竜人はご飯だったはずなのに10

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 彼の本気は伝わってくるが、しかし、彼に抱かれて善がりまくった結果こちらのペニスが反応したということに喜んでいるのではなく、久方ぶりに勃起機能が戻りかけている事そのものへ興奮しているのが丸わかりだ。
 こちらの感情的には、あまりの気持ち良さにペニスまで反応したって感じなのに。彼が本来の姿で抱いてくれたことの喜びが、反映されたんだろうなって思ってるのに。
 思わずこぼしたため息に、相手は拒否の意を感じ取ったらしい。
「やはりダメか……あ、それならあの子を呼ぼうか。彼になら、私にされるより、怖くないんじゃないか?」
 良い思いつきだとでも言いたげに身を起こした相手が、ベッドを降りようとするのを慌てて引き止める。
「待てよ。お前が怖いとかじゃないから。怖くないから。怖いわけ無いから」
 その鋭い歯でペニスに傷をつけられる恐怖なんてあるわけがない。そんなことするわけがないと信じられる。きっと細心の注意を払いながら、優しく舌先だけを使って愛撫してくれるはずだ。
「しかし、私に舐められるのは嫌なんだろう?」
「だからそれは怖いかどうかじゃねぇの。俺の、気持ちの問題」
「気持ち?」
「初めてその姿のまま俺を抱いて貰ったの、メチャクチャ気持ちよかったんだよ。それこそ意識飛んだり、勃起しかけたりするくらい善かったの。だからもーちょいその余韻に浸らせろって」
 ハッとした様子で気まずそうに口を閉ざした相手は、もともと余韻を欲しがる情緒的なものへも理解がある。でもそれは飽くまでも理解の範囲で、こちらに合わせてくれているだけだ。今回はこちらの体が常とは違う反応を示したせいで、それどころじゃなかったんだろう。
「自分の立場はわかってるつもりだし、俺の体の機能が戻っていくことに、あんたが、いや、あんたたちが興味津々なの仕方ないとも思うけど、でも、これが食事だとか俺の体がそっちの都合で活かされてるモルモットだとか、そういうの、今日はこれ以上、思い出させんなよ。頼むから」
「わかった。すまなかった」
「いや、いい。それより、あんたは大丈夫なのか?」
「大丈夫とは?」
「だって普段ならとっくに寝落ちてるはずだろ」
「ああ……そうだな。確かに」
 気落ちした様子でおとなしく隣に横になった相手は、いつものようにすぐに目を閉じてしまうことはなかった。
「寝ないの?」
「その、少しだけ、触れてみてもいいだろうか」
「え、どこに?」
 驚いたのは、本来の姿の彼がこちらに触れたがることなんて、今まで一度もなかったからだ。こちらから撫でて欲しいなどと、本気でねだったこともない。というよりも、この姿の彼には、それをねだるような隙がなかった。
 いつも疲れ切った様子ですぐに寝てしまうし、寝て起きた後はさすがに甘ったるい気配なんて欠片も残していない。もっと構えと軽く誘うことくらいは出来るが、せいぜい会話が増える程度で、こちらの体に触れてくることはなかった。
「どこでも。お前が、私に触れられても大丈夫だと思う場所があれば」
「なんだそれ。どこ触られたって平気だよ」
 そうかと言いながら、おずおずと手が伸びてくる。人の皮膚とは違う鱗に覆われた手だけれど、それが滑らかに肌を滑る気持ち良さを知っている。それを教えてくれたのは、目の前の彼ではなく、世話係の小さな彼の方だけれど。
 うっとりと身を任せているうちに、その手は肩から首筋を擽るみたいに辿って、何度か優しく髪をすいた後で離れていった。
「ありがとう。おやすみ」
 もう終わり? と思う気持ちもあったが、やっぱり限界だったらしい。安堵と陶酔を混ぜたような囁きを残して、相手は瞼を落として軽い寝息をたてはじめてしまった。
 まぁいいかと擦り寄るように身を寄せて、勝手に彼の肌を撫で擦る。小さな彼とはやはり鱗の大きさが違うけれど、手触りはそこまで大きな差がない。特に胸から腹にかけては余計な突起もほぼないし、ほんの少し冷やりとして、滑らかな手触りが酷く気持ちが良いのだ。
 ほぼ毎回、スリットを弄られ起こされているのだから、寝ている彼に好き勝手触っているのは知っているだろうけれど、寝落ちた直後に彼を愛しげに撫でる手には、果たして気付いているだろうか。
 疲れ切って寝姿を晒す彼は、もちろんこちらへの警戒心も緊張もない。それがどれほどこちらの気持ちを柔らかく解すのか、知っているだろうか。
 多分、気付いていないし知らないんだろうなと思って、小さなため息を吐き出した。

