罰ゲームなんかじゃなくて2(終)

1話戻る→

 まぁ男同士だし、好きって思って告白したんだから嫌悪やらはないものの、そこまで行為に積極的な興味はなくて、でもせめて、あの笑顔は見せて欲しいなと思う。二人きりと言っても、こちらの友人がいない状態を二人きりと称しているだけで、実際は周りにたくさんの他人がいるわけで、その状態では無理なのかなとも思うんだけど。
 だって、あの笑顔を見たとき、そこに居たのは野良猫一匹だけだったから。
 今度、空き時間にあの場所へ二人で行ってみようか。そういや、なんで好きになったのか、なんて話はしたことがなかった。
 これはちょっといい案かも知れない。
「ねぇ、このあとだけど、もうちょっと時間ある? ちょっと行きたいとこあるんだけど」
 思い立ったが吉日とばかりに切り出せば、向かいで本日のA定食を食べていた相手が、質問とはまったく関係のない答えを返してきた。
「今日で1ヶ月経ったけど」
「ああ、うん。え、もしかしてお祝いとかしたい系?」
 言われてみれば確かに、あの告白から今日で一月経過している。ちょうど学食に居るし、何かデザートでも買って来たほうがいいだろうか。
 なんて思った矢先。
「これ、いつまで続ければ満足なの?」
「は?」
「もしかして、期限とか決めずに始めたの?」
「は? え? そんなの決めて恋人するほうが珍しくない?」
「そりゃ普通の恋人はそうかもだけど、俺達は違うでしょ」
「え、なんで?」
「なんで、って……罰ゲームみたいなもんじゃないの?」
「は? はぁあ?」
 あまりに驚いたせいか、相手もなんだかバツが悪そうな顔になりながらも、いつネタバラシがあるのか待ってるんだけど、と続けた。
「こっち来る前、そっちでなんかすごい盛り上がってたし、やたら怖い顔して近づいてきたと思ったら、好きです付き合ってください、なんて言い出すから、何か掛けでもしてて、負けた罰ゲームで言わされたんだと思ったし、巻き込まれた腹いせに困らせてやろうとして、いいよって言ったのに、なんか、いつまでも終わる気配がなくて……」
 ああ、なるほど。やけにあっさりOKされたと思ったが、そんなことを考えていたとは。
 こちらの好意はどうやら、一欠片だって相手には伝わっていなかった。
「俺は終わる気ないけど、ネタバラシが必要なのはわかったから、このあと、ちょっと付き合って」
 あの場所へ二人で行ってみようと思いついた後で良かったなと思う。
 相手が食べ終わるのを若干急かしながら待って、相手の都合は聞かないまま、やや強引にあの場所へと連れて行く。脇道からそれようとした時にはさすがに少し抵抗されたから、その手を取って有無を言わさず引っ張っていった。
「こんなとこ連れてきて何する気? もしかして、怒った?」
 人気のない建物の裏手に連れ込まれ、相手は少し怯えているようだ。
「ここでさ、猫なでて笑ってた記憶、ない?」
 数ヶ月前の話だと言えば、思い当たることがあったらしい。
「ああ、うん。そういえばそんなこともあった、かも」
「俺、あのとき、猫相手に笑ってる顔が忘れられなくて、お前のこと気にするようになって、気づいたら惚れてたっつうか、どんどん好きになってて、あいつらがあの日やたら盛り上がって騒いでたのも、俺が怖い顔してたのも、俺がお前に玉砕覚悟の告白する気になったからで、罰ゲームとかなんもない。だから俺はOKされて普通の恋人になったつもりでいたし、1ヶ月経ったから終わり、なんて気もないんだけど」
 でも罰ゲームに嫌がらせで付き合っていただけなら、相手はもう、別れたいと思っているだろうか。なんていうのは、多分杞憂だ。
 完全な二人きりが功を奏しているのか、随分とまとう気配が穏やかで、安堵の表情を浮かべる表情もいつもに比べて随分と柔らかい。
「ねぇ、俺のこと、1ヶ月付き合って、ちょっとは好きになってくれてる?」
「それ、わかってて聞いてるだろ」
「うん。だって嬉しくて」
 えへへと笑えば、つられたように相手もクスリと笑う。あの日見た柔らかな笑顔に似ていた。
 キスがしたいなと思ってしまって、内心苦笑を噛みしめる。恋人らしいことが何もなくたって、せめて笑ってもらえれば満足するかと思ったけれど、そんなことは全然なかった。

