雷が怖いので プレイおまけ10

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 剃り残しチェックついでにシャワーを浴びるという彼に、先に部屋へ戻るようにと言われてベッドに腰掛け待つことおよそ十分。お待たせと言って戻ってきた彼に、優しいキスをされながらベッドの上に押し倒された。
 少しずつキスが深くなって、彼の大きな手がバスローブの隙間から入り込んで、肌の上をさらりと撫で滑っていく。さわさわと柔らかなタッチだけれど、多くの毛を剃り落とした部位は執拗に、何度も手の平も指先も行き来する。
 それだけでも気持ちが良くて、うっとりと吐き出す息も、彼のキスと混ざって溶けていくようだ。
 一通り肌の上を滑った手が、ここが最後とでも言うように、開かせた足の間に入り込んで尻の谷間とアナル周りを撫で擽った。
「んっ、んんっ……」
 ビクビクと体が震えてしまうけれど、見越したように深く深く口付けられていて呻くことしか出来ない。深い口付けで頭の中は霞みかけているのに、期待でアナルがヒクついているのがわかる。指先が入ってくる気配なんて欠片もないし、ただの確認作業だともわかっているのに、わかっているからこそ焦らされて体が熱を上げていく。
「どこもかしこもツルツルすべすべの、可愛い体になってるな」
 満足気な声にホッとしながら、ようやく開放された口で大きく何度も息を吸った。そうしている間に、肌蹴て乱れたバスローブを脱がされてしまう。
「剃ったところを舐められながら、うんと焦らして欲しいんだっけ?」
 フフッと漏れた笑いにゾクゾクする。はい、と返す声が微かに震えてしまったのは、きっと期待だった。
「エッチで可愛い悪い子だね。じゃあ、自分からうんとイヤラシくて可愛らしいおねだりが出来るまで、たっぷり焦らしてやろうな」
 気持ちイイことを覚えた体がどこまで我慢できるか楽しみだと言いながら、右腕を取られて持ち上げられる。晒された脇の下に彼の頭が近づく気配だけで、全身をさざなみのような快感が包んでいく。
「ふ、……ぁ……ぁあ……あんっ」
 舌がゾロリと肌を這う。脇の窪みを抉るように舌が穿って、時折吸い付かれて、引っ張られた肌を柔く唇で食まれたり、歯で甘噛される。大きく喘いでしまうほどの鋭い快感は走らないけれど、ずっと大小様々なゾワゾワが体中を巡っているから、戦慄き肌も粟立ち続けている。
 もちろん、右が終われば次は左だ。
 時折口を離した彼に、可愛い声だと言われるたびに、漏らす声が甘ったれていくのはもちろん自覚していた。体中を巡るゾワゾワが徐々に腰に集まって、ペニスが張り詰め先走りを零していることも、言われるまでもなくわかっている。
「ツルツルの脇の下舐められて、子供が甘えるみたいな可愛い声漏らしてるくせに、おちんちんは凄いことになってるな」
「ヒャうっ」
 からかうみたいに先走りを零す先端を指先でチロッと撫でられて、咄嗟に上げてしまった声はビックリするほど高音で、彼は楽しげに笑いながら今のは凄く可愛い声だったと言った。
 可愛い可愛い子供みたいと繰り返されて、仕草も声も、彼によって幼く変えられていく。
「このままもっと可愛くなろうな」
 言いながら、彼の指先がまたペニスの先端に触れた。先走りを掬い取り、その滑りを使って塗り広げるように、先端をくるくると撫でてくるから慌ててしまう。
「ぁ、あっ、ダメっ、それダメぇ」
 すっかり甘ったれた声を発しながらイヤイヤと首を振ればすぐに指は止まったけれど、意地の悪い声が何がダメかと聞いてくる。わかっているくせに。つまりは言わせたいのだ。

続きました→

 
 