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竜人はご飯だったはずなのに9

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 少し慌てた様子で、何度も大丈夫かと声を掛けられ意識が戻ってくる。重いまぶたを持ち上げれば、心配そうな顔に間近で見下されていた。
 つい先程まで上に乗って見下ろしていたはずなのに、どうやら意識が飛んだ間に、繋がりは解かれて寝かされてしまったようだ。チラリと相手の下腹部を確認したが、やはり使い終えたペニスは収納済みで、こちらを善がり飛ばすほどの凶悪ペニスは結局拝みそこねてしまった。
 残念だが、それはまた次の機会に狙えばいい。それより今は、体に甘く残る、じんわりと痺れるような快感を堪能しておこう。
「すげぇ……」
「凄い? 何がだ?」
 ほぅ、と吐き出す息が既に随分と甘ったるい。なのに相手はこちらが意識を飛ばしたことに焦ったままなのか、ずいぶんと食い気味に尋ねてくるから、小さく笑ってしまった。
「ん、善すぎて意識飛ぶとか、まさか自分で経験するとは思ってなかったな、って」
「よすぎて?」
「そ、善すぎて」
 何を言っているんだと言いたげに問われたけれど、頷き肯定してやる。
「気持ちが良いと意識が飛ぶなんてことがあるのか? 変な体勢で負担が掛かったとかではなくて? そこまで空腹ではないところに、いつもと同じだけ注いだからという可能性は?」
「善すぎて体が持たないって、こーゆーことだよ。いやまぁ、さすがに俺も、ここまでなると思ってなかったけど」
「本当の本当に、気持ちが良かった、だけ、なんだな?」
「そうだよ。でもゴメンな。焦ったよな」
「当たり前だろう。二度と、この姿で御前を抱くことはしない」
「はぁ? なんで? めちゃくちゃ気持ちよかったって言ってんのに?」
 次からも最後の一回はこっちの姿で抱いてよと言っても、相手はあっさりきっぱり嫌だと返してきて取り付く島がない。
「それより、お前のペニスなんだが」
 勃っていると言われて、慌てて自分の下肢に視線を送った。
「お、おお……勃って……るほどではないけど、確かにちょっと反応はしてるっぽい」
 ずっとうんともすんとも言わずに垂れ下がるばかりで、排尿すらない現在はただの飾りと化していたペニスが、確かにほんのり形を変えて起き上がりかけている。
 スライムたちに尿道を弄られすぎたのか、いつの間にかペニスは勃たなくなっていた。もちろん射精なんてしないし、ここへ連れてこられた最初の頃なんて、先走りで濡れることもほとんどないくらい乾ききっていた。
 何度か抱かれるうちにほんのりと汗をかくようになって、尻穴を突かれて感じると濡れるようにもなっていたけれど、ずっと形は変わらず柔らかなままだったから、これはけっこう大きな変化だと思う。
「少し、弄ってみてくれないか」
 言われなくても弄りまわして確かめたいところだけど、興味津々に見つめられながら自ら弄るというのはどうなんだ。さすがに少し恥ずかしい気がしたけれど、すぐに今更かと思い直して、軽く息を吐きだし諦める。
 言われるまま股間に手を伸ばして、甘く勃起したペニスをそっと握り込んだ。
「どうだ?」
「んー……ちょっとはキモチイイ。けどやっぱ全体的に滑りが足りない。これ以上ゴシゴシやったら逆に痛くなる。あと、圧倒的に興奮が足りない」
 今にも食いついてきそうな真剣な顔の竜人に見つめられながらの自慰なんて、興奮するどころかさすがに萎える。せめてもう少しエロい雰囲気で見つめてくれればいいのに。薬が切れたせいかなと思うと、なんとも残念でつまらない。
 結局、ちゃんと情が湧いているようなことを言いつつも、薬に引きずられてそんな気持ちが湧くってことなんだろう。薬が切れてしまったら、この体への興味なんて、生きた貴重なサンプルとしての意味合いが強くなってしまうのだ。
 そう思ってしまったら、余計に萎えてしまった。大きなため息とともに、握っていたペニスを放り出す。
「舐めたら少しは興奮するだろうか?」
「は? なんだって?」
「滑りが足りないんだろう? やはりこの姿でその場所に口付けられるのは怖いか?」
 もう一度人型に戻る体力も魔力もないと悔しげに言う相手は、どうやらかなり本気で言っているようだった。

