親友に彼女が出来たらクラスメイトに抱かれる事になった7

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 結局、親友とギクシャクしのは数日だけだった。
 ちょっとツラかせよなどと凄みながら呼び出され、しかも向かった先が体育館裏だなんてあまりにもベタな場所だったせいで、ぼんやりと数発くらいなら殴られても仕方ないかと思っていたが、いざ向かい合って告げられたのは「お前の恋を応援することにした」という驚きの言葉だった。
 むりやり納得したと言わんばかりの顔だったけれど、それでもひどく嬉しかった。嬉しくて、あの夜にはこぼれなかった涙が、ボロリとこぼれ落ちていく。
「えっ、ちょっ」
 慌てた親友に引き寄せられて抱きしめられる。そこそこ身長差があるので、相手の胸に顔を埋めるなんて体勢にはもちろんならず、ぼやけた視界に映るのは肩越しに見える相手の背中と地面だった。
 抱きしめるというよりは抱きつかれているような状態で、それでも必死でこちらをなだめるように背中をポンポンと叩く仕草にどこかホッとして、安心したらなんだかおかしくなる。
「もう泣いてねぇ?」
「ううん。まだ泣いてる」
「なんだよ。泣きながら笑ってんのかよ」
「うん」
「ゴメン。その、泣かすつもりはなかった」
「わかってる。嬉しいだけ。親友がお前でよかった」
「おう」
「照れた」
「ばっ、っか。俺だって同じこと思ってるっつーの」
「うん。嬉しい。大好き」
「言うのが遅ぇんだよばーかばーか」
 躊躇いなく抱きついてきて、大好きと笑ってくれても、俺も大好きと笑い返したことはなかった。言葉は同じでも、そこに含む想いが違うことは明白だったからだ。
 そもそも彼がそんな態度を見せるのは、周りに友人やらクラスメイトやらがいるような場所が多く、パフォーマンス的要素が強かったし、だからこちらも、はいはいわかったわかった。といなすスタンスが多かったように思う。
「だって今まではお前と同じ好きじゃなかったもん」
「あー……ゴメン」
「謝んなよ」
「てか自己嫌悪だから。お前の辛いこと、ぜんぜんわかってなかったなって」
「まぁ必死で隠してたから」
「俺がふざけた調子で好き好き言ってなかったら、お前、最初から俺に告白した?」
「しないよ。関係壊れるの怖かったし」
「だよなー……あっ、」
「えっ、何?」
「ちょっ、待て誤解っ!」
 背を抱き込んでいた腕が離れたかと思うと、ゴメンと言い捨て親友が横をすり抜け駆けていく。親友の反応から、追いかけなくても状況はなんとなくわかっていた。というよりも、振り向くのが怖い。彼が追いかけていったのが彼女だとして、彼女だけに見られていたとは考えにくいからだ。
 自分たちの仲の良さは周知の事実で、それが数日ギクシャクした後、ツラかせよなどと言いつつ体育館裏だ。好奇心旺盛に覗きに来ていたヤジウマはいったいどれくらいいるんだろう。そして、先程までの自分たちの真実が、どこまで正確に周りに伝わっているのか。
 多分、思いっきり誤解されている。どう考えたって、自分たちがとうとう出来上がってしまったように思われただろう。という気がした。
 随分と面倒なことになったらしい。そう思いながら、大きなため息を一つ吐き出した。

続きました→

 
 
