可愛いが好きで何が悪い47

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「でも、イケそうだったでしょ?」
「いや、わからん。なんか凄かった、のはわかる」
 何かがせり上がってくるあの恐怖を、イキそうだったと思うにはいささかハードルが高い気がする。ついでに言うなら、激しすぎる快感は痛みに近い気もした。
「正直、あれを続けられても、気持ちよくイッた状態になれる気がしない」
「そ、そうなの?」
 意外そうな顔をされて、彼の想定とこちらの実感が合っていないようだと思う。
 彼からすると、気持ちよさにすぐにでもイきそうだった、とでも見えていたんだろうか。もしかしたら、辛そうな様子に止めてくれたのではなく、こちらが先に果ててしまうのを阻止するためにスイッチを切って抜いた、という可能性の方が高いのかも知れない。
「最弱で突っ込まれて、お前にあちこち触られてる時のがはっきり気持ちよかった」
「んんんっ、そっか」
 バイブよりお前がくれる刺激のが気持ちよかったと告げたようなものなので、嬉しかったんだろう。コンドームを装着するために相手はこちらから視線を外しているが、緩んだ頬も口元もこちらからは見えている。あと、声も少し弾んでた。
 なのに、装着を終えて顔を上げた相手は、キリッとすました顔を見せている。
「ふはっ」
「え、なんで笑われてんの?」
「んー、カッコイイな、って思って?」
「それ絶対嘘でしょ」
「いや本気」
 今から突っ込むよというこの状況で、さっき見せていた雄臭い興奮も、嬉しそうに脂下がったニヤケ顔もすっかり隠し切って、余裕そうな顔を見せられるのはやはり経験の賜物なんだろうか。
「お前にイイトコロ突かれてアンアンするのも有りかな、って思えるカッコよさ」
 これも本気には聞こえなかったようで、少し嫌そうに眉が寄る。その顔にやっぱり少し笑ってしまったけど、これも別にからかってるとかではなく本気だった。ついでに言うなら、これは自分自身へ覚悟を促す言葉でもある。
 そういう状態になることを、そんな姿を彼に晒すことを、もう、本気で疑ってはいなかった。
「そんな風に笑ってられるの、今のうちだけかもよ?」
 嫌そうに眉を寄せたのは一瞬で、すぐにまた余裕の顔を見せながら、ペニスの先端をアナルに押し当て挿入の体勢を取ってくる。本気でアンアン言わせる気なんだけど、という幻聴が聞こえる気がして、また笑いそうになるのをどうにか堪えた。
 堪えたが、堪えていることは伝わってしまったらしい。
「俺、本気だからね?」
「知ってる」
 腕を軽く広げながら相手に向かって伸ばせば、察した相手が前傾して身を寄せてくれる。その肩を掴んで引き寄せながら、自らも顔を寄せていく。
「期待も、してる」
 気持ち良くしてくれるんだろ、と、唇が触れる寸前に囁いて、相手の返事を待たずに塞いだ。
 相手の目が見開かれるのを間近に見て満足した後、そっと瞼を落としてキスに意識を集中させる。快感を拾って体の力を抜いていけば、布団に背が着くのとほぼ同時に口の中から舌が抜け出て、代わりとばかりにアナルにペニスが侵入してくる。
 さっきみたいに深呼吸したり、挿入のタイミングを図られることはなかった。
「あああっっ」
 閉じ忘れていた口からは少し大きめの嬌声が漏れていく。しかも今回は、そのままぬぷぷと一気に奥の方まで入り込んできた。
「うううっっ」
 口は途中で閉じたけれど、衝撃で声は飲みきれない。痛みではなく、既に充分に慣らされた穴が、あっさり快感を拾っていたせいだ。
「痛く、ないよね?」
 ほぼほぼ埋めきってやっと腰を止めた相手が、一応の確認という感じで顔を覗き込んでくる。その目を見つめて、気持ち口の端を持ち上げながら。
「きも、ちぃ」
 多分きっと狙った通り、ある程度ちゃんと甘やかに響いたと思う。
 相手がウッと言葉をつまらせてうろたえるから、してやったりと笑ってしまう。
