雷が怖いので プレイ17

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 リアルに「上手にお漏らしできました」を聞かされて、色々な感情をごちゃ混ぜにして精神を昂ぶらせたままダラダラと泣き続けるこちらを宥めるように、優しいキスを繰り返された。口の中を舐められて、舌を吸われて甘噛まれても、ひたすらあやされているだけなのがわかる。明確に性的な興奮を煽ってはこないキスが酷く心地良い。
 彼がご褒美だと明言して差し出す強烈な快感よりも、間違いなくこのキスのほうが、自分にとってはご褒美だった。
 うっとりと身を任せきるうちに、涙は止まって気持ちも落ち着いてくる。でもそうするとさすがに、汚したアレコレが気にかかり始めた。どんな状態になっているのかはもちろん確かめられていないが、少なくとも足先は濡れて冷えているし、ほのかに漂うアンモニア臭だってある。
 今なら服を汚さずに済むなんてことも言われたけれど、履いたままだったこの靴下は廃棄決定だ。彼に脱がされ放られたズボンや下着は、本当に無事なのだろうか。下着は今日だって替えを持ってきているし、靴下は裸足で帰ればいい。けれどもしズボンが汚れていたらどうしよう。
 なんてことを考える余裕が生まれたことはあっさり相手にも伝わったようで、落ち着いたみたいだからと抱き上げられて連れて行かれたのは、部屋の隅に設置されたシャワーブースだった。
 出てくるまでに簡単に片付けておくからなるべくゆっくり使っての言葉に従い、ひたすらシャワーを浴び続けていたら、逆にそろそろ出ておいでと迎えに来られてしまったし、体を拭かれた上に彼の手で服を着せられた。
 ズボンは確かに無事だったようだけれど、他は靴下も下着もシャツも全てが真新しい。靴下はありがたく貰うとしても、下着は替えを持ってきているし、どうせ家までだしシャツはそのままで良い。そう言ったのに、じゃあ次回着ておいでと言われて済まされてしまった。
 どう考えてもそれらは汚れた物の代わりとして渡されたものであって、脱がすために渡されたものではない。下着だって前に貰ったものとほとんど変わらない。しかしそう言われてしまえば、わかりましたと返すほかなかった。
 更には出入り口近くの椅子に座らされて、ドライヤーで髪を乾かされる。多少濡れたままだってすぐに自然と乾いてしまうものだけれど、必要ないとは言わなかった。性的でなく彼の手に触れられることが、酷く魅力的に思えたからだ。
 実際、それは幸せなひとときだった。
 間違いなくこれも自分にとってはご褒美だけれど、彼の認識としてはどうなんだろう?
 終えてからもこんなに世話を焼いてくれるのは初めてだけど、それを言ったら今日はちょっとずつどころじゃなくいきなりグッとハードルを上げられたプレイをしたし、自分でもびっくりするほど泣きまくった。だからやっぱりこれは、お詫び的なものなんだろうか。
「乾いたな。じゃあ、今日はここまでにするか」
 その言葉に、思わず背後の相手を振り仰いだ。こちらの驚きに釣られてか、相手も少し目を瞠っている。
「どうした?」
 どうしたもなにも……
「もしかして、今、終わった、の」
「ん? いい加減疲れ切ってると思ってけど、足りないとかまだ出来るってなら、もっと何か、エッチでキモチィことしてやろうか?」
「んひゃっ」
 悪戯に首筋をサラリと撫であげられて、驚き声を上げながら肩を竦めた。それだけで少し息が上がるくらいに、たしかに疲れ切っている。
 相手はおかしそうに笑って、今日はここまでだよともう一度繰り返した。もっと続けてなんてつもりは欠片もないし、相手もそれはわかっていそうだけど。
「今日の分はとっくに終わってると、思ってた、だけ」
「ああ、そういう話。お前の体拭いて服着せて、髪の毛乾かしてやった分も全部、時給とは別に給料発生してるよ」
 そんな高値はつかないけどと言われたけれど、それでも十分驚きだった。
「服着せるのもドライヤーも、プレイ、なの?」
「プレイと言えばプレイだし、たんに頑張ってくれたご褒美みたいなもんでもある。特に今日は、けっこう無理させた自覚もあるしな」