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親友に彼女が出来たらクラスメイトに抱かれる事になった6

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 マンションのエントランスを抜けた所で思わず歩みを止める。植え込みの縁に腰掛けて、出入口を不機嫌そうな顔で見つめている男が、親友だと気づいてしまったからだ。
 どう考えても、自分を待っていたのだとしか思えない。
 お前、なんか最近おかしくない? などと探りを入れられてはいたが、まさか後をつけてきたのだろうか。今日はデートだと言って、授業の後早々に帰っていったはずなのに、わけがわからない。
 立ち止まってしまったこちらに焦れたのか、親友が立ち上がって歩み寄ってくる。思わず後ずさるが、逃げれる場所などないのは明白だ。
 すぐに距離は詰められて、グッと手首を掴まれた。男の中では小柄な方とはいえ、身体能力はむしろ高いほうだ。掴む力の強さに手首が痛んで、思わず眉が寄る。
「泣いたの?」
 明るいエントランスで顔を寄せられれば、赤くなった目元にだって気づいただろう。けれどそれを肯定は出来なかった。
「ねぇ、お前アイツに何されてんの? なんか弱み握られてんの?」
 抱かれているなんて言えるわけがない。確かに弱みは握られているのかも知れないが、それによって何かを強制されたことは一度だってないのだから、被害者ぶるつもりも毛頭ない。
 結局、何も言えずに黙るしかなかった。そんな自分に、目の前の相手は更に焦れたようだ。
「アイツの部屋どこよ?」
「えっ?」
「だって直接文句言う方が早いっしょ」
 本当は一軒ずつ表札チェックでもしようかと思ったけど、ありふれた苗字だし、探してるうちにお前帰っちゃっても困るから、出てくるのを待ってただけだと彼は言う。あからさまに敵意むき出しの彼に困ったなと思いながら、悪いのは自分なのだと言ってみた。
「文句……って、アイツは何も悪くないよ。悪いのは、俺の方」
「洗脳されてそう思わされてるだけかもしんねーだろ。事実、お前泣いてんだし。親友泣かされて黙ってられっか」
「本当に違うって。すごく、優しくしてもらってる。あんまり優しいから、それで少し泣いちゃうだけ」
「嘘つくな。お前の嘘なんてすぐわかんだからな」
 長い付き合いだから、その言葉は確かに正しい。自分だって相手の顔から、この件に関しては譲らないという強い意志を読み取れている。
「そもそも俺に何隠してんの? アイツが優しいってのが本当なら、俺に言えないような何をアイツに相談してんの?」
 小さなため息を一つ吐き出した。今、家への押しかけをむりやり阻止したって、どちらにしろ学校へ行けば簡単に相手を捕まえられるのだから、この勢いで親友がアイツに殴りこみを掛ける前に、自分の口でちゃんと説明したほうがいいだろう。
「わかった。説明はする。でもとりあえず、場所変えない?」
 出入口の脇で揉めてる自分たちの横を、不審そうな顔で行き来するマンションの住人に迷惑すぎる。
 了承した相手と連れ立って、マンション脇の小さな公園へ移動した。一つだけのベンチに並んで腰掛ける。
 そしてまずは、自分は恋愛対象が女性ではなく男性らしいとカミングアウトした。目の前の親友を好きだった事実までを告げるべきかは迷ったけれど、そこを話さずに彼との関係を説明できる自信がなくて、結局きっかけから何から全てを晒す。
 今では彼を恋愛対象として好きなのだということも。結局それも片想いには変わりがなく、泣いてしまうのはそのせいで、彼はまったく悪くないのだということも。
 最初はちらちらと言葉を挟んでいた親友も、親友への想いを抱えるのが辛くて彼に抱かれることにした辺りの話で絶句し、話し終える頃にはすっかりうなだれてしまって表情を読むことは出来なかった。 
「変な話聞かせてゴメン。俺が気持ち悪くなったなら、友達やめていいよ。でも、アイツのことは責めないで」
 さすがに居たたまれなくなって、座っていたベンチを立った。
「本当に、ゴメン。さすがに一緒に帰るの無理だと思うし、俺、先行くな」
 少しだけ待ったが何も返ってこないので、了承と取って公園を後にする。きっと明日から、自分たちはもう親友どころか友人ですらないのだろう。
 胸が痛い。けれど涙が零れ落ちることはなかった。

続きました→

 
 
