金に困ってAV出演してみた31

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 撮影終了後、作業が一段落してからゆっくり話がしたいと言われて了承したら、思いの外待たされたので、すでに大学の夏休みは終わっている。今見ているのもざっくり編集版ではなくて、製品版(仮)らしい。
「期待はしていい、って思ってるんだけど」
 横から伸びてきた手が、サラリと髪を梳いていく。大学は始まっているが、今日も髪色は黒じゃない。わざわざ染めて来たのは、彼との交際を受け入れる気があるからで、もっと言うなら、この後抱かれることもそれを撮影されるだろうことも、想定しているせいだ。
 だって待ち合わせで指定された駅には覚えが合って、連れて来られたのは予想に違わず、あの隠しカメラ満載な家だった。今日も盗撮してるのかを確かめては居ないが、まぁまず間違いなく、カメラは回っているだろうと思っている。
「付き合ってもいい、とは思ってる」
「だって拒否したら脅されて調教されちゃうし?」
「というよりは、ちゃんと俺を好きで、簡単に捨てないでくれる気が、ありそうだから」
 それでも一応の確認で、あるんだろと確かめてしまえば、躊躇うことなく頷かれただけでなく、凄く好きだよの言葉もくれた。
「でも、本当にいいの? 恋人、要らないって言ってたのに」
「拒否したら脅してでも手に入れる、みたいな事匂わされたら、最初っから恋人でいいかと思って」
「えーっと、やっぱ、俺があの日あんなこと言ったから、仕方なく受け入れてくれようとしてる?」
「じゃなくて。だってこんなのリアルで繰り返すの、バカらしいだろ」
 こんなの、と言いながら指差したのは、もちろんテレビ画面だ。
「俺を脅して、他の男じゃ満足できないような体に躾けようとして、苦しんでる顔なんか見せられても困るよ。というか脅してでも手に入れたいよって言われた時点で、もういいというか、本気で言ってるなら俺も好きを返したいと思うって言うか」
「ねぇ、お人好しって言われない?」
「ちょろすぎ、とか思ってんだろ」
「まぁ、多少は」
「だって俺には演技と本気の見分けなんかつかないし。あの時、脅して自分のものにするのもあり、みたいに言ってたの、本気っぽいと思っちゃったし。どうしたって、これと被せて考えちゃうし。でも恋人になるってのがフィクションじゃないのもわかってるから、一生を約束してくれとは言わないし、恋人にはなる気で来たけど、他の男じゃなきゃ満足できないような体にされるのまで受け入れるとは言ってない」
「えっ、ちょっ、待って」
「セックスにオモチャ使うのなしで、とまでは言わないけど、結腸開発だの尿道開発だのされるのは嫌だ。って言ったら、俺に好きだって言ったの、撤回する?」
「それは、しない」
「あ……そう、なんだ」
 悔しそうな顔だったけれど即答されて、いささかマヌケな声が出てしまった。いやだって、これ言ったら撤回するかもと思っていたし、せめてもうちょっと迷うだろうと思っていた。
「えっと、そういうのがしたい性癖、じゃないの? 正直、縛られたり監禁調教っぽいのにも、付き合えないと思ってるんだけど」
 恋人なんだからと強気で迫られてしまったら拒否しきれない可能性は、過去の経験で思い知っている。喜んでくれるならと受け入れ続けてしまえば、本当に、他の男じゃ満足できない体にされてしまうかも知れない。というよりも、される気しかしない。
 さすがにそれは困る。フィクションなら一生手放さないを信じられても、現実ではそこまで相手を信じられないし、信じては行けないのだということももう、知っているのだから。

