雷が怖いので プレイおまけ2

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 移動した防音室で、まず確認されたのは、ちゃんと自宅でも綺麗に洗えているかだった。プラグを外されて、テロっと流れ出てしまうのは、排泄しきれずお腹の奥に残っていたお湯だろう。
「ひぅっっ」
 流れ出る感触も、それが肌を伝う感触も、更には彼の指がそれを掬い取る感触も。全てが恥ずかしさを伴って、ゾワゾワと肌を粟立たせていく。頭を下げてお尻を彼に向かって突き出す格好をしているせいもあるだろうけれど、頭の中が今にも沸騰しそうだ。羞恥と快感と期待とが、グチャグチャに混ざってグラグラと揺れているようだった。
「綺麗だから大丈夫。このまま中も、確かめるよ」
「はい」
 頷くと同時に、つぷりと入り込んだ指先が、そのままずるりと奥まで挿し込まれる。そうして中を探られる。
「ぁ、ぁあっ……ぁんんぅぅっっ」
 ゾワゾワが酷くて、声が抑えられなかった。開始早々ではあるものの、すでにビックリするほど体が敏感になってしまっているらしい。普段と違うことなんて、自宅での洗浄とプラグを装着した状態で外を歩いてきた、ということくらいなのに。
「随分興奮してるな。想像以上の効果があって驚いてる。けど、でもまぁこれは、体調もあるかな」
 いつも以上に中が熱くてトロトロになってると言いながら、容赦なくかき回されて、声も我慢できないし息も上がっていく。
「あ、あっ、ああっ」
「苦しいか?」
 返事を待つ気なんて最初からなかったようで、あっアッと喘ぐだけしか出来なかったのに、埋められていた指が抜けていった。
「よし。家でもちゃんと綺麗に洗えてる。興奮しちゃってしんどそうだし、そこのベッドに横になってな」
 体勢を保てなくて崩れてしまったらおしおきって言われるのはわかっていたし、感じすぎて膝なんてとっくにプルプル震えていたし、こんな時は泣いてもう無理と懇願するか、耐えきれなくなって崩れ落ちるまで弄り倒される可能性が高かったから、体勢を保ちなさいとおしおきをチラつかされることすらないまま、あっさり開放されたのは意外な気もする。ただ、意外だったけど、興奮しすぎてしんどいのは事実で、さっさと横になってていいと言われたのは正直ありがたかった。
 ベットカバーのツルリとした感触が、火照った肌に気持ちが良い。なのに過敏になりすぎた肌は、それだけでゾワゾワとしたものが走って、ぷつぷつと肌が粟立ってしまう。吐き出す息もいやに熱くて、いくらなんでも興奮しすぎだと、思わず小さな笑いが溢れてしまった。
「どうした?」
 少し離れた所で何かを準備している相手にも、その小さな笑い声は聞こえたらしい。ベッドに横になった後は、ずっと相手の背を追いかけるように見つめてせいで、ちらりとこちらを振り向いた相手と目があった。
「なんでも……あ、いや、ちょっと、なんか今日、興奮しすぎって思ったら、つい」
 なんでもないですと誤魔化そうとして、でもすぐに思い直して正直に告げた。別に隠すようなことじゃないし、せっかくこっちを振り向いてくれたから、少しでも何か話していたかったのかもしれない。
「興奮してテンションまで上がってんの?」
「あー……そう、かも?」
「今の状態でそんだけ感じまくってたら、今日はどんだけ気持ちよくなれるんだろって、期待、してる?」
「えっ……えー……」
 さすがに期待してますってはっきり返すのを躊躇って濁せば、相手はおかしそうに少し目を細めて、それからまた手元の方に顔を戻してしまった。ちょっと残念。と思ったのも束の間、すぐに準備を終えたらしい相手が、何かを手に戻ってくる。
 最近はキャスター付きのスチール製棚に、その日使われるだろう玩具類や拘束具やタオル類や水分補給用のペットボトルなどが並べられていることが多いのだけど、戻ってきた彼がその棚に新たに置いたのは、小さな錠剤が入った小さな瓶と、見慣れないチューブ状の何かだった。

