罰ゲーム後・先輩受16

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 短期集中ではあったものの、日中の殆どを使って慣らしまくった体は、無事に相手の勃起ペニスを全て受け入れた。耐え難い痛みに襲われることもなかったし、裂けて流血なんてことも起きていない。
 ただやはり、さすがの質量に圧迫感が凄い。
「痛くない、すか?」
「ん、それは、平気」
 不安そうに聞いてくる相手に大丈夫と笑ってやりたいのに、そこまでの余裕がないのが悔しい。強引に口角を上げれば頬がプルプルと引き攣る感じがして、こんなんじゃ余計に心配を掛けてしまうし、下手したら萎えられてしまう。
「けど……」
「苦しいのは事実、だ、けど、でも、嬉しい、から、へーき」
 また笑うのを失敗して、今度はふへっと妙な音が漏れた。でもその音に釣られたように、相手も少し笑ってくれたから、もういいやと更にふへへと笑いをこぼす。
「俺ん中、お前で、満たされてる、って感じ、する」
「俺は、先輩に体ごと全部包まれてる、って感じっす。なんかこのまま俺の全部を、先輩に飲み込まれそうって気もします」
 繋がってるのはほんの一部なのに不思議だと言うから、お前を全部飲み込んでやりたいこっちの気持ちが、繋がってる部分から流れ込んでんじゃないのと言ってみた。
「先輩って……」
「ん、なに」
 しばし考えるような素振りの後、可愛いですねと何やら色々含ませた様子で笑われてしまったけれど、さっぱり意味がわからない上になんだか逃げられたような気分になって気持ちが揺れる。咄嗟に腕を伸ばせば相手が前傾して身を寄せてくれたので、肩を掴んでさらに引き寄せ、最終的には背を抱くようにしてギュッとしがみついてしまった。
 より深くなった繋がりと、密着した相手の体温とに安堵して、ホッと息をつく。
「せんぱい、好きです」
 甘い声が耳の横で響いて、しがみつく腕に力を込めながら俺もと返す。
「俺も、好き」
「先輩ん中、きもちぃっす」
 甘えを含んだトロリとした淫靡な声とともに、ハァと零れる熱い息が耳にかかって、体だけでなく心までなんだかゾワゾワした。比較的スムーズに繋がれたものの、過去のトラウマから挿入状態が続けられるかの不安はないわけではなかったから、この状態でちゃんと気持ちが良いと感じて貰えて嬉しかった。
「ん、なら、良かった」
「痛くない、なら、少し、動いてみて、いいっすか」
 いいよと返して腕を緩めたけれど、相手の体は離れていかない。それどころか、ぎゅってしたままでいいと言われて、再度相手の背を抱いた。
 本当に小さく、腰を揺する程度に動かれる。そんな小さな振動も、続けばジワジワと体の熱が上がっていく。いつの間にか勃起しきったペニスが相手の腹に擦れるものだから、前後同時の刺激で達することを繰り返した体が、もどかしさでより強い刺激を欲しているのがわかる。
 あっ、アッと零す嬌声の中に、もっと激しくされたい気持ちを素直に混ぜて吐き出せば、わかりましたと頷かれて、探るように少しずつ動きが大きくなった。
 こっちははっきりと、徐々に余裕をなくしていってるのに、相手は未だこちらの体をしっかり気遣えるだけの余裕があるらしい。それが少し悔しくて、ちょっとくらい乱暴でもいいからもっとがっつかれたいな、などと思ってしまう自分は、やはり相当欲深いのかもしれない。
 理性取っ払ってがっついてなんて、その結果どうなるか最悪の事態を考えたら、とても言えるようなことじゃないのに。
「どーしました?」
 なのに、こちらの気配にやたら敏感な相手によって、あっさり気付かれてしまった。ホント、どんだけ見てるの。
 驚きと緊張とが混ざって思わず身を固めれば、相手は動きを止めて少しばかり身を起こす。
「何か、気がかり、ありますか?」
