彼女が欲しい幼馴染と恋人ごっこ(卒業3・終)

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 それなりの準備は自分でしてみたものの、今まで弄ったり、ましてや拡げようなんてしたことがないその場所を、男と繋がるための性器に変えるのは大変だった。
 さっさと童貞を捨てたいだろうに、相手が思いのほか辛抱強く、慣らす行為にむしろ積極的だったのは助かったが、でもその分めちゃくちゃ恥ずかしい。恥ずかしさから早く入れろと思う気持ちと、痛いの嫌だし十分慣らされたいって気持ちとの間で揺れる。
「うっ、……ぁっ……」
 指を増やされたせいで、苦しげな息が漏れているのが自分でもわかる。
「ゴメン、辛い? 戻す?」
 戻すというのは、指を減らした状態でもっと慣らすかという意味らしい。
「痛く、ないから、へーき」
 そのまま続けろと言えば、辛かったらちゃんと言ってよと、頼りなげな声が掛かったものの、埋められた指の動きが少しずつ大きくなっていく。
 セックス中、感じている演技をする女性が少なからず居るらしいが、自分が抱かれる側になってその気持ちが少しわかる気がした。もう少しアンアン出来れば、きっと相手も安心して先に進めるだろう。
 うん、でも、無理。ちょっとそれどころじゃない。
 自分の体に起こっている未知の感覚に、慣れるだけでも精一杯だった。
「ふあぁっ、ん……んぁあっ、あっ……」
 それでも意識すると少しは変わるらしい。恥ずかしい気持ちをねじ伏せて口を開き、少しでも気持ちが良いと思った時にはなるべく声を出してみた。
「ここ? これ? これ気持ちいいの?」
 素直に聞いてくるから、恥ずかしさは倍増する。ばかやろうと思うのに、でもそんな憎まれ口を叩く気にはならなかった。
「ぁあ、ん、た、多分、きもちぃ」
「わ、わかった」
 そんなやり取りを何度か繰り返せば、最初は気のせいみたいだった僅かな快感が、はっきりと自覚できる大きさに膨らんでいく。自分の体のことだけれど、まさか本当に感じ始めるとは思っていなかったので、驚きと安堵が入り混じって、喘ぎながらもなんだか泣きそうになった。
「えっ、ど、どうしたの?」
 すぐに気付かれたが、どう説明していいかなんてわからない。
「な、なんでも、なっ」
「なんでもないわけないだろっ。何? 言って。教えて。嫌になったなら止めるから、だから、泣かないでよ」
「バカかっ」
「酷っ」
「ちゃんと、気持ちぃの、びっくりしてる、だけ」
「本当? 本当に気持ち良く、なれてる?」
「ほん、と」
 演技で喘げるほど慣れてねーよなどと言える余裕はもちろんなかったが、それでも相手は嘘とは思わなかったようで、安心した様子で嬉しそうに笑った。
「ね、じゃあ、そろそろ、いい?」
 必死で頷けば、涙の浮きかけた目元に唇が落ちた後、きざったらしいことすんなと言うより先に、体の中に埋められていた指が引きぬかれていく。
「んあぁぁあっ」
 ぞくぞくと背筋を走る確かな快感に声を上げた。
「だいじょうぶ?」
「いちいち聞くな、バカ」
「だって気になる」
「いいからさっさと来いよ」
「待って今ゴム着ける。というか、指入れてる時とのギャップ凄いんだけど」
「うっ……っるさいな。余計なこと言わなくていいから早くしろって」
「えーもーどんだけ可愛いくなる気なの」
「は?」
「可愛いよ。凄く、可愛い」
「はぁああ??」
 言葉をなくしてはくはくと口を開けたり閉じたりしている間に、ゴムを着け終えた相手が足の間に割り入ってくる。
「そんなビックリされると、こっちもビックリだよ」
「いやだって、お前、か、かわいい……って……」
「好きな相手可愛く思うのなんて、当たり前のことだと思ってたけど」
「う、…あ、ああ、うん。そ、そうか」
「そこで照れちゃうのもビックリなんだけどさ。あの、本当に、大好きだから。だから、その、初めてだし、その」
 もごもごと口ごもる相手に、だって童貞だもんなぁと思ったら、少しだけ気持ちが落ち着いた。
「ああ、うん。大丈夫だからおいで。ちゃんと童貞、貰ってやるから」
 伸ばした手で相手の腕を掴み、そっと自分に引き寄せる。相手は少し困った様子で、ギャップ凄すぎと苦笑した後、ゆっくりと挿入を開始した。
「んっ、んんっ、ぅああっっ」
「ご、ごめっ」
「あやまんなっ」
 平気だからとむりやり笑って見せたら、カッコイイのに可愛すぎて困る、なんてことを呟くように漏らしながら腰を進めて来る。
 さっきから人を可愛い言いすぎだ。童貞丸出しでいっぱいいっぱいのお前だって、こっちからすりゃ相当可愛い。
 なんてことを言える余裕はもちろんない。だから無事に繋がれたあかつきには、まずは童貞卒業おめでとうと言って思いっきり頭でも撫でてやろうと思いながら、詰まりそうになる息を意識的に吐き出した。

