あけおめー(雑記)

明けましておめでとうございまーす(^O^)
昨年は6月に思いつきと勢いでオリジナルBL小説を垂れ流すブログを構築し、なんとか半年、一日置きになんらかの作品を投下し続ける事ができました。
当初思っていたよりも色々と反応をいただけてとても嬉しいです。
いつもブログ訪問ありがとうございます。
今年も引き続き、基本奇数日の9時半頃更新を目指して書き続けていくつもりでいるので、どうぞよろしくお願いします。

本当は午前0時に年越し小話を投下して、いつもの更新時間の9時半頃に新年の挨拶(雑記)を投下できればと思っていたのですが、予定していた年越し話は書き上がりませんでした……_| ̄|○
というわけで、引き続き本日更新分のお話を書く作業に戻ろうと思います。
ホント、相変わらずギリギリすぎ。

 
 
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HOME/1話完結作品/コネタ・短編 続き物/CHATNOVEL/ビガぱら短編/シリーズ物一覧/非18禁

大学生になったら親友にも彼氏が出来たかも知れない2(終)

1話戻る→

 親友に電話を掛けたら、開口一番「やっぱ筒抜けなんだな」と笑われた。
「俺に聞かれちゃまずかった?」
『んなことないよ。でもお前に聞く話でもないかと思ってさ』
「てか、俺を喜ばせるテクなんて、そんなの聞いてどうすんだよ」
 男の恋人ができたと言われるのかと、多少ドキドキしながら聞いてみる。
『知っといたら役に立つかなと思って?』
 あんま参考になんなかったけどと言った相手は、更に、もっと具体的な話が聞きたかったんだけどなと続ける。
『この際お前でも良いや。ちょっと昔を思い出して、初めての時どんな事されて気持ち良かったか詳細教えない?』
 何言い出してんだよ。やだよ。と即答しそうになるのを堪えて、結局自分から真相へ触れに行く。
「あのさ、もしかして恋人できた?」
『男の?』
 楽しげな声に、悪戯を仕掛ける時の相手の顔が脳内に浮かんだ。こちらが何を気にして電話を掛けたかは、きっと相手もわかっているんだろう。
「そう」
『出来てないよ』
 あっさり否定されて、じゃあなんでとますます思う。
「じゃあ……」
『うん、でも、気になってる相手はいる』
 もちろん男でと言われて、やっぱりそうなのかと少しだけ複雑な気持ちになった。
『ゴメンな』
「なんで謝るの?」
『なんとなく?』
 明言は避けるものの、でもきっと彼の言いたいことはわかっている。なぜ彼に気になる男が居ると言われて気持ちが騒いでしまうのかも。
「いいよ。今、幸せだし」
 親友が彼女を作らなければ、ただのクラスメイトだった男に抱かれる事もなく、その男に恋をすることもなかった。それがなければ、今の幸せな日々はないのだ。
 親友が男を恋愛対象に出来ると知っていたら、きっと自分は親友への気持ちを捨てられずにいただろう。他の男に抱かれるなんて真似も絶対にしなかった。