 しっかり顔を覗き込まれて何かを確認されたが、それを聞くということは、気がかりの内容までだだ漏れてはいないらしい。
「なんで、わかる、の」
「さぁ、なんとなく」
「お前ばっかり余裕あって、ズルいって思ってた、だけ」
「余裕なんてないっすよ。いっぱいいっぱい、す」
「でも、俺の変化に気付いてる」
「だってやっぱ怖いんすよ。失敗したくないというか、終わった後、して良かったって思えるようなセックスにしたいというか」
「しなきゃ良かったなんて絶対ならない。もし、いまここで中断することになったって、お前とちゃんと繋がれて良かったって思うよ」
 何言ってんだという気持ちでいささか強い口調になってしまったら、困ったように中断しますかなんて言うから、ますます腹が立ってくる。
「ちっがう。何聞いてたんだよ。もしって言ったろ。細かい気遣い嬉しいけど、お前は俺を気にしすぎ。お前が気持ち良くイッてくれたら俺はそれでいいの。でもお前だけ気持ち良くなるのはお前には無理なんだろうなって思うから、俺も一緒に気持ちよくなりたいけど、俺だって俺だけ気持ちいいのは嫌なの。わかる?」
「俺も、ちゃんと、きもちぃす、よ?」
「でも俺だけアンアン言ってるし、お前、俺が気持ち良くなれるようにって方に必死だもん」
「あー……」
「何、その、あー……って」
「いや、何が引っかかってるかわかったかも、ってだけっす」
 本当にちゃんと気持ち良くなれてますよと繰り返す顔は、なんだか苦笑を噛み殺すみたいな感じだった。

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罰ゲーム後・先輩受15

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 さすがに花火は別の日にというわけに行かないし、日々こんなにも触れ合って過ごしているのだから早々スキンシップが不足すると思えないし、多少ストレスや欲求不満がたまった所で、その日は泊まって貰うことになっていたから帰宅後どうとでもなると思ったし、行けばそれなりに楽しめるだろう確信もあって、つまり折角なのでと繰り出した。
 海ほどあからさまに女の子狙いな感じは出なかったのか、はっきりナンパとわかる声掛けはなかったし、会場近くではめちゃくちゃ混み合った人の波に紛れてこっそり手を繋いで歩いてみたりと、少しはデートっぽい気分を感じることも出来たのだが、その結果、溜まったのはストレスや欲求不満ではなく、期待だった。
 わかりやすく花火大会のムードに飲まれて、早く最後まで抱かれたいって気分が、思いっきり盛り上がってしまったのだ。元々、週明けから夏期講習が再開するので、今夜か明日の日中には繋がるセックスを試す予定だったのだけれど、今日も花火大会に出かける直前までベッドの上にいたし、出掛けて疲れて帰った後で試すことはないかと思っていたのに。
 そんなこちらの期待や気持ちの盛り上がりはやっぱりダダ漏れだったらしく、玄関を施錠し振り返った直後、玄関扉に体を押し付けられるようにしてキスされた。部屋へと向かわずに居たのは気配でわかっていたものの、まさかキスするためだなんて思っていなくて驚いた。
 しかも性急に性感を煽るようなキスに、もしかしたら彼自身、花火デートで気持ちが盛り上がって、自分と同じように興奮しているのかもしれないと嬉しくなる。
「なぁ、しよ。最後まで」
 キスの合間、相手を自分の中に感じたくてたまらないのだと訴えれば、名残惜しげに唇を吸われた後、手を引かれて風呂場へ連れて行かれた。
 しかし、このまま一緒に入って汗を流すのかと思いきや、相手は先に準備しておきますと行ってさっさと脱衣所を出ていってしまう。前みたいに、部屋の準備を終えた後で入ってくるのかと少しゆっくり目に体を洗ってみたが、一向に戻ってくる様子はない。