<終>

ダラダラと長い期間お付き合いありがとうございました。この二人のお話はこれで終わりたいと思います。

 
 
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リバップル/魔法使いになる前に 2(終)

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 優しく出来ると言った相手に、緊張した顔で押し倒される。こちらだって当然、緊張はしていた。
 初めての時ってどうだったっけ。なんて、はるか昔に思いを馳せるが、互いに必死だったことしか思い出せない。いや、相手の体へ与えたダメージも思い出した。
「あ、あのさ」
「な、なに」
「お前めちゃくちゃ緊張してるけど、マジ、大丈夫なの? てか俺も緊張してるっていうか、かなり不安なんだけど」
「ご、ごめん。ムードまで気を配れる余裕、ちょっと、ない」
 お前傷つけないように考えるので手一杯などと続いて、思わず顔を両手で覆いたくなった。しないけど。
「ごめんって」
「う、いや、いい……です。あー、うん、お前の好きにして、いい」
 なにそれと言って笑った相手に少しだけホッとする。どうやら相手も笑うことで緊張が解れたと自覚したらしい。
「お前、抱かれる側でもカッコ良いのとかズルイ」
「そういうつもりじゃなかった」
 というか今のやり取りでカッコイイ所があったとは思えない。要するに相手の目と感性がオカシイ。つまり、こんな場面でカッコイイとか言い出す相手が可愛くて仕方がなかった。
「ん、でも、お前は抱く側になっても可愛い、かな」
「今日はカッコイイって言わせたい」
「普段のお前は普通にカッコイイですけど。ベッドの中くらい、可愛い俺の恋人で居てくれ」
「俺が抱く側でも可愛い方がいいわけ?」
 可愛い方がいいとか悪いとかじゃなくて、何したって多分お前は可愛いんだよ。なぜなら、自分の目と感性がそう主張してくるからだ。
「お前はお前のままでいい、って話。お前だって俺に、抱かれる側になるんだから可愛くなれとか思ってないだろ?」
「そりゃあ」
「だから、色々気負いすぎなくていいから、お前の好きに触れって」
 相手の手をとって、自分の頬に当てさせる。その手を、ゆっくりと首筋をたどるように下方へ滑らせた。途中で手を離したが、その手はもう相手の意思で動き始めている。
 愛撫されることにあまり慣れていない体は、相手の思うような反応を返すのが難しい。
 くすぐったさに混じる快感を捉えようと頑張りながら、つい頭の片隅で、今度抱く時はこの場所を重点的に責めてやろうなどと思ってしまう。だってしつこく触ってくるってことは、その場所が相手のキモチイイ場所ってことだろう?
 くふっと笑ってしまったら、相手が不安そうに、気持よくない? などと聞いてくるので、しまったと思いながらくすぐったくてと返しておいた。
「やっぱ抱くのって思ったより難しいな」
「お前だって、最初の頃はそうそうキモチイイ顔なんか見せなかったからな?」
「慣れかぁ……」
「そう。慣れ。ものすごく正直に言うなら、俺は今日、終わった後に立てないほど体が痛い、って状態にさえなってなきゃ成功だと思ってる」
「成功のライン低っっ」
「だからお前は気負い過ぎなんだって。十代だったとはいえ、俺がお前を最初に抱いた時のこと思えば、それで充分なんだよ」
 痛いって泣かせてゴメンなと言ったら、苦笑と共に、確かに泣いたねぇと返ってきた。
「あれに比べたら、多分、どんな風に抱かれようとマシだから。もちろん、相手がお前って前提の話な」
 だって抱かれる事に慣れた恋人が、優しく出来ると言い切ってする行為なんだから。
 それを伝えたら、ふわっと嬉しそうに顔をほころばせた後、好きだとシンプルな言葉が告げられた。
「俺も、好きだよ」
「いっぱい気持ちよくさせてからとか思ってたけど、後ろ、もう触っていいかな」
「どうぞ。むしろやっとかよって思ってる」
 可愛い可愛い恋人の、格段に雄っぽい顔も、これはこれで悪くないかも。なんて思いながら、弄りやすいように足を開いてやった。
 たっぷりのローションを使って、ちょっとしつこいくらいに弄られて拡げられている間、相手の興奮がどんどんと増して切羽詰まっていくのがわかる。辛そうな顔に、さっさと突っ込んでいいのにと思った。思ったら、それは口からこぼれていた。
「も、いいから、来いよ」
「まだダメ」
「んなこと言ってると、次、お前も焦らすよ?」
「気持よくて早く入れて、ってのと、お前の早く入れろは意味が違う」
「変なとこだけ冷静なのってどうなの?」
「それ多分、お互い様だから。今日は俺の、傷つけたくないって気持ち、優先させて」
 そう言われてしまったら黙るしかない。
 それからもまだ暫く弄られ続けて、途中二度ほど後ろを弄られつつ前を手で扱かれてイかされたのも有り、ようやく相手と繋がった時には、かなり精神的にも肉体的にもぐったりしていた。
 でも多分ここからがスタートだ。なんて思って気合を入れようとしたら、宥めるように肩をさすられる。
「時間かけすぎてゴメンね。でもこっから先はすぐ終わるから大丈夫。入れさせてくれて、ありがと」
 多分すぐイッちゃうよと苦笑した相手は、本当にあっという間に上り詰めてしまったようだった。マジか。
「え、お前……」
「うんまぁ、自分でもちょっと早すぎって気はしてる。けどまぁ、早く終わったほうが楽だろうなって。それに、お前の中、入ったことには変わりないし」
 呆然とするこちらに、照れた様子を見せながらも、相手は晴れ晴れとした顔をしていた。
「じゃ、抜くね」
「待って」
 腰を引こうとする相手を慌てて引き止める。
 このまま抜かずの二発目頑張らないかと誘ったら、一体相手はどんな顔をするだろうと思いながら、湧いてしまった欲求をそのまま口に上らせた。

