今更嫌いになれないこと知ってるくせに33

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 縋られ胸の中で泣かれていてさえ、抑えきれずに燻る情欲から、完全に動きを止めてやる事はやはり出来なかった。強引に突き上げる事をなんとか堪えているだけで、中を擦って揺すって辛そうに喘がせてしまう。
 代わりに、何度も名前を呼んで、好きだと繰り返した。泣いて喘ぎながらそれでも必死に、好きだと言い返そうとしてくれる相手が酷く愛しい。
「好きっ、俺も好きだかっ、ら…いー、よ。我慢、しないで…いーからっ」
 まさか、さっきみたいにしてなどと、甥っ子から言い出すとは思わなかった。
「だ、ぃじょーぶ…だから、…ね、俺で、きもちく、なって」
 胸がキュウとして痛い。これはダメだ、このままではダメだ。彼の言葉に甘えて、このまま自分の欲を吐き出してしまったら、絶対に後悔する。
「お前、ほんと、どこまで可愛くなるつもりだよ」
「んなの、にーちゃんの、せぃ」
「そーだな、俺が、悪い。もっとちゃんと、きもちくさせてやりたかったのに、ゴメンな」
「きもち、ぃよ。ちゃんと、きもちーから、へーきっ」
「もっとゆっくり、一緒にきもちくなる予定だったんだ」
 肩掴んでいいから少し腕を緩めてと言いながら、相手の肩を軽くさすってやれば、素直に従い肩が掴まれ、少しばかり互いの体の距離があく。空いた隙間に手を差し入れて、若干萎えつつも、腹の下で擦れていたせいかまだ硬さを残す相手のペニスを握った。
「んぅっ」
「一緒にイけなかったら、ほんと、ゴメン」
 大きく息を吸って吐いて深呼吸を一つ。それから抜いて差しての前後運動をやめて、グッと奥に押し入ったまま中を軽く揺するだけにした。そうしながら、手の中のモノをイかせる目的で扱きだす。
「あ、…? っあぁ??」
「前に……こっち、集中して?」
 大丈夫だからと言いながら、先程までに零した雫をすくって先端に塗り広げた。
「んぁあっ、っえ、ちょ、ちが……さっきの、ちがっ」
「うん。これはイヤ? 怖いか?」
「じゃ、ない。けどっ…にー、ちゃ、は? これっ、ぁっんん、これ、いーの?」
 こちらが動いているようには感じないだろうし、実質ほとんど動いてはいないから、自分ばかりがと思ってしまうのかも知れない。
「お前がキモチクなって、中、締めてくれたら、俺も、ちゃんとキモチクなるから」
 大丈夫と繰り返してから一度顔を寄せて、何度かキスを繰り返した。宥めるように、愛しむように、そして快楽を引き出すように。何度も触れ合ってから口を離せば、溢れる吐息の色が変わる。随分と甘く響くようになる。手の中のモノもしっかり硬さを取り戻していた。
 可愛い声を指摘しながらもっと聞かせてと告げれば、わずかに躊躇ったあとで、喘ぐ吐息に気持ちが良いと知らせる単語が混ざりだす。中がうねり、握って扱く先端からダラダラと先走りがあふれるようになってから、握る手をそのままに前後運動を再開した。
 弱い場所を狙って緩く突き上げる。若干戸惑いが滲んでいても、溢れる吐息は甘いままだった。やがて戸惑いは消えて、そうなる頃にはイッちゃうという訴えが混ざりだす。
「いいよ。イッて」
 手の中の刺激を強めつつ、自身の動きも加速した。
 前を弄りながらならイケるとは言っていたが、自分で強弱を調整出来る自慰と、こうして他者に強制的に快楽を送り込まれるのは違う。数カ月前までは指2本がキツイと言っていた彼の自己開発は、どう考えたって拡げる事が中心だっただろうから、中への強い刺激と吐精とがまだ噛み合っていないのかもしれない。
 イッちゃうと繰り返しながらも、なかなか極められずに身悶える甥っ子に煽られ焦らされながらも、どうにか先に果ててしまうのを耐えたおかげで、彼が達する時の収縮に合わせてあっさりこちらも精を放った。