『うん。知ってる』
 優しい声に、胸の中が温まる。こいつが親友で、本当に良かった。
 結局その後、親友が気になっているという男の話を少し聞いて、最後に、もし付き合う事になったらいつかダブルデートしようと言って電話を切った。脈は多分あると言っていたから、そんな日がいつか本当に来るかもしれない。
 電話を終えた後、寝る支度を整えて寝室へ向かえば、既に相手はベッドに入っていた。とは言っても寝てはおらず、部屋の電気も点いている。
 すぐにこちらに気付いた相手は、手元の携帯をあっさりスタンドに戻しながら、なぜかお帰りと言った。
 電話の中で、親友を好きだった過去を少しだけ思い出してしまったからだろうか。親友から目の前の彼へと想いが帰るような気持ちで、素直にただいまと返しながら、軽く上げられた掛け布団の中へと滑りこむ。
 同棲に浮かれて購入してしまったダブルベッドのおかげで、友人はもとより親兄弟も入れられない家になってしまったが、後悔なんてものはない。エッチなことをしない夜も、隣に彼の気配があるまま眠れるのは嬉しいと思う。
「楽しい話は聞けたか?」
「うん。恋人じゃないけど、気になる男は居るって」
「そうか」
 慰めるようにそっと頭を撫でられて、幸せなのとおかしいのとで思わず笑う。
「あいつにも言ったんだけどさ、お前を好きになって、俺は今、すごく幸せだよ?」
「そうか」
 セリフだけなら同じだけれど、声音から彼の安堵と喜びが伝わってくる。
 胸にあふれるような愛しさで、顔を寄せてその唇を塞いだ。誘うまでもなく、すぐに薄く開かれたそこから差し出された舌に、自らの舌を絡ませる。
 自ら仕掛ける深いキスであっさり昂ぶった股間を相手の腰に軽く当てれば、相手の腕が腰に回って引き寄せられて、相手の手によって相手の腰に強く押し付ける事になった昂ぶりを、腰を揺すってグリグリと刺激してくるからたまらない。
「んああっっ」
 とてもキスを続けられずに、のけぞって声を上げた。
「一応聞くが、お前の中に入っても?」
「あ、アっ、ん、して。俺の中、お前で、ああ…いっぱいにっ、んぁあ」
 刺激を止めてくれないままなので、言葉を紡ぐのが大変だ。そして了承を告げた後も、暫くはそのまま腰を揺すられ喘ぎ続ける。
 もちろん、一緒に暮らすようになってそこそこ経つので、もっと手軽にあっさり触れ合って終わる日だってあるけれど、今日はじっくり抱かれたい。だから彼を制止するような言葉は吐かなかった。
 そうすることで彼にもこちらの、しっかり抱かれたい気持ちが伝わることを知っている。
 充分すぎるほどに昂ぶって、早くイきたいと思うようになってからがスタートだ。
 彼から離れられないように、よりたくさんの快楽をこの体に刻みこんでやるという宣言通り随分と開発されてしまった体は、焦らすようにゆっくりと快感を煽られ期待に満ちている。
 甘い吐息を積極的に吐き出しながら、彼の与えてくれる全てが幸せで酔いしれた。

