先生、教えて(目次)

キャラ名ありません。全6話。
「生徒×先生(弟子×師匠などでも)で先生が体を使って教えていくお話」というお題を頂いて書いたもの。
大学生(視点の主)×整体スクール講師。明確な年齢差は出してませんが、気持ち的には7〜8歳差くらいのイメージで書いてました。
視点の主が大学で所属する体育会系のクラブでたまたま出会った整体師にほぼ一目惚れして、相手の働く整体スクールに入学したり、スクール卒業後に出張施術という形で彼との時間を買ったらいつの間にか相互に性感マッサージをし合う関係になったりする話。
一目惚れと言いつつ恋愛要素は少なめで、恋人未満なまま終わってます。挿入も指のみ。

下記タイトルは内容に合わせたものを適当に付けてあります。
性的なシーンが含まれるものはタイトル横に(R-18)と記載してあります。

1話 下心満載のスクール入学
2話 コース折り返し地点
3話 じゃあ、体目当てで
4話 名前のつけられない関係
5話 お金を払って口頭指導(R-18)
6話 期待が膨らむ(R-18)

 
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先生、教えて6(終)

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 はぁ、と熱い息が断続的に漏れて、部屋の中の淫靡さを増していく。もぞと揺らめく腰が、埋めた指に吸い付くように蠢動する腸内が、早くもっと強い刺激をとねだった。
「せーんせっ」
 甘ったるく呼びかければ、気持ち良さげに閉じていた瞼がゆるりと持ち上がり、その下に隠されていたうるんだ瞳が、とろりとした視線を投げかけてくる。
「きもちよさそ」
 言えば素直に、ああ、だか、うん、だか曖昧に頷かれて、君は本当に覚えが良い生徒だよと薄く笑われた。
 初めてアナルに触れてそのナカを弄ってから、今日でとうとう二桁目になる。いくらほぼ交通費のみの支払いで会えるとは言え、互いのスケジュール的にそう頻繁に呼び出せるわけじゃない。
 そうこうしている間に大学は卒業し、今では結局、大学近くの整体院に勤務しているし、もちろん、所属していたクラブへの出張施術にも同行している。
「十分お金取れるくらい、キモチイイ。ね、性感マッサージな副業とか、しないの?」
 突然何をと思いながら、ナカを探る動きを止めて、うーんと唸って考えるような素振りを見せた。
 その技術をその身でもって叩き込んでくれたのは目の前の男だけれど、そんな副業をしたくて個人授業をお願いしていたわけじゃない。というか結果的にそうなっただけで、元々は彼と二人きりで過ごす時間を買うのが目的だった。わけだけど。
「儲かりました?」
「客次第だけど、それなりに」
 興味のあるふりをして問いかければ、やっぱりとしか言いようのない答えが返った。過去のことなんて滅多に話してくれない相手だけれど、そんな話題を振られて気づかずにいられるほど鈍くない。というか慣れてるなと思っていた謎が、一つ解けた感じだ。
「相手、男だけ?」
「いや、男女とも」
「本番は?」
「オススメしないね。というかもし本気で考えてるなら、本番ナシを徹底するべきだよ」
「あは。先生、それで何か失敗したんだ?」
 何があったのという質問は、さすがにノーコメントと返された。否定はないから、それ関係のトラブルが何かしらあったらしい。
「今も、やってるんですか?」
「うん。君相手に」
 即答されたが、声に笑いを含んでいる。つまり既に廃業済みってことなんだろう。
「それ全然儲かってないでしょ」
「まぁね。でも本業あるし」
「俺も本業あるし、あなたも居るし。というか、あなた以外に披露する気なんて一切ないです」
「そう。それは勿体無いな」
 そう言いながらも、安堵の表情を見せている。そんな顔を見せるくらいなら、妙な副業を勧めないで欲しかった。いやでも、これはチャンスかな。こんな話をこぼすくらい、いつもよりなんだか心のガードが緩いみたいだし。
「そこは喜んでくださいよ」
「なんで?」
「手塩にかけて育てた自分専用の性感マッサージ師を、これからも無料で使いたい放題なんですから」
「それだけど、そろそろ、お金払おうかって気もしてる」
「は? なんで?」
 こちらはアナルを許していないが、交互に性感マッサージを施し合っている関係は変わらず続いている。つまり無料で使いたい放題と言いつつも、こちらだって同様に、無料で彼の施術を受け放題だ。交通費は出すし、たまに教えを請うて追加でチラッと払うこともあるけれど、基本的には気持ちよくしてもらった部分への支払いはない。
「俺がお金貰ったら、おかしいでしょ」
「そ、だけど。でも、本番ナシでも、さすがに毎回こうキモチイイと、なんか色々マズいっていうか、ちゃんとお金払って気持ちよくしてもらう方が、まだ割り切れそうというか」
「それ、もしかして、期待していい話だったりしない?」
 だって知っているのだ。ナカを弄られとろけた視線が、時々物欲しげにこちらの股間に注がれているのを。彼がこちらに触れてくれる時、勃起してしまったペニスを弄る手付きが、前よりもずっとねちっこくなったことを。
「ね、あなたの客が俺だけで、俺の客があなただけなら、気持ち割り切る必要ないでしょ。そろそろ本番有りでも、いいんじゃない? もしくは、いい加減、恋人になるとかさ」
 言いながら止めていた指をゆるっと動かし、弱い部分を少しだけ強めに刺激してやれば、とたんに溢れだす甘い息の中に考えとくという言葉が混ざる。もうだいぶ長い付き合いになるけれど、彼が多少なりとも二人の関係に対して前向きな言葉を漏らしたのは初めてだ。

