Wバツゲーム17

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 口でして貰う気持ちよさを思えば、してやりたいし、して欲しいと思う。けれどやってみないと出来るかわからないと言っていた事を、今試してしまうのはどうだろう?
 後追いしてくるから、こちらが咥えれば相手だって張り合って、取り敢えず口でしてくれるのはわかっている。でも無理をさせたいわけじゃない。
「先輩?」
 余裕なんてなさそうなのに、こちらの逡巡を感じ取ったらしい相手が、どうしたのかと問いたげに見つめてくる。
「ゴメンね」
 謝れば不思議そうな顔をするから、こちらも首を少しばかり傾げてやった。
「他のことに意識散らしてるの気付いて、それを咎めたわけじゃないの?」
「何、考えてたんすか」
 硬い声は掠れかけたうえに緊張が滲んでいる。試されている側と言っていたから、ダメ出しでもされると思っているんだろうか。
「他のことって言っても、結局はお前のことなんだよ。ちょっと、どうすればもっと一緒に気持ちよくなれるか、考えてただけ」
「やっぱ、もの足りないてこと、すよね」
 はぁと熱くこぼれた息はため息にも似ている。ああ、失敗した。
「ちっがう、って。メチャクチャきもちぃしお前可愛いし、もっとアレコレ色々してみたいけど、お前に無理させたいわけじゃないし、お前に引かれたくないの。俺の恋人になるのは無理だって思われたくないの」
「それ、まるで、俺に恋人になって欲しいみたい……っすよ」
「そうだよ。そう言ってるんだよ」
 言えば少しばかり大きく見開いた目を、パシパシと何度か瞬かせる。それから嬉しそうに、おかしそうに、顔を綻ばせながらクッと喉の奥で笑った。
「先輩って、可愛いっすよね」
「は?」
 脈略がなさすぎてすぐに反応ができずにいたら、相手はますます楽しげだ。
「なりますよ、恋人に。一ヶ月経ったら本気の告白しに行くんで、そしたら罰ゲーム終わらせて、俺をごっこじゃない恋人に、して下さい」
「それは、もちろん。でもお試しは? まさかここで中断とか言わないよな?」
 とっくに互いの手は止まっていたけれど、だからって自分の手の中のものが萎えていないのも、相手の手の中にある自分自身の勢いが衰えていないこともわかっている。
「さすがにここで中断はお互い辛すぎじゃないっすか?」
「んぅっ」
 くちゅっと尖端を指の腹で擦られて、一瞬だけ息を詰めた。
「先輩俺より全然エッチだし、したいこと全部出来るとはとても言えそうにないっすけど、でも、恋人になって欲しいって事は、俺が出来る範囲で満足してくれる気でいるんすよね?」
「うん。というか俺、エッチなことさせてくれないからって理由で、彼女に別れてもらった事なんてないんだけど……」
 逆はある。挿れてくれないのは愛されていないからだと判断されて振られる事はあった。あまりに求められたら、変な既成事実を作られる前に、応じられないと言って別れを切り出すこともあった。でも基本的には振るより振られる方が断然多い。
「別れてって言わないことと、お前じゃ満足できないって思わないことは、イコールじゃないっすよ。先輩に振ったつもりがなくても、別れるといい出すのが相手側でも、それって結局、先輩が振ってるのと変わりないと思うんすよね」
 そんなことは考えたことがなかった。言われてドキリと、心臓が嫌な感じに跳ねる。
「先輩を好きって思ってたら、それに気付いて恋人続けられなくなる人が居るの、わかる気がするんすよ。というかきっと俺は、そうなるタイプっす」
「そ、……っか」
 辛うじて吐き出した声ははっきりと掠れていた。相手は責めてるわけじゃないっすけどと苦笑してみせる。
「先輩は優しいっすけど、それは特別な一人に対してだけじゃなくて、誰にでも同じように優しいんすよね。先輩が恋人とあまり長く続かないの、相手が誰でもいいの隠さないからってのも、理由の一つなのわかってます?」
「それは、まぁ」
