嘘つきとポーカーフェイス

 たっぷりのローションが激しくかき混ぜられる、ジュブジュブぐちゅぐちゅ湿った水音。リズミカルに相手の腰を打ち付けられる尻タブから上がる、パンッパンッと肌が弾かれる音。突かれるたびに口から押し出されてくる、ほぼ「ア」の音しかない自身の嬌声。
 そこに微かに混ざる、相手の興奮を示す荒い息遣いを必死で拾い集めながら、相手の腰使いに翻弄されるまま、ぎゅうとシーツを握りしめて絶頂を駆け上った。
「ああああああっっ」
 頭の中が真っ白になって、体がふわっと浮くような、この瞬間がたまらない。気持ちよくて、幸せで、ずっとこの時間が続けばいいのにと思う。
 けれどあっさり体を離した相手は、お疲れの一言だけ残し、さっさとシャワーを浴びに行ってしまう。
 相手の姿が部屋から消えるのを待って、腹の深くから、諦めの滲む息を吐いた。何度体を重ねたところで、こちらの体がどれだけ相手に馴染んだところで、相手には情の一つも湧かないらしい。
 多分きっと、これから先もそれは変わらないんだろう。
 彼が自分を抱くのは、遠い昔に築いた友情の残滓でしかない。今のこの関係は、彼に友人として見限られるまで限定の、酷く特殊なものだった。
 あっさり置いていかれる寂しさも、甘い余韻の一欠片さえ貰えない惨めさも、回を重ねるごとに大きくなるから、さっさと見限って欲しいのに。人として堕落しきったこんな自分に、なぜここまで付き合うのかわからない。
 やがて戻ってきた相手が、無言のまま身支度を整え、最後にベッドの傍らに立って財布を開く。そして取り出した十枚の壱万円札を、なんとも気軽に枕横に置いてくれる。
 しかしさすがにそれに触れることは出来なかった。
「数えなくていいのか?」
 起き上がることもせず、ただただ黙ってベッド脇に立つ相手の顔を見上げていれば、そんな言葉が降ってくる。別に数えなくたって十枚あるのはわかっている。この男はいつだって、こちらが必要だと言っただけの枚数を、きっちり差し出してくれる。
 受け取って、その場できっちり枚数を確かめて、安堵の表情を作って、これで助かったよありがとうと告げる。そんなルーチンを繰り返す気にはなれなかった。
「いい。信じてるし」
「そうか」
 僅かな気配だけだったけれど、じっと見つめていたせいで、笑われたらしいことに気づいてしまった。一発十万という法外な値段をふっかけた上に、ありがとうすら告げる気はないと言っているのに、なぜ笑ったりするのかわけがわからない。
「じゃあまたな」
 あんまり派手に遊びすぎるなよと、これまたいつも通りの言葉を残して帰ろうとする相手を、迷った末に引き止める。
「待って」
「どうした?」
 とうとう体を起こし、掴んだ万札を握って、相手を追いかけるようにベッドを降りた。
「やっぱりこれ、いらない」
「なぜ?」
「嘘だから」
「何が?」
「全部。最初から、何もかも。借金ないし、ギャンブルしないし、在宅で仕事もしてる」
 意を決して告げた言葉には、やはりすぐには何も返ってこない。その顔からは、怒っているのか呆れているのか、なぜそんなことをと戸惑っているのかすらわからない。
 でももういい。
「お前がずっと好きで、苦しくて、でもお前から離れたくなくて、どうしていいかわかんなくなってた頃だったんだ。あの時、お前が風俗でも行くかって言ったの、冗談だってわかってたのに、とっさに金に困ってる風を装って、風俗代わりに俺を使ってって、誘った」
「さすがに十万もふっかけたら、罪悪感で黙ってられなくなったか?」
「それもあるけど、でも十万ふっかけてもまだ俺を見限らないから。お前が、またなって言ったから。だからもう、俺から止める」
「ああ、なるほど。それで?」
「それで、って……」
 何を聞かれているのかわからず同じ言葉を繰り返せば、止めてその後どうするのかという質問らしかった。
「それは、今までお前から引っ張った金全額返して、お前の前から、姿、消す、とか……?」
「却下だ」
 そこまで明確に考えていたわけではないが、友人に戻れるはずがなく、こんなことをしでかした後じゃ今後合わせる顔もない。と思ったのに、なぜかキツい口調であっさり拒否された。
「却下って、じゃあ、お前がして欲しいように、する。から、なんでも言って」
「なんでも、ね。なら、俺が呼んだらいつでも黙って脚開いて、好きなだけ好きなようにヤラせる性奴隷にでもなるか?」
 出来るわけ無いくせにとでも言いたげに、フッと誂うみたいに鼻で笑われ、ぐっと拳を握り込む。
「お前、が、性奴隷、欲しい、なら……」
「ばぁか。本気にするな。それよりお前は、なんで俺がお前を見限らず、ふっかけられてもお前が必要だっていう言い値払い続けてたかを考えろ」
「同情、だろ。あと、お人好しだから。お前がクズな友人にたかられても見捨てられないようなヤツだから、俺みたいのに付け込まれんだよ」
「違うね。お前もずっと俺に付け込まれてんだよ。金のためにって何度も抱かれて、今じゃすっかり、ケツで感じてイケる体になってる。俺がお前の言い値を払うのは、出し渋って、お前が俺以外の誰か相手にその体使った商売を始めないようにだ」
「それ、って……」
「俺が欲しいのは性奴隷じゃなくて恋人」
 その言葉に、もちろん否を返す気はない。ないけれど。
「あんだけセックスしてて、お前に好かれてるなんて、一欠片だって感じたこと無いんだけど」
「好きだとバレたら、どこまでも毟りに来るだろうと思ってた。金でお前を引き止めてるのに、それを知られたら致命的じゃないか」
「なら、次セックスする時は、……」
 好かれてるとわかるような抱き方をして欲しい、とまでは言えずに口を閉じてしまえば、ふっと柔らかな笑みがこぼされた後で腕を掴まれる。
「え、っちょ、」
 そのままベッドまでの短な距離を連れ戻されて、今までずっと隠されていた彼の想いを、これでもかというほど教えて貰った。