「またそうやってすぐ煽る〜」
 へにょっと情けない顔を見せるから、しっかりしてくれと思いながら、ぺちっとその額を叩いてやった。
「期待してんだから、ちょっと煽られた程度で負けんなよ、俺に」
「無茶言わないで!」
「そんな顔ばっか見せてると、また可愛いって言いまくるぞ」
「それはヤダ」
 次は俺が可愛いとこいっぱい見せてもらう番でしょ、と言いながらゆっくりと腰を揺すられる。順番に可愛いを見たり見せたりする、という意識も認識もまったくなかったが、結果的にそうなりそうなのだからまぁいいか。

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可愛いが好きで何が悪い46

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 気持ちいいところを探すの言葉通り、こちらの反応を窺いながら施されるそれらに、体の熱はあっさりと昂ぶっていく。
 自慰行為をしないわけではないけれど、それでも多分、性欲は人より薄めという自覚があったのに。性欲の強弱と感じやすさはあまり関係がないらしい。
 つまりは想定よりも遥かに広範囲で、体は彼に与えられる快感を拾っていた。
 キスで口の中を探られたときも、彼の手で握られたときも、口でされたときも。恋人という関係になる前で、それなりに抵抗感や迷いがある中ですら簡単に興奮させられていたのだから、彼に本気で性感帯を探られたらこうなるって、ある程度は予想しておくべきだったのかも知れないけど。多分、キスや性器を直接弄られて感じるのは当然と思っていたのが敗因だ。
「ここも、気持ちぃの?」
 ひっくり返されて背中に唇を落とされながら、うっとりと甘やかな声が、熱い息と共に肌に触れる。それだけでもまた、ゾワッと肌が粟立つような、小さな快感が走ってしまうのに。
「ぁあっっ」
 右の肩甲骨の下辺りに硬い感触が当たって、軽く齧られる衝撃にこらえきれずに声を上げた。自分の声に思えないような、濡れて高い声音だった。
「ん、ふふっ、すごい、イイ声」
 嬉しそうな声は興奮を含んで、その周辺だったり左右を変えたりで何度か歯を立てられ、吸われ、その度に小さく「あっアッ」と声を上げる。少し慣れて声が出なくなると、また別の場所を探される。その繰り返しだ。
 感じて声を上げるたびに、腹の中に抱えたバイブを締め付けてしまうようで、最弱でも、イイトコロにピッタリと当たっていなくても、瞬間的に強い快感が走ることもある。彼に触れられている場所から発生する快感に、お腹の中から発生する快感が混じって、混乱するような追い詰められるような感覚もあった。
 物足りないとか、もっと強い刺激が欲しいとかではないけれど、もどかしさは感じる気がする。お腹の中がもやもやして、もっとはっきりとした快感が欲しい。
 もっと言うなら、射精がしたいというか、ペニスで快感を拾いたいのだと思う。
 ひっくり返された最初はべたりと腹側すべてを布団に付けていたが、快感に身を捩った際にペニスがシーツに擦れて気持ちよくなっている事に気づいた相手によって、早々に腰を持ち上げられている。一緒に弄ったらあっさり果ててしまうのがわかっているから、なるべくそこには触れたくないという意志は感じるし、こちらも耐えられるうちは耐える気でいた。
 けれどもう、いい加減、限界が近いのかも知れない。直接触られていないのに、こんなにも射精欲が募っている。
「お尻揺れてて可愛い。そろそろ物足りなくなってきた?」
「うひゃっ! あ、……あっ、ま、まって、それっ」
 そんなことを言われながら、掲げた腰に吸い付かれて変な声を上げてしまった。しかもバイブを握った相手が、確実に狙ってイイトコロに押し付けてくるから、腰どころか足が震えて崩れそうになる。
 しかし崩れる前にさっと相手の腕に支えられて、辛そうだから仰向けにと促されながら、再度ひっくり返された。
