雷が怖いので プレイ35

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 今度はじっくりと、剃られてツルツルになっているのだろう、会陰部や尻タブの合間やらを丁寧に舐め吸われる。会陰部を撫でられ緩く押されることで発生する快感を知っている体は、舐められれば当然のようにいつも以上の反応を返した。
 時折舌を伸ばされ刺激は陰嚢にも与えられたけれど、体の向きは変えられること無く、興奮しきって勃ち上がるペニスには一切触れてもらえない。舐められながらイッてみようっていうのは、もしかして、後ろを舐められるだけでイケってことなんだろうか?
 その予想は多分当たりで、再度アナルに舌が触れるまでにも随分焦らされたし、触れた後もすぐに舌を差し込んでくるような真似はせず、さっきよりもずっと時間を掛けて舐め解される。
「ぁ、ぁああっ……、ぁあ、イイっっ」
 イキたい、イかせて、前も触って、早く挿れてと、頭の中では散々繰り返したけれど、口から零すのは甘い嬌声だけだ。口に出してねだってしまったら、きっと中断させてしまうから。仕方がないねと言いながら、望む刺激をくれるだろうから。
 壁に押し当てた手にぐっと力を込めて、自らペニスに手を伸ばして、弄ってしまわないように必死で耐えた。
 やがてつぷつぷと舌先をアナルに出し入れされると、お腹の中がぎゅんぎゅんと蠢き、その舌をもっと奥まで迎え入れたいと体が願う。相手もわかっているようで、楽しげに熱い息を零しながら、少しずつ深くまで舌を押し込んでくる。
 それでも足りない。前立腺をキツく弄られたい。前立腺を弄られながら、押し出されるように射精したい。足りない。足りない。もっと深くまで欲しい。
 刺激は前立腺にまで届いてない。なのに繰り返される動作にグッと射精感が高まっていく。
 アナルの開発を開始した初期はやっぱり浅い場所ばかり弄られたし、そこでの快楽を覚え込まされイカされていたけど、でも前に触れないまま達したことなんてない。お尻でイけるようになってからも、射精するのはいつだって前立腺への刺激を受けながらだったし、ドライでイクなんてのはそれよりもっと難しい。
 こんな浅い場所だけを舐め弄られて、体が昇り詰めるかもしれないなんて、吐精してしまうかもだなんて、嘘みたいだった。
「あぁ……ぁ、……うそ…………いき、そ……」
 戸惑いながら漏らした声を拾ったのか、舌の動きが激しくなる。
「ぁあああ、あああっっんぁあ゛あ゛あ゛あ゛」
 ひときわグッと押し込まれて、アナルごとぢゅうぢゅう吸い付かれて、体がブルリと震えた。ペニスの先からドロリと白濁が吐き出されていくのがわかる。
 膝が震えて崩れ落ちてしまいそうだった。もちろん、本当に崩れ落ちちてしまう前に、彼によって抱き支えられたけれど。
 ようやく壁から引き剥がされて、彼の腕の中でくるりと体を反転される。
「舐められるだけで、イケたな」
 満足気な声と顔。しかもだいぶ興奮してくれているようだ。
「はい」
 良かった。嬉しい。冷め切らない興奮に安堵を混ぜて頷いた。
「可愛い顔して頷いちゃって。ベッド行ったら、今度はこっちじっくり舐めてやるから、期待して?」
 ニヤリと笑いながら剃られたペニス周りを撫でられて、吐き出したばかりでもちっとも萎えきってなんかいないペニスが、期待しての言葉にあっさり期待を膨らませて揺れる。
「ほんと、素直な」
「ぁんっ」
 柔く握られ甘く吐息をこぼした。そのまま擦られれば、当然あっさり硬度が増していく。
「まだ、ここで、する?」
「いや。ベッド行くよ」
 そう言いながらも、彼の手は離れていかないし、手の中のペニスへ緩く刺激を送り続けている。
「なぁ、他も剃らせてって言ったら、どうする?」
「他、……って?」
「脇とか、スネとか。全身ツルツルにして、ひたすら舐め可愛がってやりたい」
「今後ずっと全身ツルツルのままでいろ、とか言わないなら」
「それをここで言うってことは、陰毛は剃りっぱなしにしてって言ったら、従うつもりがあるってことか?」
「言うんですか?」
「言わない。絶対ダメってわけじゃなくなったのわかったから、今度は何かのおしおきで、うんと恥ずかしい格好に縛ってからの剃毛とかもやりたいし?」
 今日はほとんど記憶にないまま剃られちゃったもんなと笑われたけど、それはそれでなんとも複雑だ。別に、いつかそんなおしおきをされるかも知れないことが、凄く嫌ってわけじゃないけれど。
「で、本当に他も剃っていいんだな?」
「はい」
 頷いて、彼が先程一度片付けたカミソリやらを、再度持ってくるのを待った。

