親父のものだと思ってた14

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「ううっ、あ、きもちぃ、きもちぃ、から、も、イキ、たい」
「どうすればいい?」
「もっと、激しく、ぁ、ああっ、ま、まって」
 言った途端に握る力が強まって、動きが加速する気配を見せる。注文通りではあるけれど、とっさに手に力を込めて、相手の手の動きを止めてしまった。
「違った?」
「違くない。違くないけど、一旦待って」
 手の力を抜いても、相手は要望通りに動きを止めていてくれる。だから一度大きく息を吐きだして、少しばかり気持ちを落ち着けたあと、脱いでもいいかと問いかけた。
「脱ぐ?」
「そ、動きが制限されてて窮屈なんだよ。ただ、直接見るのも抵抗ありそうって、思って」
「あー……うん、わかった」
 迷う様子を見せたから、間違いなく抵抗はあるんだろう。でもわかったと言って、今回もチャレンジはしてくれるみたいだから、その言葉に甘えることにした。
 まぁ、どうしても無理なら視線なんて外しておけばいいのだから、直接触ることよりはハードルも低いに違いない。多分。
 一度手を抜いてもらって、素早く寝間着代わりのズボンと下着とをまとめて脱ぎ捨て、再度ソファに腰をおろした。
「上は?」
「俺だけマッパなのはさすがに躊躇うでしょ。てか全裸でオナニーする習慣はないし、下だけ脱げば問題なし。てわけで、続き、お願いしたんだけど……」
 大丈夫そう? と聞いてしまったのは、相手の視線がけっこうしっかりと股間に注がれているせいだ。これでやっぱ無理なんて言われでもしたら、困るどころの話じゃないし、だったらわかったなんて言うなよと、相手を責めてしまいそうなんだけど。
 けれどその心配は不要だったらしい。
「ん、大丈夫。思ったより、平気だった」
 じゃあ触るなと言って伸びてきた手が、再度、ゆるりとペニスを包み込んで、確かめるように何度かゆるゆると扱いてくる。
「はぁ……」
 安堵と快感とが混ざる吐息を漏らせば、しっかりと握り込んで、扱くスピードが上がっていく。
「気持ちぃ? 今度はイケそう?」
「ん、んっ、いい」
 答えて、頬に刺さる視線に誘われて横に座る相手を振り向けば、相手の真剣な顔がこちらの様子を探っていた。フッと笑って、その頭に手を伸ばす。
 キスしていいかなど、今更聞く必要がないだろう。ただ、唇を割って舌を滑り込ませたあたりで、相手がキスの方に集中しだすのがわかって一瞬迷う。
 キスはこちらに任せて手を動かす方に集中してくれと言うべきか、いっそキスを相手に任せて、さっきみたいに自分の手を相手の手に添えて一緒に扱くか。
 相手に任せて相手の手で果ててみたい、という欲求はもちろんあるが、でももう今日は散々焦らされてきた。もう、いい加減イッてしまっていいだろう。てか早くイキたい。吐き出したい。
 股間に手をのばして相手の手ごとペニスを掴めば、さすがに相手もキスに集中しすぎたことに気づいたらしい。
「キス、続けててよ」
 キスが途切れた合間に囁やけば、すぐにまた唇が触れ合ったけれど、でも、今度は勝手に使われているに等しい手の方が気になっているらしい。ちゅっちゅと軽いキスが何度も繰り返されるものの、口の中の良いところを弄るような深いキスはしてくれない。しかも。
「ね、きもちぃ?」
「んっ、ぁ、ぃい、きもちぃ」
 聞かれたら答えないわけにはいかないし、気持ちがいいという訴えに相手が嬉しげに笑う気配には、こちらまで嬉しくなってしまうけど。繰り返されるとなんだか言わされているみたいで、だんだんと恥ずかしさが勝ってくる。
 けれど、恥ずかしいから何度も聞かないでくれ、などと訴えるような余裕はなかった。ずっと燻っていた熱をやっと吐き出せる。
「んんっっ」
「ぁ……」
 最後の最後で、近くにティッシュを用意していないことに気づいて若干慌ててしまったけれど、とっさに空いた方の手を被せて受け止めた。イク瞬間、相手が何か言った気もするが、それは全くと言っていいほど聞き取れなかった。
 大きく息を吐きだしながら、閉じていた瞼を持ち上げる。視線を感じる方へ顔を向ければ、視線が絡むと同時に相手がふにゃっと笑って、良かった、と言った。

続きました→

 
 
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