<終>

 
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先生、教えて5

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 してもらったら絶対にキモチイイのは知ってる。その言葉通り、そんな場所を弄られるのが初めてだって、ちゃんと気持ちよくしてくれるんだろう。でもだからこそ、されたくなかった。
 彼のそんな技術を、自分の身に刻まれる方法で会得したくなんかない。まぁ、さんざんその方法で男の体を気持ちよくする手技を得てきて、今更という気もしなくもないけど。でもやっぱり、アナルや前立腺はちょっと一線を画した場所だと思う。
 される側には全く興味が無いときっぱり言い切って、相手の反応だけを頼りに、相手のアナルとそのナカとを探る。いつからか当たり前のようにアロマオイルやパウダーに混ざって用意されるようになったローションをたっぷり使っているし、指の挿入にその場所はそこまで抵抗がなさそうだった。なのに、指が埋まって以降、相手は酷く微妙そうな顔を晒している。
 これもとっくに気づいていたことだけれど、彼はされる側の経験はたぶん殆どしていない。つまり、アナルに指を入れられてその中を探られるのは、もしかしなくても初めてなんだろう。
「下手くそだなって、思ってます?」
「痛くはないよ」
「でも気持ちよくない、と。ね、ちょっとアドバイスくださいよ。どう弄ったらいい?」
「される側興味ないって言ったの、そっちだろ。そういうの知りたかったなら、自分の体も差し出せよ」
「授業料払いますから、ぜひ実技ではなく口頭で」
 幾ら出すのと聞かれて、新しい切り口だなと思う。金額を言えば、値段分のアドバイスをくれるって事なんだろうか。値段の相場が検討もつかないけれど。
「え、じゃあ、取り敢えず……五千円?」
 言えば、ふっ、と息を漏らすように笑われた気配がする。やはり安すぎただろうか。
「ならダメ出しから。まず一番ダメなとこが、こっちの経験なにも確かめなかったとこな」
「あー……でも、初めて、ですよね」
「ふーん。なるほど。初めてって思ってんの。なら、初めての相手にこの性急さは、かなりマイナス。さっさと突っ込んで欲しいみたいに見えてたなら、観察力ぜんぜん足りてない」
「あ、いえ、すみません……」
 言われれば確かに、早くナカに触れてみたいと気が急いていなかったとは言えない。自分の欲求を優先した。というか初めてって思ってるの、という言い方が気になる。初めてなのかそうじゃないのか、わかりにくい。でも彼のアドバイスが続いていて、それを問える余裕はなかった。
「むちゃされたわけじゃないし、痛かったりはしないけど、基本的に焦りすぎ。潤滑剤使ってあまり抵抗なく入るからって、そうあっさり突っ込むもんじゃないよ。後、しょっぱなから深くまで入れすぎ。前立腺ってそんな奥じゃないから」
 相手の声に指示されながら、ゆっくりゆるゆると指の腹で前後左右に腸壁をなぞらされる。
「もーちょい手前……んっっ」
「あ、……これ、かな」
 指の腹に触れた感触を確かめるように数度なぞれば、んっ、んっ、と少しだけ鼻にかかった息が漏れ出てくる。気持ちよさそう、という感じではないけれど、多分これが前立腺だ。
「五千円、ここまでな」
 疲れた様子で大きく息を吐いた後、相手は瞼を下ろしてしまう。お腹の中に意識を集中して、快感を拾おうとしているのかもしれない。強い刺激になってしまわないように、本当にそっと優しくその場所を撫でながら、相手の反応を見逃さないようにと注意深く見守った。