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竜人はご飯だったはずなのに8

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 毎回、彼が本来の姿に戻るところを見ているけれど、いつもは薬の効果が切れて性器も萎えきった状態で戻るから、竜人の勃起状態のペニスというものがどういうものかというのはさっぱりわからない。だから一度繋がりを解いてから戻ってもらって、じっくり観察したい気持ちもなくはなかった。ただ、これ以上焦らさないのが条件だったし、なにより誓うと告げた直後には、あっさり魔法を解かれてしまったので口にだすことはしなかった。
 それでも頭のなかでは、終えた後にすぐ抜けば竜人のペニスが拝めるだろうか、なんてことを考える。しかしそんな事を考えていられたのは、人の姿が魔法特有の淡い光に包まれぼやけている間くらいだった。
「ぁ、っ……ちょっ……なに、これ……」
「大きさはそこまで変わらないはずだが?」
「サイズ、じゃ、なくてっ」
 いや、サイズも確実に違うけど。慣れきった穴でも、ミッチリ感増したけど。
「かた、ち?」
「多少凹凸が変わった程度のことが、腹の中でわかるものなのか」
「たしょう、じゃ、ねぇっ」
 腹の中が圧迫される位置が大きく変わった気がする。そんなことがわかってしまう程度に、人の姿の彼のペニスを、自分の腹の中は覚えてしまっているってことでもあるけれど。
 確かめるようにそっと腰を持ち上げていく。ズルズルと腸壁を擦っていけば、より一層、凹凸の違いを感じ取ってしまう。人型の時に比べて、圧倒的に、凹凸が増えている。そしてそれぞれの段差がデカイ。一度のストロークで受ける刺激が倍増どころじゃなかった。
「あっ、……ぁんっ……んんっ……」
「焦らさないんじゃなかったのか?」
 こちらが感じすぎてしまって、相手をイカせるほどの激しい動きが全然出来ていない自覚はある。
「いや、だって、こんなの聞いて、ない」
「同感だ。同じ人型での行為より、こちらの姿のほうが圧倒的に感じる、なんて聞いてない」
 次回からはもう少し積極的に応じることも考えるなんて言ってくれたのは嬉しいけれど、応じるなら今回と同じように、魔法を解くのは最後だけがいいと返した。
「これで一晩抱かれんのは、ちょっと、むり」
 善すぎて最後までこちらの体が持たないと思う。
「そんなにか?」
「ん、凄い、イイ。ついでに眺めも、いい」
 自分よりもずっと体格の良い竜人にまたがって見下ろしているという、なんとも不思議な興奮がある。しかも双方、色濃く淫らな気配を纏いながら、体を繋いで快楽を貪っているのだ。
 人の姿をしていても相手は竜人と頭ではわかっていても、やはりただ男に抱かれている、という認識ばかりが強かった。でも今は違う。紛れもなく、雄の竜人に、抱かれている。竜人のペニスに、貫かれている。
 背徳感が凄いが、興奮も凄い。
 これは食事で、こちらを生かすための手段だとわかっているけれど、それを意識して惨めにならないようにと気遣われているのも知っている。ただの実験体かもしれないけれど、極力そう思わせずにいてくれる。
 こんなに優しい種族だなんて、ちっとも知らなかった。人の姿で抱かれるより興奮するのは、竜人という種族に対する好意のせいもありそうだった。
「あと、嬉しい」
「嬉しい?」
「人の姿が俺のためってわかってるけど、こっちの姿のが、好きだから」
 言えば少しの沈黙の後、どこか気まずそうにそうかと返された。相手は元の姿で繋がりあうことへの興奮はないらしい。
 残念だと思ってしまった気持ちをごまかすみたいに、腰の動きを再開した。けれどなんとか相手をイカせようと頑張ってはみるものの、快楽にのまれてしまってなかなか思うように動けない。
 そして結果的に、相手を焦らされ切る寸前まで追い込んだらしかった。
「すまない。そろそろ終わってもいいだろうか」
「ん、ごめん。焦らさないって、言ったのに」
 動いてと頼めば、すぐに下からガツガツと突き上げられる。すぐに射精してくれたのでそう長い時間ではなかったけれど、それでもその短時間で未知の快楽に叩き込まれた気がした。