続きました→

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今更嫌いになれないこと知ってるくせに32

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 慎重に全てを埋め込んで一つ息を吐き出す。
 最初だけ、やはり指とは違うだろう感触に戸惑う様子を見せていた甥っ子は、途中から自身の体を拓くこちらを真剣な表情でジッと見つめていた。呻くでも耐えるでも喘ぐでもなく、初めての行為に随分と余裕がある。
 それはきっと、彼が想像していたよりずっと痛みや苦しさや辛さが軽かったからなのだろう。それはこちらの望んでいた事でもあるから、良かったと安堵する気持ちはもちろんあった。しかし、かと言って挿入されるだけで感じてしまうような、強烈な快楽を叩きこむ解し方もしていないから、せっかく念願かなって繋がったというのに、思いの外何も感じなかったなどという感想を持たせたのなら切ないなと苦笑する。
「全部入ったぞ」
「うん」
「随分余裕の顔してるが、まさか、あんま良くないな~とか思ってないだろうな?」
 こっからだからなと告げれば、余裕なんかないよと眉尻を下げてみせる。
「にーちゃん」
 意を決した様子で呼ばれて、何を言われるのだと若干身構えてしまうのはどうしようもない。どうしたと問いかける声は少し緊張が滲んでしまった。けれど甥っ子はそれには気づかない様子で、一転ふにゃんと泣きそうに笑う。しかもその口から吐き出されて来た言葉は、まったく想定外のものだった。
「好きだよ」
「おまっ……」
「すごく、すごく、好き。にーちゃんが、大好き」
 言葉だけなら盛大な告白というだけだが、その声は切なげに震えていて、マイッタなと思う。どうしてそうなったのか、理解が追いついていない。
「俺だって、好きだよ」
「うん。わかるよ」
 理解できないなりに告げた言葉は、思いの外あっさりと受け入れられていく。
「凄く、伝わってくる。だからなんかちょっと、ビックリして」
 抱かれるのって凄いね、なんてことを、思わずといった様子で零すから、愛しさと安堵と驚愕でやはり苦笑するしかなかった。
「まさかそれで泣きそうになってんのか?」
「泣きたいわけじゃ、ないんだけど。でも、にーちゃんが今、俺の中に居るんだって、凄い、嬉しくて」
 嬉しいと言いつつも、甥っ子の顔はますます泣きそうだ。手を伸ばしてその頬を撫でて、うっすらと目元に滲んだ涙を指先で拭いながら、極力甘く響くようにと意識しつつ名前を呼んだ。
「感極まるには早すぎだろ」
 さっきも言った、こっからだぞというセリフをもう一度告げた。
「だってぇ……」
 にーちゃんが好きなんだもんなどと、鼻を啜りながら言われてしまえば、こちらもいい加減限界だ。
「だからあんま煽るなって」
 繰り返してしまう苦笑と共に、動くぞと宣言して律動を開始する。
 当初の気持ち的にはもっとゆっくり中を味わうように、じっくりと快楽を引き出すつもりで責めてやるはずだったのに、そんな予定は吹っ飛んだ。
「あっ、あっ、ああっ、ちょ、なあぁ、まっ、んぁっ…んまっ、ああっ」
 ずっと強くは触れずにいた弱い場所をグリグリと擦ってしまったせいで、鋭い嬌声が次々とこぼれ出す。突然に与えられた強い刺激で、驚き戸惑い慌てる様子に、申し訳ない気持ちは確かにある。気持ちはあるが、待ってやれる余裕などなかった。
「も、無理。待てないって。スマン」
 待って待ってと音にならない言葉は届いていたけれど、こちらも情けなく謝るしかない。そして謝りながらも、更に弱い場所を狙って突き上げた。
 それを気持ち良いと感じられるだけの素養は多分まだないだろう。だとしたら、現状彼が感じているのは、違和感と恐怖と、もしかしたら痛みすらも与えているのかもしれない。
 あっ、あッ、と突き上げるたびに吐き出される声は苦しげで、潤みきった瞳からは大粒の涙がボロリボロリとこぼれ落ちている。
 奥を擦られて突かれても、それを気持ち良いと感じられるように、ゆっくりと慣らしてやるつもりだった。じわじわと感じていく、きっと可愛らしいに違いない様を見てやろうと思っていたのに、いったい自分は何をしているのか。
 グッと奥歯を噛みしめて、暴走する欲望を抑えこむ。早い律動を、ゆるやかなリズムに変えていく。
「あ、あッ、んんっ、にーちゃぁぁ」
 ボロリボロリと流れる涙は変わらないものの、甘い声が呼びかける。縋るように伸びてきた手に誘われて前屈みに身を寄せてやれば、首筋に絡んだ腕がぎゅうと抱きしめてきた。

