イケメン相手にこんな関係になる予定はなかった8

1話戻る→   目次へ→

 卒研発表を終えた夜、誘われるまま相手の家に寄った。
「していい?」
「ん。俺もそのつもりで来てる。けど、酔ってるからって尻穴弄るのはナシな」
 開放感から多少飲みすぎている自覚はあったし、酔った状態でするのは危ないと、過去の経験から学んでいる。酔った勢いで相手のペニスを突っ込まれるまでには至ってないが、酔った勢いで指を突っ込まれた事が何回かあった。
 その経験から酔い過ぎないラインというのがある程度は把握できているし、その基準から言えば今日はそこまで酔っていないので、釘を差さなくたって尻穴に手を出されはしないかもだけれど。なんて思った矢先に。
「それだけど、最後に一回、抱かせてくれない?」
「は?」
「就職先そこそこ離れてるし、卒業してまでこういうの続けようとは思ってないでしょ?」
「そりゃそうだけど」
 こいつは実家から通えることを条件に入れて就活をしていたので、卒業後は実家に戻ることが決まっている。対するこちらは実家へは戻らず、暫くは現在のアパートから職場へ通う予定だった。実家とこことでめちゃくちゃ距離があるわけではないが、大学進学にあたってアパート暮らしを選択する程度の距離はある。
「酔い足りないならお酒追加する? ツマミも作るけど」
「いやいやいやいや。何許可出る前提で話進めてんだ。いいよ、とか言うわけ無いだろ」
「どうしてもダメ? お尻、本当はそこまで抵抗なくない?」
 お尻も結構気持ちいいって思ってるでしょ、という指摘は間違っていないが、それとこれとは話が別だ。最初は酔った勢いだったキスやフェラはその後行為の一部に取り込まれたけれど、酔った勢いで指を突っ込まれて喘いだことがあったって、シラフの時にそれを許したことはない。
「お前に抱かれて気持ちいい、とか絶対経験したくない」
「気持ちよくなれそう、とは思ってるんだ?」
「俺より俺の気持ちぃとこ把握してんだから、なんだかんだ気持ちよくされんだろ、とは思ってる。から、絶対イヤだ」
「なんで?」
「なんで、って男に抱かれて気持ちいい経験なんかしたら、人生変わっちまうだろ」
「人生変わる、って大げさすぎじゃない? もしくは今更すぎ。さんざん男の俺に気持ちよくされてるのに?」
「手や口でされて気持ちよくなるのと、突っ込まれて気持ちよくなるのじゃ、全然違うっつーの」
 卒業したら今度こそ彼女を作りたいと思っているのだ。職場もそう女性率が高そうには思えないが、職場恋愛を望んでいるわけでなし、問題は男女比ではないこともわかっている。大学時代に彼女を作れなかった一番の原因は、どう考えたって目の前のこのイケメンだった。
 そこそこ親しくなった女子たちの本命はことごとくこいつだったし、それがわかっているこいつは、それなりに愛想は振りまきつつもわかりやすくこちらを優先して構い倒すものだから、無駄に女子の嫉妬を買う羽目にもなって散々だった。
 就職してこいつと離れた暁には、自分だけを見てくれる女性と出会えるはずで、それを前に余計な経験を重ねたくはない。
 男が好きだとか男に抱かれてみたい欲求が自発的にわかず、女性と付き合いたい意思があるというのに、男に抱かれて感じられる体を持っているなど自覚したくなかった。
「とにかく、抱かれるのは絶対なしで。てか尻穴弄るのなしで」
 そっち触ったら途中でも帰ると宣言すれば、諦めのため息とともにわかったと返る。しょんぼりとした顔に少しだけ胸が痛んだけれど、さすがにこれは譲れない。

続きました→

 
*ポチッと応援よろしくお願いします*
にほんブログ村 BL短編小説/人気ブログランキング/B L ♂ U N I O N/■BL♂GARDEN■


HOME/1話完結作品/コネタ・短編 続き物/CHATNOVEL/ビガぱら短編/シリーズ物一覧/非18禁

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。