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親友に彼女が出来たらクラスメイトに抱かれる事になった5

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 忘れてしまえと言われてなかったコトにできるほど、あれはぬるい記憶じゃない。
 もう一度したいと口にしたら相手は少し困った様子で、後腐れなく1回だけだというから出来る限り優しくしたのだと言った。繰り返したらいつまで自制がきくかわからないぞというそれは半分脅しで、半分は本気だっただろう。
 最初から抱かれる覚悟で彼の誘いに乗ったのだから、別に構わないと思った。充分楽しんだとは言われたが、彼自身はなんら気持の良い行為ではなかったはずだから、一緒に気持ちよくなれるのならそちらの方が良いとさえ思う。
 正直にそう言ったら、お前は言葉と実際の反応がアンバランスだからとますます困った様子で言われたが、結局、アイツの事を忘れたいというセリフによって関係はその後も定期的に続いている。
 彼に触れられている間は、親友への想いをあれこれ考えなくて済む。気持ちの良さにどうでもよくなってしまう。だからもっと触れて欲しい。あの日みたいに気持ちよくなりたい。そう言って誘えば、嫌だとは言われなかった。
 ただし、そこに嘘はないけれど、それが全てでもなかった。
 親友のことがなくても、もっと彼に触れられたいという欲求。初めて知った人肌と、他者によって与えられる快楽の虜だった。自慰ではあの気持ちよさに遠く及ばない。しかも、さらにその先が見えている。きっともっと気持ちよくなれる。
 体の示す欲望にあっさり負けた結果だ。大好きで大好きで、けれど本気を伝えられずに苦しむような想いを捨てて、一時的にでも優しく甘やかしてくれる手に溺れる方がましだとさえ考えていた。
 モノシラズでアサハカだった。
 お互いに気持ちよければイーブンだと本気で思っていたくらいに、抱かれるという事の重大さが、まるでわかっていなかったのだ。自分の体の中に男を受け入れ、その男に快楽を刻まれるという行為をナメていた。
 重ねる行為に情が湧くものだなんて知らなかったし、好きだという気持ちから始めなかった関係は、結局また自分を苦しめるのだとも知らなかった。気づいた時にはもう、後戻りなんて出来ないところへ踏み込んだ後だった。
 彼はひたすらに優しいし、多分それなりに好かれてもいるだろう。けれどやはり、代わりでしかないのだ。想いを伝えられない親友の代わりとしてそこにいる。そのスタンスだけは始めから一貫していて揺るがない。
 それがはっきりとわかるから、こちらも正直な気持ちは晒せなかった。晒してもどうせ困らせるだけだし、こんな関係にあるから勘違いするのだと言って、終わりにされそうな気さえする。それだけは嫌だった。
 結果、もうほとんど心揺れることのなくなった親友を、未だ想い続けるふりをしている。
 バカで愚かで、本当にどうしようもない。心も体もはっきりと変わっていくのに、自分たちの関係がほとんど変わっていかないことが苦しかった。
 いつまで自制がきくかわからないと言いつつも、彼は辛抱強くゆっくりとその場所を彼を受け入れるための性器に変えたから、そんな場所を弄られてさえたまらなく気持ちがいい。
「あっ、…あっ、……ぁんっ…、やっ…、やぁ、…」
 ローションの助けを借りて、ぬちゃりくちゃりと押し広げるように出入りする指先に、既に知った悦びをじわりじわりと引き出されていく。もどかしくて、けれど期待に体はますます熱を持ち、その先に待ち受けている強烈な悦楽を想像してしまって怖くなる。
「やめるか?」
 やめて欲しくてこぼれているわけではないとわかっていながら、そんな風に言うのは意地が悪いと思う。イヤではなくイイと言って欲しいと言われながら、やだやだ繰り返してしまうこちらが悪いこともわかってはいたけれど。
「や、っ…ちがっ」
「気持ちがいいならいいんだ」
 必死で頷けば、柔らかに笑う気配がした。
「入ってもいいだろうか」
 それにも必死で頷けば、埋められていた指が抜かれて、すぐさま代わりに彼の熱が押し入ってくる。
「ふぁああぁぁっんんっ、んぁっ、ぁああっっ」
 彼の熱で弱い場所を擦られるとたまらない。
 気持ちが良くて、気持ちが良い以外の何も考えられなくなるのに、なんだか酷く息苦しい。ひたすら気持ちが良くて、胸の内が甘い優しさで満たされていくのに、胸の底の奥のほうがシクシクと痛い。
 突かれるたびに、あッ、アッとこぼれる高い声を自分のものと認識できない。なのに、突き上げられて揺すられてこぼれ落ちていく涙が頬を伝う冷たさだけは、いやにリアルに感じてしまう。
 それを、生理的にあふれる涙なのだと、いつまでごまかせるだろうか。