 
 
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カラダの相性

 既に何度も果てた後の、甘く掠れた嬌声が、部屋の中を満たしている。お願いだから今日はもっと奥まで触れて欲しいと請われて、初めて、彼の中に全てを受け入れて貰った。
 大丈夫だからの言葉どおり、確かに全て入ったし、腕の中の男は甘い嬌声を零しているのだけれど、無茶しやがってという気持ちと嘘だろうという驚きが心の中の大半を占めていた。
 充分に慣らして、感じさせて、蕩けきった後だとしても、苦痛を感じて当然だってくらい自分の性器がデカい自覚がある。男のステイタスとして羨まれることもあるけれど、同性相手の見栄以外でいい思いをした経験なんてそう多くはない。というよりも、苦労した経験のほうが圧倒的に多いと思う。
 プロなら、と思って風俗を利用してみたこともあるけれど、ほぼ躊躇はされるし、挿入は無理だと断られたこともある。わざわざ金を払って傷つけられに行く趣味はないので、プロからも断られるレベルとわかってからは行かなくなったし、いろいろな意味で諦めも付いた。
 なんて話を、酔ったついでに愚痴った相手は、少し前に趣味の世界で知り合って、なんだかんだ意気投合して飲みに行くようになった男だった。
 ここ数年恋人はいないという話をしたら、凄くモテそうだし彼女だってすぐに作れそうなのにと言われて、彼女は出来てもどうせセックス出来ないしすぐに振られてしまうと言ったのだ。お互い酔ってたから、ずばっと、インポなの? 薬試した? なんて言われて、でかすぎて入らないだけと理由まで話してしまった。
 その時は、なんて贅沢な悩みだとやっかまれなかっただけ、やっぱり良い奴だなって思っただけだったのに。
 それからしばらくして、そんなシモな話をしたことすら忘れかけた頃に、相手から、実はゲイなんだとカミングアウトされた。しかも、女性が好きなのはわかっているが、彼とのセックスを試してもらえないかと頼まれた。懇願された、と言ってもいい。
 曰く、デカチンじゃなきゃ満足できない体だから、だそうだ。プロに嫌がられるレベルのちんこをぜひ見てみたい、とも言われた。
 以前酔った際に聞いた話がどうしても忘れられなくて、無事にセックス出来る可能性のが高いし、そうすればお前にとってもそこまで損はないんじゃないかと説かれた。男がどうしても生理的に受け入れられないなら諦めるけれど、ちょっとでも迷ったなら試すだけでもいいからと必死に口説かれて、結果、彼と一緒にホテルに入った。
 色々と諦めすぎていて、本当にデカチンが好きで規格外ちんこで気持ちよくなれるってなら、この際男だっていいかと思ってしまった。さすがにここまであけっぴろげにカミングアウトされた後じゃ、無理って断っても、上手く出来ずに終わっても、多分もう、彼との関係はここで終わりだ。だったら試すだけ試して、無理そうならそのときに無理だと言えばいいかとも思った。
 万が一、本当にお互いに気持ち良くなれたら儲けもの、くらいの気持ちだった。
 結論から言えば、彼のデカチン好きは本当だったし、自分も男の体相手に勃たせることが出来たし、つまり、セックスは成立した。
 セックス中、すげぇ、最高、気持ちいい、なんて言ってもらったのは初めてで、その後あっさり彼とのセックスに嵌ったのは言うまでもない。
 ただ、奥の壁を強引に開かせて、相手の尻タブに自分の腰が密着するほど押し込む真似は、どうしても出来なかった。入るよ、とも入っていいよ、とも言われたけれど、閉じた場所をこじ開ける、というのが無理だ。
 もし本気で奥にまで欲しいというなら、自分で迎え入れて欲しい。せめて、最初の一回は。
 彼とのセックスだって、初回は、彼が自分から自分の意志で、体を開いて飲み込んでくれた。あの時みたいに、本当に大丈夫だってことを、彼の方から示して欲しい。
 そもそも、根本まで全部を受け入れて貰わなくたって充分に気持ちが良かったし、こちらの快楽重視で腰を振っても気持ちがいいと言って貰えるだけで満足だった。
 それを言ってからもっと入ってもいいよとは言われなくなったけれど、だからと言って、彼の方から強引に迎え入れに来ることもなかった。きっと、入らないことはないけれど、無理に入れたいものでもないんだろう。それなら、入っていいよの言葉に乗せられて、強引に進んでしまわなくて本当に良かった。だって無理をさせたいなんて、これっぽっちも思っていないのだ。
 そう、思っていたのだけれど。
 ただただ体の相性がいいだけのセフレみたいな関係を、先程とうとう恋人へと進化させたら、お願いだから奥まで入れて欲しいと頼まれた。入っていいよ、ではなく、入れてくれ、というのが珍しくて、なんでそんなことを言うんだと聞けば、さすがに自分からそんな奥へ迎え入れた経験がないからだと返された。
 そこまで挿れられた経験そのものは皆無ではないけれど、自分からするのは無理、だそうだ。でも恋人になったんだから全部頂戴、なんて言われてしまったら、こちらが頑張るしかないだろう。
 とはいえ、やっぱり強引に押し込むのは躊躇われて、どうすれば少しでも閉じた先が緩むのかと、探り探り奥の壁をつついたせいで、いつになく感じさせて何度も果てさせてしまったけれど、でもきっと、それで正解だったんだろうと思う。
 腕の中で掠れた甘い声をこぼし続ける恋人にホッとしながら、全てを包みこんでぎゅうと締め付けて貰う感動を堪能する。なんて、あたたかで幸せなんだろう。
 とうとう奥まで入った、という衝撃が落ち着けば、次に胸の中へ押し寄せてくるのは相手への愛しさだった。

 
 
