目隠ししようか

気がつけばお前のことばかり考えてるの続きです。

 さすがにそのままはいどうぞという気にはなれず、シャワーを借りる事にしたら、なぜか一緒に入ることになった。
 体を洗ってやるついでに触って終わりにするというから、ベッドの上であれこれされるよりはマシな気がしてOKした。体を洗ってもらうという理由があったほうが、気分的に受け入れやすいような気がしたからだ。
 もちろん、一人で風呂に入れる年齢になってからは、他人に体を洗われたことはない。
 まずは背中から、たっぷりとボディソープを含ませ泡立てたボディタオルでゴシゴシと擦られるのは、単純に気持ちが良かった。肩から腕にかけてや腿から脛へかけてもも同様に気持ちが良かったが、胸や腹はさすがに擽ったくて笑いを堪えるのが大変だ。手の平や指は全然平気だったが、足の裏や足の指となってくると、もう笑いがこらえられない。
「ちょっ、くすぐってぇ! やめっ、ぅアハっ、あははっおいっっ!」
「もうちょっと」
 風呂椅子に腰掛けた自分の斜め前脇にしゃがみこんだ相手は、片足首をがっちり掴んで持ち上げていて、泡立つタオルをくるくると足裏にすべらせる。
「よーせーって、うはぁっ、……こ、んの、しまいにゃ蹴んぞ」
 風呂の縁にすがりつく格好で締りがないにも程があるが、言いながら掴まれた足をバタバタと振れば、さすがに諦めた様子で手を離された。しかしすぐにもう片足を掴まれる。
「じゃ、反対側」
「えー、もう、足はいいだろ」
「やだよ。めっちゃ楽しい」
 最初で最後なんだからそこは譲れないなと言われれば、今度はこちらが諦めるしかない。ため息を吐いて足を差し出し、さっさと終えろと言ってはみたが、無駄なことは相手を見ればわかる。結局また散々笑わせられる結果になった。
 しかも最後の方はタオルを放り出し、手の平でスルスルと擦られた。ここからが『触る』のメインだなどと言われて、足の指の間に手の指を突っ込んで前後に擦られた日には、笑いとは違った妙な声がこぼれ出た。
「うあッ、…ッん」
「感じた?」
「何言って、ああっ、あっ、っちょっダメ」
 くすぐったさの中に、ぞわりと背筋を這い登るしびれのようなものが混じって、変な声が押さえられない。混乱している間に反対の足も同じように指の間を擦られ、ダメともやめろとも言えなくなって、あッあッと漏れる声だけが風呂場に響く。
「めっちゃチンポ勃ってる」
 ようやく足裏攻撃から開放されると同時に、含み笑いで指摘されたが、言われるまでもなくわかっている。足の裏やら指の間やらを洗われて、こんな状態になるとは正直思っていなかった。
「触っていい?」
 少し上ずった声に相手の興奮を感じて、ゴクリとつばを飲み込んだ。
「い、いーよ」
「目隠し、する?」
「へ? なんで?」
「見えなかったら、女にされてる想像もしやすくね? 俺、しゃべんねーようにするし」
 手のデカさとゴツさは仕方ないにしても、男にされてるとこ見るよりマシじゃないかと提案されたけれど、じゃあ目隠ししようとは思えなかった。
「あー……てか別にいーって。お前に触られる覚悟でここ居るんだし」
「マジか」
「成り行きでいいよって言ったとでも?」
「違うのかよ」
「いや、半分は当たってるけど。でもここまでさせて今更なしも言わねぇって。いいよ。触れよ」
「いや、でも、見られる俺も恥ずかしいっつーか……」
「結局そっちかよ。俺だって握られて擦られたら興奮した恥ずかしい顔晒すんだから、お互い様だろ」
「握られて興奮すんのと、男のナニ握って興奮してんのは違うだろ。つか俺やっぱキモいな」
 眉尻を下げてゴメンと情けない顔を晒すので、仕方ないなと相手の股間に手を伸ばす。互いに裸なので、相手の性器も興奮を示して勃ち上がっていることはわかっていた。
「ったくしょーがねーから俺もお前の握ってしごいてやるわ」
「っえ、っちょっ」
「お互い、握られて興奮してる。ってことでいーだろ」
 ほら早くお前もと急き立てつつ、握った手を軽く上下に動かしてやれば、負けじと伸びてきた手が性器を包む。
 後はもう、衝動のままに手を動かした。
「あっ、ああっ、きもちぃっ」
 さっき笑いながらアンアンしてしまったせいか、握られ擦られ喘ぐことにもあまり抵抗がない。それに比べて、相手はやはり声を上げることに抵抗があるのか、必死でこぼれる息を噛んでいる。
「おまぇ、は? きもちーの?」
 見てわかんだろと言いたげな視線を躱してしつこく繰り返していたら、ぐっと相手の顔が近づいて口を塞がれた。
 触っていいとは言ったがキスしていいとは言ってない。
 なんて野暮なことを言うつもりはなく、自ら舌を差し出した。

