夢見る腐男子は理想の攻めを手に入れたい3

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3章 本当に来てくれた

【日が落ちて暗い路地裏】
:君が腐男子の颯真くん?

そっと掛けられた声に慌てて立ち上がった。
目の前の男は背が高く、見上げながら頷いてみせる。

颯真:そ、です

:良かった
 :俺が来るまで見つからずに済んだみたいだな

颯真:あ、あの
  :あなたが、通りすがりの、翔、さん?

:そうだよ

颯真:ほんとに、来てくれるなんて思わなかった

:待ってる間不安にさせた?
 :でも絶対行くって言ったし
 :到着予定時間もオーバーしなかったろ?

颯真:そ、ですけど、でも……
  :(だって掲示板でたまたま見つけただけの他人だよ?)

:目が赤いな、泣きそうだ
 :こんな場所で一人待たせてたのは悪かった

颯真:謝らないでよっ
  :来てくれて、嬉しいんだ
  :ホッとしただけ、だから

言葉にしたら緩んでいた涙腺が決壊した。

颯真:ご、ごめっなさ

:気にしなくていい
 :なんなら胸を貸そうか?

頷けばふわりと抱きしめられる。
柔らかなリズムで背を叩かれながらひとしきり泣いた。

颯真:(落ち着いてきたら途端に恥ずかしいぞこれ)
  :(ど、どうしよ)

:そろそろ落ち着いた?

颯真:は、はいっ

:車で送られることに抵抗がないなら車で
 :会ったばかりの男の車に乗るのが不安なら公共交通機関で
 :ここまでくれば安心と思える場所まで送るがどうする?

颯真:電車とかで送ったらまたここに戻ってくるの?

:まぁそうなるな

颯真:じゃあ車で

:なら車まで案内しよう

颯真:はい

:しかし怖くないのか?
 :タクって男に襲われかけた直後なんだろう?

颯真:車に乗ったら翔さんも豹変して押し倒してきますか?
  :カーセックス興奮するだろ、みたいな

:そんな性癖はないな
 :それにそんなことをしたらクビが飛ぶ

颯真:クビが飛ぶ?

:急いでいたから職場の車を借りてきたんだ
 :車体にばっちり社名が入ってる

ほらと言われて指された先の車の側面には飼沼不動産の文字が書かれている。

颯真:ホントだ、って、もしかして仕事中だった??
  :(気にしてなかったけどよく見りゃスーツじゃん)
  :(不動産屋勤務なら土曜仕事も当然か)

:いや今日の業務は終わってた
 :ただ昼に見た「今から会う」って書き込みが気になって
 :何度も掲示板をリロードしてた

颯真:だからあの早さで返信してくれたんだ
  :正直あれはかなりビックリした

:おかげで「助けて」にすぐ反応できて良かったよ

ふわっと柔らかに笑われて心臓がドキンと跳ねた。

【車の中】
自宅最寄り駅へ送って貰いながら今日起きたことを話している。
しかし強引に口を塞がれたという場面で言葉が詰まる。

:さっきも言ったけど
 :聞きたいと言ったのは俺だが無理して話す必要はないんだからな?

颯真:いや俺も聞いて欲しいんで
  :ただちょっと、
  :口の中好き勝手舐められて気持ち悪かったの思い出しちゃって
  :体中ゾワゾワしたっていうか

:好きでもない相手とのキスに拒否反応を起こしたんだろう

颯真:そう、なのかな……

:もしくはやはりBLが好きなだけでゲイではないんじゃないか?

颯真:あー……
  :(そっか、掲示板に書いたこと全部知られてるんだ)
  :(ゲイじゃないなら翔さんでも同じように気持ち悪いのかなぁ)
  :(確かめてみたいけどキスしてなんて言えないか)

:どうした?

颯真:いえ、なんでも

:試してやろうか?

颯真:え?

:キス、俺ともしてみる?

颯真:ええっっ!?

:今、俺とキスしても気持ち悪いのかって考えたろ?

颯真:なんでわかったの!?

:視線?

颯真:ほんとに、してくれんの?

:ただの腐男子でゲイじゃないんだって自覚ができれば
 :抱いてくれる相手を探そうなんて思わなくなるだろ?