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スライムローションで兜合わせ

スライム+聖水=ローションの続きです。

 人の両手を溶けたスライムで塞いでおいて、あっさりこちらのズボンを引きずり落とした相手は、ちょうど子供と大人の中間って感じなんて笑いながら、剥き出しのちんこに無造作に手を伸ばしてくる。
 彼の手がソレに触れるのは初めてではなくて、キモチイイを期待したソコは何度か軽く扱かれただけで、あっという間に硬く張り詰めていく。
「はっや。お前、ちゃんと自分で抜いてんの?」
「してるよっ」
「ふーん? てことは、お前も結構期待してんじゃないの?」
「そりゃ、……」
 だって本当に久しぶりだ。いいことも悪いことも一緒に楽しんで、アレコレたくさん教えてくれた、笑顔が柔らかで綺麗な年上のこの彼を、どれだけ慕っていたと思っているんだ。薬師の見習いをすると言ってこの町を出ていった後、どれだけ寂しい思いをしたと思っているんだ。
「手、ヌルヌルしてるだけでも興奮してきた?」
 おっかなびっくりではあるものの、言われた通り手をすり合わせてスライムを温めていたけれど、そのヌルヌルが気持ちいいなんてとても思えそうにない。彼のことは信じているから、危険なものではないのだろうけれど、それでもやっぱりなんだか得体が知れなくて怖い。
「ちがっ。てかこれホント、気持ち悪いんだけど!」
「そう? その手でちんこ握って扱いたら気持ちよさそうって思わない? てか興奮しない?」
「思わないよっ。てか怖いって」
「怖いって何が?」
「これ、本当にちんこ塗ったりして、平気なもんなの?」
「平気じゃないようなもの、お前に渡すと思ってんの?」
「それは、思ってない、けど……」
「じゃあ、一緒にする? 先に、俺のちんこにそれ塗りつけていいよ。で、平気そうだな、気持ちよさそうだなって思えたら、自分のちんこにもそれ塗りなよ」
「え、いいの?」
 何そんな驚いてんのと言いながら、相手はあっさり自分のズボンも下着ごと引きずり落として、下半身をむき出しにした。しかも、少し考える素振りを見せたあと、シャツ類も全て脱いで丸裸になる。
 昔は見慣れたものだったけれど、久しく見ていなかった彼の体は、相変わらず肌が白くて、でも適度な筋肉で引き締まっていて、なんだかキラキラと眩しい。ドキドキして、でも目が離せない。
「ちょ、なんで、裸?」
「シャツの裾にスライム付くのやだなって思って」
「自分だけズルい。だったら俺のも脱がしてよっ」
「お前はその手でシャツ脱ぐと結局シャツ汚しそうだし、俺が汚れないように捲っててやろうって思ってる。てわけで、ほら、その手のヌルヌル、俺のちんこに塗りつけて?」
 言われて、なるべく視線を逸らしていた相手の股間をとうとう凝視した。
 既に緩く立ち上がっているソレは、しっかり皮のムケた大人ちんこだ。触るのは初めてではないのだけれど、でも触れていいよと言われる時はいつだって凄く緊張するし、興奮もする。彼の指はもうこちらのちんこは弄っていないのに、彼のちんこを見ているだけで、ますますギンギンに張り詰めていくのがわかる。
 それに気づかれてからかわれる前に、さっさと彼のちんこに手を伸ばした。せめて、彼が気持ちよさそうに喘ぐから、こちらも興奮したって言えるように。
「ふっ……んっ、」