<終>

さ~て、今週の有坂レイにぴったりのBLシチュエーションは~?
1.賭けに負けて
2.同級生
3.好きすぎて止まらない
の三本です!!
来週もお楽しみに~!
https://shindanmaker.com/562913

 
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罰ゲームなんかじゃなくて1

 同じ学部学科の同級生であるそいつとは、必修科目で顔を見る程度の仲でしかなく、かろうじて名前はわかっているが、多分向こうはこっちの名前も把握してないんじゃないかと思う。
 大学の敷地はそこそこの広さがあるし、いくつも並ぶ校舎の脇道ですらない建物の影にいたそいつに気づいたのは、休講を忘れて早く来すぎてしまい、時間を持て余して一人きりで構内散策をしていたことが大きいと思う。
 耳は割と良い方で、話し声が聞こえて近寄ってみたら、そいつが入り込んだ野良猫を構って笑っていたのだ。
 猫に向かって柔らかに笑う顔を見て、そんなふうに笑うんだと初めて知った。だってあまり人とつるむ気がないようで、誰かと話してる姿すら滅多に見かけないし、その時には笑顔なんて見せてなかったから、無愛想なイメージしか持っていなかった。
 そこで声を掛けてしまえば良かったのかも知れない。けれど多分相手は一人で行動するのが好きで、今ここに自分が踏み込んだら、せっかくの猫との時間を邪魔してしまうだけだろう。
 結局相手が猫と別れるまで見守ってしまった上に、自分がいる方向とは別方向に去っていったから、見てたということすら知られないままその時間は終わった。
 気づかれなかったのに、その直後の講義で同じ教室内に相手の姿を見つけて、なんだかソワソワしてしまったし、あの光景が忘れられなくて時々あの場所を覗くようにもなってしまったけれど、その後同じ光景に出会えたことはない。あの野良猫とすらあれっきりだし、夢でも見てたと忘れられたなら、良かったのに。
 しばらくして、そんなにあいつが気になるのかと、普段つるんでいる友人たちの一人に聞かれた。普段つるんでいる連中には、相手を意識しているのが丸わかりらしい。
 あの日のことは誰にも話していないし、なんとなく教えたくもなくて曖昧に濁していたら、からかい混じりに惚れただの何だの言われるようになって、そう言われ続けると、なんだか本当に相手を好きな気がしてくるから怖い。
 あの笑顔をもう一度みたいとか、できれば自分に向けて笑ってほしいとか。それってつまり、相手からの好意を欲しているってことで、好きってよりは好きになって欲しい方向だとは思うものの、あれをきっかけに相手に惚れてしまったのだと思えないこともない。
 なんてことをぐるぐると考えて、思い込みとも言える想いをバカみたいにつのらせて、相手も一緒の必修科目に身が入らないというやばい状況になり、いっそ玉砕してこいと周りに囃し立てられるまま、講義終わりに呼び止めて告白した。
 さすがに驚いたみたいで目を瞠ってまじまじと見つめ返されたのが印象的で、それすら、珍しいものを見たと思って食い入るように見つめ返してしまう。
 それに対して嫌そうに眉を寄せたから、絶対に断られると思ったのに。というよりも、そもそもが玉砕覚悟の突撃だったのに。
「わかった。いいよ」
「え?」
「おつきあい、してみても」
「え、え、まじで? いいの? じゃあ、じゃあっ、とりあえず連絡先交換しよっ」
 まったく熱のないそっけない対応ではあったが、OKされたのには違いなく、食い気味に連絡先の交換を持ちかければ、やっぱり引かれ気味ではあったものの、渋られることなく教えてくれた。
 やっぱり人とつるむのはあまり好きではないらしく、こちらの友人たちの中に引き入れるのは失敗したけれど、こちらが友人と離れて彼の隣で講義を受けることや、友人たちとは離れた席での学食利用などは出来るようになって、ポツポツとではあるが相手のことを教えてもらって、最初のうちはひたすら毎日が楽しくて仕方がなかった。
 でも友人たちに指摘されるまでもなく、恋人らしい進展はなにもない。構内で二人で過ごすことはあっても、休日に一緒にでかけたことすらないのだから、正直言えば未だ友人以下の関係だった。

