別れた男の弟が気になって仕方がない20

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 深いキスに応じる様子はやはり、一生懸命という言葉がよく似合う。どこまでも必死で、確かに可愛いとは思うのだけれど、好きでもない相手をその気にさせようとするいじらしさが際立ってしまって、なんだかこちらが切なくなる。
「そんな頑張らないでいいから。それよりお前がリラックスする事考えて。お前の緊張が十分に解けて、一緒に気持ち良くなれる準備が出来るまでは挿れないよ」
 そんな宣言をしたせいか、焦れったいとかさっさと挿れろとかの文句はなかった。けれど、いくら感じさせられることを了承していても、やはりそう簡単に全てをこちらに委ねては貰えない。
 たくさんのキスをして、その肌をあちこち優しく撫で擦って、何を口走っても忘れてあげるから大丈夫だとしつこく繰り返した。しかも、何を口走ってもいいと言いながら、うわ言のようにイヤだとこぼれ出る言葉は、そのまま知らん顔で聞き流すことなく、イヤなのではなくキモチガイイのだと訂正させた。
 相手が少しずつなにがしかの拘りを捨てて、諦めたようにイヤをイイと言い換えて、甘く上がる声がもっと強い刺激を、熱の開放をねだるようになるまで待って、ようやくもう一度、今度は正常位で体を繋ぐ。
「ひぁあぁあっっ、ああ、っふ、ぁあ」
 喘ぎ泣きながらも、快感に引きずられて幾分高い声が上がった。
「ほらまた入ったよ。さっきよりずっと気持いいね?」
 聞けば素直に頷いてみせる。
「一緒にイこうね?」
 眼下で萎えることなく快感を示しているペニスを握ってゆるく扱きながらのその言葉にも、必死で頭を縦に振っている。
 アイマスクの下ではいったいどんな表情を見せているんだろう。挿入中は堪えきれずに開かれていた口も、今はキュッと結ばれてしまっているから、まだまだ快楽にとろけきっているわけではなさそうだった。
 イクこと以外何も考えられないくらいに、溺れてしまえばいいのに。出来ればそうしてやりたいけれど、さすがに今日初めて挿入を経験したばかりの、前立腺の開発もほとんどされていないような体が相手では難しい。
「自分でペニス弄れたりする?」
「……えっ?」
 何を言われているかわからないと言いたげな声が上がったが、言葉による説明ではなく、実際に相手の手を取り股間に導いてやった。
 開かせた手に相手のペニスを押し付けるようにして握らせる。相手の手ごと握り込んで、何度か上下させてから手を離せば、そのまま相手の手が自慰を始めるなんてことはなく、離したと同時に相手の手も動きを止めてしまう。しかし握り込んだものまで離すことはなかった。
「一人で弄るのじゃ、おちんちん気持ちよくなるの無理そう?」
「な……ん、で……」
「お前が自分で気持ちよくなるのに合わせて、俺もお前の体使って気持ちよくなるって方が、気持ち良くなれると思うし一緒にイくタイミング合わせやすい。っていうだけ。無理なら俺が一緒に弄るけど、お前先にイッた後で俺がイクことになりそうだから、イッた後で突かれるのはお前がキツいかも」
 無理ならいいと言いながらも、自分でして貰うつもり満々で口を開く。
「ねぇ、お前が自分で気持ちよくなる所、見せて? 勃起おちんちんイヤラシク弄って、俺を、興奮させてよ」
 甘ったるく囁くように告げながら、再度相手の手ごとペニスを握り込んで上下させる。
「ふ、ぁっ……」
 熱い息を漏らし、困ったように顔を横に向けてしまったけれど、手を離しても今度はもう、相手の手の動きは止まらなかった。