 ヌルヌルの手でそっと握っただけで、聞いたこともないような甘やかな吐息がこぼれ落ちてビックリする。
「なに驚いてんの。ホント、このヌルヌルめちゃくちゃ気持ちいいいんだって。ほら、固まってないで、手、動かしてよ」
 促されるままゆっくりと手の中のちんこを、ヌルヌルと扱いていく。両手ともヌルヌルなので、片手で竿を扱き、もう片手はやわやわと玉をもんでやった。
「ぁ、……ぁっ、……ぃぃっ……ヌルヌルももちろんいいんだけど、それを人の手でってのが、ホント、凄い、イイ」
「え、このヌルヌル使って、人にしてもらったこと、ないの?」
「え、ないよ。というか、俺のちんこ触ったことある他人なんて、お前以外いないよ」
「ちょ、……とぉおおお」
「ちょ、なんなんだよ。あんま大声上げるなって」
 なんなのこの人。そんなこと言われたら期待しそうだ。彼の中ではまだまだ自分は幼い子供なのかもしれないけど、だからこんな風に少しエッチな新しい遊びを気軽に教えてくれるんだろうけれど、彼を慕う気持ちが何かをわからないほど、もう子供ではないのに。
「それより、お前も自分の握って扱いてみなって。俺がこんな気持ちよさそうにしてんの見たら、もう、怖いなんて思わないだろ?」
 チラリと視線を下に寄越した相手は、ふふっと笑って、興奮しまくってるじゃんと続けた。興奮してるのはヌルヌルへの期待ではないけれど、もちろんそれを口にするはずもなく、言われた通り玉を弄っていた手を離して自分のちんこを握って扱く。
「うぁ……」
「な、凄いだろ?」
 初めての感触と快感の衝撃に、驚き混じりの吐息を漏らせば、相手は酷く満足げでどこか自慢げだ。
「これは、確かに、ちょっと……てか、こんなの、すぐイッちゃいそうなんだけどっ」
「俺を置いてきぼりにして先にイッたら許さないけど?」
「もー、ホント、どうしてそういうこと言うの。だったらもっと気持ちよくなるまで、俺に自分も弄れとか言わないでよっ」
「だって早く弄ってみて欲しかったから、あっ、ぁあ、おまっ」
 さっさとイキたくなってもらわないと困ると、相手のちんこを少し乱暴なくらい扱き立てれば、慌てたように相手がこちらにしがみついてくる。
「ん、んんっっ、んんんっ」
 肩の辺りのシャツを噛んで、どうやら漏れ出る声を抑えているらしい。少し苦しそうでもあるけれど、それよりもずっとずっと気持ちよさそうだったから、激しく擦り立ててもヌルヌルのお陰で痛いなんてことはないようだ。
 相手の体が近づいてきたので、自分も腰を少し突き出し、二人分のちんこを一緒くたに握って擦り立てることにした。そうすれば、あいた片手で相手をもっと刺激してやれる。自分だけ先にイカないように、相手にもっともっと気持ちよくなって貰わないと。
 ただ、同時に握るということは、自分のちんこと彼のちんこが擦れ合うということで、それを意識するだけでも、こっちはどんどん興奮が増してしまう。これはさっさと彼をイカせないと本当にヤバイ。なんてことを思っていたのに。
「ぁ、あ、バカ、お前の、ちんこ擦れて、ああっ、バカっ、気持ちぃ、お前のちんこ、ぁああ」
 噛んでいたシャツを放したらしい相手が、耳元でこちらを詰りながら、あっさりと甘やかに上り詰めていくから。追いかけるようにこちらも上り詰めながら、これってもしかして期待してもいいんじゃないか、なんてことを思ってしまった。