続きました→

 
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先生、教えて4

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 純粋に、整体とマッサージをして貰うだけの出張施術は結局最初の一回だけだった。実技授業の延長みたいな感じで、交互に施術し合うみたいな関係に持ち込んだのはもちろんこちらだ。
 授業の延長気分だったから、こちらが相手に触れる時間分も払うつもりだったし、実際しばらくは払っていた。何度も繰り返すうちに、上手くなったからと少しずつ割り引かれて、とうとう往復の交通費だけ払えば来てくれるようになった現在の関係を、どう呼べば良いかわからない。
 話しかける時はやっぱり先生と呼んでしまうし、相手だって随分と砕けた口調になって、一人称が時々俺になってたりするけど、やっぱりスクールに通っていた頃と変わらず名字に君付けで呼ばれるし、友人と呼ぶような距離感ではないなと思う。
 もちろん、恋人でもない。たまに思い出したようにデートに誘ってみるけれど、相変わらず、そういうのはしないよとか、嫌だよって笑われて終わりだった。そのくせ、施術内容をどんどんと際どいものに変えても、その手を拒絶されたことはない。しかも相手はこちら以上の技術でもってやり返してくれるからたまらない。
 つまり最近はもう、交互に性感マッサージを施しあっているような感じになってるし、双方とも不感症ではないので当然二人とも勃つし、相手の手でイくし、相手をイかせることもする。なんでそんなことを許すのか、意味がわからない。この関係がなんなのかわからない。
 どういうつもりと聞けないのは、聞いて確かめて今の関係が終わってしまう可能性を考えてしまうからだろう。デート一つしてもらえない以上、どう考えても恋人のような関係にはなれそうにない。だとしたら、今のこの状況で彼がどこまで体を許すのか、行けるところまで行ってみるのが良いんだろうか。
 問題は、自分の身を守りながらというのが非常に難しい点だ。だってどう考えたって、自分が触ってもらってる時の反応の方が大きい。彼の手は本当にめちゃくちゃキモチガイイ。でも同じくらい彼を気持ち良く出来ているとは到底思えなかった。自分の手に彼も感じてはくれるけれど、イってくれるけど、感じ入って呆けてくれるような瞬間はない。
 させてって言ったら、前立腺だって探らせてくれそうだけど、立場を変えて自分がされることを考えてしまうと恐ろしかった。自分の未知なる性感帯を発掘したり開発したいわけじゃない。
 それでも、こちらの興味がアナルだったりそのナカだったりに注がれていることはあっさり相手に伝わってしまったらしく、こちらがそこへ手を伸ばすより先に、彼の指にアナルを撫でられて飛び跳ねる勢いで驚いた。
「ちょ、え、なにっ!?」
 うつ伏せていた体を思わず起こして、尻をかばうように手を当てながら相手と向き合うように座る。少し驚いた顔をしているのは、彼が思う以上に、こちらが警戒心むき出しな反応をしたからだろう。でもすぐに、可笑しそうに笑い出す。
「嫌だったならゴメン。そこ、最近なんだかやけに興味ありそうだったから。場所が場所だし、さすがに言い出せないのかなって思ってたわ」
「興味があるのはする側だけです」
「みたいだね」
 どうしようかと言われても、何を聞かれているのかすらよくわからない。
「自分の体で実感した方がてっとり早いと思うんだけど、でも、こっちの反応見ながら、無茶なことしないで、ちゃんと気持ちよくしてくれそうって思えるくらいには、その腕、信頼してたりするんだよね」
 知識はあるんだろと聞かれたので、それなりにしっかり調べたつもりですと返した。
「でもなぁ……本当に、される側になるのは全然興味なし?」
 気持ちよくしてあげるよと薄っすら笑う顔をじっと見つめてしまう。とっくに気づいていたことだけど、彼はどうやら男相手への性感マッサージをかなり経験している。