 体勢的には楽になったが、いつの間にやらすっかり雄臭い顔で興奮していた相手と顔を合わせることになり、さすがのギャップに思わず驚く。
「どうかした?」
「そういう顔、するんだ。と思って」
「そういう顔?」
「ギラついてる感じ」
「そりゃあ、好きな子が目の前で、俺の手で感じまくってるの見てたら、こうもなるでしょ」
 自分だけ焦らされてると思ってるのと言われて、相手も相当焦れているらしいのを知った。
「突っ込みたいなら、さっさと突っ込めばいいのに」
 後半は背中を向けていたから、嬉しげで楽しげでうっとりとした声ばかり聞いていて気づけなかった。楽しくて仕方がないからやっているのだと思っていたが、そんなに焦れていたなら、しつこくこちらの性感帯探しを続けずとも良かったのでは。
「情緒! ってかいい感じに感じてくれてるから、ここは頑張りどころだと思って」
「いい感じに? 頑張りどころ?」
 イマイチ意味が分からずに相手の言葉を繰り返しながらも、頭の中は疑問符が巡っている。
「自覚あるかわからないけど、間違いなく、お尻の開発進んでるから。どうせなら、俺にいいところ突かれてアンアンするのが見たいじゃん」
 ゲスな下心で焦らしまくってごめんねと、全く悪いと思って無さそうな顔で謝られてしまった。
 そういやさっきも、前立腺がちゃんと気持ちよくなれたら、後でいっぱい突いてあげるとかなんとか言っていた気がするが。
「初めてで、本当にそこまでなるのか?」
「多分。ちょっと、試してみようか?」
 何をと口に出す前に、相手の動きで何をするか察してしまう。バイブを握った手がイイトコロに押し当てつつ、最弱だった動きを強くする。
「ひっ、あ、ああああっっ」
 強い振動と激しめの伸縮に、悲鳴に似た嬌声が口から溢れていく。突然の激しい快感に、目の前がチカチカと明滅して、腰がガクガクと震えてしまう。
 しかし、何かがせり上がってくる恐怖にシーツをギュッと握りしめたところで、それらの動きは唐突に止まった。
「はぁ……はぁ……」
「ごめん、いきなり激しすぎたね」
 荒く息を吐きながら呼吸を整えていたら、謝罪の言葉とともに、腹の中からバイブが抜かれていく。

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可愛いが好きで何が悪い45

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「よしこい」
「気合い入りすぎでしょ」
 覚悟が決まったと知らせれば、そんな指摘とともにやはり可笑しそうに笑われてしまう。でも過剰だとは思わないし、それくらいの覚悟は必要だ。
 ただ、うるせぇと文句を言うつもりで開きかけた口は、けれどすぐに閉じてしまった。同時に、ギュッと目も閉じてしまう。
 そうして、腹の中で動き出した無機物に意識を集中する。
 バイブの動きは当然何段階もあって、さきほど彼に突きつけたときは振動も伸縮も最強モードにしていたけれど、今は間違いなく一番弱い振動だけのモードだろう。いいところに押し当てられたそれが小刻みに震えて、じわっとした痺れが腹の奥から広がっていくようだった。
「んっ……ぁ……」
 喘いでしまうような強い刺激ではなく、けれど間違いなく、じんわりと気持ちがいい。
「最弱なら平気そうだね。しかもちゃんといいとこ当たって気持ちぃんだ。良かった」
 嬉しそうな声が弾んでいるから、その顔が見たくて閉じていた瞼を押し上げる。目が合うと、うふふっと楽しげに笑われた。
「前立腺、ちゃんと気持ちよくなれたら、後で俺も、そこいっぱい突いてあげるね」
 期待いっぱいの嬉しそうな顔は、化粧を落とした素の顔でも悪くない。嬉しいなら良かったと素直に思うし、眼の前の相手が男の姿でも、だからなんだくらいにしか感じていないようだ。
 ただ、楽しみだねと言われても、それにはさすがに頷き難い。
「ばぁか、気がはえぇよ」
「そんなことないよ。だって中に気持ちぃとこあるの、はっきりわかってるんだから」