続きました→

 
 
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親友に彼女が出来たらクラスメイトに抱かれる事になった4

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 服を脱がされた後、今度は体中にキスの雨が降った。キスをされて、柔らかに歯をたてられて、舐められて。撫でられて、マッサージでもするかのように揉まれて、かと思えば指先だけがススッと肌を滑っていく。
 くすぐったかったり、恥ずかし過ぎたりで、最初は何度か嫌だと口にした。その結果、それらはどんどん気持ちが良いばかりになっていく。気持ちよくなれる場所を、気持ちよくなれるようにと触ってくれるからだ。
 そうして気持ちが良いばかりになってくると、初めくすぐったいだけだった場所も、恥ずかしくて嫌だった場所も、だんだんと慣れたり羞恥が薄れて行くようで、いつの間にか触れられても平気になっていた。それどころか、やはりそれらの場所も、彼に触れられると気持ちが良いのだ。
 正直、なんだこれ、と混乱する気持ちは強い。他人に舐め回されたり撫で回されるのが、こんなに気持ちがいいなんて知らなかった。
「気持ちが良さそうだな」
 時折彼はそう言って満足気に笑う。決して、気持ちが良いか? と尋ねることはしない。気持ちが良いことはわかっていると断定的だ。
 それに対しては、素直に気持ちが良いと返すようにしている。多分それが一番、互いにとって不満のない対応らしい。というのはこの短時間でも明白だった。
 困って口を閉ざしても、いちいち指摘されるのは恥ずかしいと訴えてみても、可愛いなと笑われてなんだか益々こちらが恥ずかしい。そして、強がって気持よくないなどと嘘をつくのは、さすがに相手の不興を買うようだった。
 言葉だけは「そうか」とそっけないのに、優しかった刺激がどんどん強い刺激になって、否応なくアンアンと喘ぐ羽目になった。ビックリして怖くなって、ヤメてヤメてと繰り返したらあっさりその手は引いたし、少し意地になったと謝られもした。そして、このままやめたほうがいいかとまで言い出した。しかしそう問われても、頷くことは出来なかった。
 やめてと言って引いてくれたことに、むしろ安堵したのもあったし、もっと気持ちよくなりたい純粋な欲求もあった。というよりも、こんな中途半端な所で放り出される方が辛いだろう。
 そんなわけで、強がるのは一度でこりた。素直にしてれば相手はとことん優しい。
 強い刺激に怖がって逃げたせいもあるのか、その後は、マッサージ的な触れ方が増えたようにも思う。可愛いなと言われながら触れられてるのに、撫でる手がまるで性感を煽らない場合もある。ただただうっとりと気持ちが良い。
 しかし、どうやらそうすることで適度に性的な興奮を散らされているらしいと気づいて、思わず問いかけた。
「もしかして、俺を抱く気、なくなってる?」
「なぜそう思う」
「キモチイイけど、エロい気持ちよさじゃないことも多いから?」
「まぁ、確かに。ただ、あまり感じさせたら逃げられるかもと思って」
「にげねーよ」
「だといいがな」
 説得力のまるでないセリフに、やはり相手も苦笑を返す。
「とりあえず、入口に触れるくらいは試してみるか?」
「い、ーよ。てか、いちいち確認すんのやめろって」
「いきなり触れたらお前は絶対逃げるから」
「断言すんな。まぁ、ビックリはするだろうけど」
「ビックリして、ヤメテって半泣きになるだろう?」
 確かに。とは思ったが肯定はしなかった。代わりに、ふと思い出して問いかける。
「そういや泣かせてやるって言ってなかった?」
「ヤメテを無視されて泣かされたいのか?」
「それはやだ。ってかどう泣かせてくれんの?」
「辛いなら泣けばいいと言ったろう。アイツに好きと言えなかった分を、俺が全部聞いてやる。程度の意味だな」
「正直、お前に触られてると、気持ちよくってふわふわして、なんかそういうのどうでも良くなってくるんだよな。あんま考えたくないけど、アイツとこういうことしてもここまで気持ちよくなれっかなとも、まぁちらっと思ったりもするしさ。ってさすがにゲンキンすぎっかな?」
