二十歳になった従兄弟を連れて酒を飲みに行くことになった18

1話戻る→   目次へ→

 彼が泣いている間に色々と考えすぎた。
 二十歳をこえて恋愛経験ほぼゼロらしいのは、実在しないと思っていた理想の男が、ある日突然、年を取った姿で現れたせいだ。一回り以上も年上のおっさんを意識し続けて、恋愛ができるような相手を見つけられないんじゃマズいと考えた可能性はある。
 クズだと聞いて誘う真似をしたのも、やたら献身的に抱かれようとするのも、理想を崩したい思惑があるんじゃないかと思い至った。
 好き勝手させた結果、本気で都合よく利用しようとするなら、理想イメージなんて早々に砕け散って丁度いいと考えたかも知れないし、自分勝手に抱かれるセックスを経験したら早々に飽きられても諦めが付くと思ったかも知れない。
 とはいえ、一番優先されているのが、今後もたまに一緒に飲みに行ったり出来る関係でいたい、という事を考えると、理想を崩したいだとか早く他の相手と恋愛が出来るようになりたい的な欲求があったとしても、そう強いものではないんだろう。一緒に過ごす時間を増やすことで、ゆっくりと自分の中で育てた理想と現実とに折り合いをつけて、初恋にケリを付ける気でいるならそれもいいと思う。
 だから正直に言えば、好き勝手させたら幻滅できそうだとか言われた方が、納得もするし安心もすると思う。献身的なのはわざとなのだと、言って欲しい気持ちがある。
 けれど、危なっかしいと口にした通り、そんな事は全く考えていない可能性だってあった。なんせ彼自身が告げた言葉からは、もっと会える時間が欲しいだけ、という結論にたどり着いてしまうからだ。
「それは、考えてなかった、です」
 ああほらやっぱり。
「けど、好き勝手する気、ないじゃないですか」
「え?」
「つけあがって好き勝手しないし、俺を都合よく利用する気もなければ、飽きてポイ捨てする気もないでしょ? あったら危なっかしいだの言って俺の心配してないで、とっくに好き勝手してますよ」
「それは、そうかもだけど。でも相手が俺じゃなかったらどうなってたか」
「俺が今、相手にしてるのはあなたで、あなた以外に好きにしていいとか言う予定、今の所カケラだってないんですけど」
 腕の中におとなしく収まり続けていた体が身動いで、少し距離を開けたあとで顔をあげる。少し下から見上げてくる顔は不満げと言うよりは、若干怒っているようだった。
「初恋相手に優しく抱かれようって時に、嫌われたくないと思うのなんて当たり前じゃないんですか。しかも相手は凄い年上で、準備の手伝いだって平気でしてくれるくらい色々経験してて、だからそんな相手に、どうしていいかわからないから好きにして下さいって言うは、多分相手への信頼です」
 実際その信頼は裏切られてないから愚行だなんて思わないと言い切られてしまって、どうにも面映い。そしてやっぱり、俺のこと好きすぎだろ、と思ってしまう。恋愛したいわけじゃないと、はっきり言い切られているのに。好きだと言われたら嬉しいより困ると、言われているのに。
 初恋相手というのだって、そのベースになっているのは確かに高校生ぐらいの自分かもしれないけれど、結局は相手が想像で作り上げた理想への想いだとわかっている。それを自分に向けられた想いだなどと、思ってはいけないのに。あまりに真っ直ぐで、勘違いしたくなる。

続きました→

 
 
