金に困ってAV出演してみた25

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 しかし結局自分たちの今後についてを語る時間的余裕はなかった。編集された映像を見ながら体を慣らす予習時間だって、今日の撮影のスケジュールに最初からきっちり組み込まれていたもので、要するに予定していた撮影開始時刻が来てしまったからだ。
 撮影は、今日はこれを使うねという、彼の宣言からスタートした。彼の掲げる、これから使われる予定のオモチャを前に、実物はかなりエグいなぁと思う。
 過激になっていく開発案の中から、これくらいならと許可したのは、結腸開発用の長いアナルビーズを使われる事で、もちろん過去にそれに類似するものを使われた経験はない。というよりも、過去に経験のないオモチャを使わせて欲しい、というのが一番大きな目的らしくて、どうやら本気で戸惑ったり不安がったりする所を撮影したいようだった。
 他に上がっていたのが尿道用のブジーだのプラグだのだったり、電気刺激を送るようの機器だったりで、同じ未経験の品にしても、それらはあまりに想像がつかなすぎてとても許可できなかったという経緯がある。
 結腸用のオモチャも複数候補があったなかで、一番無難そうなものをチョイスしたとはいえ、やはり写真ではそのサイズ感がわかりにくい。
「そんな不安そうな顔しなくても大丈夫」
 優しく言い募る相手は満足気な顔をしているから、実物を前に若干怯んでしまっている事そのものが、やはり期待通りの反応なんだろう。
「今まで使ってきたのだって、ヤダヤダ言いながらもちゃんと気持ちよくなれてたでしょ。今まで通り、これでも感じられるように、じっくり慣らしてあげるからさ。奥の方、感じられるようになったら、凄いらしいよ」
 楽しみだねと笑ってみせる顔は可愛らしいけれど、でもあの映像を見ているからか、どこか無理のある作り笑いにも見えてしまう。
「さ、わかったらいつも通りベッド行って、お尻だして。これ見て不安になっちゃったのかもだけど、怖がって体強張らせてもいいことないって、もう知ってるはずでしょ。どうせ拒否権なんかないんだから、俺に全部任せて、リラックスして体預けときなって。ちゃんと気持ちよくしてあげるから、余計なことは考えなくっていんだよ」
 顔は笑っているのに、辛そうだなと思う。予習時間に弄られてはいたものの、撮影は始まったばかりで、焦らされきっても居ないからだろう。はっきりと、目の前の男の子が、この関係に苦しんでいるのがわかってしまう。
 こんなことをして、好きになって貰えるはずがないと思っているのだ。そのくせ、体だけを手に入れる事に、きっと虚しさを感じても居る。
「どうしたの? そんなにこれ、使われたくない?」
 黙ったまま相手を見つめすぎていた。突っ立ったまま動かないこちらに、相手が少し苛立ちを見せる。
 こちらが反応しないからと言って、撮影が中断される様子はない。まぁもともと、どうせ編集するのだからカメラは回しておけ、というタイプなのは知っているけれど。
 だから編集されてしまう前提で、こちらの気持ちを吐露してみる。だってさっき、好きになってもいいって、言われたわけだし。
「そんなの入れられるの、怖い、とは思ってるけど、でも、使わないでって、言いたいわけじゃなくて」
「まぁヤダとか言われたところで、使うしね」
「うん。知ってる」
「なら素直にベッドに行けない理由は?」
「それは、そんなとこまで、感じるようにならなきゃいけない理由、言って欲しくて。だって、この前言われたけど、俺のお尻、多分もう、ちんこ入るよ」
「それは、早く俺に抱かれたい、ってこと?」
 後半部分に反応されてしまったが、そうじゃない。さっき言っていた、彼との行為でのみ満たされる、そこらの男に抱いて貰っても満足できない体にしたい的な、独占欲丸出しな言葉を引き出したかったのに。