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金に困ってAV出演してみた30

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 テレビ画面の中、イッちゃうだとか出ちゃうだとかを煩く繰り返していた男の下腹部が痙攣して、腹の上にトロトロと白濁が広がっていく。
「ここ、ほんっと、可愛いかったよねぇ」
 テレビから流れてくる、「凄く可愛かったよ先生。大好き」の甘い声に合わせるように、隣から同じ声が似たような言葉を発してくる。
 思わず振り向けばその気配に気づいてか、相手もこちらに顔を向けた。でもその顔は、期待していたものとは違って、作品をチェックする監督の顔って感じ。
 残念だなと思ってしまったのは、どうやら顔に出たらしい。
「なんか凄く微妙な顔してるけど」
 抱かれてる時に可愛いって言われるの、嫌じゃないと思ってたんだけど。というその言葉は大きくは間違っていない。ただ正確には、可愛いって言ってくれる相手の顔とか雰囲気が、好きというか嬉しいんだと思う。
 この時だって、相手は酷く嬉しそうに笑っていたのだ。愛しいと思ってくれてるのが伝わってくるような、優しい顔で。ずっとお尻を突き出す四つ這い姿勢で弄られていたのに、抱かれる時は正常位だったし、その前段階で焦らされまくったわけでもないから、相手の様子を窺う余裕もそれなりにあった。
 そういや初めての撮影の時も、トコロテンするたびめちゃくちゃ褒めてくれたけれど、見せられた映像に、トコロテンする自分を見つめる彼の顔は映っていなかった。というよりも、そんなものは最初から撮影対象じゃないんだろう。
「微妙っていうか、残念だなって思って」
「残念って何が? もしかして映像の方の話? え、ちょっと詳しく」
「どうせなら、生徒の顔まで映しといてくれれば良かったのに、とは思ったかな」
 抱かれてる自分なんかより、自分を抱いている男の記録が欲しい。
「あー……でもさすがにあの場面で俺は邪魔でしょ」
「それは、わかってるけどさ」
「一応、この後俺がイクとこは、もうちょっと映ってるよ。俺の顔も」
 ほら、と言われて画面に目を戻せば、確かに表情がわかるレベルで、腰を振る彼の姿が映っていた。
 甘やかに好きだと繰り返しながらも、先生は俺のだよとか、もう離さないからだの、早く俺のちんこの形覚えてだの、相変わらずな執着というか独占欲をぶつけられて、嬉しさと愛しさで胸がいっぱいになった記憶が蘇る。
 画面に映る顔は、当然あの時見ていた角度とは違うのだけれど、脳内にはあの日見つづけた彼の顔も映し出されていた。そういう演技とわかっていても、あの日を思い出してなんだかドキドキしてしまう。
「なるほど。意外なとこに需要があった」
「えっ?」
「俺としては、先生が俺の言葉にいちいちウンウン頷いて、嬉しそうに笑ってる顔をもっとしっかり撮ってて欲しかったんだけど」
「そんなのより、絶対こっちがいいと思うけど」
「みたいだね。で、俺は今、自分で作ったキャラと言うか役柄に嫉妬しそうなんだけど、本当にこんな男が好みとか言う?」
「えっ?」
「そういう話をしたくて呼んだって、わかってるよね?」
「そりゃ。俺だって、そのつもりで、来たし」
 あの日の彼の告白は宙ぶらりんになっている。結局、自分たちの今後についてを話し合う機会は、今日まで持てていなかった。というよりも、彼と会うのがあの撮影以来だった。