 仕方なくシャワーを終えて部屋へと戻れば、相手は腰掛けていたベッドから立ち上がった。どうやらこちらが出てくるのをわざわざ待っていたようだ。
「俺もシャワー、行ってきます」
「待って。シャワー使う気あったなら、なんでお前、来なかったの?」
 言外に待ってたのにと言う気持ちを含ませ問えば、相手は少し困ったように笑ってみせる。
「もう、失敗したくなかったからっす」
「失敗って?」
「あのまま一緒にシャワー浴びてたら、俺、その場で突っ込みそうだったんで。そんなんしたら、セックスのトラウマ増やす結果にしかならないすよね。だから少し、頭冷やしてました」
 せっかくお互い気持ち盛り上がってる所だったのにすみませんと言われて、慌てて頭を左右に振った。
「あやまんなくて、いい。俺こそ、ごめん」
 お互い童貞じゃなくたってアナルセックスの経験なんてもちろんなくて、だからここ数日ずっと、体を慣らして拡げるという準備を丁寧に行っていたのに、感情の高ぶりに任せて勢いで繋がろうとするところだった。
 もし一緒にシャワーを浴びて、彼の早く挿れたい気持ちに気付いてしまったら、きっとそれを制止することなく、むしろ煽ってその場で繋がっていただろう。だって早く挿れたいなんて思って貰えたら、絶対に嬉しい。その場で突っ込みそうだったって聞いた今だって、こんなにも嬉しいのだから。
 きっと、無茶して多少痛い思いをしたって、そんなの構わないと思ったはずだ。求められる喜びを優先させたはずだ。もしそれでこちらの体が傷つくようなことになれば、彼の心の傷をえぐることになると、あの興奮状態でそこまで思考がまわるはずがないからだ。
「先輩こそ、謝らないで。すぐ戻るんで、もうちょっとだけ、待ってて下さい。そして戻ったら、最後まで抱かせて下さい。先輩の中、俺も、感じたいっす」
 そんな言葉を甘やかに吐き出し、一瞬覚めかけたこちらの興奮を煽った後、宥めるようなキスを残して相手は部屋を出ていった。

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罰ゲーム後・先輩受14

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 抱かれるための体の準備は一人でするつもりだったのに、それは嫌だと言い張られて、とりあえず一緒にいられる時間が長いお盆期間中は、一人で勝手に弄って拡げないと約束した。用意された穴にただ突っ込むのが嫌だと思う男の矜持はわかる気がするし、一緒に関係を進めたい気持ちや、自分の手で慣らしたいと思ってくれた気持ちが嬉しかったからだ。
 そのかわり、水族館や遊園地は逃げないからとデートの予定を取りやめて、日中ひたすらベッドの上で、繋がるための場所を慣らして拡げる行為に没頭した。これは、多少強引にでもガンガン自己開発しまくって、出来れば塾が開く前に一回くらいは繋がるセックスにチャレンジしてみたい気持ちがあることを、正直に相手に伝えたせいだった。
 必要なものを揃えて、バスタオルを広げた上で両足を開いてその場所を晒し、惜しみなくたっぷりとローションを注がれながら相手の指を受け入れる。なんら怖くないし痛くもないし、確かに違和感はあるけど、くすぐったいようなゾワリとする感覚が快感の前兆だってこともわかっている。ただ、恥ずかしさだけはどうしようもなかった。
 だって、思いの外相手が饒舌なのだ。今その場所がどうなっているのか、こちらを気遣う言葉とともに伝えてくる。それが恥ずかしくて照れても、戸惑っても、可愛い愛しい好きだと繰り返す。
 彼がそうする理由はわかっている。
 今まで経験してきたセックスで、他人にそんな場所を弄られたことがないのだ。秘された場所を暴いて拡げて弄るのは、当然、自分の側の役割だった。