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金に困ってAV出演してみた24

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 ただ、ご主人さまが欲しいなんて欠片も考えたことがないけれど、だからといって、恋人が欲しくなっているわけでもなかった。恋人どころか体だけの相手すら探す気になれずに相当ご無沙汰だったのは事実だ。
 じゃあ恋人作ってもいいかなって気持ちになってきたのかと問われて、正直にそれを伝えれば、またしても相手は強い衝撃を受けたらしい。
「え、じゃあ、春に俺とヤッたのが最後?」
「そうだね」
「ええええなにそれぇ」
 驚くと言うよりはなんだか嘆かれている。なんでこんな反応をされるんだろう。まるで会わずにいたこの数ヶ月、他の人とヤッていなかったことを責められてでも居るようだ。
「え、ごめん。何か問題あった?」
「違う。もし問題があったとしても、謝るのは俺の方。てかそんな状況なのに、今回応じてくれたのは約束してたから? 約束破れないとか考えちゃって断れなかった?」
 ああ、なるほど。見た目は撮影用で、中身は真面目と思われているせいか。あの反応は、この撮影を誘って良かったのかという、彼の葛藤的なものの表れらしい。
「いや。そんなことないよ。協力依頼の連絡貰って嬉しかったと言うか、楽しみだなって思ったし。どうしようとか、断れないかな、なんてちっとも考えなかった」
「ねぇそれ、俺との絡みを楽しみにしてくれてた、って意味に取っていいの?」
「そうだけど。てかそれ以外に何かある?」
「いや、うん、そうなんだけど。そうなんだろうけど。なんていうか……」
「なんていうか?」
 困ったような照れたような様子で口元を覆い隠してしまった相手に首を傾げつつ、先を促すように相手の言葉を繰り返した。
「期待しそうになるんだけど、でも恋人は要らないんだよね?」
「期待? って、あー……」
 何の期待だと思いながら口にしたものの、すぐに予測がついてしまって思わず次の言葉を探してしまう。そんな中、相手がこちらの手を取って、じっと真っ直ぐに見つめてくるからドキリとする。
「好きです。俺と付き合ってください」
 あ、本当に言った。
 想定内の言葉ではあるものの、まさか今この場所で、本当にそれを口に出すなんて思わなかった。
「えっと、本気、で?」
「本気。って言ったら、検討してくれるの?」
 恋人要らないんでしょと続いた言葉に、確かにそうなんだよねと思ってしまって、返す言葉が見つからない。
「じゃあ、なにか弱み握って脅して俺のものにしちゃったら、俺を好きになってくれる?」
 黙ってしまえば次にはそんなことを言われて、またしても、本当に言った、と思った。さっき、本気で実行する気がありそうだと思ってしまったのは、どうやら正しかった。
「こんなのフィクションで、物語で、実際には出来っこないって思ってる?」
「逆かな。本当にやりそう、って思ってる」
「そりゃだって、羨ましいだの、好きになっていいのかだの言われたら、実行してみる価値高すぎだもん。脅せそうなネタだって、いくらでも思いつくし」
 知られたくなくてこの髪なんでしょと言われてしまえば否定は出来ない。
「ちゃんと時間かけて、俺じゃないと相手できないような、そこらの男誘って抱いて貰っても満足なんか出来ないような体に、躾けちゃおうか」
「ああ、そういう……」
「あのさ、自分がそうされるかもって思って聞いてる?」
「あ、ごめん。あの生徒って、そういうつもりで俺を、というか先生を開発調教してたんだ、みたいなこと考えてた」
「だよね。だと思った。で? そんな男を、好きになってくれるの?」
「好きになっていいなら」
「そんなの、好きになって欲しいに決まってんじゃん」
「うん。わかった。で、俺たちはどうしようか?」
「あ、俺たちの話にも戻ってくれるんだ」
 わざとスルーしたのかと思ったと言うので、先延ばしにしたら本気で実行する気なんだろと指摘してやる。話がズレてもあっさり応じたのは、むしろ曖昧なままの方が都合が良かったからだろう。

