二十歳になった従兄弟を連れて酒を飲みに行くことになった27

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 顔を覆う手を外させたいだけだったが、思いのほか食いつきが良くて、逆に気になってしまう。
「どんな顔してる?」
「良く言えました、って、褒めてくれる、顔」
 こちらの顔を凝視したまま、促されるに任せて口に出したらしい言葉に、へぇ、と思う。嬉しそうだとか楽しそうではなく、褒めてくれる顔、なんて言われるとは思わなかった。
 しかもそんな熱心に見つめられたら、気付かないわけに行かない。彼の想像の中の理想の男は、どうやら彼を褒めるのが上手いらしい。というよりは、昔遊んでやった時の、褒められた記憶が強く残っているようだ。
 こちらの認識としては、褒めたというよりも、泣かれでもしたら全面的にこちらが悪者になるだろうという予測から、機嫌良く過ごして貰う目的で調子良く煽てていただけ、なのだけれど。
「もしかしなくても、良く出来たなって褒めてくれる、年上の男が好み?」
 昔遊んでくれた男を理想化したとは聞いていても、いまいち好きになる要素がわからずにいたが、その辺が性癖に刺さっているというならちょっと納得出来る気もする。
「うっ……まぁ、多分。というより、今みたいな顔されるたび、記憶の中のあの人があなたなんだって、思い知っちゃうというか」
「ん? そんな頻繁に、よく言えました、なんて顔晒してるか?」
「そこまで頻繁じゃないですけど、それなりに。あなたって結構周りをよく見てて、細かいことにも気づいて、ちょっとしたことにもエライなって褒めてくれるんですよね。いやまぁ、年の差あるんで子供扱いされてるだけかもですけど」
 なるほど。確かに、よく気がつく、だとか、周りをよく見ている、という褒め言葉を貰うことはある。周りに気を配っておくだとか、気軽に声を掛けておくなんてのは、コミュ力で世を渡ってきた者としての基本でしかないけれど。
「でもお前に今みたいな顔で見つめられたの、初めてだと思うんだけど」
 先程洗腸を手伝ったときなど、頑張ったご褒美をやろうかとまで言ったのに、結構そっけなくお断りされている。
「いやだってそれは、好きってバレちゃったから」
 バレバレな視線を投げて気づかれたらどうしよう、という心配がなくなったから、ついじっくり見てしまった、という事らしい。
「ふっ、はは、なるほど」
 想いに気付かれまいとする相手の、理想の恋人イメージだの恋愛したい気持ちはないだの発言で散々惑わされたんだよなと思ったら、どうにも笑いを堪えきれなかった。
「笑わないでくださいよ」
「んー、ずっと一生懸命気持ち隠してたんだな、って思ったら、なんか、可愛くて?」
 さっさとバレバレな視線を投げてくれてたら、もっと話は早かったかも知れないのに。
「語尾、上がってますけど。てか男も大丈夫とか知らなかったんだから、隠すに決まってるじゃないですか」
 言われてみれば確かにそうだ。最初からバレバレな視線を投げられていたら、さっさと逃げていたに決まっている。なんせ、自分が男も有りだなんて、今日まで知らなかったのだから。
「あー、それな。俺が男イケルってのは、俺も今日知った」
「は? えっ?」
「男とはヤッたことなくてもアナル使った事はあったから、慣れてそうだし据え膳なら食うかって思っただけがこんなことになってて、正直俺もかなり驚いてる」
「えっ、えっ、ど、」
 あまりに想定外だったのか、酷く焦っている。
 あっさり誘いに乗った上に洗腸まで手伝って、恋人になれとこちらから誘ったのだから、過去に男とも付き合ったことがあると誤解されていても当然だった。というかそれ以前に、奢ったのはやれると思ったからだろう、という理由でホテルに誘われているので、突っ込める穴があれば性別は関係ないと思われていた可能性も高い。

続きました→

 
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