イケメン相手にこんな関係になる予定はなかった15

1話戻る→   目次へ→

「なんで?」
「だって横向きに寝た状態で射精するのが難しいってだけでしょ」
「そ、だけど」
 今日は時間かけてしたいから、と言われて、また少し胸の奥が痛い。イチャイチャしたいなんて言い出したのは、なるべく終わりを引き伸ばしたいからだったっけ。少しでも終わりを引き伸ばすために、わざと苦手な体勢で触れようとしているらしい。
 バカみたいだと思ったけれど、バカジャネーノとは言わなかった。言葉の代わりに小さく息を吐いて、相手の手が伸びてくるのを黙って待った。
 次はどうのと言い募っていたから、また胸を弄られるのかと思っていたが、相手の手が触れてきたのは、身を丸めて相手の手から逃れているうちに若干萎えて、半端な反応を示している股間のペニスだ。
「っふ……ぁ……」
 慣れた刺激に安堵とともに甘い息がこぼれ落ちる。両手を使って、柔く陰嚢を揉まれながら竿部分を緩やかに扱かれれば、あっという間にしっかりとした硬さを取り戻した。
 ふっ、と微かな息が相手の口からも漏れて、どうやら相手の方も、いつもと変わらぬ反応に多少なりとも安堵しているようだ。
 相手の手はそのまま緩やかに股間を揉み扱き続けている。
「ん、なぁ……」
 しっかりと反応した後も焦れったいくらいに柔い刺激ばかりが続いて、とうとう黙っていられなくなった。どう考えたってこの時間を引き伸ばすためなんだろうけれど、ペニスを弄られることには慣れていても、こんな風に焦らされるのは初めてでどうにも戸惑っていた。
「いや? 気持ちはイイ、よね?」
「そりゃ悪くはない、けど」
「焦れったい?」
「ん、まぁ」
「じゃあ、我慢できなくなったら言って」
「は?」
「イキたくてたまらなくなったら、いつもみたいに、さっさとイカせろって言ってよ」
「や、それは……」
 こんな触られ方でイキたくてたまらなくなるまで焦らされるってことだろうか。というかこの触られ方で、そんな状態にまでなれるのかがそもそも疑わしいんだけど。てか無理そうなんだけど。
「つーかローションは? ローション使ってやるんじゃなかったのかよ」
「それもしたいけど、でも使ったらすぐイキたくなっちゃうでしょ」
「そ、だけど。でも、……あー……や、わか、った」
 こんな触り方でイキたくてたまらないほど焦れるかは、この際どうでも良いのかも知れない。相手がこの触り方に飽きたり満足できるまで、こちらは与えられるままぬるい快楽に浸っていればいいだけなんだから。
「何がわかったの?」
「好きにしろよ、ってだけ。最後だから、時間かけてしたいんだろ」
「ありがと」
 さらりと告げられた言葉も、相手の目的が触れ合う時間を長引かせるためだと肯定している。
「でもさすがに、これだけじゃ刺激足りないよね」
 俺は飽きないけど飽きられそう、なんて小さく笑った相手の顔がすすっと胸元に寄っていく。
「えっ、ぁ、」
 相手の熱い息が乳首の先に掛かっただけでゾワッと肌が粟立つのがわかる。
「ぁひっ」
 慌てて身を引こうとしたが、それよりも早く相手の唇がチュと乳首に吸い付いてきて、たまらず小さな悲鳴を上げた。

続きました→

 
 
