと思ったと言える。だから他の誰かなど気にする必要はなかった。
「だからっ、年齢が……あなた、優しい、からっ、……俺が、邪魔、しちゃ、って」
 また年齢が出てきて、どうやら彼は何かを一貫して訴え続けているらしい。イマイチ会話が成り立っていないというか、彼が何を訴え続けているのかはわからないままだけれど。
「よし、一回口閉じて落ち着こうか。泣いてるのに喋らせて悪かったよ。何言われてるか理解できてないけど、お前にはお前の言い分がちゃんとあるのはわかったから、一回落ち着いて、俺がわかるように順番に話して欲しい」
 宥めるように頭や背中を撫でてやれば、相手も落ち着こうとしているのか、胸元で深い呼吸を繰り返している。最初少し震えていた呼吸は、すぐに安定したようだった。
「あの、恋人になっても、俺、あなたに幻滅とか出来ると思えないというか、むしろもっと好きになっちゃう気がするし、あなたに恋人として扱われる経験なんてしちゃったら、終わるとき凄く辛くなると思うので、無理、です」
 やがてそっと顔を上げておずおずと告げられた言葉は、先程尋ねた恋愛できない理由だった。

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二十歳になった従兄弟を連れて酒を飲みに行くことになった21

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「それはごめん。でも今もまだ俺と飲みに行きたい気持ちがあるって聞いてから、確かめたくて」
「何をですか?」
「片恋のまま俺のそばうろつきたい理由って何? 俺を落とす気でそばに居たいわけじゃないんだろ?」
 積極的にセフレになろうとしてる辺り、落とす気がない、のかどうかもいささか怪しいとは思うが、恋愛したいわけじゃないと言い切っていながら、共に過ごす時間をやたら求められている理由は気になる。
「え?」
「お前の気持ちを気にしないのは無理だけど、例えば俺と今後も飲みに行きたい理由が、現実の俺を知ることで他の誰かを好きになれたらいいな。みたいな気持ちだってなら、多少は協力してやってもいいかなと」
「他の誰か?」
 なんだそれと言いたげな顔と声に、どうやらその線もないらしいと思う。しかし他に思い浮かぶ理由がない。
 いやまぁ、なんの狙いもなく好きな相手とただただ共に過ごしたいだけ、という可能性もあるんだけれど。どう考えても恋愛初心者なので、その可能性が高いのかと思ったりもするのだけれど。
 さすがにそれを受け入れてやるのはどうなんだ。というか、無理だと思う。めちゃくちゃ好きだけど好きになって欲しくはないんです。なんて態度の相手にそばをうろつかれて平静が保てるわけがない。
 自分を好きだとわかっている相手と、恋愛しない関係の構築など試みたことがなかった。相手の好意に応える気がない時はさっくり距離をおいたし、応えてはいけないという状況でも多分同じだ。すぐに面倒くさいとか鬱陶しいとか思って、相手を避けるようになる気がする。
 それは多分、相手からすれば回避したい展開だろう。
 いっそ、こちらから落としに行ってしまおうか。相手に恋愛する気がなくたって、勝手に始めてしまえばいい。
 相手はかなり年下の男で、従兄弟でもあるけれど、一応は二十歳を超えた大人なのだし、抱けると思ったのだから、年の差や男であることはとりあえず問題なしといえる。従兄弟だってことも親バレしなきゃいいだろう。
 今日のように確実に親が仕事の平日昼間から会えるなら、場所代ケチって家に連れ込むなんてこともするかもしれないが、万が一親と鉢合わせた時の態度にさえ気をつけておけば大丈夫じゃないのか。まさか馬鹿正直に、恋人として紹介するはずもないのだから。
「なぁ」
「じゃあ」
 こちらが口を開くと同時に相手も口を開いたので、双方そこで言葉を区切った。
「じゃあ、何?」
 先にどうぞと促してやれば、こちらの続きを気にする様子を見せながらも口を開く。
「えと、現実のあなたを知れば他の誰かを好きになれるかもなので」
 こちらがあれこれ考えている間に、相手も先程告げた言葉について考えていたのかも知れない。ただ、すぐにそうだと肯定が返らなかった時点で、あの話は終わりになっている。なんせ既にこちらは相手を落とす事を考え始めているのだから、今更、幻滅するのに協力してくださいなんて言われて、わかったと返すわけがない。
「それ本気で言ってる? てか理想イメージ育てた自覚があるから現実のオレに幻滅したくてそばにいたい、ってわけじゃないのはわかったから、片恋のまま俺のそばうろつきたい理由が話せないなら、俺と恋愛出来ない理由教えて」
「ええっ!?」
 その驚きようからすると、そこを突っ込まれる想定はなかったらしい。
「年の差ありすぎて恋愛対象にならない、ってことかと思ってたけど、一緒に飲みいくの楽しめるならデートできるし、俺相手にキスも出来るし、まだ突っ込んでないけどセックスだって出来る予定だろ。しかも一度だけ抱かれたいってわけじゃなく、都合よく呼び出されたいってのは継続希望なわけじゃん。じゃあお前が言う、恋愛したいわけじゃない理由って何よ。俺がお前にほだされてお前好きになったとして、嬉しいより困るってのはなんで?」
「それはあなたの年齢が、」
「いやだから、今言ったろ。年齢差あるのはわかってるけど、別に恋人やれなくないだろ」
「じゃなくて。自分の年齢考えろ、って話、です」
「自分の年齢くらいわかってるけど」
「じゃあなんで恋人居ないなんて言うんですか」
「実際に居ないんだから、そりゃ居ないって言うだろ」
 またわけがわからないことを言い始めたなとは思ったが、事実を淡々と告げれる程度には、いい加減慣れ始めているのかも知れない。