 実際かなり疲れてるだろうという問いかけには、そのまま素直に頷いてしまう。
「少なくとも俺は、プレイで疲労した相手を労るのは、当たり前に必要な行為だとも思ってる。まぁ、そこにも金銭を発生させるのは、お前が俺の愛人バイト中だからだけど」
「ご褒美なのに、給料も出るとか、ちょっとよくわからない」
「基本的には、お前が俺に好き勝手させた分全部に金を払うよ。じゃなきゃ、ご褒美渡すから三万分追加で働けなんてそもそも言わない。俺がどれだけご褒美だって言ったって、お前にとっては苦痛が伴う場合もあるってのは、身を持って知ったばかりじゃないのか?」
「ああ、確かに」
 練習してきたことに対して、給料上乗せ分と別にご褒美を渡すとも言われていたから、ご褒美は彼の好意で発生する無料のものと思い込んでいたのかもしれない。給料上乗せ分とは別に、ご褒美でアレコレされた分の給料が発生するという意味では捉えていなかった。
「一々詳細言うの面倒だし、お前も聞かないから金だけ渡してたけど、適当とは言えざっくりと値段振ってるのは確かだし、気になるなら何が幾らか教えようか?」
「いえ、いいです」
「即答だな。まぁ、お前がいいならいいさ。じゃあ、今日の分の給料払うから、リビング移動しようか」
 一人で移動できるかという問いに黙って頷き立ち上がる。来た時に置いた荷物を取りに向かう足取りを見て大丈夫と判断したようで、準備しておくからゆっくりおいでと声を掛けてから、彼は先に部屋を出ていった。

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雷が怖いので プレイ16

* お漏らし描写有り
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 いくら見せてと言われたって、できるだけ給料に見合うだけの仕事をしたいと思っていたって、これは流されて晒していい行為じゃない。はずだ。
 排泄を晒させるプレイがあることは知ってる。こんなバイトを始めたせいで、自分に降りかかる可能性を考えて前よりもSMに関する知識と興味は増えたと言えるが、痛そうなのや汚そうなのはやっぱり無理って気しかしないし、SMというカテゴリを漁っても極力目に入るのを避けてしまう。
 だからだろうか。強制的に排泄させるのなんて、相手を辱めるのが目的というイメージが強いし、上手にお漏らしできました、なんて聞いたことも見たことも読んだこともない。褒めて貰える行為には到底思えないのに、でも彼の甘やかな声を聞いていると、そう言って褒めてくれそうな気がしてしまう。
「なぁ、わかってる? 我慢しなさいって言ってるのに、我慢できなくて漏らしたら、大学生にもなってみっともないねって話になるだろうけど、今、そういう状況じゃないからね?」
 俺が見せてって頼んでるんだよと、思考を乱す甘い声は止まらず続いていく。
「もちろん、みっともなくて惨めな姿を見たいって言ってるわけじゃない。さっき、オナニー見られて、一人でする時よりずっと気持ちよかったの思い出して。思い出しながら、我慢できずに部屋の中で漏らすとこ、俺に見せてごらん。うんと恥ずかしくてキモチイイおしっこ、経験させてあげるよ?」
「きもちぃ、おしっこ……」
「そう。ご褒美。泣くほど気持ちよくしてやりたいって言ったろ」
 気持ち良くなる前から泣きっぱなしだけどなと苦笑顔が寄せられて、まだ流れ続けている涙をチュッと吸い取っていった。
「だから、ね、見せてくれるよな?」
 促されるまま頷いてしまいそうだったのを、ギリギリのところでとどまる。ご褒美の一つなんて言われてしまったせいで、見られることそのものはもう受け入れていたのだけれど、やはりこの場所でそのまま漏らして見せるには羞恥も躊躇いも抵抗感も罪悪感も大きい。
「トイレで、なら……」
「トイレ連れてったら、するとこは見せてくれるの?」
 今度は迷うことなく首を縦に振った。嬉しそうなありがとうの声に、こちらも良かったなどと思ってしまい、ホッとしたのもつかの間。動きを止めていた手が動き出して体を小さく跳ねた。