 
 
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カウントダウンで怯えて泣いて2(終)

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 カウントダウンが始まる前にたっぷり興奮できるようにと、家を出る前からあれこれ準備された彼の体は、友人たちと合流した後わずか三十分足らずで発情しだしてどんどんおかしなことになっていたから、さすがにこれ以上は無理そうだし一人で帰すのも不安だから送ってくと言えば、最初から体調悪そうだったもんなとあっさり納得されて、二人揃って無事友人たちの輪を抜けた。
 でももちろん、そのまま素直に帰るわけがない。大学からは少し離れているけれど、仕送りの関係で兄と住むマンションの近くには、そこそこ有名な神社がある。初詣は絶対嫌だなんて言われなければ、間違いなく今夜のデート先にはそこを選んでいたはずだ。もちろん、明日彼を帰す前に、ちゃんと神様の前に立っても恥ずかしくない格好で、揃ってそこへ初詣に行くつもりでもある。
 そんなわけで、大晦日から元旦にかけての電車内は当然かなり混み合っている。日々乗り慣れている電車なので、どの駅でどちら側の扉が開くかも把握済みだし、乗り込んだ後は開閉回数が少ない反対側のドアへ向かって、ぐいぐいと相手の体を押し込んでいく。駅を一つ過ぎた時には、相手の体をドアの窓にぺたりと押し付ける事に成功していた。
 その体を、背後から抱え込むように腕を回す。もちろん両手とも、相手のポケットに差し込んでいる。
 慌てて振り向こうとする相手にそれを許さず、窓に映る姿越しにうっとり笑いかけてやった。
「家の駅まで、後もうちょっとだけ頑張ろうね」
「む、むり……」
「頑張ってくれるだけでいいよ」
 口に手を当ててと促せば、素直に両手とも口元へ持っていき、それをギュッと押し付けている。無理だなんて言ってたって、相手が期待してしまっていることは、手の中でビクビク震えるペニスが証明していた。
 いい子だと囁いて、後は無言で彼の勃起ペニスを弄り倒す。今回は両手を使えるので、先程よりもずっと大胆に、ベルトもフロントボタンも外して尻が丸出しになるくらいまでズボンを下げてやったし、ペニスを擦るのと一緒にパンパンに膨らんだ陰嚢もやわやわと揉んでやった。
 こんな空間で下手に抵抗して注目を浴びるのが怖いのか、相手はされるがまま、言われた通りに声を漏らしてしまわないよう頑張り続けている。必死に堪える顔が窓に映っていて、なんとも可愛らしい。
 とっくに同じようにガチガチに硬くなっている自身の勃起ペニスを相手の尻の谷間に押し付けながら、相手のペニスの根本を戒める器具をゆっくりと取り外してやれば、さすがに驚き目を瞠ったのがわかった。この後何をさせられるのか、彼がした想像は間違いなく当たっているだろう。
「次の駅で降りるから、ね」
 言葉にして伝えたのはそれだけでも、上手にイケたらご褒美が待っていることくらいは、まだ短いお付き合いの中でも身に沁みているだろう。普段何度も言葉にして繰り返してきたのは、こういう日のためにだ。
 はっきりイかせる目的でしごけば、相手はいともあっさり吐精を果たしたけれど、耐えきれなかったらしい涙がホロホロと流れ出している。
 汚れた手を取り敢えず仕方がないと彼の服で拭ってから、急いでズボンを引き上げ戻してやったあと、ポケットから抜いた両手を彼を間に挟んでドアに押し付け、グッと腕に力を込めた。そうしてむりやり小さなスペースを作り上げ、こちらへ体を向けるようにと促す。
 最初少し躊躇う様子を見せたけれど、彼の泣き顔を隠したいこちらの目的を正直に伝えれば、相手はくるりと向きを変えてすぐさま目元をこちらの肩に押し付けてくる。腕の力を抜けばまたすぐに二人揃ってドアに押し付けられてしまったけれど、両手はしっかり彼の背に回っていた。
 目的の駅について一斉に人が降りても、その流れに乗って降りることはしなかった。ガラガラに空いた車内にホッと息を吐きながら、相手の体を緩く抱き直す。声を殺して泣き続ける相手を宥めるように、何度も何度も背を撫でた。