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金に困ってAV出演してみた29

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 彼とのキスは間違いなく気持ちが良くて、でも、快感でお尻の穴だったりお腹の中だったりが疼いて蠢いてしまうと、どうしても、かなり奥にまで到達している無機物を意識してしまう。初めての感覚に戸惑うのと、鈍い痛みにも似た感覚がやっぱり怖い。
「んぅっっ」
 そろりとお腹を撫でられれば、それだけでもビクリと腰を跳ねてしまい、お腹の中でオモチャが揺れる。結果、口を塞がれたまま、予期せぬ衝撃に呻く羽目になった。
「ああ、ごめん。驚かせちゃった」
 顔を離した相手が心配げに見下ろしてくるが、その手はゆるゆるとお腹を撫で続けているから、この後どうするつもりなのかが気になってそれどころじゃない。
「やっぱり怖い? 痛いの、我慢してたりする?」
「凄く痛い、わけじゃない、けど」
「そっか。この辺までは入ってるはずなんだけど、自分でも、わかる?」
「はうっっ」
 クッとお腹を押し込まれて、反射的に吐き出す息が引きつっている。彼の手が触れているのは見事にオモチャの先端が届く辺りで、軽く手を揺らされると、お腹の中にじわりとした熱が広がる気がした。熱というよりは、鈍い痛み、なのかもしれないけれど。
 オモチャを抜き差しされるのとは全く違う。バイブの振動やうねりとももちろん違う。経験したことのない刺激を、経験したことのない場所で感じて、一度は落ち着いたはずの気持ちがまた波立ってしまう。
「ぁ、わか、るけど、それ、やっ、やだっ。こわっ、こわ、い」
 半泣きで訴えれば、あっさりお腹に掛かっていた圧は消えたけれど、すぐにまた、ゆるゆるとお腹を撫で始める。なのでまた繰り返されるかもという不安は残るが、取り敢えずはホッと安堵の息を吐いた。
「でもいつかはここで、感じられる体にするつもり、なんだけど」
「それは、いいけど。でも、ゆっくり、やって。今日中に、とか、さすがにムリ、だよ?」
「時間かけてゆっくりやれば、本当に、ここで感じる体になっても、いいの?」
「え、うん、いいよ。だって、俺のこと、今後も手放す気はないよね?」
「ないね」
「俺を、他の男じゃ満足できないようにして安心したい、って理由なら、いいよ。出来れば、そんな体にしちゃう代わりに、一生責任持って、俺を満足させて欲しいなぁ、とは思う、けど」
「もちろん。誓うよ」
 一生責任持ってよろしく、なんて言っていいのか躊躇いはあったものの、あっさり誓われてしまって思わず笑う。頭の隅では、これはただの物語でフィクションで、だから簡単に将来を約束してしまえるんだとわかっているけれど、それでも、躊躇いなく一生好きだと宣言してもらうのは嬉しかった。
 同時にやっぱり、いいなぁ。羨ましいなぁ。とも思ってしまったのだけれど。
「ねぇ先生、先生の中に、入りたい」
「え?」
「抱いて、いい?」
「え、っと……尿道プラグはちょっと、さすがに……」
「じゃなくて! 普通に!」
 なんでこの展開で尿道プラグが出てくるのかな? と言いたそうな勢いで否定されてしまったので、ほんの少し申し訳ないとは思ったものの、だって実物がそこにあるんだもんと思ってしまうのは許して欲しい。
 どうやら、オモチャは使われるの前提で用意されるもの、という認識をしているらしい。もちろん、恋人間では使う気のないものは買わない、ってだけなんだけど。でもってこれは恋人間の話ではなくAV撮影現場で、使うかどうか不明なオモチャもあれこれ用意されているらしいんだけど。でも思考はそう簡単に切り替えられない。
「いや、生でしたいから、普通、ではないかも、だけど……」
「いいよ。やっとちゃんと抱いて貰えるの、嬉しいよ」
「先生ってさぁ……」
「うん、何?」
「どうしても手に入れたいほど好きになった相手が、先生で良かったなぁ、って思っただけ」
 本当に一生手放してあげないよ、なんて言葉、どんなに意味深で腹黒そうな笑顔とともに言われたって、嬉しいとしか思わなかった。