*ポチッと応援よろしくお願いします*
にほんブログ村 BL短編小説/人気ブログランキング/B L ♂ U N I O N/■BL♂GARDEN■


HOME/1話完結作品/コネタ・短編 続き物/CHATNOVEL/ビガぱら短編/シリーズ物一覧/非18禁

二十歳になった従兄弟を連れて酒を飲みに行くことになった17

1話戻る→   目次へ→

 相手だって最初から抱かれる気で押し掛けてきたはずがなく、どうせ酔ったついでの思いつきで誘っただけなんだろうし、気持ちの整理に時間がかかっても仕方がない。相手の想像した流れにはならなかったようだし、想定外の対応をされて困惑しても居るだろう。
 という気遣いは、どうやら伝わらなかった。
「このまま寝るって、抱かなくて、いいんですか?」
 気にするのそこ!? という驚きに、まだ抱かれたい気持ちでいるのかという驚きが重なって、すぐには言葉が出てこない。
「えと、セックス中断中だから、抱っこされてるわけじゃ……?」
「うん、ごめん。何を言われてるかさっぱりわからない」
「その、だから、このまま抱かないで終わったら、ホテル代も、俺の準備手伝ったのも、無駄になるし、中断する前、何聞いても抱くのやめるとは言わないって言ってたし、だから、腕の中で泣けっていうのも、セックス中断中だから、なんだろうって思ったっていうか、俺が、あなたがセックス楽しむためにしたい事はしていいみたいに言ったから、そんなのされたら俺が余計に泣いちゃうってわかってても、止めてくれなかった、のかと思って」
 どうやら彼の中では、セックスを続けるつもりでいたから抱っこで泣かせた、という認識になっているらしい。
「あーまぁ、確かにここで眠って終わりにしたら、無駄金に無駄手間掛けまくってヤれなかったって話にはなるけど、抱っこで泣かせたのはその方がセックス楽しいとかじゃなくて、目の前で泣かれて放っておけなかったのと、お前が、優しくされて嬉しくないわけないとか言ったせい」
「でも俺、俺が嬉しいかどうかなんて気にしなくていいって、言いました、よ」
「でもその後、自分勝手なセックスがしたいタイプのクズじゃねーぞって、教えたろーが」
「そ、ですけど。あんまり優しいのは困るっていうか、俺きっとまた泣いちゃうし、抱きながら泣かれるのが楽しいとかじゃなければ、止めて欲しい、です」
「俺が、抱いてる相手泣かせるのが好きだ、っつったら、諦めて泣くってこと?」
「諦めて、ではない、ですけど。多分」
 次から次へと、口を開くたびにわけがわからない事を言われている気しかしない。聞きたいのは泣いた原因で、今、優しくされたらまた泣くと言っていたから、そこをもうちょっと詳しく聞きたいとも思うのに。それでも気になりすぎて聞かずに居られなかった。
「諦めてじゃない、ってのは?」
「えー……と、泣いても楽しいって思われるだけで、面倒くさいなとか思われないならいいかなと」
「ああ。なんつうか、お前、ホント……」
 俺のこと好きすぎない、と言い掛けて口を閉じる。違った。好きなのは想像の中で育てた理想の男だった。
 だとしても、相変わらず献身的過ぎだとは思ってしまう。
「ほんと、なんですか?」
「危なっかしい」
 代わりに、彼が泣いている間考えていたことの一つを告げてみた。
「え?」
「嫌われたくないから相手の好きにしていい、なんてのは、俺はかなりの愚行だと思うって話」
「愚行?」
「何してもいいから嫌わないで、みたいなのが透けすぎてて、いっそ怖いっつうの」
「怖い……」
「お前がやってることは相手をつけあがらせるぞ。本当に好き勝手されて、都合よく使われ続けるか、飽きられて捨てられるか、少なくとも相手からの好意は確実に減っていくだろうから、言い換えれば確実に嫌われていく。お前、どこまで先のこと考えて好きにしていいって言ってんの」
「どこまで、って」
「だって相手の好きにさせたらまた誘って貰えるかもってのがお前の狙いだったんだろ。でもお前が一番優先してるの、俺と時々会える時間を持つことで、それって、俺がお前とのセックスを楽しめたら俺と会える時間増えるかもぐらいの感覚じゃないの? 好き勝手させたら、お前の相手しなくなるの早まるかもとか考えて無くない?」
 相手をしなくなるってのは一緒に飲み行ったりも全部含めて、お前に興味なくすって意味だぞと付け加える。彼が告げた色々から考えて、そんな事は望んでなさそうに思えるが確信はない。

続きました→

 
 