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金に困ってAV出演してみた23

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「俺が、というかこの家庭教師って、この生徒のこと好きになっていいの?」
「えっ!?」
「あ、やっぱダメなのか」
 あまりに驚かれてしまったから、そんな展開は予定されてないらしいと悟る。なのに。
「いや待って。え、待って」
「なんでそんな焦ってんの?」
「いやだって、好きになってくれる可能性なんか、あるわけ?」
 だってさ、と続いた言葉は、この生徒がどれだけ自己中で、自分勝手に想いを押し付けるだけですらなく、その想いを理由にしてどれほど酷いことをしているかという説明だった。この物語を作った本人がそれを言うのか、というツッコミをしていいのかはわからない。
「なのに、こんな男、好きになったりする?」
「そう言われるとちょっと迷う」
「迷うんだ。てかどんなとこが好きになれそうなの? そこ、めちゃくちゃ興味あるんだけど」
「好きっていうか、脅して好き勝手してるように見えて、なんか、ちっとも楽しそうじゃないとこ、とかは、気になってる」
「えっ?」
「いや、撮影中には気づかなかったし、声だけ聞いてると楽しそうなんだけど。でも映像で見ちゃうとそうでもなかったというか、なんか、辛そうで。あと、何がそんなに好きなのかわかんないけど、めちゃくちゃ執着してるのはわかるし、あの、ちょっとだけ、羨ましいなって思ったりもしたから」
 さっき映像を見ながら胸の奥が痛んだのは、いいなぁと思ってしまったからだ。こんなに執着されて、想われてて、このまま彼のものとして生きていく未来が待っている、画面の中の自分を羨んでしまった。
 時系列がメチャクチャな撮影をされたから、脅されて酷い目にあっている、という感覚がかなり薄いのは認める。それと、相手が彼だから、という部分だって間違いなく大きい。
 もし初めましてな男優さんとの絡みだったら、もしくは、本当に顔見知り程度の相手に脅されて好き勝手弄られて開発されているのだったら、こんなに想われて羨ましい、なんてことは思わなかった可能性は高い。
 もちろん、辛そうな顔を見て、好きになってあげられないのかな、なんて考えることもなかったと思う。
「羨ましい?! って俺が?」
「いや生徒じゃなくて」
「てことはやっぱ自分の役がってこと? え、嘘でしょ」
「そんな、驚かなくても……」
「じゃあ例えば。例えば、だけど」
 もし彼がこちらの弱みを何か握って脅して関係を強要し続けても、それを好意的に受け入れて、更には彼を好きになるのか。という問いを、随分と食い気味に投げかけられて驚いてしまう。
 これに頷いたら、本気で実行する気がありそう。なんて疑いたくなる程度には、真剣な顔と勢いだった。
「えっと、この生徒くらい、本気なら」
「本気って、何が何でも、どんな手を使ってでも、手に入れてやる的な本気があればいいってこと?」
「まぁ、そうかな?」
「マジ、で……」
「あ、いや、」
「え、どっち? 有りなの? 無しなの?」
 大事なことが抜けていると気づいて否定しかければ、それだけじゃなくてと続ける前に、やっぱり食い気味に回答を急かされる。
「あの、ちゃんと俺を好きなら、ってのと、あとその、簡単に捨てないでくれる、なら、有り」
「ねぇあのちょっと待って。え、ちょっと凄い想定外の返答きたんだけど」
 えええと動揺激しい相手の反応に、ちょっと何が起きてるのかわからなかった。
「あのさぁ、春に家誘った時、暫く恋人要らないって言ってたよね? 恋人は欲しくないけど、支配してくれるご主人さま的な存在は欲しい、みたいな気持ちはある、ってことでいい?」
「は?」
「え、違うの!?」
 本気で驚かれたらしいことに、こちらも驚く。なんでそんな話になっているのか、やっぱりちっともわからない。

