イケメン相手にこんな関係になる予定はなかった35

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 やはり次は相手のペニスと自分のとを合わせて握って扱くべきだろうか。だとしたらまずは立ち上がるか相手の腰を落とさせるかだが、手っ取り早いのはどう考えたって自分が立ち上がる方だ。
 素早くそう結論づけて立ち上がった先で見たのは、熱に潤む瞳の中に、どこかギラついた気配を揺らしている相手だった。シャワーの湯は止めてあるので、頬が赤く上気しているのは間違いなく興奮だろう。
 思わず見惚れるくらいに色っぽいとは思うが、壮絶な色気を振りまかれて怯んでしまうのは仕方がないと思う。だってこれは、もっと気持ちよくしてやりたいとか、その顔をとろかせてやりたいとか、そういう気持ちを萎えさせるオスの顔だ。
 呆然と立ち付くしていると、それに気づいた相手が気持ちを鎮めるように大きく息を吐きだした。目の中のギラつく気配が消えて、うっとりと柔らかな色気だけを残すから、こちらも思わずホッと安堵の息を吐く。
「すごい、興奮した」
「見りゃわかる」
「そっちも、俺の咥えて興奮したの?」
 すごい勃ってる、という指摘にどう返していいか迷って口を何度か開閉させてしまった。
 しっかり勃っている自覚はちゃんとあるが、相手のを咥えて興奮したと言えるかは微妙だ。というかそれを認めたくはない。どちらかというと、相手にしてもらった時の色々を思い出しながらしていたせいで興奮しているのだと思うが、でもそれを教える気にもなれない。
「ね、触ってもいい? というか、イッてもいい?」
 言葉に詰まっているこちらに焦れたのかもしれない。どういう意味だと聞く前に、伸びてきた手に腰を引かれて抱きしめられる。それと同時にもう片手が二人の腹の間に突っ込まれて、慣れた仕草で勃起した二本のペニスを纏めて握られた。
「ぁっ」
「はぁ……ごめん、先に、謝っとく」
 うっとりと吐き出される息と、それに似合わない不穏な内容に、何をする気だとまたしても怯んでしまう。
「な、なにを?」
「ゆっくりできない、から」
 言うなり、握られたペニスが勢いよく擦られだして腰が震えた。
「ぁ、ああああっっ、やっ、つよっ、ぁあっ」
 つまり最初っからイカせるつもり満々のスピードと強さで、という意味の「ごめん」だったらしいと、悲鳴に似た声で喘ぎながらも頭の隅で理解する。
「ぅっ、やっ、ぁあ、ぁっ、む、むりぃ、ぁあっ」
「も、ちょっとだけっ」
 強すぎる刺激にこれじゃイケないと訴えるが、その訴えを聞いてくれる気はないらしい。そしてもうちょっとの言葉通り、少しして相手が小さく呻きあっさり達してしまった。
 ただ、手の圧もスピードもガクッと落ちたが、止まってしまったわけじゃない。ゆるゆると撫でるみたいに動かされて、じんわりとした気持ちよさが、今度は逆にもどかしい。
「ん、なぁ、それじゃ、イケなっ」
「うん」
「うん、じゃ、なくてっ」
「だって、久しぶりだし一緒にイキたかったのに、失敗しちゃったから」
 口でされるのあんなに興奮すると思わなかった、なんて、まるでこっちのせいみたいに言うのはずるい。
「俺のせい、かよっ」
「お前のせい、って言ったら、もーちょい待ってくれたりする?」
 次は一緒にイッてくれる? なんて言われたって、相手の回復を待てるわけがなかった。というか、そういうつもりでゆるゆると手を動かし続けていたとは思わなかった。