 場所も大体わかったし、あとは任せて。などと何やら自信有りげに告げられてしまったが、これもやはり素直に喜べはしない。
「いや、任せろったって……」
「俺に気持ちよくされるの、嫌がらないでくれればいいだけだよ」
「それが嫌だったら抱かれる側のセックスなんてしてないだろ」
「それはそう。ね、慣れてきたみたいだから、次、いくね」
 わかったと返せば、弱い振動はそのままに、中で伸縮が始まった。といってもこれも、一番弱い動きだろう。動いているのはわかるが、そこまで強い刺激ではなく、やっぱりじんわりとした痺れが腹の奥から湧き出ている。
 さっき目で見て知っている動きを、今、腹の中でされているのだと思うと、不思議な感動があった。
「はぁ……まじ、動いてる」
「それが感想なの?」
 またしても可笑しそうに笑われてしまう。
「気持ちぃのは? どう?」
 嫌な感じはしてないよねと聞かれて、じんわり気持ちぃと正直に答えた。
「もどかしいとかは? まだない?」
「んー……言われてみれば、もどかしい、のか?」
 いまいちはっきりもどかしいとは言えずにいれば、じゃあもう暫くはこのままにしておこうかと言って、相手が握っていたバイブから手を離す。
「あ……」
「良くなくなっちゃった?」
「あー……お前が持ってる方が、ちゃんと気持ちぃとこ、当たってたっぽい」
「やった。褒められた!」
 褒めたつもりはなかった。でもまぁ、これも相手のテクと言われれば否定は出来ない。
「でも暫くはこのままね。もっとはっきり物足りなくなったら、またしてあげる」
「で、その間お前は何すんの?」
 まさかの、玩具を突っ込んでの放置プレイか。と思ったのもつかの間。
「キスしたり、気持ちぃとこ探したり、撫でたり、舐めたり、まぁ色々」
 ちゃんと前戯っぽいことをもっといっぱいしたいと言われて、そういやさっきは穴を広げるのがメインで、とにかく体を繋げるのを優先するようなセックスだったのを思い出す。
 そうして、腹の中に最弱で動くバイブを抱えたまま、あちこち撫でられ舐められ、時々喰まれたり吸われたりした。

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可愛いが好きで何が悪い44

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 再度布団に寝転がって立膝で足を開き、その間に彼を迎え入れた。ただし今回はその手に、ゴムを被せて多めにローションを垂らされた、すっかり準備済みのバイブが握られている。
「そこまで時間経ってないからこのままいけるかな。もし少しでも痛かったら言ってね」
 ちゃんと解し直すからと言われながら、ピトリと尻穴に濡れた感触が押し当てられた。
「んっ」
「キスした方がいい?」
「や、いらない」
 そう返して、深めの呼吸を意識する。彼のペニスより確実に細いのがわかっているのだから、身構える必要なんてないと自分に言い聞かせながら、体のこわばりを解いていく。
「挿れてくね」
「ん……っ」
 小さく頷けばぬるっと入り込む無機物に、尻穴が広げられるのがわかった。痛みはやはり感じず、抵抗少なくぬるると入り込んでくる質量に、腰の奥からぞわっと広がる何かで腕のあたりの肌が粟立つ気がする。つまりは、多分、気持ちがいい。
「痛くない?」
「ちょっと変な感じは、する。けど、痛い、とまでは感じない、な」
「今、一応ほぼほぼ根本まで入ってるけど」
「うん」
 そこまで長さがあるわけじゃない商品なので、根本まで入っていると言われてもそんなに圧迫感は感じない。ただ、ベニスを模したディルドと違って、アナル開発用と思われる形状をしているから、中のイイトコロってやつに当たっているのかも知れない。