続きました→

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プリンセスじゃないよ!(雑記)

昨夜、 プリンスメーカー が全て プリンセスメーカー と表示されていることに気づいて愕然としました。
プリンスメーカーの変換の一番最初がプリンセスメーカー(もしかして) ってなってて、それに気付かないままずっと ぷりんすめーかー って打って プリンセスメーカー に変換してたっぽいです。
ナニやってんだ_| ̄|○
しかも、ビガぱらについての項目の下の方にビガぱら作品一覧を載せてあるんですが、プリンスメーカー載せ忘れてたことにも気づきました。
そして今、もうプリンセスになってるところないよな? と思いながらサイト内検索かけたら、タイトルが全部『プリンセスメーカー ○話』ってなってる事に気づきました。
そうか。これも全部直さないとだ~

というわけで プリンセス → プリンス への変換を終えました。
プリンセスなんて一瞬も出てこない話なのにまったくもって恥ずかしい(*ノェノ)キャー
ホント、気づけて良かったです。

 

それと、せっかく雑記カテゴリの記事書いてるので、お話投下以外に最近やったことメモ。
・ コメント欄のメールアドレス入力欄を削除しました。もともと公開はされないようになってましたが必須項目で入力しないとコメント投稿できない設定だったので。もしこれでスパムコメントとか増えてきたら戻すかもしれませんが、これは様子見で。
・ ブログ村さん、B L ♂ U N I O Nさん、人気ブログランキングさん、BL図書サーチさん、sindbadbookmarks.comさん へ登録させてもらいました。そしてランキング系の所は、各頁の下部にランキング参加用のリンクが出るように設定しました。ぜひポチってやってください!

 

最後に、閲覧いつもありがとうございます。
ポツポツとランキングのボタンも押して頂けてるようで嬉しいです。
今後もちまちまと更新を続けていけたらと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

 
 
