弟の親友がヤバイ(目次)

キャラ名ありません。全10話。
弟の親友(高3)×社会人(視点の主)。5歳差。
弟とその親友が中学2年の時に、弟に手を出さないようにと釘をさしつつ軽く手を出した(手コキした)ら、弟の親友に恋されてしまった話。
親友がその恋を拗らせまくって、主を縛って手や口でイかせようとしたり、脅して抱こうとしたりして失敗。
弟から真相を聞いた主が、結果的には親友と恋人になります。

下記タイトルは内容に合わせた物を適当に付けてあります。
エロ描写は控えめで挿入はなしですが、それっぽいシーンが含まれるものにはタイトル横に(R-18)と記載してあります。

1話 四年ぶり
2話 気付けば拘束
3話 勃たない(R-18)
4話 抱かれる覚悟
5話 翌朝・弟来襲
6話 弟に話す
7話 弟に聞く
8話 弟の親友と話す
9話 ホテルチェックイン
10話 恋人に(R-18)

恋人になった二人が初エッチする続編が出来ました。
続編 親友の兄貴がヤバイ

 
 
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HOME/1話完結作品/コネタ・短編 続き物/CHATNOVEL/ビガぱら短編/シリーズ物一覧/非18禁

童貞が二人 1

 小さな部屋の真ん中で、成人したばかりとはいえとっくに成長期を終えたそこそこ大柄な男性二人が顔を突き合わせ、二人の間に置かれたゴムとローションとイチジク浣腸を持て余すように見つめる図というのは、なんとも情けないよなと内心思う。
 この後やることはわかってる。知識は一応ある。問題は、どっちがどっちの役をやるかという点だ。
 男同士ではあるけれど、いろいろと紆余曲折あって恋人となったからには、やっぱりセックスだってしてみたい。キスをして、互いの体に触り合って、それだけでも充分に気持ちいいけれど、出来れば好きな人と体を繋げる経験をしてみたい。
 そこまでは互いの気持ちを確認済みだった。二人共がそう思っているなら、これはもう、やるしかないだろう。
 場所は一人暮らし中の相手の家だ。実家から通学圏内の自分と違って、彼は大学近くに下宿している。恋人という関係になる前から、たびたび遊びに来ていた彼の部屋は、割と立地が良い。しかも居心地がいい。思うに、この部屋の存在がなければ、今の関係もなかったかもしれない。
 男二人でラブホという勇気はないので、片方だけでも一人暮らしをしてて本当に良かった。キスも、触りっこも、初めてはこの部屋の中でだった。いやまぁ初めてだけじゃなく、キス以上のことをこの部屋の外でやったことはないけれど。
 だから二人でワーワーギャーギャーマジかよって言いながら方法を調べて、ジャンケンで負けたほうが必要な物を買いに薬局まで行って、でもそこから先が問題だった。
 互いに相手を抱く側になりたいその理由は明白だ。
 童貞に抱かれるなんて怖い。この一言に尽きる。でもお互い童貞だから、相手に強気で出ることも出来なかった。
 自分が傷つくのはもちろん嫌で、でも相手を安心させるだけの材料もない。
「ジャンケン……とか?」
 それで負けたからってちゃんと覚悟が決まるかは甚だ疑問だと思いながらも、このまま二人黙りこんでいても埒があかないと口に出してみた。
「それもありっちゃありだけど、それよりさ、やっぱ上手い方が抱く側になるのが良いと思うんだよな」
「どう判定するんだよそれ」
「そう。俺はそれをずっと考えてた」
 お前、黙ってる間そんなこと考えてたのか。てかそれを言うってことは、何かしら判定方法が見つかったってことなんだろうか。
「それで、結論出たのか?」
「うんまぁ、考えた中で一番良さそうなのはさ、同時に相手のケツ穴弄り合って、先に気持ちよくなったほうが入れられる側。ってのなんだけどどうだろう?」
「っ……」
 かなり想定外の返答に、思わず言葉に詰まってしまった。
「あ、やっぱドン引き?」
 苦笑顔に、うううと唸る。互いに互いのを握って扱き合うのの、アナル弄り版って事らしいが、どうなんだそれ。そんなのってありなの?
「ジャンケンする?」
「ちょっと待って。考えてる」
「俺、お前のそういうとこ、ホント好き」
 へへっと笑った顔が近づいて、軽いキスを一つ奪っていく。
「即バカ言うなって言わないで、一度はちゃんと考えてくれるとこ、好き」
「俺はお前の、その突拍子もない発想が、好きだから」
 口に出したら、なるほどと何故か自分の言葉に納得してしまった。
「ん、じゃあ、取り敢えずそれ、試してみるか」
 言えば相手が嬉しそうに、そして幸せそうに笑ったから、多分これで良かったのだろうと思った。