 
 
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童貞が二人 5(終)

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 お前の中に入りたいなんてセリフを、懇願混じりに告げてくるのはズルい。だってなんだかんだ言っても相手のことが好きで、だから男同士なのに恋人って関係になって、体を繋げたいなんて気持ちにさえなっているんだから。
 仕方がないので、握っていた手の力を緩めて、相手を追い立てるような行為はやめた。
 代わりに、相手の手に意識を集中する。慣れた手つきでこちらの快感を煽っていくのに、散りそうになる気持ちを合わせていく。
 ペニスを弄られて気持ち良さで体に力が入るたび、後ろの穴に入れられた指を締め付けてしまって、最初はどうもいつものように集中は出来なかったけれど、だんだんと気持ちよさが連動していくのがわかる。アナルを収縮させて中の指を締め付けることが、なんだか気持ちが良いような気がしてくる。
「なぁ、中、ちょっとは気持ちよくなって来た?」
 どうやら相手も気付いたようだが、いちいち指摘されるのはなんとも恥ずかしい。
「言うなっ」
「だって気になるし。な、少し、動かしていい?」
 期待と興奮とが混ざる声に頷けば、ペニスを握ってこするリズムに合わせて、中の指も小さく前後し始めた。
「ぅあっ、ぁっ、ぁ、っ……んっ…」
 まさか自分の口からこんな声が漏れ出るとは思わず、気付いてすぐに唇を噛みしめる。
「声、噛むなよ」
「や、…ぁ、ぁあっ、だっ」
 嫌だと言うために口を開いただけで、余計なものまで漏れでてしまった。本当に恥ずかしい。
「ふはっ、かっわいい」
 お前の顔赤くなってると、わざわざ指摘してくるのはもっと照れさせたいからだろう。それがわかっていても、どうすることも出来ない。顔が熱いから、相手の思惑通りますます顔を赤らめたに違いない。
「ね、お前の中に、入れさせて」
 興奮する相手の目が少しギラついている。
「ん。いい、よ」
 とっくに逃げられないことは悟っていた。小さく頷けば明らかにホッと安堵の息を吐いて、相手は埋めていた指をゆっくりと引き抜いていく。
「正常位でいいよな?」
 聞かれたのは横になっていた体を起こした相手に、ガバリと足を開かれた後だった。行動に言葉が追いついていないようだ。
「好きにしろ。でもその前に、ちゃんとゴム着けろよ」
「あ、そうだった」
 慌ててコンドームに手を伸ばす相手を見ながら、こっそり深呼吸を繰り返す。それなりに覚悟は出来ているが、やはり緊張もしている。
「はい、準備完了」
 装着したコンドームの上にローションを垂らして少しなじませた後、相手は再度真剣な顔を向けてきた。
「で、そっちの心の準備は?」
「うん、まぁ、多分大丈夫」