 指で散々弄られていたときも痺れるように感じる箇所は確かにあって、でもあれは広げるのが目的だったから、そこを執拗に弄られたりはしなかった。あのとき、そこをもっと強く弄られていたら、果たして痛いと感じたのか、気持ちいいと感じたのか。未知すぎて判断がつけられない。
 先程は奥の方を突かれてじんわりとした痛みを感じたけれど、今はそんなに深い場所には到達していないのに、もっと手前側でじんわりとした小さな刺激を感じている。痛いとまでは思わないが、そこを強く刺激されたら痛みを感じそうな不安がある。
「スイッチ入れる?」
「うーん……」
 腹の中で動くのを試したいと言ったのは自分で、そのために突っ込んだというのに、即答は出来なかった。
「もうちょっと馴染むの待つ? それとも、俺が動かしてみてもいい?」
「ゆっくり、動かしてみて欲しい、かも?」
「わかった」
 じゃあ動かすねの言葉とともに、バイブを小さく前後される。
「ぁ……」
 小さな違和感が途端に大きくなる気がして、けれどやはり痛いとまでは言えない。
「痛い?」
「いや。けど、なんか、へんなとこ、当たる」
「それって……」
「ぁ、……んっ……んぁあっ」
 角度を変えて揺するように前後させつつこちらの反応を確かめていた相手が、少し強めに押し付けてきたそこが、間違いなくイイトコロだった。
 ピリっと電気が走るような刺激に、少し高めの声を上げてしまえば、すぐに押し付けていた力はなくなって安堵の息を吐く。
「前立腺、かな」
「多分。てかお前、自分の前立腺って、弄った?」
「弄ってない。知識だけ」
 どうやらそこまで自己開発は進んでなかったようだ。というか、自身の前立腺がどこか、まだ見つけられていないらしい。
「で、どんな感じ? 噂通りすごく気持ちよくなれそうな感じ?」
「気持ちいいより、まだ違和感のがすごい。刺激が強すぎるっていうか」
「じゃあ、スイッチ入れるのはやめとく?」
「うーん……」
 せっかく試したくて突っ込んだのに、という気持ちでやはり迷ってしまう。
「とりあえずスイッチ入れてみて、無理そうならすぐ切ればいいんじゃない?」
「じゃあそれで」
「このままいいとこ、当たるようにしてスイッチ入れるけど、いい?」
「いい。けどちょっと待って」
 覚悟を決めるからと言えば、面白そうに笑われてしまった。想定してた玩具プレイと全然違うとかなんとか。
 さっきは、想定してたのと全然違うセックスをしたと言って呆然としていたのだから、彼の想定通りに行くほうがきっと稀だ。まぁこちらとしても、想定してたよりも不穏な気配になっているのだけど。
 たいして何も感じず、こんなもんかと終わるか、あっさり気持ちよくなって、さすが性玩具と思わされるか、そのどちらかかと思っていた。

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可愛いが好きで何が悪い43

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 自分だけイカされて終わりとか絶対ないと言い切った相手は、でも次は化粧を落とした素のままの自分で抱きたいという。
 可愛いと言われまくって愛しげに見つめられるのも、悪くないどころかグッと来るものがあったけど、興奮しきって馬鹿になってると自分が抱かれてるような錯覚を起こすことがあるから、らしい。
 こちらも、突っ込まれてるのに自分が抱いてるような錯覚は起きていたが、どうやらお互い様だったようだ。
 妙な錯覚を起こさない状態で、もう一度ちゃんと抱かせて欲しい。という訴えを嫌だと断る理由はない。
 しばらく待たされて、化粧を落として戻ってきた彼は、ほぼほぼ裸の腰タオル姿だった。しかも髪が明らかに湿っていて、伸びた髪はどうやら後ろで1本に縛られている。
「何一人でさっぱりしてきてんだよ」
「もうちょっとバス広かったら一緒に入ろって誘えたのにね」
「そういう話はしてないんだけど」
「うん。ただ、髪型崩れないようにある程度固めてたから、頭洗いたくって」