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別れた男の弟が気になって仕方がない19

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 何をわかってないかを教えてくれるのかと思いきや、相手は黙ったまま肩口に頭をグリグリと押し付けてくるだけで口を開かない。今にもまた、言いたくないという言葉が聞こえてきそうだ。
「俺が何をわかってないかも、教えてはくれないの? それも、言いたくないこと?」
 先手を打ってこちらから聞いてやれば、グリグリと動かしていた頭がピタッと止まった
「ならもし、何を言われても、今日この場限りで忘れてあげるよ。って言ったらどう?」
 別れてしまったとはいえ彼の兄の連絡先を消去したわけではないし、何かの拍子にどこかで顔を合わせたときに、互いを避け合うような事もきっとないだろう。普通に久しぶりと互いに声を掛けて、近況を報告し会う程度の親しさは残っていると思う。少なくとも自分はそういう態度を取る。
 それを前提に、何かの拍子にこちらの口から、彼の兄に知られたら困るような内容なのかもしれないと思った。たとえば、結局踏み込んで聞けずに居るけれど、もしも想像通りに、彼が叶わない想いを抱く相手が兄の恋人となった幼馴染だったとして、それを隠し通したいと思っているなら、兄と多少でも繋がりのあるこちらにそれを知られるのは嫌だろう。
 もしくは、本当に大事な想いは誰にも晒したくないタイプ、という可能性もあるだろうか。思えば彼の兄も本命についての詳細は隠しきっていた。内面的には似たところのある兄弟だから、だとしたら、忘れてあげるよなんて言葉はなんの意味もなさないかもしれない。
「忘れてって言えば、忘れてしまえるものなんですか」
 非難めいた口調は、嘘をつくなと言いたげだ。仕方なく、先程の言葉を訂正する。
「揚げ足取るね。それは言葉のアヤだよ。忘れてって言われたら、今後、お前含む誰かに話すことは絶対にしない。みたいな意味。誰にも言いふらしたりしない二人の秘密、ってのじゃなくて、お前自身に対しても、忘れたふり、何も知らない振りをし続けてあげるよって事」
「俺が何を言っても、なかった事にしてくれる、って事ですか?」
「そうだね。そうして欲しければ」
「本当に?」
「本当に」
 念を押すように聞かれて肯定すれば、少し考えた後でじゃあと言って口を開いた。忘れてあげるという言葉で彼の気持ちが多少なりとも動いたということは、やはり兄には知られたくないという思いが強いのだろうか。
「もし、優しくされて気持ち良くなっちゃって、名前呼んだり、ス、キ……とか言い出したり、しても、それ聞かなかったことにしてくれるなら……奥、使わなくていいから、俺の体でイッて、下さい」
 これはうっかりとか衝動とかで、幼馴染の名前を呼ばれてしまうパターンかなと思う。とは言っても、彼の兄が隠し通した本命の名前なんて、ずっと知らないままなのだけれど。もし知っていたら、彼が押しかけてきた最初、恋敵かもなどという誤解をすることだってなかっただろう。
「ああ、気持ちよくなりたくないってそういう話? 感じさせられて頭真っ白になって、何口走るか怖いから嫌だった?」
「まぁ、それも理由の一つでは、あります」
「理由の一つ、ね。まぁでも、わかった。お前が思わず何か言っちゃっても、聞かなかったことにすれば、お前に優しく触ってもいいんだな?」
「はい」
 どうしても引かなかった彼がようやく折れたようにも見えるし、話し合った結果互いの妥協点がそこになったというだけなのかも知れない。それでもまだ何かが引っかかっていて、再度彼を抱くことに躊躇いはあった。
 しかしこれ以上こちらも、嫌だダメだと言えそうにはない。
「なら、もう一回お前に突っ込むけど、いろいろ落ち着いちゃった後だから、キスから再スタートね。腕緩めて頭上げて?」
 抱っこしてあやし続けていた時間が長くて、さすがにだいぶ興奮が冷めていた。
 はいという言葉と共に、ゆっくりと肩口に押し当てられていた頭が上がる。そっと触れた唇は柔らかで、こちらを受け入れる意思を示すかのように、既に薄く解けていた。

