生きる喜びおすそ分け3

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 デートである以上、相手と楽しむという部分をまるっきり無視した、自分ひとりが楽しければいいプランを立てるのはどうなんだ、という思いはあったものの、それが相手の要望だ。しかも相手の機嫌やらを窺い、上手くいかないと落胆する姿をこれ以上見せたら終わりにすると言われているような状態であれば、相手を楽しませようという気持ちは一旦脇に置くしか無い。
 そうして組んだデートは、ほんの少しの後ろめたさを残したけれど、相手にとってはそれまでのデートに比べたら格段に満足が行くものだったらしい。この方向でよろしくと言われて、そこから数ヶ月、ひたすら自分が楽しいことへ重点を置いたデートをした。いやもうこれはデートじゃないだろと思いながらも、行ってみたかった場所やら試してみたかった事に色々とチャレンジした。
 なんせ相手は上長で、自分よりずっと給料を貰っていて、年だってそれなりに上で、つまりは金払いがめちゃくちゃ良い。そもそも相手は、デート中の支払いは全額負担しても良い、という気持ちでいるらしい。太っ腹にも程がある。
 双方の懐具合を全く考慮せずに、興味と好奇心だけで手を出し得られる経験は、間違いなく貴重なものだった。ただそれを、純粋に有り難いと思うことも、この機会にたかれるだけたかってやれと思うことも難しい。
 年の差があったって今どきのカップルは割り勘も多いらしいですよと言って見たことはあるが、交際というのは自分たち含めて外からは見えない色々な事情があるものだろと諭されて終わった。もっと言うなら、立場や給料や年齢やらの差と、酔ったノリと勢いで始めた遊びでしかない交際を考えれば、相手が費用を持つのが妥当、という考えを改めて聞かされただけだった。
 休日にまで一緒にあちこち出掛けられるだけで嬉しいだとか、楽しいだとか、だから自分だってそこに金銭を支払う価値があるんだとか、胸を張って言い返せなかったのが敗因だ。棚ぼた的に手に入れた関係ではあるが、憧れの人が自分のために時間を割いてくれている、という認識は確かにあるのに。でもお金を払ってまで続けたい関係かと言われると、さすがに頷くことが出来なかった。
 あの日、観察を趣味にするよりかは恋人でもやったほうがまだ多少は刺激的かも知れない、と言ったあの人の言葉を何度も思い出している。そして毎回、結局のところ恋人という距離感で観察されているだけなんだろうな、という結論に至ってしまう。
 恋人だなんて言ったって、双方間違いなくデートという認識で何度も出かけているにも関わらず、手一つ繋いだこともない。結局この関係ってなんなんだろう、という想いが頻繁に湧くから、きっとそろそろ潮時なんだろう。
「え、ちょ、待って。え、まさかここに入るの?」
 休憩料金と宿泊料金がガッツリ書かれた看板前で相手が戸惑いの声を上げた。ここまでやれば、ちゃんとこういう反応もするんだなと、妙に冷めた気持ちで思う。
「はい。値段そこそこですけど、いろんなサイトで評価高かったんで気になって。あ、男同士での利用もオッケーって確認取ってますから安心して下さい」
 楽しみで仕方がないと装いながら、思いっきり笑って見せれば、相手は面食らった様子で更に戸惑いを増している。
「いや、そういう話じゃ……」
「無理に、とは言いませんけど。ムチャ振りしてる自覚はあるんで」
「確かに急すぎてちょっと気持ちが追いついてないんだけど、あーでもまぁ、ここで入るかどうかを言い争うのもねぇ」
 戸惑いを苦笑で塗りつぶして、相手が良いよ入ろうと決断するまではあっという間だった。

続きました→

 
 