「えっ? えっ……?」
「俺に見られる覚悟はできたんだろ?」
「でも、トイレで、って」
 うん、と頷かれながらも、ペニスの先端を爪の先が擽るように掻いてくる。その刺激につられて尿道口が開いてしまいそうで焦った。ゾワゾワして、今にも尿がせり上がってきて溢れだしそうで怖い。
 というか実際いやらしく開閉していて、先走りを零しているような気配があった。時折爪先ではなく指の腹が先端を撫でてくるのが、零した先走りを掬い取っているように思えてならない。
「やだぁ、やだぁああ」
 トイレに連れて行ってくれる気はないと悟って、必死に身を捩ろうとするが無駄だった。当たり前だ。もともと体格差があるし、こちらは三度もイカされ済みで抱き支えられて立っているような状態なのに、その腕の中から逃げ出せるわけがない。
「うそつき。うそ、つきっっ」
 我慢できずに相手を詰った。だってさっき、本心から本気で嫌がったらさせないって言ったのに。こんなに本気で嫌がっても、止めてくれる気配が欠片もない。
「トイレ連れてってやるとは言ってない」
「ち、がうっ。本当、ヤなこと、させないって、言った」
「ああ……本当の本気で、ここじゃお漏らししたくないって、言いたいの?」
 思いっきり頭を縦に何度も振った。
「おしっこするとこ見られる覚悟が出来てて、なのにここでは出来ない意味がわからないんだけど」
 不思議そうに聞かれることが不思議で仕方がない。
「ここは俺の家の俺の部屋で、俺がいいって言ってるどころか、この場所でしてってお願いまでしてるのに、何がそこまで本気で嫌なの?」
「だって、だって、トイレじゃ、ない、しっ」
「でもここ、プレイルームだぞ? そういうのも想定して作られてる特別な部屋だし、さっきも言ったけど、お前を惨めにさせるためにここで漏らさせようとしてるわけじゃない。漏らしたものをお前に見せつけて辱めるつもりもないし、後始末だってお前にさせたりしないよ。それに」
 ここで漏らせたらうんと褒めて可愛がってあげるという言葉が、脳の奥を痺れるみたいに蕩かせた。同時に、先端の割れ目にグリッと爪先が入り込む。体を支えるように胸の前に回されていたはずの手がいつの間にか下がっていて、腹部をグッと押し込んでくる。
「大丈夫だから、イッちゃいな」
 まるで射精を促すみたいな言葉で、けれど我慢しきれずに弾けさせたのは当然白濁液ではなく黄色い小水に他ならない。プシっと勢い良く漏れ出たそれは、彼の指先を汚しながら一部あちこち飛び散り、大半は床へと流れ落ちているようだった。
「ゃぁああああ゛あ゛っっ」
 漏れ出る尿の音を聞きたくなくて声を張り上げる。もうどうにもならない。出始めてしまった尿を途中で止めることなんて出来ない。
 ずっと叫び続けるわけにもいかず、声を途切れさせれば下方で水滴が跳ねるような音がして遣る瀬無かった。耳を塞ぎたくても壁につけた両手を剥がせず、逃げるように目をぎゅっと閉ざす。
 先端を抉って誘発した爪先は、慰撫するように尿道口の周りを撫で続けている。ゾワゾワとした気配が尿意を誘い続けると同時に、ペニスの先端から甘い痺れを送り込んでくるみたいだった。
「ん、上手。かなり我慢してたね。なかなか終わらない」
 終わらないのは彼の指のせいも大きいと思う。もちろん、そんなことを言える余裕はなかったけれど。

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雷が怖いので プレイ15

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 お願いだからイかせてとも言えなくなって喘ぐ中、ようやく、限界っぽいからそろそろイッていいよと声がかかる。達せるようにと手を動かしてくれる。
「ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛……」