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イケメン相手にこんな関係になる予定はなかった34

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 変な顔を訝しがられる前に、シャワーの湯を止めてその場に膝をつく。
「え、ここで?」
 驚きの声が降ってきたが、それを無視して相手のペニスを掴むとそこに向かって顔を寄せた。
 するのは初めてでも、して貰った回数は多い。相手はどんな風に舐めてくれたっけと過去に思いを馳せながら、まずは側面にそっと舌を這わせてみた。
「んっ、……」
 息を詰めるような音と、相手の視線がまとわりつくような気配。たぶん間違いなく、息を潜めながらジッと見つめられている。
 もちろん顔を上げて確かめたりはしない。相手の顔を見てしまったら、きっと気持ちが挫けて続けられなくなる気がする。
 強い視線は感じるものの随分とおとなしいのは、もしかしたら相手も緊張しているからかも知れない。もしくは、余計なことを言ったりしたりで、こちらの気が削がれるのを恐れている可能性。
 相手はこちらの性格もよくわかっているだろうから、たぶん後者かな。なんて思考をわざと散らしながら、根本からカリが張り出す部分までを、位置を変えて何度か舌で撫で上げる。
 濡れてはいるが、纏わりついているのは当然ただのお湯なので、特になんの味もない。ほのかに香るのは使っていたボディーソープのものだし、思っていたよりは抵抗感はなかった。それどころか、こちらの舌の動きに合わせてピクピクと小さく震えるペニスに、なんだか楽しさを覚えてすらいる。
 さすがに先端のくぼみに舌が触れると、なにやら苦しょっぱいような味を感じたけれど、でもまぁ吐き出したいほど酷い味ではない。一通り亀頭に舌を這わせた後、大丈夫そうだと口を開けて亀頭を口の中に含んでやった。
「んっ……ふ、……」
 やっぱり息を詰めた後、鼻にかかった吐息らしきものが漏れてくる。色っぽいなと感じるこの吐息を知っている。こんな息を漏らす時、相手がどんな顔をしているのかもだいたい想像がついてしまう。
 目を閉じて頭の中に相手の気持ち良さげに緩む顔を思い浮かべながら、口の中のものを舐め回して、時折軽く吸ってやる。
「ぁっ……んっ、」
 控えめに漏れてくる声がなんとも気持ちが良さそうで気分がいい。じわじわと滲み出してくる先走りは正直不味いが、相手が感じてる証拠だと思えばやっぱり気分が良くて、無理だと吐き出す気にはならなかった。
 大きいし長いし、絶対に相手にして貰うよりも自分がするほうが大変だよなと思いながらも、相手がしてくれたことを思い出しつつあれこれ試していく。深くまで飲み込もうとしてえずいてしまった時は、すぐに少し慌てた声が無理しないでと落ちてきたけど、それでも短くわかってると返して口を離すことはしなかった。
 たぶん、当初思っていたよりは全然上手く出来ている。ただ、終わり時がわからない。
 相手がしてくれる時はどうしてたっけ?
 相手の口の中でイッたのは酔って尻穴を弄られていた時くらいで、それ以外はこちらの興奮がそこそこ高まったら口でされるのは終わりだった気がする。その後はキスされながらペニス同士を重ねて扱かれてイク、というパターンだったはずだ。
 じゃあもういいのか。と思い至って、ようやく口を離した。