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先生、教えて3

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 彼の何に惹かれたかなんてもうとっくに話してる。貰った言葉が嬉しかったんだって確かに言った。簡単に忘れるくらい自分との会話はどうでもいいのかって思うと少し残念で、でもへこんでる場合でもないから、初めて会ったのは大学の体育館だったってところから遡って何に惚れたかを話してやる。
「いや、それは聞いたし知ってるよ」
「は? じゃあ、何が疑問だっていうんですか」
「それでもう一度僕に会いたくて、ここ探し当てて、更には入学まで決めたってのはまぁいいよ。でもそれだけで気持ち引っ張れるほど、何かしてる? 期待するなって言った通り、特に思わせぶりなことしてないはずなんだけど」
「あーまぁ、それはたんに、俺が諦めが悪い人間ってだけじゃないすかね」
 諦める気ないのと聞かれてないですと即答すれば、呆れたため息が返された。
「思うんだけど、君がやってる競技ね。ずっとそれに注いでた熱量の行き場を探して迷ってたところに僕が現れたもんだから、これ幸いと僕に振ってるだけじゃない?」
「痛いとこ突きますね」
「なんていうか、デート誘われまくるけどイマイチ本気っぽさないというか、切羽詰まった感じないしね。どっちかというと暇を持て余してる感がある」
「あれ? そんな感じに思われてるとは心外。いつだって本気で誘ってんのに」
「冗談で誘われてると思ってるわけじゃないけどさ。ちゃんと考えて誘ってくれてるのは、誘われる場所でわかるし」
「だから、本気で、一緒にどっか遊びに行きたいんですって。どこなら行ってくれるか必死で考えますよ、そりゃあ」
「そうか」
「そうです」
「でもごめんね。恋されてるなぁって感じもないから、デートの誘い断るのになんの罪悪感もわかないのはありがたい、とか思ってるわ」
「酷い。というか恋されてない感じとかってわかるもんなんですか?」
「いやそりゃわかるでしょ。というか、本気がヤバイ感じならわかる」
 だから迷うんだよねと、またしてもため息が吐き出されてくる。
「懲りずに何度も手を変え品を変えデートに誘われるくらいなら、いっそ体目当てでとか言い出してくれたら楽なのに」
「うっわ。講師と生徒の恋愛禁止が聞いて呆れる。じゃあ、体目当てです」
「思い切りがいいね。でも体目当てならお金とるよ?」
 バイトしてる余裕なんてほぼなくて、大学に加えてこのスクールの授業料まで払ってくれている親に対して小遣いアップを言い出せるはずもなくて、つまり、そんな金銭的余裕はかけらもない。というのはわかっているのだけれど。
「ちなみにいくらほど?」
「まさか本気で考えてる?」
「セックスがしたい、かどうかは正直わかんないですけど、まぁ、あなたの時間を金で買えるってならそれはそれで有りな気はします。金ないですけど」
「あー……そこまで思ってんの。なら、コース終了して会えなくなったあと、どうしても会ってって時は買われてあげてもいいかな」
「本気にしますよ。てか値段は?」
「んー……相場だと十分千円くらいじゃないの」
 それってマッサージやら整体やらの相場じゃないのか?
「あれ? じゃあ、つまり、そういう体目当てもあり、と」
「あ、出張費と場所代も君持ちね」
「え、それ、卒業後じゃなきゃダメなんですか」
 ダメだよと言った相手は、その後デートに誘うのではなくなんとか彼の個人的な連絡先を聞き出す方向へシフトした自分に、本気で最後までその連絡先を守りきった。人への当たりは柔らかいのに本当に手強い。
 スクールの日程を全て終えた最後の授業、卒業祝いなどと言いながら渡されたメモに、感極まって思わず泣いた。