 喉から絞り出るような声を、気持ち的には張り上げながら体を震わせた。頭の中も目の前もバチバチと白く弾けて、吐精そのものの強烈な快感は若干苦痛でもあったけれど、ようやく開放された安堵と吐き出した後の余韻は焦らされた分だけ大きいようだ。
 全身をチリチリとした甘い痺れが覆っている。長々と続く余韻は間違いなく気持ちが良かった。さっきのオナニーにしろ、今回のこれにしろ、こんなの絶対、自分ひとりじゃ経験できない。
 じわりと霧散していく余韻をひたすら堪能する。
「ぁ、ぁぁ……ぁ…………、ふぅ…」
 閉じることをすっかり忘れきった口から零れる音がなくなって、最後に一つ、大きく息を吐き出した。
「よく頑張ったね。お疲れさん」
 耳の端を満足気な吐息が掠めていく。それにつられて、自分も甘い吐息をこぼした。
「さすがに三度目ともなると薄いな。量も少ない」
 顔の横に汚れた手を掲げられたが、そんなものにコメントをしようがない。というかそもそも見たくない。
 眉を寄せて顔を背ければ、背後でククッと笑いを押し殺すような音がした。
「えっ……」
 戸惑い発する声は自分のもので、慌てて背けた顔を戻した先にはもう、汚れた手は掲げられていない。濡れた手はまたこちらの股間に移動し、萎えたペニスを握り込んでいた。
「ちょ、えっ、待っ、て」
 お疲れさんと言われたから、さっきので終わりだと思っていたのに。薄くて量も少ないと評された、吐き出したばかりの白濁をまるで擦り付けるみたいにして、ペニス全体を彼の手がゆるりと撫でている。
 さすがに三度も放出したペニスの反応は鈍い。しかし萎えたペニスを弄られたことで、ブルリと体が震えた。
 おしっこ、出そう。と思った瞬間に別の意味で血の気が引いた。さっきみたいに、弄られて先走り以外の何かが出そうなんて仄かな感覚ではなく、それははっきりとした尿意だ。
「待って、待って」
 意識してしまった尿意に、これはヤバイと必死に待ってと繰り返す。でも手の動きは止まらない。激しくもならないが、依然ゆるゆると弄り続けている。
 必死に頼めば聞いてくれることが殆どだったから、止まらない手に困惑と焦りとが押し寄せた。
 どうしてって気持ちから、無理に首を回して背後の相手の顔を覗き見ようと試みる。それを察したようで、背中にピタリとついていたままの熱が離れていった。そしてこちらの目に映るようにか、振り向いた先を逆に相手が覗き込んでくる。その顔は、にやりと楽しげだった。
「薄くなっても、まだ出るだろ?」
 言うと思った。そのつもりで弄り続けているんだとわかっていた。出来れば違って欲しいとは思っていたけど。
「も、やだぁ」
 半泣きで訴えた。言っても無駄と知りつつも、言わずに居られなかった。
「泣いてもだぁめ。これ以上気持ちよくしないで、は聞かないよって何回言わせるの」
 涙腺はとっくにおかしくなっていて、半泣きどころかダラダラと流れ始めている。崩れ落ちないようにと抱えてくれているせいで両手が塞がっているからか、目尻に宥めるようなキスが繰り返される。でも、手は止めてくれない。
「お願い、せめて、きゅうけい、させて」
「連続でイかせるのがいいんだろ」
「だって、だって」
「だって、何?」
「五分、でいーから。ごふんだけ、休ませて」
 必死で言い募ったら、今度は若干また反応しだしているペニスを弄る手の動きが止まった。止まっただけで放してはくれないけれど。
「んーじゃあ、ざっくり五分な」
「って、まさか、このまま……?」
「まさかってなんだよ。弄らないし動かさないでいてやるから、休憩できるだろ」
「違う。そーじゃな、くて」
「何が違うって?」
「あのだって、休憩……」
「うん、だから、休めてるだろ?」
 ふふっと笑った顔に、ああ、わざとはぐらかしてるんだとわかってしまった。
「わかってる。その顔、絶対わかってる」
 また意地悪されてるんだと思ったら、ぶわわと涙が溢れてくるから、本当に涙腺がどうにかなっている。
「そのまま漏らしていいよ?」
 言うと思った。そんなの、出来るわけないのに。
「でき、ないっ」
「どうして? 今なら服も汚さないで済むのに」