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金に困ってAV出演してみた22

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 数日後、続きの撮影でまず行ったのは、二人きりでの準備だった。
 衣装ではなくバスローブが用意されていて、シャワー後にそれを着て案内されたのはベッドとテレビくらいしかない小さな部屋で、部屋の中には彼一人しか居なかった。
 そしてざっくり編集済みの前回撮影分を一緒になって観る、という何かを思い出させる展開に、思わず部屋の中に隠しカメラがあるのかと疑ってしまったのは仕方がないと思う。けれどそれはあっさり否定されて、気持ちを前回の続きというか、この映像の続きに向けて合わせやすいようにというだけの気遣いらしい。
 前回時系列メチャクチャな撮り方をしたことと、それでこちらが撮影後に混乱から疲労していたこともあって、撮影前の予習が必要だと判断したようだ。ただまぁ、ついでに今日の撮影へ向けて体も慣らして置こうかって言われて、自分がエロいことをされている映像を見ながらお尻を弄られるという、なかなかな羞恥プレイも付属していたけれど。
 だってただただ映像の確認をしながらお尻を慣らされているわけじゃない。彼は画面の中の男同様に生徒としてこちらに接してくるのだ。
 画面の中で彼に弄られている男はやっぱりそこまで馴染みがない姿をしていて、イマイチ自分自身だとは認識しずらいのに、それでも生徒として語りかけられると、自分は彼の家庭教師で、今日は彼に撮られた映像を見せられながらのプレイなんだって思い込んでいく。彼の言葉を聞きながらお尻を弄られていると、一日で撮影したはずの映像なのに、画面の中のストーリーと同じ様に、まるで長い時間を掛けて少しずつ、彼の手でお尻を開発された気にもなってくる。
 もしかしたらこれも、気持ちをこの後の撮影へ向けて整えるというか、体だけじゃなくて心ごと準備を手伝ってくれてるのかもしれない。
 彼がここまでしてくれるのはきっと、彼の思い描く作品を撮るために必要だからなんだろう。素人の演技には期待できないから、まんまこちらを、この物語の家庭教師役に錯覚させてしまえって意図がありそうだと思う。
 実際錯覚は置きているし、ありがたいことなんだろうけれど、なんだか胸の奥が痛かった。だって前回の撮影では気づけなかったことも、この映像には映り込んでいる。
 時系列にそって並べられた映像には、彼の、というよりはこの物語の生徒の想いが、思いの外強く描かれていた。撮影中は焦らされれば焦らされるだけ余裕がなくなって、彼がどんな顔をしていたかなんて思い出せないけれど、時々映される彼の表情が気になってたまらない。
 画面の中の自分に、というよりはこの物語の家庭教師に、錯覚によって気持ちが重なっているから余計に気になる、というのもあると思う。なんせ映像の大半は快感を耐えながらお尻の開発をされている自分が映っているのだ。自分の顔がアップで撮られていることはあっても、彼の顔がアップで映される瞬間なんてない。
 それでも目が画面の端に映り込む彼の姿を探して追いかけるのは、この物語の家庭教師の男として、彼の想いが気になっているから。と考えるのはそう不自然なことではないと思う。もちろん、自分が気持ちよさで喘いでしまうのを耐えまくる映像なんて見たくない、的な気持ちだってないわけじゃないけれど。
「どうだった?」
 やがて映像が終わると、お尻の中から彼の指も抜けていって、同時に感想を尋ねられる。
「思ったより、短かった、かも」
 あんなに時間を掛けて撮影した映像は、思ったよりもギュッと短縮されていた。時間がかかったのは着替えやらで頻繁に休憩が入ったせいでもあるから、こんなもんなのかも知れないけれど。
「確かにね。入れたいシーンはもっと色々あったんだけど、今日の分も足すこと考えたら、結構早送り気味になっちゃったよね」
 いっぱい頑張ってもらったのにごめんねと言われたけれど、別にそれはどうでもい。
「別にそんなのは謝らなくていいけど。それよりさ、これ、最後どうなんの?」
「どうなるのって、どういう意味で?」
 この後のざっくりとした展開は一応聞いている。どんどん過激になる開発に音を上げた家庭教師が中出しセックスを受け入れて、彼のものであることを宣言させられる展開になるらしい。
 もちろん過激になる開発の許容範囲は既に伝えてあるし、中出しに対してもお互いに事前に性病チェック済みだし、さっきも念入りに中を洗ってきた。多くて喜んだギャラは、どうやら内容のハードさに比例したものだったらしい事にも、今はもう気づいている。
 ただ聞かされているのはそれだけで、互いの気持ちについては特に何も知らされていなかった。

