親父のものだと思ってた26

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 どれくらい先になるかわからないと言われた「いつか」は、思っていたより早く来た。リハビリ成功と言っていたし、躊躇う理由や怯える理由が減って残るのは、恋人ともっとエロいことがしたい欲求だってのは想像に難しくない。色々抱えて慣れるのに時間が掛かるってだけで、結構しっかり興味があるのは元々わかっていたことだ。
 ただまぁ、年齢や経験の無さやらを気にしているのも、自身の体にまったく自信が持てないらしいのも事実らしく、もっと言えば、子供の頃から知ってるどころか、半ば成長を見守ってきたような年下の男相手に、自分の体の開発を任せる気にはならなかったらしい。
 ついでに、抱かれることを了承するのと主導権を明け渡すのは別、とかも思っているかも知れない。
 つまり、「いつか」は思っていたよりも早く来たが、想像していた展開とは全く違った。
「なぁ、今日、場所変えていい?」
 いつもどおりの週末、ソファに座って数回キスを繰り返しただけの段階でそう切り出された時はまだ、ただ期待が膨らむだけだったのだけれど。
「どこに? てか変える場所なんてどっちかの部屋しかないけど」
 部屋に入れてくれるのかと聞けばすぐに肯定が返ったから、相手に先へ進む意志があるのだと思って、内心浮かれまくってたのに。まぁ、先へ進む意志がある、の部分は間違いではないか。
「抱かれる覚悟できてきたから、今日ちょっと挿れてみるの試したいんだよね」
「え? なんて?」
「抱かれるの、試してみたい」
「うん、それは俺も嬉しいけど、でもなんか言い方が引っかかったっていうか……」
「とりあえず移動しないか?」
 何が引っかかったか突き止める時間はなく、促されるまま相手の部屋へ行って、ベッドの上に準備万端に用意されていたローションやゴムの箱を見て、違和感が更に増した。
 引き寄せられるようにそのローションを手に取り、半分ほど減って居るのを確認した後、コンドームの箱を取り上げる。そちらも当然のように開封済みで、中身は少し減っているようだ。
「ねぇ、もしかしなくても、俺の突っ込めそうなくらいに自己開発、した?」
 ゴムの箱を手に相手をまっすぐに見つめて問えば、気まずそうに視線をそらされたから、こちらが何を期待して裏切られたと感じているか、多分相手に伝わっている。
「した」
「ずるいっ!」
「ずるい、って言ったって……」
「そういうの、俺が、時間かけてゆっくり慣らしてあげたいって、思ってたよ?」
「でも俺だって譲れないとこはあるよ?」
 こちらがそう思ってたことは承知してて、でもそれは嫌だったから、勝手に自分で慣らしてしまったってことだ。
「恋人なのに? 相談もなしで?」
「だって相談したらお前、絶対に自分がやるって言ってきかないだろ」
「言うけど、無理強いまではしないよ?」
「お前に知られて進捗状況聞かれたり、本当は自分がやりたいのにって圧掛けられたりするの、考えただけでキツいんだって」
「一応聞くけど、抱かれる覚悟できたってのも、俺に抱かれる覚悟じゃなくて、俺のをお尻の穴に入れる覚悟ができただけ?」
 聞いてもピンとこないようで、何を聞かれたかわからない顔をしている。
「たとえば、俺だけちんこ弄られて気持ちよくなってた時みたいに、俺に勝手なことするなって言う? 寝そべってちんこ勃てとくだけでいいから、みたいな」
「あー……」
「言うんだ」
「そうして欲しい気持ちは、ある」
「やっぱり!」
「嫌か?」
「嫌に決まってんでしょ。てか俺、前にいくらだって待つって言ったよね? てわけで抱くの試すのなし。まずは俺に気持ちよくされるの、もっと慣れてからにしよう」
 せっかく部屋に入れてくれたし、ローションやらゴムやら準備してくれてるし、わざわざリビングに戻ることはしないけれど。でも相手にこの体を差し出して、自己開発した穴に上手に入るか試したい、なんてのに応じるつもりはなかった。だって相手が気にしてるのは主に年齢差で、多分こちらが主導権を握ってあれこれされることに不安やら抵抗感が強いだけで、深刻なトラウマを抱えているとかではないとわかっているのだから。