 お漏らしも見せてよと甘ったるい声がねだる。上手にオナニー見せれたんだから、お漏らしだってきっと上手に出来るよと、甘やかに繰り返されて頭の芯がぼんやりする。その声に流されてしまいそうになる。

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雷が怖いので プレイ14

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 壁に手をつき、背後から回された手に勃起ペニスを扱かれ、なんでこんなことにと思いながらもひたすら泣き喘ぐ。腕にも足にもとっくに力なんか入ってなくて、結局のところ床に座り込んでしまわないよう支えているのは胸に回された彼の腕だ。結構しっかり抱きとめられているから、背中には彼の胸がピタリと張り付いている。
 焦らされまくった後のオナニーは、確かに今までしてきたオナニーとは比較にならないくらい気持ち良かったけれど、焦らされるにしろイカされまくるにしろ、彼の手でして貰えるのだと思っていた。だってご褒美って言われていたから。
 それを非難するような気持ちは間違いなくあって、気持ち良くイケたなとご機嫌だった彼に、ご褒美って言ったのにと不満を漏らしてしまったのがいけなかったのかもしれない。キモチイイご褒美ありがとうございました、みたいな態度を取れていたら、もしかしたら今日のバイトはあの時点で終了だったかもしれない。
 実際どうだったかはわからないけど。
 だって、焦らされまくるのとイカされまくるの、どっちも選ばなかったから両方してあげる。なんてのがいつ彼の中で決定したのか知らない。どっちでもいいって言った瞬間に決めたことかもしれないし、それどころかあの選択肢を出されたときにはもう決まっていたことなのかもしれない。だとしたら、ご褒美ありがとうございましたって態度を取ったって、結局はこうなっていたはずだ。
 漏らした不満に、ご褒美がこれで終わりだなんて言ってないけどと告げた彼は、どうやって弄るとキモチイイか教えて貰ったから今度は俺の番だな、なんて楽しげに言って、熱を放って幾分萎えたペニスを握ってきた。しかも結構乱雑で強い刺激を連続で与えられたから、脱力しきっていた体を跳ねて咄嗟に逃げようとしたけれど、もちろん逃げ出せるわけもない。
 ペニスを扱かれながら、意地の悪い甘い声で両方してあげるを告げられて、それを理解するには少し時間がかかった。最初乱雑だった彼の手は、すぐに自分の手よりももっと巧みにペニスを弄り擦りあげてきたから、彼の手管であっさり再度昂ぶった体に頭の中をキモチイイで満たされてしまったからだ。どうしてもそちらに気を取られて、彼の言葉をすぐには飲み込めなかった。
 両方してあげるの意味を理解して震えた時、彼には少し呆れた様子で、だからお前は迂闊だって言われるんだと言われた。しかも、三万分何するかも聞かずに、聞いたら続けてって言えなくなっちゃうなどと可愛いことを言って、彼を煽ったのがいけないらしい。もちろん煽ったつもりなんてなかった。
 それでも、二度目の射精はそこまで執拗に焦らされることはなかった。一度目のオナニーでかなり疲れてはいたけれど、連続二回くらいなら気持ちが盛り上がったときには自分でもしてしまうし、まだこちらにも多少は余裕があったんだろう。あれは確かに、気持ちの良いご褒美を貰ったと言える気がする。
 けれど三度目となる今はまた、かなり焦らされている。さっき以上に気持ち良くイかせてあげるからもうちょっと頑張って、なんて悪魔みたいな囁きとともに焦らされ続けて、頭の中はとっくにイキたいばっかりだった。
 イキたいイキたいイキたいイカセテ。
 もう、自分で腰を振って快感を拾うような余力なんてないし、そもそもガッチリ抱えられていて腰を振らせては貰えないだろう。両手だって辛うじて壁に手を付けている状態で、彼の手を縫って自分で弄るなんて真似は絶対に無理だとわかっている。
 できることと言ったら、泣き喘ぎながらお願いイかせてと何度も懇願するくらいだった。でもそれすらもう、喘ぎ疲れて音にならない。
