雷が怖いので プレイ37(終)

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 バスルームでの言葉通り、移動したベッドの上で、剃られてツルツルになった所を中心に、舌での愛撫を受け続けた。
 相手から、はっきりと明確に幼い言葉遣いをするよう求められはしなかったけれど、意識していたのと求められたら応じる気でいたせいか、結局自ら幼い態度を見せたりもした。彼もそれを嬉しそうに受け止めていたから、言わないだけでやっぱりそうさせたいのだと思ったし、ちょっと調子に乗っていた可能性は高い。
 既に一回吐き出しているのに、ペニスには触れてもらえないまま、その周りばかり舌を這わされちゅうちゅう吸われれば、あっという間に音を上げてしまったのも仕方がないと思う。結果、お願いだからおちんちん舐めてと、自らフェラをねだってしまったし、二度目を彼の口の中で果てもした。
 もちろん、ひたすら舐め可愛がりたいの言葉は、彼を受け入れた後も実行され続けた。腕を持ち上げられて晒した脇の下や、抱え上げられた足のスネなど、先程丁寧にカミソリが這っていたところへ、今度は彼の舌が丁寧に這う。ビクビクと体を震わせながら、そんな部分を舐められても感じてしまうのだと、初めて知った。彼と繋がる場所をキュウキュウと締め付けてしまって、それを楽しげに見下されるのすら、新たな快感を呼び起こされるようだった。
 おちんちんズポズポきもちぃよぉって、わざとらしく舌っ足らずに喘ぎまくった記憶は、正直、消せるものなら消し去りたい。だってツルツルで子供みたいで可愛いって何度も言うから。強制される幼い言葉遣いはあんなに嫌だったのに、蕩けるみたいに甘い声で可愛いって言われまくったら、今このときくらい子供に返ってもいいかもって思ってしまった。
 彼に喜んで欲しかったし、実際喜んでくれてたと思うし、後悔しているわけではないのだけれど、でも我に返ってしまうとひたすら恥ずかしい。多分、言わされていたあの頃よりも、ずっとずっと恥ずかしい気がする。
 そんな羞恥で身を焼きながらベッドの中で一人悶えていたら、どうやら隣で眠る彼を起こしてしまったらしい。たいがい自分よりも早く起きている彼が、珍しくまだ寝ていたというのに、それを堪能すること無く昨夜の痴態を思い出して悶えていただけだなんて。本当にもったいないことをした。
「朝から楽しそうだな」
 クスリと笑う気配とともに、背後から伸びてきた腕に絡め取られるように抱きしめられる。ちゅ、とわざとらしく音をたてて首筋へ唇を落とされたあと、その場所が濡れる気配に一瞬でゾワワと肌が粟立った。
「ゃ、も、舐めない、……ぁ、んっ」
 柔く歯を立てられて、朝から甘い息を吐いてしまう。
「続き、する?」
 首筋に歯を当てながら、クスクスと笑いを零しているから、どこまで本気で誘われているのかわからない。昨夜は抱かれている途中で意識を手放してしまったし、もしそれが原因で途中中断させてしまったのなら、このまま昨夜の続きをと言われるのも当然な気がするけど。でも単にからかわれてるだけな気もする。
「舐めたりない、なら」
 あなたが満足できていないなら続きをしましょう、というつもりでそろりと吐き出した言葉には、すぐに否定が返った。
「いや。昨夜は十分すぎるほど、子供みたいなお前を堪能させてもらった。でもお前が満足してないかと思って」
「え、なんで?」
「ノリノリで楽しんでたようにも見えたけど、でもやっぱあれは、俺に気を遣った結果だろ? お前のしたいことをしてやるための日なのに、俺の遊びに付き合わせたばっかりになったなと」
「思い出すとひたすら恥ずかしいんで、積極的に自分からやりたいわけじゃないですけど、あなたが楽しそうに子供みたいな俺を可愛がってくれるの、嫌じゃなかった、です、よ」
 剃られるのも、舐められるのも、相手が楽しんでくれてるのがわかれば、自分はそれなりに満足出来てしまうらしい。こちらを辱めるためのプレイとして、こんな子供みたいな体にされた上に舐め回されて感じるなんて恥ずかしいねと、そう言われたわけじゃない。バイト中だったらきっと、そんな風に言われて、たっぷり羞恥を煽られ泣いていたと思う。
 彼自身、昨夜のあれこれをプレイとは言わずに遊びと言ったのも大きかった。全身ツルツルに剃り上げて子供になりきったセックスなんて、かなり変態度が高い気もするけど、まぁ遊びで許容してしまえる範囲だ。
 もちろん、自分の感覚がおかしくなってる自覚はある。でも自分の感覚をずらしてでも、彼との時間を楽しみたいのだから仕方がない。
「楽しそう……」
 噛みしめるみたいな呟きが聞こえてきて、次には確かめるように問いかけられた。
「昨夜の俺は、楽しそうだった?」
「そう、見えましたけど……」
「そうか」
「楽しく、ありませんでした?」
「いや。お前に言われるまで、あまり自覚がなかっただけだ」
 楽しかったよと囁く声は、どこかしみじみとしている。だからか、今彼がどんな顔をしているのか、気になってしまった。
 ゆるく抱えられているだけなので、もぞりと動いて寝返りを打つ。見つめた顔は、柔らかに苦笑していた。
 自覚がなかったと言うから、子供みたいにツルツルにした体を楽しげに抱いていたと指摘されて、気まずい思いでもしているんだろうか?
 そんな人並みの感覚が、もしもあるなら、だけど。
「お前、なんか変なこと考えてるだろ」
 どうやら顔に出たらしい。
「変なこと、って?」
「俺に知られたくないようなこと」
 確かに。
「言わないと、ダメ、ですか?」
「言わされたい?」
 ニヤッと笑われブンブンと首を横に振ったら、にやけた顔はすぐに穏やかな笑みに変わった。ふふっと小さな笑いが漏れる。
「慌てなくても、言いたくないなら無理に聞いたりしないって。今日はそういう日だろ。それより、続きしないなら、起きてご飯を食べに行こうか」
 ビュッフェでいいんだろと言われて、今度は思いっきり盾に首を振ってみせた。

<終>

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随分あれこれ書いてしまいましたが、頂いたリクエストも、出来れば書いておきたかった気がかりも、全て消化できたと思います。長々とお付き合いありがとうございました〜

 
 
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