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親父のものだと思ってた25

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 顔が広く人望もある人物と拗れた上に、その前段階でゲイ疑惑などもあったから、殴られたりなどの肉体的な被害や、カツアゲだったり物を壊されたりの金銭的な被害はほぼなかったものの、居場所のなさと好奇の目に耐えられず、学校へ通うのが苦痛になったようだ。
「ヒソヒソされたり、通りすがりに暴言吐かれたりってだけでも結構精神的に削られるんだけど、その内容がまた酷かったっていうか、ゲイだと思われてたから下品なエロ単語とか、からかい混じりのお誘いとかもあったし、本来なら諌めてくれそうなリーダーは知らんぷりで動かなかったし、そういうのを自分で上手く躱せなかったんだよね」
 人との接し方がわからなくなって引きこもっていたところに、親戚の子供のトラブルが舞い込んで、頼み込まれて相手をしているうちに恐怖心は薄れていったらしい。
「そういや親父って、その話どこまで知ってたの?」
「リーダー格の男と揉めてクラスに居場所がなくなった、くらいには知ってるかなぁ。てか親とかもその程度の認識で、そのリーダーと何があってどんな風に揉めて、なんてのはお前にしか話してないよ」
「そっか」
「こんなのなかなか言えないって」
「そ、だよね」
「聞かなきゃ良かった?」
「まさか。教えてくれてありがと。てか本当に話して平気だった? 思い出して嫌な気持ちになってたりしない?」
「大丈夫」
 お前のおかげだよと、ふわっと笑われて嬉しくなる。
「お前と恋人になったあと、どこまで出来るかってのは、期待もあったけど不安も大きくてさ。童貞男としてはエロいことに興味だってあるし、好きな子と性的なことも含めて色々したい気持ちだってあったけど、お前、俺を抱きたいって言うし、そうすると相手が男ってのはやっぱり想像以上に過去を刺激してくるんだよね」
 お前が抱かれる側を了承してても、コンプレックスとトラウマが影響するだろうから、そうすんなり致せたかはわからないけど。と彼の言葉が続いたけれど、でもこちらが素直に抱かれていれば、相手の精神的な負担はもっと少なかった可能性が高いことはわかる。
「うっ、でも、俺が抱く側になるのは譲れないというか、どう頑張っても無理ってわかるまでは諦めたくないっていうか」
「わかってるよ。それも含めて、今はもう可能だと思ってるし、それはお前が自分で掴み取った未来ってことでいいよ」
「ねぇそれ、そういう色々があったとしても、それでも俺を放したくないくらい俺のことを大好き、って思っていいやつ?」
 茶化すように聞いたけれど、でも多分、そういう話だ。
「いいよ。前にも言ったけど、俺がお前を、長いこと掛けて誑かした面がかなりあると思ってるのは事実だ。色々抱えてる俺が、それでもお前が良くて、お前を必要としてる。ついでに、間違ってなかったとも思ってる」
 お前を選んでよかったと、また彼は嬉しそうに笑っている。
「無理やり体見られたり無理やりデカイの握らされた恐怖みたいのはやっぱりあったから、俺を抱きたいって言うくせに、俺に無理強いすることなく、むしろ俺に好き勝手させてくれるの、本当に救われたっていうか、今の今まで事情言えなかったのに、散々リハビリに付き合わせてゴメンな」
「リハビリ成功?」
「そう。お前に触れるし、触られても見られても平気。口でされるの気持ちよかったし、これ以上先に過去の嫌なことが響いてくることはないと思う。まぁ、未経験ゆえの不安とか恐怖とかはあると思うけど、それは過去があってもなくても変わらない話だし」
「確かに」
「まぁ、こんなおっさんの体相手にと思う気持ちも、未だにあるんだけどね」
 でも本気で抱く側を主張してるのはわかっているし、可能なんだろうことも思い知っているらしい。
 本気で主張の部分はともかく、本当に抱けるってことを既に思い知ってるんだ。
 そう思ったら、少し笑ってしまった。