 抱かれる側をするってのは相手にその役割を譲ることだと、頭ではもちろんわかっている。けれど相手が何を感じるのか、男の尻の穴を弄ることに本当に抵抗がないのか、まだちゃんと抱きたい気持ちで居てくれているのか、主導権を相手に渡して待つ側の不安は思った以上に大きかった。
 それを言葉でも、態度でも、大丈夫だと知らせてくれているだけで、恥ずかしくてたまらない気持ちは、同時に、嬉しくてたまらない気持ちにもさせる。
 やっぱり思った通りだった。まだ最後まで抱かれてはいないけれど、体を預けきってしまっても、欲に任せて乱暴に扱われることなんて一切ない、優しい気遣いに溢れたセックスをしてくれている。過去のトラウマがそうさせるのかも知れないけれど、だったら尚更、自分は与えられる快楽をめいっぱい素直に受け取り、気持ちが良いことを隠さず相手に返してやればいい。
 そんな気持ちから、多少の躊躇いはねじ伏せ、ゾワリとする感覚が育ってはっきりとした快感を掴むようなった後は、尻穴を弄られるのがキモチイイのだと伝えるように喘いだ。
 相手は良かったと言って嬉しそうに笑ってくれたが、良かったはこっちのセリフだと思う。抱かれる側を選んでよかった。彼が嬉しそうでよかった。この体が、彼に抱かれても気持ち良くなれそうで、本当に、よかった。
 それともう一つ、慣らす行為を始めたことで、今までとは大きく変化したことがあった。
 フェラはもちろんとっくに試していたけれど、して貰うのは手より断然気持ちがいいし、興奮だってするけれど、自分がするのにはやはり少し抵抗があると言われて、抜き合う時は基本手で扱き合うばかりだった。されるのが気持ち良いなら、自分だけでもしてやりたかったけれど、こちらがただただ相手のを口で愛してやりたいのだとしても、強引にねだってフェラすれば、相手は内心嫌々ながらでも絶対にやり返してくるからだ。そんな所は張り合わなくていいのに、それはフェアじゃないからと頑として譲らなかった。彼だけが良い思いをする事に、かなり抵抗があるらしい。
 そんな彼が、ねだってもいないのに、積極的にフェラくれるようになったのだ。抵抗があるんじゃなかったのかと、最初はかなりビックリしたけれど、したいからしてるし大丈夫だという彼の言葉を信じて、ありがたく気持ちよくなっている。
 多分、尻の穴を拡げられる違和感を、より強い快楽でごまかそうとしているんだろう。同時にペニスを弄る際、口でもしてくれるようになったのは、挿し込まれる指の数が二本に増えてからだ。
 そして彼が口でしてくれるのだから、こちらも心置きなく口を使ったお返しが出来る。抱かれる側になると決めて、主導権を相手に渡して体を慣らされていても、自分だって相手の体をあちこち弄ってめいっぱいの快楽を引き出してやりたいのだ。
 なんとなくのケジメで平日の宿泊は許可しないままだったので、夜になれば相手は帰って行ったけれど、その分日の高いうちから部屋にこもって一日中そんな行為を繰り返していたのだから、まったくもって欠片も健全さのない日々だった。

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罰ゲーム後・先輩受13

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 ナンパされても揺らがなかったからですよと告げる声は柔らかで、こちらを見つめる視線もいつの間にか随分と、穏やかで優しいものへと変化していてドキリとする。
「前に、二股かけない程度の誠実さはあるって言ってたっすけど、それ以上に大事にされてると言うか、好かれてると言うか。先輩の好きを信じてなかったわけじゃないんすけど、学校の外でも、学内の生徒の前以外でも、同じかそれ以上にちゃんと恋人として扱われて、なんて言うか、こう、恋人なんだってことを実感したっす」