続きました→

 
 
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雷が怖いので プレイおまけ1

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 前回バイトの終わりに、そろそろバイト前に自宅で洗浄することを覚えようかと言われて、了承した。その少し前から、自宅でどの程度の洗浄が可能そうか聞かれていたし、自宅の狭い三点ユニットバスの写真を撮ってきて見せたりもしたし、そろそろそう言われるのだとわかっていた。
 必要なものは当然全部彼から支給されたし、それらを使って体の中を綺麗にする。自宅では初めてでも、作業そのものはもう随分と慣れている。
 最後に、渡されていた小さなプラグを自分で嵌めて、いつも通りの時間に家を出た。
 プラグを入れて過ごす、という経験は何度かあるものの、でもその状態で外を歩いたことはない。小さな小さなプラグで、さして違和感が強いというものでもないのに、家を出た瞬間から酷くそれを意識した。たびたびアナルをキュッと引き絞って、そこに普段はないものが確かに存在していることを確認してしまう。
 そんな自分の、ほぼ無意識とも言える体の反応が恥ずかしい。この後すぐに会えるとは言え、彼が居ない所で、勝手に期待を高める体が恥ずかしい。土曜のまだ日が高い時間の、しかも自宅に近い場所の路上を歩きながら、頭の中をイヤラシイことで埋め尽くしている事実が恥ずかしい。
 ペニスも既に緩く勃起してしまっているから、ゆったりとして裾が長めのパーカーを羽織ってきたのは正解だ。けれど、いつもと同じ時間に家を出たのは失敗だったと思う。もう少し、早く家を出ればよかった。
 羞恥と興奮が混ざって、なんだか酷くぼんやりする。どこかふわふわと浮ついた足取りになっているのを、頭の中に僅かに残った冷静な部分が認識できているのが、逆になんとも心もとない。出来れば走って、さっさと彼の家に飛び込みたいのに、とても走れそうにはなかった。
 なんとかたどり着いてチャイムを押した後、へたり込みそうな体をドア横の壁に預けてしまおうかと思った所で、あっさりドアが開かれる。
 ドアの内側から顔を覗かせた相手と目があって、慌てて傾いでいた体を起こして踏ん張った。
「ぁんっ……」
 またキュッとアナルを締めてしまって、思わず零した吐息の甘さが恥ずかしい。羞恥と興奮にまみれながら歩いてきたのは事実だけれど、さすがに、こんな声を零しつつ歩いてきたわけじゃない。多少息が荒かった程度だと思う。だから思わずこんな吐息をあふれさせてしまったのは、どう考えたって明らかに、彼の顔を見て気が緩んだせいだった。
「あ、あの、あの、……遅くなって、すみま、せん」
 羞恥に顔を熱くしながら、少し驚いた様子を見せている相手に、まずは約束の時間に辿り着けなかったことを詫びる。
「いや、それはいいよ」
 こちらを労るような優しい声だった。もう、驚いた様子も消えている。
「お前の顔見たら、理由は、聞かなくてもわかるから」
 今度は笑いをこらえるような顔を見せている彼は、随分と機嫌が良さそうだった。その理由は、こちらも聞かなくてもわかる。どうせ誰も気づきやしないとわかっていても、洗浄したお尻にプラグを入れてお日様の下を歩くという行為に、こんなに羞恥を煽られると思ってなかった。自分はもちろん、きっと相手も。
 早く入っておいでの言葉に従い開かれたドアの中に入れば、その場で軽いキスが幾つか落ちて、頭を撫でられて、ちゃんと一人で洗浄してからバイトに来れたことを褒められる。頑張ったねって言われた後に、今後も自宅での洗浄が続けられそうかと聞かれたら、今後も頑張ります、頑張れますって答えていた。

続きました→

 
 
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まるで呪いのような19(終)