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二十歳になった従兄弟を連れて酒を飲みに行くことになった20

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 双方共に、相手の態度は自分に都合が良すぎるだとか、割に合わないはずだと思っているとは。しかもその認識のズレの最大の原因は、相手が想定外にこちらを好きすぎるせいだろう。
 どんだけ俺を好きなんだ。そう思ってしまうのを、いい加減止められない。
「お前、俺のこと好きすぎ」
 とうとう音にして口からこぼした。相手だって、理想だと思ってた相手だの、初恋相手だの言わずに、今回は好きな人がという言い方をしていたのもある。まぁそこに意味があるとは思っていないし、初恋で理想の男の具現化なのだから好きな気持ちがあって当然だとも思うけれど。
「あ……」
「あのっ」
「ごめん、ちょっと黙って」
 何かが引っかかって声を漏らせば相手が何かを言いかけたけれど、それを強めに遮って思考に耽る。
 そういや、恋愛対象ではないとか、好きと言われたら嬉しいより困ると明言されているが、恋情を抱いてないとは、はっきり言われていないのでは?
 だとしたら合点が行くのだけれど、でも初恋だの言われた最初の段階で、好きを否定されたような気もする。もっと近づきたい、あなたを知りたい、という気持ちは確実にあって、意識はしてたけど恋愛したいわけじゃない、と言われたやつだ。
 好きっていうか、から始まって、恋愛したいとは思っていないと続いたせいで、そこに恋情はないのだと思い込んだ可能性もあるだろうか?
 だって、恋愛感情じゃない好きなのかと言う問いにも、明確にそうだとは返されていない。おっさん相手に恋愛とか無理、という意味に捉えてしまったけれど、年の差を理由にはぐらかされたのかも知れない。
 おとなしく口を閉じている相手の顔をじっと見つめる。随分と不安そうな顔をしていると思った。
 いつからこの不安そうな顔だっただろう。少なくとも、好きすぎという指摘をする前はこんな表情は見せていなかったと思う。ただ、俺を好きすぎという指摘のせいか、黙ってと強めに言ったせいかの判別がつかない。
「なぁ、俺のこと、好きなの? 俺と恋愛したいわけじゃなくても、恋はしてたりする?」
「そ、れはっ」
「初恋のようなもので、理想イメージが想定外に育ってた相手が俺、なんだろ」
「そ、です。だから、」
「好きすぎって思われるような態度になってても仕方ない?」
「はい」
 そこでホッとされると、そういうことにしておきたいんだな、という確信を持ってしまうわけだが。溢れそうになる苦笑を飲み込んで、先程の問いを繰り返した。
「じゃあ改めてもう一度聞くけど。恋愛する気はなくても、俺に恋愛感情、ある?」
 グッと言葉に詰まった段階で、答えは見えてしまった。そういうことはもっと早く言え。とは思ったが、多分意図的にはぐらかされていたのも事実で、恋愛したいわけじゃないのもきっと本気で、だから知られたくなかったんだろうとも思う。
 その気持ちがわからないとは言わないが。
「お前さぁ……」
「ごめんなさい」
 どうしたって呆れが強くにじみ出てしまう声に、相手はあっさり白旗を揚げる。
「いや、別に謝らなくていいんだけど。つか俺を体差し出せば嬉々として抱くだろうクズと思ってた最初はともかく、途中で自分から教える気にもならなかった? 隠し通したまま抱かれたかった?」
「そんなの、言えるわけ、ないでしょ」
「なんで?」
「あなたが、俺が思ってたより全然クズじゃなかったから、ですけど」
「全くわからん。てか俺がわかるように説明してくれ」
「恋愛感情あるって知られたら、更にあなたに負担掛けちゃうじゃないですか。気にしないでって言ったって、どうせ気にするでしょ、俺の気持ち。それに面倒くさいやつって思われて避けられるようになるのも嫌だし、自分のこと恋愛感情で好きだと思ってる相手が周りうろつくのを、あなたが素知らぬ顔で受け入れてくれるとまでは思えなかったし」
「そりゃまぁそうなんだけど。てか俺が、お前が俺に恋してようと一切気にしないっつったら、お前、まだ俺と一緒に酒飲み歩き行くの?」
「行っていいなら」
「そうか。でも気にしないって言えないわ」
「そういうぬか喜び、したくないんですけど」
 確かに出来もしないことを口にして、相手に期待をさせるべきではない。だって肯定が返るのだろうこともわかっていた。それでもわざわざ聞いて確かめたのは、肯定を聞いてから確かめたいことがあったからだ。

