いつか、恩返し8

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 ハグもキスもすぐに慣れた。相手のペニスに触れることも、逆に自分のペニスが男の手に握られることも、最初の躊躇いを超えてしまえば、思った以上に抵抗感などなく、そこにあるのはただただ快感だった。
 つまり、キスをしながら互いの性器を扱きあって射精する、という状態にはあっさり進んでしまった。同じ男だからこそわかる加減なのか、正直、他人の手がこんなに気持ちがいいのが驚きだった。
 ただ、さすがにそれ以上に踏み込むのは、躊躇いがある。行為への嫌悪や抵抗感ではなく、試してみたいという気持ちの根拠が、彼への恋愛感情でと言うよりは好奇心からの興味である自覚があるせいだ。
 しかしそれも、こちらを窺うようにしていた相手に気づかれて、誘われてしまう。試してみたいのはどっち、と聞かれてしまう。
「どっち……って」
「わかってるだろ。抱く方と、抱かれる方、どっちがしたいの」
 もしくは、どっちからしたいの、と続いた言葉に、相手はこちらの性格を本当によくわかっているなと思う。両方試せるなら、両方試してみたい。という気持ちがあることは事実だった。
「お前こそ、どっちがいいんだよ」
「それこそどっちでもいいし、どっちもやったっていい」
「なんで? 好奇心?」
「そうだよ。って言った方がいいんだってのはわかってるけど、言ったらお前が安心してこの先にも踏み込んでくるってわかってるけど、さすがにそれは否定させて」
 困ったような苦笑の後、真剣な顔で見つめられる。それだけで、酷いことを聞いてしまった、というのは嫌ってくらい理解した。彼がこの後告げるだろう言葉もだ。
「好きだから、だよ」
「ごめん……」
 思ったとおりの言葉が返されて、思わず謝ってしまった。先へ進むのを躊躇う理由に自覚があったからだ。自分こそがただの好奇心なのに。相手の気持ちを知っていて、あんな言葉を投げたことを、申し訳ないと思った。
「謝らなくていいって。俺と同じ気持ちで俺を好きになって、なんて思ってない。お前の方は好奇心でいいんだよ。だから、出来そうって思ったなら試してよ」
「良くは、ないだろ。お前の好きにつけ込んで好奇心を満たすのは、さすがに俺だって抵抗あるって」
「それこそが俺の狙いなのに?」
 好きな子とセックスまで出来るかも知れないなんて、そんなのチャンス以外なにものでもない、というのが相手の主張らしい。
「まぁでも、いいや。はっきりどっちがしたいって強い意思がないなら、俺から襲うから」
「は?」
「だって先に進んでもいい気持ち、あるでしょ。むしろ抱いたり抱かれたり、してみたくなってるでしょ」
 即座にないと否定を返せなかった以上、お察しだ。相手はにっこり笑って、とりあえず最初は抱かれる側になるねと宣言した。しかも理由が、想定外に凄かった。
「後ろ、自分で拡げてるから、お前に突っ込むより俺が突っ込まれる方が、多分絶対楽だと思うし」
「はぁあ? 拡げてる? え、自分で弄ってんの?」
「そうだよ。だってお前、先に進みたそうな感じになってきてたから」
 抱かれる側のが興味あるって言われたとしても、自分の体で色々試した後のほうが気持ちよくさせてあげれそうだし、と続いた言葉もなかなかに衝撃的で、しばし言葉を失う羽目になった。