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 彼の腕の中で、好きだ好きだと繰り返す。そのたびに頷かれて、同じ数だけ好きだと返されて、嬉しさでボロボロと泣いてしまうのをさすがに少し心配されたけれど、これが嬉し泣きだってことは多分ちゃんと伝えられたと思う。
 この一年近く、自分ひとりの片想いが辛くて辛くて仕方がなかった。自分が想うのと同じくらい、彼にも想われたかった。でももうわかった。こうして抱かれることで思い知った。
 自分たちはやっぱりちゃんと両想いなんだって事を、もう疑ったりするのはやめようって思った。こうしてちゃんと、欲しがられているのがわかったから。こちらがして欲しいからではなく、彼自身の気持ちから、どうしても抱きたいんだって言ってくれたから。恋人としての触れ合いなんか無くても、自分が彼から離れていくことさえなければ、彼は満足なのかなって思っていた部分はたしかにあったと思う。でも今日、恋人になったからこそ欲しいと思ってしまう触れ合いを求めているのは、自分だけじゃないってはっきりわかった。
 彼の執着がドロドロのキモくて怖いものだとしたって、そこまで恐れる必要なんてないんだってことも、わかったと思う。だって彼は、彼の中の化物がこちらに牙を剥かないようにと、かなり必死に、もの凄く気をつけてくれているみたいだ。彼が自分にと向けてくれる優しさは、間違いなく本物だった。
 こちらをギュッと抱きしめて、何度も好きだと繰り返してくれる彼の息が、乱れている。本当に、優しい。
「いつまでもグズグズ泣いててゴメン。辛くて泣いてるわけじゃないから。大丈夫だから、続き、して」
 お前のほうがずっと辛そうだよと、うっすら笑って告げれば、相手もどこか気まずそうに笑いながら、実は結構限界ギリギリでヤバかったなんてことを言う。
「ありがと。ホント、大好き。だから、……ぁ、……ぁあっ」
 動いてって口に出す前に、ゆっくりと体を揺すられた。とはいえ様子を見るようにゆるやかに揺らされていたのは僅かな時間だけで、ゴメンもう無理って宣言の後は、けっこうガツガツ貪られてしまったのだけれど。でもそんな時でさえ、酷い声で泣き喘がされながらも、間違いなく幸せだった。