 これさっきも言ったっすねと照れ笑う顔さえ、やはり穏やかで優しかった。
 確かにデートと思って出掛けていたし、相手が好きって気持ちも日々育ってしまっているけれど、ちゃんと恋人として扱えていたかと言われるとそこまで自信がない。学校内の方がまだ、自分たちが恋人であると知られている気安さから、恋人っぽい触れ合いが出来ていた気がするんだけど。
 いやでも結局、校内でのキスは控えるようになってしまったので、やっぱりそんなに変わらないかも知れない。
「ごめん。俺の方はそこまで、お前を恋人として扱えてた実感ない。むしろ、はたから見たら男友達にしか見えないんだろうなって思って、なんか悔しいくらいだったんだけど」
「そういうの、なんとなく、伝わってたっすよ」
 相手はふふっと柔らかな笑いをこぼして、そういうのを恋人として扱われてると言ったつもりだったと続けた。
「ただでさえデカイ男が二人並んで歩ってると人目につきやすいし、変に注目浴びたくはないんで、先輩が考えてるような恋人らしい扱いを外でされたいとは思わないし、先輩もそれわかってるからしないんすよね? でも実際には出来なくても、手を繋いで歩きたいとか、腕組んで歩きたいとか、引き寄せたい、抱き寄せたい、キスしたいって思ってくれてるの、やっぱり嬉しいっす」
「待って。お前と手繋いで歩きたいなとか思ってるの、まさか顔に出てたりする?」
「家の中でなら結構はっきり。ただ、ちゃんと同時に口で言ってくれる事も多いすけど」
 そりゃあ家の中では隠す気もないし、顔にも態度にもわかりやすく出てるだろう。察しがいいから、こちらが口で言う前に叶えてくれる事も増えている。でも家の外での話をしてるのに、というこちらの不満には気づいているようで、ほんのりとした苦笑とともに、宥めるような声音が言葉を続けていく。
「家の中で鍛えられたんで、外でもなんとなくの雰囲気でわかる、という話っすよ。だから実は半分くらいは、だったら良いなって俺の希望も混ざったはったりすかね」
 あながち外してないみたいで良かったなんて言われて、若干騙されたような気分にムッとしながら相手を見つめた。ただ、あながち外してないというのも、多分、事実だ。
 罰ゲーム期間中から察しは良い方だと思っていたし、気遣いも上手いと思っていた。あまりに自然にそれをこなしていたから、甘やかされていると感じることは多くても、またかとどこか当たり前のように受け止めていた。
 なぜそれを当然だなんて思っていられたんだろう。エスパーでもあるまいし、口に出さないことを雰囲気で感じ取れるようになるには、それ相応の努力なり経験なりが必要なはずだ。
 普段、いったいどれだけ注意深く、彼に見つめられているんだろう?
 元々素養があったにしろ、そうでなければこの短期間で、日々こんなにも心地良く甘やかされてなんかいないはずだ。彼がそこまでしてくれるのは自分が彼の恋人だからだと、考えればすぐにわかることだけれど、頭でわかることと実感することは確かに違うらしい。
 その実感は、騙されたと思ってムッとする気持ちを、照れ恥ずかしい喜びへ塗り替えてしまった。
「俺も今、俺がお前の恋人なんだってこと、ちょっと実感してるかも」
 嬉しいと言ったら、俺もですの言葉とともに、再度顔が寄せられ唇が触れた。そっとまぶたを下ろして、優しく触れ合うだけのキスを堪能する。
 心が満たされて、でも、足りないと思う。気持ち良いことがしたいという直接的な欲求とはまた少し違う感じで、もっと、相手が欲しいと思う。知りたいと思う。
「お前が欲しいよ。お前と、もっと深いところで、繋がってみたい」
 抱いてみたいって思ったってのは、つまり、そういう事だろう?