続きました→

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今更嫌いになれないこと知ってるくせに31

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 用意していたローションとゴムを取り出せば、やはり最初は自分でしたほうがいいのかと尋ねられる。
「一緒に気持ちよくなるんだろ?」
 首を振って否定して、前回と同じように、こちらに背を向け横臥するよう促した。
「それとも、自分で慣らしたい?」
 躊躇う様子に問い直せば、慌てて違うと否定しつつも、なお逡巡する様子を見せる。
「言っていいよ。どうして欲しい?」
「あ、のさ、」
「うん」
「にーちゃんの顔、見てたいんだけど」
「えー……っと、どういう意味だそれ」
「だ、だって、前みたいのだとにーちゃん背中にいて顔見れないからっ」
「あー、うん。そうだな。…ってことは、向い合ってされたいって話か」
「うん、まぁ、そう」
「そりゃいいけど、顔見ながら慣らされる方が恥ずかしくないか? 後、慣れてるやり方のが楽だろ?」
 言いつつも返事は待たずに、甥っ子の足を開かせてその間に身を進めた。
「恥、ずかし、…けど、にーちゃんにされてるって分かったほうが、いい」
 素直に足を開いて待ちながらも、それにと続けた甥っ子は、あの後は自分で弄る時はなるべく仰向けでしていたと知らせてくる。それは当然、次は向い合ってしたいからという気持ちで、自分を慣らしていたという意味だ。
「おっ前、可愛いのもいいけど、あんま煽ってくれるなよ。理性すっ飛ばして突っ込みたくなるだろーが」
「ゴメン、なさい?」
「うん、確かに謝るとこじゃないけどな」
 疑問符の付いた謝罪に苦笑しつつ、手の平にたっぷりとローションを垂らしてから、更に足を広げさせて目的の場所へ濡れた手を触れさせる。
「けど煽られた分、ちょっと急ぐぞ。辛かったら言えよ」
 宣言して、前回よりも格段に早く、その場所を解していく。もちろんいくら煽られたからといって、ムリヤリに拓くつもりはないので甥っ子の様子には注意していたが、先程聞いた通りなら相当自分で拡張訓練を積んだらしい相手に、痛みを堪えるような様子はほとんどなかった。
 前回のように何度もキモチイイと口にさせ、気持ちごとゆっくり快楽を引き出すような手順を取らなかったので、甥っ子のあげる声は羞恥を耐えていたく控えめだ。もちろん問いかけ促せば、前回同様、素直に気持ちが良いと口にするだろう。しかし今回は、それを言わせて相手の気持を煽る必要がない。
 性急な行為であったが、心も、体も、それを受け入れ感じる余裕が、相手にあるのが見て取れる。一切触れていないにも関わらず、勃ちあがった性器からはトロトロと先走りがこぼれ落ちている。
 舐めて啜って、口を使って極めさせて、吐き出されたものを余さず飲んでやりたい。などという衝動がないわけでもなかったが、今日の所はお預けだろう。
 一緒に気持ちよくなって、という可愛らしいお願いを、出来る限り叶えてやりたかった。だから解し拡げる行為は急いでいても、相手の弱い場所をえぐって、快楽を引きずり出すような触れ方だってしていない。
 それでもその場所を弄られ感じてしまうのは、どうしたって仕方がないだろう。快楽を逃すように時折目を閉じて波をやり過ごしているものの、甥っ子の視線は常に自分に注がれていた。こちらも時折顔を上げてその視線を受け止めてやれば、羞恥と快楽と不安と安堵とをごちゃ混ぜた顔をする。
「辛いか?」
 肯定が返らないことはわかっていながら、愛しさを込めて問いかける。ふるふると首が横に振られるのを待ってから、何度目かわからないセリフを繰り返した。
「もうちょっと、慣らそうな。もう少し我慢、できそう?」
 出来ないなんて言えるはずもないだろうことも、もちろんわかっている。わかっていながら繰り返すのは、相手を気遣う気持ちを伝えるために他ならない。
 そうして急ぎながらもしっかりと、柔らかに3本の指を包み込んで蠢くほどに解してから、ようやく指を引き抜いた。
 体の中の異物が抜けてホッと息を吐くものの、さすがに続く行為への緊張が滲んでいる。そのまますぐに挿入したい気持ちを、もう少しだけとどうにか抑えて、屈みこんで顔を寄せ唇を塞いだ。
 あやすように何度も繰り返し口付ければ、こちらの気遣いに応じるように少しずつ緊張を解いていく。やがて、大丈夫だからもう入れて、という甘やかな囁きに促されて、ようやく相手の中に自身を埋めて体を繋いだ。