 トロトロとした幸せな微睡みから目覚めたのは夕方近くで、部屋の中からでも、外が薄っすらと暮れかけているのがわかる。慌てて体を起こそうとして、体に走った痛みにあっさり撃沈した。やはりさっきの行為で、体にはかなりの負担が掛かっていたようだ。
「おい、大丈夫か?」
 こちらの呻き声に反応して、すぐさま飛んできた声の主は当然彼なのだけれど、その声が発せられたのは自分の隣からではなく、勉強机が置かれた辺りからだった。というか、机の椅子に腰掛けて、勝手に漫画を読んでたらしい。
「なんで、隣に、いないの?」
「え?」
「けっこう寝ちゃってたみたいだから、暇持て余したんだろうし、帰らなかっただけマシかもだし、マンガ読むなとは言わないけど。でも初めて抱き合った後だよ? 目が覚めた時に、すぐに触れるくらい、もっと近くに居てほしかったんだけど」
「あー……それは、先に言ってて欲しかった」
「いやゴメン。変なこと言って」
 幸せを引きずって酷く甘ったれた気持ちのまま、ついつい口に出してしまったという自覚はあった。
「そうじゃなくて」
 椅子から立ち上がって短な距離を歩いてきた相手が、そのまま布団の中に潜ってくる。
「言っててくれたら、ガッカリさせなくてすんだのにってだけ。で、やっぱ体痛いか?」
 布団に潜ってきながらも相手から触ってこないのは、どうやらさっきあからさまに呻いたせいらしい。
「ゆっくり動けばそうでもない。と、思う」
「触っていいのか?」
「いいよ。というか、撫でられたいしギュッてされたい」
 言いながら、なんか随分恥ずかしいことをあっさり口に出してないかと、ふと我に返ってしまって顔が熱くなっていく。
「照れんな」
「無理です」
「なんで敬語」
「恥ずかしいから」
「今の会話の、どこが恥ずかしかったのか、全くわかんねぇんだけど」
 そりゃあね。あれだけ泣き顔晒しながらガッツリ抱かれたくせに、撫でてとか抱きしめてとか言うのが恥ずかしいなんて気持ち、わからなくても仕方ないけど。
「ただまぁ、俺は嬉しい、かな」
「え、何が?」
「お前が俺に触ってって、自分から言ってくれるのが」
「そういうもん?」
「この前、頼んで触ってもらうのなんて惨めだとか言われたから」
「あー……うん、それはもう、ないと思う。けど、自分からしてってお願いするの、普通にかなり恥ずかしいよ?」
「そういうもん?」
「そういうもんです」
 ふーんと納得してるのかしてないのかわからない様子を見せながら、それでも優しく髪を梳くように頭を撫でられて、うっとりと目を閉じる。
「寝るなよ?」
 またウトウトと微睡みに落ちていこうとしたら、優しい手つきで眠りを誘っている本人から、そんな忠告を受けてしまった。
「というかそろそろ起きないと、おばさん帰ってきそうなんだけど」
「あっ……」
 そうだったと思って慌てて重い瞼を押し上げる。さっき慌てて体を起こそうとしてしまったのも、今が何時か確かめるためだった。
「何時?」
「まだ一時間弱はあるから慌てる必要ない。けど、もっかい寝るのはマズい。多分」
「だな。てか考えたら、昼食いそびれて腹減ってる」
 母が用意していった昼飯が、手付かずでそのまま残ってるってのも、色々マズい気配しかない。この時間を手放すのはかなり惜しいけれど、でももう本当に起きないと。
 そう思いながらも名残を惜しむみたいに、あともう五分だけって思いながら、ギュッと相手の体に抱きついた。

<終>

 
 
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まるで呪いのような18