*ポチッと応援よろしくお願いします*
にほんブログ村 BL短編小説/人気ブログランキング/B L ♂ U N I O N/■BL♂GARDEN■


HOME/1話完結作品/コネタ・短編 続き物/CHATNOVEL/ビガぱら短編/シリーズ物一覧/非18禁

二十歳になった従兄弟を連れて酒を飲みに行くことになった16

1話戻る→   目次へ→

 考えたってわかるわけがなかったし、どう行動するのが正解なのかも検討がつかない。そもそも正解なんてものがあるかも疑わしいが。
 まいったなと思いながらも、小さく身を丸めながら泣いているらしい相手に手をのばす。優しくされたら誤解するだの、優しくされたいわけじゃないだのなんだの言ってはいたけれど、優しくされたら嬉しくないわけがないなら、優しさを見せることを躊躇うのはなんだか馬鹿らしい。
 目の前で泣かれて放っておけるほど無関心でいられるなら、とっくに手を引いている。少なくとも、経験がないと知った段階で抱く気なんて失せているはずだ。洗腸を手伝うなどという真似までして、抱かれたいと訴える相手に応じようとはしないだろう。
「別に泣くなとは言わないけど、落ち着いたら理由、聞かせろよ」
 くしゃくしゃっと頭を撫でた後。
「あと、どうせ泣くなら、俺の腕の中で泣きな。せっかく一緒に居るんだから」
 ほらこっちと、膝を抱えている腕を引けば、驚いた様子で頭を上げた。赤く潤む目に笑いかけてやって、おいでと声を掛けながらも、こちらから腕を広げて抱きかかえてに行く。
「体勢キツイから体倒すよ」
 一応言葉にして伝えながらも、そこそこ強引に抱えた体ごとベッドの上に倒れ込んだ。
「なっ、ちょっ」
 慌てた様子ではあるが、痛いなどの声は上がってないので大丈夫だろう。慌てて身を起こそうとする様子もないから、驚きはしても、嫌がったり抵抗したりする気持ちもやはりないんだろう。
 体勢を整えるようにもぞりと動いて、改めて相手の頭を胸の中に抱え込んだ。横になったのは、身長差があまりないので身を起こしたままだとなかなかこういった体勢になるのが難しい、というのもある。
「いい子だからこのまま抱っこされとけ。で、放して欲しかったら、まず泣き止んで、それから理由な」
「こんな、の、っ、され、たらっ」
 苦しげに吐き出されてくる声ははっきりと泣き声で、続く涙をしゃくりあげるような息遣いからも、膝を抱えていた時より酷く泣いているのがわかる。間違いなく余計に泣かせてしまった。
 多少の罪悪感はあるが、慌てる気持ちも驚きもないので、想定内の反応とも言えそうだけれど。
「文句も後で聞いてやる。まず泣き止んでが難しいなら、まずは好きなだけ泣いていい」
「ず、るいっっ」
「またそれか。俺からすりゃお前も相当ズルいからお互い様だな」
 泣きながら喋ったら苦しいだろうに。
「いいからほら、少し黙って。泣くのに集中して、まずは泣ききれって」
 いい子だからと宥めるように背を軽く叩いてやれば、さすがに諦めたように口を閉ざす。とはいっても、言葉を発するのをやめただけで、泣き声は耳に届いている。
 どれくらいそうして抱きしめていただろう。時間とともにその泣き声が落ち着いていき、やがて静かになったけれど、こちらから話を促すことはしなかった。泣きつかれて寝てしまうなら、それでもいいと思っていた。
「起きて、ます?」
 やがて囁くような小さな声が聞こえてきた。泣き止んでも話しかけなかったから、逆にこちらが寝落ちたと思ったのかも知れない。
「起きてるよ」
「そ、ですか……」
「がっかりすんなよ。寝てて欲しかった?」
 落胆の滲む声に思わず苦笑する。
「泣いた理由、話す気になったなら聞くし、まだ話せないってなら待つつもりだけど、日を改めてくれってなら、このままお前抱っこして眠るのもありだな」
 こちらと定期的に会う時間を持つことが一番優先されているなら、気持ちの整理がついたら呼び出せと言っておけば、ちゃんと連絡してくるんじゃないかと思う。

続きました→

 
 