 言えば嬉しそうににこりと笑われて、相手の顔が近づいてくる。本当にキスが好きだなと思いながら唇を触れ合わせ、好きの言葉に俺も好きだと返した。
「じゃ、入れるから」
「いちいち宣言しなくていいって」
「怖がりさんには必要だろ」
「もう怖くない」
「なら良かった」
 その言葉とともに相手の熱がグッと押し付けられて、それがゆっくりと腸壁を押し広げて奥へ進んでいく。痛みはなかったがやはり苦しい。
「んんっっ、くっ……」
「息して、息。あと、声、聞かせて。マジで」
「んぁっ、あっ、キツっ……」
「痛い?」
「イタ、く、なっ、ああっっ」
「じゃもーちょい我慢な」
 こっちも必死だったが、相手もそうとう必死な顔をしている。
 やがて全部を埋めることが出来たようで、相手が動きを止めて大きく息を吐いた。
「童貞卒業、おめでとう」
「ははっ、ありがと。お前も、」
「それは言わないで」
「だよな」
 アナル処女喪失なんて嬉しさの欠片もないので、そこには触れずにいて欲しい。
「でさ、俺ちょっと持ちそうにないから、急かして悪いけどお前の弄らせて。出来ればさっきみたいにキモチクなって?」
 どういう意味かと思ったら、相手の手がペニスを握って扱き始めた。挿入される衝撃にやはり少し萎えていたそれは、またすぐに張り詰めていく。
 今度は指ではなくて、入っているのは相手のペニスだ。そう思うと、体だけじゃなくて心にも、ゾクリとした満足感に似た快感が走る。
「うぁっ、あああ、あぁ、キモチぃ……かも」
「俺も、きもちぃ」
 ゴメン動くという切羽詰まった声と共に、少し乱雑に突かれてビックリしたが、でも痛みはなかったし確かに相手が達するまでの時間も短かった。一旦放置されてしまったこちらも、相手が動きを止めた後にすぐまた扱いてくれたので、追いかけるように相手の手の中に精を吐きだす。
 イく瞬間に体内に相手を感じたままというのは、そう悪い感覚でもなかった。
 息を整えてから体の繋がりを解き、それでもまだすぐには動きたくなくて、二人とも気だるげにベッドの上で横たわっている。
「またしたい。って言ったら、どうする?」
「別にいいけど」
「本当かよ。またお前が抱かれる側でも?」
「あー……まぁ、一度やったら二度目渋る意味もない、気はする」
 痛くなかったし、ちょっとは気持ち良かったし。二度と嫌だと拒否するような理由がない。
「でも俺も童貞卒業はしたい。出来ればお前で」
「え、何言ってんの。俺以外で卒業とかやめて欲しいんだけど」
 まぁそれはそうか。もし今日抱く側になったのが自分だったとして、抱けなかったから別の相手で童貞捨ててくるなんて言われたら、確かにちょっと待てって事になるだろう。
「じゃあ、今度は俺にもお前抱かせて」
 優しくしてねの裏声にクスリと小さく笑いながら、できるだけ頑張ると返し目を閉じた。
 ふわふわとした柔らかな睡魔に襲われている。きっといい夢が見れそうだと思った。