続きました→

 
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友人の友人の友人からの恋人2(終)

1話戻る→

 どうにか彼とキスできる関係になれないかと考えた結果、彼を合コンに誘ってみた。ファーストキスを男なんかにと思っているなら、女の子相手にファーストキスを済ませてもらえばいいのだ。こっちはキスどころかセックスだって経験済みなのだから、貰えたら嬉しいだろうとは思うが、なにがなんでも彼のファーストキスが欲しいと思っているわけじゃない。
 ただ、女の子の扱いを学んだところで実践と行こう。という言葉をまるっと信じて、あっさり参加を了承したあたり、本当にチョロくて不安になる。こちらの思惑通りにすんなり進むから楽でいいんだけど。
 そしてベタだけれども仕込み有りの王様ゲームをして、女の子相手のキスを経験してもらった。ファーストキスに夢見てるらしいからちょっと可愛そうかなとは思ったけれど、女の子とってのは叶えてあげたのだから許して欲しい。
 なお、照れまくって動揺して挙動不審になってた姿はたいへん可愛らしかった。けれど、ゲーム終了後、逃げるようにトイレに立った彼の顔はなんだか泣きそうだ。
 慌てて追いかけたトイレで、彼はゴシゴシと唇を擦り洗っていたから、さすがに罪悪感で胸が痛む。
「えっと、ごめん、ね」
「なんで謝るの」
「合コン連れてきたの俺だし、王様ゲーム提案したのも俺だし、あの命令した王様は俺じゃないけど、一緒になって囃し立てはしたから」
 そしてこれは言えないけど、そのキスを仕組んだのが自分だからだ。
「こんなのでもなきゃ、女の子とキスできる機会なんてないんだから、むしろラッキーだったよ」
 どうにか笑ってみせる顔が痛々しくて、ますます胸が締め付けられる。いやこれホントに、結構失敗しかもしれない。こんなショックを与えるつもりじゃなかった。
「本気でそう思ってないでしょ。ファーストキス、好きな子としたかったよね。ごめんね。止められなくて」
 言えば瞳にぶわっと涙が盛り上がる。ああ、とうとう泣かせてしまった。
「悪いのお前じゃない。自業自得、なんだ」
 全く意味がわからない。俯き涙を拭う相手に、どういう意味かと尋ねてしまうのは仕方がない。
「キス、好きな子と、しとけばよかった」
「は? え? 好きな子いたの?」
 初耳なんだけどと続いた声は、嫉妬と焦燥にまみれて、自分でも驚くくらい低く重く響いてしまった。
「ファーストキス、もったいぶらずに、さっさとお前にあげとけば、良かった」
「はぁああ? えっ、ちょっ、俺ぇ!?」
 あまりの衝撃に素っ頓狂な声を上げてしまったが、相手は俯いたまま肯定を示すように頷いている。
 ああこれ、本当に、失敗した。いつから彼の気持ちは自分に向かって居たんだろう。それに気付けず、貰えたかも知れない彼のファーストキスを、自らそこらの女に渡してしまった。あまりの自業自得さに、一緒に泣きたいくらいだ。
「ねぇそれ、本気にするけど。俺と、恋人になってくれるの?」
 確かめるように告げた言葉にもやはり頷かれたから、少し開いていた距離を詰めて相手の手を取った。
「なら、一緒に抜け出しちゃおうか」
 さすがにこんなトイレで彼との初キスを済ます気はない。というか王様ゲームのキスなんてノーカンってことに出来そうなくらい、ちょっとロマンチックな演出決めつつキスしたい。
 どこに連れていけば可能かと必死で脳内フル回転しながらも引いた腕に、彼はおとなしくついてくる。チラリと伺う背後の彼は、泣いた目も目元も頬も、耳までもが赤い。
 ようやく捕まえた恋人が、可愛すぎてたまらない。