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生きる喜びおすそ分け2

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 付き合ってもつまらない男、の意味は割とすぐにわかった。つまらないというか、張り合いがない。
 デートなんてのは中身そのものよりも一緒の時間を楽しむものだという認識だけれど、どこに連れて行っても何を食べさせても反応にそう大きな差がない。もちろん、自分と過ごす時間を楽しんで貰っている実感もない。
 処世術的な感じでそつなく対応してくれるから、そうそう不快にはならないのだけれど、でもデートを重ねるほどに相手との熱量の差を感じていく。つまらないと言ってふりたくなる気持ちがわかる程度には、自分ばかりが相手に興味を寄せている事実を突きつけられる。
「そろそろ終わりにする?」
 それを言われたのは、そこそこお気に入りの店で、本日のおすすめを口にした少し後の事だった。美味しいとは思うよといういつも通りの反応を貰って、ぼんやりと、手強いなぁと思っていた。目の前に座る男が、生きてて良かったって思えるような美味しいものや楽しいものに出会わせたいのに。
 自分が良いと思うものをアレコレ紹介しているが、どれも反応が薄くて若干挫けかけてもいたから、期待はずれだったと言われるのも納得ではあるのだけれど。
「やっぱ、つまんないですよね。すみません。あんな大見得きっといて、ちっとも楽しませてあげられなくて」
「いや別にそこはいいんだけど。そっちこそつまんないだろうと思って」
 つまんない男だって振っていいよと苦笑されて、ああなるほど、と思う。この人の、つまらない男だと振られてきたって話は嘘らしい。
 つまらないってふりたくなる気持ちがわかるくらいには、事実つまらない交際ではあるから、全部が全部嘘ってこともないだろうけれど。でもこうやって振らせてきたんだろうなと思ってしまった。
「ズルい人ですね。俺に飽きたなら、飽きたから別れてくれって言うべきだと思いますよ」
 思わず睨みつけてしまえば、相手は驚いた様子で目を瞠り、それからおかしそうに口元へ手を当てて、どうやら笑いを噛み殺している。
「何笑ってんですか。俺、そんな変なこと言ってませんよね」
「うん。言ってない」
「じゃあなんでっ」
「そろそろ別れたいと思ってそうだ、と思っただけなんだよ。同じ会社の直属の上司なんかとこんな遊び始めちゃって、別れたいって言い出せないなら可哀想なことをしたかなと、気を遣っただけっていうか」
「別れて気不味くなるような関係じゃないすよね。俺ら。振るなんてって嫌がらせしてくる可能性も薄そうだし、というかそういうタイプには思えないし。別れたくなったら言いますよ、ちゃんと」
「てことはまだ続ける気があるんだ?」
「ありますね。全然ありまくりです。てかそっちこそどうなんですか。酔った勢いで俺なんかと恋人になって後悔してんじゃないですか。期待はずれだったなって」
「まぁ確かに、期待してた方向とはだいぶ違っちゃったな、とは思ってるけど」
 はっきりと期待はずれと言われて胸が重い。
「じゃあ振っていいですよ。期待はずれだったから別れようって言ってくださいよ」
「期待してた方向と違うってだけで、期待はずれとまでは言ってない。というかさ、俺は別にこのまま付き合い続けたっていいんだけど、俺と付き合ってるこの時間、君にとって無駄にならんの?」
「え、どういう意味ですか?」
「せっかく楽しく生きてるのに、その時間削って俺とデートする意味なんてあるのか、って聞いてるの。俺とデートしたって楽しくないだろ?」
「ちゃんと楽っ……」
 楽しんでますよと断言しきれなくて言葉を止めてしまえば、正直でいいねと、相手はやっぱりおかしそうに笑っている。何度かデートを重ねてきて、初めて心から楽しそうな顔を見せてくれたのがこれって、と思うとますます気持ちが沈んでいく。
「ねぇ、まだ付き合い続ける気なら、一つ注文つけていいかな」
「注文?」
「俺がじゃなくて、君が楽しくなるデートプランを考えてよ。君が人生を楽しんでいるところをもっと見せて。それが出来ないなら、期待はずれだったから別れてくれって言うから」
 そう言われて、期待してた方向というのが少しだけわかった気がした。人生めちゃくちゃ楽しいですよと言ったくせに、相手を楽しませることに重点を置いて落胆する姿ばかりを見せていた。

続きました→

 
 
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今更なのに拒めない(目次)

キャラ名ありません。全18話。
ED(勃起不全)バツイチ×アナニー好きノンケ(視点の主)。元同級生な社会人二人。
離婚したと押しかけてきた攻めを半年ほど居候させた結果、恋人になる話。
高校時代、二人の間で性欲発散目的なセックス経験あり。当時双方ともに恋愛感情なし。
過去にセックスをしていた仲だったこともあり、攻めが遊んでくれと言って伸ばしてくる手を拒めない中、アナニー好きを知られて行為がエスカレート。自己開発予定だったS字結腸を攻めの手で開発されたり、勃たない攻めに高校時代との違いを感じたりしているうちに双方に恋情が育っていて、先に自覚した攻めに口説かれ気持ちよく抱かれている間に受けも自身の好きを自覚していきます。
なお、攻めは受けを抱くために医者に通ってED克服。
S字結腸責めの描写多め。本人無自覚なのであまり描写は無いですが潮吹きあり。