頂いたリクエストは「親友と彼女のてん末」「二人のイチャイチャ」「二人で過ごす日常」でした。
彼らの続きが読みたいというリクエスト、どうもありがとうございました(*^_^*)

 
 
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大学生になったら親友にも彼氏が出来たかも知れない1

親友に彼女ができたらクラスメイトに抱かれることになったの少し未来のお話です。

 学部学科は違うものの、同じ大学に進学して、ルームシェアという名の同棲を始めておよそ1年と半年。それなりに二人暮らしも板につき、相変わらずあれこれと甘やかすのが上手い相手に導かれて、めきめきと料理の腕を上げてきた本日の夕飯は、ひき肉から自分で作ったハンバーグだった。
 家事は当然分担していて、料理は確実に相手が作ったほうが美味しいので、基本的には相手の担当だ。けれど学年が上がった春頃から、彼がバイトで帰宅が遅くなる火曜と土曜の夕飯は自分が作るようになった。
 毎度律儀に今から帰るという連絡を入れてくれるので、彼の帰宅時間に合うように焼き上げたハンバーグはテーブルの上で湯気を立てている。
「おまたせ。ああ、美味そうに焼けてるな」
 荷物をおいて手洗いを済ませてきた相手が席に着きながら、まずは見た目を褒めてくれた。比較的表情が少ないこの男は、それを補って余りあるほど言葉を惜しまない。
 同時に頂きますを告げたものの、つい相手の反応が気になって、相手が食べるのを見つめてしまう。それを相手もわかっているからか、彼は真っ先にハンバーグを口に運ぶ。
「凄く美味しい。また腕を上げたな」
 最初の一口を飲み込んだ後、目元を緩めながら告げられた言葉に、ホッとして嬉しくなる。
 感情表現が控えめで表情が少なくたって、柔らかな瞳は雄弁だった。
 お前が愛しい。
 そんな気持ちが伝わって来るようで、なんだか照れ臭くもある。もちろんベッドの中では直接言葉で伝えてくれるし、その時には自分も想いを言葉にして返すけれど、たまにこうしてふいに読み取ってしまう事には、さすがに頻度が低くてまだあまり慣れていない。
「どうした?」
「嬉しいだけ。美味しいなら良かった」
 表情が乏しい事を自覚している彼は、表情から感情を読まれる事に関しては無頓着だ。と言うよりも、こちらが読み取っている事に多分気付いていない。
 気持ちを切り替えるように笑って、自分も食事を開始する。自分で食べてみても、ハンバーグはなかなかの美味しさだった。
「そういや今日、珍しい男から電話があったぞ」
 食事をしながら一日の出来事を報告する事は多いが、「珍しい男」などという少々思わせぶりな言い方がらしくない。聞いたらこちらが驚くような相手からなのかと思いながら口を開く。
「俺の知ってるヤツ?」
「ああ」
 肯定とともに返された名前に、確かに驚いた。
 告げられた親友の名前に、なんで自分ではなく彼に連絡をとったのだろうという疑問がわく。先程弄っていた携帯には、彼からの電話もメールも来ていない。自分に連絡がつかなくて仕方なく、という可能性は薄そうだ。
「なんでお前に?」
「お前がメロメロになったテクを教えろだそうだ」
「は?」
「俺とのセックスが良くて付き合ってる、というような事をあいつに言ったのか?」
「やー……どうだったかな……」
「言ったんだな」
 断定されてしまって、ごまかすようにフヘヘと笑う。