続きました→

 
 
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思い出の玩具

 小学四年生の秋ごろまで住んでいた市にある大学への進学が決まった時、昔の友人知人に会えたりするのだろうかという期待はした。少し珍しい苗字だから、覚えてくれている人だって居るかもしれない。
 そんな期待はもちろん、大学生活に慣れるとともに消えていった。
 昔の友人と言ったって、引越し後にまで交流が続くような相手じゃなかったわけだし、小学生が大学生に成長したら顔でわかるなんてことも起こらない。そもそも同じ市内と言っても端と端ってくらい離れている上、最寄り駅だって違うのだから、それはもう昔住んでいた場所に戻ってきたとは言わないって事にも気づいていた。
 だから、バイト中に話しかけてきた客が、昔この辺りに住んでませんでした? と、昔住んでいた近辺住所を言った時には随分と驚かされた。肯定したら随分と嬉しそうに笑って名前を告げられたが、その名前には確かに聞き覚えがあった。
 相手は胸のネームプレートで気づいたと言ったから、バイト先がネームプレート必須で良かったなと思ったのを覚えている。
 その男にゆっくり話がしたいと誘われて、バイト後に近くのファミレスで一緒に食事をし、連絡先を交換した。
 それからは時々会って一緒に遊ぶようになった。相手はたまに、昔一緒に遊んでいたという他の仲間も引き連れてくる。とは言っても、昔話に花を咲かせるという事はそんなに多くはなかった。気の合う友人が一人増えた、くらいの感覚だ。
 それでも一緒に遊んで色々と話をしているうちに、昔のこともあれこれと思い出してくる。
 そういや、引っ越しするときに何か貰わなかったっけ? という事を思い出したままに口にしたら、相手にかなりの動揺が走って驚いた。その場はなぁなぁで流されてしまったが、そんな対応をされたらむしろ気になるってもんだろう。
 長期休暇で帰省した際に、部屋中ひっくり返す勢いで探してみたら、それは出てきた。小さな変形ロボットのおもちゃで、当時はやっていたアニメのものだと思う。
 確かにこれだ。しかしなんでこれを渡されたのかはわからない。あの時、彼は何と言ってこれを渡して来たんだっけ?
 古い記憶を辿りながら手の中のおもちゃを弄りまわしていたら、ぽろりと何かが落ちて、しまった壊したと慌てる。しかしそれと当時に、思いがけない部分が開いて、中には小さくたたまれた紙が一枚仕舞い込まれていた。
 下宿先にそれを持ち帰り、さっそくファミレスに相手を呼び出してそれを見せる。
「ちょっ、それっっ!」
「探したら、出てきた」
「そ、そうなんだ。で、なに? 持ってきたってことは、返してくれたりするの?」
 テーブルの上に伸ばされた手に慌てて、とっさにそのおもちゃを、広げた自分の手で覆い隠した。その手の上に相手の手が乗っかり、次には相手が大慌てで乗った手を引っ込める。一瞬触れた熱と相手の赤くなった顔に、嬉しいという気持ちが湧いたから、覚悟を決めた。
「あのさ、これ貰った時、なんて言ったか、覚えてる?」
「さ、さあ、なんて言ったかなぁ。なんせずい分昔のことだし?」
 ああこれ、絶対覚えてる。良かった。
「これ、お前の気持ちらしいよ」
 俺の気持ちだから持ってってと押し付けられたのを、メモ発見とともに思い出していた。
「そそそそそうなんだ。まぁ、大事にしてたおもちゃだったしな」
 相手の動揺が酷くて、なんだかいじめているみたいな気分になる。別に責めるつもりなんて欠片もないのに。
「これ見つけた時、弄ってたら妙なとこが開いて、ちっさなメモが出てきてさ」
「うっ」
「こういう玩具、まったく詳しくなかったから、気づかなくってごめん」
「い、いやいやいや。俺が勝手に押し付けたものだから。気づいてくれなくてもいいって、思ってたやつだし」
「あのさ、これって、今も有効だったり、する?」
「えっ?」
「今のお前の反応みて、ちょっと期待はしてるんだけど。でも、そんなの昔の思い出の一つで、むしろ黒歴史。ってことなら、これはお前に返すよ」
「え、あの、何気持ち悪い事してんだよって罵倒とか、……じゃなく?」
 ああ、そういう心配をしていたのか。
「メモ見つけた時、正直嬉しかった」
 好きだ、と3文字だけ書かれた小さな紙。子供だった彼が、どんな想いを込めて綴り、隠したそれを渡してきたのかと思うと、その記憶の中の小さな男の子が、たまらなく愛しいって気持ちが湧いた。
「こうやって再び出会えたのも、お前とは何かの縁があったりするのかなって、思った」
 だからさ、と更に言葉を続けようとしたら、相手が眉を下げたほんのり泣きそうな顔で先に言葉を発した。
「でもお前、普通に女、好きじゃん。俺が気持ち悪く、ないわけ?」
「気持ち悪くないよ。というか、もし気持ち悪かったら、メモには気づかなかったことにしてそっと距離置くくらいするって」
「そんなの言われたら、期待、するけど。てか俺、お前に初恋して、それ結構拗らせてる自覚あるんだけど」
 初恋で、しかも拗らせてるのか。でもそれを聞いても、気持ちが変わることはなかった。
「期待して、いいよ」
 言ったらますます泣きそうな顔で、今もお前が好きだと返された。

