親父のものだと思ってた13

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「わか、った」
 何がしかの覚悟を決めた相手が、さっきこちらが相手の下着に手を突っ込んだのと同じ方法で、ウエストのゴム部を突破してきた。
「うっ……」
 こちらはかなり気を遣ってゆっくりと侵入したし、相手の下生えの感触に感動して何度もなで擦ってしまったが、勢いよく侵入してきた相手の手は、迷うことなくむんずと勃起ペニスを握りしめてくるから、その衝撃に思わず呻いてしまう。
 ただ、相手は相手でひっそりと息を殺して悩ましげな表情を見せていたし、ペニスを掴んだ手の方も、ピクリとも動く気配がない。
 やっぱり直接触るのにはかなりの抵抗があったらしい。
 無理ならいいよって、言ってあげられる余裕があれば良かったのに。残念ながら、焦らされきった射精欲が勝ってしまった。
「ごめん、イッていい? てかイクから手ぇ貸して」
「え?」
「ほんと、ゴメン」
 謝りながら自分の手を下着の中に突っ込んで、ペニスを握る彼の手ごと捉えて、扱く動作を開始する。
「お願い。握ってるだけで、いいから」
 嫌がるように、こちらの手の下から抜け出そうと藻掻いていた手は、その言葉で諦めたらしい。握り直された手にホッとしながら、後は快感だけを追いかけて必死になった。
 嫌がる相手の手に握らせている罪悪感と、好きな人の手に握られている興奮と、何も言わずに居る相手への不安と、それでもこちらが達するまでは付き合ってくれるらしい喜びや愛しさが、ぐちゃぐちゃに混ざり合って息が乱れる。
 焦らされてさっさとイキたかったはずなのに、あっという間に射精してしまうだろう予想が外れて、だんだんと焦ってきた。多分、色々ぐちゃぐちゃに混ざり合う感情の、罪悪感やら負い目やらが影響している。あと、下着の中に二人分の手が突っ込まれているという狭さも、原因になっているかも知れない。いつものオナニーとは勝手が違いすぎる。
 集中するために閉じていた目を開けて、ちらりと相手の様子を探った。
 まさか、目が合うとは思っていなかった。顔を背けられていてもおかしくないと思っていたし、目を閉じていたのは、相手の嫌そうな顔を見たくない意味もあった。
 戸惑いが濃いものの、間違いなく興奮も混ぜた顔で相手が真っ直ぐに自分を見ていたから、一瞬息が止まるかと思った。
「な、んで……」
「なんで?」
「ぁ、ぃや、見られてると、思ってなく、て」
「なんでだよ。お前が気持ちよくなってるとこ、見たいに決まってるだろ」
 小さく笑ってみせた後、申し訳無そうな顔になる。
「本当は俺が気持ちよくするはずだったのにゴメンな」
「そんなっ」
 慌てて首を横に振った。彼がそうしようとして頑張ってくれていたのはわかっていたのに、我慢ができなかったこちらが悪い。
「俺、俺が、我慢できなく、て」
「うん。でもそれ、俺が上手に出来なかったせいだろ」
 その言葉とともに、止まっていた手が勝手に動いて、イケずに燻り続けるペニスが刺激される。彼が自身の意志で手を動かした結果だった。
「ぁあっ、ま、って」
「ちょっとは慣れた気がする」
 勝手に与えられる刺激に腰の奥が重く痺れたが、制止の言葉は聞き入れられず、相手の手が動き続ける。今度は自分の手が、ただ添えられているだけになった。
 激しい動きではないので、結局の所、イケそうでイケない状態が続いているのだけれど、罪悪感やら負い目やらが軽減したせいか、ひたすらに気持ちがいい。気持ちがいいが、でもやっぱりこの状態は生殺しがすぎる。

続きました→

 
 
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