下記タイトルは内容に合わせたものを適当に付けてあります。
性的な内容を含むものが多いので、性的な描写が多い話のタイトル横に(R-18)と記載してあります。

1話 10年振り
2話 同居3か月経過
3話 一方的に手で(R-18)
4話 アナニー道具バレ
5話 疑似セックス
6話 玩具でS字結腸開発(R-18)
7話 キスをしながらS字で(R-18)
8話 抱かせて欲しい
9話 告白
10話 久々のペニス挿入(R-18)
11話 トコロテン×2(R-18)
12話 やっと奥まで(R-18)
13話 キスしたらきっと(R-18)
14話 自ら腰を揺すって(R-18)
15話 S字の先を狙う(R-18)
16話 知らない場所まで貫いて(R-18)
17話 好きだから一緒にイッて(R-18)
18話 またしようね

 
 
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生きる喜びおすそ分け1

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 先方に上長とともに頭を下げ、なんとか事なきを得て今日はそのまま直帰となった際、飲みに行くかと誘ってくれたのは相手の方だ。尊敬していたし、もっと言うなら憧れの人と二人きりで飲みに行く、という状況に一気にテンションがあがる。
 ちょうど近くにいつか行ってみたいと思っていた店があったから、その店でもいいかと問えば、あっさり良いよと返ってきたのも嬉しい。そういうの良くわからないから君に任せるよ、と言われたのも、後半の君に任せるという部分だけを拾って浮かれていたのだと思う。
 評判の良さそうな店だったからそこそこ期待していたのだが、店の雰囲気も料理も期待以上だった上に同席者が憧れの人だったものだから、少々飲みすぎたかも知れないし、浮かれてあれこれ口が滑ったのかも知れない。
 あれもこれも美味い最高とはしゃいで、更には「このために生きてた」って口癖をこぼせば、相手が少し驚いた様子で大げさ過ぎないかと言う。自分にとっては全然大げさでも何でもなく、楽しいことや嬉しいことに出会うたび、このために生きてきたとか、このために毎日仕事を頑張ってるんだなどを、当たり前に思うのだけれど。
 そういうの無いんですかって聞いたら、即答で無いねと諦めきった顔で言われた。
 びっくりしすぎてアレコレ突っ込んで聞いてしまったけれど、本当に、趣味だとか家族だとか恋人だとか生きがいらしいものが何もないらしい。一緒に美味いと言って食べていた目の前の料理すら、美味いと思う感覚はあるけれど、それを得るために仕事を頑張ろうだとか遠方まで食べに出かけようなどと思う事はまるで無いという。
「そういう人は仕事が生きがいなのかと思ってましたけど、でもそれもないんですよね?」
「ないない。自分に割り振られた役割上必要な作業やらを淡々と消化してるだけの日々だね。きっと死ぬまで、そういうのを繰り返すだけの人生だよ」
「うーわー……マジ、っすか」
「そう。ガッカリした?」
 それなりに買ってくれてただろと言われて、こちらが尊敬の念やらを抱いているのは相手にも伝わっているらしい。
「ガッカリ……いやどうだろう。ガッカリというか、いやでもやっぱ、やる気ないのに成果出してるのは逆に凄いような気がすると言うか」
「やる気がないとは言ってない。適当にやってるわけじゃないし、効率よくこなせるよう頭使うことはしてる。考えた通りに物事が進めばそれなりに嬉しいとは思うよ。ただ、仕事をすることが、会社に何がしかの利益を生むことが、自分が生きている意味になんかならないってだけで」
「何か趣味作るとか」
「昔はもうちょっと色々手を出してみたりしたけど、結局表面だけ撫でて満足して飽きちゃうんだよ。もっと深く知りたい、関わりたいって欲求が湧くようなものには出会えなかったし、そういうのが続くと、やってみようかって思う気持ちすら削ぐようになるんだよな」
「恋人、作るとか」
「彼女がいたことが無いわけじゃないけど、昔っから割とこんなで、つまんないらしくてすぐフラレるんだよ。で、だんだんそういうのも面倒になって、もういいかなと」
 子供が欲しいとか思わないのかと聞けば、それも無いなと即答された。
「確かに子供が生きがいとかよく聞くけど、それ目的に作るなんてのはあまりに博打がすぎるだろ。もし生まれてきた子供が生きがいに思えなかったらと思うと逆に怖くないか?」
 最低でも二人の人間を自分のエゴで不幸にする、と言うので、なんで二人なんだろうと思う。
「一人は生まれてくる子供ですよね? もう一人って誰です?」
「俺の子を産む人。子供が生きがいになればその子供の母親として大事にできる可能性はあるけど、そうならなかった場合は悲惨だろ。というかまず、子供の母親としてなら大事にできる、という思考が大半の女性にとっては大問題だろ」
「そういう認識はしっかりしてんですね」
「そういうとこが嫌われんだけどね。だからまぁ、君みたいなの見てると、面白いと同時に少し羨ましいとも思うよ」
 人生楽しそうでと言われて、とっさに、めちゃくちゃ楽しいですよと笑ってしまったのが、正解だったのかどうかはわからない。
「えー、てか、人生そんなつまんないなら、俺が少し分けてあげたいくらいなんですけど」
「あー、いいなそれ。俺に分けてよ。君が人生楽しいって思う気持ちがわかったら、俺も少しは自分で自分の人生楽しませられるかも知れないし」
「あれ、それもしかしてちょっといい傾向なんじゃありません?」
「何が?」
「さっき、もっと深く知りたい、関わりたいって欲求が湧くようなものに出会えなかったって」
「ん? 君の観察を趣味にしろって?」
「どうすか。もしくは俺と恋人でもやってみるとか?」
「俺と付き合ってもつまんないぞ?」
「それを決めるのは俺です。あ、でも、俺につまんない男だってフラレるのが古傷えぐるならやめときましょうか」
「ふる気まんまんか。でも君の観察を趣味にするよか、恋人でもやったほうがまだ多少は刺激的かもなぁ」
 多分お互いに相当酔っていたのだ。じゃあ今度デートしましょうよという提案に、デートプランそっちに丸投げでいいならいいよと返されて、上長との交際が決定した。