「誰でもいいなら俺でもいいっすよね。とは思うんすけど、お前じゃ物足りないって態度を長く続けられたら俺のほうがダメになるのだけ、覚えてて下さい。これから俺は、先輩を本気で好きになるっすけど、自分の傷が深くなる前に離れようと思ってるくらいには、俺だって自分が大事なんで」
「わか、った」
「萎えるようなこと言ってすみません」
 続けていいっすかと言いながら、止まっていた手をゆるゆると動かし始める。ずっとこちらを追いかけるように動いていた手が、相手の意思で好き勝手に動き始めたことで、中断していた熱はあっと言う間に再燃した。

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Wバツゲーム16

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 相手が同じように脱いでいくのを、主に股間を注視しながら見守ってしまえば、さすがに見過ぎとのクレームが入る。いやだって、気になるだろ。
「ゴメン。デリカシーなさすぎた」
 それでも謝罪の言葉を吐き出し、自嘲を混ぜた苦笑を見せたのは、相手の頬が薄っすらと赤くなっていることに気付いたからだ。興奮よりも羞恥でという雰囲気に慌てたせいもある。
 今までの抱っこも先程のキスも、胸に触れて舐めるのでさえも平然と受け入れていたから、てっきり羞恥という感情とは無縁かと思っていた。恥ずかしがる姿なんて見たことがなくて、内心それなりに驚いていたし、その一方で喜んでもいた。
 期待や興奮の漏れ出る声を聞くことも、ほのかに頬を染め羞恥する姿を見ることも、楽しくて仕方がない。
「でも恥ずかしがる必要なんてなさそうなのに。というか立派すぎない?」
 謝罪して苦笑しながらもそこから視線を外せなかったのは、下着の中からボロンと出てきた彼のペニスを目にしてしまったからだ。
「わー、これ、ちょっとショックかも。身長ほぼ変わんないのに、お前のが明らかにデカイよね」
 服越しでは自分との違いなんてわからなかったし、そこまで大きな差があるわけではない。それでも絶対彼のほうが大きいと思う程度には立派なものが、彼の股の間で勃ち上がっている。
「大きけりゃいいってもんじゃないっす」
「早漏なの? もしくは感度悪くてめちゃくちゃ遅い方?」
「人と比べたことないんでわかりません」
 からかう口調で聞けば、ますます気を悪くした様子の、苛ついた声が吐き出されてきた。見過ぎと咎められたのも結局口先で謝っただけで視線が外せていないままだし、立派と思うのはこちらの主観でしかないのはわかっているし、どうも何がしかのコンプレックス持ちらしいから、これ以上この件に触れるのは止めた方が良さそうだ。
「うん。俺もない。ま、お前がどっちでも大丈夫だからベッド乗って。それとも立ったままのが興奮する?」
 触っていいかと聞いたらベッドへと返ってきたので、頷いてすぐ隣に置かれたベッドに転がり、脇のスペースをぽんぽんと叩いて同じように横になるよう促した。
「もっかい、キスしようか」
 素直に横へ転がった相手に擦り寄って、顔を寄せながら甘やかに誘う。
 早く触れたいと急く気持ちはもちろんあった。内心にそんなギラつく欲望が渦巻いているのを自覚していたが、当然そんなものを顔に出すわけがない。
 だってもう、こちらの気持ちは決まっているのだ。求めすぎて応じられないと思われるわけにはいかない。気持ちよく満足しあって、これなら恋人としてもやっていけると思ってもらわないと困る。罰ゲームを終えた後に、告白して貰う気満々だった。
 はいと頷くのを待って唇を塞ぐ。先程気持ち良いと言ってもらえたキスを、再度惜しみなく与えてやる。そうしながらも空いた手を彼の性器に絡ませれば、一度大きく体を跳ねた後、相手もこちらの性器へ手を伸ばしてきた。
 最初は自分が感じるやり方で、だんだん相手の反応が大きな場所を重点的に、ゆるゆると撫でて擦って扱いてやる。刺激に弱いわけではないようで、簡単にイッてしまうということはなかった。かといって感度が悪いわけでもなさそうで、与える刺激にビクビク震えながらトプトプと先走りを零し、キスの途切れた口からは熱い息を吐き出している。