 
 
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リバップル/処女を奪った友人が童貞も貰ってくれるらしい2(終)

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 仰向けに寝転がり頭だけ持ち上げ見つめる視線の先、自身のペニスが狭い秘所へと飲み込まれていく。澄ました耳に、ぬちゃりと湿ったいやらしい音と、相手の漏らす小さな呻き声と、キツい締め付けにこぼした自身のいやらしい吐息が混ざって届いた。
 手を伸ばして上にまたがる相手の尻肉を掴み広げれば、止めろと相手の焦った声が響く。
「入るとこ見えた方が良いだろって言ったの誰だよ」
「だからって広げるヤツがあるか!」
「せっかくなら入ってくとこしっかり見たい」
「ざけんな。手、放せって」
「じゃ、入るの見れなくていいからこっち向いて」
 代わりに顔見せてと言ったら即答で嫌だと返ってきた。
「なんで?」
「なんでも!」
「お前が初めて俺抱いた時、正常位だったろ。でもって苦しいのときもちぃのとでわけわかんなくなってる俺に、散々可愛いとか言いまくったよな?」
「お前は可愛いからそれでいーの」
「なんでだよ。俺だってお前に可愛いとか言いたいだろ」
 そもそも背面騎乗位というらしい、今のこの体位で繋がる事にイマイチ納得が出来ていない。
 初めて彼とセックスをした時、一度は抱かれる覚悟を決めた相手に上手く挿入出来ず、結果タチネコ交代した経緯があるので、百歩譲って相手が自分の意思で挿入される騎乗位なのは仕方がない。けれど、脱童貞するならちゃんと入ってくとこ見たいだろ、などという理由で背中を向けられたのはいただけない。
 勢いに押されるまま、背中を向けた相手に跨がられてしまったが、入っていく所を見たいなんて欲求は特にないからだ。しかも見ろと言うならじっくり見てやろうと広げてみれば、こうして文句が飛んでくる。
「言わなくていい。てか可愛いとかないからっ」
「お前が可愛いかどうか決めるのは俺だ。てかお前、その体勢キツくないの?」
 相手は先だけ入った状態の中腰で、若干前屈みになりながら身を固めている。もちろん、尻肉を開くこちらの手もそのままだった。
「キツイにきまってんだろ。だからさっさとその手放せよっ」
「やだ。つかさ、」
 言いながら少し腰を突き出すように浮かせてみる。
「うわっ、バカっ」
 そのまま入っていくところが見れるのかと思ったら、相手の尻も突いた分だけ浮いただけだった。
「無理にしようとすんなって。おとなしくその手放せば、俺がちゃんとお前の童貞貰ってやるってば」
「なんで入んねーんだ。俺はお前のあっさり入れられたのに」
「あったり前だっつーの! バリタチなめんな」
「バリタチ?」
「抱く側専門のこと」
「は? 何お前、抱く側のプロなの?」
「そーだよっ。俺に男抱いた経験あるのはお前もわかってんだろ」
「そりゃまぁ慣れてるとは思ったけど。でも抱く専門なんて聞いてない。てかなんで抱く専門のお前が俺に抱かれようとしてんの?」
「お前が抱く側ならだの童貞のまま抱かれるの嫌だのって言うから仕方なくだっつーの。だいたいさ、ちゃんとキモチくなれてんのに、なんでお前、抱かれるだけで満足しねーの? なんで俺、こんなことしてんの?」
「いやお前、自分で答え言ってるから。俺の童貞貰うって言い出したのお前の方だから」
「だってお前と恋人になりたいんだからしょーがないだろー」
