金に困ってAV出演してみた10

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 小柄な体格と童顔にプラスして、衣装だった学生服が印象的すぎて、車に案内された時の違和感は凄かった。自己紹介時に高校卒業済みと言われているのだから、車の免許を所持していたってなんらおかしなことはないのに。
 そんなこちらの戸惑いに、きっと理由まで気づかれている。笑いながら免許証見せようかと言われたのに首を振って助手席に腰を下ろせば、同じく運転席に腰を下ろした相手が、ハンドルに頭をもたせ掛けるようにして振り向きニヤリと笑う。悪戯を思いついた悪ガキの顔だ、と思った。
「ねぇ、車って二人きりの密室空間だよ?」
「えーっと、それは俺に身の危険を感じろって言ってる?」
「んー……まぁ、力でどうこうはさすがに無理そう、ではある」
「だよね」
「ただ、行き先も聞かずに乗り込むのは迂闊じゃない? このまま簡単には帰れないような遠方のラブホに連れ込まれちゃうかもよ?」
 にやにや笑いながら言うってことは、そんな事を本気でする気はないんだろう。焦ったり慌てたりの反応を求められているんだろうか。しかし残念ながら、欠片だって焦りはない。
「いやそれ、行き先聞いてから乗ったって、連れてかれるときは連れてかれるだろ」
「うーん……確かに」
「あと、本気ならやってみてもいいけど、」
「え、いいの?」
 心底驚いた様子でハンドルへ預けていた頭をガバっと起き上がらせるから、なんだか笑ってしまいそうだ。
 セックスを匂わせた相手からの食事の誘いに付き合う時点で、そうなる可能性も考えてはいる。絶対お断りなら、食事にだって付き合わない。そんなの、当然伝わっているかと思っていた。
 でも驚かれるってことは、本当に食事だけのつもりで誘いに乗ったと思われていた、って事なんだろう。先日まで童貞だった男はピュアだな、なんてことをチラリと思う。
「うん。でも、力技でどうこう出来ないのわかってんだから、やるならせめて、目的地着くまでに俺をその気にさせて?」
「なるほどー。てことは、俺次第でワンチャン有り?」
「ワンチャンがプライベートでもセックスするか、って話なら、絶対お断りとまでは思ってないよ」
「そうなんだ。それはいいこと聞いちゃった」
「で、一応聞くけど、どっか食事できるとこに行くんだよな?」
「ラブホでも御飯食べれるけどね。大概は」
「えっと、やっぱ本気でラブホなの?」
「ううん。連れてきたいのはどっちかというと自宅」
「は? 自宅? 本気で?」
 驚きすぎて、疑問符が脳内にも吐き出す言葉にもあふれてしまった。確かにセックス済みの仲だけど、でも会うのは二度目で、互いの本名だって知らない、友人とはとても言えないような相手を自宅に上げようとする、その気持ちがわからない。
 なのに相手は本気だと肯定してみせる。
「俺の手料理に不安があるなら、どっか寄って弁当とか惣菜とか買うんでいいから、俺の家に来てよ。見せたいもの、あるし」
「見せたいものって? てか手料理?」
「パスタとか簡単なものになるけど、一応食材は揃えてる。し、万が一に備えてちょっとお高いレトルトソースも買ってある」
 それはつまり、あまり作り慣れてないって事じゃないのか。不安しかないが、興味の有る無しで言えば、どんなものが出てくるんだろう的興味はある。
「見せたいものは?」
「見せたいというか、一緒に見たいというか」
「映画とか?」
「まぁそれに近いものではあるかな。この前撮ったやつのざっくり編集版、焼いて貰ってきた」
「え、ちょっと待って。もしかして一緒にAV見ようって言ってる? しかも自分たちの?」
「うん。言ってる。興味ない?」
 全く興味がないわけではないけれど、自身の出演するAV鑑賞にどんな気持ちになるのか、全く想像ができない。
「無理そうなら途中でギブアップしてくれていいから。とりあえず、俺んち、向かってもいい?」
 即答できずに悩めば妥協案らしきものを提示されて、結局、迷いながらも頷いてしまった。

続きました→

 
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