 結局、一駅先からタクシーを使って帰宅した。兄も友人たちとオールナイトで年越しだから、家の中は冷え切っている。
 そんな冷えた玄関先で、先に靴を脱いで上がっていた相手が、こちらが鍵を掛けるのを不安そうに見守っていた。さすがにあんな泣かせ方をするつもりはなかったし、あれで互いの興奮が覚めてしまったのは明白だし、この後どうしようかと思う気持ちは当然ある。
 だからこちらも黙ったまま見つめてしまったのだけれど、また相手の目にジワジワと涙が溜まっていくから焦る。
「ごめんっ」
 咄嗟に口を出たのはやはり謝罪で、けれど相手はブンブンと首を横に振って、同じようにごめんと口に出す。
「なんでそっちまで謝るの」
「むしろお前は謝んなくっていい」
「だからなんでよ。どう考えたって、俺がやりすぎだったでしょ」
「どうしても無理なら、ちゃんとお前を止めればよかったのに、そうしないで感じまくってイッたくせに、泣くなんて興ざめなことして、ホント、ごめん」
 一度も使われたことがないけれど、二人の間で決めたストップワードは確かにある。
「そんなのいいよ。というか、そっちだってどんなことになら耐えられて、どんなことはダメなのか、まだ自分でわかってないことばっかりでしょ。お互い知識ばっかり膨らませた臆病者で、実践面はまだまだ初心者同士だってのに、わかっててアレコレ詰め込みすぎた上に、相手の限界も判断できなかったんだから、俺が悪いよ」
 互いの性癖が合致しただけでなく、実際には経験がないところも一緒で、だからこそ付き合ってみようと思えたし、彼と共にゆっくり経験を積んでいくつもりなのに。互いの就職先もそこまで離れていないことがわかっているし、卒業後も関係を続けていく予定で、今の段階で焦ってアレコレ試す必要もないのに。
 信頼がないぶん不安が膨らむことまでわかっていながら、泣くまで追い詰めたのはこちらだ。
「でもっ!」
「わかった。じゃあ、今日のところはお互い様ってことにしよ。あそこまですることなかったろって怒ってないなら、俺はそれでいい。それより、今日、この後どうしたい? 抱きたいって言っても平気?」
 大きくはっきり頷いた相手が、それから何を考えたのか頬を赤く染めていく。
「どうしたの?」
「さっきの」
「さっきの?」
「ご褒美、期待してる、からっ」
 あまりに可愛い訴えに、もちろんだよとうっとり笑った。