 自分たちが恋人として付き合っている事を知っているのは親友だけだったから、まだ高校に通っていた頃は、惚気のようなものを聞かせてしまったことが何度かあった。相手が上手いのか体の相性が良いのか、男同士のセックスでもキモチイ思いしかしたことがない。と言ったことが確かあったはずだ。
「セックス目当てで付き合ってる、とまでは言ってないけど」
「別に咎めたわけじゃない」
 事実だしなと続いた言葉に思わず口をとがらせる。
「セックスだけじゃなく、お前が好きで付き合ってるよ?」
「そうだな。すまん」
「まぁでも、セックス気持ち良いかは重要だよね。恋人になれなくてもいいからお前に抱かれてたい、とか思ってたくらいだし」
 まだそう昔のことでもないのに、あの頃のことが既に懐かしい。
「けっこう酷い始まり方だったからな。お前がそう言い出した時、丁寧に慣らしたかいがあったと思ったよ」
「それ、前も聞いたかも。で、あいつには何をどこまで教えたの?」
「相手のペースを見て強引に事を進めようとしなければなんとかなるんじゃないか、とは言っておいた。それだけかと不満そうだったがな」
「てかそんなの聞いてどうすんだ、あいつ」
「また恋人ができた、とは考えないのか?」
「あー……そっか、もう1年半以上経ってるもんな」
 小柄で笑顔の可愛かった彼女と親友は、結局卒業する少し前には別れてしまった。
 体育館裏で自分たちが抱き合うシーンを見られた時の誤解は早々に解いたようだし、実際自分が付き合いを開始したのは親友ではなく目の前に居るこの男なのだが、さすがに男同士で付き合って居ることなどは公言できず、自分と親友とその彼女との三角関係をネタにした噂はなかなか消えずに燻っていた。
 周りの噂なんかに振り回されてしまうのは可哀想ではあったが、周りに不安を煽られた彼女と、親友との仲が少しずつ冷めていくのは自分も感じていた。
 自分も関わって親友が恋人と揉めているのは申し訳がない。なので親友との距離を置いてみたりもしたのだが、それは彼女にも周りの噂的にもわざとらしいと逆効果だった。
 最後の手段として彼女にも真実を知らせるダブルデート案なども出してみたが、そちらは不安要素が大きすぎると親友の方から却下された。男同士で付き合っているというのを親友の彼女がどう捉えるか想像が付かないし、男が恋愛対象だと知られることで余計に疑いが深くなる可能性もあると言われてしまえばお手上げだ。
 親友がお前はお前の恋を頑張れと言ってくれたことや、大学受験などもあって、なんとなく状況がわからないまま、気づけば二人は別れていたという感じだった。
「またちっさくて可愛い感じの子かな?」
「何も聞いてないのか?」
「聞いてない。お前は? 何か聞いたの?」
「聞いてはいないが想像はつく。なぜわざわざ俺に電話を掛けてきたかを考えれば、相手はきっと男だろう」
「は? えっ、ちょっ、そんな……いやでも、ありうる……のか??」
 衝撃の発言に混乱していたら、珍しく声を立てて笑われたから、どうやら揶揄われたらしい。
「なんだよ。冗談かよっ!」
「いや。割と本気でそう思ってはいる。もし真相が違っていたら教えてくれ」
 電話するんだろとこの後の自分行動を言い当てられて頷いた。
 いったい親友の口からどんな真相が聞かされるのか気になって、せっかく美味しく出来たハンバーグなのに、いつの間にか食べ終えてしまったのが少しばかり悔やまれる。