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いつか、恩返し7

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 生まれたときから付き合いがある従兄弟なのに、辛うじて友人と呼べそうな関係になったのは高校に入ってからで、それ以前の、今となってはやや黒歴史な一方的ライバル時代を全く引きずっていないとも言い切れず、今もまだ、はっきり友情とはいい難いような想いを抱えている。胸を張って、彼のことを友人だとは言い切れないのだ。
 そんな相手と、成り行きで形だけの恋人になった。つもりだったのが、相手にとっては形だけの恋人ではなく、好きな子との恋人ごっこだった。らしい。
 しかも、恋愛的な意味で好きになって欲しいとは言う気がなくて、このまま恋人ごっこを続けられればいいんだそうだ。
 けれど、今まで通りでなんて言われたって、それを知ってしまった以上、相手の想いをまるっきり無視なんて出来ない。気にしないようにしていても、ふとした瞬間に、相手は自分を好きなんだと思ってしまう。意識してしまう。
 結果、男同士での恋愛だとか、セックスだとかを、興味の赴くまま調べてしまった。だってもし、相手の気持を受け入れた上での恋人になるなら、キスだってその先だって、するようになるかも知れないんだから。
 つまり、結論はもうほぼ出ていると言っていい。
 キスやその先をするようになるかも知れない、と考えた時点で絶対無理だと思ったなら、調べる必要なんて無い。というよりもそこで嫌悪感があったら、調べるって行為自体も無理だろう。要するに、自分には相手の気持ちを受け入れる用意があって、相手に求められたら行為にだって応じるだろうって事だ。
 今まで通りで、と言っている相手に対して、なんで自分の方が先にその気になってんだ、という自覚というか困惑はもちろんあった。そしてそんな自分の困惑に、どうやら相手も気づいている。
 それは自宅で一緒に夕食を食べて、そろそろ帰るという相手を玄関先まで送った時のことだ。じゃあまたと言いあって、背を向け出ていく相手を見送って、施錠する。という一連の流れの中の、最初の部分で躓いた。
「じゃあ、……」
 躓いたのは自分ではなく相手の方だ。こちらの顔をジッと見たかと思うと、こちらが焦れてなんだよと口に出す直前に、クスッと笑いをこぼす。
「またねのちゅーとか、してみる?」
「は?」
「最近お前、もうちょっと恋人っぽいことしてみてもいいのに、って思ってるだろ? ああ、でも、いきなりキスはハードル高い?」
 ハグくらいから試そうかと言いながら、目の前の男が大きく腕を広げてみせる。黙ってその腕の中に一歩進んで、自分から先に相手の背を抱けば、すぐに自分の背中にも相手の腕が回された。
 嫌悪はないが、酷く不思議な感じがした。腕の中の硬い感触も、背に当てられた大きな掌も、ふわっと香った何かにも。ときめきや興奮とは言い難い、不可解なドキドキが身を包んでいる。
 そんな中、腕の中で相手が楽しそうに小さく身を揺する。クスクスと笑っている。
「今まで通りの恋人ごっこができればいいよ、って言ったのに。お前、まんまと俺の策に嵌ってる自覚、ないだろ」
「さく、って?」
「俺が本気でお前を好きって言ったら、お前は俺と恋人になれるか、もっと言うならキスしたりセックスしたり出来るか、考えるだろ。考えて、調べて、できそうって思ったら、お前は試してみたくなるタイプ」
 出来そうって思ったなら試していいよと、耳元で甘やかな声が囁いた。