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金に困ってAV出演してみた21

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 歯を磨いて戻れば、勉強机の上にグラスが2つ置かれていた。机の横には既にカメラもスタンバイしている。
 この後は先程までのあれこれをネタに脅されて、今後も関係を続けるよう強要されて、それで今日の分の撮影は終わりなはずだ。これまでの流れなら、休憩という名の打ち合わせが入って、その間に軽くお菓子をつまんだりそれこそ水分補給をしていたのに、今回はすぐにも撮影が再開されるらしい。でもどう考えたって、机の上のグラスが水分補給用とは思えない。
 それでも、どうぞと勧められるままグラスを手に取り中身を口にした。
 何かのハーブティーだろうか。爽やかな香りとほんのりとした甘みが、疲れた体に染み渡る。美味しさにあっさり飲み干してしまえば、空になったグラスはすぐに新しいグラスに交換された。しかし、二杯目はただの麦茶らしい。同じものを出してくれればいいのに、少しばかり残念だ。
「さっきのお茶のが良かった?」
「えっ? あ、うん。そうだね。あれ何のお茶なの。飲んだことない味だったけど、美味しかった」
「じゃあ次回はまたあれを用意しておくね。興奮して授業どころじゃなくなって、また、俺と抜き合うことになると思うけど。楽しみだなぁ」
「は? えっ?」
「あれね、エッチな気持ちになるお茶だって。ついでにちょっと、強制的に勃起しちゃう薬もブレンドしてあったりするけど」
 効果抜群だったよねと笑われて、えっ、えっ、と何度も戸惑いの声を上げてしまう。
 いやまぁよくよく考えれば、さっきまで飲んでたのがさっきまで撮影していた冒頭シーンのさらに前に差し込まれる映像で、この麦茶から先が事後の脅され部分用というのはわかるんだけど。さっきのお茶に本当に薬が仕込まれてるわけじゃないのも、わかるんだけど。
 でも、それらを一度に繋げて撮るどころか、事前に薬入りのお茶を飲まされていた設定があったことすら知らされてないので、理解が追いつく前にどんどん話が進んでしまう。
「ずっとね、先生には俺のものになって欲しくて、めちゃくちゃ機会探してた。だからね、俺のことは好きじゃなくてもいいけど、俺のものになってね」
 にっこり笑顔は可愛いのに、しっかりと凶悪な腹黒さが滲み出ていて、頭の中ではただの設定でこれは撮影と思っていてもゾッとした。逃さないからと宣言されれば、もう逃げられないのだと、どこか本気で思いかけている。
「さっきの抜き合いも、先生がしてくれたフェラも、記念撮影はばっちりしてあるから、それ、忘れないで。もし逃げようなんて考えたら、それ使って先生の人生、めちゃくちゃにしてあげるね」
 口から吐き出す言葉は脅迫以外のなにものでもないのに、うっとりと言い募るさまが幸せそうにも見えて、呆気にとられて見つめる以外にない。いやなんか、凄いな。演技力。
「驚いて何も言えない感じ?」
「えっ、あ、いや……なんか、ちょっと、」
「なんかちょっと、何?」
「あー……いや、なんでも、ない」
 さすがに見惚れてたとは言えそうにない。言葉を濁せば、まぁいいけどと相手も流してくれる。
「いきなり先生はもう俺のもの、なんて言われたって、実感湧かないよね。でもこれからじっくり、教えてあげるから」
 とりあえず次回もちゃんと教えてに来てねと言われて、どうやらそこで、本日の撮影は終了したらしい。
 ただ今回はまた後日続きの撮影が有るので、お疲れさまでしたと帰ってしまっていいわけではさそうだ。私服に着替えて帰る用意はしてていいけど待っててと言われて、控室らしき部屋でぼんやりと彼かスタッフが来るのを待っている。
 なんか色々有りすぎて疲れた。色々あったと言うよりは、聞かされているストーリー通りに進んでいかない撮影に、だいぶ頭の中が混乱気味らしい。
「お疲れ様。疲れちゃった?」
 やがてドアが軽く叩かれて、現れたのはスタッフではなく彼自身だった。
「んー、頭が疲れてる、って感じがする」
 散々お尻を弄られはしたけれど、玩具で何度もイカされたわけでも、抱かれたわけでもなく、ただ一度抜き合っただけなので、体の疲れはそんなでもない。
「頭が?」
「俺が演技できないと思って、わざと教えてないこと、いっぱいあるよね?」
「うん。驚いたり戸惑ったり、素の反応貰ってる部分は多いね」
 どうやら相手の思惑通りの反応を返せているようで、凄く助かってると言われてしまえば、下手くそな棒読み演技とかを晒すよりマシかなと思ってしまうのだけど。
「まぁ、それなら、いいんだけど」
「疲れさせちゃってごめんね。多分次も似たような撮影になると思うけど、ああ、でも、今回ほどシーンが前後する撮影はないと思う」
「そうなんだ」
 監督という立場上、相手も色々と忙しいらしい。聞きたいことや確かめたいことが色々とあったような気がするのに、気持ちや思考を整理しながら、雑談交えてゆっくりお喋りなんてしている余裕はなかった。
 結局、次回の大まかな確認だけで解散となってしまったのが、少しばかり残念だった。