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今更嫌いになれないこと知ってるくせに30

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 そうさせるつもりで触れている。だからいくらでも、何度でも、イけば良い。
 言えば涙目のまま、ヤダよとやはり力ない声が訴える。嫌だと言われてしまうと、ヤダって言ったのにと泣かれた夏の日を思い出してしまって、このまま性急に快楽を引き出してしまえと思う気持ちが鈍る。
「なにが嫌だって?」
「今日は、にーちゃんも、一緒にイッてよ」
「もちろん、最終的にはそのつもりだけど?」
「最終的には、じゃなくてさ。俺ばっかり気持ちよくなってイかされるの、ヤダ。後、俺だけ脱ぐのとかもヤダから」
「あー……なら、俺のも触るか?」
 お前が俺を気持ちよくして? と誘えば、いいの? と問い返す顔は一転して好奇心と興奮に包まれていた。
「いいよ。じゃあまぁ、取り敢えず脱いじまうか」
 言いながら、既に腹の上まで捲り上がった相手の服に手をかける。
「にーちゃんも?」
 体を浮かせて脱がせやすいように協力してくれつつも、まだ不安げに聞いてくるから、もちろんと頷きながら脱がせた服をベッド脇に落とした。
「お前が脱がす?」
 自分の服に手をかけながら誘えば、やはり、いいの? と問い返しながらも腕が伸びてくる。そうして交互に服を脱がせあってから、裸で向かい合うように横になった。
 胸が触れ合いそうな程にくっついて、キスを繰り返しながら互いに相手のペニスを握って扱き合う。経験差があるのでどうしたって相手ばかりが喘ぎがちではあったが、下手でゴメンと謝られながら、それでも一緒にイッて欲しいのだと望まれれば、それを無下に出来るはずもない。
 こちらのタイミングに合わせて貰うために、相手の熱を極めてしまわない程度にゆるく煽り続ける羽目になってしまったので、途中から力の入らなくなってしまった甥っ子の手はそこに触れているだけの存在だ。なので最後は、互いに刺激しあうというよりはこちらが一方的に2本のペニスを握って擦るような形で終わったが、それでもほぼ同時に達したことで、相手は随分と満足気で嬉しそうだった。
 良かったと思う反面、こんな所で満足されきったら困るという気持ちにもなる。
 引き寄せてぎゅうと抱きしめて、腰から回した手で尾てい骨の辺りからそのすぐ下の臀列上部に指先をすべらせる。尻肉を割って指先を奥へ伸ばすことはしなくても、続く行為を充分に想像できるだろう。
「一緒にイけて満足そうだけど、ここで終わりとは思ってないよな?」
「うん」
 すぐに肯定する声が返って、内心ではかなり安堵していた。
「さすがに今日はお前の中に入るまで止める気ないけど、お前の覚悟は? 出来てる?」
「当たり前だろ」
 胸を押されて抱きしめていた腕を緩めれば、そのまま少しだけ体が離れ、真剣な顔が見つめてくる。
「にーちゃんこそ、まだ早いとか言って途中でやっぱやめたはナシにしてよ?」
「しないよ。姉さんの差金で相当焦らされた分、歯止めがきく理性なんて残ってないな」
「半分以上は俺の意志だけどね」
「知ってる。俺が焦らされてるの、楽しかったか?」
「楽しくはなかったけど、嬉しくはあったかな。今もちょっと余裕ない感じが、嬉しいなって思ってる」
 ゴメンねと謝られて、何がと問い返したら、躊躇いと羞恥を混ぜながらふにゃりと笑った。
「俺に手出すの、卒業まで待ってくれてありがとう。待たせてゴメンなさい。でももう俺も、多分大丈夫だと思うから」
 言い方が少し引っかかる。高校生のうちは節度ある関係を、というだけで待たされていたわけではないのだろうか?
「大丈夫って、何か問題があったのか?」
 しかも多分と付いているから、もし今現在も大丈夫ではない可能性があるとしたら、それが気にかかるのは当然だった。
「問題っていうか、自分で3本入れられるようになったから……」
 その言葉の意味を理解するまでに若干の時間が必要だった。
 要するに、指2本がキツくて気持ちよくなれなかった状態から自己拡張していた、という話らしい。
 思わずマジマジと見つめてしまえば、目に見えて顔を赤くした後、少しばかり離れていた体をすり寄せて、隠れるように俯き額を肩に押し当ててくる。
「あ、あのさ…、だからさ……」
 隠れながらも躊躇いがちに口ごもるその先を、言っていいよという気持ちを込めながらそっと促がした。
「うん。なに?」
「一緒に、キモチク、なれると思う」
 破壊力抜群の誘い文句だと思いながら、先ほどのように腰から手を回して、今度はさっきよりもより深い位置へ指先を伸ばす。
「ふ…ぁっ……」
 乾いた指先を押し当てて、くすぐるように軽く揺すれば、ヒクヒクと蠢き誘うように吸い付いてくる。
「指3本、自分で弄って気持ち良くイケる?」
「前も弄れば」
「そっか」
「でもにーちゃんにされたら、またお尻だけでイけちゃうかも……?」
 不安げに揺れる口調からは、それを期待されているのかどうかはわからなかった。
「そうされたい?」
「……わ、かんない。まだ少し、それは怖い、気もする」
 わかったと伝えて、一度体を起こす。
「無理させるつもりはないし、ちゃんと一緒に、気持ち良くなろうな」
 言いながら、横になったままの甥っ子の頭をくしゃくしゃと、いささか乱雑に撫でてやる。髪を乱されながらも、甥っ子は安堵の表情で嬉しそうに頷いて見せた。