*ポチッと応援よろしくお願いします*
にほんブログ村 BL短編小説/人気ブログランキング/B L ♂ U N I O N/■BL♂GARDEN■


HOME/1話完結作品/コネタ・短編 続き物/CHATNOVEL/ビガぱら短編/シリーズ物一覧/非18禁

イケメン相手にこんな関係になる予定はなかった14

1話戻る→   目次へ→

「あれ?」
 呆気にとられたような、不思議そうな声が聞こえてきたから、相手は本気で気持ちいいと思っていたのかも知れない。
「ごめっ、てっきり気持ちいいんだと思って」
 ほらな。と思いながら、口からはバカジャネーノとこぼしておく。
「本当にごめん。えっと、強く弄りすぎた? かな?」
 そうだとも違うとも返さなかったが、沈黙は肯定と捉えられたらしく、次は気をつけるから許してと優しく背中を撫でられた。
 次ってことはまだ弄る気でいるのか。あれだけ反応してたらそりゃそうか。自分が責める側だったって、じゃあもう触らないとはならないし、触り方が悪かったんだと思うだろう。
 でもそれを、される側として、わかったとは言い難い。次はちゃんと気持ちよくなるように触って、なんて言えるわけがない。というか乳首を弄られて気持ちよくなりたいわけじゃない。むしろ、そんなところで感じる体になんてなりたくない。
 けれど、胸弄るのもなしで、を相手が了承するとは思えないのが難しい。だって、すでに尻穴に触れないことは了承させている。それに触られてゾワゾワするところは他にもあって、触られ方によってはそっちだって強く反応する可能性はある。そうなるたびにそれ以上そこ触るの禁止、なんて言えるはずがなかった。
 それに今日のこれで最後なんだから、あれこれ嫌だダメだと険悪な態度を取りたくない。相手のしょぼくれる顔を見たくない。
 それを考えただけで胸の奥が嫌な感じに少し痛くなるくらいには、相手に満足げな顔をさせて終わりたい気持ちがある。なんせずっと、相手に任せるまま気持ちのいい思いをしてきたのは自分なんだから。嫌われるのを恐れる相手の気持ちにはなんとなく気づいていて、本気で嫌がるようなことはしてこないだろうと、甘えると言うか、相手の気持にあぐらをかいていた部分は間違いなくある。すでに尻穴は守られているのだから、最後くらい、相手がしたいことをなるべくさせてやりたい。
 だとしたら、感じたくないなんて言ってる場合ではないんだろうけど。でもやっぱり、触られたら感じて当然のペニス以外で、こいつの手や唇に触れられ、気持ちがいいと感じるのは怖かった。
「う、っわ、えっ、なに?」
 急に両肩を掴まれて、ぐっと後ろに引き起こされた。と思ったら、そのままの勢いで後方に倒れされる。
「俺の声、聞こえてた?」
 頭の先からにゅっと顔を出してきた相手は、不満げと言うよりは不安げだ。
「いちおう」
 ごめんと何度も繰り返して、怒ってるのかとか、もっと優しくするから機嫌を治してとか、あれこれ言い募っていたのは、一応耳に届いていた。宥めるように背をさする手の外、途中からは何度も唇が落ちていたことも、一応認識は出来ていた。
「もしかして、もう止めたい、みたいなこと、考えてたりする?」
「そこまでは、思ってない」
「じゃあどこまで思ったの?」
「あー……」
 お前に感じさせられるのが怖いと、正直に言うのを躊躇った。なんでと追求されるのが面倒くさいというか、うまく説明できそうにない。それに、俺が感じるようなことするのはなしで、なんて言い出したら、最後にイチャイチャしたいを許可した意味が、根底から崩れてしまうのがわかっている。
「お前に触られるのが嫌なわけじゃなくて」
「うん」
「でも、慣れてないから、自分の反応に戸惑うっていうか、どうしていいかわからなくなる」
「そっか」
 ホッとしたような笑顔が近づいて、ちゅっと唇が音を立てたのは額だった。まぁ顔の向き的に、唇は狙いにくかったのだろうことはわかる。
「つづき、いい?」
「うん」
「あ、待って。そのままで」
「え?」
「寝転がってしよう」
 起き上がろうとするのを止められ、すぐさま相手の体が横に転がってくる。

続きました→

 
 