颯真:(ゲイじゃない前提かよ)
  :じゃあもし翔さんとのキス
  :気持ち悪くなかったら?

:その時はあれだ
 :あーなんて言ったっけオキヨメ?

颯真:オキヨメ?ってまさかお清めセックス?
  :レイプされた受けが
  :恋人とか好きな相手とかに抱いて貰う的なアレ?
  :嫌な記憶上書きしてあげる、みたいな

:ああ、それだな
 :お清めと言うよりは記憶の上書きだ

颯真:あの、翔さんてBL読むんですか?

:そりゃ多少は触れる機会もあるよ
 :腐男子と言えるほど好んでは居ないが

颯真:そっか……

:それで、どうする?してみる?

颯真:して欲しい、です

:なら車どっか停めるからちょっと待ってね

やがて車通りの少ない路肩に車が停止した。

:颯真くん

そっと肩を抱かれて相手の顔が近づいてくる。
しかしキスは一向に深くならず何度も軽く触れては離れていく。

颯真:あの……

:もっとリラックスして
 :怖くなくなったら自分から少し口を開いて

颯真:あ、そっか……
  :(無意識だったけど、口、固く閉じてた)

:いいよ
 :気持ち悪いキスされたばっかりだろ
 :颯真くんの気持ちの準備が出来てからね

颯真:(これ深くなっても絶対気持ち悪くなんか思わないよね)
  :(翔さんになら口の中も舐めて欲しい)
  :(早くキスの上書き、して欲しい)

意識的に口を開けばゆっくりと舌が入り込んでくる。

颯真:んっ
  :(ほらやっぱ全然気持ち悪くない)

【ちゅ……ちゅく、ちゅっ】
颯真:ぁっ……はぁ……
  :(音、小さいのになんか凄くエロい)
  :(どうしよ気持ちぃ)
  :(上書きなんかじゃなくて最初がこのキスだったら……)
  :(っていうかファーストキスがあんななの最悪だよ)

:颯真くん?

颯真:も、っと

:泣いてるのに?

颯真:えっ?

:泣いてるよ

颯真:あれ?

:これではっきりしたろ
 :ゲイじゃないなら

颯真:違っ!
  :凄く気持ちよかった、です
  :ただちょっと思い出して悔しくなっただけで

:悔しい?

颯真:あんなキスされたくなかった、って
  :このキスが上書きのキスじゃなければ良かったのにって

:そうか

颯真:ねぇ翔さん、俺、翔さんに抱かれたい

:は?

颯真:俺の初めて、翔さんに貰って欲しい
  :俺、初めては絶対翔さんがいい

続きました→

 
 
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夢見る腐男子は理想の攻めを手に入れたい2

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2章 豹変

静かな部屋の中、二人の男が黙々と漫画を読み耽っている。

颯真:はぁ……
  :(ヤバい)
  :(なんかムラムラしてきた)

タク:どうした?

颯真:いえ、なんでも……
  :(エッチシーンが激しくて興奮したなんて言えない)

タク:顔赤くなってるけど
  :もしかして刺激強すぎた?

颯真:いや、あの
  :(バレバレじゃん)

タク:別に隠さなくっていいよ?

颯真:いやいやいや
  :普通に恥ずかしいですって

タク:まぁ恥ずかしがってるのもそれはそれでソソるけどね

颯真:え?

タク:寝室行こうか

颯真:は?

タク:おいで

本を置いて立ち上がったタクに腕を引かれて焦った。

颯真:ま、待っ、あのっ
  :し、寝室って、なんで……

タク:なんで、って、抱いてあげようと思って?
  :さすがにここで押し倒すのはムードなさすぎるしね

颯真:(当然みたいな顔して言われても困る)
  :俺、そんなつもりは……
  :(タクさんとは確かにめっちゃ盛り上がったけど)
  :(ここ来たのは本読ませて貰うだけのつもりだったし)

タク:うん、俺のBL本が目当てなのはわかってるよ

颯真:なら!

タク:でも勃ったんでしょ?

颯真:それは、だって
  :(タクさんのオススメ本って過激なの多いんだもん)

タク:別にそう大げさに考えなくても良くない?
  :ゲイじゃなくても腐男子でそういう事に興味津々なんだろ?
  :大丈夫、俺、上手いからさ

颯真:いやそんな、自信満々に言われても

タク:せっかく来たんだから試すだけでもしてみよ?
  :読んでた本と同じ事、されたくない?