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竜人はご飯だったはずなのに7

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 経験的に次が最後の一発だなというのがわかったので、ちょっとお願いがあるんだけどと持ちかける。既に疲労が色濃く見え始めている相手は、それでも黙ってこちらを見つめてくるから、取り敢えずその内容を聞いてくれる気はあるらしい。
「元の姿のお前とヤリたい」
「ダメだ」
 端的に即答で拒否された。でももちろん食い下がる。
「今もちゃんと理性働いてるだろ。なんでダメ? どうせもう後一発で最後っつーか、それで薬も切れんじゃないの?」
「お前の体を気遣う余力がない」
「あー……もうだいぶ疲れてんもんなぁ」
 わかったらワガママ言うなとでも言いたそうに気怠げな顔で軽く頷き、つい先程何発目かわからない射精を終えたまま、萎えずに尻穴を穿つペニスでグッグッと奥を突いてくる。
「あ゛、ぁ゛あ゛っ、ま゛って、って」
「まだ何かあるのか」
 動きは止めてくれたが、同時に疲れの滲むため息も零された。相手からすれば、さっさと最後の一発を吐き終えて、眠りに落ちたいところなんだろう。
「俺が、動く」
「どういう意味だ?」
「騎乗位って言ってわかるか? あんたは上向きに寝っ転がってるだけでいい」
 考えてみたら、こちらは彼の精液を食って元気になるばかりなのだから、精も根も尽き果てるまで抱き続ける相手に、最後まで腰を振らせて頑張って貰う必要はないことに気付いた。毎回最後は疲れ切る相手を見ていたのに、自分で動こうという発想を今までしてこなかったのがいっそ不思議だ。
 とは言っても、騎乗位を思いついたのは、こちらの体を傷つける心配ばかりする相手と、どうすれば本来の姿の彼と繋がれるかを必死で考えてみた結果でしかないのだけど。
「あんた疲れてるなら丁度いいだろ」
 試させてと言ったら繋がるまま引き起こされて、逆に相手が後ろへ向かってゆっくりと倒れ込んでいく。
「これでいいのか」
「うん。いい。じゃ、動いて見るから、気持ちよく出来たてたら教えて」
 言葉通り、思いつくまま腰を動かしてみる。慣れきった体はなんの抵抗もなく、大きく腰を上下させれば、相手のペニスを喰みながらヌルヌルと扱いた。もちろん、自分で自分のイイ所に当てて、擦りあげるのも忘れない。
「あ、やべっ、めっちゃ楽しい」
 疲れた様子の相手を、こちらが動いて気持ち良くイかせてやるのが目的だったはずなのに、すぐさま夢中になって好き勝手腰を振り立てた。律儀に、気持ちがいい時は気持ちが良いと言ってくれる相手に、頷いて、あえてその動きを変えてしまう。数回繰り返せば、相手はちょっとムッとした顔をしだしたから、余計にそれが楽しくて嬉しい。
「思ったより、意地が悪いな」
「あんたはひたすら紳士だもんな。優しいばっかのセックスもいいけど、たまにはこーゆーのも楽しくない? てか俺は楽しい。で、焦らされるのってどう?」
「わかった。今度してやる。あと、焦らされ切る前には、こちらの判断で終わりにするぞ」
「なんでだよ。最後まで主導権握らせろよ」
「力の差を考えて煽ってくれ。お前が私の理性を切ってどうする」
「あー……」
 忘れてたなと言われて、素直にごめんと謝った。
「楽しそうに、お前が自分で気持ちよくなってる姿は、悪くない。焦らさずこちらがイクのに協力するなら、このままお前が主導権を握っていても構わないが?」
「わかった。もう焦らさない。だからさ、魔法、解いてよ」
 再度、元の姿に戻ってと頼めば、暫く待たされたあとで、絶対にこれ以上焦らさないと誓えるか問われた。もちろん、誓うと即答した。