*ポチッと応援よろしくお願いします*
にほんブログ村 BL短編小説/人気ブログランキング/B L ♂ U N I O N/■BL♂GARDEN■


HOME/1話完結作品/コネタ・短編 続き物/CHATNOVEL/ビガぱら短編/シリーズ物一覧/非18禁

二十歳になった従兄弟を連れて酒を飲みに行くことになった15

1話戻る→   目次へ→

 しかし口に出さなくとも、そう思ってしまったことを隠せてはいなかったらしい。
「面倒くさいこと言ってるの、わかってますよ。でも俺だって、こんな面倒なことになるって思ってなかったというか、こんないろいろ追求されると思ってなかった。だって恋人居ないのも、風俗利用しないのも、枯れたからじゃなくてセックスにお金かけたくないだけなんですよね? やりたいだけのクズって、自分で言ってましたよね?」
 つまりやりたいだけのクズなら、余計なことは聞かずにさっさと突っ込めってことだろうか。なんてことを考えていたら。
「ちっともクズっぽくないし、結局なんかいろいろ優しいし、こんなの聞いてないです。ズルい」
 拗ねたみたいな口調でそんなことを言い出すので、どう考えても笑っていい場面ではなさそうなのに、思わず笑いそうになる。ズルいってなんだ。
「もしかして、クズ相手に好きにしていいですよ。都合のいい穴扱いしていいですよ。って体差し出したら、前戯もそこそこに突っ込まれて、相手だけ気持ちよくなって終わりになって、またやらせてくれって言われる、みたいな流れになるだろって思ってた?」
「まぁ、そうです。なのになんか、俺が抱かれたがってるから抱いてあげる、みたいになってるし。俺が経験ないせいなんでしょうけど、時間かけてゆっくり抱いてくれようとするし。こんなの、思ってたのとぜんぜん違う」
「まぁやりたいってだけの理由で恋人作ってたとか、やりたい時だけ会えればいいしなるべく金も使いたくないクズだとは言ったけど、自分勝手なセックスするクズだなんてことは言ってないしな」
「それは……まぁ、たしかに」
「もひとつ言っておくと、俺は恋人か恋人になる予定の相手しか抱いたことないぞ」
「えっ?」
「まぁ、恋人になれるつもりで抱いたけどそのまま疎遠になったって経験がないとは言わないが、少なくとも、やらせてくれんならやっとくかーってだけでホテル入ったのは初めてだし、それだって、相手が男だったのと、抱かれ慣れてんだろなって誤解してたせいだからな」
 あんな誘い方してきた相手が初めてだとか、そのくせ都合の良い穴になりたいだとか、こっちだってそんなの聞いてないとか、ホテル入ってからそんなこと言い出すのはズルいとか、ちょっと言ってやりたくはある。
「なのに、じゃあやるぞってなってから初めてだって知らされて、初恋だの理想イメージだの言われて、恋愛対象外だけど抱かれてみたいとか言われたら、やらせてくれんならやっとくかーのまま抱けるわけないっつーか、そんなに抱かれたいなら抱いてやるかってなるし、処女相手の優しいセックス心がけるだろ」
「ごめんなさい……」
 呟くみたいにそう告げた後、とうとう抱えた膝に顔を埋めてしまう。
「いや、別に謝らなくっていいけどさ。ってか泣いてんの?」
 さっき一度泣きそうだなとは思ったけれど、そのまま泣き出すことはなかったのに、このタイミングで泣き出すのかと驚いてしまう。拗ねたような口調でズルいとか言っていたから、気持ちはある程度持ち直したのだと思っていた。
 何が原因だろう。
 さすがにズルいとは言わなかったけれど、もしかしなくても、そんな気持ちが言葉ににじみ出ていただろうか。それを感じ取って泣いているんだろうか。それとも、こちらが考えも及ばない何かが理由で、泣き出したのだろうか。

続きました→

 
 