続きました→

 
 
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金に困ってAV出演してみた20

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 互いのペニスが擦り合わされる興奮はもちろんあるが、それよりも、やっとイッてもいいんだという安堵が大きい。そして焦らされまくった体は当然のように、あっという間に絶頂した。
 早すぎと笑われて、あっさり終わってしまった時間を惜しまれながらも焦らしすぎたと謝られて、それから約束通り、今度は相手をイカせるためのフェラを開始する。といっても、こちらがイッてから相手のを口にするまでには、一度休憩が入ってたりするのだけれど。
 椅子に腰掛けた相手の開かれた両足の間に座って、目の前に反り立つペニスに頭を寄せていく。
「ねぇ、先生ってやっぱ、俺が好きなんじゃないの。もしくはかなりの変態なのかな? 自分の我慢汁とザーメンまみれのちんこ差し出されて、素直に咥えちゃうって普通じゃないよね?」
 確かに先程、こちらが出した精液を自身のペニスに塗りつける様子を撮らせてはいたけれど、その後の休憩ですっかり拭き取られているし、彼のを口でするのだって初めてじゃない。だから全く抵抗なく口を開いてしまったが、まさかこんな言われ方をするなんて思ってなかった。
 ただ、頭の上で彼が色々と喋る言葉は全部無視していいと事前に言われていたので、黙ってフェラに集中する。
「少なくとも、ノンケじゃないよね。俺が生徒だから好きになっちゃダメだ、みたいに思ってくれてるんならいいのに。まぁ、実は変態、ってのでもいいんだけどさ。それならそれで、楽しめそうだし、ね。ああ、これは嬉しい誤算だなぁ」
 聞きながら、少し不安になってくる。さっきまで散々お尻をいじられるシーンを撮っていたけれど、脅されて仕方なく受け入れている、というだけだと思っていた。
 脅されて弄られているのに感じてしまうのを、変態だねと言われた記憶はない。でも、体は嫌がってないみたいだよとか、もしかしてヤダヤダ言うのを無視されて弄られるのが興奮するのかな、みたいな事は言われていたような気がする。
 あれ? 全く聞いてないけれど、もしかして、変態って設定があったりするんだろうか?
 なんて疑問が頭に浮かぶ頃には、相手がそろそろイキそうだと訴えている。この前は顔に掛けられたけれど、今回は口に出したいと言われて許可済みだから、口の中に出される気持ちの準備をしておく。
 飲む必要はないけれど、なるべく口に留めて欲しいと言われている。口の中に出されたものを撮りたい的な思惑があるんだろうことはわかる。まぁ、もし噎せて吐き出しちゃってもフォローはするから気負わずに、とも言われているんだけど。