続きました→

 
 
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メルフォお返事

メールフォームからリクエストを下さった ホルミュー  様

希望の詳細を送ってくださりありがとうございました。
少しネタを練ってみるので、次回更新には間に合わないかもですが、なるべく近いうちに上げさせて貰えればと考えていますので、少々お待ちください。

お話気に入ってくださったことも、彼らをもっと見たい(読みたい)と思ってくださったことも、本当に嬉しいです。
リクエストどうもありがとうございました~(^O^)

 
 
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夜の橋/髪を撫でる/ゲームの続き

1話戻る→

 数歩さがって距離を置くと、彼はポケットから携帯を取り出し何かを操作した後、こちらに画面を向けてくる。時計のような03:00の表示を見て、タイマー機能なのだとすぐにわかった。
「きっちり3分。じゃあスタートするよ」
 画面タッチでカウントが1つずつ下がっていく。携帯画面が気になって自分の視線は携帯に向いてしまうが、彼の視線がしっかりこちらを捉えているのはわかっていた。下がって距離を置いたのは、こちらの全身を見るためだったようだ。
 じっと見られる恥ずかしさの中、残された時間はどんどんと減っていく。迷っている時間などなくて、二重留め式なコートのボタンをまずはすべて外した。
 丈の長いベンチコートなので、下の方は軽く持ち上げながら外したが、裾から入り込む冷えた空気にゾワリと肌が粟立っていく。中が素肌だということを否応なく思い出させる冷たさに、続いてファスナーに伸ばした手は、やはり躊躇い止まってしまう。
 チラリと見返す彼は黙ってこちらを見つめるままで、きっとそのタイマーが鳴るまでは口を開く気がない。決めるのはこちらなのだと突きつけられている。
 どうせならお仕置きよりはご褒美が欲しいと思う。良く出来ましたと笑って欲しい。
 なのにそう思う気持ちと裏腹に、体の動きは緩慢だ。指先が震えてしまって、ファスナーを何度も取り落とす。
 携帯が3分経過を告げて小さく鳴ったのは、ファスナーを腹の辺りまで下ろした時だった。どうしてもその先には進めずに、時間切れになってしまった。
 間に合わなかったと泣きたいような気持ちと、時間切れをホッとする気持ちとが混ざり合う。ファスナーを摘んだまま立ち尽くしていたら、携帯をしまった彼が数歩の距離を詰めてくる。
「時間切れだけど、まずは頑張ったご褒美を少しだけ」
 言いながら伸びてきた手が頭に触れて、また撫でられるのかと思ったら引き寄せられてキスされた。
 ただ触れて、最後にチュッと軽く吸われただけなのに、じわりと広がるシビレのようなもの。自分自身の性癖を確かめるためと、同性に惹かれる性癖を隠すために、何度か女の子と付き合ったこともあるから、キス程度は経験済みだけれど、キスだけで感じるなんてことはもちろん初めての経験だ。
 驚きで呆然としていたら、またしても可愛いねと笑われた。
「残りのご褒美はホテル戻ってから。でもってこっからのは出来なかった分のお仕置き」
「えっ……」
「そう。ここで」
 まさかこの場所で何かされるのかという焦りの気持ちは伝わったようで、言葉にはしなかったのに肯定の言葉が返されてしまった。
「お仕置きだから、動かずじっとしてなさい」
 少し厳しく響いた声音に、緊張と戸惑いが走る。
「返事は?」
「は、はいっ」
「うん、いい子」
 きつく問われて慌てて返事をすれば、そう言って柔らかに笑ってみせる。先ほどの雰囲気に戻って少しだけホッとする。
「まずはファスナー下ろすよ」
 こちらの返事は待たず、残りのファスナーが腿の辺りまで下ろされてしまった。
「下着、ちゃんと着けずに来たんだね」
「はい」
「見せれなかったのは、勃っちゃってるのが恥ずかしかった?」
「……はい」
「じゃあ、触れてもないのにおっきくなっちゃったココに、お仕置きをあげようね」
「なに、を……」
 さすがに不安すぎて逃げたくなる。股間に伸ばされた手に思わず腰を引いてしまったけれど、躊躇いの混じる抵抗などなんの意味もなく、ペニスは彼の手に掴まれてしまった。
「ううっ……」
 触れられても感じるなんて余裕はまるでなく、ただひたすら恐怖で呻く。何も言わずに見つめてくる彼が怖くて、けれど彼の手を振りきってこの場から逃げ出すような真似はできっこない。
「お仕置きが怖いんだね」
 ふふっと笑ったのは、彼の手の中のペニスがあからさまに固さを失くしてしまったからだろう。
「だっ、て……」
「怯える君も可愛いけど、そろそろホテルにも戻りたいし、手早く済ませちゃおう」
 これを付けるだけだからと、ペニスを掴むのとは逆の手に握ったものを見せてくる。短めのゴム紐を輪にしたようなそれが何かわからずにいたら、ペニスリングの一種だよと教えてくれた。
 コックタイと呼ぶようで、留め具で強さを調節できるのが特徴らしい。
「別に痛いようなものじゃないから大丈夫」
 言いながら輪になった部分に玉袋と竿部分とを通して、根本をキュッと締められた。そうしてから、ファスナーを首まで上げて、丁寧にボタンも全部留めてくれる。
「さて、じゃあ行こうか。人も居ないし、手、つなぐ?」
 恋人っぽくと笑われて頷けば、暖かな手が繋がれた。ギュッと握ってくる手の力に、股間の違和感は拭えないものの、なんだか少し安心した。

 
 
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彼女が欲しい幼なじみと恋人ごっこ(クリスマス)