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親父のものだと思ってた24

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「口でして貰ったの、俺が初めて?」
 抱きしめられて相手の顔が見えなくなったから、ちょっと聞きにくいことを聞いてみた。初めてじゃないって返されても、今なら、こっちからもギュッて抱きついて、嫉妬で荒れるだろう気持ちを宥められそうって気がしたのも大きい。
「初めてだよ。てか俺が恋人居ない歴を重ねてきた童貞って、知ってるでしょ」
「でも、ちんこ見られたのがトラウマだって言ってたから」
「確かに言ったけど、多分お前が考えたような状況とはかなり違うと思うよ?」
 そういうイジリだったんだよと告げる声はサラリとしている。
「イジリ……」
「まわりゴツイのに囲まれてさ、下着ごとズボン降ろされたことがあるんだよね。で、ビビって縮んでるのを見て、小さいダサいってからかわれたりしたわけ」
「は? って、色々あったの高3の時だって言ってなかった?」
 イメージ的には、せいぜい中学生までで卒業するレベルの行動に思える。
「そう。高校3年での話。信じられないのもわかるよ」
「なんでそんな目に……って、これ、聞いていい話?」
「いいよ。さっき、お前になら話しておいた方がいいかも、って言ったよね」
 そう言って聞かせてくれたのは、高校で知り合い一時期はかなり仲良くつるんでいたという男の話だった。
 他にも仲良くしていた友人たちが数人いたが、その男がグループのリーダー的な存在で、顔が広く人望もあったらしい。
 ある日、その男がどこからか無修正のAVを入手してきて仲間内での上映会が決定し、気が進まないものの回避できずに参加することになった結果、強引に性器を露出させられ、見られる羽目になったそうだ。
「初めての無修正に、真っ先にエグいと思っちゃったんだよね。しかも内容がちょっと強引な感じで女の子泣いちゃってたしで、更にドン引きして興奮するどころじゃなかったんだけど、そんな状態になってんの俺だけだったみたいでさ。みんなエロい凄いって大興奮なの」
 無修正見たことある? と聞かれて、ないと即答はしたけれど、過去に彼女が居たので、女性器を無修正どころか実際に見たことだってあるし、普通に致せた非童貞なので、自分もどちらかと言えば話に出てきた周りの男達よりかも知れない。まぁ、泣いてる女の子に興奮できるかは微妙なところだけど、イヤよイヤよもって感じだったなら、そこまで気にならない気もする。
「でさ、やっぱり最初に動くのはリーダーで、もう我慢できないって感じにナニを取り出したんだけど、それがまた驚きのデカさでさぁ。思わずガン見しちゃったらすぐに気づかれて、俺なんか見てないでお前もさっさと画面見て扱けって言うわけ。勃っても居ないのに無茶言うなって話なんだけど、いや俺はいいって言っても逃がしては貰えないよね」
 すぐに欠片も興奮していない事実にも気づかれて、それで無理やり脱がされて確かめられたついでに、ペニスをあれこれ批評されたらしい。
「それで学校行けなくなった?」
「だけじゃないよ。まぁでも、それが切っ掛けなのは確かで、その件がなかったら普通に卒業できた可能性高そうだから、もし人生やり直せるなら、何がなんでもAV上映会の参加を回避すると思う」
 とっくに寄せていた体は離れて、ただ隣り合って座っているだけの状態だけれど、窺う横顔は寂しそうだ。
「その後何があったかも、聞く?」
「聞かせてくれるなら」
「AV上映会で全く興奮できなかった俺はゲイ、って疑われるようになったよ。お前とこうなってる以上、実はけっこう的を得ていたのかもって思うけど、あの頃の俺にその自覚はなかったし、普通に女の子をおかずにしてたからゲイってからかわれるのもそれなりにキツかったんだけど、決定的だったのは、リーダーに呼び出されてあの規格外ペニスを握らされた時かな」
 あまりのデカさに凝視してしまったのもリーダーが誤解する原因になったのか、ゲイだというからかいがいつしかゲイだという決定事項のようになって、結果、もしかして自分に気があるのではと思ったようだ。
「待って待って待って。なにそれ聞き捨てならない。それ、まさか、俺以外のちんこ気持ちよくしたことあるんだよね、って話?」
「違うって。ビビって速攻逃げたよ。さすがにあっちもこんな話2人きりじゃないと出来なかったみたいで、相手一人だったからなんとかなったって感じだけど。ただ、それでリーダーと完全に拗れたんだよね」
 彼に歩み寄ろうとしたリーダーの厚意を踏みにじったから、ってことらしい。