*ポチッと応援よろしくお願いします*
にほんブログ村 BL短編小説/人気ブログランキング/B L ♂ U N I O N/■BL♂GARDEN■


HOME/1話完結作品/コネタ・短編 続き物/CHATNOVEL/ビガぱら短編/シリーズ物一覧/非18禁

二十歳になった従兄弟を連れて酒を飲みに行くことになった14

1話戻る→   目次へ→

「あの、もしそうなる可能性があるなら、抱かれるのは無しにしたいです」
 考え込んでいるうちに、相手はさっさとここで終わる気になっているようだ。決断が早い。というよりは、それだけ優先順位がはっきりしているという事だろうか。
「気が早いな。優先順位を聞かせてくれって言ったろ。それだけだよ。というか話を聞く限り、時々俺と会える時間を持つことが一番優先されてるように聞こえたけど、それであってる? 飲み行く気分じゃないから俺の部屋でだらだらゲーム。もちろんセックスはなし。とかでも満足する?」
「します。ていうか、むしろそっちのが嬉しいと言うか、部屋、入ってみたいです」
「あ、そっち。いやまぁ、そりゃそうなるか」
 彼にとっての自分が、初恋のような相手で、理想の具現化で、ただし、想定外におっさんだったので恋愛対象外、という複雑な対象である意味を、ようやく、なんとなくだが理解し始めていた。
 ただまぁ、それなら好奇心で抱かれてみたい、だけで良いような気がしてしまうけれど。そこで初っ端から、可能ならセフレになりたい、となるのがやはり謎だった。しかも、やり終わった後に良かったから今後も続けたいではなく、都合良く使われる穴になりたい的発言やら、気持ちよくなりたくない様子を見せたくせに、セックス相手が気持ちよくなってるほうがこっちも楽しいと言っただけであっさり納得してみせたりで、どう考えても献身が過ぎる。
「じゃあ話戻すけど、気持ちよくなると何が問題?」
「それは、その、期待、といか誤解、しちゃいそう、な気がした、から」
「誤解? 何を?」
「えと、その、俺を気持ちよくさせるのは、そうした方が楽しいから、ですよね?」
「ああ、うん。確かにそう言ったけど」
「つまり、誰が相手でも、気持ちよくさせるんですよね?」
「ん? ああ、まぁ、可能な限り?」
「だから、その、俺のこと、ちょっとくらいは好きで優しくしてくれるのかな、みたいな勘違いをしそうになるっていうか、自分でクズとか言ってたから、俺を気持ちよくしてくれようとすると思ってなかったのもあったし、でも、俺が気持ちよくなったほうが抱いてて楽しいから気持ちよくなれってなら、それはもうわかったので、勘違いは多分しなくて済むので、大丈夫、です」
「えー……っと、それは、つまり」
「あの、好きになってとか優しくしてって言ってるわけじゃないんで、その、だから、さっきも言いましたけど、本気にしなくていいです、から」
 好きになってとか優しくしてという意味で言ったわけじゃないとわざわざ言ってしまうくらい、彼自身、そう受け取られるような発言をした自覚があるらしい。
「いやいやいや。だってお前、期待するってのは、そうなら嬉しいて意味だろうよ」
「そ、ですけど、でも俺が嬉しいかどうかなんて気にしなくて良いんですって。それとも、俺を喜ばせたら、そっちにも何か利点があるんですか? 俺が気持ちよくなったほうがセックス楽しい、みたいな感じで、俺が喜んだらセックスもっと楽しくなります? でも俺、さすがに、セックス楽しむためのリッピサービスで好きだよとか言われたら、逆に泣きたくなりそうですよ?」
 こちらに言葉を挟ませない勢いであれこれと言い募る様が必死で、泣きたくなりそうだと言っているその声が、既に泣きそうだと思った。
「なぁ、俺と恋愛したいわけじゃないんだよな?」
「はい。そんなのは望んでないです」
 確かめればやはりはっきりと肯定が返る。
「なのに俺に好きになって欲しいみたいなのが意味分かんないんだけど。というか、恋愛したくないってのは、俺に好かれるのは困るって意味とは違うわけ?」
「違わないです。好きになって欲しいわけじゃないし、もし本気で好きだとか言われたら、嬉しいよりも困ると思います。けど、初恋で、ずっと理想の男なんだと思ってた相手に、好きって言われたり優しくされたりが、嬉しくないわけないじゃないですか。でもそれは俺個人の気持ちの話なので、期待したり誤解したりで後で凄く辛くなるのを避けたいだけで、あなたが楽しむために俺を感じさせるのは構わないんです。本当に」
「なるほど」
 確かにこれは面倒くさいな。と思ってしまったのを、かろうじて口には出さずに飲み込んだ。

続きました→

 
 