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別れた男の弟が気になって仕方がない18

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 まさか、あやまって引き止めるまでしたのも、どうにかして再開して欲しいと思っていたからなのだろうか。なぜこんなにも諦め悪く続きを望まれているのか、さっぱり理由がわからない。
「気持ちよくなれない、感じさせられたくない、そんなセックスをまだ続けたいって本気で言うの? 奥まで激しく突かれてみたいって興味なら、少しだけど一応はそれだって叶えてあげたよね?」
 あまりに苦しそうだったから、そこまでガツガツと激しく突き上げたわけではないし、その状態を長く続けることもしなかったけれど、それでも確かに、奥を突く真似事はしていた。
「まぁ、お前があれをどこまで認識できてたかはわかんないけど。奥の方ゴリゴリされて、かなり苦しそうに悲鳴あげてた自覚、少しくらいはない?」
「あり、ます……けど」
「どこまで聞こえてたか知らないけど、俺が何言っても必死に首振って嫌がってた自覚は?」
「あ、……れは……」
「ああ、まったく覚えがないって感じでもないな。つまり俺は、お前がめちゃくちゃ嫌がってたの散々見せつけられてるんだけど、そんな俺がもう一度、お前の奥深くをむりやり突き上げて泣かせてやろうと思う程の理由があるなら言ってみて」
 たとえどんな理由を言われても、さすがにもう一度彼を抱くのはむりだろうなと思いながら、彼の言葉を待つ。
「あなたに、そう見えなくても、」
 やがてゴクリと相手の喉が鳴り、それからつっかえつっかえ言いにくそうに、緊張を滲ませながら言葉を紡いでいく。
「酷くされて喜ぶ、性癖が、……ある、から……」
 大きくため息を吐き出した。
「そんな理由じゃ絶対無理。というかそれを信じろってのが無理」
 だって嘘だろの言葉には肯定も否定も返らなかったけれど、それこそが肯定でしかないだろう。
「じゃあ、本当に俺を、かっ、可愛いとか、好きだ、とか思って、くれてる、なら、俺の体でイッて欲しい……から」
 これはもしかして、精一杯のデレだったりするのだろうか。依然アイマスクは着けたままだが、まるで羞恥を隠すように肩口に顔を埋めてくる。おずおずと上がった腕は、縋るように抱きついてくる。
「じゃあ、ってなんだ。じゃあって」
 ふっ、と笑うような息を吐けば、気持ちが幾分軽くなった。本当にそんな可愛い理由なら、もう一度抱いてやれそうだ。ただし、彼の望む抱き方は、やはりしてやれそうにないけれど。
「ただまぁ、その理由は最初のよりは随分マシだな」
「なら、」
「でもその理由なら、奥使う必要ないよな。お前が感じられる浅い場所をグチュグチュ擦りながら前扱いて、お前も一緒にイかせていいってなら、もっかい突っ込むのも有り」
「そ、っれ……は」
「うん。わかってる。そういうのは嫌なんだよな」
「いや……っていう、か」
 背に回った腕にギュッと力がこもった。それからしばし逡巡し、はぁああと大きく息を吐き出していく。
「言いたく、ない……」
「理由聞いたってこれ以上お前に酷いことしてやれると思えないし、まぁ、言いたくないなら言わなくてもいいよ」
「でも……」
「ほんっと諦めないな」
「さっき、強情なとこも、ス、……きって、言った」
「言ったけど。好きだけど」
 でも好かれてたって困るだけだろうに。
「それが嘘、じゃない、なら、このままぐずってたら、してくれるかも知れない、し」
 凄いことを言い出したなと思って、苦笑しかけていたものを吹き出してしてしまう。ふはっと息が漏れて、そのまま笑いだしてしまいたいのをどうにか堪える。
「しません。ぐずってもお前が諦めるまで、こうやってずっと抱っこしてあやされるだけだよ」
 言いながら、言葉通りあやすように背をさすってやった。半分嫌がらせ目的だったのに、甘えるように身をすり寄せてくるから、おや? と思う。
「嫌じゃないの」
「嫌ですよ。子供扱い最悪」
 でも迷ってるんですと続いた言葉に、何をと問いかける。迷ってると言うからこれもまた、言えないとか言いたくないという話かと思ったが、相手は割合すぐに口を開いた。
「理由言って、酷くして貰えるように頼むのと、気持ちよくされるのを受け入れて、もっかいして貰うの、どっちがマシか」
 本当に、とことん諦めが悪い。ここまでくると、なんだか絆されてしまいたくなる。
 そんな気持ちを振り払うように、先程見た、苦しげに悲鳴を上げて、頭を振って嫌がる姿を思い出す。あれをもう一度なんて、やはり勘弁して欲しい。
「理由聞いても、酷くしてあげられないってば。どうしても諦めないなら、後者にして」
「優しくされて、気持ち良くなって、あなたと一緒にイク。って方が、よっぽど酷い真似、ってわかってないから、そういうことが言えるんですよ」
「えっ?」
 ほらわかってないと言いたげに、相手の吐き出すため息が聞こえてきた。