*ポチッと応援よろしくお願いします*
にほんブログ村 BL短編小説/人気ブログランキング/B L ♂ U N I O N/■BL♂GARDEN■


HOME/1話完結作品/コネタ・短編 続き物/CHATNOVEL/ビガぱら短編/シリーズ物一覧/非18禁

イケメン相手にこんな関係になる予定はなかった13

1話戻る→   目次へ→

 軽く触れ合うものから口内を舐められたり舌を吸われるようなものまで、繰り返し何度も唇を塞がれながら、今まで触れられたことのない場所をあちこちと手が這っていく。やがてキスが止んだかと思えば、手が這ったその後を追うように唇が落とされ始めて色々とむず痒い。
 散々勃起ペニスを晒して、握られ扱かれ時には舐められるまでしてきたのだから、それに比べたら全然大したことはされていない。そう思うのにどうにも恥ずかしいのは、相手がこれを「イチャイチャ」なんて表現したせいなんじゃないかと思う。
 抱かせて貰えないなら最後にイチャイチャしておきたい、という相手の言い分を受け入れはしたが、もちろん歓迎はしていないし戸惑いだってある。なんでそんな思い出作りじみた事をしたがるのかという疑問は、結局相手が自分をどう思っているのかを問い質すことに繋がるとわかっていて聞けはしないけれど。
「どっか、気持ちいいとこ、ある?」
 声は背後から聞こえてきた。なぜなら相手に背中を向けているからだ。キスをしながら首や背中や腰を中心に触られた後、向きを変えられて項やら背中やらに唇を落とされながら、今度は胸やら腹やらを触られている。
「っ、ふ、……おしえ、ないっ」
 逃げ出すほどじゃないくすぐったさがあちこちで発生しているが、それらを気持ちいいと呼ぶには快感が足りない。だいたい教えたらそこを集中的に触られるんだろうし、正直それは避けたい気持ちもある。
「ここは?」
 背中から回されている手がゆるっと両胸を覆った。胸の膨らみなど欠片も無いのに、まるでそこに膨らみがあるかのように置かれた手を見てしまったら、まるでそこに膨らみがあるような気がしてくるから恐ろしい。
「どんな感じ?」
「どんな、って……」
 手のひらを撫で付けるように動かされたが動きは緩い。それでも圧を変えながら何度も繰り返されると、だんだんとゾワゾワした感覚が広がっていく。
 手のひらを押し付けられているので、胸の膨らみの錯覚はなくなってしまったが、平らな胸を懸命に撫で擦って快感を与えようとしているその手の動きが視覚的にあまりよろしくない。肌感覚だけでなく、視覚的にもなんだかむず痒くなってしまう。
「乳首、立ってきた」
「いうな、よ」
「だって反応あったら嬉しいじゃん。ちょっとは気持ちぃ?」
 ただの生理反応だと強がるのも、素直に気持ちがいいと答えるのも躊躇って、結果口を噤んでやり過ごす。ついでにのように、相手の手の動きを追ってしまうのは良くないと、ギュッと目を瞑ったのは失敗だった。
「ぁっ……」
 目を閉じたことで感覚が鋭敏になったのがわかる。特に今は胸しか触れられていないから、そこにだけ意識が集中してしまうのも大きい。
「ぁあっっ」
 慌てて目を開けたのと、プチっと膨らんだ両胸の先を相手の指先が押しつぶすのは同時だった。突然の強い刺激と、視覚的なイヤラシさで、まったく抑えられなかった声は大きく響き、ビクリと盛大に肩が跳ねた。
「ぁ、っぁ、っばか、やっ、やめっ」
 確かに派手に反応はしたが、気持ちが良かったとは言い難いのに、相手の指先がしつこく乳首を弄り始めてあっさり息が上がり始める。
「なんで?」
 気持ちいいんじゃないの、と言われながら、とうとう乳首を摘まれた。
「ぁあああ、あっ、あっ、やだぁ」
 軽く引っ張られて指先でクニクニと揉まれると、体の奥をビリビリとした何かが走っていく。さすがに大人しく相手に体を預けてなんか居られなくて、相手の腕ごと払いのける勢いで、逃げるように体を丸めてしまった。

続きました→

 
 