続きました→

 
 
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今更なのに拒めない18(終)

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 気持ちよくイキまくった代償はそれなりに大きく、ペニスを抜かれた後も布団から起き上がることが出来なかっただけでなく、甘い快感がじんわりとお腹の奥に残り続けてもいる。こちらがそんな状態だったものだから、シャワーを浴びに行くなんてのも当然無理で、汗やら何やら色々な液体でベタつく体をホットタオル拭いてくれたのは相手だった。
「……ふっ……ぁ……っ……」
 甘たるい息を漏らしている自覚はあって、相手が困ったように、そのくせ酷く嬉しそうに、笑いを噛み殺している。
「だれの、せいだと」
「S字の先抜いてってねだったお前の自業自得?」
 確かにそうだと思ってしまったら、口を閉じるしかなかった。相手は今度こそ、おかしそうに笑っている。
「嘘だよ。お前が俺に惚れてくれるまで、しつこく何度もお前イカせた俺のせい。今だって、お前疲れ切ってるのわかってるのに抱き足りなくて、もっともっと、お前が俺のちんぽで突かれるの気持ちぃって喘ぐの見たくて、必死で我慢してる」
「本気、で?」
「本気で」
 即答されて思わず迷えば、したい気持ちは本気だけどする気はないぞと、少し慌てた様子で言い募る。
「どっちだよ」
「いやだって、お前、俺がどうしてももっかいしたいとか言ったら、いいよって言い出しそうで」
「だって、そりゃあ、そう言われたら」
「お前のそういうとこに散々つけ込んできた俺が言うのもなんだけど、お前とちゃんと対等に付き合いたいって言ったろ。良いんだよ。無理して応じようなんて考えなくて。今日は疲れたからまた今度ねって言ってくれれば」
 なんでもかんでも受け入れようとしなくてもと言われて、別に無理して応じようとしてるわけじゃないんだけどなと思う。
「相手がお前ならまぁ良いかって思っちゃうだけで、無理して良いよとか言う気はないんだけど、でもまぁ、今日は疲れたからまた今度ね」
 その今度はそう遠くない未来だとわかっているし、次の約束をするのも悪くない。これはこの先も続いていく関係なのだと、はっきりするようでなんだか嬉しい。
 彼に向かって初めて告げる、またしようねの言葉がむず痒く、ふへへっと笑ってしまえば相手は妙な顔でグゥと呻いた。けれど、どうしたと聞いてもなんでもないと返されて、ごまかすみたいな軽いキスが一つ。
「腑に落ちない」
「いい。わかんなくていい。それより、これどうする。シーツまで濡れてる。ていうか、シーツの下もやばいかも」
 これ、といって彼が汚れ防止に敷いていたバスタオルを持ち上げれば、確かにシーツにまで濡れているとわかる染みが広がっている。
「うわっ、えっ、なんで」
「なんで、て、お前が気持ちよさそうに潮吹きまくってたせいだろ」
「は? えっ? 潮噴き? って、あの?」
 頭の中に大量の疑問符が巡った。