 童貞貰ったら恋人になるって約束したろ? したよな? と確かめるように問う声は僅かに鼻声だった。もしかして泣いてるのかと思ったら、どうにもその顔を見たくてたまらなくなった。けれど振り向いてとお願いした所で、絶対に叶えてはくれないだろうこともわかっている。
「あ、あのさ」
「なんだよっ」
「やっぱ一回抜いていい?」
「なんで!?」
「入るとこよりお前の顔みたいし」
「嫌だっ」
 拒否の声を無視して相手の尻をぐいと持ち上げつつ腰を引けば、深くまで入っていなかったそれはあっさり相手との結合を解いた。そのまま相手の下から抜けだし起き上がり、背中を向ける相手の肩を掴んで勢い任せに引き倒す。
「ちょっ!!」
「泣いてんの?」
「泣いてねー」
 そう言いながらも、上から覗き込んだ相手の目元は、泣くのを耐えてか赤く染まっている。胸がキュウとして鼓動が跳ねた。
「教えて」
「何を?」
「男の抱き方。上に乗られるんじゃなくて、自分で、お前に入れたい」
「だーかーらー! バリタチなんだっつったじゃん。入ったら童貞卒業に変わりないんだから、せめて俺に乗らせてよ」
 ますます目元を赤くする相手に、愛しいようなもっとしっかり泣いた顔が見たいような、なんとも言えない気持ちが湧いて、黙れという気持ちも込めつつその口をキスで塞いだ。もちろん彼に抱かれる時だってキスはするけれど、自分から積極的に相手の唇を奪うことは今までしたことがなかった。初めてだということは、多分相手もわかっている。
「童貞捨てたいだけじゃなくて。お前を自分の手で、抱きたいって思ってる。今、かなり」
 真剣に告げたら小さな溜息の後、引き倒した時に肩を押さえた手を放せという様子でピタピタ叩かれた。素直に従えば、クルリと位置を変えて、仰向けのままこちらに向かって足を開く体勢になる。
「ほら、こいよ」
「え?」
「今日は自分でしっかり慣らしてあるから、先っぽ押しあてて体重かけりゃそのまま入るよ。多分」
 言われるままにその場所へ先端を押し当て体重をかけていけば、失敗したあの時とは違って、狭い場所を押し開きぬぷぬぷと沈んでいく。熱に包まれメチャクチャ気持ちが良い。
 すぐに腰を振り始めた自分に、相手は苦しげに呻いたけれど、制止の声はかからなかった。
「ゴメン。俺ばっか、きもちぃ」
 動くたびにあっアッと苦しそうな声が漏れて申し訳ないとは思うものの、動きを止めることが出来ない。
「んなのいーから」
 むしろさっさとイッてと急かす声は本気だ。それに甘えてガツガツと腰を振れば、相手の目元からボロリ涙がこぼれていく。
 胸が締め付けられて、ぎゅうと抱きしめてやりたい気持ちが押し寄せる。多分きっと、愛しいのだ。相手のことも気持よくさせたいという気持ちはあるのに、まったく上手くいかない。
「ゴメン、ごめんっ」
 ゴメンを繰り返しながらあっさり果てて、それからようやく相手のことを抱きしめた。
「童貞卒業、おめでと」
 疲れきった声が、それでもそんな言葉を掛けてくる。
「うん。ありがと。てか本当ゴメン」
「いーよ」
 緩く抱きしめ返してくれながら、相手は続ける。
「でも、約束は守れよ」
「うん。好きだよ」
「えっ?」
「抱いたら、わかった。……と、思う。お前のこと、俺も、友人ってだけじゃなく好きなんだって」
 だからまた抱かせてと言ったら、童貞じゃなくなったんだからもう良いだろと言われたけれど。
「だってお前が俺に気持ちよく抱かれるとこ見たい」
 そんな姿を見たら、きっと今日とは比べ物にならないくらい、メチャクチャ愛しい気持ちが湧くだろう。
 それを正直に言ったら、相手は暫く言葉に詰まった後で、善処はすると困惑の混ざる声で告げた。