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別れた男の弟が気になって仕方がない17

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 放しそこねていた手をそっと引き寄せる。ビクリと体を震わせた相手に、極力優しい声音を心掛けながらおいでと誘えば、もぞりと動いて引き寄せる力に従った。
「抱っこしていい?」
 嫌だとは返らなかったけれど、身を固くするのはわかってしまった。本当は嫌なんだろうなと思いながら、抱っこするよと宣言して更に相手を引き寄せる。身を固くしても逆らう様子のない、筋肉の乗った細い体を抱きしめる。宥めるように背を撫でても、相手は何かを警戒するように緊張しっぱなしだ。
 密やかに吐き出される息が、それでも時折、未だ泣いているのを示すように乱れている。
「なぁ、今お前、すごく緊張してるの、自分でもわかってるよな?」
「……はい」
「最初にキスしたときは、お前、こんな反応してなかったよ」
「それ、はっ」
 息が乱れて苦しげに喘ぐから、トントンと背中を叩きながら、無理に喋らなくていいから話を聞いてとお願いした。すぐに頷かれたけれど、乱れた息が多少落ち着くのを待ってから口を開く。
「別にそれがダメって話じゃなくてさ。セックスしてる間に嫌悪感湧いちゃったなら、それはそれでいいんだよ。初めてなのに、好きでも何でもない男に抱かれてるんだから。知識と実体験じゃどうしたって違うでしょ」
 やってみたら色々混乱したり、辛くなったりしても、それは当たり前の事なのだと、なるべく説教臭くならないように気をつけつつ言葉を紡いでいく。また、どこまでも保護者と言われるような事を話している自覚はあった。
「お前がどうしても、何が何でも今すぐ抱かれたいって言うから、今回はお前が俺を拒み始めてるのわかっててもお前の体拓いて突っ込んだけど、お前はセックスしたい抱かれたいって気持ちが強すぎて、自分の気持ちを蔑ろにしすぎだよ。あと、お前の年齢とか経験の無さ考えたらこれも当たり前なんだろうけど、お前すごく頭でっかちなの」
 問いかけというほどでもなかったが、男同士のセックスのやり方とか、そんな知識ばっかり詰め込んだんじゃないのかと言えば、腕の中から、そんなことはと動揺の滲む呟きが小さく返った。辛そうな呼吸はもう殆ど聞こえていないので、涙はだいぶ落ち着いていそうだ。それでもまた軽くポンポンと背を叩きながら、こちらも小さく笑って、それが悪いと言ってるわけじゃないし、知識はないよりあったほうがいいよと返す。
「ただ、知識は飽くまでも知識で、セックスって一人でするものじゃないからさ。セックスなんて十人十色で、基本的には相手と自分の、気持ちや性嗜好を摺り合わせてやってくものだと思ってる。俺にはお前が酷くされて喜ぶ性癖があるように思えなかったし、奥使ってってのも、なんか色々我慢して、すごく無理して言ってるように聞こえたよ」
 レイプされたいのとレイプでもいいのは違う。酷くされたいのと酷くされてもいいだって違う。ただし、明確な理由や拘りはわからなくても、無理して我慢して、それでも奥をもっと激しく突かれて何も考えられなくなるようなセックスを、本気でされたかったのだろうというのはわかっている。
「正直に言えば、お前のそういう無理してるようにみえるとこ、可愛いなって思う。せっかくストップワード決めたのに、あんなに泣かされてもそれ言わない強情なとことかも、けっこう好きだよ。だからお前が望むことはしてあげたかったけど、さすがにお前が望んでるからってだけで続けるには、理由が足りなすぎた」
「りゆう……が、足りない……?」
「そう。俺はお前を知らなすぎる。お前が誰でもいいから、どうしても早急に抱かれたい理由だって、結局聞いてないだろ。なんで善くもないのに奥まで使って欲しいのか、好奇心とかセックスってそういうものでしょって理由以外に何かあったとしても、俺はそれを知らない」
「りゆう……あれば、まだ、してくれるんですか?」
 それとも何を言っても今更で、本当にもう終わりなのかと、おずおずと繰り出される質問に少なからず驚かされた。