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いくつの嘘を吐いたでしょう

 腹が減ったけれど自宅にまともな食材もなく、買い出しついでに何か食べてこようと外に出る。取り敢えず先に腹ごしらえからだと、駅前にある食券制の蕎麦屋に入った。
「あ、財布……」
 食券機の前に立ってから、財布を忘れてきたことに気づいて肩を落とす。これじゃあ何のために家を出たのかわからない。
 何やってんだろうと恥ずかしく思いながら踵を返した所で名前を呼ばれて、恥ずかしさから俯いていた顔を上げた。そこには会社でお世話になっている先輩が、片手を上げながら笑っている。
「あれ? 先輩?」
「なにお前、財布ないの?」
「あ、はい。てかどうしたんですか、こんな所で」
「天気いいから花見でもと思って、ふらっと電車乗って、ふらっと降りた。ら、ここだった」
「ああ、なるほど」
 駅近くにけっこう立派な桜並木が有るので、電車からそれを見つけて降りてきたってことなんだろう。
「おう。で、お前はなんでここ居んの? お前んちってこの辺だった?」
「はい。徒歩10分くらいですかね」
「へー。なら、今から戻って財布とってくんの?」
「あー……それは、」
 往復20分かけて、もう一度食べには来ない気がする。店員さんにさっき財布忘れた人だと思われそうで恥ずかしい。
 買い出し気分で出て来たけれど、再度家を出る気になるかすら怪しかった。ちょっと何かを失敗すると、やる気が一気に削がれてしまうのは良くない傾向だとは思うけれど、帰ったらそのまま引きこもってしまいそうだ。
 食料がないとはいっても、多分カップ麺の1個や2個は残っているはずだから、今日はそれを食べて凌げばいい。
 なんていうこちらの思考を読んだのかはわからないが、財布を手に先輩が立ち上がる。
「奢ってやるよ」
「え?」
「ここで会ったのも何かの縁だろ。で、暇ならちょい花見に付き合って」
「あ、はい。じゃあ、えっと、ゴチになります」
 軽く頭を下げて了承し、蕎麦を食べたあとは近くの桜並木を眺めながら歩いて、とりとめのない話をした。
 財布を忘れなければ、蕎麦を食べた後はスーパーに寄って買い物をする予定だったとは話したが、まさかそのまま一緒にスーパーへ行くことになるとも、自宅アパートへ先輩を連れて帰る事になるとも思ってなくて、我ながらビックリだ。
「なんもない上に狭いすけど、どうぞ」
 丁寧におじゃましますと告げてから、後ろについて上がってきた先輩は、チラッと部屋を見回した後で綺麗な部屋だなという感想をくれた。
「綺麗つーか、物が少ないつーか、なんか、めっちゃお前らしい」
「そーですか? まぁ、適当に座ってて下さい」
 買ってきた冷蔵品を冷蔵庫へしまいながら、同時に買ってきた惣菜を温めたり、箸やグラスを用意していれば、手持ち無沙汰だったらしい先輩が何か手伝うと言いながら寄ってくる。
「じゃあこれ、お願いします」
 言いながら、出していたグラスと箸を渡せば、先輩は機嫌良くそれを受け取り戻って行った。それを数回繰り返して、最後に、最初に冷凍庫に突っ込んだビールの缶を持ってテーブルにつく。
「お待たせしました」
「おう、じゃあ飲みますか」
 最初はこのまま飲みに行かないかという誘いだったはずが、気づけば家飲みしようという話になっていて、買ってきたツマミと酒は先輩の奢りだった。最初に飲む用の2本は冷凍庫へ入れたが、残り4本は冷蔵庫に入れてある。
「あ、待って下さい。先に立替分払います」
 ツマミと酒は奢りでも、それ以外にもあれこれ買っている。飲み始める前にそれらを精算しておくべきだろう。
「あ? あー、いやいいよ。買ったもん全部奢りで」
「へ? なんで?」
「臨時収入あったから? 飲み行こってのも俺の奢りでって言ったろ。それなくなった分。飲み行ってたら絶対もっと掛かるし、場所代てことで」
「え、ならもっと色々買い込んでくればよかった」
「そりゃ残念だったな」
 そうならないように今言ったんだと言って、先輩がやっぱり機嫌良く笑った。もともと愛想の良い人ではあるけれど、今日は会ってからずっとニコニコと笑いっぱなしで、よほど良いことがあったらしい。
「今日、随分機嫌いいですよね。臨時収入って、もしかしてパチとかお馬さんとかそれ系で大勝ちとかっすか?」
 驚いたのか少し目を瞠った後、それからおかしそうに笑って、パチでもお馬さんでもないけど大勝ちで機嫌がいいのは当たりだと言われた。
「宝くじ、競輪、競艇。あ、パチじゃなくてスロットとか」
「違いますー。そういうギャンブルやりませーん。つか今日、何の日かお前わかってる?」
「え?」
「エイプリルフール」
「が、どうかしました?」
「お前に会いに来たんだよ。で、お前呼び出す前にお前と会えて機嫌がいい」
「は? なんすかその嘘」
「うん。実は今日、俺はお前にたくさん嘘ついてるって話」
 だってエイプリルフールなんだもんなどと言って笑っている目の前の男は、既に酔っているようにも見える。まだ飲み始めたばかりなのに。
「さて、俺は今日、いくつお前に嘘を言ったでしょう?」
 どれが嘘だったと思うかなんて聞かれても、正直面倒くさいだけだった。
「そういうの面倒なんでいいです」
 ばっさり切り捨ててしまったけれど、そう言うと思ったと言って、やっぱり先輩は機嫌良さそうに笑っている。
 嘘つく張り合いのなさが良いなどと言われるのはなんとも微妙だったけれど、機嫌の良い相手と飲むタダ酒は美味しかったから、またお前とこんな風に飲みたいという言葉にも頷いた。
「今の、嘘じゃないけど」
「俺は今日、先輩と違って一つも嘘吐いてないんですけど」
 少々ムッとしつつ返せば、先輩は酔っていささか赤い顔をますます赤くして、どこか照れくさそうにヘラリと笑う。
「お前のそういうとこ、割と本気で、好きだなって思うよ」
 可愛いねなんて続ける口調はなんとも嘘っぽくて、でもなぜか、それも嘘ですよねとは聞けなかった。