 気持ち良さそうに泣いちゃって可愛いねと、甘い声が耳の奥をとろかせる。オマケみたいに耳朶を食まれて耳の裏側を吸われると、しっかり立っていられないほどぐずぐずになっている体でも、ビクビクと痙攣するのを知った。
 涙は止まる様子もなく次々に流れ落ちているし、だらしなく開いた口からは、荒い呼吸と掠れて濁った汚い喘ぎと飲み込めない涎が、とめどなく溢れている。そんな顔を、本気の声音で可愛いと言ってくるのだから、本物の変態って凄いなとイキたいばっかりの頭の片隅で感心した。

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雷が怖いので プレイ13

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 相手の手を先走りでぐしょぐしょに濡らしながら、その手にペニスを擦り付けるように腰を振る。随分濡れやすいねと指摘されたけど、他人のカウパー量なんて知らないし、そもそも自分でする時はここまで濡れない。自分で弄ってるわけじゃないからなんとも言えないけど、多分。
 結局、お願いだからイかせてって泣かす方向なのか、焦らすように弄られていたから、我慢汁が溢れまくってるのは絶対そのせいだと思う。焦らしてイカせてくれないから、結局自分で腰を振る真似もさせられてるし。
 上手にイヤラシク腰が振れてるって褒められて、練習してきた成果を見せたいかと聞かれて、どういう事かと思ったら、イきたいなら自分でイヤラシク腰振ってイクところを見て下さいってお願いしようねって意味だった。
 ほんっと、ブレない。というか、聞いたときにはいつか言わされるんだろうなと確かに思ったけれど、まさか今日のうちにそれを言わされるとは、さすがに思ってなかった。
 ただもうイキたくて仕方がないほど焦らされきっていたので、促されるままそれを口に出す。そうしたらシャツの裾を捲られて、しかもその裾部分を咥えさせられてしまった。
 なんで、嫌だ、恥ずかしい。
 そう言うはずだった口は開く前に咥えたシャツごと相手の手に覆われてしまう。濡れた感触が自分の先走りのせいだと思うと、なんともいたたまれない気持ちになって、息を潜めて僅かに身を固くした。
「イクとこちゃんと見てあげるから、イケるまで服は落とさないこと。もしわざと口を開けて落とすなら、泣いて頼んでももう暫くはイかせてやらないから、そのつもりで」
 おしおきするよではなく、その内容まではっきりと告げられて思わずキュッとシャツを噛み締めてしまった。言ったからには、シャツを落としたときには本当にそれを実行されるだろう。今でさえもうイキたくてたまらないのに、これ以上、泣いて頼んでさえ焦らし続けるなんて、きっと頭がオカシクなってしまう。
 手の平でそれを感じ取ったようで、いい子と言われながら口元を覆う手が外され、その手がまた勃起ペニスへと添えられる。イッてご覧と促される。
 想定していたのは彼の腿を足に挟んで擦り付けることで、彼の手に向かって擦り付けることではなかったし、もちろん下着を脱ぐ予定だってなかった。
 イキたくてたまらないほど焦らされた後なのに、想定以上のやり慣れないことをしようとしているのと、格好はもちろんのことあれこれ掛けられる彼の言葉が恥ずかしすぎるのとで、なかなか達するまでの快感を拾うのが難しい。ペニスの状態やら腰の振り方を実況されると、羞恥が募ってどうやら興奮はするのだけれど、その羞恥が邪魔して達せないという悪循環が起きているようだった。わかっててやっているなら、やっぱり意地悪だし、ご褒美のつもりが追い詰めるという言葉を実感させられる。
 口を開けることを禁止されてしまったので、前回のように、お願いだから手伝って欲しい、あなたの手でイかせて欲しいとねだることも出来ない。というか多分、そう出来ないようにと、シャツを咥えさせたんだろう。逃げ道はこちらが気づく前にしっかり塞がれていた。
 必死に快感を拾おうと閉じている瞼の裏に、涙がたまっていくのがわかる。
 自分で腰を振るために背後の壁からは少し離されていて、代わりに彼が片腕を背中に回して支えてくれているのだが、甘えるみたいに相手の胸の中に身を寄せてみる。ただ握りしめていただけの相手のシャツを引き寄せる。イキたいのにイケないって、必死に言葉以外で訴える。