*ポチッと応援よろしくお願いします*
にほんブログ村 BL短編小説/人気ブログランキング/B L ♂ U N I O N/■BL♂GARDEN■


HOME/1話完結作品/コネタ・短編 続き物/CHATNOVEL/ビガぱら短編/シリーズ物一覧/非18禁

イケメン相手にこんな関係になる予定はなかった12

1話戻る→   目次へ→

「うーん、イチャイチャってより、最後だからもっとゆっくり気持ちよくなりたいっていうか、未練なのかな。なるべく終わりを引き伸ばしたいだけ、かも?」
 終わりを引き伸ばしたい、という言葉に、今更ながら最後を強く意識した。卒業後も続ける気はないし、ちゃんと終わる気はあったのに。
 でも、それが今日だなんて欠片も思っていなかった。卒研発表を控えてバタバタしていたのもあるし、卒業まではまだそれなりの日数があるせいだ。
「卒業式、まだ先だろ」
「そうだけど。でももう引っ越しちゃうし」
 連れ込めなくなっちゃうからと言われて頭の中にたくさんの疑問符が浮かんだ。自宅へ戻るのは知っているし、当然引っ越すのだってわかっているが。
「後もう卒業式くらいだから、ここは早めに出て、卒業式は実家から来るつもりなんだよ」
 こちらが理解していないことに気づいて説明を加えてくれたが、なんで、という気持ちばかりが湧いてくる。
「んなの、聞いてない」
「卒研忙しかったし、そういうの話す機会なくて。まさかそこ気にされるとも思ってなかったし。というか、最後はもっと先だと思ってた、ってことかな。驚かしてごめんね?」
 呆然と呟けば、申し訳無さそうに謝られてしまった。
 曖昧な関係を続けていたのはお互い様なのに。自分だって、卒業したら終わるつもりだと、明確に伝えたりはしていなかった。最後をいつにするか、自分から話を振ることだって出来たのに。
「ほんとに、今日が最後、なんだ……」
「うん。そのつもり」
「おれ、の……」
 何を言いかけているんだと、慌てて口を閉じた。ここを引き払っても俺の部屋があるだなんて、口に出せるわけがない。
 自室に呼んだことはあるが、自室でこういった行為をしたことはなかった。というよりも、そういう雰囲気になりかけた時に派手に拒んだせいか、それ以降は部屋に呼んでもそういう雰囲気にはならなかったからだ。多分、気を遣ってそうならないように避けてくれていたんだろう。
 だって自室でそんなことをしてしまったら、部屋に一人でいる時にもあれこれ思い出してしまいそうで嫌だった。自室にこいつとのエロい記憶が結びつくのが怖かった。
 だいたい、俺の部屋があるからって言ったところで、わざわざ時間と交通費とをかけて出向いてくるとも思えない。
 互いにそれなりの好意があるから成立している関係ではあるだろうけれど、明確に友情以上の感情を向けられたことがないのに。恋人になってとも恋愛感情があるとも言われたことがなく、かといってセフレと呼べるような関係でも無い気がするし、結局、なんで自分相手にこんなことを続けているのかもよくわからないままだった。
 まぁ、どうしてするのか、何が楽しくてしてるのか、一度も聞いたことがないせいなんだけど。聞いたら答えてくれたのかすら、確かめずに終わるんだけど。
「どうしたの?」
 何かを言いかけたまま黙り込んだせいで、待ちきれなくなった相手から先を促されてしまったけれど、もちろん言いかけた言葉の続きを言うつもりはないので、軽く首を振ってなんでもないと示す。
「ぃや、もぅいい。わかった、から」
「わかったって何が?」
「今日で最後なんだ、って」
「ごめん、ね?」
「謝る必要ないだろ。最後はもーちょい先だと思ってたから、驚いただけ」
 伸ばした手でくしゃくしゃっと乱雑に頭を撫でてやった。イケメンがションボリすると絆されて、つい余計なことをしてしまうし言ってしまう。
「いーよ。でも、尻穴弄るのはナシな」
 イチャイチャしたいの許可を聞き逃すことなく、相手はありがとうと嬉しそうに笑った。

続きました→

 
 