「辛いという気がこれで紛れるなら、それはそれでいいと思うが……」
 なんだか珍しく歯切れが悪い。
「その程度の好きだったのかってやっぱ呆れる?」
「いや。ただ、あんまり可愛いことを言っていると、こちらも少し欲が出そうになるな。というだけだ」
「それって……」
 あ、これは踏み込んだらいけない。と思いながらも言葉はこぼれ落ちた後だった。
「お前がイヤだヤメてと言っても、強引に感じさせてしまいたくなる。って話だな」
  しかし、しれっと言ってのけた顔は平常通りで、一瞬落胆しかけた気持ちには気づかなかったことにする。
「ちょっ、ヤダって言ったらやめてくれんだろ?」
「もちろんそのつもりでいるが、気持ちよくってどうでも良くなるなんて言われたら、とことん気持ちよくさせてみたくもなるだろう?」
「ひゃぁっんんっっ」
 今まで触れてこなかった入口をつつかれ、ビックリしすぎて上げてしまった声の大きさが恥ずかしい。
「ちょっ、まって、まぁ、っやぁあ」
 入口にぴたりと押し当てられた指先をぐにぐにと動かされて、全身鳥肌が立つようだった。ぞわりとするその感覚が快感なのだと、もう知ってしまっている。
 ヤメテを無視されて、強引に気持よくされて泣かされたりするのかと怯えた一瞬後、指先はすっと離れていった。
「冗談だ。お前に拒まれたらちゃんとやめるよ。それで、どうする?」
「どうする、って?」
「お前を抱くための準備を、このまま進めてもいいのかどうか、だな」
「やだ、って言ったらこれで終わり?」
「終わってもいいが、さすがに体が辛くないか?」
「そりゃ辛いよ! めちゃくちゃ燻ってるよ。てかイかせてって言ったらイかせてくれたりすんの?」
 だってずっと、極めてしまわないように手加減されて触られている感じだったのに。特にペニスは、しっかり触れられることもあまりなかった。
「構わないぞ。口でされるのと手でされるの、どちらがいい?」
「え、俺が選ぶの?」
「俺が決めていいのか?」
「いい、よ」
 結局、亀頭を口に含まれながら手で扱かれ、あっさり彼の口の中に吐き出して終わった。口の中も他人の手も、衝撃的な気持ちよさだ。今後一人でする時には、きっと今日のことを思い出しながらしてしまうんだろう。
「もしかして飲んで欲しかったか?」
「ち、ちがうっ!」
 口の中身をティッシュに吐き出している姿をぼんやり眺めてしまったら、そんな事を言うので、慌てて否定した。
「いやなんか、本当に、お前の口に出したんだ、って思って……」
「居たたまれないか?」
「ん? んー……なんか、色々びっくりしてんだよな。お前の口でイッたこともだけど、なんつーか、他のこともさ、なんか夢でも見てたみたいっつーか」
 コイツに触れられてあんなに気持ちよかったことが、終わってしまえばなんだか酷く現実感がない。
「忘れたかったら忘れていいぞ」
「へっ?」
「元々がお前の弱みに付け込んだようなものだし、俺なりに充分楽しませてもらったからな。出してスッキリして考えたら、今日のことなんかお前にとっては黒歴史でしかないだろう?」
「そんなこと、ない」
「そうか」
「てか、本当にこれで終わり?」
「どういう意味だ?」
「だってお前、抱くどころかイッてもない。俺だけが気持ちよかった」
「楽しんだ、と言ったろう。お前の反応はいちいち可愛かった。それにキスも、人に触れられるのも、初めてだったんだろう?」
「そー、だけど」
「充分だ。しかしもしお前がどうしても不満だというなら、俺にも触るか?」
 お前が手で握って扱いて俺がイッたら満足するのかと問われて、そうすることを想像してみる。そんなことはまるで考えていなかったからだ。
「うん、じゃあ、する」
「冗談だ。しなくていい」
「なんでだよっ!」
「お前がどうしてもしてみたいというならともかく、そういうわけでもなさそうだからだ。自分だけが気持よくなって申し訳ない、なんて思う必要はない。気になるなら、今日のことは全部忘れてしまえ」
「お前、本当にそれでいいの?」
 構わないと返された声は何の未練も含まないいつも通りの声音で、なぜか胸の奥がチクリと痛んだ。