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雷が怖いので プレイ34

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 彼の家ほどではないにしろ、ベッドルームが別になっているようなホテルのバスルームはやはりそこそこ広くて、二人で使っても窮屈感なんてものはない。
 湯船と洗い場はしっかり別々になっているので、洗い場に立ち、剃られた部分をシャワーで丁寧に流されながら、随分と念入りに剃り残しがないかをチェックされる。彼の前に体の隅々まで晒すのなんて今更でも、壁に額を押し当てて腰を突き出し、自ら尻肉を割って拡げて、そこにシャワーの湯を浴びる経験はもちろん初めてだし、剃り残しがないかを確かめるように触れる指も注がれる視線も初めてだ。
 そんなの、どうしたって恥ずかしい。彼の前に晒す、彼によって引き出される羞恥は、自分の中ではもう完全に快感と結びついてしまっているから、体が期待で震えてしまう。
「物欲しそうにハクハクしてる」
 可愛いなと言って、指先が息づくアナルに押し当てられた。その指先をもっと奥まで咥え込みたいと、アナルが吸い付くように蠢いてしまうのがわかる。けれどその期待に応じてくれることはなく、指先はあっさり離れていった。
「ぁ、ぁあ……」
 安堵と落胆を混ぜた息を零せば、ククッと喉の奥で笑われる気配がする。
「大丈夫。やっとツルツルにさせてくれた分、いつもとは違うやり方で、うんと可愛がってやるから」
 言いながらシャワーを置くと、尻タブを掴む手を覆うように彼の手が重ねられて、開き方が足りないと言わんばかりにグッと左右それぞれ外側へ向かって力が込められる。近づく気配が彼の頭だと認識するのと同時に、アナルにピタリと押し当てられたのは、間違いなく彼の舌だった。
「んぁああああ」
 ビクビクと体中を痙攣させながら悲鳴をあげてしまう。それに構うこと無く、グニグニと蠢く舌が楽しそうにアナルを舐め弄る。指とは全然違った動きと感触に肌がゾワゾワしっぱなしだし、更にそんな場所を舐められているという驚きと背徳感で、頭の中がグラグラと揺れた。
「ゃぁあ、ああ、ああんん」
 多分間違いなく気持ちが良いけれど、その気持ち良さに身を委ねてしまってもいいのか、わからない。だってこんなの、知らない。彼の口にイカされたこともあるけれど、でもその時はこんな場所まで舐められなかった。彼の舌が這ったのは、口に含まれ吸われたのは、ペニスとせいぜい陰嚢までだ。
 そんなことが頭を掠った直後、アナルに舌を差し込まれ、その周りごと押し当てられた唇で吸い上げられる。
「ひぃぁああ゛あ゛あ゛や、だぁああ」 
 再度絞り出すように悲鳴を上げれば、ちゅぽんという音が聞こえそうな勢いで、唇が離され舌が抜け出いく。
「ん、すっげ、いー声出てた」
 零される笑いは満足気だ。
 尻から手を離して立ち上がった彼に倣って、自分も尻から手を離して突き出した腰を引っ込めようとしたら、それを阻止するようにあっさり腰を掴まれてしまう。
「だーめ。まだ終わりじゃないから」
 壁に手をつくように言われて従えば、壁から離れた顔を覗き込まれる。
「ああ、やっぱりおでこ、赤くなってるな」
 中断したのは、額を壁に押し当てているにも関わらず、アナルを舐められる衝撃に耐えられなくて、イヤイヤと頭を振ってしまっていたかららしい。
「頭フラフラしてる感じは?」
 そういや部屋に戻ってきた時は、結構酔っていたんだった。でも酔いがぶり返したり、のぼせている感じはなかった。
「それは、平気、です」
「じゃ、とりあえず、舐められながら一度イッてみようか」
「えっ、ここ、で?」
「どうしてもベッドの上でがいい?」
 多分頼めばそうしてくれる。特に今日は四週目だから、口に出したこちらの希望を優先して叶えてくれる。でもこっちだって、彼がしたいように、されたい。特に、建前上は買われていない、まるで恋人同士のデートを楽しむみたいな四週目は。
「ここで、して」
 だからこちらが返す言葉なんて、それ以外になかった。