 
 
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弟の親友がヤバイ10(終)

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 相手の手の中に握られた自身の性器は先走りをこぼして、擦られるたびに微かに湿った音を立てている。
 ハッハッと漏らす荒い息を、塞いでくれるキスはとっくに忘れ去られて、熱を孕んだ目がジッと自分を見つめていた。
 自分は今、彼が何度となく繰り返しただろう彼の中の自分と、どの程度の差違を持って痴態を晒しているんだろう。
 観察するようなその目が少し怖い。しかし目を閉じて逃げる気にもなれない。結果黙って見つめ合うばかりだった。
 達するには足りなくて、でも落ち着いたり萎えたりする隙の一切ない刺激に、じわじわと追いつめられていく。
「っ、…ぁ、も、イきたい、……かも」
 なんだか情けないかもと思いながらも、より強い刺激をねだった。
 小さく喉を鳴らしながら軽く頷いた相手が、手の動きを加速させる。強まる刺激に、あッアッとこぼれて行きそうな声を、聞かせるべきなのか飲み込むべきなのか。
「声、聞かせて下さい」
 良くわからないまま噛み殺していたら、単調なくせに熱っぽい相手の声に促されて、それならと求められるまま口を開いた。
「あッ…ああっ……いい、キモチぃ」
 イッちゃうよと訴えたらやっぱり無言で頷かれたので、そのまま相手の手の中に果てる。
 吐き出してしまうと一旦冷静になるのは仕方がなくて、ああやっちまったという思いと、彼の手でイけて良かったと安堵する気持ちとが、胸の中で交錯した。
 そんな中、相手は手の中に吐き出されたものをマジマジと観察していて、終いには鼻を近づけてクンと匂いを確かめた後、更に舌を伸ばそうとしている。
「待って待って待って」
 慌ててその手を掴んで、顔の前から引き剥がす。
「うん、あの、興味わからなくないんだけど、精神的にクるから舐めるのはちょっとなしで」
「それ、割と今更じゃないですか?」
 昨夜貴方の舐めてますけど、という声に出されない言葉が聞こえた気がした。
 手を舐めるのがダメなら、下のを口で綺麗にしてもいいですかと言われて、喉の奥に言葉が詰まる。
「嘘です。無理言ってすみません」
「いや、良いんだけど。良いんだけど気持ちの準備がね。というか、先に聞かせてよ。ちゃんと君の手でイッたけど、君の気持ちはどうなった?」
「吐き出されたものを舐めたいとか、イッた後のしゃぶりたいとかって気持ち悪い欲求が、抑えきれずに漏れ出る程度には、貴方が好きなままですが」
「ちょっ、取り繕う気ゼロ!?」
「まぁ、それなりに満足は出来たんで、無理して受け止めてもらわなくても良いかなとも思いまして」
 後々やっぱ無理って振られるより、これで終わりにしたほうが楽かなって気もするんですよねと、自嘲気味に笑うから思わず引き寄せて抱きしめた。
「あのね、俺の受け止めるって覚悟の程度を、勝手に決めつけて諦めないでくれる? 大丈夫。ビックリしたのと恥ずかしいのとでやめてって言ったけど、口での愛撫とか全然普通だから。どうしても手に吐き出されたものを舐めたいんだってわけじゃないなら、こっちの希望としては、今度する時は口でして。そしたら口の中でイくから、飲みたかったらそれ飲んでよ」
「けっこう凄い事言ってますけど、自覚あります?」
「ダイジョブ。わかってる」
 まぁ顔は間違いなく赤くなってるから、もう暫くこの腕の中にいて貰うけれど。
「俺、貴方を抱きたいって、思ってますけど」
「え、それこそ今更だろ。知ってるよ」
「こんな年下の男相手に、処女散らされても良いんですか?」
「ちょっ、処女って!!」
「あいつに聞きました。男の恋人、いた事ないんですよね?」
「ちょっと色々筒抜け過ぎて怖いんだけど」
「責任感と罪悪感、ですよね。俺なんかに抱かれるの了承したのは」
「責任感や罪悪感で抱かれるんじゃ嫌だってなら、もう少し待ってよ。俺が、君に、恋をするまで」
 腕の中の体が驚きのあまり硬直するのが分かった。だから宥めるようにその背を擦りながら、多分きっとすぐだよと、なるべく柔らかで優しい響きになるよう心がけながら告げる。
「君が持つ恋とはきっと違う。厳密には恋とは呼ばない想いかもしれない。でも俺はさっき君を確かに可愛いと思ったし、今も君を抱きしめながら可愛いなって思ってる。そして、俺を好きだと言ってくれるなら、やっぱりその想いには応えたいって思うんだ」
 腕の中の彼は、考えるように黙ったままだ。
「貴方が、好き、です」
 やがておずおずと告げられた告白に、頬が緩むのを自覚する。
「うん」
「俺と、付き合って貰えますか」
「もちろん。これからは、恋人としての俺を、宜しく」
 言えば、こちらこそよろしくお願いしますと、やや緊張の滲む固い声が返ってきた。