 そんな確信はありつつも、彼の言葉がどの程度本気の話かはわからず不安で、気持ちも吐き出す言葉も揺れている。
 だから俺もですと甘やかに返されて、安堵と喜びとがあふれるみたいに、少しだけ泣いてしまった。

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罰ゲーム後・先輩受12

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 お盆前後は塾も入れないし、週三来てくれている家政婦さんも来ない。相手だってその時期は部活なんてないし、塾の休館日は知らせてあったからバイトだって入れてない。だからその期間は冷房効かせた部屋にこもって、ひたすらダラダラいちゃいちゃ過ごそうかと思っていた。
 けれどそんなこちらの希望を、取り敢えず相手に送って伺いを立ててみるかと文面を打ち始めた直後。相手とは近所のスーパーやらスポーツ広場以外に出かけたことがない事に気付いて慌てて、急遽、たまにはデートしようかと誘う文面に変える。
 罰ゲーム期間中も含めて、まともにデートをしたことがなかったけれど、相手はそれを不満に思うことはなかったんだろうか。罰ゲーム中はともかく、ごっこじゃなくなった今は、どこかに行きたいとか言ってくれても全然いいんだけど。とはいっても、デートしてない事実にも気づかず、罰ゲーム中と変わらぬどころか夏期講習で疎遠にするような真似までしていたこちらの非が大きいのはわかっている。
 そう言えば、こんな自分に進んで告白してくれるような女の子たちは、あれしたいこれしたいと主張のはっきりした子が多かったから、自分からデートに誘うなんてかなり久々の感覚だ。夏なんだから海やプールに行くのもいいし、暑いから映画館やプラネタリウムもいい。水族館とか動物園とか遊園地でも、時期的に夏祭りとか花火とかでも良いかもしれない。なんてことをあれこれ考えるのは楽しかった。
 けれどそんなこちらの思惑は、デートしようかだけではまったく通じなかったようだ。
 そういえば最近は外でご飯食べてないですもんねと返ってきて、どういう事だと突き詰めていった結果、彼の中でデート=学校帰りにファミレスやファーストフード店で夕飯を食べる事と刷り込まれているのを知って驚いた。いや確かにそれを肯定するような事を言った気はするけど。
 しかも、そうじゃなくてと海でもプールでもというのを並べ立てれば、そういうのならプロバスケの試合を一緒に見に行きたいですと返ってきた。だからそうじゃない。いや別にそれも悪くないけど、でも今はお盆期間の話をしてるのであって、プロバスケのシーズンが始まるのは九月からだ。
 ただバスケ観戦デートは確かに楽しめそうだから、それはシーズン始まったら行くことにしようと脳内にメモしつつ、再度、お盆期間中どっか一緒に出かけたりしなくていいのと聞いてみた。そしたら今度は、日中遊びに行くなら早めに帰ってこれる場所、花火や夏祭りに行くならその日は泊まらせて下さいと返ってきて、今ひとつ話が噛み合わない。
 こっちは相手が行きたい場所の希望を聞いているのに。
 それでもなんとか互いの希望をすり合わせ、手始めに映画へ行って、次に海へと行ってみたところで、なんで相手が早め帰宅に拘ったり夜遊ぶなら泊まりでなんて言ったのか、あっさりわかってしまった。
 なるほど。男二人で出かけて遊ぶ系のデートをするのは、それなりにストレスと欲求不満が溜まる。特に海で男二人なんて、完全に女の子狙いみたいだったし、実際に声を掛けられもした。もちろんあまり派手にイチャイチャくっついても居られない。
 こうなるだろうってわかってたなら、デートに誘った時に言っておいて欲しかった。というか無駄に精神面まで疲れた気がする。
 久々に泳いだりして肉体的にもそこそこ疲れていたから、帰宅後はエロい気分でというよりは本当にただただ相手にイチャイチャひっついてスキンシップを補給させて貰う目的で、ベッドの上でダラダラうとうと微睡んでしまった。ストレスと欲求不満が溜まると言いつつ海もそれなりに楽しんだけど、でもやっぱりこの時間のが圧倒的に楽しくて幸せだと思う。