*ポチッと応援よろしくお願いします*
にほんブログ村 BL短編小説/人気ブログランキング/B L ♂ U N I O N/■BL♂GARDEN■


HOME/1話完結作品/コネタ・短編 続き物/CHATNOVEL/ビガぱら短編/シリーズ物一覧/非18禁

イケメン相手にこんな関係になる予定はなかった11

1話戻る→   目次へ→

 キスなんて慣れた行為ではあるけれど、それでも今日はなんだかやたらと長い。なんでだと、快感と酸欠が混ざって鈍くなった頭で考えてみるが、もちろんわかるはずがなかった。
「しつこくねぇ?」
「そうだね」
 キスの合間にどうにか告げた言葉はあっさり肯定されたけれど、理由は教えて貰えないまま、また唇が塞がれてしまう。
「んぅ、……ん、……ちょっ、と」
 さすがに続けざまに何度も口内を貪られた息苦しさで、相手の胸を押しながら顔を背けた。大きく呼吸を繰り返す間にも、押しのけたはずの相手の顔が寄せられて頬や耳に唇を押し当ててくるから、やっぱりなんだかいつもと違いすぎる。
「おいっ、ちょっ」
 耳朶を食まれてちゅっと吸い付かれると、ぞわぞわとした何かが腰を這う。
「ぁあっ」
 耳裏の付け根にも柔く吸い付かれて、広がるぞわぞわに肌を粟立たせながら声を漏らした。幾分高く跳ね上がった声のトーンが恥ずかしい。
「気持ちぃ?」
「てより、くすぐっ、ぁ、ぁっ、やっ」
「逃げ出したり暴れだすほどくすぐったいわけじゃないなら、気持ちいいのと大差ないよね?」
 まぁ確かに、どちらかといえばくすぐったい寄りではあるが、そこに気持ちいい要素がなければ大人しく弄られ続けはしない。もちろん肯定を返したりはしないけれど。
「てか、今日お前、なんかいつもと違う」
「嫌?」
「いや、っつーか、落ち着かないつーか、耳弄られながらされたことないし、集中できないだろ」
「お尻弄らないし指突っ込まないし抱かないから、他のとこ触るのは許してよ」
「他? 耳だけじゃなくて?」
「そう」
「たとえば?」
 短な肯定だけが返ったので、なんとなく嫌な予感がして聞いてしまう。言わないってことは、聞いたら引いてしまうような事を言われるんだろうとわかっているが、聞かずに済ますわけにはいかなかった。
「乳首、とか」
「ち……くび……」
 呆然とつぶやきながらも、とっさに両手で胸を覆い隠した。何やってんだ俺、という気持ちもなくはなかったが、弄る気満々ですと宣言した相手に晒し続ける勇気はない。
「笑うなよ」
 妙な格好をしている自覚はあるが、でもそれを笑われるのは納得がいかなかった。
「んー、だってなんか、可愛くて」
「は? なんだって?」
「ねぇ、最後の思い出に抱かせて、ってのは諦めるから、抱く手前まではさせてよ」
「抱く手前って?」
 可愛いとか聞こえたのは幻聴ではないはずだが、逸らされた話題の先も気になって追求せずに居られない。
「性欲処理目的で、互いの興奮煽りまくってさっさとイッて終わる感じじゃなくて、もうちょっとイチャイチャした感じのことしてみたいっていうか。前戯? 愛撫? 穴には触らないから、他のとこは触らせてって、そういう意味なんだけど」
 前儀って言ったらやっぱ胸弄るのは外せないと思うんだよね、と続いた言葉は、どうやら先程たとえとして出した他の場所が「乳首」だったことの説明らしい。説明の意味は理解できるのに、何を言っているのかわからない、という気持ちでいっぱいだった。
「なんで今日になって突然、そんなこと言い出してんだよ。だって今まで、イチャイチャしたいとか、そんなの、全然なかっただろ」
「だって最後だから。抱かせてくれるなら、痛くないようにとか気持ちいいように考えるのでこっちも余裕ないだろうし、イチャイチャまで求めないけど、でも抱いたって思い出が残るでしょ。抱くの絶対ダメで最後に何か思い出に残るようなことって考えたら、イチャイチャしたいなって」
「なんだよ、それ……」
 言葉はちゃんと聞こえていて、相手の言い分も理解できるのに、やっぱり何を言われているのかわからなかった。というよりも、わかりたくないだけかも知れない。