 たまらなく可愛いと思うのは、こちらが相手の反応に合わせて手の動きを変えているのに対し、相手はこちらの動きを後追いしている点だろう。胸に触れられた時もそうだった。童貞ではなくても、やはりそう経験があるわけではないのだろう。
「気持ちよさそ。可愛いね」
「先輩は? 気持ちよくないとか、言わないっすよね」
「もちろん。きもちぃよ。凄く」
「可愛いっすよ。先輩も」
 ふふっと笑いながら声を掛ければ、笑い返す余裕まではないもののしっかり張り合ってくる。本当に、可愛い。

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Wバツゲーム15

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 まったく想定外の情報が色々と流れ込んで来たせいで、酷く戸惑っている。律儀で、真面目で、色々気遣ってくれるこの後輩への好意は当然育っているが、でもそれはもちろん恋愛的な好きではない。相手の好意だって感じてはいたし、だからこそ甘えるような真似ができていたというのもあるが、まさか相手にそういった感情が育っているなんて、考えたこともなかった。
 戸惑って何も言えずに突っ立ったままでいれば、あっさりシャツを脱がされ、肌の上を手の平が這い回る。気持ちが悪いどころか、どこか慰撫するような優しい触れ方に、安堵や安らぎを覚えてしまうから、その手を振り払えはしなかった。
 罰ゲームじゃなく付き合ったらきっと傷つけてしまうのに、諦められると言っている今のうちにキツく突き放せないのは、結局自分優先なクズだからなんだろう。だって罰ゲームを終えた後、次に誰かが告白してくれるまでの空白期間を寂しく過ごさなくて済む。
 好きだと言われてしまった以上、罰ゲーム中とまったく同じようには行かないだろうけれど、それでも人の本質はそうそう変わるものではない。もう付き合いきれないと思われるまでは、この後輩との楽しく穏やかな時間も、充実しまくった週末の食事も堪能できるのだと思うと、どうしたって嬉しい気持ちが勝ってしまう。
 今のうちに諦めたらとはちゃんと勧めた。本気の恋人には向かないと忠告だってした。その前には、自分と付き合うことのデメリットを説明してさえいる。それでも相手から踏み込んでくるものを、言ってわからないならとキッパリ拒絶できるような優しさなんて自分にはない。
 バカだなぁと思う。色々噂を聞かされたはずだし、それを肯定するような事もあれこれ言ったはずなのに。寂しさを埋めてくれる相手なら誰でもいいと思っているような男に、好きになったから付き合いたいと言ってしまうなんて。
 アチコチ撫で擦った後、胸を両手で包まれる。決して立派とは言えない胸筋を手の平でやわやわと揉まれながら、乳首の上に乗った人差し指がそっと乳首を押しつぶした。
 ああ、これ、さっきのを真似ているのか。
 自分が彼にやった事を、ほぼ同じように辿られている事に気づいて、その意図はともかく随分と可愛らしいことをすると思った。
「ぁあっっ」
 手順がわかっているのだから、次は乳首を舐められるのだということもわかっていた。わかっていたのに、しゃぶりつかれた瞬間、思いの外大きな声を上げてしまってビックリする。相手も驚いたのか、せっかく付けた口を離して、真っ直ぐにこちらを見つめてくるからさすがに照れくさい。
「先輩は胸、感じるんすね」
 感じすぎるなら今は舐めるの止めましょうかと言われて、慌てながらもそのまま続けてと口にしてしまい、何を言っているんだと更に羞恥がつのった。顔が熱い。
 赤面するこちらへの戸惑いはあるようだったが、そこへの突っ込みはなく、相手は軽く頷いた後、素直に頭を再度胸の先に寄せていく。近づく気配だけでも、ぞわぞわとしたものが背筋を駆け上った。ちゅ、と乳首の先に触れた唇が開かれていき、ぢゅっ、と彼の開かれた口の中に吸い込まれていくのを見ながら、これはヤバイと思いつつ小さく呻く。