続きました→

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今更嫌いになれないこと知ってるくせに29

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 入学決まったよという連絡が来たのは、当初の予想に大きく反して、秋の気配が濃くなる10月の半ばごろだった。ギリギリ出願に間に合ったからと言った甥っ子は、どうやらAO入試で合格を決めてしまったらしい。
 とは言っても高校生活が残っているので、引っ越して来るのは卒業後ということに変わりはない。少しでもお金を貯めておきたいからとさっそくバイトを始めてしまったので、会える機会が特別増えたわけでもなかったが、それでもクリスマスやら正月やらのイベントを気兼ねなく誘えるのはありがたかった。
 卒業したら恋人にという約束ではあったが、好きだと告げて腹をくくったら、安心したのか落ち着いてしまった甥っ子とは逆に、こちらのほうが我慢が効かなくなっていて会うたびに苦笑が深くなる羽目になっていた。クリスマスも正月も、母と姉と3人分の手作りチョコ持参でやって来たバレンタインも、よくハグとキスだけの節度ある関係のまま放してやれたと、自分を誉めてやりたいくらいだ。
 下手したら犯罪と忠告したのは姉らしいが、多分その言葉もかなり甥っ子のストッパーになっていたと思う。息子の性格を的確に見抜いたうえでの忠告だったのかもしれない。
 思いの外強固にそれを守る姿勢に、もちろん感謝もあったが、余計なことをと思う気持ちもなくはなかった。おかげで世間的なイベントごとに、嫌というほど焦らされた。
 そんなこんなで新しい部屋を決めて、一足先に自分の引っ越しを終えて待つ事数日。
 ようやく甥っ子が引っ越してきた日の夜は、早々に甥っ子を自室に引っ張り込んで広いベッドに押し倒す。さすがにそれぞれ部屋は分けたし、甥っ子の部屋にも当然ベッドが運び込まれているが、実質自室をメインの寝室にする予定で、古いシングルベッドをダブルサイズへ買い換えていた。
「ベッド、おっきくしたんだ」
 素直に押し倒されながらも、やはり格段に広くなったベッドに驚いてはいるらしい。
「同じ家に住むからって、やった後は自分の部屋戻れなんて、ちょっと言いたくないだろ?」
「てことは、ここでそのまま一緒に寝ていいの?」
「もちろん」
 そうして欲しくて変えたんだと言えば、嬉しいと言いながら幸せそうに笑う。その唇を、そりゃ良かったと言いながら塞いでやった。
 軽いキスを数回繰り返してから、性急だなと自嘲しながらもあっさり深いものへと変えていく。思いの外強い意志で、高校生のうちは節度ある関係をと求められてしまったので、性感を煽るようなキスを仕掛けると途中で逃げられてしまうことが多かったが、性感を煽るように口内を舐め啜っても、さすがに今日は途中で止められる事もなさそうだ。
 これはやはり、相手の覚悟も充分と思って良いんだろう。
 途中で逃げられることもあったが回数そのものはそれなりに重ねているのもあってか、キスの合間にうっとりと甘い呼気を漏らすことへの躊躇いはないようだ。性急に性感を煽られ、戸惑いを滲ませつつも必死で応じる様が、堪えることなくこぼれ落ちてくる甘い声と相まってたまらなく可愛らしい。
 服の裾から忍ばせた手で直接肌の上をあちこち撫でれば、要所要所でピクリピクリと手の平の下の肌と、口内で触れ合う舌が震えて、弱い場所を晒してくる。腹から上へ向かって撫でていた手が胸の先の小さな尖りに触れれば、ひときわ大きく肌が波打ち舌が震えた。
 ねだられて繋がる直前まで触れた夏の行為を思い出す。あの時も胸の先への強い刺激で随分と反応していた。思い出しながら、同じように爪先で掻いて捏ねるように押しつぶし、摘んで引っ張り指の腹を擦りあわせて挟まれた乳首を転がしてやる。
「ふっ、んん、…っ、んぁっあっ!」
 肌が波打つどころではなく腰が跳ねて揺れた。
 軽く覆いかぶさる形で押し倒しているので、腰が跳ねたついでの一瞬だったが、相手の熱が自分の股間へと押し当てられた。既に充分な固さを持っているようで、ぶつかった衝撃からか、触れ合わせる口の隙間から幾分高く鋭い声がもれる。
 更に腰を落としてのしかかり、下半身を密着させた。互いにラフな部屋着というのもあって、相手の熱も固さもはっきりと感じ取れる。キスも胸への刺激も続けたまま、更に押し付けた腰を揺すってやれば、たまらないとばかりに口内に熱い息が吹き込まれた。
 最初はギュッとこちらの肩を掴んで耐える様子を見せていた相手の限界が来たのか、押しのけようと腕を張る気配に従い、腰の動きとキスを止めて少しばかり身を離す。
「そんなされたらイッちゃうよぉ」
 涙目で見つめられ、戸惑いの色濃い弱々しい声で訴えられたが、それを見ても内に湧く感情は愛しいばかりだった。

