可愛いが好きで何が悪い48

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 さっきまで突っ込まれていたのはバイブで、彼に指で直接その場所をいじられ確認されたわけではないのに、中のイイトコロというか前立腺はすぐに把握できたらしい。更には、強い刺激で気持ちよくイケる気がしなかったとか、最弱の方が良かったと言ったせいか、しっかりイイトコロにペニスの先端を擦り付けながらも、刺激そのものは激しくなく緩やかだ。
 つまりは、かなり的確に快感を引き出されていてたまらない。捏ねられ続ける前立腺を中心に、じゅわじゅわと快感が溢れ続けているような感覚が、怖いのにひたすら気持ちがいい。
「あ、あ、あっ」
 宣言通りにアンアン言わされている自覚はあるが、想像していたより数段甘く、ねっとりとした気配の中で喘がされている。もっとガツガツと突かれて、強い刺激にどうしようもなく泣き喘ぐような、そんな状況になるのだと思っていた。
「よかった、お尻気持ちぃの、すごい可愛い」
 うっそりと笑う顔は、相手もまた、強い快感の中にいるのだと教えてくれる。うっとりと嬉しげに笑う余裕は多分もう無くて、きっと、もっと激しく突き上げて自身の快楽を優先したい欲と戦っているのだと思う。さっきみた雄の顔が、チラチラと見え隠れしている。
 相手のそんな姿を見てしまっても、さすがにもう、自分の欲を優先させろよとは思わなかった。相手が何をしたくて、見たくて、必死に頑張っているかを知っているせいだ。
 ただ、知っているからといって、それを与える術を持っているかは別だ。というか持っていない。少なくとも今はまだ。
 このまま気持ちよさに体を委ねていれば、勝手に彼が連れて行ってくれるのかも知れないけれど。初めてなのに無理だろと、強く疑う気持ちももう、そこまでないのだけど。
「あ、あっ、ううっっ」
 何かが迫り上がってくる未知の感覚は、快感への期待よりもやはり恐怖が勝ってしまう。
「もしかして、気持ちぃの、怖い?」
 ギュッと掌に触れる布を握りしめてしまったら、ちらりとそちらに視線を流した後で、そんな言葉が降ってくる。と同時に、握った拳をゆるっと撫でられたあと、その手を開くようにと促された。
「ここまできたら止めたげないけど、怖いなら俺にぎゅってしてよ」
 そっちのが嬉しいからと、捕まりやすいようにと前傾してくれる。けれどその肩なりに縋るのはさすがに躊躇われてしまう。
「おとこの、あくりょく、だぞ」
「ああ、なるほど」
 あんまり痛いのは俺も嫌だなぁと続いたから、諦めたかと思ったのに。でも前傾された体はそのままだ。
「できれば抱きつく感じで、腕回して。まぁ、どっか握ってても、ダメじゃないけど」
 もし痛いって情けない声上げても許してくれるなら、という注文付きだったけれど、そこまで言うのならと相手の体に腕を伸ばす。ギュッと抱きついたら、抱き返すみたいに相手の腕も背に回って、軽く背が浮いた状態になる。
 重くないのかと思うまもなく、その手がさわさわと背中をなぞる感触に、キュッとお尻に力を込めてしまった。
「んぁっ」
「締め付けすごっ」
 ふふっと笑いながら、衝撃で抱きつく力を強めたせいで、さらに浮いてなぞりやすくなった背中をあちこち撫でさすっていく。あちこちというか、さっき一度探られた性感帯を、的確に拾われている。
 齧られる代わりにカリカリと爪を立てられたり、吸われる代わりにつままれると、ゾワゾワとした快感が走って腰が震えた。その度にキュッキュと相手のペニスを締め付けているのがわかるし、イイトコロを外して最弱で動いていたバイブと違って、今はしっかり狙って中のイイトコロを彼のペニスが刺激しているのだ。
「あ、あ、も、むりぃ」
 さすがに限界だった。
「無理って?」
「も、いきたぃ、だした、い。も、さわ、って」
 募る射精感に、果てることを願う。相手の目的からは外れてしまうとわかっていながら、ペニスを触ってイカせてほしいと訴える。
「わかった」
 あっさり了承されて、背中に回った腕が解かれて、それに合わせてこちらも抱きついていた腕を緩めた。密着しすぎていたら、こちらの勃起ペニスを弄れないのはわかっている。
 なのに、ホッとしたのもつかの間。
「ひっ、あ、あっ、なん、ち、ちがっ」
 一度軽く足を抱え直した相手が、再度前傾してきて、その唇が触れたのは胸の先だった。ちゅっと吸い付かれて、ビクッと体が跳ねてしまったが、相手はお構いなしに胸の先に吸い付いたままだ。
 さっき散々こねくり回されて、そこもしっかり性感帯として機能している。全く未知の性感帯というわけではないというか、そこは性感帯という認識がもともとあったからか、最初から結構簡単に快感を拾えた場所だった。
 そんな場所に吸い付かれて、的確に中のイイトコロを擦られたら……
「あ、あっ、や、やだ」
 引き剥がそうと相手の肩を掴んだ手に力がこもってしまって、相手が小さく呻いた気配があった。けれど頭は胸から離れていかないし、それどころか、もう片側の胸には手が伸びてきて指先で弄りだす。
「こわ、こわいっ、ってぇ」
 両胸を同時にイジられて、目の前に火花が散った。ビクビクと体が震えて、相手のペニスを締め付けているのに、それを振り切るようにグッグッと前立腺を押し込んでくるから、迫り上がってくる何かにとうとう怖いと口に出した。
「怖くないから、イッちゃいな」
 声とろとろで可愛いよと、胸の先で囁かれる。濡れた先端がその息遣いと、その後溢れた笑うみたいな吐息を拾って、ジンと痺れるようなもどかしさで震える気がした。
「ほら、お尻も気持ちぃね」
 そこを意識させるようにわざわざ声に出してから、ねっとりと緩やかだった腰使いが、少し早くなる。バイブのスイッチを強くされたときよりはまだ緩やかではあったが、それでも強くなった刺激に腰がガクガクと痙攣する。
 怖い怖いと漏れてしまう声に、大丈夫、可愛い、気持ちぃねと繰り返しながらも、相手は動きを止めてくれはしなかった。
「ひぃ、ぁああっっ」
 結果、とうとう迫り上がってくる何かが溢れでるのを感じて、相手の目的が達成されたのをその身で実感する羽目になった。

続きました→

 
 
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