颯真:それは……
  :(そりゃ興味はあるけど)
  :(でもタクさんとしたいかって言うとなぁ)
  :(だって今もちっともドキドキしてないし)

迷っている内に強引に立たされ隣室へ連れて行かれる。
部屋の中にはベッドに向けられたカメラが用意されていた。

颯真:なんでカメラ?
  :あっ……
  :(そういや掲示板の新しいコメント)
  :(業者だから気をつけろってまさか……)
  :タクさんってAV撮る人?

タク:何言ってんの違うよ
  :カメラはね、撮りながらするのが好きなだけ
  :不安なら最後にちゃんとデータ消してあげるからさ

颯真:(なにそれ絶対ウソだろ)

タク:普通にするより興奮するよ?
  :って言っても経験ないんだっけ
  :抱かれたことなくても女の子とはしたことある?

颯真:(それもないけど)
  :(でも言いたくない)

タク:あれれ?
  :もしかして童貞だったりする?

ニヤニヤ笑われてキュッと唇を噛み締める。

タク:ああ、やっぱ童貞っぽいなぁ
  :全然経験ないのにBL読みすぎて抱かれてみたくなっちゃったとか
  :腐男子くんは夢見がちだねぇ

颯真:BLがファンタジーだってのは俺だってわかってますよ

タク:いやいや別に悪くはないよ?
  :初めてなのにこんなに気持ちぃ〜みたいなの
  :ちゃんと経験させてあげるよ?

颯真:いいです要らないです
  :俺、帰りますから

タク:バカだねぇ、すんなり帰すわけ無いだろ

颯真:んぅっ

唇を塞がれとっさに口を閉じようとしたが間に合わない。
ぬるりと相手の舌が入り込んできた。

【ちゅ、ぴちゃ……ぢゅうっ】

颯真:(うぇ、なにこれ)
  :(ベロチューってこんななの!?)
  :(気持ち悪い気持ち悪い)
  :(ヤダヤダヤダ)

【ガリッ】

タク:痛っっ

相手の舌に思い切り歯を立ててしまえば相手が呻いて顔が離れていく。
しかしホッとする間もなく頬に熱い痛みが走る。

【バシッ】

タク:おいこら、いい度胸だな

【バシッ】

颯真:や、やだ、やめて

タク:痛い目見たくなきゃ大人しくしてな
  :あんま暴れっと縛るからな?
  :そういうプレイよか優しく気持ちよくのがいいんだろ?
  :ラブラブ恋人セックスがお好みっぽいもんなぁ?

颯真:(さっきまでのタクさんと全然違う)
  :(怒らせたんだろうけど顔も口調も怖すぎる)

タク:おい、返事は?

颯真:は、はいっ
  :(なに返事しちゃってんの俺)

タク:わかったならほら
  :ハメてるとこ撮るんだからベッド行けよ

颯真:(行ったらそのまま抱かれちゃうんだ)
  :(いくらBLはファンタジーって言ったって)
  :(こんなのってないだろ)

タク:やっぱ無理やりされる方がいいか?

掴まれた腕をとっさに振り払い相手のことを突き飛ばした。

颯真:こんな初めてやだっ
  :絶対いやだっ!

設置されたカメラを思い切り蹴り倒してやる。

タク:あ、この野郎
  :待てっ、ああくそ、カメラが

荷物を掴んでアパートを飛び出した。

【狭い路地裏】
颯真:ハァ、ハァ、ハァ
  :(足、震えて上手く走れない)
  :(追ってきてはいないみたいだけど)
  :(とりあえずここで様子見しよう)
  :(とにかく落ち着かないと)

携帯を取り出し例の掲示板を覗いてみる。

颯真:(これもうすっかり癖になってるな)
  :(でも人の悩み読んだり書き込みに返事貰ったりするの)
  :(なんか凄く安心するし落ち着くんだよな)
  :あ……
  :(さっきの返事来てる)