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気がつけばお前のことばかり考えてる

 また今年も同じクラスになったなと喜んだ4月からほんの数ヶ月。最近なんとなく避けられている。
 いっそはっきりきっぱりと、何が嫌なのか言ってくれればいい。けれどその実、わかってもいた。
 言ってどうにかなることなら、彼は躊躇わずに告げるはずだ。互いを親友と呼び合うことすらある自分たちの関係において、そんな遠慮は必要がない。
 要するに彼が何も言わないということは、きっと言われても気をつけてどうこう出来るようなことじゃないんだろう。だからそれを聞いてしまったら、前のように仲の良い友人には戻れないかもしれない。なんてことを考えてしまったら、問い詰めることは出来なかった。
 のらりくらりと中途半端に続ける友情は、やはり周りにも違和感を与えるらしい。喧嘩でもしたのかと問われる回数が増えて、どう返していいか躊躇い濁すように笑って逃げていたら、とうとう相手の覚悟が決まってしまったらしい。随分と緊張のにじむ声で、帰り付き合えなんていうから、笑ってわかったと返したものの、内心ショックで泣きそうだった。
 今までなら、何を話していても相手とならすぐに爆笑へと変わっていたのに、ぽつりぽつりと思い出したように交わす会話は上滑りで、道すがら何を話していたのかなどさっぱり思い出せない。
 そんな状態で連れて行かれた先は、彼の自宅だった。既に何度も訪れたことがある彼の部屋は、どうやら片付けをしたばかりのようで、見慣れたものよりだいぶスッキリとしている。
 散らかっている方が居心地がいいなんていうのは明らかにおかしいので、この居心地の悪さはやはり彼の雰囲気なのだとわかっていたが、それでも腰を下ろすのが躊躇われて立ち尽くす。
「お前に頼みがある」
 そんな中、やはり腰は降ろさず立ったままだった彼が振り向き、少し掠れた声でそう言った。
「いいよ。何?」
 自分に出来ることならなんだってしてやろうという気持ちで告げたのに、彼は気に食わない様子で眉を寄せる。
「そんな簡単に了承していいのかよ」
「だってお前が俺に、俺が絶対出来ないようなこと頼むと思えねぇもん」
 で、何よ? と尋ねれば、この期に及んで口にするのを躊躇っている。
「言えって。そのために連れてきたんだろ?」
「最近、気が付くとお前のことばっか考えてる」
「それ、悪い意味で、ってことだよな?」
「良い意味とか悪い意味とかわかんねーよ」
「だってお前、避けてたじゃん。俺の嫌なとこが目について、って話と違うの?」
「違う。あー……その、恋愛的な意味で?」
「は? 恋愛? 何お前、俺のこと好きになったの?」
「いやーそれも微妙っつーかなんつーか」
「はっきりしねぇな。結局お前のお願いって何? まさか恋人になってとかそういうの?」
「恋人になってって言っても了承すんのかよ」
「あーまぁ確かに、軽率なこと言った。ちょっと考えさせて」
「いや待て。恋人になってくれが頼みじゃない」
 紛らわしいと強めの口調で言ったら、悪いついと苦笑されて、なんだかこの会話のテンポが懐かしい。内容はちょっと確かに今までにないものではあるけれど。
「恋人になってくれとは言わない。けど、一回だけでいいからさ、お前に触らせて欲しいんだけど」
「触るって?」
「端的にいうとエロいことしたい。お前に」
「い、今から?」
「そう。今日親、遅いんだ」
 やっぱ気持ち悪いか? と聞かれて、反射的に首を横に振って否定した。それだけで随分と安堵した様子を見せるから、嫌だ無理だと帰る気にはなれそうになかった。
「一回だけで満足すんの? それで元の俺らに戻れんの?」
「わかんね。けど、お前にエロいことすることばっか考えながら、このまま友達の振りなんてできねーし。けど無理なら無理で、それもしゃーねぇって思うし。言うだけ言ったら少しすっきりしたから、お前がオッケーでもノーでも、元の俺らに戻る努力はするよ」
 変なコト言ってゴメンなと後ろ頭を掻きながら照れ笑う顔が、良くしった親友のあいつだったから。