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イケメン相手にこんな関係になる予定はなかった33

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「そんな顔しないでよ。ね、俺のことも洗って?」
 促されるままスポンジを手に取り、今度は相手を洗ってやった。他人の体を洗うなんて経験は初めてだったが、相手は気持ちいいよと口にしてニコニコしているので、本当に上手く洗えているかはともかく、特に問題はなさそうだ。
 そうして一通りあちこち擦った後は、手の中でスポンジを揉み込み泡立ててから、スポンジを手放した。
 泡だらけの手を上向けて泡が落ちないようにしながら、相手の股間をまじまじ見つめて数秒。
「じゃ、触るぞ」
 覚悟を決めてそう告げながら、相手のペニスに手を伸ばした。
「うん」
 視線は完全に相手の股間に向かっていたが、短なその頷きだけでも凄く嬉しそうなのがわかる。
 なんせ直接触ってやるのは初めてだ。一度だけ、卒業前の最後の日に焦らされまくって手を伸ばしたことがあるけれど、結局未遂に終わっている。
「ふっ、」
「う、わぁ……」
 相手が気持ちよさそうに漏らす息を遮るように、なんとも微妙な気持ちを口に出してしまった。だって相手のペニスは既に結構そこそこ質量を持っていたはずなのに、握って軽く手を動かしただけで、手の中でムクムクと更に大きく育っていったのだ。
 そうだった。こいつのは顔に似合わないバキバキにスジの浮いたカリデカちんぽなんだった。
 完全勃起状態をじっくり見たのなんて一度だけで、それも1年半以上前のことだから、立派だったイメージはあるものの、詳細までは忘れていたらしい。というよりも見慣れているし触り慣れても居る自分のペニスとの違いに、戸惑いが隠しきれなかった。
「ちょ、なにそれ。感想?」
「いやだってなんか、自分のと違いすぎて……」
「あー……やっぱ怖気づいちゃった感じ?」
 無理しなくていいけどと続く声は残念そうだったから、考えるより先に、口からは否定の言葉が漏れていた。
「いやいやいや。ダイジョブ。洗うだけだし」
 洗うだけで怖気づいててどうすると、気持ちを奮い立たせて手を動かす。絶対今以上に怖じ気づくし上手く出来るとも思えないけど、口でしてやるつもりだって残っているので、結構しっかり隅々まで念入りに指を這わした。
 相手から、もうちょっと優しく、と言われるくらい圧を掛けてゴシゴシ擦ってしまったのは、正直申し訳なかったとは思う。触れた瞬間は間違いなく気持ちよさそうな息を漏らしていた相手は、どうやら途中から息を詰めていたようだから、もしかしたら痛かったのかも知れない。
 恥ずかしさもあってずっと下を向いていたから、ペニスを洗っている間、相手がどんな顔をしていたかはわからないが、泡を流そうとシャワーに手を伸ばす時に見た顔は安堵の表情と言えそうだ。
 痛かったなら、もうちょっと優しく、なんてぬるいことを言わずに止めてくれて良かったのに。
「わりぃ、痛かったか」
「ちょっとね。でもそれより嬉しいのが勝ってた」
 なるほど。そういう理由で。
 本気で言ってるらしいのは、その緩んだ嬉しそうな顔でわかるが、いいのかそれで。
 そう思ってしまったのが、顔に出たらしい。
「だって初めてだよ?」
「そうだな」
「口でしてくれるつもりで一生懸命洗ってくれてるんだと思ったら、ちょっと痛いのだって、むしろ幸せ感じちゃうって」
 隅々までしっかり磨いてやれと思った理由にも感づいていたようだ。
 恥ずかしいような居た堪れないような。痛いのも幸せ感じる発言への、ちょっと引いてしまう気持ちとか。めちゃくちゃ幸せそうに緩んだ顔をしている相手にホッとしたり、少し嬉しかったり。こいつのこんな顔見れるのなんて家族と自分くらいなんだろうと思ってしまう優越感とか。
 そんな気持ちが混ざり合ってぐちゃぐちゃな内心に、いったいどんな顔をしてればいいのかわからなかった。

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イケメン相手にこんな関係になる予定はなかった32

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「……っじゃあ、とりあえず一緒にシャワー浴びようか」
 しばし黙り込んでいたかと思えば、突然そんな提案をしてくるから驚いた。
「え、なんで!?」
「洗いたてのが舐めやすいかと思って」
「なるほど」
 初めてされた時は酔っていたし、あまり細かなやり取りは覚えてない上に、その後も抵抗なく口でしてくれていたけど、経験者がそう言うのならそうなんだろう。というか言われればそりゃそうだろと思ってしまうし、そういう気遣いをせずに相手に咥えせていた過去の自分が恥ずかしい。
「行こう」
 立ち上がった相手に促されてバスルームへ移動し、相手が下着を脱ぐ横で、既に裸の自分がシャワーの熱さを調節する。
「洗いっこしよっか」
 アメニティ置き場からボディスポンジを取り出した相手が、ニコニコしながらそれを手にバスタブへと入ってくる。
「良いけど、なんかすげー嬉しそうな」
「まぁね。憧れではあったよね」
「憧れ? って何が?」
「洗いっこするのが」
 大学時代、相手の家で風呂を借りたことはあるが、もちろん一緒に入ったりはしなかった。共通の友人たちに誘われ旅行へ行ったこともあるから、一緒に風呂という経験がないわけではないが、それだって当然、体を洗いあうようなことはしていない。
 ただ、相手の体を洗ったり洗って貰ったりが、憧れるほど楽しいかは微妙なところだ。そんなこちらの気持ちは、口に出さずとも相手に伝わったらしい。
「だって大学時代、俺も一緒に風呂使いたいとか洗いっこしようなんて言ったら、キモいって言われそうだったし」
「別にそんなこと言わないだろ」
 なんでそんなことをしたがるのか疑問には思っても、きっとそれだって、やっぱり変な男だとか、やっぱり男が好きなんだろうなと勝手に納得していたはずだ。
「そうなの? なら言えば良かったなぁ」
 抜いてもらう時以外は俺に触られたくないんだろうって思ってたと続いた言葉に、それはあるなと思う。キモイだなんて言いはしないが、歓迎だってしない。抜いてもらう時だって極力局部しか出さなかったのだから、体を洗いたいと言われたら嫌がりはしただろう。
「キモいって言わないだけで、していいと言うかは別」
「ちょ、……あー、もう、ほらぁ。やっぱダメなんじゃん」
「今はして良いって言ってんだから良いだろ」
「そーだけど」
 じゃあ洗うよと言いながら、泡立てられたスポンジが肌に触れる。人に体を洗われるのなんて子供の頃以来だけれど、適度な強さでゴシゴシ擦られると普通に気持ちがいい。
 一通りあちこち擦られた後、スポンジを置いた相手が触るよと言いながらペニスを手のひらで包み込んでくる。
 先程キスだけでかなり反応していたペニスは、少し萎んでいるがまだ緩やかな硬さを保っていた。それを石鹸の滑りを借りて手のひらで擦られるのはどうしたって気持ちがいい。
「んぅっ」
「エロい顔。気持ちぃ?」
「あ、ったり前っ」
「あーこのまま弄り回してイカせたい」
 そう言いながらも相手の手が離れていき、体についた泡をシャワーで落としていく。残念な気持ちが強いのはきっとあまりに久々だからなんだろう。