続きました→

 
 
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親友に彼女が出来たらクラスメイトに抱かれる事になった3

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 めいっぱい優しくしてやるの言葉通り、抱きしめられて、頭や背中を撫でられて、目とか鼻とか頬とか耳とか首筋に軽いキスの雨が降る。やがてそれが唇の端に落ちて、次は唇へ。相手が様子をうかがうように酷くゆっくりと唇を寄せてくるのを黙って待った。
 親友にふざけて頬にキスされたことはあっても、さすがに唇を触れ合わせたことはないから、実質ファーストキスである。まさか相手がコイツになるとは、つい先日まで欠片ほども思っていなかった。
 しかもこの後このまま抱かれる予定だなんて、本当に思い切ったことをしている。
 好きで好きでたまらなくて、けれどそれを伝えられなかった親友は、今は可愛らしい彼女が居て、親友という立場は以前と変わらないのに、やっぱり寂しくて、なおさら言えなくなった想いを抱え続けるのは苦しかった。そこにふらりと現れて、辛いなら泣けばいい泣かせてやるからと言った目の前の男に、興味を持ってしまった。
 抱かれることが条件だなんて言われて一度は断ったのに、結局、自分から近づいてしまったほどに。
「口を開けられるか?」
 優しく繰り返されるキスを受けながらも、つらつらとなぜこんな状況に自分がいるのかを再確認していたら、そんな問いかけが耳に届いた。
 黙って頷き顎の力を抜いて緩く唇を解く。再び覆われた唇の隙間に、相手の舌が入り込んでくるのを受け入れる。
 他人に口の中を舐められるというのに、気持ちが悪いとは感じなかった。それどころか、舌先が口内のあちこちをかするたびに、ぞわりと鳥肌が立つような感じがして、下腹部に熱が集まる気がする。
 恋人同士がチュッチュチュッチュやらかすのも納得の気持ちよさだった。好きな相手とならもっと気持ちがいいのかな、だなんて、一瞬過った考えを振り払う。本当に好きな相手にはしてもらえないから、だなんて考えは自分を惨めにするだけだ。
 それよりも、目の前の相手のことを考えようと思った。深いキスをされても平気なくらい、自分はすでに相手を認めているし受け入れているのだ。キスだけでこんなに気持ちがいいのだから、体の相性が良いとかいうやつかもしれない。
 たんに相手が上手いだけかもしれないけれど、なんにしたって、声をかけてくれたのがコイツで良かったとは思う。だって酷く軽いノリで抱かれろと言ったわりに、本気で優しい。こちらを気遣い甘やかそうとする気配が強く伝わってくる。本気で嫌だって言ったら、きっと途中でやめてくれるんだろうという安心感がある。
 なんでこんなに優しくしてくれようとするんだろう?
 しかしそれを口に出して問うことは出来そうにない。ヤレる相手にはとことん優しくするというタイプの男もいるようだけれど、もし万が一好きだからだなんて返されてしまったらきっと困るのは自分だ。
 突き詰めたらいけない。
 抱かれることを受け入れたのだから、気持ち良くさせてもらう権利がある。優しくしてもらう権利がある。そう思ってもいいんだろうか?
 頭のなかはグルグルと色々なことが巡るが、もちろんそれらと真剣に向き合い考えるような余裕はなかった。むしろだんだんと思考が細切れになって、混ざり合って、逆に何も考えられなくなる。
 口の中がじんわりとしびれるように気持ちがいい。
「ふ……っ、ぁ……んんっ」
 合間に吐き出す自分の息の、いやらしい響きに益々煽られるようだった。
「気持ちが良さそうだな」
「うん」
 素直に頷いたら柔らかに笑われた。表情の読みにくい相手ではあるが、からかう要素がないのは気配でわかる。むしろ嬉しそうですらある。
「もっと、して?」
 気のせいでなければいいなと思いながら、自ら誘いをかければ、すぐにまた唇を塞がれた。けれど深いものへはならず、軽く唇を吸い上げられただけで離れてしまう。
「服を脱がすがいいか?」
「いいよ。だから、」
 告げるきる前に、今度はしっかり深く口付けられた。