 化粧を落として髪飾りも抜いた状態で、髪だけゆるふわシニヨンが残っているよりは、確かにいいかもしれない。
「その髪、乾かさなくていいのか?」
「ある程度水気は切れてると思うけど、気になる?」
 早く続きって思って急いじゃったと照れ笑う。
 そっちはイッてすっきり出来たんだろうし、もっと余裕があってもいいんじゃないのか。そう思ったら、口から出ていた。
「一回イッてんのに?」
「あんまり待たせたくなかったの! てか、そっちはイッてないけど、待ってる間ムラムラしてたわけ?」
 自分だけ果てた後、恋人を長時間放置。というのは、確かになるべく避けたい展開ではある。そして、続いた言葉に関しては、こちらの言葉を受けて、そういう話じゃないでしょ的に口に出しただけなんだろう。だけど。
「ムラムラ……してたのかもしれない」
 言われてみれば、自分はイケずに中断したせいで、ムラムラしてたからかと合点がいってしまった。
「え、ムラムラしてた? マジに?」
「マジに。もしお前が戻ってくるのもっと遅かったら、これを尻に突っ込んでみてた可能性がほんのり」
 言いながら、近くに転がっていたバイブを手に取り相手に突き出す。更に、そのスイッチを入れてウィンウィンと動くさまを見せつけてやった。
 相手が目を大きく見開くのに満足して、スイッチを切った後は元通り近くに転がしておく。
「って、嘘でしょ!?」
 驚きに言葉を失くしていた相手が、ようやく声を上げた。まだその衝撃は続いているようだけど、こちらは至って冷静だ。
「無事にお前ので俺の処女は散ったし、もう無機物突っ込んでも問題ないかなと」
「本気で?」
「まぁ考えたのは事実だけど、イッて無くてムラムラしてたせいと言われれば、そうかもって思って」
「いやいやいや。ムラムラしてソレ突っ込むって発想になる? 待てなくて一人で抜いた、のがまだありえるって思えるんだけど」
「お前のナニがそこまで痛くもなく入った、って考えたら、ここに転がってるのも俺の尻の穴にすんなり入るんだよな。って思ったら、ちょっと興味がわいたっていうか、本物のバイブ初めて触ったし、腹の中でこんな動かれたらどうなるんだろう、みたいな好奇心?」
 いずれ自分が抱かれる側になるんだろうと一応知識は漁ったものの、実際に入手して体を慣らしておこうなどとは思わなかったし、彼女がいたのは高校時代で玩具の使用なんて考えなかった。つまり、バイブもディルドも、当然見るのも触るのも初めてなのだ。これはもう、完全に好奇心が勝っている。
 突っ込まれて痛くなかったどころかそこそこ感じられていた、という体験がもたらした気持ちの変化も、どうやらかなり大きかった。初めて手にした性玩具を前に、恋人に突っ込みたい欲求よりも、それが自分の体にどう快感を与えるかの方に興味が行っている。
「じゃあ、使ってみる?」
「え?」
「興味あるんでしょ。それがお腹の中でどう動くのか」
「いやでもお前、早く2戦目したくて急いで戻ってきたんじゃないわけ?」
「うん。だから、使われるのはそっちだけど、挿れるのは俺ね」
 二人でするならこれもセックスで、ただの前戯で、玩具使ったプレイ。と言い切られてしまうと、まぁそれもそうかと思わされる。

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可愛いが好きで何が悪い42

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 安堵と喜びを漏らしながら、良かったと言って足の間に収まった相手が、挿れるねとペニスの先端を穴へと押し当ててくる。
「あ、その前にキス、していい?」
 多分、触れたペニスの感触に身構えたのを察知したんだろう。へにゃっと笑いながら、許可される前提で前かがみに近寄ってくる顔に向かって手を伸ばす。
 正確には顔ではなく肩に向かって伸びた手は、無事に相手の肩を捉えた。引き寄せるのと同時に軽く上体を起こして、こちらからも顔を寄せていく。