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 あんなに泣かれても止められないくらいやっぱりお前を抱きたいし、あんなに泣きまくったくせにそれでもまだちゃんと俺に抱かれてくれる気でいるお前の、泣きまくって酷くなった顔が可愛くないわけないだろと彼は続ける。その後、笑わせたいし、泣かせたくないし、でも泣かせたら泣かせたでこんなに可愛いと言って、真っ赤に腫れているだろう目元にそっとキスをくれた。
「ほ、本気で、言ってる?」
「言ってる」
「ホントに、萎えない?」
「萎えない。むしろギンギン」
 手を取られて彼の股間に導かれれば、ゴムの膜を被った熱の塊に指先が触れる。握ってと促されて、おずおずとその熱を握りしめた。
 初めて触れる自身以外の勃起ペニスは、ゴムを装着済みというのもあってか、やっぱりなんだか得体が知れないもののように思えたし、これが今から自分のお尻の穴に入ってくるのだと思うとどうしても体が震えそうになる。
「悪ぃ。怖がらせるつもりじゃなかった」
 握る手をそっと剥がされた後、今度はその手を強めに引かれて、少しばかり浮いた体を抱きしめられた。ギュッと背に回る腕に力が入って、互いの肌が密着して気持ちが良い。抱き返しながら、ホッと安堵の息を吐いた。
 好きだ、好きだよ、と繰り返してくれる優しい声は、やっぱり自分のためにと彼が与えてくれるものだけど、でももう、それでいいって十分に知ってる。好きだと言われるたびに頷いて、時々自分も好きだと返せば、やっぱり相手も頷いてくれた。
 ああ、なんて、嬉しい。こういう時間を、ずっと彼と持ちたかったんだなって、しみじみと思う。
「ありがと。落ち着いた。怖くなくはないけど、も、多分、大丈夫」
 だから挿れてと言えば、少し浮いたままだった背がベッドマットの上に降ろされ、なんどかチュッチュと唇を吸われたあとで彼が上体を起こしていく。足を開かれ腰を抱えられて、その場所に彼の熱の先が触れた。
 穏やかに抱き合って好きって言い合っている間も、萎えたりはしなかったらしい。その状態でオアズケされる苦しさがわからなくはないから、彼がくれた優しさも気遣いも、やっぱり嬉しいばっかりだった。
「挿れる」
「うん」
「我慢できないくらい痛かったら、言って」
「うん」
「息吸って」
「え、う、うん」
「吐いて」
 言われるまま息を吸って吐いてしている中で、少しずつ先程まで散々指で弄られ拡げられていた場所に、また圧がかかって拡げられていく。
「ぁ、っ……あぁっ……んんっっ」
「息して。吸って」
 もれ出る声が恥ずかしくて隠そうとしたら、必死な声が息をしてと促してくる。思わず見つめてしまった相手は、切羽詰まった顔でこちらを見下ろしていた。
 彼を受け入れる自分だけが大変な思いをしているわけじゃない。彼もまた、早く抱きたい繋がりたい自分のものにしたいって衝動と戦って、なるべく乱暴にしてしまわないようにと努めてくれているのだ。それがわかって、嬉しいのに、なんだか胸が詰まる。
 またじわっと涙が浮いてしまったけれど、でも多分顔は笑っているだろう。頷いて、言われた通りに、息を吸って吐いてを頑張って繰り返す。相手は一瞬躊躇う様子を見せたけれど、なにも言わずにまた少しずつ、奥へ奥へと入ってきた。
「はい、った」
 尻タブに彼の腰が密着している。涙でぼやぼやになった視界で相手を必死に見つめながら、何度も首を縦に振って、もういいよねって気持ちで腕を伸ばした。
 やっと繋がれた彼に、自分も触れたい。触れて、そしてぎゅって抱きしめてほしかった。