 
 
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今更嫌いになれないこと知ってるくせに33

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 縋られ胸の中で泣かれていてさえ、抑えきれずに燻る情欲から、完全に動きを止めてやる事はやはり出来なかった。強引に突き上げる事をなんとか堪えているだけで、中を擦って揺すって辛そうに喘がせてしまう。
 代わりに、何度も名前を呼んで、好きだと繰り返した。泣いて喘ぎながらそれでも必死に、好きだと言い返そうとしてくれる相手が酷く愛しい。
「好きっ、俺も好きだかっ、ら…いー、よ。我慢、しないで…いーからっ」
 まさか、さっきみたいにしてなどと、甥っ子から言い出すとは思わなかった。
「だ、ぃじょーぶ…だから、…ね、俺で、きもちく、なって」
 胸がキュウとして痛い。これはダメだ、このままではダメだ。彼の言葉に甘えて、このまま自分の欲を吐き出してしまったら、絶対に後悔する。
「お前、ほんと、どこまで可愛くなるつもりだよ」
「んなの、にーちゃんの、せぃ」
「そーだな、俺が、悪い。もっとちゃんと、きもちくさせてやりたかったのに、ゴメンな」
「きもち、ぃよ。ちゃんと、きもちーから、へーきっ」
「もっとゆっくり、一緒にきもちくなる予定だったんだ」
 肩掴んでいいから少し腕を緩めてと言いながら、相手の肩を軽くさすってやれば、素直に従い肩が掴まれ、少しばかり互いの体の距離があく。空いた隙間に手を差し入れて、若干萎えつつも、腹の下で擦れていたせいかまだ硬さを残す相手のペニスを握った。
「んぅっ」
「一緒にイけなかったら、ほんと、ゴメン」
 大きく息を吸って吐いて深呼吸を一つ。それから抜いて差しての前後運動をやめて、グッと奥に押し入ったまま中を軽く揺するだけにした。そうしながら、手の中のモノをイかせる目的で扱きだす。
「あ、…? っあぁ??」
「前に……こっち、集中して?」
 大丈夫だからと言いながら、先程までに零した雫をすくって先端に塗り広げた。
「んぁあっ、っえ、ちょ、ちが……さっきの、ちがっ」
「うん。これはイヤ? 怖いか?」
「じゃ、ない。けどっ…にー、ちゃ、は? これっ、ぁっんん、これ、いーの?」
 こちらが動いているようには感じないだろうし、実質ほとんど動いてはいないから、自分ばかりがと思ってしまうのかも知れない。
「お前がキモチクなって、中、締めてくれたら、俺も、ちゃんとキモチクなるから」
 大丈夫と繰り返してから一度顔を寄せて、何度かキスを繰り返した。宥めるように、愛しむように、そして快楽を引き出すように。何度も触れ合ってから口を離せば、溢れる吐息の色が変わる。随分と甘く響くようになる。手の中のモノもしっかり硬さを取り戻していた。
 可愛い声を指摘しながらもっと聞かせてと告げれば、わずかに躊躇ったあとで、喘ぐ吐息に気持ちが良いと知らせる単語が混ざりだす。中がうねり、握って扱く先端からダラダラと先走りがあふれるようになってから、握る手をそのままに前後運動を再開した。
 弱い場所を狙って緩く突き上げる。若干戸惑いが滲んでいても、溢れる吐息は甘いままだった。やがて戸惑いは消えて、そうなる頃にはイッちゃうという訴えが混ざりだす。
「いいよ。イッて」
 手の中の刺激を強めつつ、自身の動きも加速した。
 前を弄りながらならイケるとは言っていたが、自分で強弱を調整出来る自慰と、こうして他者に強制的に快楽を送り込まれるのは違う。数カ月前までは指2本がキツイと言っていた彼の自己開発は、どう考えたって拡げる事が中心だっただろうから、中への強い刺激と吐精とがまだ噛み合っていないのかもしれない。
 イッちゃうと繰り返しながらも、なかなか極められずに身悶える甥っ子に煽られ焦らされながらも、どうにか先に果ててしまうのを耐えたおかげで、彼が達する時の収縮に合わせてあっさりこちらも精を放った。

続きました→

あなたは『「今更嫌いになれないこと知ってるくせに」って泣き崩れる』誰かを幸せにしてあげてください。
http://shindanmaker.com/474708

 
 