<終>

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弟の親友がヤバイ9

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 家には弟がいるし、男二人でしかも片方は高校生でと考えたらラブホなんてもってのほかで、結局近くのビジネスホテルのツインルームにチェックインした。
 なんでこんな所に来たかといえば、考えた末に出された彼の答えが、もう一度触れてみたいだったからだ。酷くしなければ本当に反応してくれるのか確かめたいそうだ。
 受け止めて応じる気があるなんて言葉を重ねるよりも、確かに手っ取り早くてわかりやすい。反応しないという事実に打ちのめされていた彼には、反応するという事実を突きつけてやるほうがきっといい。そう思ったから、良いよと返して連れてきた。
 もう一度触れたいと口にした彼も、まさか即座にビジネスホテルに連れ込まれるとは思ってなかっただろう。黙って後ろをついてきているが、背中に彼の緊張がはっきりと感じ取れる。
 部屋に入ってからは、交互にシャワーを使った。彼の手でイきさえすれば良いのかもしれないが、また口でされてしまう展開も多少は意識していたからだ。
 潔癖というほどではないと思うけれど、そんな場所を口にするのに綺麗に越したことはない。男が男のという部分で、行為に自分自身を重ねてしまいがちだからだろうか。萎えたら困るこの状況で、心理的な抵抗感は少なければ少ないほうが良かった。
 ホテル備え付けの簡易な寝間着を揃いで着て、片方のベッドに二人して潜り込むと、状況の異様さになんだか笑いたくなってくる。緊張すると笑ってしまうタイプなので、多分これは自分も相当緊張している。
「さっきからニヤニヤして気持ち悪いんですけど」
 そう思った矢先に、不機嫌な声が掛けられて苦笑するしかない。
「酷っ。緊張してんだよ、これでも」
 緊張すると笑っちゃう系なんだと言ったら、緊張すると怒ったみたいになる系ですと返ってきたから、今度は本気で笑ってしまった。ますますムッとした顔になったが、多分そっちも、ますます緊張したわけではないだろう。
「ごめん。可愛いなって、思った。後、おかげで少し、緊張ほぐれた」
「可愛い、ですか?」
「うん、可愛いよ」
 不信気な顔と声に、躊躇うことなく可愛いと返してやった。
「というわけで、キス、しようか」
「えっ?」
 本気で驚いた顔をするから、ますます可愛いなと思う。まぁ若干自己暗示的な部分もあるけれど。でも可愛いという気持ちが間違いなく湧いたことに安堵していた。
「俺が反応するの、確かめたいんだろ?」
「キス、で……?」
「正確には、君の想いに、反応する」
「想い……」
「復讐してやる、じゃなくてさ。できれば、俺を好きになっちゃった方の気持ちで、キスして欲しいかな」
 どう? と聞いたら、少し困ったような顔をされたけれど、そのままその顔が近づいてゆっくりと唇が触れた。
「もっと。全然足りない。もう一回」
 軽く触れただけであっさり離れていく唇に向かって、誘いをかける。
 その後もこちらが誘えば、誘った分だけ律儀にキスを繰り返してくれた。けれど一向に深くなる気配はない。そんな所に、相手の躊躇いや困惑や恐れや初心さを感じずにはいられない。
 それでも繰り返した分だけ、少しづつ変化は起こる。こわごわと掠めて行くキスが、柔らかに押し付けられるものになって、やがて離れ難いと言わんばかりに最後軽く吸われるようになった。
 その焦れったいまでの緩やかな変化に、こちらもゆっくりと煽られていく。きざし始めた股間に相手の手をそっと導いてやれば、躊躇いながらもぎこちない指先が、変えた形をたどり始める。
 性感を煽ろうとする意志よりも、何かを確かめたがるような、その手の動きがもどかしい。
 はぁ、と熱い息を吐き出せば、ようやく誘う前に口が塞がれ、相手の舌が口内に伸びてきた。

続きました→

 
 