 
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友人の友人の友人からの恋人1

女装して出歩いたら知り合いにホテルに連れ込まれたの続きです。視点は相手側。

 知り合った当初、その子は友人の友人の友人、くらいの距離に居た。見た目がかなり好みだったから、距離を詰めて友人になるか、男も行けそうなら口説いて恋人にしたいと、かなり初期段階で思っていた。しかし人見知りなのかシャイなのか、元々の友人には笑顔だって見せるのに、なかなか打ち解けてくれる気配がなかった。
 そんな子と偶然街中で出会って、チャンスとばかりに声を掛けたら、特に嫌がることなくお茶を一緒してくれた。彼はその時、大変可愛らしい女装姿だったから、ここぞとばかりに可愛いと繰り返した。男に可愛いは禁句というか嫌がられることも多いけれど、女装子なら可愛いは間違いなく褒め言葉になるだろう。
 ただの女装子で男は対象外という可能性もあったが、もしかしたらの可能性にかけて口説きまくれば、少々躊躇いを見せつつもラブホテルにまでついてくる。これはもう、よほど体の相性が悪くない限りこのままお付き合い開始もありえるというか、ぶっちゃけその時点で、交際スタートしたな、くらいの気持ちになっていた。さすがに、男も有りの子だとこんな形で知ることになるとは思っていなかったが、今日の出会いに乾杯、ってくらい浮かれていたし、なんてラッキーなんだろうと思っていた。なのに。
 ラブホの部屋に入ってから、キスも未経験の童貞を拗らせまくった結果の女装で、好奇心でラブホについてきていて、つまり男の自分相手にセックスなんて欠片も考えていなくて、それどころかキスすら嫌だと思われている事実が発覚した。完全に騙されていた。
 正直、未経験の真っ更な体に突っ込むのは無理にしても、言いくるめて手コキかフェラくらいは行けるのでは、と思う気持ちもなくはなかった。だって既にラブホの部屋の中にいたのだ。でも、ファーストキスが男なんてマジ勘弁と、必死に言い募る半泣きの顔に、ラブホまで付いてきて今更何言ってるのとは言えなかった。
 だから代わりに、連絡先を交換しあって、友人の友人の友人って関係から友人になった。
 それ以降、たまに女装姿の彼とデートをしている。彼女いない歴=年齢の非モテ童貞と自分を卑下する彼に、じゃあ女性のスマートな扱い方を教えてあげるから、自分の身でもって体感すればいいよと言った結果だ。まさかそれで本当に女装姿でデートしてくれるようになるとは思わなかった。
 ちなみに、女装子とそういう仲だったことはあるにはあるし、女性の友人だってそれなりにいるが、彼女が居たという過去はない。性愛対象はずっと男だけだからだ。でも聞かれてないから、その事実は告げてない。
 割とはっきり君狙いだよって言ってる男を、そんな簡単に信じちゃダメだよ。なんてことも、もちろん思うだけで口に出して言ったことはない。
 ちょっとチョロすぎて心配になるし、彼のことを知るほどに見た目だけじゃない素直な可愛さに気付かされる。ああもう、ほんと、早く落としたい。
 ただ、一度ラブホまで連れ込んで押し倒しかけたからか、ガードはそれなりに固かった。手を握ったり腰を抱き寄せたりを拒むことはないが、雰囲気を作って顔を覗き込むと途端に警戒されてしまう。ファーストキスを奪われてたまるか、みたいな気持ちが透けて見えるのが、これまた結構可愛いかったりする。
 ガードは固くとも隙だらけだからキスなんて奪おうと思えば簡単に奪えてしまうんだけど、その結果、彼に悲しまれたり嫌われたりするのが嫌で手が出せない。でもそろそろキスくらいは出来るようになりたい。