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二十歳になった従兄弟を連れて酒を飲みに行くことになった19

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「それに、確かに会える時間増えたらいいな、くらいの気持ちでしたし、好きにしていいって言ったら嫌われてく、とか、飽きられやすい、なんてことは考えたりしませんでしたけど。でも、本当に好き勝手されて都合よく使われ続けるのは別にいいって、思ってると言うか、俺、そう言いませんでした?」
 やはり少し苛立たしげに告げられたそれを、覚えていないわけじゃないけれど。
「聞いた。本気かって確かめて、本気だって言われたのだって忘れたわけじゃないけど、でも、聞いてもわかんないって返した通り、今もなんでそんな風に思えるのかわかんないままだな」
「いや、だから、会える時間が増えたらいいな、って気持ちですけど」
 だってまた一緒に飲んでくれるとは言ったけど、たまにならって言われたし、次がいつかも決まってないし、と拗ねた様子で不満げに続いた言葉に、まぁ確かに明確に次の約束はしなかったなと、飲み屋でのやり取りを思い出す。今回は誕生日プレゼント代わりで奢ったが、じゃあ次回は割り勘となるかというときっとそんなことはなく、どうせ大半こちらが出すことになるのだろうと思ったせいだ。
 当初相手は自分の飲み代を出す気でいたから、次は割り勘なと言えばあっさり了承するだろうし、ケチだから奢りたくないだなんて言えば率先して金を出そうとするだろう事はわかっていたけれど、一回り以上も年下の、しかも従兄弟という間柄なら、こちらが金を出して当然という常識の中で生きている。少なくとも、双方の親や職場の同僚などはなんの疑問も持たないだろうし、逆に、一回り以上も年下の従兄弟と割り勘で安居酒屋を飲み歩くなんて事象は、軽蔑対象だと思う。
 相手に奢られたい気持ちが一切なかったと言うか、年上の従兄弟にたかってやろうという下心が見えなかった上に、純粋にまた一緒に飲み歩きたいと思っているようだったというか、安居酒屋のはしごを一緒に楽しんでくれたように見えたから、ケチのクズという話をした後ではあったが金の話は出さなかった。たまになら奢ってやってもいいな、と思ったのも事実だ。
 もし、夏休みで暇ならじゃあまた次の休みに付き合えよ、とでも言っていたら、ホテルに誘われるなんて展開はなかったのだろうか。だってまさか、そこまで自分と過ごす時間を欲しがっているなんて、思いもしなかった。
「うん、だから、そこは一応わかったつもりだけど。でも全然割に合わないだろっつうか、お前が差し出すものが多すぎだろって言ってんだけど」
「そんなことは、ない、です」
「なんでよ。俺とのセックス、気持ちよくして貰える前提でもなかったよな?」
 未経験者がセックスに夢見ていて、好き勝手抱かれても気持ちよくなれると思っている、とかならまだしも、自分は気持ちよくなくていいみたいな事を言ってもいるのだ。
「気持ちよくなんかならなくても、好きな人が抱いてくれて、その、俺で気持ちよくなってくれたらそれで充分、なんです、よ。そりゃ好きにしていいって言っても、そんな酷いことはされないだろう、とは思ったし、それはやっぱり信頼でしかないんですけど。でもその信頼は裏切られなかったし、それどころか、むしろ一緒に気持ちよくとか、初めてだから優しくとか、そんなのこっちが貰いすぎだし、もし俺のためにしてくれてるなら、割りに合わないのそっちだと思うんですけど」
 楽しくてやってるのか俺のためにやってるのか違いがよくわからなくて、と続いた言葉に、こちらが楽しいならいいという彼の訴えの意味が、少しだけ分かったような気がした。まぁそれがわかったことよりも、もっと根本的なところで、互いの認識が大きくずれてることが判明したことのほうが、どう考えても重要そうだけれど。

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