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親父のものだと思ってた23

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 熱を吐き出した余韻でぼんやりとしながら、互いに息を整える。先に復活したのは相手の方で、もともと寄せてあったティッシュの箱から数枚抜き取り汚れを拭っていく。
「自分で」
「ぅん」
 言えば小さく頷かれて、新たに抜き取ったティッシュが数枚押し付けられた。
「聞きたいこと色々あるんだけど」
 汚れを拭き、摺り下げていた下着やズボンを戻しながら問えば、いいよと簡単に返される。
 相手も脱ぎ去っていた下着やズボンを身に着け終えて、でも再度ソファの前に腰をおろすことはなかったから、追いかけるようにこちらもその隣に座って、そっと相手を窺った。
「聞きにくいようなこと?」
 なかなか口を開けずにいれば、当然不思議に思うだろう。そりゃもちろん、聞いていいか躊躇う内容も含んではいるが、どちらかというと何から聞いていくかを迷っていた。
「ていうより、色々有りすぎて何から聞こうか迷ってて」
「なるほど。じゃあ待ってる」
「あ、じゃあ、えっと、口でされるの、本気で嫌だった?」
 待ってると言ってくれたけれど、考えたところで正解なんてわからない。だったら気になっている順だったり聞きやすい順でいいかと、口を開いた。
「最初びっくりしたけど、嫌じゃなかったし気持ちよかったよ」
「じゃあなんで、途中で止めさせたの?」
 無理って言ったよねと続ける声は、やはり少し恨みがましい。あそこで強引に中断されたのは本当に酷いと思ったし、結果的に、出来るとしてもまだまだ当分先と思っていた兜合わせで気持ちよくなりはしたけど、だからって、あの瞬間のやるせない気持ちをなかったことには出来そうにない。
「一緒にイこう、って言ったよ。それが一番の理由だけど、無理って言って引き離したのは、待ってって言ったのに止まってくれなかったから。はっきり無理って言わないと、本気で一度止まって、って思ってるのも、無視されるって気づいたから」
「止められなくても、多分、一緒にイケてたと思うんだけど」
「そうかも知れないけど、それは俺の、一緒にイキたい気持ちを満たしてくれないし。というか、お前が自分を気持ちよくし始めたから、俺もお前に触りたくなっちゃったの」
 一方的に口でされてるだけなら、あのままお前の口の中でイッてた。かも知れない、らしい。
「本当に?」
「本当に。というか口でイッて欲しかったのに、っていう恨み言であってる?」
「あってない」
 そりゃまぁ、口でイカせられてたら、それはそれで嬉しかったり安心したりしただろうけれど。でも口でイッて欲しかったのに、という気持ちがあったわけじゃない。そんなことはチラリとも考えなかった気がする。
「なら、一生懸命俺を気持ちよくしようとしてるのを中断させて、強引に一緒に気持ちよくなったのが不満?」
「それもなんか違う気がする。ちんこ重ねて扱いて気持ちよくなるの、憧れではあったし」
「そうなんだ。てか、俺がお前を気持ちよくするときは、何もしないで身を任せて貰ってる。ってのを考えれば、その不満はわからなくないなって思ったんだけど」
「正直、なんでそっち主導で気持ちよくなってんだろ、みたいな不満はあった気もする。でも引っかかってんのそれじゃなくてさ、」
「うん」
「あー……俺がマジに耐えられないなら『無理』って言って、って言ったからか……」
 何がそんなに引っかかってるのかと考えていたら、そこに辿り着いてしまった。てことは、自業自得なのかも知れない。
「どういうこと?」
「自業自得だったのかもだけど、無理って言われた瞬間に、そんなに嫌だったのかって思っちゃったんだよね」
「それは、」
「うん。ちょっと待って、すら俺が聞き入れないから、そう言うしかなかった。てのはもうわかってる。ただあの時点ではさ、本気で嫌がられたって思ったし、俺はもう自分がイクの止まらないってのもわかってたから、嫌だって拒否られた状態で、その拒否った相手の前で、拒否った相手のこと考えながら一人でオナニーしてイクんだって思って、」
 口に出したらまたジワッと涙が滲んできて、慌てて目元を擦ってしまう。そうしたら、相手の手が伸びてきて、優しく引き寄せられて抱きしめられた。
「ゴメン。そんな風に思わせてたとは思わなかった」
 口でして貰うのは嫌じゃなかったし気持ちよかったよと、再度繰り返す相手の声は穏やかで優しい。