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金に困ってAV出演してみた28

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 やがて、涙が止まってこちらの呼吸が整うのを待ってくれていた相手が、そろそろ大丈夫かなと言って口を開く。
「あんなに怖い怖い言いながら泣くのに、なんで今日に限って、嫌だも止めても許しても、言わなかったの」
「それは……」
 言葉を濁したのは、意図的に避けた面がないわけじゃないからだ。口調は優しいし、怒られているようには感じないけれど、それでも、時々嫌だとか止めてとか言ってねって言われていたのを無視してしまったのを咎められているのかも知れない。
「言えなかった? 言っても無駄って思った? 嫌がったら、尿道プラグ使われちゃうかも、とか思ってた?」
 困惑と後悔とが滲む、顔と声だと思った。多分、言えなかったなら申し訳ないと思っているのだ。
 ああこれはもしかしなくても、嫌だとか止めてとか許してってお願いしたら、ちゃんと加減してくれる気があったっぽい。きっと、使われたことのないオモチャに本気で怯えて戸惑う姿が撮りたかっただけで、怖い怖いと泣く姿が欲しかったわけじゃないんだろう。
「ちが、くて。そうじゃ、なくて」
「うん。理由あるなら、教えて?」
 謝ったほうがいいのかと焦りながらも取り敢えずで否定の声を上げれば、柔らかな声が先を促す。
「あの、奥で感じるようになって、その、他の人とじゃ満足できない体になったら、嬉しいんだろうなって、思った、から……」
「なっ、えっ?!」
 酷く驚かせた上に、言葉に詰まった様子で半開きの口のまま止まってしまったので、ますます焦る。だって今まで彼が言葉に詰まるなんてことはなかった。いつだってペラペラと、架空の物語をその口で綴っていたのに。
「あの、ゴメン。怖いのは初めてだからで、我慢して任せてたら、本当に奥も感じて気持ちよくなるのかもって思ったし、だから、その、」
「うん。待って。お願いだから、ちょっと、待って」
 あわあわと慌てるこちらを、強くて静かな声が制す。ハッとして言われた通りに口を閉じれば、相手は深呼吸を一つした後で、少し意地の悪い笑顔を浮かべてみせる。
「先生ってさ、やっぱ俺のこと、相当好きなんじゃないの?」
「えっ……あ……」
 先生と呼ばれたことで撮影中だということを思い出した。休憩を入れなくていいと言ったのは自分で、この彼は取り敢えずカメラは回しておけ派で、そういやカットの声だって掛かっていない。スタッフに抱えられて体勢を変えられたのと、安定した姿勢にかなりホッとしたのとで、撮影は中断したような気になっていたらしい。
「もしかして、今、自覚した?」
「えーあー……その、うん」
 撮影中と思わなくて、なんて言えるはずもないので、こちらのおかしな反応はそういう事にして貰ったほうがいい。頷けば、フッと小さな息を吐いた相手の顔が、嬉しそうに緩んでいく。
「ねぇじゃあ言ってよ、先生」
「えっと、好きだ、よ」
「それ、本気にするよ?」
「ん、いいよ」
 じゃあキスしていいよね、の言葉の後で、相手の顔が近づいてくる。じゃあってなんだろうと思いながらも、そういやこの撮影が始まってから初めてのキスだなと気づいた。
「なんで、今までは、キスしなかったの?」
 軽く唇を触れ合わせたり、唇を啄まれたり程度の軽いキスが繰り返されていたから、その合間に問いかけてみる。
「さぁ、なんとなく」
 そんな言葉で濁されてしまったけれど、なんとなく、なんて理由があるだろうか。彼ならもっとはっきり、なんらかの意図があって、キスを避けてたんだと思ったのに。
 撮影が終わったら、もう一度聞いてみようか。先生には言いたくなくても、役を降りたら教えてくれるかも知れない。なんてことを思っていたら。
「嘘」
「うそ、って?」
「キスは、しちゃダメって思ってただけ」
「なんで?」
「キスしたら、きっと、俺だけが好きで好きでしょうがない現実と、向き合うって思ってたから」
「へぇ……?」
 わかるようなわからないようなと思いながらの曖昧な返答に、相手はあっさり、わからなくていいよと言って薄く笑う。その笑みが近づいて再度触れ合った唇は、今度こそ深く探り合うキスになったから、彼の告げた言葉の意味を考えられる余裕なんてないまま、久々に与えられたキスの快感に酔いしれてしまった。