続きました→

 
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先生、教えて2

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 スクールには真面目に通ったし、授業も真面目に受けた。合間合間に自分の話をして、それと絡めるように相手の話を引き出して、ついでに開き直って口説いたりもする。
 だって彼が言った、講師と生徒の恋愛禁止は、それだけなら仮にスクールにバレたとしても別になんのペナルティもなかった。講師側に、生徒に手を出すのはやめましょう(色々と問題が起こりやすいので)、程度の注意喚起をしてるのは事実らしいけど。以前、既婚者相手に手を出して揉めた講師がいたとかなんとかで、その講師は発覚後辞めさせられたらしいけど。
 それらの情報は受付での雑談中に彼以外の講師だったり事務の人だったりに聞いた。つまり彼以外にもあちこち完全にバレているが、意外とそちらは協力的だった。なんせ、二人きりな個人授業になるように狙いまくるこちらに、他の人が入っていないコマを教えてくれたりする。
 何でなのかは知らない。自分と彼と二人セットで、遊ばれてる可能性が一番高いと思う。自分がここを卒業するまでに彼を落とせるかどうかを、実は裏で賭けの対象にしていると言われたって、きっとあっさり信じてしまうだろう。
 同僚に裏切られていると嘆く彼だって、別にそれをどうこうしてはいないようだし、こちらをキツく拒むわけでもない。直接的な口説き文句はさすがに窘められるし、ダメとか無理とか言われるけれど、でもそれだけだ。
 態度が優しいのは講師だからと言うよりは彼の仕様っぽくて、ただ人当たりが優しいのと心根が優しいのは別だってことはわかっていて、彼はきっと人当たりだけが優しい人だってことにもさすがにもう気づいている。ただ、心根が本当はどうなのかはわからない。だってそこまで踏み込ませてくれない。キツく拒むことはないけれど、やんわりと、けれど確実に、これ以上はダメというラインが存在する。
 なんだかんだでコースを半分ほど消化したところ、そろそろ手詰まりかなぁと思う。あれこれ試したけれど、結局デート一つ出来てはいない。彼とこの場所以外で会える手段を引き出せない。
 まぁ別に、これ以上深く関わらなくたって、十分楽しい時間を過ごせているし、当初の目的の半分は達成されているとも思うのだけど。でもなぁと、思ってしまうのもまた事実だった。
 彼と恋人になりたいって欲求はたいして育ってないものの、あのラインを飛び越えて彼に近づいてみたい欲求が新たに生まれて、それは日々着々と育っているようなのだ。
 でもどうしたらいいんだろう?
「最近、前ほどあれこれ言ってこなくなったけど、何かあった?」
「それをわざわざ聞いてくる意味は?」
「飽きたならそれでいいし、押してダメなら引いてみよう的な駆け引きなら引っかかりたくないし、大学やクラブの方で何かあって悩んでるなら話聞いてもいいよってくらいの情はあるよって感じ?」
 なるほど。押してダメなら引いてみよう、みたいな事もしてみれば良かったのか。これを言われた後じゃ、今更だけど。
「簡単に言えば手詰まりってだけですかね」
「ああ、なるほど。じゃあいいね」
「全く良くないですね。いったい何に誘えば、あなたとデート出来るんですか」
「いや、何に誘われたって、二人でお出かけとかしないけど」
 懲りないねと言われて、さすがに懲りてますよとは返せなかった。懲りてるから、次の手が思いつかないのだ。どれだけ彼の話を引き出し、彼の興味がありそうなものへ誘っても、一緒に行ってはくれない。行ってみたよという事後報告は何度か受けたから、本当に、一緒に出かける気が一切ないのだとわかっただけだった。
「じゃあ課外授業とかしてくださいよ。先生なんだし」
「理解が足りないとか授業についていくのが難しい、って理由での補講希望なら、コースの中にちゃんとあるでしょう」
 本当に必要だと思うならと付け足された。これだけほぼ一対一の個人授業を重ねまくった生徒の理解度がわからないはずがないから、そう言われるのは仕方がないだろう。
「ここ以外で会いたいって話でしょ。折り返し地点過ぎてなんも進展してないから、このままコース終了しちゃったらどうやってあなたに会おうって、そういうの考え始めてんですよ」
「整体以外のコースに申し込むとか?」
「鬼ですね。いくら掛かると思ってんだ。てかそもそも別コース専任で教えてないでしょ、あなた」
 彼だけを指名して通えるってなら、うっかり考えたかもしれないけど、さすがに親への負担やら、クラブへの言い訳が思いつかない。素直にそう零せば、なんでそんなに僕が好きなのと聞かれて驚いた。

続きました→

 
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