「ああ、イク。出すよ。ちゃんと、全部受け止めてよ、先生」
 頭を押さえられて、グッと喉の方まで押し込まれたペニスが口の中でビクビクと脈打っている。息を詰めて喉を締めて、ギュッと目を閉じながら、吐き出されてくる粘液を口の中にためていく。
 口の中で反応する相手のペニスが愛しくて、フェラは嫌いな方ではないのだけれど、さすがに美味しいと思える境地に至った経験はなく、口に出されたりそれを飲まされたりするのはやはりそれなりに苦手ではあるのに、鼻に抜けていく青臭い匂いにほんのりとトキメイているらしいから驚く。
 たぶんきっと、人と性的に触れ合うのが久々なせいだろう。あの盗撮セックス以降、恋人どころか体だけの相手を探す気にもならなくて、すっかりご無沙汰だった。
 ついでに言えば、彼とのセックスを思い出しながら、それをおかずに抜いた事もなくはない。いつか来るはずの撮影依頼を、少しだけ、楽しみにしてもいた。本当に撮影依頼が来るのかは、半信半疑でもあったけれど。
「ねぇ、口開けて。先生の口の中で射精したって、俺に実感させて?」
 出し切ったのかズルリと口からペニスを引き抜いた相手に、うっとりとした声音でねだられて、口を開き精液を乗せた舌を少しばかり突き出して見せる。カメラが寄ってじっくり撮影された後、一度口を閉じて周りを探ってしまったのは、口の中のものを吐き出すにしても、ティッシュなりが欲しいからだ。もし手の平に出した方がいいなら、そう指示が出るはずだとも思う。
 けれど見上げた相手は少し困ったように、何かを迷うようにこちらを見下ろしている。
「ね、それ、飲んでよ。って言ったら、どうする?」
 口の中が空なら、えっ、と声を発していただろう。だってそんな事を言われても、どうすればいいのかわからない。飲まなくていいって言ってたのに。
「俺を好きなら、俺が出したザーメンだって、飲めるんじゃない?」
 試すみたいな言い様に、一瞬、このまま飲んであげたらどうするんだろうと思ってしまう。好きだから勃起したし、好きだから口でしたし、好きだから口に出されたものだって飲めてしまう。という態度を見せたら、既に撮ってしまったお尻を弄られるシーンはどうなるんだろう。
 脅されて開発されていくという基本のストーリーが変わってしまうんじゃないだろうか?
 多分、無理だと首を振って、好きじゃないという否定が欲しいんだろう。そう思うのに、飲めないと首をふることが出来ず、かといって飲み下してしまうことも出来なかった。
「ははっ、凄く困ってる。ごめんね、困らせて。はい、これに吐き出して」
 ティッシュの箱を渡されてホッとしていいはずなのに、口の中のものを吐き出しても、カットの声が掛かって撮影が中断しても、何かが心のなかに引っかかったままだった。

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