丁寧に慣らされたアナルは広がりきって、彼の大きなモノを飲み込み、時折グチュリチュプリと湿った音を響かせている。
「あっんアッ、んぃっ、いい、あぁっ」
焦らすようにゆっくり腰を引かれると、ぞわりと背筋を駆け抜ける快楽に声が押さえられない。
「あっ……はっぁ……」
ぎりぎりまで引きぬかれて一度動きが止まると、次の衝撃を待って息を整える。もちろん、相手は息が整うのを待ってくれるわけではない。
「ひああぁぁぁっ」
突き抜ける快感。こちらのタイミングをわざと外して、抜かれる時の焦れったさとは逆に勢い良く突かれれば、漏れ出るのはもはや悲鳴に近い。
何度か繰り返されてこちらがイきたくてたまらなくなる頃、彼はわざと全ての動きを止める。どうしようもなく刺激を求め、こちらが腰を揺すってしまうのを眺めるためだ。
わかっていても、自ら腰を揺すって快楽を追うのは躊躇われて、無駄と知りつつ「お願い」と口にする。
「お願い、ね、もう、…いか、せて。動い、て」
優しい笑みは残酷だ。もう少し楽しもうよなんて言われながら額に張り付く髪をそっと払われただけで、ビクビクと体が跳ねるほどの快感が走る。その痙攣で咥え込んだ彼を意識させられ、そうなるともうダメだった。抑えよう耐えようと思う気持ちを裏切って、体は刺激を求めて動き出してしまう。
「いやらしい体になったね」
凄く可愛いよと満足気に笑う顔はひどく優しいのに、じわりと視界がぼやけていく。
「どうして泣くの?」
「だって」
「うんと焦らされる方が、ずっと気持良くなれるの知ってるよね?」
意地悪してるわけじゃないんだよ。と苦笑される気配に、そうじゃないとは言えなかった。
意地悪だなんて思ったことはない。関係をねだったのは自分で、彼は最初からずっと優しい。男に抱かれて感じられる体になりたい。そんなバカみたいなお願いを、断りきれなかったくらいに優しい人だ。
彼にとって自分が恋愛対象外なことはわかっていて、それでもどうにか自分に目を向けて欲しくて無茶をした、という自覚はある。誤算は、ここまで自分の体が変わってしまうとは思わなかった点だ。
一度だけのつもりが、彼の優しさに甘えてずるずると関係を続けてしまった結果がこれだ。
「今日…で、やめる」
とうとう言った。ボロリと落ちていく涙は、やはり彼の指がやさしく拭っていく。
「それで泣いてるの?」
「だって、好きなんだ」
「だから最初に言ったのに。そんなことしたら情がわくよって」
情なんて最初から持っている。むしろ、情が湧いてくれたらいいのにと思ってさえいた。
「そっか。でも良かったよ。一緒になって楽しんでた自分が言うのもなんだけど、このままズルズル続けるのも問題だなと思ってた所だし」
知ってる。なんてことは悔しすぎて言えない。
数回前から、わかりやすく散らされ始めた所有印。恋人ができたのかどうかは聞いていないが、少なくとも自分には許されていないし、この体に痕を残されたこともないのだから、答えは明白だ。
「ああ、でも、これが最後なら、うんと気持ちよくならないとね」
泣いたせいで若干散っていた快感を思い出させるように、彼がまたゆっくりと腰を使い出す。
「あっぁアッ」
すぐにたまらず溢れる声を、いい声だねと褒められる。
イヤラシイ行為の真っ最中にも、優しく笑っている顔が本当に大好きだった。
これで最後なのだと思うとやはり胸がキュウと痛んだけれど、それでも精一杯、彼を真似て笑ってみせた。
レイへの3つの恋のお題:彼とも、してるんだ?/見える位置に残された痕/優しい笑顔が好きだった
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