雷が怖いので22

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 約束通りちゃんと気持ち良くしてやるし、ここまで良い子で待てたご褒美にうんと甘やかしてやろうなと言って、彼がベッドへと乗り上げてくる。覆いかぶさるようにして近づいてきた顔は、良く見るニヤリとした笑顔ではなく、柔らかに笑んだものだった。
 見惚れていたら唇が触れる間際にクスリと笑われて、ドキドキはどんどんと加速していく。さすがに期待が膨らんで、だから胸の奥に感じるかすかな痛みは無視をした。
 うんと甘やかすの宣言通り、愛しむように肌へと触れてくる唇や指先。お尻以外はそこまで開発されていないはずなのに、どこを触られてもビリビリと強い快感が走ってしまうのは、好きな人に優しく触れてもらえる喜びからなのだろうか。それともやはりこの人が、こういった行為に長けていて上手いのか。玄関先でへたり込むほど玩具で焦らされたのだから、体は興奮しきっているはずで、結局はそのせいだったりするのだろうか。
 ついそんな事を考えてしまうけれど、でも余計な事は考えたらダメだ。
 目の前の男が好きなのだという気持ちと向き合ったら泣いてしまうので、なるべく頭の中を空っぽにする。気持ちが良いということにだけ集中して、相手に体ごと全部預けてしまうことに慣れている。
「ふ、…っぁ、……ぁっ、だ、…め、イっ…ちゃう」
「そうだな。ナカもとろっとろで、イかせてって必死に絡みついてきてる」
 お尻に入れていた玩具の代わりに、彼の指が入ってくると、さすがにもう耐えきれない。気持ちが良い場所をもっと弄って擦って欲しくて、はしたなく腰が揺れてしまう。
「ん、んっ、イかせて、お願い、も、イかせて」
「可愛くおねだり出来たらな。今回はちゃんと応えてやるから、言ってみな?」
 なにをと聞こうとして、けれど問う前に気づいてしまった。
「ち、ちんちん、入れ、て」
「それだけ?」
「ちんちんズポズポして、おしり、きもちく、して。おれに、あなたを刻んで、教えて。お願いだから、おれを、抱いて」
 思いつくまま重ねる言葉は震えていたかも知れない。でも思い浮かんでも、言えない言葉もあった。だって、彼のものになるというのが奴隷やペットになることを指すのなら、あなたのもにしてとは言えるわけがない。
「よく言えました。じゃあ、俺のちんちんでいっぱい気持ちよくイこうか」
 ちんちんって可愛らしさはないけどなと言って、くつろげたスラックスから勃起したペニスを取り出した。初めて見た彼のペニスは確かに大きい。しかしじっくり観察する余裕などくれるはずもなく、それはすぐにアナルに押し当てられてしまう。
「入れるぞ」
 頷けばアナルを広げて熱い塊がミシミシと押し入ってきた。大きくて苦しいとは思うのに、それ以上に、焦らされすぎた体が待ち望んでいた刺激で快感の波が押し寄せる。
「んああああああっっ」
 頭の中が真っ白になって焼き切れるような気がした。ジンワリとした痺れが身体中を駆け巡ったままピリピリと痺れ続けている。
「あ、ああ……あぁ……」
 頬を軽くペシペシと、撫でるに近い感覚で叩かれて、霞んでいた視界が開けてくる。同時に聞こえてきたハァハァと荒い息遣いが、自分の発するものであることも自覚した。
「お前、想像以上だよ」
「んんっ」
 柔らかに唇を食まれるようなキスと、お尻の中の圧迫が増したのとで、痺れが増して甘く鼻を鳴らしてしまう。キスはすぐに終わったけれど、顔は近いままで、相手は苦笑に喜びを混ぜ込んだ表情をしていた。
「ど、ゆ…、いみ」
「さすがに入れただけでイくとは思ってなかったって話」
 それはこっちも同じだ。しかも玩具でいかされるのより、ずっとずっと気持ちよく激しくイった。でもそれは仕方ないだろうとも思う。だって、ずっとずっと、この日を待っていたのだから。
「だ、って……」
「ずっと待ってたんだもんな」
 はっきりと指摘されて、恥ずかしい上に胸が苦しい。
 なんでこんなにも抱かれたいのか、だってこの人は本当のことを知らない。好きだから抱かれたくて、好きだから嬉しくて、好きだからこんなにも気持ちが良いのだと、そう思ってしまう気持ちを知らない。
 好きという気持ちがなくても、もしかしたら同じように気持ちよくイかされてしまうのかもしれないけれど。それくらい、この人はエッチなことが上手くて、体は慣らされたし開発されてもいるけれど。でも、気持ちがない状態との比較なんて、出来ないのだから仕方がない。
 好きだなんて気持ちを意識したくないのに、体の中に感じる彼の熱があまりに嬉しすぎて、好きだという気持ちが胸の中にあふれてくる。
 ああ、どうしよう。このまま抱かれ続けたら、どうなってしまうんだろう。
「大丈夫か?」
 こちらの不安や戸惑いはやはりすぐに伝わるらしい。けれど、どう伝えていいかわからないどころか、これは伝える気のない想いが原因だ。そして、たとえどうなったとしても、自分からもう止めてなんていう気はなかった。

続きました→

 
 
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「雷が怖いので22」への2件のフィードバック

  1. 初めまして!
    奇数日の更新の時からずっと読んでますがコメントは初めて…
    ついに!!結ばれましたね〜今日は朝から続きが気になって何度も覗きに来ちゃいました(^^ゞこの二人とっても好きです。この後どんな展開になるのかしら…シリーズ化して下さい♪これからも楽しみにしています。

  2. rexさん、初コメントありがとうございますo(^▽^)o
    奇数日更新の時からずっと来てくださっているのも、凄く嬉しいです。

    今日は更新がとうとう午後になってしまって、何度も確認に来ていただいたようですみません〜
    今回の話はかなり予定外に長引いてしまっているというか、考えていた続きに上手く繋がって行かずに苦労する事が多いので、私自身、ああやっと抱いてもらえたー! という感情が強いです。
    この二人を好きと言ってくださってありがとうございます。
    今はまだ、体だけ繋がって心が置いてきぼりですが、ちゃんと心ごと幸せな終わりに出来るよう頑張りたいと思いますので、このペースだともう暫くかかるかも知れませんが、最後までお付き合いどうぞよろしくお願いしますm(_ _)m

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