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いつか、恩返し6

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 もしかして、からかわれているのだろうか?
 そんなこちらの疑いの目に気づいたのか、すぐに、嘘じゃないよの言葉が追加される。
「えー……っと、いつから?」
「割と昔っから、もっと仲良く出来ないかなって思うことは多かったよ。なんでこんなにライバル視と言うか、敵視されてんだろって思ってた。ただ、好きな子になったのは、高校入ってからだね。お前が謝りに来て、ちょっとずつ色々話するようになってから」
 そうじゃなきゃ一緒の大学に行こうなんて言ってないと言われて、ちっとも気づかなかったと思う。
「なんで、言わなかったんだよ」
「いや、そりゃ、言えないって。お前に、俺の気持ち受け止められるような余裕、全然なかったもん」
 確かに、形だけだろうと恋人な今だから、好きだという気持ちがちゃんとあると知っても、マジかよと驚く程度で済んでいるというのはある。全く本気にしては居なかったけれど、周りは従兄弟の本命は自分なのだという認識だったし、周りのその認識にそった形で恋人に収まっている事実は大きいかもしれない。周りの認識が正しかったのか、という衝撃もかなり大きいけれど。
 もし、一緒の大学に行こうかと言われた時にそんな理由を聞いていたら、絶対に同じ大学を受験したりしなかった。
 もし、高校卒業時に言われていたら、どんな大学生活になっていただろうか。少なくとも、互いの家に行き来するような親しさは生まれなかったはずだ。
「にしたって、なんで今?」
「ああ、それは、お前が恩返しのつもりで恋人になったわけじゃないって言ったから、だな。俺が同じ大学に通うっていう事が、お前にとっては大きな借りだってわかってたし、恩返しがしたくてこの状況に付き合ってくれてるんだとばかり思ってた」
「恩を返したい気持ちがなかったら、この状況に付き合ってたとは言い切れないぞ」
 おかしそうに笑われたが、何がそんなにおかしいのかわからない。ムッとしながら発した言葉は少しばかり尖っている。
「わかってるよ。でも、こんな茶番に付き合ってやったんだからチャラな、って言う気はないんだなぁって思ってさ。いつか返すつもりの恩が積み上がってくばっかりだなんてぼやかれたら、そろそろ言っても大丈夫かなって。俺のことを即拒絶にはならないだろうなって、思って」
 実際驚いてるだけでしょ、と指摘されて、その通り過ぎて返す言葉がない。
「恋愛的な意味で俺を好きになって、とまでは言うつもり無いけど、俺と過ごす時間が楽しくて心地いいって思ってくれてるなら、このまま恋人ごっこ続けさせてよ」
「いやそりゃ、お前と別れたらそれはそれでまた噂の的になって面倒増えそうだし、正直、大学出るまではお前の恋人役やる気で、当分彼女とか恋愛とかはいいって思ってた、けど……でも、」
「俺が本気でお前好きって知ったら、さすがにもう無理そう?」
「いやそういう訳じゃなくて……」
 好きな子との恋人ごっこが楽しい、という相手の言い分を飲んで受け入れてしまっていいのか、イマイチ自信がない。というよりも、何かが引っかかっている。
 拒絶はされないだろうから、という理由で、こちらが全く気づいて居なかった彼の気持ちを知らせた意味を考えてしまう。ただただ恋人ごっこが楽しいなら、そのまま本音を隠して続けることだって出来るだろう。そうしなかったってことは、口では好きになってとまでは言わないと言っていたって、好きになって欲しいという期待は含まれているんじゃないのかと勘ぐってしまう。
 けれど。
「俺に好かれてるのが無理じゃないなら、何が問題?」
「あー……いや、問題は、ない」
「ん、じゃ、これからも今まで通りでよろしくな」
 そこに期待があるのかどうかを確かめる勇気はなく、わかったと返すしかなかった。

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いつか、恩返し5

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 彼にも責任があると言ったって、むりやり飲まされたわけじゃない。どう考えたって自業自得で、こちらの非が大きいはずなのに。
 いろいろして貰うばっかりで、いつか返したいつもりの恩は、むしろ積み上がっていく。なんて気持ちをうっかりこぼせば、やっぱり相手は大げさだなと笑った。
「というかさ、あの時、彼女振って俺の恋人になってくれたのは、恩返しのつもりだと思ってたんだけど違うの?」
「そりゃ、恩を返したい気持ちがなきゃ、お前が孤立しても放っといたとは思うけど。でも恋人になってって言われたわけでもないのに、半ばむりやり押しかけ恋人してて、どこが恩返し?」
 恩の押し売りならした、と言えば、そういう認識だったの!? と相手は一度驚いた後で、またしてもおかしそうに笑っている。
「恩返しねぇ」
「何かして欲しいことあるなら言えよ」
「うーん……現状そこそこ満足してはいるからなぁ。確かに、恋人になってくれとは言わなかったけど、お前がお前の意思で俺を選んで、放っとけないからって理由にしろ俺の傍にいたいって言ってくれたのは嬉しかったし、周りに俺と恋人って思われるのを受け入れてくれてるのも、ちゃんと感謝してるよ」
 押し売られたものでもちゃんと返されてるよと言って貰って、少しばかり安堵する。
「なら、いいけど」
「うん。お前と恋人ごっこする日が来るなんて、まさか思ってなかったから、実は今、結構楽しんでるし」
「実は、とか言われなくても、さすがにそれは俺にもわかってるわ」
 何が楽しいのかはわかんないけど、と続ければ、びっくりした様子で、お前は楽しんでないのかと聞き返される。
「楽しいよ。お前と一緒になにかするのは普通に楽しい。ついでに言うなら、お前の隣はかなり居心地いい。でも恋人ごっこが楽しい! という心境に至ってはいないな」
 そもそも恋人ごっこというほど恋人らしいことをしているわけでもない。周りに恋人と認識されていることと、一緒に過ごすことをデートと呼んでいるくらいしか思いつかない。一応、甲斐甲斐しく世話を焼いて貰う、というのが本日追加されたみたいだけれど。
「ああ、なるほど」
 言えば納得顔で頷かれた。
「で、お前は何がそんなに楽しいわけ?」
「え、恋人にご飯作ってもらったり、恋人に作ったご飯食べてもらったり、恋人と一緒にゲームしたりテレビ見たり、恋人と映画見に行ったりカラオケ行ったり買い物行ったり、昨日みたいに恋人の誕生日祝ったり、全部何もかも楽しいけど」
 すごい勢いで恋人の単語を混ぜられて思わず笑う。
「いやお前、恋人ったって相手が実質形だけの俺で、本当に楽しいのかって話だろ?」
「ああゴメン。言い方変えるわ。好きな子にご飯作ってもらったり、好きな子に作ったご飯食べてもらったり、好きな子と一緒にゲームしたりテレビ見たり、好きな子と映画見に行ったりカラオケ行ったり買い物行ったり、昨日みたいに好きな子の特別な日祝ったり、初めてのお酒で酔いつぶれた好きな子をお持ち帰りするのも、全部、何もかもが楽しい」
「待て待て待て待て。え、何だって?」
「好きな子とごっことはいえ恋人になれたら、楽しいのは当たり前、って話」
 びっくりしすぎて言葉を失くせば、知らなかっただろと、目の前の男が楽しげに笑った。