続きました→

 
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兄弟ごっこを終わりにした夜

兄弟ごっこを終わりにした日の続きです

 十八の誕生日に告白すると決めていたらしい弟は、告白後は積極的に関係を深めていくとも決めていたらしい。
 もうじゅうぶん待ったからという彼の言い分もわからなくはない。ただ、いつかは兄弟という一線を超えるだろう予感は随分前からあったものの、それはもう少し先だと思っていたし、恋人という立場を得て一気に距離を詰めてこようとする相手に、こちらは思いっきり圧倒された上に尻込みしていた。
 十八を超えたとは言え、高校生相手に、しかも半分は血が繋がっている弟相手に、彼の保護者である自分が手を出していいものか、という躊躇いはどうしたって大きい。
 だから本当なら、枕片手に一緒に寝たいと押しかけてきた弟を、部屋に迎え入れてはいけない。追い返すべきなんだろうと頭ではわかっていた。
「恋人になったんだから、これからは毎日一緒に寝て。とまで言わないから、休みの前の日くらい、いいだろ」
「お前は俺の理性を試したいの?」
「そうだよ。だから、その気になったらぜひ襲って」
「そういうのはまだダメって、昼間も言ったろ」
 昼間、ねだられて、軽く触れるだけのキスは与えた。相手は不満そうだったけれど、互いの口内を探り合うようなキスをしてしまったら、理性が持ちそうにないからとそれ以上は許さなかった。その時にも一度、話はしたのだ。
 恋人になったからって、即セックスまでする関係にはなれないよと、こちらの気持ちも事情も話して聞かせた。したい気持ちがないわけじゃないことも教えて、あんまり煽るなよって、言ったはずなんだけど。
「それは聞いたけど。でも恋人になったんだって思えるようなこと、もっとしたい」
 そういう気持ちはないのかと問いたげな視線に、ないわけないだろと思いながらも口には出さず、代りに諦めるみたいな溜め息を一つ。
「わかった。いいよ。一緒に寝よう」
 やったと零しながら小さくガッツポーズを決める相手の子供っぽさに、どこかホッとしてしまうのは、相手のことをまだまだ子供だと思うことで、自分の中の理性を支えたいからなのかも知れない。
 結局、寝るまででいいから手を繋いでというお願いも聞き入れて、並んでベッドに横になりながら手を握る。子供の手じゃないけれど子供みたいな体温に、また少しホッとしながら、さっさと寝てしまえと目を閉じた。
 頭をもたげかける欲望は封じ込めて、何でもない振りをして、むりやり意識を眠りへと落としていく。

 擽ったいような心地よいようなふわふわした気持ちと、妙な暑さと息苦しさに意識が浮上する。
「ぁ……っ……んっ……」
 最初、それが自分の口からこぼれているとは、わからなかった。そもそも、今夜は一人で寝ていたわけじゃないことすら、すぐには思い出せなかった。
 だんだんと寝る直前のやりとりを思い出して、寝ている自分の体を彼がまさぐっているのだと言うことに気づいた途端、一気に覚醒する。
 相手の手を払い除けて、勢いよく上体を起こし、思いっきり睨みつけてやる。とはいっても部屋の中は暗いので、こちらの怒りは伝わっていないだろう。自分だって、相手もこちらへ顔を向けている程度のことはわかるものの、さすがにその表情まではわからないから、彼が今どんな感情を抱いているかなんてわからない。
「どういうつもりだ?」
 仕方なく言葉で彼に問いかける。
「性感開発?」
「は?」
「起こすつもりはなかったんだけど、加減がわからなくて。気持ち良く寝てたとこ、起こしたことは、ゴメン」
「してたことに対する謝罪はないの? てか性感開発っつった?」
「性感開発って言ったし、それへの謝罪はない、かな」
「なんで!?」
「だって初めてする時、少しでもキモチイイ方がいいと思って」
 いつかはする気があるんだろと続いた言葉に違和感が拭えない。
「というのは建前で、あんまりあどけない寝顔晒されて、ちょっとこっちの理性が飛んだ」
 彼は間違いなく日本語を話しているのに、何を言われているのかやっぱり良くわからなかった。
「わかってないな」
 同じように相手も上体を起こしたかと思うと、ぐっと顔を寄せてくる。酷く真剣な顔に覗き込まれてのけぞれば、肩を押されてそのままベッドに仰向けに倒れ込む。焦るばっかりで何が起きたのか理解が追いつかないのに、相手はやっぱりまた間近にこちらを見下ろしている。
「高校生の弟に手を出すの躊躇うってなら、俺が襲うのもありだよなって、話」
「は?」
「自分が抱かれる側になる可能性、考えたことなかったろ。でも俺も男なんで、十も年上の男でも、血のつながる兄でも、好きな相手を抱きたいって気持ちもそれなりにある」
「ええっ!?」
「抱く気で居るみたいだったから、それなら抱かれる側でいいと思ってたけど、思ったより理性強そうで簡単には誘われてくれないのわかったから、待てないし、抱きたい気持ちだってあるわけだし、じゃあ体から落としてくのもありかなと」
 気持ちよさそうな声上げてたし素質ありそう、だなんて言葉、もちろん受け止められるわけがない。待て待て待てと騒いでも、いっこうに体の上からどいてくれない相手の重みに、焦りばかりが加速していく。