続きました→

 
 
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まるで呪いのような17

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 フッ、フッ、とせわしなく息を吐く。ギュッと閉じた瞼からは時折涙があふれてしまう。それらは自分の手でグッと顔に押し付けているタオルが吸い込んでくれるが、タオルで口を塞いで息を詰めすぎれば、そうなっている原因とも言える男が背後から、呼吸はしてと促してくる。
 ほぼうつ伏せた状態で、腰が浮くようにと下に枕とクッションを重ねられ、尻タブを開かれて彼の目にそんな場所を晒すというだけでも、恥ずかしすぎて息なんて止まりそうなのに。晒したアナルを撫でられて、彼がちゃっかり持ち込んでたローションを塗りたくられて、揉まれて、今はもうずっぷりと指が一本埋まってしまっている。しかも、いざ指が入りそうって時に、やっぱり怖くなって本気で逃げようとしてしまったら、またガップリとしかもかなりの強さで噛まれて、痛い痛いと喚いている内に指が入ってた。
 酷すぎると詰りたい気持ちはもちろんあったけれど、中に入れた指を動かすことはしないまま、こちらが落ち着くまでゴメンも好きだもたくさん繰り返されて、宥めるみたいなキスを降らされたら、結局受け入れてしまうしかない。抱いていいと言ったのは自分だし、むしろ嬉しいとも言っちゃったし、ここまできてやっぱり嫌だを本気で言ったら、今度こそ間違いなく犯される。むりやりに体を拓かれて、互いの体も心もズタボロにするような、そんなセックスをしてしまう。
 抱かれたいななんて、ふわふわと彼に求められる幸せを考えて浸っていた妄想と、現実はあまりに違った。恥ずかしくて居た堪れなくて怖くて、まだそこまで痛みはないけど、違和感だけならもうとっくに耐えられないレベルに入ってる。
 ただ、こちらが相手を拒否する態度や感情を出さなければ、相手もまた必死で衝動をこらえて、優しく丁寧に扱ってくれようとしているのもわかるから、どうにか耐えているって感じだった。
 それに、どうしても抱きたいんだとか、体ごと俺のものにさせてとか、ゴメンを重ねる中にチラチラと混ざり込んでいる言葉がたまらなく嬉しい。好きって気持ちが良くわからないという彼の剥き出しの欲望は、こちらが欲しがるから好きって言ってくれてるだけって気持ちを、簡単にふっ飛ばしていくようだった。
 自分が彼に向ける、生身のセックスを想像できないような幼く拙い好きなんかより、ドロドロな執着心を抱えた彼の好きは、あまりに大きくて情熱的でクラクラする。まぁ、やっぱりこんなに好きなんじゃないかと思っているのは自分だけで、彼は今こうして晒している欲望を、今後も恋愛的な意味も含めた好きとは別物として扱うんだろうけれど。
 未知なものはどうしたって怖いし、泣くことは許されていたからそこは我慢せずにひたすら泣きまくってしまったけれど、おかげで、そろそろ挿れられそうだから一旦指抜くわと言われる頃には、涙はほとんど枯れていた。
「このまま、挿れん、の?」
 泣きまくった影響か、尋ねる声はガサガサだ。
「そりゃあ……っつか、それ、どーゆー意味で聞いてんの?」
 コンドームを装着している彼を直視できずに居るくせに、こんなことを言ってもいいのかなとは思ったけれど、でもやっぱり出来ればちゃんと向き合って、抱き合う形で挿れて欲しい。
「その、出来れば正常位? がいいな、って、思って」
「ああ、そういう……」
 やっぱり言わないほうが良かっただろうか。何やら色々考えさせてしまっているようだ。
「あの、やっぱいい。お前の好きに抱いて欲しい、し」
「いや、いい。しよう、正常位」
 体をひっくり返されて、あっさり後悔した。向き合って抱き合いたいと思った気持ちは本当でも、やっぱり彼の顔を直視できそうにない。なのに慌てて握ったままのタオルを顔に押し付けようとしたら、それもあっさり取り上げられてしまった。
「ゴメンな。すげーひでぇ顔になってる」
 困ったような苦笑顔に、胸がざわざわして不安になる。
「ご、ゴメン。やっぱいい。正常位がいいとか全然嘘だった。無理。後ろから。うんそう、後ろから抱いて欲しい」
 ぐっと顔ごと上半身を捻って、ひっくり返された体をまたもとのうつ伏せに戻そうとしたのに、肩を捕まれ阻止される。
「何そんな焦ってんの? てか顔逸らすなって」
「だっ、て……てか顔近い近い」
「お前が逃げるからだろ。で、何?」
 さあいざ挿入って段階でこんなことで待ったをかけられているんだから、不機嫌そうな声の理由なんて聞かなくたってわかる。なんで正常位がいいなんて言っちゃったんだろう。
 枯れたと思った涙がまたじわりと滲んでくるのがわかる。既にひでぇ顔だと苦笑された顔が、ますます不細工に歪んでしまう。
「ぶ、ぶさいく過ぎて、萎えたら、困る」
「は?」
「いっぱい泣いたから。顔酷いし、向き合って抱いてとか、無茶言った」
「おまっ……」
 一度言葉を詰まらせた相手はその後数回深呼吸をして、それから酷く真面目な声で、かわいいよと吐き出した。

続きました→

 
 