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いつか、恩返し4

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 当然の結果だけれど、彼と恋人になって、彼と過ごす時間が大幅に増えた。互いの家を行き来する頻度も増えたし、休日に一緒に遊ぶ時間も増えた。
 彼はどうか知らないが、少なくとも自分の方は、仲の良い友人とだってここまで親密に過ごした経験はない。ついでに言えば、実家住まいだった彼女ともだ。
 全く嫌だとは思わないどころか、これだけ一緒に居てもやっぱり彼と過ごす時間は居心地がいいと再確認する始末で、彼とのそんな相性の良さのようなものを、意識してしまう事が増えている。しかも時折、恋人だからね、だとか、デートしようか、などと言われる事があって、そんな時に妙にそわそわしてしまう自覚もあった。
 形だけにしろ恋人って関係なのは確かで、一緒に過ごすことをデートと呼ぶなら、互いの家で一緒に食事を摂るのだって、ついでのように一緒にゲームしたりテレビを見るのだって、充分おうちデートと呼べる内容だというのはわかる。一緒に買い物にでかけ、たまにはって映画館で映画を見たり、カラオケしたりゲーセン行ったりなんて、関係が恋人の今は間違いようもないデートだった。
 頭ではわかっている。彼は正しくデートをデートと呼んでいるだけだ。

 それは彼よりも数ヶ月遅れで迎えた自分の誕生日の事だ。形だけでも一応は恋人だしね、などと言いながら、彼の奢りで食べに出かけて、初めてアルコールを口にした。
 一足先に二十歳になっていた彼は、解禁とばかりに結構な頻度で俺だけ悪いなと言いつつ飲んでいたし、どうみてもお酒が好きなのは明らかだったから、これからは一緒に飲めると思うと嬉しかった。ただ、初めての酒で、しかも自分の誕生日祝いで、浮かれていたのかあっさり飲みすぎたらしい。
 気づいたら彼の家の彼のベッドの中に居て、当然隣には彼が寝ていて、ついでにいうなら辛うじて下着は脱いでいないという状態だった。
 互いの部屋に行き来する頻度は増えても、さすがに泊まったことはない。徒歩10分もない距離に住んでいて、わざわざ泊まる理由がない。
 つまりは寝起きから大いに焦るべき事案が発生していて、けれど昨夜何があったのか聞けたのは、そこから数時間は経過してからだった。なぜなら、世に言う二日酔いを体験していたせいだ。
 従兄弟は体質的に酒に強いのか、今の所二日酔いになったことはないらしく、どこか面白そうに、二日酔いの治し方を検索して、こまめに水分補給を促したりあっさり目の食事を作ってくれたりと、なんだかやたらと甲斐甲斐しい。しかも、やっとまともに話ができる状態に回復した後聞いた話によれば、昨夜も相当甲斐甲斐しくあれこれと世話をしてくれたのは間違いない。なんせ寝起きが下着姿だったのは、着ていた服を吐いて汚したせいだった。しかも吐いたのはトイレ数歩手前の廊下だったと言うから最悪だ。
 脱がすまではやったけど、何か着せてやるだけの気力も体力も残ってなかった。とは言われたが、脱がされた服は既に洗濯済みだったし、汚した廊下だって綺麗に片付けられている。
 聞けば聞くほど酷すぎる。せっかく落ち着いた二日酔いがぶり返しそうだ。
 頭を抱えるように項垂れてしまったこちらに、けれど相手はそんなに気にしなくていいよという。
 自分が昨夜飲みすぎてしまったのは彼にも充分に責任があるから、というのが一番の理由で、けれどやはり、恋人だというのも理由の一つではあるようだった。