有坂レイへの3つの恋のお題:あどけない寝顔/はじけとんだ理性/何でもない振りをして
https://shindanmaker.com/12556

 
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HOME/1話完結作品/コネタ・短編 続き物/CHATNOVEL/ビガぱら短編/シリーズ物一覧/非18禁

18歳未満の方へ

一部18禁ブログと言いながら、18禁作品とそうでない作品をそのまま雑多に並べてあり、18歳に満たない方たちへの配慮がまるでない作りだったことを反省し、このページを作りました。
ここに私基準ではありますが、これは18禁ではないだろうと思われる作品へのリンクを並べますので、18歳を過ぎるまではこのページに載った作品のみ楽しんでいただければと思います。
9/27 1話完結作品に5作追加。小ネタ・短編に2作(計4話)追加。

<1話完結作品> *右下に行くほど古い作品
捨て猫の世話する不良にギャップ萌え、なんだろうか  ずっと子供でいたかった  親父のものだと思ってた  離婚済みとか聞いてない  初恋はきっと終わらない  今更エイプリルフールなんて  好きって言っていいんだろ?  カレーパン交換  ツイッタ分(2020年-2)  ツイッタ分(2020年-1)  あの日の自分にもう一度  ツイッタ分(2019)  禁足地のケモノ  お隣さんが気になって  間違ってAV借りた  ツイッタ分(2018)  結婚したい相手はお前  ときめく呪い  昔と違うくすぐり合戦  兄が俺に抱かれたいのかも知れない  ただいまって言い続けたい  親友に彼女が出来た結果  週刊創作お題 新入生・再会  60分勝負 同居・灰・お仕置き  いくつの嘘を吐いたでしょう  ヘッダー用SS  出張に行くとゴムが減る  ゴムの数がオカシイ   チョコ味ローション買ったんだって  なんと恋人(男)が妹に!?  卒業祝い  120分勝負 うっかり・君のそこが好き・紅  バレンタインに彼氏がTENGAをくれるらしい  青天の霹靂  初めて抱いた日から1年  叶う恋なんて一つもない  墓には持ち込めなかった  呼ぶ名前  酒に酔った勢いで  思い出の玩具  兄の彼氏を奪うことになった  俺を好きだと言うくせに  夕方のカラオケで振られた君と  死にかけるとセックスがしたくなるらしい  草むらでキス/戸惑った表情/抱きしめる/自分からしようと思ったら奪われた  ハロウィンがしたかった  引っ越しの決まったお隣さんが親友から恋人になった  戸惑った表情/拘束具/同意のキス  夕方の廃ビルで