 
 
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ヘッダー用SS

 追い詰められた壁際で見上げる相手の顔は怒ったみたいに真剣で、ああやっと落ちたのだと、胸の鼓動が興奮と歓喜で早くなる。うるさいくらいに高鳴る心臓を気取られないように、相手の目をまっすぐ見つめ返しながら、ゆっくりと十度ほど左へ首を傾げてみせた。
 あざとくたっていい。相手は馬鹿じゃないから、きっとわざとだって気づいているけど、それでいい。自分の利点は最大限に利用して、相手の視覚へ訴える。
 頭一つ分違う身長差も、一回り近く違う年齢差も、女みたいだと言われる比較的整った顔も、自分にとっては武器だった。というよりも、武器にするしかなかった。
 親元を離れて暮らす自分にとって、彼は兄のようであり、時には親代わりも努めてくれるような酷く親しい存在だけれど、血の繋がりは一切ないし恋愛感情を抱いていいような相手でもない。それでも、どうしても、彼のことが欲しかった。彼の特別が欲しかった。
 使えるものは全部使って、思いつく限りの誘惑をしかけて、躱されて、躱されて、でも諦めずにしつこく纏わりついたから、ようやく相手も観念したらしい。
「怖い顔してどうしたの?」
 落ちた、とわかっていながらも、決定的な言葉を欲しがって尋ねた。でも相手は言葉では返してくれなかった。
 言葉はくれなかったが、顎を捕まれ固定される。意外と手が早い。なんてことを思いながら、相手を見据えていた目をゆっくり閉じた。
 近づく気配と、重ねられる唇。すぐに離れてしまう気配を追いかけるように、閉じていた瞼を押し上げる。相手はやっぱり、怒ったみたいな顔をしていた。
「これで、満足だろう?」
 唸るみたいな声が吐き出され、怒ったみたいな顔は少し歪んで、なんだか泣きそうにも見える。こんな自分に惚れられてしまったせいで、彼の人生はきっとメチャクチャになっただろう。
 可哀想にと思う傍らで、彼の特別を半ば強引に奪うのだから、なにがなんでも幸せにしてあげようと思う。絶対に後悔なんてさせない。
「うん。でも、満足には全然足りないよ」
 欲深くてゴメンねとまったく悪びれずに言い捨てて、両手を相手に向かって伸ばした。襟首を掴んで思い切り引き寄せ、同時に踵を上げて背伸びして、相手の唇を奪ってやった。

 
 
