イケメン相手にこんな関係になる予定はなかった44

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「ぁ、……ちょ、」
 むにっと尻タブを左右に開かれて、その隙間に入り込んだ相手の指が乾いた尻穴に触れて身を竦める。ゾクゾクするような快感が走ったことに動揺してもいた。
 その場所で気持ちよさを感じられることはわかっているが、しっかり覚えているわけではないから、指先が触れただけで気持ちが良いと思ってしまったことに驚いたし、ほぼ初めてに近い感覚に戸惑っている。
「痛くしないから大丈夫」
 身を竦めて相手にしがみついてしまったことで、相手は恐怖を感じていると思っただろうか。優しい声音で宥められはしたが、指先は遠慮などなく、というよりはきっと慣れた仕草で、尻穴を撫でつついた。
 そのまま突っ込む気はないらしいく、穴を押される圧は感じても、確かに痛みは何も感じない。
「はぁ……」
 最初に触れられたときが、一番ゾクゾクしたと思う。指の腹がぐにぐにと押してくるのにもだんだんと慣れていき、詰まり気味だった呼吸を整えようと一度ゆっくり息を吐き出した。それが相手にとっては次のステップに進むための合図になったらしい。
 こちらの背を抱えていた腕が離れて、そっとベッドの上に転がされた。
「そろそろ、中、触りたいんだけど……」
「お、おう」
「うつ伏せでしてみる?」
「うつ伏せ?」
「今日はあんまり酔ってないし、仰向けで足広げてお尻弄られるのは抵抗あるかなって。一緒に口でしてもいいし絶対感じるはずだけど、でも今日はそのまま出していいよとは言えないし、イカせて貰えないのも嫌でしょ?」
 感じすぎたまま焦らされるのは嫌だ、という訴えを、一応は気にしてくれているらしい。
「うつ伏せ……」
 迷うように再度口に出してしまったのは、朧げな記憶の中では、相手に背を向けて尻穴を弄られたことがなかったからだ。どうやら気持ちよく果てる直前辺りの記憶が強く残っているようだから、記憶に残っていないだけで、経験したこともあるかもしれないけれど。
「仰向けのが慣れてるし、嫌じゃないならそのまま足開いて?」
「いや、うつ伏せで」
 慌ててくるりと身を返せば、笑いを含んだ声がわかったと告げた後、なぜか相手が立ち上がる。
「ちょっとタオル取ってくるね」
「あ、ああ」
 ローションを使うなら、タオルを敷いておいた方がいいのはわかる。卒業前最後の夜は確実に敷かれたタオルの上でしたし、曖昧な記憶の中でも多分、基本的にはタオルの上でお尻を弄られていると思う。
 部屋に戻ってキスをして、そのままベッドになだれ込んだから、そういう用意がされていなかった。先程脱がされた服や相手が脱いだ服は隣のベッドの上にあるので、現状、相手が帰路の途中で購入したあれこれが入った袋だけ、無造作にベッドの上に投げ出されている。
「おまたせ。さっきシャワーして使ったから、少し湿ってるかも」
 気持ち悪かったらゴメンといいながら、引き寄せた枕の上にバスタオルを広げ、なぜかその上に更にフェイスタオルを敷いている。
 なぜ2重にタオルを敷くんだろうと思ってしまったのが顔に出たのか、フェイスタオルのほうは未使用で乾いているからだと教えてくれた。なるほど。
 タオルの使用に関しては経験的なものかもしれないが、湿ったバスタオルの上での肌触りなどを気にしてくれるとは、妙なことに気が回るやつだ。
「ああ、なるほど。てか、なんで枕?」
「ずっとよつん這いだと疲れちゃうと思って。でも腰はなるべく上げてて欲しいから」
 再度、なるほど、という気持ちと、変なところに気が回るな、という気持ちを抱えながら、指示されるまま枕の上に腰を乗せるようにしてうつ伏せた。

続きました→

 
 
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