<コネタ・短編> *下に行くほど古い作品

感謝しかないので → 酔っ払いの戯言と笑い飛ばせなかった
義理父子。息子視点片想い話と、父視点告白され話。
罰ゲームなんかじゃなくて1 → 罰ゲームなんかじゃなくて2
周りの友人に囃し立てられながら告白したら、罰ゲームと思われてOKされてた話。
勝負パンツ1 → 勝負パンツ2 → 勝負パンツ3
遠距離恋愛中の恋人に、勝負パンツならこういうの穿いてと言ったら、本当にフリルのパンツを穿いてきてくれた話。
彼女が出来たつもりでいた1 → 彼女が出来たつもりでいた2 → 彼女が出来たつもりでいた3 → 彼女が出来たつもりでいた4(終)
社会人(視点の主)と大学生。彼女だと思ってた相手が女装男子だった話。
何も覚えてない、ってことにしたかった1 → 何も覚えてない、ってことにしたかった2(終)
会社の後輩×先輩(視点の主)。酔って何も覚えてないってことにしたかったけど、後輩が意外と色々覚えてたから逃げられなかった話。
女装して出歩いたら知り合いにホテルに連れ込まれた → 友人の友人の友人からの恋人1 → 友人の友人の友人からの恋人2(終)
童貞拗らせて女装してみた受とそれをナンパした知り合いな攻。2話目からは視点が変わります。
兄弟ごっこを終わりにした日 → 兄弟ごっこを終わりにした夜
10歳違いの腹違い兄弟。両親死亡で兄が保護者中。弟が18の誕生日に告白してくる話。受攻未定。
ダブルの部屋を予約しました1 → ダブルの部屋を予約しました2 → ダブルの部屋を予約しました3(終)
付き合いの浅い、割と消極的な社会人二人のカップルが、初めて旅行をする話。
フラれた先輩とクリスマスディナー → フラれたのは自業自得1 → フラれたのは自業自得2(終)
大学サークルの先輩後輩の話。1話目後輩視点。2話目から先輩視点。両片想いから恋人になるとこまで。
好きだって気付けよ1 → 好きだって気づけよ2(終)
一卵性双子兄弟で兄視点。弟が自分のふりして自分の彼女と会ってる事に気づいちゃった話。
ベッドの上でファーストキス1 → ベッドの上でファーストキス2(終)
兄弟で弟視点。ベッドに潜り込んでくる兄を意識しちゃう弟と弟が好きな兄の実は両想いだった話。
結婚した姉の代わりに義兄の弟が構ってくれる話1 → 結婚した姉の代わりに義兄の弟が構ってくれる話2(終 
母代わりだった姉が結婚して家に一人になった視点の主を、義兄の弟が構いに来てくれる話。恋愛要素かなり薄い。女装有。
憧れを拗らせた後輩にキスを迫られたので1 → 憧れを拗らせた後輩にキスを迫られたので2(終)
割とタイトル通り。最終的には脳筋な視点の主が後輩に期待させちゃう話。
エイプリルフールの攻防 → エイプリルフールの攻防2 → エイプリルフールの攻防3 → エイプリルフールの攻防4(終)
4月1日だけ好きって言ってくる普段は仲の悪い相手に惚れちゃった話。
太らせてから頂きます → 太らせてから頂きます2(終
大学の先輩後輩。いっぱいご飯奢られてたけど、先輩が太らせたかったのは体じゃなくて心だったって話。
常連さんが風邪を引いたようなので1 → 常連さんが風邪を引いたようなので2 → 常連さんが風邪を引いたようなので3
飲食店店員とリーマンで3つのお題に挑戦。気になる常連さんが風邪を引いたのをキッカケに恋人になる話。
雄っぱいでもイケる気になる自称ノンケ1 → 雄っぱいでもイケる気になる自称ノンケ2(終)
高校の先輩後輩。おっぱい星人な先輩が筋トレマニアな後輩の雄っぱいが忘れられなくなる話。
寝ぼけてキスをした → キスしたい、キスしたい、キスしたい → あと少しこのままで 
大学生とその従兄弟。年の差14。従兄弟の家に同居中、寝ぼけた従兄弟にキスされて意識するようになる話。意識してるけど恋にすらなってない、めちゃくちゃ中途半端な所で終わってます。
彼の恋が終わる日を待っていた → 告白してきた後輩の諦めが悪くて困る
高校時代の部活の先輩後輩関係。現在は社会人。後輩→先輩(元副部長)→先輩の幼なじみで親友(元部長) 元部長が結婚したので、後輩が先輩を落としにかかる話。


<シリーズ物> *下に行くほど古い作品
オメガバースごっこ(全17話)
キャラ名なし。「ここがオメガバースの世界なら」続編。双方が両想いに気づくこと・ヒート(発情期)・巣作りの3つを消化したかっただけ。
ここがオメガバースの世界なら(全16話)
キャラ名なし。隣に住む同じ年の幼馴染で高校生。受けは腐男子。もしオメガバースの世界なら自分たちは番。と認識した後、恋人になるまでの話。
俺が本当に好きな方(全6話+番外編1話)
高校生の祐希が親友の隆史とその弟悟史の間で揺れ動く三角関係。隆史と恋人エンド。
あの日の自分にもう一度(全8話)
もう一度女装がしたい大学生の春野紘汰(視点の主)と、その友人でメイクが出来る今田龍則。「理想の女の子を作る遊び」という秘密を共有する仲へ。
兄の親友で親友の兄(全12話)
キャラ名なし。兄を好きな兄の親友かつ親友の兄でもある男に相互代理セックスの誘いを掛けた結果、最終的には両想いの恋人になる話。

 
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