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今更嫌いになれないこと知ってるくせに28

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 甥っ子からの、話があるから泊まりに行きたいという連絡は、お盆休みが始まる頃に受けた。電話越しにも伝わってくる強い意志に、あれからまだそう日も経っていないのに、何かしらの覚悟を決めたのだということがわかる。
 彼がどんな結論を持ってきたとしても受け止めるつもりで、ちょうど明日からお盆休みで家に居るよと返せば、翌日の昼にはさっそく甥っ子が顔を見せた。
 随分晴れやかな笑顔にホッとしつつ、部屋にあげてお茶を出す。
「良い報告っぽいな」
「うんそう。大学は本気でこっち来るつもりだから、よろしくって言いに来た。というか、一緒に住んでくれる?」
「話が飛び過ぎだ。お前がはっきり覚悟決めて選んだってなら、こっちくるのも一緒に住むのも構わないが、どういう結論になったのか、学費やら生活費やらどうするつもりなのか、話してくれないとわからないぞ」
「ああ、ごめん。学費は父さんが、生活費の一部はじーちゃんが出してくれるって。一人で住むなら家賃プラス2万。にーちゃんと一緒に住むなら家賃の半額プラス3万。残りはバイトするかにーちゃんに出して貰えってさ」
 ちゃんとバイトするよと笑う顔は輝いているが、やはりまだ話が先を行き過ぎている。
「うん、ちょっと待って。結局お前はどういう結論になったわけ? 一緒に住むけど、在学中は恋人って関係にはならないよってことか?」
「違うよっ。にーちゃんの恋人になる気満々でこっち来るよ。でも心配しないで。学費や生活費はさっき言った通りだし、さすがに歓迎はしないけど反対もしないってさ」
「言ったのか!?」
「言ったというか聞いた。俺がにーちゃんの嫁になりたいの冗談だと思ってる? って」
 やっぱり本気だったのって言われるくらいにはちゃんと信じてたっぽいよと、甥っ子はケロリとした顔で告げた。
「俺さ、俺がにーちゃんの嫁になったら、にーちゃん結婚できないし孫の顔も見せられないけどいい? っていうのも聞いたんだよね。ばーちゃんが言うにはさ、例えばダメって反対したらにーちゃんがお嫁さん貰って子供作って会いに来てくれるって言うなら反対するけど、そんな都合よく進むわけ無いから、にーちゃんが俺でいいなら良いんだって。それより反対しないから、二人一緒に顔見せに帰ってくれたほうが嬉しいってさ。じーちゃんもそんな感じみたい。というかその辺はばーちゃんがなんか説得してくれたぽいかも」
 二人共にーちゃんに会いたがってたよと眉を顰めて見せるのは、前回姉の家にお邪魔しながらも、近くの実家には結局顔を出さないまま帰宅したことを責められているんだろう。
「それは考慮するよ。でも今までこんなに疎遠にしてた上、お前との関係まで知られて、どんな顔していいかわなんないな」