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弟の親友がヤバイ8

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 弟と幸せにと丸投げした方が、彼にとっても幸せなのではと思う気持ちはもちろんあった。弟が彼を想う気持ちは本物だと思うし、あの弟ならば傷付いた彼を幸せにも出来そうな気がする。
 ただそこには兄としての欲目や、弟の恋を応援したい気持ちやらも当然含んでいるだろう。更に言うなら今回の件の発端が弟で、そこに至る原因が自分にあるなら、責任を取るのは兄である自分の方だという気持ちもある。
 しかし責任という気持ちは、余計に彼を傷付けないだろうか?
 彼に対して恋愛感情が湧くかと言えば正直かなり微妙だ。それでも、同情だったり罪悪感だったり責任感だったりが根本にあろうと、もしまだ本当に自分を求めているというなら、彼の想いに応じてやりたい気持ちも嘘ではなかった。
 というところまで考えて、そういや弟の話しか聞いていなくて、彼自身からは復讐としか言われていない事実に気づく。弟の話を鵜呑みにしていたが、彼自身に別の思惑はないのか、そもそも弟の計画に乗って告白する気があったのか、恋人になりたいという気持ちがあるのか、まずはそこを確かめるべきじゃないのかと思った。
 応じる方向で彼と直接話しをしたい。まずは誤解をといて、それから彼の本心を自分の耳で聞きたい。そう弟に告げに行ったら、弟は笑ってそう言うと思ってたと言った。兄さんってやっぱり結構チョロいよねと続けられたのには少し納得がいかない。
 もし自分が彼に応じるとして、それで弟は構わないのかという疑問に対しては、彼の想いを応援したい気持ちがなかったらこんな計画は立ててないし、もっと早い段階で普通に口説いてたよと返されて納得した。
 自分が悩んでいる間ずっと彼と何やら連絡を取り合っていたらしい弟は、ものの数分で駅前のカラオケに呼び出しを完了し、これ以上泣かせたら許さないからねと釘を差しつつも自分を送り出してくれた。一緒に行く気はないようだ。
 カラオケ店の前で待つこと数分、やってきた彼は黙ったまま軽く頭を下げる。どうしたって気になってしまう目元はまだ少し赤いままで、顔色はあまり良くなく全体的にどこか疲れた様子だった。
 取り敢えず入ろうと促した言葉にも黙って頷くだけの彼を連れて入店したが、もちろん歌いに来たわけではないので、部屋に入っても機器類に触れることはしない。
「まず、一番先に言っておきたいんだけど、俺は別に弟を恋愛対象にはしていない。可愛いけど、大事な弟ってだけだ」
 小さな部屋の中、テーブルを挟んで向かい合って席につき、少し気まずい沈黙が流れた後で口を開いた。
「聞きました」
 彼の様子に、会話が出来るかを危ぶんでいたくらいだったので、はっきりと発せられた声にまずはホッとしてしまう。
「彼が貴方に何を話したか、貴方がなんと答えたか、多分、ほぼ全て聞いてます」
「そ、そうか」