「んぅっ……」
 それは物理的な気持ちよさというよりも、視覚的な快感だった。ほぼ真っ平らとも言える男の胸の先に必死で吸い付く彼が、なんだか酷くイヤラシイと思ってしまったのだ。
 イヤラシクて、可愛くて、興奮する。
 たまらなくなって、そっと相手の股間に手を伸ばした。胸を舐められても感じている様子はなかったし、男のまっ平らな胸を吸って弄っても興奮はしていないかもと思ったが、布越しでも相手の昂りははっきりとわかる。良かった、萎えてない。
 脱がすよと言った時に下も一緒に脱がしてしまえば良かったと思いながら、ベルトへ手をかけたところで、胸を舐め弄っていた相手の頭が胸元から離れていった。
「先輩?」
「下、脱いで。お前の、触らせて」
「先輩は? 俺だって触りたいっす。俺も触って、いいんすか?」
「ん、いいよ。じゃあ、俺も脱ぐから」
 相手のベルトに掛けていた手を離して、さっさと自分の着ていたズボンと下着を脱ぎ捨てる。夕飯後に帰宅予定の相手と違って、どうせもう家を出ることはないとラフな格好をしていたので、あっさり素っ裸だった。

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Wバツゲーム14

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 口を離して顔を上げれば、相手はやはり困惑の色合いの強い顔でこちらを見つめていた。
「気持ち悪くなかった?」
「変な感じはあるっすけど、まぁ、取り敢えず耐えられなくはないっすね。それに先輩、楽しいみたいなんで」
「何それ健気」
 思わず苦笑してしまったら、試されてる側なのでと返されて一瞬首を傾げてしまう。
「ね、それ、俺がお前を試してるみたいな言い方だけど、逆じゃない?」
 言えば相手も不思議そうに少しばかり首を傾げた。
「だってどこまで出来るか試そうって言い出したのも、告白してきたら付き合うって言ったのにまずは試させろって言ったのも、お前だよ?」
「付き合ってもすぐ振られるんじゃ、意味ないんで。俺だって、本気になってから振られたら、やっぱ人並みに傷つくんすよ」
「ん? ちょっと待って。本気になるってどういうこと?」
「これ試して先輩が満足できそうなら、告白するって言ったっすよね」
「うん。聞いたけど」
 でもそれが本気になるとか振られたら傷つくとかって話と、どう繋がるのかわからない。どういうことだと頭の中に疑問符を飛ばしてしまう中、相手も同じようにわけがわからないと言いたげな顔をしている。
「罰ゲームじゃなく本当に恋人になるって事は、本気で好きになっていいって事じゃないんすか?」
「は?」
 呆気にとられながらも、思いの外大きな声を漏らしてしまった。
「え、お前、俺を好きになる気でいるの?」
「好きでもない相手に告白して付き合って下さいとか、罰ゲームじゃなく言うと思ってんすか?」
 既に結構好きになってんすけどと拗ねた口調で言われてますます唖然とする。
「え、だって、お前、俺とバスケするの楽しくてこれ続けたいんじゃないの?」
「それが目当てで続けたいとは言ってないすよ」
「そ、だっけ?」
 先程の会話を必死で思い出す。確かに、彼女を作るより一緒にバスケするほうが楽しいと言われただけで、バスケをしたいから続けたいと言われたわけではなかった。
「あー、うん、そうだね。続けたいのは俺にたぶらかされたから、だっけ。てかそれ、俺を好きになったって意味か」
「じゃあどういう意味と思ってたんすか」
「甘ったれで万年スキンシップ不足の、一人で食事ができない可愛そうな男を見捨てられない、的な意味かと。だってお前、なんだかんだ俺の罰ゲームに付き合って毎週泊まりで飯作りにくるようなお人好しだし。真面目だし、優しいし、年下のくせに俺を甘やかすし、実際なんか心配されてたし」
 言い募れば、確かにそれもあるっすねと肯定されてしまった。やっぱりね。