 男でも潮吹きできるというのはもちろん知っているが、射精後の亀頭を刺激し続けるという方法がメジャーらしいのに、今回、ペニスはほとんど扱かれていない。ペニスの先から粘度の低い液体をぴゅっぴゅとこぼしていた自覚もなくはないのだけれど、でもそれは何度も吐き出して薄くなった精液だと思っていた。
「でもペニス弄られてなかったけど」
「前立腺への刺激でも潮吹きするってどっかで読んだから、ってっきりそれだと思ってたけど」
「えー……」
 アナニーに関してはそれなりに自分も情報を漁るけれど、アナニーで目指す先と言えば、やっぱりドライオーガズムじゃないのかと思う。いつかは自分もと思っているけれど、ペニスに触れずにイクときはトコロテンしてしまうので、残念ながら未だドライを経験したことはない。
 そして、アナニーで潮吹きを目指すというのはそうメジャーでも無いというか、言われればそんな記事も読んだことがあるような気がしないこともないけれど、でもペニスに触れないままで潮を吹いていたかまで記憶にない。
 なんてことをわざわざ説明する必要はなかった。という事に気づいたのは、ふんふんと話を聞いていた相手が、じゃあ今度はドライ目指してみるかと笑った時だ。
「えっ?」
「まさか、セックスとオナニーは別とか言って、一人でアナニーしてドライオーガズム目指す気だった?」
「え、いや、そういうわけじゃ」
「そういや今も平日の夜とか、一人でアナニーしてたりすんの?」
「えっ?」
「週末、俺とするだけじゃ足りなそう?」
「いやいやいや。充分。じゅーぶん足りてる」
 彼にアナルを弄られるようになってから先、彼の居ない平日の夜に、一人でしたことはなかった。元々、それなりに準備が必要なのもあって、仕事の後でなんて余程のことがなければしない。
「アナニーは別腹って言われるかと思ってたけど、なんだ、平日はしないんだ」
 言えばあからさまにがっかりされた。どうやら今後は平日の夜にもそういうことが出来るかもと期待していたらしい。
「まぁでも、キスしたりハグしたりできりゃいいか。あ、準備の問題なら、手で抜くのもありだったりする?」
「なぁ、それ、平日の夜にも来るって言ってる?」
「え、うん。言ってる。昼仕事就いたの、お前と一緒の時間増やしたかったからだし」
 あっけらかんと肯定されて、平日の夜なんて飯食って風呂入ったら寝るだけみたいな生活なのにと思う。思うだけでなく、口に出しても言ってみた。
「平日の夜なんて、飯食って風呂入ったら寝るだけなんだけど」
「一緒に飯食うだけでもいいよ。あ、いや、ハグとキスと一緒に夕飯、だな。俺の職場近いし、俺のが早く帰れるだろうから、夕飯は俺が用意するし」
 食べたらすぐ帰るよと言った後、少し迷って、逆にお前がうち来て食べてくのも有りかなぁなどと言い出す。
「待て待て待て。というかそもそも、お前の家ってどこなんだよ。そんな毎日行き来できるくらい近いの?」
「ああ、言ってなかったか。イチマルニ号室だよ」
 指を下に向けた相手が告げたのは、真下の部屋番号だった。