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イケメン相手にこんな関係になる予定はなかった31

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 キスをしながら互いの服を脱がせ合えば、嬉しそうに積極的だと笑われる。恋人相手に流されっぱなしの受け身じゃいられないだろと返せば、ますます嬉しそうだ。
「もう恋人って認めてくれんの?」
「だって、なぁ」
「んふふ、キスで期待しちゃった?」
 既に双方下着姿なので、ゆるく反応している股間にも当然気づかれている。
「ぁ、はぁ……」
 下着の上から軽く撫でられるだけで熱い息がこぼれて、相手の手の中で形を変えていくのがわかってしまう。
「これ、本当に彼女には反応しなかったの?」
「そーだよ」
 現状、嘘みたいに元気に勃起しているけれど。相手がこの男というだけで、こんなにあっさり反応されるとなんだか悔しい気もするが、でも想像通りという気もしている。
「責任取れよな、マジで」
「当然でしょ。俺にしか反応しないとか、可愛すぎるんだけど」
 体から落とそうとか思ってたわけじゃないけど、めげずに愛で続けたかいがあったよね。などと言いながら、ぺろりと下着をおろして、すっかり上を向いて存在を主張しているペニスの先端をヨシヨシと撫でられた。
 軽く触れる程度の接触がもどかしく、ぞわぞわと腰に甘い痺れが溜まっていく。一年半ぶりの既に知った快感に、期待せずにはいられない。
「舐めて欲しい?」
「そりゃあ……」
「ローション出せる?」
「ローション?」
「俺が、抱いていいんだよね?」
「あー……」
「あれ? さっき抱いていいって言ったよね?」
 こちらの微妙な反応で、抱かれる気がないのは伝わったらしい。
「いや言ってないだろ」
「えっ、嘘、言ったでしょ?」
「最悪、勃たなかったら尻弄られるのも有り、とは言った」
「ええー……なにそれぇ」
 詐欺じゃないのと言われたけれど、尻穴にこいつのアレを突っ込まれるのなんて、出来れば避けたいに決まってる。マジマジと見たのなんて卒業前の一度くらいだけど、端的に言えば立派すぎて怖い。
 勃起できてペニスで気持ちよくなれるなら、別に尻穴は使わなくったって良いんじゃないの。
「男同士の恋人が、必ずしもアナルセックスしてるわけじゃないらしいぞ」
「でもお尻、感じられるよね? 俺に抱かれて感じちゃっても、もう問題なくない?」
 人生変わっても俺が責任取るんだしと続けられると、確かにあの日、そう言って拒否したのを思い出す。こいつに抱かれたら気持ちよくなってしまうんだろうなと思ったこともだ。
「いやでも1年半以上弄ってないし、指しか突っ込まれたことないのに、お前のナニじゃサイズ違い過ぎっていうか、普通に怖いだろ。てか勃ったんだから尻穴弄るのはない方向で」
 代わりに俺もお前気持ちよくさせるから、と手のひらを突き出しながら口を開けて舌も出してやる。ゴクリと相手の喉が上下して、本気で? と問う声は興奮のせいか少し掠れている。
「頑張る気はある。マジに」
 まぁ抵抗感がないわけではないので、目の前にしたら怖気づく可能性は高いし、上手く出来るとも全く思えないが。でも前と変わらず一方的に気持ちよくして貰うだけ、というのを避けたいと思っているのは本当だ。