*ポチッと応援よろしくお願いします*
にほんブログ村 BL短編小説/人気ブログランキング/B L ♂ U N I O N/■BL♂GARDEN■


HOME/1話完結作品/コネタ・短編 続き物/CHATNOVEL/ビガぱら短編/シリーズ物一覧/非18禁

二十歳になった従兄弟を連れて酒を飲みに行くことになった13

1話戻る→   目次へ→

「気持ちよくないセックスなんか、欠片も楽しくないだろ? それにこっちだって、気持ちよさそうにしている相手を抱くほうが断然楽しいし」
「ああ、なるほど。そ、いうもの、なんですね」
 なんで、と問う言葉に返答がなかったので、とりあえずでこちらの気持ちを伝えてみれば、一応は相手の勃起ペニスを弄ろうとしたこちらの気持ちには納得したようだ。けれど困った様子で何かを考えているから、気持ちよくなりたくない、というのはそれなりに根深い理由がありそうだとも思う。
「もう一度聞くけど、気持ちよくなると、何かマズい問題があるの?」
「いや、ない、です」
「いやいやいや。さすがにそれは嘘だろ」
「いえ、本当に。もし問題があるとしても、それは俺個人の問題なので、自分でどうにかします。俺もちゃんと一緒に気持ちよくなった方がいいのはわかったんで、その、続きを……」
 続きを促されたところで、そう簡単に気持ちがセックスに向かわないのは、どう考えたって加齢のせいなんだろう。やりたい欲求よりも優先されるものが増えている。
 もちろん加齢だけの問題ではなく、目の前の男を、気楽に突っ込んで楽しめる相手ではないと認識済みなのも、相手の求めに応じて抱いてやるのだいう意識があるのも、そのくせ相手の意図を掴みそこねているのも、歯止めをかけるには充分すぎる要因になっているのはわかっているけれど。でも若かったら、そういうのを脇に置いて、とりあえず突っ込む方を優先した可能性は高い。
「あの……?」
 再開せずに相手をジッと見下ろし続けるこちらに、戸惑いと不安が混ざりあったような声が上がる。顔は相変わらず困り顔のままだ。
「なぁ、やっぱどうにも気になるから、自分でどうにかするにしても、俺にもその問題教えてくれ」
「え?」
「なんでそこまでと思わなくもないけど、俺に抱かれたくて仕方ないのは伝わってるし、何聞いても抱くのやめるとか言わないから、正直に全部話しちゃえよ」
 言いながら体を起こして、ベッドの上にあぐらをかいて座った。相手は最初、寝転がったまま呆然とこちらを見ていたが、こちらが完全に待ちの姿勢だと気づくと、仕方なさそうに体を起こす。膝を抱えるような体育座りで体を丸めるさまは、自らの身を守ろうとしているように見えて、攻撃する意思などないはずが相手を痛めつけているような気分になる。
「で、気持ちよくなると、どんな問題が起こる可能性があって、どうやってどうにかするつもりなの?」
「あの、先に言っておきたいんですけど」
「うん、なに」
「俺が何言っても、気にしなくていいというか、本気にしなくていいというか、その、迷惑になりたくない、ので」
「ん? 迷惑?」
「だって、俺が正直に話したら、面倒くさい奴って思われそうだし、それでもう一緒に飲みに行ってくれなくなる、のが、一番イヤというか、避けたい、です」
「あーちょっと待って。そっちの優先順位先に聞きたいわ。俺に抱かれるのと、今後も俺と一緒に飲みに行くの、どっちのが優先度高い?」
「え?」
「もし俺が、抱いてはあげるけど今後一緒に飲みに行ったりするのはなし、って言っても、抱かれたい?」
「飲みには行かないけど、やりたくなった時に呼んでくれる、なら、どっちでもいいです。けど、」
「抱くのは今日だけって言ったら?」
「それは、一回だけ抱いて貰う代わりに、今後、俺と個人で会うのはなし、ですか?」
「そう。法事とかで顔は合わせるだろうけど、今まで通りの親戚づきあい」
「それは、イヤ、です。だったらこんなの試さなくていいから、時々一緒に飲みに行ける方を選びます」
 試す、という言葉選びが引っかかって、そういや、悪くなかったって思って貰えたらやりたくなった時に呼んで貰えるようになるかも、と言っていたのを再度思い出す。抱かれたいという気持ちばかりが伝わってきていたが、その目的は端的に言ってセフレになることで、ここまでの話を合わせると、こちらとの継続的な関係を求めているだけのようにも思えてくる。

続きました→

 
 
*ポチッと応援よろしくお願いします*
にほんブログ村 BL短編小説/人気ブログランキング/B L ♂ U N I O N/■BL♂GARDEN■


HOME/1話完結作品/コネタ・短編 続き物/CHATNOVEL/ビガぱら短編/シリーズ物一覧/非18禁