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別れた男の弟が気になって仕方がない16

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 驚きながらも咄嗟に、奥では気持ちよくなれないだろと返してしまえば、これ以上気持ちよくなりたくないという身も蓋もない言葉を、やはり苦しげな泣き声に乗せて吐き出してくる。更には、もう何も考えたくないのだとも。
 レイプでいい。苦しくていい。酷くしていい。だから奥を使ってください。と続いた言い分に、何も考えられなくなるくらい、先程のように追い詰めて欲しいという話なのだと理解する。
 なんとも寂しい話だ。
「俺に感じさせられるの、そんなに嫌?」
 驚きついでに腰の動きは止めていたし、先程も会話が成立していたのだから、こちらの言葉は理解できているはずだ。なのにしばらく待っても、嫌かどうかの返事はなかった。
「正直に嫌だって言っていいのに。お前さ、ちょっと変な方向に意地張りすぎてない?」
 否定も肯定もない。口を閉ざしてしまった相手が、何を考えているかなんてわからない。
 大きく息を吐いて、それからゆっくりと、埋めていたものをズルリと全て引き抜いた。
「え……っ?」
 小さく声を上げてから、途中ですっかり崩れるように伏せてしまっていた上体をゆっくりと起こす。相手の困惑と戸惑いははっきりと伝わっていた。
 四つ這いの状態に戻ってからも暫く迷う様子を見せて、それから腰を落としてその場に座り込むと、ようやくこわごわとこちらを振り返る。しかし当然その目はアイマスクで隠されていて、互いの顔を確認することは出来なかった。
 どうするのかと見守る中、相手の手がアイマスクへ伸びていく。迷い続ける相手の動きは鈍く、その手を掴むのは簡単だった。
「まだダメだよ。もう少し待って」
「な、……んで……」
 阻止されるとは思わなかったのか、声が不安げに揺れている。
「お前の泣き顔直視したら、これ以上酷いことは出来なくなるから」
「ぁ……おわり、じゃ……ない?」
 ホッとしたように息を吐くから、やっぱりまだ続けて欲しいのかと思って、また一つため息がこぼれ落ちた。
「終わりだよ」
 告げれば驚いた様子で息を呑んで、それから震える声が嫌だと吐き出してくる。
「どうして? とにかく抱いて欲しいってお前の希望は叶えてやった。間違いなく俺はお前の中に入ったし、お前はもう未経験とはいえない状態にある。なのにこのまま終わったらダメなの?」
「だ、って……まだ……だってそんな、」
 ひぅっと喉が鳴って、また泣かせたようだった。アイマスクを掛けたままにしておいて良かった。泣いている目元が見えなくてさえ、抱きしめてキスをして泣かなくていいとあやしたい衝動がこんなにも押し寄せている。
 そんな衝動をグッと飲み込んで、そっと深呼吸を繰り返した。
「俺が側にいたらずっと辛いままかな。少し一人にしようか」
「ぃヤダっっ」
 反応が返るとは思っていなかったし、返事がなければ部屋を出ていくつもりでいたのに、思いの外強い声が拒否を示す。
「まさかと思うけど、お前、俺の言葉は取り敢えず否定したい、とかでイヤって言ってんじゃないだろうな?」
 ありえそうだと自嘲していたら、もう一度嫌だと零した相手が、その後置いて行かないでと言ったようだった。
「なんだって?」
 何かの聞き間違いかと、思わず聞き返す。
「おね、がい。一人に、しないで。ごめんなさい。おねがい、おいてか、ないで。ごめん、なさい」
 聞き間違いではなかったらしい。あまりに驚いて、呆気にとられたまま相手を見つめてしまえば、視界を塞がれこちらの驚きには気付いていない相手が「ごめんなさい」と「おねがい」を何度も繰り返した。