 苦笑するものの、大丈夫だってと笑顔で断言されてしまうと、それ以上は逆らい難い。この様子だと、来年からは甥っ子に引っ張られて度々帰省させられることになりそうだ。
「あと母さんね。ばーちゃんの話聞いた後だったし、これは俺自身の問題だから、反対されてもされなくても、お嫁さんや孫の顔は見せられないからそれは諦めてって言ったら、知ってたって。相手がにーちゃんだってのは複雑だけど、にーちゃんが良いって言ったならしょうがないから頑張れってさ」
 ばーちゃんも母さんもにーちゃんが良いならって言うんだけど、本当に良いんだよね? といささか不安げに聞かれて今更だろと返した。
「言ったろ。お前が俺を選ぶなら、俺も腹くくるって。俺だって今更お前を嫌いになんかなれないんだから」
 良かったと笑う顔が可愛らしくて、今すぐにでも抱きしめてキスしたい衝動が湧く。しかし甥っ子の報告はまだ続いていた。
「それと、父さんはなんかすごい事言ってたよ」
「すごい事って?」
「反対しないけど、もし今後年の離れた弟か妹が出来たとしても、おろせとかは言わないでくれって」
「は?」
「ね、本当に は? って感じだよね。言うわけないけど、さすがにビックリした。これやっぱ俺が嫁も子供も無理って言ったせいだと思う?」
「いやそれは……てかうちにしろ義兄さんの実家にしろ、跡継ぎどうこうって話聞いたことないから、そこまで気にしなくてもいいとは思うけど」
 さすがに聞けなくてと困った様子で言われたが、あまり迂闊なことも言えないので濁すしかなかった。
「ならいいんだけどさ。後、もし本当に弟か妹出来たら、学費は就職したら少し返すことにするかも。これは俺がそう考えてるってだけの話だけど」
「お前、ホント、凄いな……」
「そんなことないよ。本気でにーちゃんとずっと一緒に居たいんだって言っても、絶対ダメとは言われないだろうなって、わかってただけ。でも本気だって言ったら、それなりに色々言われたけどね」
「色々って?」
「せっかく大学行かせるんだから嫁とか言ってないでちゃんと就職しなさいよとか。当たり前だっての」
 嫁ってのはずっと一緒に暮らせる人、って意味で使ってただけなんだよねと言いつつも、にーちゃんが望むなら受験終わった後少し花嫁修業っぽいことしてきてもいいけど、なんて続けるものだからどうしていいかわからない。
「でもまずは受験だよね。絶対受かってこっちくるから、そしたら俺と恋人になってね」
「今すぐ恋人にしろ、とは言わないんだな」
「うん。にーちゃんが好きって言ってくれたから、もうちょっと我慢しようと思って。というか色々言われた中にちょっとそれ関係もあって」
「それ関係って?」
「あんまりにーちゃん困らせちゃダメって話。せめて高校生のうちは節度ある関係でいなさいよって。そのつもりがなくても下手したら犯罪になるんだからって」
 抱けって迫ったりしてごめんなさいと言われてしまったら、これはもう、卒業まで手が出せないなと内心苦笑うしかなかった。

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