 もし相手も同じように思っているなら、当初の希望通り、部屋に引きこもった夏休みでもいいかもしれない。お家デート最高ってことで。
 なのに、遊ぶならここしかないとでも言う感じに詰め込んだ、水族館と遊園地と花火大会の予定を止めにしようかと提案してみたら、わかりましたと言いつつも残念そうな顔をする。
「待って。本当は行きたいってならちゃんと言って?」
「正直今日みたいなこと絶対起こると思ってたんで、デートらしいデートがしたい気持ちはあんまなかったんすけど、でも思ったより楽しめたというか、悪くなかったというか、色々気付かされることもあったので」
「気づくってどんな?」
 思わず聞き返せば、何故かいたずらっぽく笑んでみせるから珍しい。
「気づくというか、今、先輩の恋人なのは俺なんだって、実感する感じっす」
 しかもそんな事を言われても、ますます意味がわからなかった。
「でもデートなのに、そんなイチャイチャできてなかったろ?」
「でもその分こうして今、めちゃくちゃ甘えてきてるじゃないっすか。バランス取れてるんで俺的には全然オッケーっす。ただまぁ俺に気を遣って疲れたのも大きいみたいなんで、無理して出掛けなくてもいいかなとも思ってますよ」
「お前に気を遣うっつーか、だってお前こそ、嫌な思いしたろ?」
 デート中に恋人が他の異性に声を掛けられる姿なんて見たいはずがない。しかも相手の方が隙がないというか、一見無愛想なせいで、多分相手狙いっぽい子でさえこちらに声を掛けてくるものだからたまったもんじゃなかった。
「学校以外でもモテるんすね、というのはまぁ、わかりました」
 笑みを引っ込めマジなトーンで告げられて焦る。
「いやいやいや。俺のほうがチャラそうに見えて声かけやすいだけで、お前狙いも絶対居たからね? てか愛想よく見えたかもだけど、あれ全然喜んでなんかなかったからね?」
 なのに、それを聞いた相手は、またどこかおかしそうに笑っている。
「さすが女の子のあしらい上手いなーとは思いましたけど、あれを喜んでるなんて事は思いませんでしたよ。それより、まさか可愛い女の子に声掛けられてもまったく靡かないとか思ってなくて、だから、そんな姿見れたのは結構嬉しかったっす」
 先輩がナンパされてる時、隣で俺が優越感感じてるなんて思っても見なかったでしょう、なんて続けながら、笑顔がそっと寄せられる。柔らかに触れる唇を、驚きとともに受け止めた。けれど驚きはそこで終わらない。
「驚かせついでにもう一ついいっすか。俺、先輩のこと、抱いてみたいかもって思いました。今日」
「は? えっ? なんで? 今日?」
 あまりに驚いて、疑問符を飛ばしまくってしまった。

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罰ゲーム後・先輩受11

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 そういえば、突っ込むセックスをしない理由は告げたけれど、過去に彼女の生理が遅れて血の気が引いた経験があるなんてことまでは話してない。もちろん彼相手に限らず、こんな事を自分から進んで話したことなんてないけれど、なぜ自分は抱いて貰えないのだと責めてくるタイプの彼女には話すこともあった。確信を持って、前の彼女のことは抱いていただろうと言われたりもしたから、当然こちらの噂をアレコレ聞かされただろう彼も知っていると思いこんでいた。
 いやでも、こんな噂があるけれど本当ですかなんて聞かれたことはないし、噂を闇雲に信じるタイプではないから、突っ込むセックスはしないというこちらの言葉を信じただけに過ぎないのかもしれない。