掲示板/通りすがり:君は他所の掲示板は覗いていないんだろうな
         :あちこちでタク・タクト・タッくんなどの名前で
         :誘いをかけてる男がいる
         :ゲイ掲示板慣れしてなさそうな若者がターゲットだ
         :巧みに誘い出し家に連れ込み行為を撮影するらしい
         :合意がなかっただの動画が流出しただの
         :被害報告をいくつか読んだことがある
         :当人とは限らないが直接会うのは止めたほうがいい

颯真:(これもっと早く知りたかったなぁ)

掲示板/通りすがり:その後の書き込みがないがもしかして遅かったか?
         :家には行ってないといいんだが
         :心配だな
         :無事なら何か一言書き込みして欲しい

颯真:(通りすがり、なんて名前なのに)
  :(凄い心配してくれてる)
  :うぅっ……

掲示板越しではあるが人の優しさに触れて涙が溢れてきてしまう。

掲示板/腐男子:助けて

颯真:(こんな書き込みしたって助けてくれるわけないんだけど)
  :(でもちょっとくらい夢見たっていいよね)
  :(大丈夫か、心配したぞって、イケメンが駆けつけてくれる的な)
  :(そもそも俺の居場所も知らないで駆けつけるもないけどさ)
  :はぁ〜……
  :あれ?

掲示板内をウロウロと眺めていると先程の書き込みに返信が付いている。

掲示板/通りすがり:連絡先を載せたから直接メールしておいで
         :今いる場所をここに書き込むようなことは
         :絶対にするなよ

颯真:う、そでしょ
  :(いくら地域別の掲示板だって言っても)
  :(それなりの範囲はあるのに)
  :(俺が今どこにいるかも知らないで)
  :(なのにまさか本気で助けに来てくれる気なの?)

半信半疑ながらもメールアイコンをクリックしてメッセージを打ち始めた。

続きました→

 
 
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夢見る腐男子は理想の攻めを手に入れたい1

CHAT NOVEL@CHATNOVEL)さんで公開された「夢見る腐男子は理想の攻めを手に入れたい」(リンク先は試し読みのWeb版で3章まで読めます)がアプリで読めなくなったので全文公開します。

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1章 腐男子仲間

【土曜の昼時】
カフェチェーン店内で若い男が落ち着きなく手元の携帯を弄っている。

颯真:(あーやっぱ緊張する)
  :(掲示板ではめっちゃ意気投合したけど)
  :(実際にどんな人が来るのかわかんないもん)
  :(気持ち落ち着けたいな)
  :(もう一回、タクさんとのやり取り読み返そうかな)

慣れた手付きでいつも利用しているゲイ向けの相談掲示板を開いた。

颯真:あ……
  :(新しいコメントが付いてる)

掲示板/通りすがり:随分と楽しげな所に水を差す様で悪いが
         :タクと名乗っているその男は業者の可能性が高いので
         :気をつけたほうが良い

颯真:え?
  :(業者ってどういう意味?)
  :(気をつけろって何を?)

掲示板/腐男子:今から会うことになってるんですけど
       :気をつけた方がいいってどういう事ですか?

タク:えっと、君かな
  :君が腐男子くん?

送信ボタンを押した所で声を掛けられ慌てて声の主を見る。
どうやら待ち合わせ相手が来たようだ。

颯真:あ、はい
  :(どうしよ、本人来ちゃった)

タク:良かった
  :想像してた感じとだいぶ違ってたから声かけるの迷ったよ

颯真:え、そうですか?
  :(タクさんも想像とは違うなぁ)

タク:うん、思ってたよりずっとかっこよくて可愛かった

颯真:普通だと思いますけど
  :というかどんなの想像してたんですか

タク:腐男子なんて名前で書き込みしてる子だからね
  :メガネとかいわゆるオタクファッション的なのとか

颯真:まぁ友達とかには隠してますしね

タク:そっか
  :で、俺はどう?想像通り?

颯真:んー……もうちょっと若いイメージでしたね
  :あと思ってたよりイケメンでした
  :(想像してたよりチャラそうだけど)

タク:お、嬉しいこと言ってくれるね
  :これは期待しても良いのかなぁ

颯真:期待、ですか?