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親父のものだと思ってた22

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 そのままゆるゆると舌を這わせ、最後にパクリと咥え込んだ。
「うぁ、んんっ」
 口の中に広がる苦いようなしょっぱいような味に嫌悪はない。さすがに美味しいとは思わないが、好きな人のペニスを咥えているという事実に感動はしていた。
「ん、ぁ、ぁ、ん、んっ、ぁっ」
 手で扱くよりも感じるらしく、堪えきれない様子でひっきりなしに小さな喘ぎが聞こえてくる。噛みしめる口も、それを覆っている手も、力が入らないのかも知れない。ついでに、ずっと落ち着きなく腰が揺れてもいた。
 相手の興奮が伝わってきて煽られる。
 いつか、自分も口でしてもらえる日が来るだろうか。なんてことを考えながら、自分がされる場面を脳内に思い描いてしまったり、自分だったらどうされたいかを考えながら、結構熱心に舐めしゃぶる。そうしていると、釣られるようにだんだんと自身の欲も高まってしまう。
 相手と同時にイキたい、という願いはまだ難しいだろうと思っているのに、我慢しきれずに自分の股間へ手を伸ばした。スボンと下着を摺り下げて、取り出した自身のペニスを片手で扱きながら、咥えたペニスをさらに熱心に愛撫する。というよりも、イカせたい欲求とイキたい欲求が混ざって、扱くのに合わせて頭を上下に動かした。
「ぁ、ゃ、まって、ま、って」
 激しい刺激に相手がはっきりと静止を求める声を上げたが、無理とは言われていないから、を言い訳にスルーを決め込む。それどころか、早くイッてくれという気持ちを込めて、更に頭を上下するスピードを上げた。
「ちょ、ま、むりむりむり」
 悲鳴に近い声と、両肩を掴んで引き離そうとする力。仕方なく咥えていたペニスは開放したけれど、昂ぶってしまった自身のペニスから手を離すことまでは出来なかった。
「酷っ」
 このタイミングで止めるとか、本当に酷いと思う。このまま一人で、相手の前で自身のペニスを扱いて吐精するのかと思うと、なんだか惨めで悲しくなる。
「違くて」
 滲み始める涙を隠そうと俯けば、そんなことを言いながら相手がずるっとソファを滑り降りてきた。そして、何が違うんだと思う間もなく、相手の手が股間に伸びてきてこちらの手ごとペニスを握った。
「どうせなら、ちゃんと、一緒にイこう。俺にも、させてよ」
 抱きしめられて、相手の体がグッと近づいてくる。
「手、開いて」
 耳元の囁きに従って手を開けば、相手のペニスが自身のペニスに添えられて、それを自分の手ごと相手の手が握り込んだ。しかも、最初からラストスパートな勢いというか、イカせる気満々の刺激を送ってくる。
 更に言うなら、相手のグチャグチャに濡れたペニスと擦れ合うのは、めちゃくちゃに気持ちが良かった。兜合わせと呼ぶ行為だというのは知っているし、男同士の性行為では割とメジャーな行為という認識だが、こんなに気持ちがいいんだと驚きとともに納得してもいる。
 なんでこのタイミングで、相手主導で行っているんだ。という小さな不満はあるものの、気持ちよさの前では些細なものでしかなかった。
「ぁあっ、いく、いっちゃう」
「俺も」
 熱い吐息が耳に掛かって、本当に一緒にイク気なんだと、嬉しくなった。
「うれ、しぃ」
 そのまま口に出せば、やっぱり俺もと返されたあと。
「キス、したいんだけど」
 していい? と窺う相手に、否を返すわけがない。むしろ、直前まで相手のペニスを咥えていた口なんだけど、相手こそ平気なんだろうか。なんて思いながらも、ピタリと寄っていた上半身を離した。
 すぐに唇が塞がれてしまったので、じっくり見ている余裕はなかったけれど、相手のこんなに興奮した顔は初めて見る。自分の前で相手がイクのが初めてなのだから、当然とも言えるけど。ただ、随分と嬉しそうにも見えたのが、少し意外ではあった。
 けれどそんな疑問も一瞬で、キスの気持ちよさとペニスで直接受け取る快感とで、あっさり上り詰める。相手のペニスを直に握っているので、相手がほぼ同時に吐精したのもわかっていた。