「あー……俺だって最初っから今みたいな、一緒に飯食ってついでにイチャイチャさせてくれるなら誰でもいい、って交際はしてなかったんだよ。繋がるセックスもしたし、お前ほど頻繁じゃないけど、泊まってもらったこともある」
「それは相手のことが好きだったから、すか?」
「胸を張ってそうだって言いたいとこだけど、何ていうか、万が一避妊失敗したらどうなるのかって事を理解する前は、当たり前に抱いてたってのが正しい気もする。自分の置かれた状況や立場を認めて、納得して、諦めるのに結構時間掛かったんだけど、その間に付き合ってた子とはそこまで割り切った感じじゃなく恋愛を楽しもうとしてた。そういう意味でなら、相手のことを好きだと思ってたから、抱いてたよ」
 恋愛に逃避して、女の子との甘い時間に逃げて、夢中になって、でも現実が変わらないこともわかっていた。そんな中、生理が遅れている報告やら親からの忠告やらで完全に覚めてしまったけれど、でも一人の寂しさに耐えられなくて、結果、都合よくイチャイチャさせてくれる恋人を求めるようになってしまった。
「もしかしてお前が突っ込まれるの絶対ナシって言ったのって、俺が童貞だと思ってたから、自分の初めての時と重ねて怖くなってたのもある?」
「それは、まぁ、はい」
「じゃあ、絶対優しくするを信じて、突っ込む経験もそこそこ積んでる俺に任せてみたりは?」
 即答はできないようで、けれど迷う様子は見せている。押し切ったら頷きそうな気もするけれど、でもただでさえ罰ゲーム中にたぶらかして惚れさせた負い目のようなものもあるし、男に突っ込まれるなんて経験は彼に必要が無いだろう。
 彼と繋がってみたいのはこちらの欲求で、男なのに男に抱かれるという抵抗感も彼が相手ならほとんどないし、もし自分相手に気持ちのよいセックスが出来れば、抱くのでさえ怖いという相手のトラウマ克服になるかもしれない。
「ゴメン。悩まなくていいよ。繋がるセックスする時は、俺が抱かれるから」
「自分で慣らして拡げるから、ユルユルになったらチャレンジしてくれって、本気で言うんすか?」
「ダメ?」
 暫く逡巡した後、結局、考えさせてくださいと返された。したいって言い出したら別れると即答されてた事を思えば大きく前進したような気もするけれど、先走って勝手に慣らしたりしないで下さいとも言われたから、やっぱりあまり期待はできそうにない。
 それどころか、はっきりしたい意思を見せてしまったことで、今後彼がどう感じるかが不安になる。繋がるセックスが出来なくたって、物足りなくて不満だなんて思うつもりはないけれど、でも一度完全に認めてしまった気持ちを、上手に隠すことが出来るかわからない。
 椅子から立ち上がって、彼の側へ回り込む。辿り着く前に同じように立ち上がっていた相手が、何も言う前に腕を広げてくれたから、そのまま黙ってその腕の中に収まった。それだけでこんなにもホッとする。
「無理して俺を抱く必要なんてないからな。そういうの無しでって始めた恋人だってのもわかってるし、何度も言うけど突っ込まないセックス慣れてるし。今でも十分気持ちいいし、楽しいし、なによりお前と、まだ恋人でいたい」
 甘えるみたいに背に腕を回して抱きつけばキュッと抱き返された。
「わかってます。俺もっす。まだ、先輩と、恋人でいたい」
「うん。してみたい気持ちと、お前じゃ物足りないはイコールじゃないから、そこ、間違えないで?」
「はい」
 短い肯定の後、ゆるりと抱きしめる腕を解かれながらベッドへ誘われる。こちらから誘いをかけることが圧倒的に多いので、そんな小さなことでも結構嬉しかった。
「ん、じゃ、行こ」
 多分、嬉しい気持ちはわかりやすく溢れただろう。
「落ち込ませてすみません。その分いっぱい、気持ちよくするんで」
 トラウマになる程の過去の性行為の失敗を語らせたのはこちらなのに、ホッとした様子でそんな事を言うから、相変わらず随分と甘やかされているらしいと思った。

続きました→

 
 
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