タク:だってBLに憧れてゲイ掲示板出入りしてるんだろ?
  :BL読みすぎて抱かれてみたくなったのがきっかけ
  :って書いてたじゃん

颯真:そ、ですけど
  :でもタクさんとはそういうのじゃ……

タク:わかってるって
  :俺のBL本目当てだもんな

颯真:そ、です
  :さっきも友達には隠してるって言ったけど
  :腐男子仲間とかホント嬉しくて
  :今日も会うのすごく楽しみで
  :でもこんな風に誰かと会うの初めてで
  :(しかもさっき掲示板に変な事書かれてたし)

タク:うんうん、わかるよ
  :まだ緊張してるかもだけど
  :BLトーク始めたらそんな緊張あっという間にどっか行くだろ?

颯真:ですね、多分

タク:掲示板でめっちゃ盛り上がったもんな俺ら
  :俺も今日すっごく楽しみにしてたよ

ニコッと人懐っこい笑顔を見せられ釣られて笑ってしまう。

タク:よし、じゃあ、そろそろ移動する?

颯真:あ、はい

タク:ところでさ

颯真:なんですか?

タク:さすがにずっと腐男子くんとは呼びにくいんだけど
  :名前、教えて貰えない?

颯真:あ、颯真です

タク:かっこいい名前だな
  :それってHN?本名?

颯真:本名、です

タク:そっかそっか

颯真:(なんか凄く嬉しそうなんだけど)

タク:じゃあ行こうか颯真くん

【タクのアパート】
ローテーブルの上やその周りに沢山の本が積まれている。

颯真:凄いっ!
  :これ全部BL!?

タク:もちろん

颯真:どうしよ
  :この量、絶対読みきれない

タク:泊まりでもいいって言った意味わかった?

颯真:はい
  :一応親にも、泊まるかもとは言ってきました
  :(さすがに本当に泊まる気はなかったんだけど)
  :(でもこれを目の前にしたらなぁ)

タク:なら存分に読んでいきなよ

颯真:本当に?

タク:どうぞどうぞ

颯真:俺きっと読むの集中しちゃうけど

タク:何言ってんの
  :そのために来たんだろ〜
  :俺は全部一度読んでるし、適当に何か読み直して時間潰してるから
  :颯真くんが読み終えたタイミングで感想とか言い合おうよ

颯真:それすげー楽しそう!

タク:だろ?
  :一応机の上のが特にオススメのやつな

颯真:じゃあそっちから読みます

続きました→

 
 
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俺が眠らせてあげるから(目次)

CHAT NOVELさんでWeb版が3章まで読めます。
社会人と学生。本編7章+後日談3話。
添い寝やのキャストとして働く主人公のケイが、オーナーであるシュンからの依頼で、不眠が酷いという男性客(修司)を取ったら、その男性客に惚れてしまう話です。恋人エンドでキスまで。
後日談は、そんな二人が初めて体を繋げるセックスをする話。
修司視点で、自分が抱かれる側になるんだと思いこんでいた修司が、ケイを抱きます。

1章 オーナーからの紹介
2章 もっと知りたい
3章 不眠の原因
4章 友だちになりたい
5章 恋人になりたい
6章 元カノ訪問
7章 手放せないなら恋人に
後日談1
後日談2
後日談3

 
 
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俺が眠らせてあげるから7(終)

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7章 手放せないなら恋人に

【ピコン♪】
ケイ:(あれ、修司さんからLINE?)
  :(今夜の依頼はないはずなのに)

修司LINE:昨日の夜、由香と会ったって本当?

ケイ:(なんで知って……)
  :(って、どう考えてもあの女が話したんだよな)

ケイLINE:本当です

修司LINE:泊まらず帰ったのはそのせいだったりする?

ケイLINE:多少は……

修司LINE:直接会って話聞きたいんだけど
     :今日、家来れる?

ケイLINE:はい

ケイ:(添い寝関係なく呼ばれるの初めてなのに)
  :(ちっとも嬉しくないよ)
  :(むしろ何言われるか怖い)

【修司の家のリビング】
促されて緊張しながら対面の席に座る。

ケイ:それで聞きたいことっていうのは……

修司:由香から聞いたんだけど
  :俺にこれ以上関わるなって言って追い返したの?

