親父のものだと思ってた34

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 ついでに言えば、次こそは相手のこともちゃんと気持ちよくしてやりたい。
 そんな決意とともに、まずはゴムを変えなければと考える。だって相手が腰の上に乗ったままなのだ。こちらは気持ちがいいばかりだったけれど、相手の動きはかなり慎重だったから、下手に動くと痛みを与えたりするかもしれない。
 なのに。
「ちょ、まって」
 上からどいて欲しい気持ちを込めて相手を見つめたら、小さく頷いた相手が、腰を持ち上げるのではなく、なぜかゆるっと腰を揺すり始めて慌てて止めた。
「何、してんの?」
「なに、って……」
 その顔は明らかに、だって二回目するんだろという疑問顔だ。
 そりゃするけども。でもこのまま続けるとは言ってない。
「二発目頑張りたいけど、とりあえず、ゴムは変えないとまずいよね?」
「万が一があっても妊娠はしないけど」
「お腹壊すって聞くけど」
「それは、まぁ、体験してみて初めて、二度と嫌だと思うかこれくらいなら平気と思うかわからないから」
 ああ言えばこう言う。つまりはせっかく体を繋げたんだから、相手としてはこのまま続けたくて仕方がないんだろう。
 次の言葉が出ずに黙ってしまえば、相手は了承と受け取って、またゆっくりと腰を揺する。そんな風に刺激されたら、あっという間に元通りに固くなってしまう。
 そして充分な固さをその身で持って確認したのか、それとも相手の体が慣れてきたのか、相手の腰がゆっくりと浮いていく。
 少し浮かして、戻す。というのを繰り返すうちに、少しずつ腰を高くまで浮かすようになっているし、スピードだって多少はあがっていると思う。
 一度吐き出しているのと、相手の動きがやたら緩やかなせいで、すぐに射精感が募ってくる感じではないが、このまま続けたらどうなるかわからない。というよりも、相手がこの動きに慣れてしまったら、きっとまたイカされてしまうだろう。
「ちょっと」
 不満そうな声が相手から漏れたのは、相手が腰を落とした時に相手の腰をグッと掴んで、腰を浮かすのを阻止したせいだ。
「二回目するって言ったけど、このまま俺だけまたイカされるのはなしでしょ」
「気持ちぃ?」
「気持ちぃし、見える景色がエロすぎだって」
「じゃあ、もっかいイッてよ」
「それはヤダ」
「お前が気持ちよくイッたら俺はめちゃくちゃ嬉しいし、俺が気持ちよくなるのはまた今度でいいっていうか、今日は俺の練習に付き合って欲しいっていうか……」
「俺に主導権渡したら、さっきみたいにお尻気持ちよくなるかも知れなくて怖いんじゃないの?」
「それは、そう。てかわかってるなら、」
「俺に気持ちよくされるの、なにがそんなに怖いの? 痴態晒したって、俺が萎えるどころか興奮しまくるの、わかってるでしょ?」
「そういう心配は、もう、してないけど」
「けど、なに? うんと年下の俺にお尻でイカされるのが屈辱、とかそういう話?」
「ん? なんだそれ?」
 勢い任せに、余計なことを言ってしまった。ずっと気持ちのどこかに燻っていて、でもそんなこと思うはずがないと否定していた気持ちだ。
 そして相手はある意味予想通り、何を言われてるかわからないと、呆気にとられた顔をする。
 そりゃそうだ。だって絶対に抱く側と主張したのはこちらだが、もし、抱かれてやるけど主導権は渡さない、なんて強い意志が相手側にあったなら、絶対にそれをこちらに了承させる。そういう人だと、わかっている。
 だから自己開発では感じなかったお尻が、他者の手で弄られて感じたことにまだ全然慣れていなくて、だから怖い。というのが事実であって、年齢差だの屈辱だのは、こちらの不安から生まれた言いがかりでしか無い。
 わかっているのに、口に出してしまったことで、抱えた不安が溢れてしまった。
「だって俺に一方的に気持ちよくされるの、嫌いだよね。てか今までずっとそうだったよね。恋人なのもエロいことするのも俺が全部初めて貰うんだからって思って、そっちが慣れるの待ってきたけど。絶対抱く側って主張したのも飲んでもらってるけど。でももし、俺が年下なせいで、ちゃんと抱かせて貰えないとかだったら、俺、どうすればいいの?」
 言いながら、なんだか泣きそうになる。馬鹿なことを口走っている自覚はあって、それが余計に涙を誘う。

続きました→

 
 
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