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別れた男の弟が気になって仕方がない15

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 先ほどと同じように、苦痛を紛らわすように、快感を錯覚させるように、前に回した手で相手のペニスをゆるりと扱く。手で扱くだけなので、挿入で随分と萎えてしまっていたペニスに、かろうじて引っかかったままだったゴムは外してしまった。
 もちろんペニスを弄らず空いている方の手は、相手の肌の上を滑らせている。時折身を屈めて相手の背に唇を押し付け、舐めて吸って軽く噛み付いてやれば、フルリと震えながら幾分甘い声を漏らした。
 苦しさを紛らわすには、多少強い刺激がいいようだ。胸の先を弄って勃たせて抓りあげても、やはり鋭く甘い悲鳴が漏れる。
 それを可愛い声があがっているだとか、少しずつ気持ちが良くなってるねだとか、言葉によっても錯覚を与えていく。苦しくても気持ちがいいのだと、思わせていく。
 嫌がるように首を振ることはしても、なぜかもう、嫌だとも止めてともこぼれては来なかった。泣いている様子もほとんどない。
 だからといって喜び楽しんでいる様子だって欠片もないのに、まさか本当に酷くされるのが善いのかと思ってしまう。こちらが錯覚しそうになる。
 試しに尻でも叩いてやろうかと、チラリと過ぎった思考を振り払うように小さく頭を振った。
 自分の役割は彼を最後まで抱ききることで、初めての体にあまりムチャをさせることなく、彼がどうしてもと望む行為を終えてやることだ。たとえ酷くされてもいいから早く抱かれたいと言っただけで、彼が自ら叩いて酷く扱ってとお願いしてきたわけでなし、彼の性癖をアレコレ探って、無自覚かもしれないものを引き出す必要も、それを満たしてやる必要もない。
「奥の方も馴染んできたから、少し大きく動くよ」
 彼が頷くのは待たなかった。
 深く埋めたまま、小さく揺する程度にしか動かしていなかったモノを、軽く引き抜きまた押し込んでやる。それを繰り返す。
「あ゛あ゛あ゛ぁ゛っっ」
 苦しげな悲鳴があがるが、ナカが引きつるような抵抗はない。
「慣らしても今日すぐに奥で感じさせてはあげられないから、苦しいままでゴメンな。もう終わろうな」
 優しく語りかけても、ホッとする様子は見せなかった。それどころか嫌がるように首を振られて苦笑する。
 つまりこれはもう、こちらの掛ける言葉をほとんど理解していないと思って良さそうだ。こちらの掛ける言葉に、反射で首を振って嫌がっているのかもしれない。
 もしかして、嫌だとも止めてとも零せないほど、好きでもない男に抱かれて辛いとか悲しいとかの感情がわかないほど、泣くことも忘れてしまうほど、深い場所を慣らされ拡げられる行為に追い詰められていたのだろうか。
 徹頭徹尾強情で、むちゃをしたがる困った子で……
「お前は本当に、どこまでも可愛いね」
 ふふっと小さな笑いと一緒に零れ落ちた言葉にも、やはり嫌がる様子で頭を振られてしまう。
「残念ながら、どれだけ嫌がられても変わらないよ。俺の気持ちなんて要らないのわかってるけど、それでもお前が好きだよ。ゴメンね。もう終わりにするから、もう少しだけ、頑張ろうな」
 どうせ言葉の内容なんてほとんど届いていない。動きは少しずつ大きくしていたから、苦しげな悲鳴をあげ続けるのに必死だろう。それでもこちらの声に反応して、ブンブンと首を横に振るその姿が酷く痛ましい。
 さすがに可哀想になってしまって口を閉ざした。
 吐き出される声と息から苦しいばかりだとわかるから、少し大きめに抜いて、浅い場所から前立腺までを狙って擦りあげる。もちろん同時に、ペニスを握って扱いてもやった。しかし、甘い声と息が混ざるようになるまで繰り返せば、今度は嫌だと泣き出すから難しい。
 体の反応からはそこまでの拒絶は感じないけれど、もしかしなくても、相当嫌われてしまったのかもしれない。まぁ嫌われることそのものは想定内ではあるのだけれど。
「困ったね。どうしたら一緒に気持ちよくなれるだろうね?」
「おく、つか……って、ください」
 返事があるなんて思っていなかったのに、泣き声に混ざってそんな言葉が聞こえてきてビックリした。

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