ケイ:そうですね

修司:由香との事が俺のトラウマになってるとか
  :だからケイくんに添い寝頼んでるとか
  :そういうのも言ってくれたんでしょ

ケイ:すみません

修司:なんで謝るの

ケイ:余計なことまで話しすぎたと言うか
  :腹立って守秘義務守れなかったと言うか

修司:ああ、そうか
  :でもケイくん、俺のことお客ってあまり思えない
  :みたいなこと言ってたしね

ケイ:でも仕事として、お金貰ってる立場ですし
  :それはもっと自覚してなきゃいけないのに

修司:由香から追い返されたって聞いて
  :嬉しかったから気にしなくていいよ

ケイ:嬉しかったんですか?

修司:うん

ケイ:良かった……
  :余計なことするなって、怒られるのかと思ってました

修司:なんで?

ケイ:だってあの女、じゃないや由香さんが

修司:由香に何言われたの?

ケイ:すっごい自信満々に
  :修司さんが復縁を喜ぶはずだって

自信満々の部分を強調すれば修司から苦笑が漏れる。

修司:それはさすがにないけど

ケイ:ですよね〜

修司:でも由香らしいというか
  :俺がそう思わせるような彼氏だったせいだな
  :不快な思いさせてゴメンな

ケイ:不快というよりは不安ですかね

修司:不安?

ケイ:もし由香さんに未練あったらどうしようかと

修司:そういや由香にも俺を好きって言ったって?

ケイ:事実ですから

修司:由香を追い返したのは客の俺を起こさないためだけじゃない?

ケイ:当たり前でしょう
  :少なくとも来客の報告くらいはしますよ
  :結局由香さんから聞いちゃったみたいですけど

修司:由香が俺に接触してこなかったら
  :何もなかったことにしたかった?

ケイ:そうですね
  :知られたくなかったです
  :だって聞いてますよね?

修司:何を?

ケイ:俺が、絶対奪わせないって言ったのとかも

修司:ああ、うん、聞いた

ケイ:恋人でもないくせにって言われたし
  :それは事実で……

胸に痛みが走ってつい俯いてしまう。

修司:困ったな

ケイ:えっ?

慌てて顔を上げれば確かに困り顔だけれど笑っていた。

修司:添い寝依頼も未だ止められないのに
  :こんなの知ったらますます君が手放せなくなりそうで

ケイ:えっ、じゃあ
  :(これってチャンスだよな?)
  :俺を恋人にしちゃえば……

修司:そうしたい気持ちは確かにあるかな

ケイ:それなら!

修司:でも両想いなら即恋人にってわけにも行かないでしょ

ケイ:え、なんで!?
  :俺と恋人になるの怖いですか?

修司:いや、ケイくんとなら
  :もっと関係を深めていけそうって思えてる

ケイ:なら他に何が問題ですか?

修司:俺の独占欲?

ケイ:ってのはどういう意味です?

修司:だって恋人が他の誰かと添い寝してるの
  :嫉妬しないでは居られないよ

ケイ:あ、なんだそんなこと

辞めると告げれば何故か慌てられてしまう。

ケイ:(あれ?ホッとしてくれるんじゃないの?)

修司:そんな簡単に言わないで
  :ケイくんは先輩のとこの売れっ子でしょ
  :結構な額稼いでるんだろうし
  :それを手放せとは言いにくいよ
  :今の俺じゃ金銭的フォローは何も出来ないし

ケイ:俺、本業大学生って知ってますよね?
  :今度の春卒業ですよ

修司:それは知ってるけど
  :まだそれなりに先だよ

ケイ:ほんの数ヶ月ですって
  :もともと続けられるかわからないんだし
  :今辞めたって惜しいことなんかないです

修司:でもその数ヶ月でも先輩としては

ケイ:それもです
  :多分シュンさんおめでとうって言ってくれますよ

修司:え、何がおめでとう?

ケイ:俺、シュンさんに報告済みなんです
  :修司さん好きになっちゃったって

修司:ええっ!?

ケイ:修司さんを諦めずに支えてやってって
  :俺の背中押してくれたのシュンさんです

修司:ま、じで……

ケイ:マジですね
  :あ、じゃあシュンさんに聞いてみましょうよ

携帯を取り出して軽く振ってみせる。

修司:聞くって何を?

ケイ:修司さんとお付き合いするから仕事辞めていいですかって

修司:本気で?