「触っていいよ」
 言葉はするりとこぼれ落ちた。

続きました→

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あの人の声だけでイッてしまう

 耳元に甘く響く「好き」の言葉。演技掛かって多少大げさに感じることもあるけれど、まごうことなきあの人の声だ。
 怒って、拗ねて、甘えて、キスをねだる。そんな姿を実際に見せてもらったことはない。
 自分の知るあの人は、豪快に笑う顔がいつもキラキラで、手を引いてくれる背中がいつも眩しくて、怒った時はめちゃくちゃ怖いのに、こちらが落ち込んだり泣いている時はとことん優しい。同じ目線まで腰を落としながら頭を撫でてくれるのがわかっていたから、子供の頃の自分は今思うと恥ずかしいくらいに泣き虫だった。
 記憶の中で彼の姿が鮮明なのは、彼が高校へ上る前頃までだろうか。彼が中学の頃はまだ、夕方や週末に遊んでもらっていた記憶がある。
 少し年の離れた幼なじみと、同じ学校へ通えたのは小学校だけだった。自分が中学へ入学できる頃には、彼はもう高校生で、自分が高校へ通い出す前に大学生となってこの町を出てしまった。
 その彼が声優になったと知ったのは、彼の母親が自分の母親へ愚痴っているのをたまたま聞いてしまったためだ。ちゃんとした企業に勤めて貰いたかったと、彼の母親はかなり落ち込んでいる様子だった。
 懐かしさもあって、すぐに彼の名前を検索した。本名そのままではなかったけれど、見つけるのは簡単だった。
 最初はちょっとした好奇心。それでも、彼の関わった作品を見たり聞いたりするようになって、もう随分経つ気がする。最初の頃は名前の無いキャラも多かったのに、最近は役に名前がないことなんてほとんどない。
 自分がそんな風に彼が出た作品を追いかけていることなど、当然彼は知らないだろう。親ですら息子の興味の矛先が、作品そのものではなくそこに出演している幼なじみの彼だなんてことは多分わかっていない。
 BLCDという存在も、彼の出演をキッカケにして知った。予備知識ほぼなしで聞いてしまったそれは衝撃的で、彼が脇役だったことにひどく安堵したのを覚えている。しかし次の作品は主役の片方で、当然のように濡れ場もあった。そうだろうとわかっていたから、最初買うのを躊躇いはしたけれど、結局買わずにはいられなかった。
 もちろん演技だということはわかっている。原作でのキャラのイメージ画像もちゃんとある。それでも、アニメと違い声だけだと、あの人の姿で想像してしまう。
 目を閉じて、イヤホンから響く彼の甘い吐息に感じ入る。
 あッあッと少し高く響く声は時折掠れて、そのざらつきが耳の奥を撫でるようでゾクリとする。
 CDのストーリーなど既に頭には入ってこない。物語の中で彼を抱く男の声すらどうでもいい。耳はただただあの人の声だけを拾い、想像の中、あの人を抱いているのは自分だった。
「だめっ…ぁ、いっちゃういっちゃうっからっ」
 そんな甘ったるい声をあげる想像の中のあの人は、今の自分よりも確実に幼い。一緒に遊んでいた頃の彼だからだ。喘ぐ声の高さや掠れが、声変わりの頃を思い出させるのかもしれない。
「やぁあんっ、きもちぃ、だめっだめぇ」
 切羽詰まって身をよじる彼を押さえて、ひたすら突き上げる。
 実際に見たことなどないのに、快楽にとろけるあの人の顔だって、いともたやすく想像できる。遊んでくれるから大好きだったはずのあの人の、顔や表情も好きだったのかもしれない。あれこれと細かな表情も、かなり覚えている自分の記憶力がありがたい。
「やだやだああぁぁっんんー」
 極まってヒクヒクと蠢く穴を想いながら、自身をしごきたてる手の中に精を放つ。
 イッた後の心地よい脱力感はあるが、熱が去ってしまえば、一体自分は何をしているんだと、恥じ入る気持ちも押し寄せる。いくらもう顔を合わせることはほぼないとはいえ、昔お世話になりまくった相手に酷い妄想をしている。
 自覚はあるし、罪悪感がないわけでもない。けれど体の中に熱がたまると、結局また、あの人の声を求めてしまう。