「けど好きになってなきゃ、心配もしなけりゃ、続けたいとまで言わないっすよ。先輩が言うほど、そこまでお人好しでも優しくもないんで」
「そっか……あのさ、まだ本気で好きになってないなら、やっぱ引き返さない?」
 キスして胸弄り回しちゃったけど、でもまだギリギリセーフじゃないかと思う。性器触ってないし、触らせてもないし。はっきり気持ち良くなってないし。いやでも、先輩のキスすっげキモチィとか言わせるほど、頑張って感じさせちゃったか。
「それ、どうせ続かないから、結局振られて傷つくのはお前だって、言ってるんすよね?」
「う、うん、ゴメン。もっと軽い感じで考えてた、かも。罰ゲームの恋人って、俺を好きじゃない相手は楽でいいなとか、思ってたりもしたし。ホント、自分で言うのも何だけど、本気の恋人向けじゃないからさ」
「別に、俺が重くなって振るなら、いいすよ」
「どこがだよ。良くないでしょ。本気になってから振られたら傷ついちゃうって、お前が言ったんだろ」
「正直言えば、俺の好きが重いとか言って振られる気は全くしてないっす。どう考えたって、俺より先輩のが甘えたがりの構って欲しがりっすもん。ただ、俺も先輩も男としたことないじゃないすか。男同士で先輩のエロ方面がどこまで満足できるのかわかんないのと、俺がどこまで出来るかわかんないから、それが合わなくて先輩が不満ためて上手くいかない可能性は高いだろうなって思うんすよね」
 だから先に試してみて、ダメそうならさすがに諦めます。との事らしい。
「諦められるなら、今のうちに諦めたほうが良くない?」
「試さずに諦めるのは嫌だ、と思う程度には、もう好きなんで。それに、俺に突っ込む気がないのも聞いたし、触られても舐められても、今のところ気持ち悪いと思ってないっすもん」
 引き寄せられて柔らかに背を抱かれながら、先輩が続けないなら次は俺がしますという言葉が、とろりと耳の中に流し込まれた。

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Wバツゲーム13

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 背を抱いていた手がスルッと背を滑り落ち、グイと腰を引き寄せる。それに慌ててしまって、ひっそりと落ち込んでなどいられなかった。
「ぁっ……」
 自分の上げた小さな声と、相手が安堵で吐き出す息が重なる。
「先輩も、勃ってる」
 身長のあまり変わらない二人が股間を押し付けあっていれば、互いの状態なんてわかりすぎるほどに伝わるのだから、噛みしめるようにしみじみと言わないで欲しい。というかそもそも、そんな確かめ方をしないで欲しい。
 相手の興奮も自分の興奮もまざまざと突きつけられて、それに煽られ益々興奮していくようだった。
「ベッド、行く?」
「はい」
 誘えば躊躇いなく頷かれて背に回っていた腕が外されたが、せっかく作ってくれた夕飯が冷めてしまう事も少しばかり気に掛かる。
「温め直せば平気っすよ。俺が、やりますから」
 運んで欲しいと言われていた皿に、チラリと視線を送ってしまったことに気付いたらしい。
「んっ。じゃあ部屋、行こっか」
「はい」
 再度頷く相手の僅かな声からも、期待と興奮とがはっきりと漏れ出ていた。
 風呂とトイレは別で、後は小さなキッチンと一応のリビングと部屋一つという構造なので、ベッドまでの距離なんて大した事はないのだけれど、そんな素直さが可愛いような愛しいような気持ちで、相手の手をしっかりと握って導くように歩きだす。単に離れがたく、相手に触れ続けていたいだけでもあった。
 ベッド脇に辿り着き、くるりと体の向きを変えて向かい合う。
「脱がして、いい?」
「はい」
 やっぱり短い肯定が返って小さく笑った。
「さっきから、はい、しか言わなくなってる」
 服に手をかけさっさと脱がしに掛かりながら、緊張してるのかと聞いてみる。
「多少は?」
 なんで語尾上げてるんだろうと思いながらも、剥き出しになった相手の肌とその下の筋肉に釘付けで、そんな疑問はすぐにどこかへ消え去った。