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金に困ってAV出演してみた27

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 こちらが生徒を好きになる、なんて展開は彼の中では想定外だったようだけれど、でも好きになっていいとはっきり言ってくれたのだから、きっとこの後、好きを伝えられるような場面を作ってくれるはずだ。その時にちゃんと好きだと言えるように、とは思っているものの、未知の深さまで侵入してくるオモチャに、意識の大半が持っていかれている。
 太さはないので途中まではスルスルと入ってきたし、時々軽く前後されれば凹凸が中のイイ所を擦って、むしろその細さが物足りないくらいだったのに、途中からは奥に入られているという感覚ばかりが強くなって、別の意味で息が乱れた。快感を拾う余裕なんて当然なくて、ハァハァと吐き出す息が荒いのは、どう考えたって恐怖と不安からだ。
「うぅッ」
 お腹の奥がグッと押し上げられるような鈍い痛みに呻いたところで、背後から、ここまでかなという声が掛かる。
「もういいよ。手、離して」
 そう言われても、指先に力が入りすぎているのか、上手く手が開けなかった。内心焦っていると、尻タブを掴む手をそっと撫でられた後、こわばる指先を一本づつ引き剥がしてくれる。
 途中である程度緊張が解けたのか、片手が離れる頃には逆の手も動いて、どうにかシーツに両手をついたものの、今度は腕に力が入らない。伏せてしまった上体を起こせない。
 宥めるように手の外れたお尻を何度も撫でていた彼の手が、するっと腰から背を上って頭を撫で始める。優しい手付きにホッとするのに、息は整わないままだし、腕に力も入らない。
「ねぇ」
 頭では支えきれなくなって、途中から横向きに頬をシーツに押し当て肩で体を支えるようになっていたけれど、その顔を覗き込むように急に彼が顔を寄せてくる。ぼやけた視界をどうにかしたくて何度もパシパシと目を瞬かせれば、少しばかりクリアになった視界の先で、相手は随分と困った顔をしている。
 オモチャは無事に、S状結腸のギリギリ手前まで届いたのかと思っていたのだけれど、もしかしてこちらがあんまり怖がって泣くから、途中で止めてくれたってことなんだろうか。
「あの……?」
「うん」
 なんでそんな顔をするのかとか、この後どうすればいいのかとか、聞きたいことは山ほどあって、でもなんとか絞り出した声には、先を促すような柔らかな相槌だけが返る。
「つづけ、て、いーよ?」
 ますます困った顔をさせてしまったから、どうやら欲しい言葉はこれじゃなかったらしい。
「泣くほど怖いのに?」
「だ、って」
 あんまり優しく頭を撫で続けてくれるから、だって仕方ないじゃないかと思いながら口を開いたら、またぶわっと涙が込み上げてしまう。ううっと呻きながらもどうにか涙を拭おうとしたけれど、それより先に、頭を撫でてくれていた手が頬に落ちて溢れかけた涙を拭っていく。
 その手付きもやっぱり優しくて、涙は暫く止まりそうにない。カメラの前で泣いてしまうのは初めてではないけれど、あの時は慰められることもなく、むしろ泣き顔をもっと晒せって勢いだったのに、今回はどう考えてもこちらが落ち着くのを待たれている。
「この体勢のままじゃ辛いよね。もっと楽な姿勢になろうか。お尻のオモチャも一回抜く? 一回休憩入れようか?」
 これはどうやら、生徒の彼ではなく監督としての彼の言葉なんだろう。でもどうせならこのまま撮影を続けて欲しかった。というよりも、一度抜いてもう一度挿れるところから、なんてのを繰り返したくない。
「へ、きだから、も、ちょっと、待って」
「うん。焦って泣き止まなくていいから。でも、体勢は変えようね」
 ベッドに寝転がっていいよと言われた後、彼に呼ばれてワラワラと寄ってきた数人のスタッフに抱えられるようにして、そろりと体の向きを変えられる。背中を支えてくれるベッドマットの感触に、今度こそ安堵で体の力が随分と抜けた気がする。
 一度大きく息を吐いてから、意識的に深めの呼吸を繰り返せば、気持ちもだんだんと落ち着いてくるようだった。