続きました→

 
 
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告白してきた後輩の諦めが悪くて困る

彼の恋が終わる日を待っていたの続きです。

 長いこと秘密の想いを寄せていた親友が結婚した日、後輩から告白された。高校時代に入っていた部活の、1学年下の男だ。
 ずっと好きだったと言いだした彼は、そろそろ俺のものになりませんか? などと言って笑う。
「お前、彼女いた事、あるよな?」
 確かめるように問いかける。部活終わりに何度か、彼を迎えに来ていた女の子がいたはずだ。記憶違いということはないと思う。
「ええ、いましたね」
 やはりあっさり肯定されて、揶揄われているのかと思い始めた。その矢先。
「でも彼氏が居たことだってありますよ?」
 バイなんですと躊躇いなく告げて、本気で先輩が好きですと彼は繰り返すけれど、崩れない笑顔がなんだか胡散臭い。
「あー……そう」
「そっち行っていいですか?」
「そっちって?」
「先輩の隣」
 彼は言いながら立ち上がると、机を回ってあっさり隣に腰掛ける。
「え、いやちょっと、待てって。おいっ!」
 いくら個室居酒屋で届いてない注文品がない状態とはいえ、これは明らかにおかしいだろう。けれど後輩の男は随分と楽しげだ。まるでこちらが焦るさまを楽しまれているようで不快なのに、その不快さを示す余裕すらない。
「ね、先輩」
 横から覗きこむようにグッと顔を近づけられて、思わず頭をそらしたら、後ろの壁に打ち付けてしまった。ゴツンと鈍い音が響いて、後頭部に痛みが走る。
「痛っ!」
「俺のものになってくださいよ」
 打ち付けた後頭部をなでさする間すらくれずに、再度彼はそう言ったけれど、今度は笑っては居なかった。先ほどまでの胡散臭い笑みを引っ込めて、真剣な眼差しで見つめてくる。なんだか怖いくらいだった。
「せんぱい?」
 疑問符付きの呼びかけは、返事を待っているんだろう。呆然と見つめていたことに気づいて、慌てて視線を逸らした。
「む、無理」
 だって目の前のこの男とどうこうなるだなんて考えたこともない。というよりも、誰かと恋愛しようと思ったことがない。
 本当に随分と長いこと羨望のような憧れのような愛しさを抱えて、手のかかる弟のような、そのくせいざという時は頼もしい兄のような、そんな親友の隣で過ごしてきたのだ。随分と無茶なことにも付き合わされてきたけれど、それすらたまらなく魅力的で、自分を惹きつけてやまなかった。それは互いに社会人となり、彼が結婚してしまった今現在だって変わらない。自分の中の優先順位一位は依然彼のままだった。しかも多分に恋愛的な感情も含んでいる。それがはっきりと自覚できているのに、他の誰かとお付き合いなんて出来るわけがない。
「どうして?」
「どうしてって……だって、俺の気持ちに気づいてたならわかるだろ?」
「結婚したじゃないですか」
「結婚とか、関係ない」
 もともと告げるつもりもない想いだから、これは最初から自分一人の問題だ。恋愛的な意味も含めて好きなのだと気づいてから、もう何年も経っていて、気持ちの整理はほぼ済んでいる。
 長い付き合いだから、相手のことは熟知している。想いを告げて自分に振り向かせることは可能だったかもしれない。どうすれば頷いてくれるか、多分わかっていた。けれど彼と恋人という関係になるよりも、親友という立場で居続けたかった。
 結婚して子どもが生まれて、今後は家族の時間が増えるだろうから寂しい気持ちはないわけではないけれど、結婚だってちゃんと本心から祝福している。どんな親になるのかと思うと色々不安が湧き出るけれど、その半面楽しみでもあった。 
「結婚した相手を、これからも想い続けるって意味ですか?」
「そうだよ。お前にはバカみたいな話かもしれないけど」
「そこまで想ってて、なんで、やすやす別の相手と結婚なんてされてんですか」
「別に恋人になりたかったわけじゃないから?」
「疑問符ついてますよ。てか、どうして」
「なんで、どうして、ばっかだな」
 ふふっと笑ってしまったら、あからさまにムッとされた。貼り付けたような笑みよりずっと安心感があるから不思議だと思うと同時に、どうやら少しばかり気持ちが落ち着いてきたらしいことにも気づく。
 あまりにも予想外の指摘と告白に動転しすぎていた。
「先輩が気になるようなことばっか言うからですよ」
「お前さっきあっさりバイだって宣言してたけど、俺が好きな相手が男だってわかってたから言えるんだよな? 俺に女の子の恋人ちゃんと居て、異性愛者だった場合でも告白するか?」
「恋人から奪おうとまではしませんけど、可能性が少しでもありそうなら狙いますよ」
「じゃあ性格の違いかな。可能性かなりありそうだったけど、でも俺は嫌だって思った。自分のせいであいつの未来を曲げるのは。親友って立場だけで充分なんだよ。あいつが子ども作って結婚して、はっきり言えばホッとしてるくらいだ」
「本気で、今後も別の誰かを好きになったりせず、あの人を想い続ける気でいるんですか?」
「今のところ、別にそれでいいかなと思ってる。たまにさ、好きだって言ってくれる人いるんだけど、他に特別に思う相手がはっきりいるのに、付き合えるわけないって」
 めちゃくちゃ嫌そうに顔を顰められて、やはりまた笑ってしまった。
「好きだって言ってくれてんだから、付き合えばいいじゃないですか」
「そんなの可哀想だろ。相手が」
「付き合ってみたら、そのうちなんだかんだ好きになるかもしれない。とは思わないんですか?」
「多分無理。やっぱりあいつ以上には好きになれないと思う。それくらい強烈な男なんだよ。って、お前ならわかるだろ?」
 深い溜息が吐き出されてきた。
「良くも悪くも強烈な男、ってとこには同意します」
「だろ? というわけで、お前のものにはなれないよ」
「そこまで納得したわけじゃないです」
「えっ?」
「気持ち晒した以上、今更引く気ないんで。試しにでいいんで付き合ってください。別にあの人のこと好きなままでもいいですし」
「良くないだろ」
「俺がいいって言ってるんだからいいじゃないですか。いっそあの人の代わりだって構いませんよ」
「俺が構うよ」
「でも引く気ないんで諦めてください」
 また胡散臭い微笑みを貼り付けた男の顔が近づいてくる。一応の抵抗で、その顔を押しのけようと伸ばした手は簡単にとらわれて、こぼした溜息を拾うように口付けられた。
「お前がこんな強引な男とは思ってなかった」
「今まで見せてなかっただけですよ。それに多分、間違ってないと思うんで。あなたには少し強引なくらいの相手がお似合いです」
 流されてくれていいですよ。などという言葉に頷けるわけもないけれど、入り込まれてしまったことだけははっきりとわかる。ずっと好きだったのずっとがどれほどの時間かはわからないが、今までお断りしてきた相手とは明らかに違う。
「まいったなぁ」
 こぼれ落ちたつぶやきに、相手は満足気に笑ってみせた。