 この一ヶ月弱、週末はずっと泊まりだった上に、バスケをして帰った後は順番に汗を流したりも当たり前にしていたけれど、風呂上がりに半裸でうろつくようなだらしない真似をしていたのは自分だけだったので、抱っこされた時に薄い布越しに感じることはあっても、彼の胸筋や腹筋を直接見るのは初めてだ。
 バスケを始めて数ヶ月ではあっても、中学時代も運動部だったという彼の体は程よく引き締まっている。
「触るよ」
「どうぞ」
 疑問符をつけないそれはただの宣言でしかない。それでも一応相手の了承が降りるのを待って、それからその肌の上に手の平を押し当てた。
 男の体を性的な興味を持って撫で回すのも当然初めてだ。この興奮はだからこそなのだろうという自覚は頭の隅にあるものの、興奮した自分が相手の目にどう映っているかまでは思考が回らなかった。目の前の体にうっかり夢中になって、そんな自分を観察されている事に気づかなかった。
 手の平で一通り女の子にはなかった筋肉を楽しんでから、膨らみも柔らかさもない胸を両手で包むようにして揉みながら、小さすぎる乳首を指先で捏ねる。
「ぅっ……」
 初めて何かを耐えるような声が漏れて、慌てて手を外すと同時に俯いていた顔を上げた。相手は眉を寄せ、眉間にわずかなシワを刻んでいる。
 しまった。興奮に任せてやりすぎた。
「ごめん、気持ち悪かった?」
 慌てて謝れば、相手はゆるく首を振ってから大丈夫だと返してくる。
「本当に? 我慢してない?」
「してない、す」
「じゃあもう少し、続けていい?」
「はい」
「ちょっと舐めたりもするけど、気持ち悪くなったらすぐ言ってね」
 やはりはいと返ってくる声を聞きながら、相手の胸の先に頭を寄せた。
 片側をチロチロと舐めながら、もう片側は先程と同じように指の腹で擦ってやれば、声は漏れなかったが腹筋がヒクリと蠢くのを感じた。あまり強い刺激にはならないように注意しつつ、それでもしつこく続ければ、やがて小さいながらもプクリと膨らみその存在を主張してくる。
 でも刺激に対して反応しただけで、この行為を気持ちよく感じては居ないだろう事も、ちゃんとわかっている。女の子だって、胸だけ触って感じてくれる子は少なかった。

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Wバツゲーム12

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 もし恋人になったらしたいエロいことって何ですかと再度聞かれて、だから別にエロいことが出来ないから罰ゲームの延長を断ったわけじゃないんだけどなと思いながら、逆に何が出来るのと問い返す。ついでに、男相手なんて無理って思うことは何かとも付け加えておいた。
 相手が無理だと思っていたから手を出さなかっただけで、してみたい気持ちが自覚出来るレベルで興味があるのは事実だから、こんな据え膳じみた状態をみすみす逃すつもりはない。でも自分が傷つくのは嫌なヘタレな屑だから、やっぱ男相手なんて気持ち悪いですって言われるのは避けたかった。
「キスとか、手で抜くのは多分出来ます。フェラはちょっと、やってみないとわかんないっすね。後、突っ込まれるのだけは絶対無理す」
「俺、突っ込むセックスはしてないって言わなかった?」
「だってそれ、妊娠したら困るって理由だったじゃないすか」
「ああ、まぁ、確かに男は妊娠しないか」
 女の子との突っ込まないイチャイチャに慣れすぎているのか、さすがに目の前の男を抱きたいという方向で考えたことはない。そうか、男相手なら突っ込むセックスも有りか。チラリと想像した感じでは欠片も無理そうではなかったから、相手さえ望めば喜んで抱いてしまいそうだけれど、本人が絶対に無理だと言っているのだからこれは考えるだけ無駄だろう。
「それ、俺に突っ込みたいとは思ってなかったって事でいいんすよね?」
「うん。考えたことなかった」
 正直に肯定すれば相手は酷くホッとした様子を見せた。