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雷が怖いので プレイおまけ9

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 今夜は剃ってしたいと言ったら、相手はおかしそうに笑って、もしかしてパパって呼んでくれる気になったのかと聞いた。昼間彼からの提案をあんなに嫌がったのに、自分からこんなお願いをしているのだから、当然言わされる覚悟は出来ている。
「呼べってなら、呼びます、けど」
「けど、なに?」
 もちろん抵抗は有るし、自分から進んでパパなんてとても言えそうにない。だから出来れば、冷静さなんて欠片も残ってないほどドロドロに気持ちよくなってしまった後に、彼の誘導で言わされたい。
 そう言ったら、やっぱりおかしそうに笑いながら、そんなプレイはしなくていいよと返された。
「本気でお前にパパって呼ばれたかったわけじゃない。お前が思う以上に、ちゃんと俺も楽しんでるって言ってるだろ。そう心配すんなって」
 なんでこんなことを言い出したか、わかっているというような口ぶりだ。
「でも、俺はっ」
「もちろん、お前が本気でしたいならする。ただ、俺に気を遣って言ってるなら必要ない。お前が本当にしたいこと、して欲しい事を言えよ」
 そのためにある日なんだからと言われて、わかってますと返す声は間違いなく緊張が滲んでしまったけれど。
「したい、です。全身ツルツルの体になって、あなたに、子供みたいに、扱われたい」
 自分から積極的にやりたいなんて思ってないはずだったのに。そう言ったはずなのに。そう思うと、声が微かに震えてしまう。
 かつての言葉を翻して、しかもこんなことを自らねだるなんて、彼はこんな自分にどう思うんだろう。こちらの本気は絶対に伝わっているはずだけれど、それを喜んでくれるのかはさっぱりわからない。
 実際、目の前の彼は、少し驚いた様子で言葉をなくしている。やっぱり本気で望んでいるとは思っていなかったんだろう。
 今夜彼と、そういう遊びをしたいのは事実だ。だけど本当に望んでいるのは、あの夜楽しげだった彼の姿をもう一度見たいという方だったから、こんな風に誘っても、同じように楽しんで貰える自信がなかった。
 羞恥と緊張と後悔とがぐちゃぐちゃに入り混じって心臓が痛かった。でももう言ってしまったから、彼がその気になるように、更に言葉を重ねていくしかない。
「ツルツルで子供みたいで可愛いって、いっぱい言われながら、毛を剃り落としたところをしつこく舐められて、焦らされて、おっ……、おちんちんも、気持ち良くしてって、おねだりしたり、そういう、子供になりきる、遊び、を今日はしたい、です」
 あの夜を思い出しながら、期待を込めて相手を見つめる。相手は驚いた顔を苦笑に変えて、それから優しい声音でわかったと言った。
「それがお前の望みなら、望みどおり、今夜はお前を子供みたいに可愛がってやる」
 その言葉にホッと安堵したのも束の間、それで準備はどうすると聞かれて首を傾げる。
「準備?」
「俺の手で、子供の体にされたいかって話」
「ああ、もしかして、俺が自分で剃ってくるのもありなんですか?」
「まぁな。でも子供みたいに扱われたいってなら、中洗うのもまとめて、今日は最初っから俺が全部やってやるのも悪くないよな」
「は? ちょ、えっ、ナカ?」
「お前は飲み込みがいい良い子だったから、結局目の前で排泄させたことはなかったけど、」
「自分で! 自分で剃ってきますから、子供扱いはベッドの中だけでっ」
 相手の言葉を遮るみたいに慌てて言い募れば、相手はニヤニヤと含み笑いたっぷりに、お前は本当にいつまでも可愛いねと言った。
「第四土曜だから気を抜いて発言してるってならいいが、バイトの時のおねだりには気をつけろよ。まぁ、俺としては、お前の迂闊さはバイトの時こそ歓迎だけど。あと、剃り残しのチェックはするから、一通り準備終わったら一回呼んで」
 準備しておいでと促されて、逃げるみたいにバスルームへ向かう。からかわれたというよりは多分結構本気で、それこそバイトの時だったらそのまま実行されるか、少なくともこんな簡単には逃して貰えなかっただろう。
 一人になって、大きく安堵の息を吐く。簡単に逃してもらえたこともだけど、なにより、彼が楽しげだった事が重要だった。

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体調不良につき一回休み(雑記)

花粉か気圧か風邪か原因はっきりしないけど、頭痛とだるさがキツイので、本日更新お休みします。
元気とやる気次第でもしかしたら明日更新するけど、今の体調だと次の更新は明後日になりそう。

 
 