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イケメン相手にこんな関係になる予定はなかった30

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「なんでもなくないだろ。よくわからなかったからもっかい言って」
 躊躇うように視線をうろつかせるから、睨みつけて「言えよ」と繰り返せば、諦めたように口を開く。
「だから、一回だけでいいから、みたいなしつこい誘いを断りきれなかったことが何度かあって、でも、お前が側に居てくれた大学時代はちゃんと全部断れてたの」
「あー……ギラギラした女の子からは、確かに俺が守ってやったもんなぁ」
 反感を買うのをわかっていて、いい加減にしろと仲裁に入った記憶が何度かある。なんでこいつが愛想を振りまいた尻拭いをしてるんだとうんざりしながらも。
「それもあるけど、断りきれなくてやっちゃったら絶対嫌われると思ってたっていうか、きっともう触らせてくれなくなるって思ってて、必死でお断りして逃げてた」
「そうか? お前、最初っから童貞じゃなかったし手慣れてたし俺が好きでって感じでもなかったから、誰にでも気軽に手ぇ出してんのかと思ってた。こともある」
「ないよ!」
 酷いと言われたって、そう見えるような軽薄さで愛想を振りまいたのはこいつだ。
「ただまぁ、モテんのに彼女作る気はなさそうだったし、俺なんかに手ぇ出すのは女より男相手のが良いんだろうなとも思ってて、疑ってたのは他の男友達ともこういうことやってんのかもな、って方向だけど。肉食系女子に食われるお前とかは全く想像したことないわ」
 やたら押しの強い女子がいたのは事実だし、目の前でこいつがきっぱり断れずにオロオロしてたらつい助けもしたが、それは自分の目につくところで繰り広げられるのが嫌だったのが大きい。だから自分が関与しないところで、そういう女子と関係を持ったと後から知ったところで、それを理由に相手を拒絶はしなかったと思う。
 なんせ、きっとゲイよりのバイで女より男がいいんだろうと思ってたから。女相手じゃやっぱ満足できないんだな、程度に考えたはずだ。
「男相手もないってば!」
 お前とするようになってから卒業するまでお前一筋だった、というのを否定するつもりはない。否定できる材料を持っていない。
 そういう現場を目撃したこともないし、共通の男友達相手に確かめたこともないし、わかりやすく怪しい素振りやらをされた記憶もないのだから、勝手にそう疑ってた事があるってだけだ。
「あの頃お前が誰と関係してようと、俺を気持ちよくしてくれんのを拒否ったりはしなかったと思うけど、でもまぁ、恋人になるなら話は別だよな。本気で逃げればお断りできるってのはわかったし、もうよその女になんか食われるなよ」
「わかってる」
 神妙な顔を見せてはいるが、でも口元がにやけかけているのを隠せていない。どうやら、恋人って単語に浮かれているらしい。
「まぁ、本当にお前と恋人になるかはまだ決まってないけど」
「えっ!?」
 意地が悪いのは承知で口にすれば、思ったとおりに焦りだす。なんで、と言いたげな顔は焦りと不安と混乱とで、随分と情けなくなっている。
 ははっと笑いながら、イケメン台無しな顔を素直に楽しめている事に気づいて、なんだかますます楽しくなった。気持ちに余裕があると、こいつのこんな顔を知っている人間がどれほど居るかなんてことにも気づいて、ちょっとした優越感まで味わえてしまう。
「だってお前相手に勃つか、まだ確認できてないし」
「え、じゃあ、もし勃たなかったら、恋人になる話とか今までの全部白紙なわけ!?」
「ばぁか」
 触られたら勃つと思ってるし、責任取らせるつもりだし。
 最悪勃たなくても、こいつが相手なら尻穴で気持ちよくなれる可能性だってあるし、それすら既に提示済みだと言うのに。その場合だって当然、突っ込んだ責任を取らせるに決まってる。
 つまりは、好きって認めさせたんだから今更逃がすわけがない、ってことだ。
「酷っ! だってそこ、めちゃくちゃ重要なとこじゃん」
 興奮して声を大きくする相手に、吠えるなよと苦笑しながら腰を上げる。
「さっさと確かめて、さっさと恋人になろうぜ。って意味だろ」
 ベッドまでの短い距離を詰めながら、もう一度バカめと罵ってやった。

続きました→

 
 
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