 相手とのキスは気持ちがいい。与えられる快感に任せて体の力を抜いていけば、あっさり再度布団に背中が着いた。
「大丈夫だから、そのままで、ね」
 唇は離れてしまったが、まだかなり近い位置から見つめられつつ、甘やかな声が身構えるなと囁く。わかったと頷いて、身構える代わりになるべく深めの呼吸を心がけた。
 見つめ合う瞳の中、相手から愛しさが溢れて「んふふ」と小さな笑いがこぼれ落ちるのを聞きながら、相手の熱を体の中に受け入れていく。
「んんっ」
 大丈夫と言われた通り、広げられる穴に痛みは感じない。ただ指とは違う質感と質量と熱さに、とうとう相手のペニスを受け入れているのだという実感が伴って、ぞわりと肌が粟立っていく。
 散々しつこく慣らされた穴は、どうやらちゃんと快感を拾っていた。
「はぁ、……やっばい」
 ぬぽっと一番太い部分が入り込むのを感じれば、相手がそんなことを呟きながら熱い息を吐く。
「なに、が?」
「気持ち良すぎて、やばい。気持ちぃのと、嬉しいのとで、これ、持たない、かも」
 痛いとか苦しいとかはないかと聞かれて、むしろちゃんと気持ちいいと答えれば、そのままぐぐっとペニスが奥に潜り込んできて思わず呻いた。気持ちいいに反応してか、若干質量が増したような気もする。
「ううっ」
「ごめ、我慢できなくて」
 ほんとすごく気持ちよくてどうしよう、などと言いながら、また興奮しきって泣きそうな顔を晒している。今度は素直に、可愛いなと思ってしまった。
 バッチリ決めたメイクは汗でだいぶ崩れてしまったけれど。気持ちよくて幸せでたまらないと、とろけるような笑顔を見せているわけでもないけど。
 あちこちで揺れる髪飾りは彼にとても似合っていたし、気持ちよくて我慢ができないと泣きそうになった顔だって、間違いなく可愛いくて、愛しい。
 愛しさが、胸の奥から溢れてくる。
「んふっ」
「もういくらでも笑ってくれていいよ」
 ここまできてこんな情けない姿晒してごめんねと謝られてしまったので、可愛いからいいよと言っておく。まぁ、信じて無さそうだったけど。なんだかもう、愛しい気持ちは過ぎれば何でも可愛い、という境地に至っているんだけど、それを説明してやる気はさすがにない。
「てか、そんな気持ちぃなら先イッてもいいけど」
「さすがにそれは、って、ちょ、余計なことしないで。ちょ、もぅ、煽んないで!!」
 軽く腰を揺すってみれば、慌てた様子で相手が腰を掴んで止めてしまう。なので尻の穴を意識しながら力を込めたり弱めたりを繰り返してみれば、相手が情けない顔でやめてと懇願してくるので更に笑ってしまう。
 経験豊富なはずの相手が、こんなにも余裕をなくすとは思っていなかった。
「やっとやっと繋がれたんだから、もうちょっと堪能する時間ちょうだいよ。てかこんな気持ちぃとか聞いてないんだけど」
 はぁあと大きく息を吐き出すが、大げさなため息なのか、体の熱を少しでも吐き出そうとしてるのか、いまいち判別し難い。
「まぁ、俺も想像してたよりは全然苦痛感じてないどころか気持ちぃまであるけど、どう考えたって、お前がしつこく慣らした成果ってやつだろ」
「アナルセックス嵌るやついるのわかる気持ちよさ、ってのも間違いじゃないんだけど、したくてしたくてしょうがなかった相手と、今セックスしてるんだ、って高揚感もめちゃくちゃやばい」
 まぁそれもわからなくはない。したくてしたくて、とまでは思っていなかったけれど、慣らす段階で結構焦らされたせいか、ようやく繋がれたという安堵と喜びで気持ちが高揚しているのを感じている。それに加えて、相手がこんなにも余裕をなくして、気持ちがいいとか嬉しいとか言って興奮しきっているのを見せられているのだ。
 興奮は間違いなく自分だってしている。ただ、相手の方がより感じているのを見せられて、自分が気持ちよくなりたいよりも、もっと相手が気持ちよくなるところが見たい気持ちのが膨らんでいる気もする。