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いつか、恩返し3

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 彼女さえ作ればの言葉通り、さっさと彼女を作るのかと思った従兄弟は、けれど結局一人のままだった。距離はおいたし互いの部屋に行き来するようなことはなくなっても、連絡まで一切取らなくなったわけではないから、もちろん理由は聞いた。
 噂に踊らされて恋人まで作るのは相手の思う壺だしバカらしいから、だそうで、そう聞けば納得も行くのだけれど、ゲイ疑惑も従兄弟が自分に片思い中という噂も、なくなるどころかますます信憑性が増している。
 こちらは気にせず彼女と仲良くしてろと言われたって、誰からの告白だろうと全て突っぱねている従兄弟の話は、どうしたって耳に入ってくる。それを聞かされる自分の反応も含めて、完全に一部の生徒の娯楽対象なんだと思った。
 だって従兄弟への告白も、どう考えたって本気と言うより、断られる前提の遊びになっている。ゲイ疑惑があるのだからと、女子だけでなく男子も混ざっていて本当にタチが悪い。
 従兄弟の方に新しく出来た友人たちも徐々に従兄弟から離れてしまって、こちらは気が気じゃないのに、従兄弟本人だけはなんの問題もないよと言い切り平然としていた。
 耐えきれなくなったのは自分の方だった。孤立していく従兄弟を放っておけないからと、別れを切り出した自分に、彼女はこうなるのも時間の問題だと思ってたからと言って、あっさり別れを受け入れてくれた。
 それを伝えた従兄弟には、呆れと怒り半々に、随分馬鹿なことをしたなと言われたし、こんな事をしてこの後どうなるかわかっているのかとも聞かれたけれど、覚悟済みだよと返せば溜め息一つで許してくれた。
 だって本当に、どれだけ平然とした姿を見せられても、いつだって人の輪の中心に居たような従兄弟が一人きりで立つ姿を、遠くから見ているだけなのが辛かった。一度は親しい友人のように近づいてしまった後だったから尚更だ。
 助けてなんて一言だって言われていないから、恩返しどころか恩の押し売りみたいになっているけれど、迷惑かという問いにはちっともと返されたから、彼女と別れて従兄弟の傍に戻ったことを後悔する気持ちは欠片もわかなかった。
 従兄弟のために彼女と別れた、という噂は当然あっという間に広がったし、聞かれれば正直に、従兄弟をあのまま放っておきたくなかったからと彼女にも告げた理由を話したし、付き合うのかという問にも、そのつもりだと返した。もちろん従兄弟も了承済みだ。
 恋人になるような関係性ではないけれど、それを否定したってどうせ信じやしない。だったら相手が欲しい答えを与えてやればいい。彼らの思惑通り自分たちがくっついてしまえば、従兄弟は恋人持ちとなって遊びとからかい目的な告白に付き合わされる事もなくなる。
 しかも、はたからすれば、彼女持ちだったこちらの幸せを壊さないようにと噂が始まった初期にさっさと離れて、全てを一人で抱えて耐え続けた結果こちらが絆された、という流れに見えるだろう。つまり従兄弟は一途に思い続けた相手とようやく結ばれた果報者だし、事実そう思うやつらが居るようで、おめでとうだとか良かったねだとか言われることもあるらしい。
 最初に陰口やら噂やらを話していた、従兄弟にふられたのが気に入らなかった女子には、どうやら、君のおかげで手に入らないはずの相手と付き合えるようになったから感謝していると、思いっきり笑顔を振りまいてきたそうで、さすがに従兄弟も腹に据えかねるものがあったようだ。めちゃくちゃ悔しそうな顔をしてたからスッとしたと、久々に晴れ晴れと笑う顔を見れたから、やっぱり彼女と別れて良かったと思ってしまったし、内実はともかく従兄弟と恋人となったことへの後悔もなかった。

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