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竜人はご飯だったはずなのに6

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 お互い様だと言えばそうだなと返ったが、でもやはり申し訳なさそうな寂しそうな顔はそのままだった。もし彼にも自分と同じように、この関係に情が湧いているなら嬉しいのになと思う。
「こういうの、確かめてもいいのかわかんねぇんだけどさ」
「なんだ?」
「最中に好きだの可愛いだの言ってくれるの、俺がそうしようって言ったから続けてるだけで、今も食事を彩る言葉遊びのまま? 本当は欠片もそんなことは思ってないけど、薬で勃起してるから抱いてる感じ?」
「そんなわけがないだろう」
 即座に否定されてほっとすると同時に、小さく笑ってしまった。
「俺もだよ」
 体の欲求に従って彼を求めてしまうけれど、純粋に彼を想う気持ちだってちゃんと育っている。彼が与えてくれるものに、返す言葉は本心だ。味気ない食事を彩る言葉遊びでもないし、一晩限りの恋人ごっこを繰り返しているつもりもない。
 そう伝えたつもりなのに、相手はなにやら渋い顔になる。
「どういう意味だ?」
「どういうって、そりゃ、俺も言葉遊びで返してるんじゃなくて、ちゃんとあんたを本気で好きだと思ってる、って意味、だけど」
「何を言い出してるんだ?」
 ますます渋い顔で、困惑を混ぜてそんなことを言われる意味がわからない。
「え?」
「お前が本当に食べたいと思っているのも、好きだと言ってほしいのも、言いたいのも、世話係として置いてるあの子だろう?」
「えっ?」
「私に本気で好きだなんて言ったと知ったら、あの子がガッカリしてしまうよ?」
「ちょ、待て待て待て。てか一回抜いて」
「やはりそこまで腹が減っているわけではなかったらしいな」
 もっともっととこちらがねだるのが通常で、中断してくれなんて言ったことは確かに無かった。多分、さっきも言われたように、マズいものばかり食べさせられて美味しいものが食べたかったのが本音で、もう少し言うなら彼に来てもらうことそのものも目的の一つで、既にかなり満足しきっているんだろう。
「しかし先程も言ったように、こちらは薬を使って抱きに来ている」
「つまり?」
「完全に中断してゆっくり話を、というのはさすがに難しい」
 だと思った。
「欲情しきってる状態でこれ、とかあんたの理性強靭すぎだろ」
 もっとそれっぽく振る舞ってくれなきゃわかんねぇよとぼやけば、それも食事担当になった理由の一つだと言われた。なるほど。竜人の力を持って理性飛ばして抱き潰すみたいに扱われたら、そのままそれが死に直結しそうだし、こちらを生かし続けたい彼らからすればそこは細心の注意を払って選んだことだろう。
「じゃあ続きしよ。そっち優先で」
「だが、空腹なわけでもなく、気が乗らない状態でするのはキツイだろう?」
 そういや元々はそれを心配されていたのだと思い出す。
「んー、なんか大丈夫な気がする」
「何がどう大丈夫なんだ」
 そう聞かれた所で、わかりやすく理由を提示できそうにはなかった。だって今日は開始する前からして色々とありすぎで、ただでさえたいして良くない頭が、詰め込まれた情報を全然処理しきれてない。
「そうだな。強いて言うなら、あんたを好きって、かなり本気で言ったから、かな」
「全く意味がわからないのだが」
 そう言うだろうと思った。薬のせいとはいえ、好きな子が目の前で欲情しきった状態で耐えてるなんて知らされて、興奮しないわけがない。でも多分、そんな単純な理由だけでもない気がするから、ただの性癖と言い切ってしまうのは控えたい。こういう自分の直感は、割と信じる方だった。
「まぁまぁ、今はとりあえず続けようぜ。我慢して理性ぶっちぎるほうが怖いだろ?」
 言えば確かにそうだなと苦笑されて、ゆるりと腰を動かされる。あまり心配をかけないようにと、こちらも目の前の彼だけにしっかり意識を向けた。