ケイ:もちろん

ケイLINE:修司さんと付き合いたいから仕事辞めたいんですけど

ケイ:はい、送りました

LINE画面が見えるよう修司の前に置いてやる。

【ピコン♪】
ケイ:あ、返信早い

修司:……まじか

ケイ:なんて返ってきました?

修司:ほら自分で確かめなよ

シュンLINE:わかった
      :店のことは心配しなくていいから
      :修司のこと、よろしく頼むな

ケイ:ね、大丈夫だったでしょ

ケイLINE:任せて下さい!

ケイ:シュンさんにも任せてって送っちゃったし
  :これで恋人にしてくれなかったら泣いちゃいますよ俺

修司:これで断るわけ無いだろ
  :好きだよケイくん
  :俺の恋人になって下さい

ケイ:やった!
  :修司さん大好き!
  :これからは恋人の俺をよろしくお願いします

喜びで頬が緩むのを抑えられない中、修司の顔が近づいてきてそっと唇が塞がれた。

<終>

後日談を読む→

 
 
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俺が眠らせてあげるから6

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6章 元カノ訪問

【修司の家の寝室】
部屋は暗く、いつもの添い寝体勢でベッドに入っている。

修司:今日も、来てくれてありがとうな

ケイ:俺、言いましたよね?
  :必要だよって言われたら駆けつけますよって

修司:そうだけど
  :色々お断りしちゃってるしさ
  :いつ愛想尽かされてもおかしくないし

ケイ:でもそれって
  :今はまだ人と深く関わるのが怖いからでしょ?
  :いつかまた人と関わりたくなった時に
  :俺を友達とか恋人とかに選んで貰えればいいかなって

修司:ケイくんのそういう前向きなとこ良いよね

ケイ:惚れてくれていいですよ?

明るく言い放って笑えば釣られたように修司も笑う。

修司:んふふ
  :考えとくよ

ケイ:ぜひ前向きにお願いしますね
  :(この前気まずくなったけど)
  :(ちゃんと話せてるし笑ってもくれるし)
  :(今はこれで満足しないとな)
  :さ、そろそろ目ぇ閉じて

修司:もう閉じてる

ケイ:じゃあお休みなさい、いい夢を

修司:うん、おやすみ

すぐに修司の寝息が聞こえてくる。
しばらくはそのまま様子を見て深く寝入るのを待った。

ケイ:(もういいかな?)
  :(この後予定ないし今日も泊まっちゃお)

眠るつもりで目を閉じたその時。

【ピンポーン♪】
ケイ:(あれ、こんな時間に客?)
  :(このまま出なければ留守と思って帰るかな?)

【ピンポーン♪】
ケイ:(あ、ダメだ)
  :(修司さん起こしたくないし、とりあえず俺が出るか)

そっとベッドを抜け出して玄関へ急いだ。

ケイ:どちら様ですか?

由香:修司?
  :私、由香

ケイ:(由香?)
  :(修司って呼び捨てたし、もしかして元カノ!?)

由香:お願い開けて、話があるの
  :ねえ、お願いだから

【ピンポーン♪】
ケイ:(あ、またチャイム鳴らしやがった)
  :(まさか出るまで鳴らす気か?)

【ガチャ】
修司が起きてしまわないよう渋々ドアを開ける。

由香:良かった修司!
  :って、誰?

ケイ:初めまして由香さん?

由香:修司のお友達?

ケイ:ではないですね
  :(お断りされちゃったしね)

由香:じゃあなんで修司の家にいるの?
  :え?まさか引っ越した?

女は焦った様子で表札を確認している。
その間にケイ自身も部屋の外へ出てしまう。
絶対に入れないと思いながら背中でドアを塞ぐように立った。

ケイ:修司さんの家で間違いないですよ
  :彼、今、眠ってるんで静かにして貰えます?