「怯えて泣いている受けを甘やかしつつ、苛めるS攻め」のリクエストありがとうございました。

 
 
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カウントダウンで怯えて泣いて1

 神への冒涜って感じがするから初詣だけは嫌だ。と言われていたので、とあるテーマパークの年越しカウントダウンイベントを選んだ。
 せっかくなので同じ学科の友人何人かに声を掛けたら、あれよあれよとそこそこの大人数になってしまったが、どうせ春には卒業だと思えば、万が一バレても残り数ヶ月がちょっと気まずい程度だろう。
 そういうことになったからと伝えるまでもなく、それは学科が一緒の恋人の耳にも入り、当たり前だが何考えてんだとめちゃくちゃ怒られた。それを、きっと最高に興奮する夜になるよと、うっとり笑って封殺する。この笑顔に相手が弱いことなんて、とっくに知ってる。
 もちろん気付かれないようにはするし、万が一の時には絶対に守りきってやるつもりではいるけれど、そんなこちらの覚悟を相手に知らせる必要はないだろう。互いの性癖を知ったことから、そういった関係になって日が浅いのもあって、まだまだ信頼なんて程遠いのはわかっている。でも信頼がないからこそ、相手の不安を大きく煽れそうだとも思っていた。

 カウントダウンを待つ人混みの中、仲間内では一番後方にそっと陣取り、右隣に立つ恋人にピッタリ寄り添ったあと、相手のポケットへ右手を突っ込んだ。コートはもちろん事前に細工済みで、手はそのままポケットを突き抜けて、すぐに相手の服へと触れる。
 相手がビクリと肩を跳ねるのに構わず、目指したのは当然股間部分で、そこにはズボンのフロントから引きずり出されているペニスが熱を持って硬く勃ち上がっていた。確かめるように触れた先端は、たっぷりと先走りを零してびしょびしょに濡れている。
 愛しさがこみ上げふふっと漏れ出る小さな笑いに反応して、ガチガチに緊張している相手が、チラリと縋るような視線を流してくるから、耳元へ口を寄せて可愛いと囁いてやった。囁きながら、握り込んでゆるゆると上下に扱きだす。
「ふぁ……んっっ」
「うん。声はなるべく我慢しとこうね」
 慌てて口を両手で押さえた相手に、アイツらに気付かれて振り向かれたら大変だもんねと釘を差してから、耳元へ寄せていた頭を離した。
 後はもう、カウントダウンの間中握ったペニスへ緩やかな刺激を送り続け、カウントゼロを数える間際に数度だけ、イかせる強さでギュッギュと扱く。大きく体を震わせたものの、根本を戒められているせいで、その程度で射精してしまうことはない。
 年が明けた瞬間にポケットからは手を引き抜いたけれど、ガクリと沈んだ隣の体を支えるのに必死で、お祝いムードで盛り上がる周りのテンションには一切乗れなかった。しかしそれも却って好都合というものだ。一番近くに居た友人に、向こうのベンチで休ませるからと声を掛けて、恋人を抱えて人波をかき分け隅のベンチへ向かって進む。
「ぁ、……っあ、ぁあっ……」
 口から外れた手はダラリと垂れ下がっていて、もう声を押さえ込む余力がないらしい。フルフルと頭を振って嫌がるのを無視して、脇の下から回した手でコート越しに相手の胸辺りをグニグニと強く揉んでやれば、泣いているようにも聞える切なげな吐息が漏れた。
 さすがにコート越しにピンポイントで乳首を責めてやることは出来ないけれど、胸の先に付けてやった飾りが揺すられれば、興奮してぷっくり腫れているだろう乳首に、十分な刺激が与えられているはずだ。
「気分は悪くなってない?」
 運んだベンチに腰を下ろさせ、自分は座らず正面に立って、相手を窺うように腰を曲げる。もちろん、感じ入ってトロトロになっているはずの恋人の顔を、自分の体で隠すためだ。
 両頬を手の平で挟んで少し強引に上向かせた顔は、想像通りに興奮しきって真っ赤になっている。少し怯えさせてしまったのか、潤んでユラユラと揺れる瞳が不安げだ。でも、怒っては居ない。まだまだ踏み込んでも良さそうだ。
「もう少し頑張れそう?」
 さすがにキツイのか、無理だというように首を横に振る仕草をした相手に、連れて帰るから暫く具合悪いふりしててと告げて、一度背後を振り返る。多少は落ち着いた様子の人混みの中から、そろそろ友人たちが出てくるだろう。