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今更嫌いになれないこと知ってるくせに32

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 慎重に全てを埋め込んで一つ息を吐き出す。
 最初だけ、やはり指とは違うだろう感触に戸惑う様子を見せていた甥っ子は、途中から自身の体を拓くこちらを真剣な表情でジッと見つめていた。呻くでも耐えるでも喘ぐでもなく、初めての行為に随分と余裕がある。
 それはきっと、彼が想像していたよりずっと痛みや苦しさや辛さが軽かったからなのだろう。それはこちらの望んでいた事でもあるから、良かったと安堵する気持ちはもちろんあった。しかし、かと言って挿入されるだけで感じてしまうような、強烈な快楽を叩きこむ解し方もしていないから、せっかく念願かなって繋がったというのに、思いの外何も感じなかったなどという感想を持たせたのなら切ないなと苦笑する。
「全部入ったぞ」
「うん」
「随分余裕の顔してるが、まさか、あんま良くないな~とか思ってないだろうな?」
 こっからだからなと告げれば、余裕なんかないよと眉尻を下げてみせる。
「にーちゃん」
 意を決した様子で呼ばれて、何を言われるのだと若干身構えてしまうのはどうしようもない。どうしたと問いかける声は少し緊張が滲んでしまった。けれど甥っ子はそれには気づかない様子で、一転ふにゃんと泣きそうに笑う。しかもその口から吐き出されて来た言葉は、まったく想定外のものだった。
「好きだよ」
「おまっ……」
「すごく、すごく、好き。にーちゃんが、大好き」
 言葉だけなら盛大な告白というだけだが、その声は切なげに震えていて、マイッタなと思う。どうしてそうなったのか、理解が追いついていない。
「俺だって、好きだよ」
「うん。わかるよ」
 理解できないなりに告げた言葉は、思いの外あっさりと受け入れられていく。
「凄く、伝わってくる。だからなんかちょっと、ビックリして」
 抱かれるのって凄いね、なんてことを、思わずといった様子で零すから、愛しさと安堵と驚愕でやはり苦笑するしかなかった。
「まさかそれで泣きそうになってんのか?」
「泣きたいわけじゃ、ないんだけど。でも、にーちゃんが今、俺の中に居るんだって、凄い、嬉しくて」
 嬉しいと言いつつも、甥っ子の顔はますます泣きそうだ。手を伸ばしてその頬を撫でて、うっすらと目元に滲んだ涙を指先で拭いながら、極力甘く響くようにと意識しつつ名前を呼んだ。
「感極まるには早すぎだろ」
 さっきも言った、こっからだぞというセリフをもう一度告げた。
「だってぇ……」
 にーちゃんが好きなんだもんなどと、鼻を啜りながら言われてしまえば、こちらもいい加減限界だ。
「だからあんま煽るなって」
 繰り返してしまう苦笑と共に、動くぞと宣言して律動を開始する。
 当初の気持ち的にはもっとゆっくり中を味わうように、じっくりと快楽を引き出すつもりで責めてやるはずだったのに、そんな予定は吹っ飛んだ。
「あっ、あっ、ああっ、ちょ、なあぁ、まっ、んぁっ…んまっ、ああっ」
 ずっと強くは触れずにいた弱い場所をグリグリと擦ってしまったせいで、鋭い嬌声が次々とこぼれ出す。突然に与えられた強い刺激で、驚き戸惑い慌てる様子に、申し訳ない気持ちは確かにある。気持ちはあるが、待ってやれる余裕などなかった。
「も、無理。待てないって。スマン」
 待って待ってと音にならない言葉は届いていたけれど、こちらも情けなく謝るしかない。そして謝りながらも、更に弱い場所を狙って突き上げた。
 それを気持ち良いと感じられるだけの素養は多分まだないだろう。だとしたら、現状彼が感じているのは、違和感と恐怖と、もしかしたら痛みすらも与えているのかもしれない。
 あっ、あッ、と突き上げるたびに吐き出される声は苦しげで、潤みきった瞳からは大粒の涙がボロリボロリとこぼれ落ちている。
 奥を擦られて突かれても、それを気持ち良いと感じられるように、ゆっくりと慣らしてやるつもりだった。じわじわと感じていく、きっと可愛らしいに違いない様を見てやろうと思っていたのに、いったい自分は何をしているのか。
 グッと奥歯を噛みしめて、暴走する欲望を抑えこむ。早い律動を、ゆるやかなリズムに変えていく。
「あ、あッ、んんっ、にーちゃぁぁ」
 ボロリボロリと流れる涙は変わらないものの、甘い声が呼びかける。縋るように伸びてきた手に誘われて前屈みに身を寄せてやれば、首筋に絡んだ腕がぎゅうと抱きしめてきた。

続きました→

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