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竜人はご飯だったはずなのに5

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 どうやら彼が話しておきたかったのは、少しずつセックスによる食事頻度を下げていくという計画についてらしかった。薬の話をしたのも、彼の体に大きく負担がかかっている現状を知らせ、抱きに来いと頻繁に訴えるこちらを牽制するのが目的だったのかもしれない。
 全くナシになるのは当分先になるにしても、頻度が下がればそれだけ彼と会う機会も減ってしまう。それが、なんだか酷く怖いことのように思えて、不安になる。
「薬飲まないと勃たないなら、舐めに、来てよ。精液食わせてくれなくていいから、唾液だけでも頂戴」
「飢えきった体に対してならともかく、唾液はそこまで栄養があるわけではないらしいぞ」
「それは体感的にわかってる。けど、薬飲まなくていいなら、今よりもっと頻繁に通って来れるだろ。だから回数でカバーして」
 あ、これは結構いい案なんじゃないか。なんて浮かれかけたのは一瞬で、すぐに無駄な提案だと言わんばかりに、彼が言葉を続けていく。
「いや、回数でカバーできるような問題じゃないというか、それこそ口直しくらいにしかならないというか。あの子が極力、食後にしかキスを与えないのは、キスじゃ腹が満たされないのをわかってるからだよ。食欲が刺激されるだけで、余計に抱かれたくなってしまうだろ?」
「食後だけでも、めちゃくちゃ抱かれたくなってんだけど」
「そう。そこが難しいらしくて」
 理論上はあの液体でエネルギーが補えていれば、そこまで抱かれたい衝動は起こらないはずらしい。んなこと言われたって、実際その衝動がどうしようもなく湧き上がってしまうのは事実だ。
「味が改良されて、食事として受け入れてもらえるようになれば、もう少し気持ちごと満たされてそんな衝動も減るかもしれない。ということで、あれを美味しくするってのが最前の目標らしいな」
「あー、まぁ、確かに。マズいもんばっか食ってたら、たまには美味いもん食わせろってなるよな。美味いもの、はっきりしてんだからさ」
「そうだな。というわけで、そろそろメインディッシュに移ろうか」
「いつまで待たされんのかと思ってたよ」
「悪かった。ただ、お前が抱かれたがっても何も出来ないってあの子が困り果てるから、こちらがどういう思惑で動いてるのか、お前にも少し知っておいて欲しかったんだ。何も知らずにただ焦らされるより、呼ばれてすぐには来れない理由がわかっていたほうが、いくらか気持ちが楽だろう?」
 ああ、そうだ。今後ますます彼と会える機会が減っていく、という点をどうにもできない。
 先ほど感じた不安を思い出してしまって、抱かれたいと切望する以外に彼をこの部屋に呼ぶ手段が何かないかと考えたいのに、抱かれ始めてしまえば余計なことに思考を回す余裕がなくなる。
 どうしようもない不安が胸の奥に燻っていて、どうやらそれは体を繋ぐ相手にも伝わっているようだ。何度も甘やかに情を交えたセックスを繰り返した相手なのだから、当然といえば当然だった。
 ついでに言うなら、世話係の彼がこちらの状態を彼を含むどこかへ報告しているように、彼だってこの食事内容をどこかへ報告しなければならないのかもしれない。二人共、細やかにこちらをよく観察している、と思うことは多かった。
「あんな話を聞かせたから、気分が乗らないか?」
「来てくれる頻度落とすって言われたんだから、今を大事にして、めいっぱい楽しまなきゃ損だろ、ってのは、思うんだけど。逆に、次っていつなんだとか、今度はどんだけ焦らされることになるんだとか、考えちゃって」
「なんだ。気になるのはそっちなのか?」
「他に、何か気にしそうなことって、言ってたっけ?」
「薬でむりやり体を発情させて、お前を抱いてる」
「ああ、うん。ゴメンな。毎回すぐ寝ちまうの、あんだけ出せば疲れもするだろと思ってたけど、薬による疲れもあったんだな」
 初回にここで寝ていけばいいと引き止めたせいか、二度目からは当たり前にそのまま寝ていく。翌朝スリットを弄って起こすのも変わらないし、その度怒られはするが、でもやっぱりその次もまた無防備に寝姿を晒してくれる。
「それはいいんだ。そうじゃなくて」
「そうじゃなくて?」
「こんなに睦言を繰り返しているのに、その実、お前の体に欲情してるわけじゃないというのは、少し、申し訳ない気もしている」
「優しいな。そんなこと言ったら俺だって、あんたの体に欲情してるとは言えないのに」
 それでも、食事と割り切らないセックスに、もちろん情は湧いている。もし口から食べる食事だけで満たされて、彼とのセックスが必要なくなっても、彼さえ応じてくれるなら情を交えるためだけの食事じゃないセックスがしたいくらいには、この行為そのものを楽しんでいる。受け入れている。彼へ好意を寄せている。
 ただまぁ、薬の力を借りない本来の繁殖期が十年近く先では、どうしようもないけれど。

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