続きました→

 
 
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鐘の音に合わせて

 大晦日は泊まりに来いよと言われて、当然そういうつもりで訪問していたから、やり納めと笑いながらベッドに誘われるのも想定内で、紅白最後まで見たいんだけどなんて事は言わずに素直にその手を取った。
 慣れた手順で繋がって、けれど普段とは違うことに気づくのはすぐだった。
 酷くゆったりと、長いストロークで穿たれる。ゆるい動きなのに、グッと最奥を抉られれば痺れるような快感が背を貫いていく。じわじわと追い詰められていく。
「あ…、あぁっ……ィイ……っん……も、っと……」
「ふはっ、かっわいい。まさかお前がこんななると思わなかった」
 早くもっと激しく突かれたい。ねだる言葉を吐いて、はしたなく腰を揺すって。なのに相手は悪戯真っ最中と言わんばかりの子供みたいな笑顔で、変わらぬゆったりとしたリズムを崩すことがない。
「ひっ、……ひぃんっ、も、イきたい、よぉ」
「ばっか、そんな煽んなって」
 啜り泣くまで焦らされて、相手の興奮が増しているのもわかるのに、何を意地になっているのか変わらないリズムがもどかしすぎる。
 こんな風に焦らされるのは初めてだった。ひたすらゆっくり捏ねられるのが、こんなにたまらなく気持ちがいいのも初めて知った。
 でもガツガツ突かれて押し上げられるように精を吐き出す、トコロテンの快楽を知っている。早くいつもみたいに貪られたい。奥を優しく捏ねられるだけでは、いくら気持ちよくても達せない。
「な、っで……も、して、よ……も、っと、……いっぱい、突いて」
「もーちょい我慢だって。後30回」
「さんじゅ、っかい……??」
 何の話だと思った矢先、会話をしながらも変わらず動いていた相手がまた深く奥を穿ってくる。それと同時に、微かに耳に届いた鈍い響き。
「まさ、か……」
「気付いてなかったか」
 そ、除夜の鐘。と笑った顔はやっぱり子供の顔だ。というか後30回ってことは、ずっと数を数えていたのか?
「ば、っかじゃ、ない……の」
「でもお陰で、今まで知らなかったお前が見れてる」
 ゆっくり奥突かれるのキモチィんだろと、また一つ鐘が鳴るのに合わせて奥を突かれる。
「っぁあ」
「ほら、すっげ善さそ。こんな気持ちぃならさ、トコロテンじゃなくてメスイキってのも出来んじゃね?」
 メスイキってのは確か、吐精もないままお尻だけでイッちゃうことだっけ?
「む、りぃ」
「ま、今日は無理でも、いつかな」
 お前はきっとイケるようになるよと、そんな断言嬉しくない。
「そ、なの、やだぁ」
「なんで? 俺は見たいけどなぁ」
 今度トコロテン出来ないように根本押さえたまま突いてみようかなんて、また新たな遊びを思いついたとばかりに言われて、嫌々と首を横に振った。でもきっと、忘れた頃にやられてしまうんだろう。そんな予想に、吐き出せないままガツガツ突かれて無理矢理押し上げられることを想像して、ブルリと体を震わせる。
「あ、期待した?」
 そんな言葉とともに性器の根本をキュッと握られた。慌てて止めてと声を上げたが無視されて、そのまま数度、鐘の音に合わせた律動が繰り返される。
 ゆっくりとした動きは元々イケるような刺激ではないのに、吐精を許されないと思うとなぜか余計に追い詰められる。さっきよりも更に気持ちがいい、気がする。
「やぁあ……」
「嘘ばっか。中、めっちゃうねってんだけど」
 イケそうならこのままイッてと言いながら、結局、除夜の鐘が鳴り終わるまでそのままゆっくりと突かれ続けた。つまりキモチイイは増したものの、やはり達するまでには至らなかった。
「はは、残念。じゃ、年も明けたみたいだし、焦らすのはここまでな」
 俺ももうさすがに限界との言葉を最後に、根本を押さえ続けていた手が外される。そうして漸く、いつも通りガツガツと貪られて、あっと言う間に頭の中が真っ白に爆ぜた。

明けましておめでとうございます。
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