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金に困ってAV出演してみた26

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「早く抱いてって言ったら、抱いてくれんの?」
「さぁどうしようか。だってこれ使われたくなくて、抱かれる方がまだまし、とか思って言ってるなら、大人しくこれ使われてた方が良かった、って思うような抱き方を考えないとだよね」
 使わないでって言いたいわけじゃないって言ったのに。抱かれる方がマシな気がするから、という理由で早く抱いてと言いたいわけでもない。でもそんなこちらの言葉を聞いてくれる気はないようで、ちょっと待っててと言い置いて出ていってしまった彼は、すぐに何かを手に戻ってくる。
 その手の中のものを、なにそれ、と聞く必要はなかった。だって既に一度、写真でだけど、打ち合わせの時に目にしている。どう使うものなのか、知ってしまっている。
「これ、わかる?」
「尿道、プラグ」
「うん、当たり。ね、今すぐ抱いて欲しい?」
 つまりは、それを装着された状態でなら、あの長いアナルビーズの使用は諦めてもいいってことらしい。何が何でも、使ったことのないオモチャを使いたい意思を感じる。
 この分だと、電気刺激を送る機器も持ち込まれていそうだ。隙を見せたら使う気満々で、とはあまり思いたくないんだけども。
 無理だと拒否したものを持ち出して、そんな聞き方をするのはズルいと思いながら首を横に振った。
「そっか残念。先生すぐイキたくなっちゃうし、最近じゃ我慢できなくてトコロテンしちゃうから、これでおしっこ穴に栓して射精我慢すれば、きっともっともっと気持ちよくしてあげれると思うのに」
 トコロテンするところを撮影された記憶はないが、既にそう出来る体になっているらしい。また時間軸が前後した撮影をされていて、イキたくて仕方なくなったら、今日はオモチャでそのままトコロテンして見せてって言われるのかも知れない。
「せっかくだし、これも着けてする? すぐにベッド行かなかったお仕置き、とか」
 どこまで本気で言っているのかわからない。それの使用は許可していないのに、このまま押し切られたらどうしよう。聞いてないと拒否してもいいんだろうか。
「わかったらこれ以上手間かけさせないで。これ使われたくないなら、今すぐベッド行って、ズボン下ろしていつもの姿勢。10数える間に出来なかったら、本当にこれ、使うよ」
 いーち、にーい、と数を数えだされて、慌ててベッドに乗り上げる。言われた通りに、ズボンを下ろして丸出しになったお尻を突き出すように四つ這いになれば、カウントを止めた相手が近寄ってきて、良く出来ましたとでも言いたげにお尻を撫でた。
「ねぇ先生、いい機会だから、このまま自分でお尻広げて、おねだりして見ようか。奥の方でも感じられる体に躾けてください、って。その体が誰のものか、ちゃんと自分の口で宣言してさ。俺にされるんじゃなきゃ感じられない体になりたい、ってお願いするの」
 いい機会だから、というのは、拒否したら尿道プラグを装着するぞという脅し、なんだろうか。やっぱりどこまで本気かはわからない。
 ただ、さっき引き出したかった言葉は引き出せた。宣言しろだのお願いしろだの、こちらの口から言わせようとしてはいるものの、彼との行為でなければ満足できない体にしたい欲を、この生徒も確かに持っているのだ。
 チラリと振り返って確かめてしまった相手の顔は、不快と不安と期待とが混ざって見えた。言葉の内容と聞こえてきた声音からは、嗜虐の滲む楽しげな様子を想像してしまうのに。
 彼の中で、どんな感情が渦巻いているんだろう。監督としての彼はもう、こちらの好意を知っているけれど、物語の中の彼はまだ、好きになってあげたいと思われているなんて、欠片も気付いていない設定だろうか。それとも、少しはその可能性にも気づき始めての、期待なんだろうか。
 だったらいいな、と思いながら、頭を下げて額をベッドに押し付ける。頭と両膝の三点で体を支えながら、自由になった両手をお尻に回して、両尻タブを掴み左右に開いていく。

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