続きました→

 
 
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親友に彼女が出来たらクラスメイトに抱かれる事になった2

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 共働きで親の帰宅はいつも遅いという相手の家にあがりこみ、さすがに緊張しつつ並んでベッドに腰掛ける。
「無理強いする気はない。嫌だ、と思ったら言葉でも態度でもいいから、わかりやすく示せよ」
「わかった」
「緊張してるな」
「そりゃあね」
「いや、可愛くていい」
「ばかじゃねーの」
「お前は可愛いよ。少なくとも、俺にとっては」
 じゃなきゃこんな風に誘わないとは言われたが、素直に受け取るには恥ずかしすぎる。
「サービストーク?」
「そういう事にしておいたほうがいいなら」
「だって、アイツが俺にくれないものを、代わりにお前がくれるんだろう?」
「確かに。しかし、その場合、アイツに可愛いと言われたかったって事になるぞ?」
「そうだね。言われたかった、かな?」
「ならいくらでも言ってやるが」
 しごく真面目な顔で、お前は可愛いと繰り返されてさすがに笑った。
「どうなんだろ。友達としてでなく好きって言いたかった。くらいしかわからないや」
「いくらでも言えばいい。なんならアイツの名を呼んだっていい」
「お前に色々されながら、アイツを呼べって?」
「ああ」
「無理だって。あんまそういうこと考えないようにしてたけど、どっちかって言ったら、その場合は俺が抱く方だって気がするし」
「そんなことないだろう。アイツは小柄で童顔かもしれんが、中身は凄く男らしいじゃないか」
「うん。てかお前、けっこうちゃんとわかってんのな」
「一応中学から知ってるからな。お前ら二人はその頃からけっこう目立ってたし」
「お前の見立てだと、もしアイツと俺がそういう関係になったとして、その場合は俺が抱かれる側っぽかったりする?」
 うなずかれて、そっかと返した。だから抱かれるのが最低条件だなんて言い出したんだろうか?
「というか、そういう想像をしたことがないとは思わなかったんだが……」
 少し迷うような素振りを見せたので、なんとなく、その想像は当たりな気がした。
「でも、自覚がまったくなかったってだけで、お前に抱かれてもいいかなって思ったってことは、やっぱり多少はそういう願望があったって事じゃねーかな?」
「だといいんだがな」
「怖気づいたならやめとく?」
「やめるわけがないだろう。ただ少し、慎重にはなるな」
「だからまったく初心者だって言ったのに」
「さすがに頭の中までまったくの初心者とは思わないだろうが」
 男に抱かれるということを、どこまで具体的に想像したことがあるかと聞かれて、ケツ穴に突っ込むってことは知ってるよと返す。
「もう一度言うぞ。嫌だ、と思ったらすぐにちゃんと知らせろよ」
「わかったって」
 不満を示すように少し口を尖らせたら苦笑されたけれど、一応困り顔なのに、なんだか優しさがにじみ出ているようでドキリとした。
「てかそんな凄いことすんの?」
「なるべくしない」
 聞いたらそんな返答の後、ふわりと抱きしめられる。そのまま耳元で本当に可愛いなと囁かれて、ドキドキが加速していく。

続きました→

 
 
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