1話戻る→   目次へ→

 今日はまず、昨日渡した手作りの問題集を目の前で解いてもらう。
 前日に渡しているのだから、予習次第でそれなりの正答率にはなるだろう。けれど彼が苦手な問題を集めたこともあるし、今までの様子からも、5割正解すれば良い方だと思っていた。
「どうだった? かなり手応えあったんだけど」
 そわそわと採点を待っていた相手は、採点が終わるやいなや、自信と不安とを混ぜて聞いてくる。
「正直驚いた」
「8割いった?」
「どうかな。それくらい行ってそうな気もする」
「数えていい?」
「いや、必要ない」
「えっ?」
「いいよ。お前がちゃんと頑張ってるのは認める」
「じゃ、じゃあ、キス、しても……?」
「だからいいってば」
 それは昨日の約束だ。
 カラオケ終了間際に、意を決した様子でキスをねだられたが断った。迷う素振りすら見せずに即断したのが気に入らないのか、そもそもクリスマスプレゼントが問題集だったのもやはり引きずっているのか、共に帰る道すがら、彼はずっと不機嫌だった。
 隣で垂れ流す文句の中には、親友が上手くやっているかを気にする単語も多々散りばめられていたから、結局は親友への対抗意識なんだろう。まぁ、恋人からのプレゼントが手作り問題集では、ごっこではなく本物の彼女がその親友を想って選ぶプレゼントに遠く及ばないのはわかる。
 けれどその親友は元々彼より成績が良いし、聞いた所によれば推薦で既に大学も決っている。そんな親友相手に、恋愛絡みで対抗意識を燃やしてる場合ではないのにとため息を吐けば、不機嫌はとうとう怒りに変わったようだった。
 もっとちゃんと恋人っぽいことしてよと睨まれて、十分してると言い返したら喧嘩になってしまった。
 だいたい、やる気を見せろと言ったのに、本当に彼女が出来た時の予行演習の方に随分と気持ちが持って行かれて、大事な時期なのに妙に浮かれすぎている。それを指摘したら、ちゃんとやってるのに何も見てないと、更に火に油を注ぐ結果になった。
 互いに白熱して言い合いを続けてしまった結果、最終的に、翌日の家庭教師時間に渡した問題集を8割解けたら頑張りを認めてキスさせる、という事になっていた。
 問題集を作ったのは自分だから、絶対に無理だと思っていたのに。
「なんで怒ってんだよ」
 剣のある言い方になったのはそれなりに照れを感じているからで、けれど正直にそう伝えるのは悔しい。
「怒ってない」
「声が怒ってるだろ。そんなに俺にキスさせるの嫌なのかよ」
「嫌だなんて思ってねーよ。そもそもキスをもったいぶれるほど、お綺麗な体じゃないもんで」
「いやそれは……ゴメン」
 謝られたのは、昨夜の言い合いでそれを言ったのが彼の方だからだ。確かに彼の言うとおり、キスひとつを渋るようなウブさは持ち合わせていない。それに、恋人になってやると持ちかけたのだって自分の方からなのだし、相手が彼だから嫌だと言える立場にだってないだろう。
「別に、本当のことだし。ただ、物好きだなと思うくらいだ」
 ファーストキスが男でいいのかと続けたら、初めてじゃないしと返されて驚いた。
「は? お前、彼女いた事あったの?」
「ないけど。てか覚えてないならいいよ」
「お前のそんな話、聞いたことあったっけ?」
「それはいいって。それより、キスしていいなら目くらい閉じてよ」
「まさかテーブル越しにするのか?」
 目の前にある座卓はさして大きくないから、机越しでも不可能ではなさそうだけれど、それでもやっぱり間にそんなものがあるのは邪魔な気がする。
「ならそっち行くからな」
「いいよ。おいで」
 了承すれば、彼はあっという間に座卓を回りこんできた。
 正座という姿勢を笑いかけたが、その真剣な顔に笑いは喉の奥で消滅した。気圧されて黙ったまま見つめ返せば、やがてそっと頬に片手が伸ばされる。まさかと思うが、その手はどうやら微かに震えていた。だからきっと、こちらを睨むような表情も、怒っているのではなくて緊張しているからなのだろう。
 なるほど。これは思っていたより重症だ。童貞の実態を舐めていた。
「俺相手にそこまで緊張するなよ」
「わかってるよ。でもわかっててもどうしようもないのっ!」
 ただただ緊張しているのだと分かって、思わず苦笑を漏らせば、苦々しげに言い放たれる。
「確かに俺相手でこれじゃ、女の子との本番前に色々練習しておきたいよなぁ」
「ちょっ、そんなんじゃ」
「いいっていいって。ほら、これでいい?」
 言いながら目を閉じた。
 どれだけ緊張しているのか、暫く待たされてからようやく唇にやわらかな熱が押し当てられる。バレたら怒るかなと思いつつも、好奇心からそっと瞼を持ち上げた。
 至近距離でぼやけていてもわかる、赤くなった頬とかすかに震える睫毛に、ごっこの恋人相手にもそんな反応をしてしまう彼が、初々しくてなんだか随分と可愛らしい。
 けれどわかっている。きっとそれは気づかないほうがいい感情だ。

続きました→

 
 
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