由香:眠ってるって具合でも悪いの?
  :看病に来てる知り合いだってなら私が代わるわ
  :あなたもう、帰っていいわよ

ケイ:そういうわけに行きません
  :そもそもあなたが何者かも知りませんし
  :(元カノだろうとは思ってるけどね)

由香:彼女よ

ケイ:恋人は居ないって聞いてますが

由香:それは……

ケイ:恋人を語る得体のしれない女なんて
  :ますます家に上げるわけには行きませんね

由香:違うわ
  :今はちょっと別れてるだけで
  :本当に恋人なのよ

ケイ:(は?何言ってんだコイツ)
  :(二股の挙げ句、婚約して修司さん振ったんじゃないのかよ)
  :今は別れてるなら恋人じゃないでしょ
  :元カノはお呼びじゃないんでお帰り下さい
  :でもって二度と来んな

キツめに吐き捨てれば嫌そうに顔を歪める。

由香:というか本当にあなた何者なの?
  :寝てるって言っても修司居るんでしょ?
  :だったら本人に確かめてきなさいよ
  :由香が来たよって
  :絶対喜んで部屋に上げてくれるわよ

ケイ:本当に自分勝手なんですね
  :寝てるって言ってるのに確かめてこいって
  :つまり彼を起こせってこと?

由香:そこまで具合が悪いわけ?
  :ちょっとくらいなら平気でしょ?

ケイ:ダメです
  :そもそも俺が、あなたを修司さんに会わせたくない

由香:なんでよ!
  :というか私のこと知らないでしょ

ケイ:会うのは初めてでも最悪な元カノの話は聞いてますって

由香:修司は私を最悪な元カノだなんて言わないわ

ケイ:(確かにそうは言ってないけど何だこの自信)
  :(修司さん優しいから相当この人甘やかしてたんだろうなぁ)
  :(ダメとか迷惑とか、ほんっと全然言わない人だし)
  :婚約者居るんでしょ
  :そんな女性が夜に別の男性宅を訪れていいんですか?

由香:だからちょっとそのこと含めて相談というか
  :とにかく修司と話がしたいのよ

ケイ:修司さんを余計なトラブルに巻き込まないで欲しいんですけど
  :別れてるならもう修司さん無関係でしょ

由香:無関係じゃないわよ
  :付き合ってたんだから

ケイ:まさか自分からフッたんだから
  :未練があるはずとか思ってませんよね?
  :そんなもん残ってないし、
  :むしろあなたとのことはトラウマになってますし
  :つまりこれ以上修司さんに関わるなって言ってんですよ

由香:トラウマ?

ケイ:そうですよ
  :人間不信と睡眠障害であの人ボロボロでしたよ

由香:人間不信と睡眠障害?

ケイ:俺は頼まれて添い寝してる添い寝屋です

由香:添い寝って、え、修司と一緒に眠ってるってこと?
  :え、うそ、気持ち悪い
  :なんでよりによって男なんかに添い寝頼むの

ケイ:それだけあなたが残した傷が大きかったってことですってば!
  :女性とは同じベッドに入れないそうですよ

:つまり私にフラれてゲイになったってこと?
  :それ本当なの?

ケイ:(違うけど訂正する気になれない)
  :最近だいぶマシになってきたんです
  :あなたのことは極力思い出させたくないんです
  :だからお願いします、帰って下さい
  :そして二度と修司さんと関わらないで下さい

由香:あなたは修司が好きなの?

ケイ:好きですけど
  :それが?

由香:なんだ
  :じゃあ私と復縁されるとあなたが困るってだけじゃないの?

ケイ:はぁ!?
  :復縁なんかするはずないだろ
  :というか婚約者いるだろ
  :その状態でまた二股かける気かよ
  :どんだけ修司さん傷つける気だよ

由香:婚約は破棄するかもしれないし
  :そうしたら別れるし二股にならないわよ

ケイ:身勝手なのもいい加減にしろ
  :本気で修司さんとやり直したいなら
  :せめて婚約破棄されたあとで来いよ
  :絶対奪わせないけど

由香:恋人でもないくせに

ケイ:恋人じゃないのはお互い様だろ
  :とにかく俺が居る時は絶対会わせないから
  :諦めて帰って

由香:わかったわよ!

女の姿が見えなくなってからホッと安堵の息を吐いた。
寝室に戻って修司が眠っているのを確認する。

ケイ:修司さん

起こさぬように小声でそっと呼びかけた。

ケイ:元カノ、追い返しちゃったけど……
  :(もし知られたら何て言われるかな)
  :(余計なことしたって言われないといいんだけど)
  :元カノに未練なんて、ない、よね?

不安から微かに声が震えている。

ケイ:泊まるつもりだったけど今日は帰りますね
  :いい夢、見て下さい

続きました→

 
 
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