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まるで呪いのような16

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 彼が自分の前で泣くのは何年ぶりだろう。恋人止めたいって持ちかけた先日だって、みっともなくグズグズ泣いていたのは自分だけで、何度か泣きそうだとか泣いてるみたいだと思うような顔は見たけれど、結局彼が本当に涙を流すことはなかった。
 どうにもならない学年差に不機嫌な様子はよく見せたけれど、子供の癇癪で怒って泣き叫ぶような姿を見せていたのはせいぜい小学校低学年くらいまでな気がする。その後も時折、悔し泣きのような姿は見てきたけれど、辛いとか苦しいとか悲しいとか、そんな感情が漏れてくるような泣き姿は見た記憶がない。こんな風に泣く彼を、今日、初めて知った。
 あの日はゴメンって言われても、放さないからなって宣言されてるみたいな感じで、縋られてるような気にはならなかったけれど、これは確かに、放さないでくれと必死に縋られているようにしか感じない。
 じゃあ彼は、こんな風に何度もゴメンと繰り返しこちらをがんじがらめに捕まえながら、次の手とやらを考えているんだろうか?
 だったらいいな。なんて思っている自分がおかしくて、ついついクフッと笑いを漏らしてしまったら、腕の中の体がビクついた。なんだかますます愉快な気分になって、クスクスと笑い続けてしまう。
「お゛い゛っ」
 耳の横で唸るように響いた不機嫌丸出しの酷い声に、また少し笑ってしまった。
「お前さ、こういうの、もっと見せなよ」
「な゛、んでっ」
「お前が泣いて謝りながら、お願いだから放さないでって縋られるの、悪くない。執着されてるってより、必要とされてるみたいでちょっと嬉しい。で、ゴメンの言葉で俺を縛り付けて、その間にお前は次のどんな手考えてんの?」
「おまえっ、ほんっと、もう、クッソ悔しいぃぃっっ」
 抱きしめる腕を跳ね除けるようにガバリと起き上がった相手は、袖口で涙をゴシゴシ拭った後、すっかり強気な顔で仕切り直すと宣言した。泣いた目だけは真っ赤なままだったけれど。
「仕切り直すって、何を?」
「セックス」
「は?」
「まさかお前があんなネタで抜いてるとか思ってなかったってのもあるけど、お前に噛み付くの止められない自分にもビックリした。から、優しくする努力も甘やかす努力もするし、お前にいっぱい好きって言って色んなとこキスして抱きしめるから、笑わすの無理で泣かすと思うけど、抱かせて」
「え、ちょ、なんで」
 今までこちらがして欲しいこと優先みたいな態度を一切崩さず、求められてる気がちっともしないと思わせてきた彼の口から、まさか抱かせてなんて言葉が出てくるとは思わず驚いた。
「だから、お前に噛み付くの止められなかったから」
「なぁ、お前が俺に噛み付く理由って、結局なんだったわけ? お前、妄想の中でも俺に噛み付いてんの? で、噛みつかれる俺はそれに感じたりしてたの?」
 もっと強く噛んで泣かしてもいいよって言ってああなったんだから、きっと妄想の中でも泣かされてはいないだろう。
「噛み付いてるし感じてるけど」
「マジかよ。ムリだろ、普通に考えて」
「ただの妄想なんで」
「だよな。つか、だったら痛がってるだけなんだからヤメロ……って、ああ、止められないのか……」
 優しいのと甘ったるいのの中に噛まれて痛いのが混ざるの、ホント気が散るどころじゃないから、出来れば止めて欲しいんだけど。でも、止められないならそれも受け入れてくしかないのかもしれない。慣れるようなものかはわからないけど、彼は自分を噛みたいんだって思えば、まぁ耐えられなくもないだろう。
 なんてこちらは噛まれる前提での覚悟を固めようとしているのに、相手はだから抱かせてって言ってんだろと言ってくる。そういうのは、もう少しわかりやすく理由も一緒に言って欲しい。
「俺を抱いたら、噛まなくなるようなもんなの?」
「多分」
「なんで?」
「お前に優しくしたいし感じさせたいし気持ち良くなって欲しいのに、ぜんぜんそうならないどころかお前どんどん冷めてくし、お前がもう止めて欲しいって思ってるから、だったらこのまま犯してやろうかって思っちまうことがあって、まぁ、つまり、俺は思ったよりずっとお前を抱きたいみたいだった」
「待て待て待て。サラッと犯すとか言ったぞ、今」
「な、ホント、噛むだけで済んで良かったよな」
「なんだそれっ」
 この後も彼との微妙に噛み合わない会話を続けた結果というか、多分あまりはっきりと言いたくなかったらしい彼の気持ちを根気よく引きずり出した結果、ようやく、彼があんなにガブガブやってたのは犯したいって衝動を堪えるためだったことと、噛むだけで済まずに本気で襲ってしまう前に抱かせて欲しいって話なんだと理解した。

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