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雷が怖いので プレイおまけ8

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 どれだけこちらが贅沢し過ぎでサービスされ過ぎって思ってたって、彼はちっともそう思っていないし、彼の中での第四土曜日の扱いは変わりそうにない。かといって、嬉しい気持ちを隠しきって嫌がるなんて真似はしたくない。つまらなくて無意味で苦痛だなんて演技をしたって、彼を騙せるはずがない。でも騙せるわけがないからって理由よりも、この時間を喜び楽しんでいる自分自身を否定するようなことをしたくない、という理由のほうがはるかに大きかった。
 ただただ、どうしても貰いすぎだと思ってしまう分を、自分も彼に何かしら返したいと思っているだけなのに。旅行に付き合ってって話さえも、結局は彼自身ではなくこちら基準の場所選びだったし、いくら彼が自分の気持ちを優先したって言ってくれても、そんなの自分が嬉しいばっかりだ。
 そうすると、自分から彼が喜んでくれそうなプレイをねだってみる、というくらいしか思いつかないのだけれど、それもなかなか難しい。そもそも、自分からこういうプレイをして下さいなんて言ったことがなかった。
 言われるまま可能な限り従って、彼の与えてくれる羞恥や快感に身を委ねるようにして、泣いて善がって痴態を晒せば、彼はだいたい楽しげで満足そうにしてくれる。彼の不興を買いそうなことなら、経験的にある程度思いつくけれど、逆にこちらがねだって彼が喜んでくれそうなプレイなんて思いつかない。
 そう、思っていたんだけれど。
 チビの童顔なせいで実年齢より大きく下回って見られることは確かにあるのだけれど、昼間ふらっと立ち寄った店舗で、彼と親子に間違われたのは正直言ってショックだった。色々気にかかることや考えてしまうことはありつつも、やっぱり彼との旅行という部分ではしゃぎ過ぎていたのは認める。だから余計に子供っぽく見られたんだろうことはわかっているが、その事実すら動揺を加速するようだった。
 しかし、慌てて違いますと言ってしまったのは、失敗だったのかもしれない。ただでさえ実年齢に差があって、その上でこちらのこの見た目だから、親子じゃないならかなり不審な組み合わせに見えてしまう可能性を失念していた。どう考えても友人には見えないだろうし、実際友人と言えるような関係じゃない。でももちろん、愛人ですなんてもっと言えない。
「俺たちそこまで年の差ないですよ」
 どうしようとますます慌ててしまう中、横から彼の声が聞こえた。思わず見上げた横顔は少し胡散臭い笑顔を貼り付けていたけれど、それを胡散臭いと思ってしまうのは、自分が彼の優しい笑顔も楽しげな笑顔も意地悪な笑顔も知っているからなんだろう。
 結局、自分たちを親子扱いしてきた店員さんは、兄弟って事で納得したらしい。いやそれもだいぶ違うけれど。でも肯定も否定も返さない彼を見ていれば、さすがに、兄弟と思われるのがこちらにとっても都合がいいというのは理解できた。
 ただ、この件は自分にとってはショックなばかりの出来事だったけれど、彼にとってはそうでもなかったらしい。
 店を出た後ホッと安堵の息を吐いた自分と違って、彼は随分と楽しげに、お前が否定しなきゃ親子で通しても良かったのになんて言っている。
「いくら俺の見た目がガキ臭くても、さすがに小学生に間違われたことはないんですけど。中学生にだって殆ど間違われませんけど、仮に中学生の父親って考えても、あなたじゃ若すぎでしょう」
「俺が老けて見えた可能性もある。っつーか、どっちかっつったら距離の近さの問題だと思うけどな」
 チラリとこぼれた、立場が変わると見えるものも随分変わるもんだなと言う言葉に、つい彼の過去を思い浮かべてしまったけれど、本当にそれが関わっている発言なのかは良くわからなかった。彼の過去の話は聞いてるだけで苦しくなるようなものが多いから、親子に間違われたことを明らかに楽しんでいる様子の彼と、頭の中で上手く繋がりそうにない。
「距離の近さ?」
「実際の関係考えたって、兄弟てよりは親子のが近いっつーか、経済援助してくれる男性探すのをパパ活とか言うらしいし、どう考えても兄ってよりはパパがのが正解だろって事」
 ちょっとパパって呼んでみるか、なんて事をニヤニヤ顔で言われたって、従えるわけがない。お父さんなんてもっと嫌だし、親父も絶対無理。
 ムリムリムリと言い張っても相手は残念だと言いつつも楽しそうに笑っているから、多分からかわれているだけなんだろうけれど、ふと、以前ホテルに宿泊した際に全身剃られて甘やかされたというか、子供みたいに扱われた夜があったことを思い出す。第四土曜日としては珍しく、あれは彼の遊びに付き合ってのプレイだった。

続きました→

 
 
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