 この場合、相手が気持ちよくなるには自分の尻穴を使われることを意味するわけだけど、ここまでで酷い苦痛は感じてないので、多分、大丈夫なはず。ワンチャン、自分も一緒に気持ちよくなれるかもしれないし。
「お前が俺で気持ちよくイクとこ、早く見たい」
「ん?」
「2回戦無理なら後で手ぇ貸してくれればいいし」
 言いながら、緩んでいた手を振り切ってまた腰を揺する。
「にかいせん……」
「とりあえず、今は俺を気持ちよくしようとか考えなくていいから」
 お前がイクとこ見せてと再度ねだれば、なんでそんな事言って煽るのと、やっぱり泣きそうな顔で文句を言われたけれど。でも今度は腰を掴まれ止められるのではなく、足を抱えて更に腰を押し出してくる。
「ぐ、ぅっ」
 さすがに奥の方まで突かれるのは圧迫感で苦しかった。ほんのりと鈍い痛みもある。ただ、やっぱ待て、などと言う気にはちっともならない。
「ぁ、ごめっ」
「いーから。もっと、気持ちくなれよ」
「ううっ、こんな時までカッコイイ〜」
 ごめんもうホント我慢できない。すぐイクからちょっとだけ我慢して。でも早漏とか言わないでね。などと余計なことをベラベラと喋りながらも、だんだんと腰の動きが早くなる。
「ぁ、ぁっ、あっ」
 突かれる衝撃に合わせて、閉じきれない口から音が漏れていく。幸い、先ほど感じた鈍い痛みも、もうあまり感じない。
 もしかしたら、先程上げてしまった苦しげな声に、相手が加減してくれているのかも知れない。気にしなくっていいのに。
「ん、ね、ちょっとは気持ちぃ? いいの? 平気? 痛くない?」
 やはりこちらの様子を気にせずにはいられないらしい。だがその問いには答えず、突かれて漏れる声に混ぜて笑ってやった。
「ひどっ、もう、もうっ」
 不満げに頬を膨らませてみせるのですら、可愛く思える。ぺらぺらとあれこれ喋りながらも、結局ずっと腰の動きが止まらないのも、この快感に抗えないのが手に取るようにわかってなんとも愛おしい。
「かわいいから、だいじょうぶ」
「意味分かんないんだけど!?」
「お前がイクとこ、みたい」
 きっとめちゃくちゃ可愛い。そっと囁いた言葉は、きっと相手にも聞こえていただろう。もう、と再度不満げに漏らされた声が、なんだかさっきよりも甘く聞こえる。
「あっ、あっ、そんな言われたら、イク、いっちゃう」
 意図的にだろうか。しつこく可愛いと繰り返してしまったし、先程よりも明らかに高めに聞こえる声は、彼なりのサービスなのかも知れない。
 抱かれているのに、そんな声でイクと繰り返されたら、なんだかこちらが抱いているような錯覚さえしてしまいそうだ。
 不満げに膨らんでいた頬ももうすっかり引っ込んで、ひたすら快感に溺れる緩んだ顔をしている。
「ははっ、やっぱほんと、かぁわいい」
 こちらだって突かれて揺すられて喘いでいるのに、その合間に、口から気持ちと言葉があふれていく。愛しさで半分以上笑っていたと思うが、視線が絡んでも相手に不満そうな表情は浮かばなかった。それどころか、快感に浸った顔のまま、目だけが愛しげにこちらを見て細められる。
「だいすき」
「俺も、すき」
 伝わってくる愛しさに頷いて見せれば、その口からはもっと直球に想いがこぼれてきた。こちらも躊躇うことなく応じてやれば、今度こそ、とろけるみたいな笑顔になる。
「ああ、いいな、それ」
 その笑顔にうっとりと見惚れてしまえば、とうとう相手に限界が訪れたらしい。
「も、ほんと、イッちゃう」
「ああ」
 イケよと促せば、小さく頷いてぐぐっと腰を押し付けてくる。
「あ、でるっ、んんっっ」
 相手が小さく震えて、腹の中ではペニスが脈打っている。
「めちゃくちゃ気持ちよかったけど、想定してたのとなんか全然違うセックスした……」
 一息ついた後、呆然とそんなことを呟くように漏らした相手には、やっぱり笑うしかなかった。

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