<終>

 
 
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今更なのに拒めない17

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 目の前も頭の中も真っ白に弾けるような衝撃に、悲鳴なのか咆哮なのかわからない声を上げながら、必死で目の前の体にしがみつく。しがみつこうと、した。
 お腹の中で生まれた快感がぶわっと膨らんでいくのがわかる。あまりの気持ちよさに全身から力が抜けて、というか思い通りに体に力が入っていないから、正確にはしがみついているというよりも、相手の腕に強く抱きしめられているようだ。
「あ゛ぁあ゛あ゛ああ」
 自分の上げている声だという認識は出来ているのに、それはどこか遠いところで響いている。しかも、体中の力が抜けているのに、どうやら体は痙攣しているらしい。
 持ち上げられていた膝が降ろされていることにも、すぐには気づけなかった。だって下半身の感覚もなんだかおかしい。布団に踵が触れている感触が、体を包む快感に邪魔されて、きっと脳みそまで届いていない。
「あ゛ぅぁ゛ぁ……ぁ……」
 それでも最初の衝撃が去ったのか、体がこの状態に慣れたのか、少しずついろいろな感覚が戻ってくる。
「少しは落ち着いたか?」
 優しい響きをしているのに酷く苦しげで、どうにか腕に力を入れて密着していた体を少しばかり離し、相手の顔を確かめた。興奮を耐えるように眉間にシワが刻まれている。また、こちらだけ絶頂して、相手に耐えさせてしまったらしい。
 だってまだ、好きだって伝えていなから。
「ねぇ、好き」
 好きかと聞かれては居ないけれど、たまらず自ら告げていた。早く知って欲しかった。だってもう充分メロメロしている。
「えっ?」
「とっくに好きだよ。だから、ねぇ、もぅ、お前も一緒にイッて」
 お前に惚れてると続けた所で、ぎゅうと抱きしめられてそのまま相手が腰を引いた。また体の中で快感が弾けて悲鳴を上げたが、今度はその快感が落ち着くのを待ってはくれず、再度ぐぽっと亀頭がS字を抜けていく。
「ふっ、ぁあ、なぁ、すっげ嬉しい」
 こちらの体をゆさゆさと揺すりながら、相手が何かを喋っているが、正直うまく聞き取れない。でも、嬉しそうに笑っているから、良かったと思う。
「ぁぁああはぁあああんんっっ、……あぁ、ぁああっ、いぃ……すごっ、ぁあっ」
 S字部分を彼のペニスの先がぐぽんくぽんと何度も出入りして、縁が撫でられるたびに軽い絶頂を繰り返している。ペニスの先からはぴゅくぴゅくと、薄くなった精液らしきものがこぼれ続けてもいた。
「ん、俺もいいっ、きもちぃ、ああ、好きだ。好きだよ。お前が可愛い」
「ぁっ、ぁあっ、あ、すきっ、俺も、ぁ、きもち、ぁあっ、すきだよぉ」
 好きだと言ってくれているのがわかって、必死に好きだと繰り返す。相手が愛しげに笑ってくれるから、胸の奥が暖かくなる。胸の奥もお腹の奥も、キュンキュン疼きっぱなしだった。
「お前んとこ来て良かった。も、今度はずっと捕まえとくから、お前も俺を好きで居て?」
「ぁぅっ、ぁ、ああっ、んっ、うん、すきぃ」
 何かを聞かれて必死に頷いてしまったけれど、正直もう限界が近い。
「ぁああっ、やっ、あっ、くるくる、すごいの、あっ、だめっ」
 何度も小さく絶頂しているのに、それで開放しきれない快感がじわじわとたまって、大きなうねりになっている。
「いいよ、だめじゃない。凄いの来て。S字抜かれてバカになってるお前の、うんとやらしくイクとこ見せて」
 おいで、いいよ、と繰り返されて、大きな快感の波が押し寄せた。
「ぁあああ、やっ、いっしょに、いっしょ、いって」
「ん、イクよ。俺も一緒にイクから」
 相手もイクと繰り返していることに安心して頷いて、何度目かわからない快感の波に身を委ねる。
「ぁあああっっ」
 くぽっと嵌りきった亀頭を思いっきり締め付ければ、今まではなかった脈動を感じ取ってホッとした。

続きました→

 
 
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