続きました→

 
 
*ポチッと応援よろしくお願いします*
にほんブログ村 BL短編小説/人気ブログランキング/B L ♂ U N I O N/■BL♂GARDEN■


HOME/1話完結作品/コネタ・短編 続き物/CHATNOVEL/ビガぱら短編/シリーズ物一覧/非18禁

イケメン相手にこんな関係になる予定はなかった10

1話戻る→   目次へ→

 同じ男でもそう思ってしまうのだから、イケメンって本当にズルい。
 でも嫌いにならないなんて言ってやらないし、絆されて抱かれてやる気だってない。ここで抱かれてしまったら、本当に人生が変わってしまう気がしてならないからだ。
 それに、相手は童貞でもなければ抱く側なのだから、最後の思い出に程度で気楽に提案できるのだろうけれど、その程度のものに対して、こちらが差し出すものが大きすぎるのも納得がいかない。
「つれないなぁ」
 相手は苦笑とともにそうこぼしながらも、ローションボトルを取り出しベッドの上にタオルを広げ始めたから、これ以上こちらの譲歩を引き出す気はないらしい。
「服、全部脱がせていい?」
「なにする気だよ?」
 いつも通りなら、軽く捲くりあげて置くだけでも、服を汚すようなことはないのに。
「なにするって、ローション使っていいんだよね?」
「それと服って関係すんの?」
「あー……酔ってあんまり覚えてないかな?」
「覚えてないって?」
 酔っ払って指を突っ込まれたことがあるのはわかっているが、記憶がおぼろげな部分が多いのも確かで、なにか忘れているのかも知れないと焦る。
「ローション使う時、服汚さないように、俺結構上の方まで捲りあげてるんだけど」
 なんだそんなことか。と思って少しばかり安堵したけれど、でもじゃあなんで過去と同じようにしないんだよ、と思ってしまう。
「そうだっけ? てか、なんでそれで今日は脱ぐ必要があんだよ」
「両手とも濡れる予定だからと、重力があるから?」
「は?」
「それとも、そっちが服、胸の方まで持ち上げててくれる? もしくは、寝転がったまま最後まで頑張ってみる?」
「あー……わかった、かも」
 ペニスを合わせて扱かれる時は双方座っている場合が多くて、寝転がってした経験は確かに殆どない。確か、寝転がった状態でスタートしたことは何度かあった気がするが、結局果てる前には身を起こしてしまったというか、横になった状態でイッたことはなかったはずだ。なんとなくもどかしいのと、横向きに寝転がった状態で果てるのに多分慣れていない。
 そして、ローションを使われる時はこちらが仰向けになって足を開かされている場合が殆どで、ついでのようにローションに濡れた手でペニスを扱いてくれる時も、わざわざ身を起こしたりしていないし、仰向けに寝転がったまま果てている。正直、その時の服がどうだったかなんて記憶はないが、汚れないようにと上の方まで捲くり上げられていたとしても不思議じゃない。
 理由がわかったので、さっさと服を脱いでいく。自分で服を捲りあげてペニスを差し出すよりは、多分脱いでしまったほうがいい。
 相手もそれを追うように服を脱いで、ついでのようにエアコンのリモコンを弄っている。
「別に寒くないけど」
「一応ね。一度しか上げてないし。それより」
 来てと呼ばれてベッドの上の短な距離を移動する。相手のそばにはタオルが広げられているので、お前が来いよとは言えなかった。
 まだローションに濡れていない乾いた手が頬に伸びて、相手の顔が近づいてくる。キスはもう何度も繰り返していていまさら躊躇う理由もないので、だまって目を閉じ受け止めた。

続きました→

 
 
*ポチッと応援よろしくお願いします*
にほんブログ村 BL短編小説/人気ブログランキング/B L ♂ U N I O N/■BL♂GARDEN■


HOME/1話完結作品/コネタ・短編 続き物/CHATNOVEL/ビガぱら短編/シリーズ物一覧/非18禁