「じゃあさ、俺に触られたり舐められたりするのはどうなの?」
 彼に対する興味はどちらかというと、その体を撫で回して気持ちよく善がる姿が見てみたいという気持ちが強かったから、触られるのなんて気持ち悪いと言われたら残念だなと思いながら聞いてみる。
「先輩が俺を触るんすか?」
「うんそう。というか、お前が考える俺のエッチって、相手に色々して貰ってるイメージのが強い?」
 自分が触られるスキンシップももちろん好きなのだけれど、相手に触れたいスキンシップ欲求も強いということを、彼はきっと知らないのだろう。だって抱っこされる時に抱き返す程度のことしかしてこなかった。
「割と。だって先輩、すっげ甘えたがりじゃないすか」
 まんまと肯定されて苦笑する。しかも凄い甘えたがりだと思われてたのか。
 慣れてしまってからは自分から抱っこをせがむ事も多かったから、そう思われていても仕方がないのかもだけど。
「それはお前だからだよ。お前が抱っこなんかして俺を甘やかすから甘えちゃうの」
「なら女の子には甘えないんすか?」
「そりゃ甘える事もあるけど。でも甘えっぱなしってことないし、甘やかすのだって好きだよ?」
 甘えてくるならお前のことだってちゃんと甘やかすよと言ったら、先輩優しいっすもんねと納得顔で返されてなんだか照れくさい。
「と、とにかく、俺を好きって言ってくれる子相手に、そこまで受け身な態度取らないんだって。お前とは罰ゲームだったから積極的に手ぇ出したりしなかっただけなの」
「そういや、エロいことしちゃうよって、言ってたっすね」
「言ったね。でもお前は、俺がしたいならしてあげたいって言ったんだよな。俺がお前に何かするイメージもなかったみたいだし、俺にアレコレされるの無理ってなら、それでもいいよ」
「無理じゃない、す」
「そ、良かった。なら手始めに、今すぐここで、お前にキスしてみてもいい?」
「あ、はい。どうぞ」
 どうぞなんて言われてキスするのはなんだか調子が狂うというか、ムードもへったくれもないなと思いながら、相手の頬に片手を添えてゆっくりと顔を近づけていく。
「目、閉じて?」
 顔を寄せてもジッとこちらを見つめたままの相手に、唇に触れるギリギリのところで仕方なく声を掛けた。すぐさま無言で相手の瞼が降ろされたが、本当にムードがない。
 ムードはないけれど、むしろそれが彼らしいなとは思った。でもだからこそ、色っぽく変わる姿が見たいし、キスだけでどこまで相手の欲を引き出せるかとも考えてしまう。
 瞼が降りきったのを見届けて、まずはそっと唇を押し当てた。
 何度か角度を変えて、ゆっくりと触れ合わせるキスを繰り返しながら、少しずつ相手の唇を吸い上げ啄み甘噛んで解かせていく。そうしてからやっと舌を差し入れれば、まるで待っていたとでも言うように、相手の舌が積極的に絡んできた。されるがままのつもりかと思っていたから、少しばかり驚いた。
 こちらの驚きが伝わったのか、律儀に閉じたままだった瞼が持ち上がり、こちらの様子を窺ってくる。その瞳を超近距離で見返しながら、別に勝負でもなんでもないのに、負けたくないなと思ってしまった。
 きっと、先程中学で童貞を捨てたと聞いたのと、やはりそれなりに経験があるのだろう様子が原因だ。自分の童貞卒業が高校入学後だったなんてのは相手に全く関係がない、なんて事はもちろんちゃんとわかっている。
「んっ……」
 とうとう相手が甘く鼻を鳴らしたのを合図に、ゆっくりと顔を離していく。
 さすがに長いこと続けすぎたキスにお互い息を整えあった後、先に口を開いたのは相手だった。
「先輩のキス、すっげキモチィすね」
 興奮で目元を赤く染めたまま、余韻に浸るようにうっとりと告げられた言葉に、こういうとこでも素直なんだなと感心する。素直に、お前もかなり上手かったよと返せなかった自分の小ささに、勝手に勝ち負けを感じて躍起になって頑張ってしまった事実に、なんだか落ち込みそうだった。

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