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親父のものだと思ってた21

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「わかった。じゃあ、やだ、はイヤよイヤよもってヤツだと思うことにするから、マジに耐えられないと思ったら無理って言って」
 それだけ言って、再度手を伸ばした。めちゃくちゃ気まずそうな様子に、多少強引にでも続けてしまわないと最悪中断されかねないと思ったからだ。
「うぅ、も、いろいろしんどい」
「本気で止めてって意味じゃない『やだぁ』なら、可愛いだけだから問題ないって」
「それはそれでどーな、ぁ、んっ」
「よかった。まだちゃんと気持ちぃね?」
 気持ちが萎えたら、当然ペニスにだって大きく影響する。色々しんどい、とは言っていても、すぐに反応してくれる程度には、相手にもまだちゃんと熱が残っている。
「んっ、んんっ」
「気持ちぃ、って声、聞かせてくれないの?」
 口を両手で塞いでしまった相手は、首を横に振って拒否を示した。やだ、と漏らした事が、それであっさり中断されたことが、そんなに気になっているんだろうか。
 相手の抵抗感を気にしすぎて、惜しいことをしてしまったかも知れない。
 他者に与えられる快感に戸惑って、イヤだイヤだと口走っていると考えたら、こちらとしてはむしろ興奮が増すんだけれど。自分よりもずっと年上の相手が、行為慣れしてない事実を目の当たりにして、興奮しないわけがない。
 でも、あの時のやだぁは、泣きそうな声に聞こえてしまったたから。思わず手を離してしまったのも、仕方がなかったと思う。
 やっぱり、先にもうちょっとトラウマ話を聞いておけばよかった。せめて、見られただけなのか、触られたのか、それで気持ちよくなったのか、辺りは、聞けるなら聞きたいと今この瞬間でさえかなり強く思っている。
 何かを抱えているのはわかっているから深く問い詰める気はないが、はっきりとは教えてもらえない過去に、勝手な嫉妬と独占欲を膨らませている自覚はある。
 このペニスに触れた他人が、自分だけならいいのに。
「ん、…んっ、……っ」
 チラチラと窺い見てしまう相手と視線が絡む。相手は目を閉じてはおらず、扱かれるペニスの様子をしっかり見ているからだ。
 潤んだ瞳と、寄せられた眉に、ただ快感をこらえているだけならいいんだけど、と思う。視線が合うと、やっぱり少し気まずそうに視線が揺れるから不安だった。
 興味があって見ているわけではなく、目を閉じて何をされるかわからない恐怖から、目を開けているのではと思ってしまう気持ちがある。
 嫌じゃないか、無理してないか、口に出して確かめたい。けれど、もし慣れない快感に戸惑っているだけなら、あまりこちらの不安を晒したくはなかった。
 気持ちいいねと煽って、恥ずかしい音を立てて、何かしら反応するだろう相手に可愛いと繰り返したい。うんと気持ちよくなってほしいし、人の手で与えられる快楽を楽しんでほしい。
 本当はどうすると気持ちがいいのか聞きながら、相手をこの手でイカせてあげたいだけだった。はずだ。でも口を覆ってしまった相手にそんな余裕はなさそうだし、もし、気持ちいいよりも何がしかのトラウマと戦っているなら、と考えてしまうと、気持ちがいいねと煽る行為も躊躇われてしまう。
 手の中で固く張り詰め先走りの蜜を零しているペニスだけは、間違いなく気持ちよさそうではあるけれど。
 自分のより幾分小ぶりなそれが、先端の小さな穴をクパクパと開閉させ蜜を吐き出すさまが、必死で快感を訴えているようでなんとも可愛らしい。ペニスだけに意識を向ければ、間違いなく、そのイヤラシクさに興奮する。
 引き寄せられるように顔を寄せたら、あからさまに相手の腰が揺れて、意識がペニスから相手へと戻った。思わず見上げた相手は、驚きにか大きく目を見開いて、こちらを凝視している。
 相手が何を考えて驚いたかはすぐにわかった。だから相手の目を見つめ返しながら、ゆっくりと舌を伸ばしてペニスの先端に触れさせる。
「ぁ、っっ」
 ビクビクっとまた大きく腰が揺れたが、口元の手は外されることなく、無理だと言われることもなかった。
 相手がいまどんな心情で居るのかわからないが、もし本気でもう耐えられないと思ったなら、こちらが提示した通りに、無理だと言って中断させると、信じている。

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