 何やら連絡を取り合ってた中身がそれだったんだろうというのはわかったが、だったらそれも送り出すときに言っておいて欲しかった。
「でも俺は、弟を信じてはいるけど、盲信してはいないんだ」
「盲信、ですか」
「そう。弟からの情報だけじゃ全然足りない。というか、弟の話は補足的なものであって、俺が直接君から聞いてるのは、復讐って言葉と、後は弟に手を出されたくないなら抱かれろって脅迫だ」
「確かに」
「始めっから、俺を脅迫して抱くつもりだった? それとも、俺が素直に君の手でイかされてたら、弟の計画通り告白する気だった?」
「告白する気は、ありましたよ、一応。でも何しても、手だけじゃなくて舐めてすら反応がなかったから、その時点で色々絶望しました」
「いやだからそれ、酷いことされたら萎えちゃう系なんだってば」
 言ったら少し険しい顔になって睨まれる。ああまだそんな顔を向けてくる気概が残っていて良かったと、やはりまた少し安堵した。
「でも俺は、逆の立場で貴方にイかされてるんです」
「穴があったら入れたい盛りの男子中学生と、仕事で日々ヘロヘロになってる社会人とを一緒にするなって」
 苦笑しつつ続ける。
「本当に、幼い君に、酷いことをしたと反省してる。だからその結果の恨みも、生まれてしまった恋心も、君がまだそれを望むならだけど、受け止めたいと思ってる」
「恨みも?」
「そう、恨みも」
「絶望して、すんなり脅迫してでも抱いてしまえって発想が出てくるくらいには、エグい妄想もかなりしてきてますけど」
「うんまぁ、それは、わかってる」
 言えば相手は少し驚いたように目を瞠った。
「本当ですか? あいつの中の俺、けっこう美化されてますよね? その俺に同情したから付き合ってやろうって話じゃないんですか?」
 美化されてるって自覚あるのかと思ったらなんだか笑いそうだった。笑ってしまうのを堪えて、コホンと一つ咳払いしてから口を開く。
「あーうん、それは違う、かな。いやあいつの目を通した君の姿に、罪悪感煽られまくったのはあるから、それも一つの要因ではあるけど。でもさ、あいつが知らないことがあるってのも、話し聞いててわかってるし」
「あいつが知らないこと?」
「あの日、俺がどんな言葉で君を責めたか、弟は知らなかった。君に脅迫されたと言ったら、あいつ凄く驚いてたし。君たちは親友で、かなり色々と深い部分まで話をしているみたいだけど、でも弟が全てを知っているわけじゃない。あいつだって、君にあいつ自身の全てを見せているわけじゃない」
「それは、まぁ、確かに……」
「だから俺は、君自身の言葉を聞きに来たんだよ。弟から大体の事情は聞いた。君の気持ちも弟経由で聞いた。でも、君自身からは、復讐したいとしか聞いてない。今の君の気持ちはどうなってる?」
 そんなことを聞かれると思っていなかったとでも言うように、彼は口元を隠すように手を当てて考え始めてしまった。

続きました→

 
 
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