 目元に優しいキスが落ちて、でも、彼の口から告げられたのは、手伝いはしないという非情な言葉だった。
 奥のほうが痛む目をむりやり開けて、どんな顔をしているかを確かめてしまう。意地悪く笑っていたら、きっともっと泣いてしまうとわかっていたけれど、確かめずにはいられなかった。
 若干滲む視界の中に映った相手は、思いの外優しい顔をしていたから、むしろ少しビックリした。
「自分でイクとこ見て下さいって言ったんだから、ちゃんとお前が自分でイカないと。でも、やっぱり少し難しいみたいだから、自分で握って扱いてみようか?」
 普段自分でする時みたいに弄ってイッていいというそれは、オナニー見せろに他ならない。
 この人、ほんっと、ブレないな。
 頭の隅でそう思いながらも、股間に手を伸ばしていた。だってもう本当に、いい加減、イキたくて仕方がないのだ。
 自身のペニスに触れた瞬間、あまりのカウパー量に驚きはしたが、それに躊躇う余裕なんてない。
「とうとう自分で自分のペニス握ったな」
 そんな満足気に言われなくたって、何をさせられているのかはわかってる。さっき言われたとおりの展開にあっさり持ち込まれている。
 せめてもの抵抗で顔を背けて、再度ぎゅっと目を閉じた。かすかに笑われた気配がするが、やっぱりそれも満足気だった。
「じゃあ、今度こそ射精するまで頑張れよ。お前が自分で気持ちよくなってイクとこ、しっかり見ててあげるから、俺に、どんな風にペニス弄られるのが気持ちぃか、教えるつもりでやってご覧」
 そうやって見られていることを刻み込んでくるから、やっぱり自室でオナニーするのとはぜんぜん違うのだけれど、それでもさすがにもう、あまり相手に構っていられない。というか意識が相手よりも自分のペニスにばかり向かっている。
 イキたいイキたいイキたい。
 頭の中がそればっかりになって、荒れる呼吸で息苦しい。口の中の布を吐き出したくて、でも口を開けたらこの状態からイクのを止められてしまうかもという不安に、必死で布を噛み締めた。
「必死でいこうとして、ホント、可愛いね。俺に見られて恥ずかしいのに、もう、グチュグチュの我慢汁まみれなペニス射精するまで、その手、放せないよな。あんなに嫌がってたのに、お前今、俺にオナニー見られてるよ。俺に見られてペニスの先膨らませて、もうイキそうだって見せつけてるよ」
 意地の悪いセリフが、やさしい声音で繰り返されて混乱する。
 イキたイキたい苦しい恥ずかしいそれでもイキたい。
 グッと背をしならせて足を突っぱねる。心臓とペニスとが連動するようにドクドクと脈打っている。長く溜められていた熱をようやく吐き出して、安堵と多幸感が全身を包んでいた。
 背を支えてくれている腕に委ねるように、体の力を抜いてしまう。軽々と自分を抱き上げてしまう相手なら、安々と受け止めてくれるとわかっている。
 こんなに焦らされてからのオナニーなんて当然初めてで、ぼんやりと頭が霞むようだった。

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雷が怖いので プレイ12

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 彼は少しばかり考えるような素振りを見せた後、彼好みの下着を贈っていいかと聞いてきた。今後はそれらを着てこいってことらしい。
「脱がすために?」
「そう。脱がすために」
「すごくエッチな、変な下着じゃないなら」
「凄くエッチな、変な下着も贈りたい」
 お尻丸出しのとか、股間にチャック付いてるのとか、もはや紐とかと続いた言葉に、一瞬本気で、そういうのが彼好みなのかと思いかけたけれど、ニヤつく顔はどう考えてもからかわれている。というかこちらの反応を楽しみに待たれている。
「それを選んで履いてくるかどうかは、俺次第でいいなら」
「わかった。次回はこれを履いてきなさい、って言いながら渡そう。履いてこなかったらおしおきな」