 
 
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彼の恋が終わる日を待っていた

 高校の部活で知り合った先輩たちとは、大学を卒業して社会人となった今でも年に数回飲みに行く程度の付き合いが続いていて、今日は自分が高校2年の時に部長だった男の結婚式だった。
 花嫁さんのお腹の中には既に新しい命が宿っている。
 アイツが親になるなんてと、うっすら目に涙をためながら感慨深げに呟く隣の席の男は、当時副部長を務めていた新郎の親友だ。自分はこの隣の男が、ずっと新郎を想っていた事を知っている。
 応援する気などは一切なかったが、もし仮に二人の仲が友情をこえて発展したら祝ってやろう程度の思いはあった。二人とも、自分の人生においてかなりの影響を与えてくれた大事な先輩たちだからだ。
 ただ、その想いを知っている、ということすら口にしたことはない。
 一歩引いて、無関係を装って、そして機会を窺っていたのだ。二人が付き合うのなら笑ってお幸せにと言える立場を保持しつつ、内心は今日のような日を待ちわびていた。副部長だった彼はモテるくせにのらりくらりと彼女も作らず、かといって他の男と付き合うようなこともせず、そのくせ想いを遂げようとする様子もなくずっと一途に親友を演じていたから、いつかこんな日がくる可能性は高いだろうとも思っていた。

 二次会を終えた帰り際、もう1軒行きませんかと誘えば、副部長だった彼はあっさり了承する。他にも数名、同じ部活のメンバーが披露宴から参加していたが、既に家庭があったり翌日も仕事だとかで帰って行った。もちろん、そうなるだろうことは見越して誘った。
 その辺の店に入ろうとするのを阻止して、行ってみたかった店があると事前調べの雰囲気の良い個室居酒屋に連れ込み、軽いつまみと酒を頼む。ここには居ない本日の主役を祝いながらグラスを合わせれば、目の前に座った男はまた、アイツも父親になるんだなぁと呟く。
「羨ましいですか?」
「いや、羨ましいってより、純粋な感動と不安かな。だってアレが人の親とか、想像できなくて」
 部長はなかなか破天荒な男で、そんな彼をなんだかんだサポートしてきたのが目の前の男なのだから、わからないこともない。自分は高校で知り合ったが、二人は小学校からの付き合いだというし、アイツは子供の頃から変わらないというのがこの男の口癖だから、付き合いの長さの分だけ不安にもなるんだろう。
「そうじゃなくて。花嫁さんが、羨ましくはないですか?」
「は? なんで?」
 明らかな動揺に、畳み掛けるように言葉を続ける。
「部長のこと、ずっと好きでしたよね? 告白しようとは思わなかったんですか?」
「いやお前、いきなり何言いだして……」
「ずっと気になってたんですよ。部長が人の旦那になったんで、そろそろ言ってもいいかと思っただけです」
「わかんねーよ。なんで、今なんだよ。それに、アイツは腐れ縁の親友だけど、それ以上でもそれ以下でもねぇよ」
「腐れ縁の親友も、何かの拍子に恋人に進展するかもしれないじゃないですか。幼なじみの定番ですよ」
「男女の話だろ、それ」
「それだって一緒ですって。何かの拍子に同性でも恋人になるかも知れないじゃないですか。しかも片方が既に恋をしている状態なら尚更」
 男はグッと言葉に詰まる。恋などしていないと否定することはしないらしい。それとも今まで一切触れたことのない話題を投げかけたせいで、動揺してそこまで思考が巡っていないだけだろうか。その可能性が高そうだ。
「だからあなた達の関係がはっきりするまで待ってたんですよ。知られたくなかったし」
「何、を?」
「俺が、あなたの気持ちに気づいてること。それと、俺があなたを好きなこと」
「えっ……」
 さすがに予想外過ぎたようで呆然となる男に、出来る限り柔らかに笑ってみせる。
「ずっと好きでしたよ、先輩。だから、そろそろ俺のものになりませんか?」
 もちろん、嫌だと言っても逃してやる気は毛頭ないけれど。

続きました→

 
 
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