「ズルい」
 そんな事を言われて渡されたら、履いてこないという選択肢はないに等しい。
「なら、ちゃんと履いてきたら、ご褒美くれるんですか?」
「もちろん。ちゃんと履いてきたら、いい子だねって言いながら、下着ごといっぱい可愛がってあげるよ」
 可愛がりすぎて泣かすかもしれないけどと言いながらぶら下げていた下着を脇へ放った後、その手が股間に伸びてむき出しになったペニスを覆った。確かめるように数度撫でてからそっと握り込んでくるのを、息を詰めながら受け入れる。
 自分の手とは圧倒的に大きさが違う。もちろん手指の感触だって違う。
 自分の手とせいぜい低価格帯のオナホしか知らないペニスが、この後初めて、他者の手に握られ扱かれイかされるのだ。ついこの間まで、女性の華奢で細長い指先が触れてくれることを期待し、想像して興奮していたはずなのに。現実は大きく厚みがある掌と、スラリと長いけれど当然華奢さなんて欠片もなく、むしろ力強さを示すようながっしりした指に握られている。
 自分の手よりもずっとずっと男らしい手に握られ、好き勝手弄られるとわかっていてさえ、嫌悪感の欠片もない。提示された金額に目がくらんで我慢しているわけじゃない。それどころか、紛れもなく興奮していた。
 ついさっきまで、ご褒美とは名ばかりの、どんな酷いことをされるんだろうと震えていたくせに。可愛がりすぎて泣かすという言葉を与えられただけで、呆れるくらい簡単に期待へと変わってしまった。
 からかわれるみたいに体を弄られ意地悪をされるのは辛いけれど、可愛くて仕方がないから苛めて泣かすと言うなら、不思議とそこまで辛くない気がするのだ。
 相手は自宅にこんなしっかりとしたプレイルームを所持するサディストだという認識のせいかもしれない。そして彼に指摘されたように、今まで自覚なんてまるでなかったけれど、確かに自分の中には一部マゾヒズムな性的嗜好があるんだろう。泣かすよと言われて興奮しているようじゃ、認めるほかなかった。
「お前が泣いて、お願いだからもうイかせてって言うまで、射精できないギリギリのキモチイイを繰り返されるのと、お前が泣いて、お願いだからもうこれ以上イかせないでって言うまで、射精させられちゃうキモチイイを繰り返されるの、どっちがいい?」
 どっちを選んでも、やはり泣かされるのは決定らしい。そういえば、Mの要望に最大限応じてやりたいタイプのSと言っていたけれど、もしかして泣かされて性的興奮を引き出されるタイプに見えているってことなんだろうか。
 泣かすと言われて興奮している自分を自覚したせいか、ついそんなことを考えてしまった。
 ならこれは、無自覚に自分がねだっていること、という可能性もあるのかもしれない。だって彼は、ご褒美をくれるって言ったのだから。
「それ、本当にご褒美、なんですよ、ね? おしおきの意地悪で泣かすんじゃなくて、泣いちゃうくらい可愛がってくれる、なら、どっちでも、いい」
 声が震えてしまうのは、羞恥なのか期待なのか恐怖なのか、自分ではわからなかった。
「そう。ご褒美。お前が泣いちゃうくらい、キモチヨクさせてやりたいの」
 甘い声に肯定されて、体が反応したのがわかる。彼の手の中でゆるく握られているだけのペニスが、ヒクリと脈打ち揺れてしまった。もちろん、その反応は彼にだって筒抜けだ。
 柔らかな笑いがふふっと零される。簡単に反応した体を揶揄されているわけじゃないのは、その気配からわかる。
「素直で可愛い体だな」
 多分本心から、そう思って言ってくれているのだろう。だからきっと、耐えられる。彼が望む通りの泣き顔を晒して、喜ばすことが出来たらいいなという感情が、ちらりと胸の中に芽生えた気がした。
 愛人なんてバイトを持ち出して、思いの外高値で自分を買ってくれるこの人に対して、出来るだけ給料に見合う仕事がしたいと思う。
 彼の提示する数々の行為を、難易度が上がっても極力受け入れてしまう理由が、少しずつ増えていくようだった。

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