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雷が怖いので プレイ33

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 驚きを隠さないまま暫く何かを考えていた彼は、バイト中に許すなら初剃毛プレイにはそれなりの金額を払うのに、本当に今ここでそれを許すのかと問うてくる。そんなふうに言われたら、余計に今がいいって思ってしまうのに。
「バイト中に剃るって言われても、俺もう、嫌だって言わないと、思います。でもそうやってお金貰うより、お金で買われてない今の方が、嬉しい」
「そうか……」
 それなら準備をしてくると言ってすぐに立ち上がってしまったので、困ったような、そしてどこか辛そうな顔を見てしまったのは一瞬だった。
 失敗した、のかもしれない。金銭でこちらを買っていたい彼と、買われるという形ではなく彼と過ごしたい自分とで、衝突とまではいかないまでも、会話にしろ互いの感覚にしろ噛み合ってないなと感じることは多々あった。
 彼に抱かれるようになってからも、バイト中に彼のペニスで貫かれることがないままなのは、あの日、仕事として抱かれるのが嫌だと言ったせいなのはわかっている。買われたくないこちらの気持ちを、彼はちゃんと心に留めてくれているし、月の半分はバイトとしてでなく抱いてくれるけれど、でもその根底には、やはりこちらに対してそれなりの金額を支払うべきだって思いが強く残っているんだろう。
 それが時折こんな風に、彼の口からこぼれ落ちてくるのだ。それを素直に受け入れて、お金を積まれることを喜べないのも辛いし、こうしたこちらの反応のせいで、彼にも苦々しい思いをさせてしまう。
 ふわふわに舞い上がっていた幸せな気持ちがしぼんで、そっと瞼を下ろした。こんな酔った頭で、ぐるぐるとアレコレ考えるのはきっと良くない。早く彼に戻ってきてほしかった。
 目を閉じてしまったせいか、どうやらそのまま眠りに落ちたらしく、下半身がムズムズして意識がゆっくり浮上する。そのムズムズがカミソリが肌を滑る感触だというのはすぐに気付いたが、今まさに剃られている最中だと意識すればするほど、どうすればいいかわからない。だってなんか予想外な所にカミソリが当てられている。というか尻たぶを広げられて、アナル周りを剃られてるらしく、多分とんでもなく恥ずかしい格好をさせられている。
 そしてそんなこちらの戸惑いは、あっさり相手に伝わったらしい。
「起きたのか? 一応聞くが、どこまで覚えてる?」
 カミソリの動きががピタリと止まって、持ち上がっていた足が降ろされる。彼の声に促されて目を開ければ、だらしなく開かれた足の間に座っている彼と目があった。手にはもちろん、カミソリが握られている。
「どこまで、って……」
「剃るぞって言われて頷いたことは?」
 言われてみれば、彼の声に夢現で頷いたような気がしないこともない。けれど言われた言葉が剃るぞだったかどうかは、欠片も記憶に残ってなかった。
「はっきりは、おぼえて、ない、です」
「剃っていいって言ったことは?」
「それは覚えてます」
「ならいい。もう終わるから、あとちょっと大人しくしてろよ。動くと危ないから」
 再度足が持ち上げられて大きく開かれた。狙いを定めるように見つめられて、恥ずかしさに身を捩りたくなる。それを耐えるようにギュッと体に力を込めた。
「いい子だ。そのまま動くなよ」
 こんな緊張したままでも、どうやら動きさえしなければ構わないらしい。そのままお尻の隙間にカミソリが当てられて、ゾワッと肌が粟立った。
「ぁっ、……ん……」
 スルスルと滑っていく感触に、毛が剃られているとわかる感触が時折混ざって、なんともいたたまれない。
 毛深い方ではないし、アナル周りなんてほとんど生えてないはずだけれど、それでも無毛のツルツルでないのは確かだし、そこも剃られて当然といえば当然なのかもしれない。頭ではそうわかっていても、剃られるのは前面だけだと思い込んでいたせいで、戸惑いは大きかった。
「終わったぞ」
 やがてそんな言葉とともに、触れていたカミソリが離れて、持ち上がってた足も降ろされる。緊張を解いて大きく息を吐く中、微かに笑うような気配とともに相手が立ち上がったのがわかった。
 テキパキと後片付けを進めていくのを、まだどこかぼんやりとしながら見つめてしまう。なんとなく現実感がないのは、慣れないホテルのベッドの上で、初めての剃毛を受けながら、のん気に寝こけていたせいに他ならないのだけれど。
「眠い?」
 一度眠ってしまったおかげか、酔いはけっこう覚めている気がするし、眠いわけじゃない。
「いいえ」
「なら一緒にシャワーを浴びようか」
 無理そうなら拭いてやるからちょっと待ってろと続いた声には、もちろん、一緒にシャワーを浴びると返した。

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雷が怖いので プレイ32

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 人前で下着を脱ぐ機会なんてそうそうないものの、一度剃ってしまったら暫くはみっともない姿が続いてしまう。
 自宅で準備をして、渡されたアナルプラグを埋め込んで、近所で買い物をしてからバイト先へ向かう。なんてことが出来るのは、それが決まった曜日の決まった時間を超えて、日々の生活へ関わってこないからというのがやはり大きい。まぁ普段から利用する場所で買い物なんてしたら、プレイとしてでなくそこで買い物をするときに、思い出してしまう事もあるのだけれど。
 でも剃られてしまったら、綺麗に生え揃うまでそこを見るたびに、否応なく思い出してしまうだろう。だって誕生日につけて貰ったキスマークがそうだった。それが目に入るたびに、誕生日を祝ってもらった幸せな時間と、でもキスマークで誤魔化されて抱いて貰えなかった切ない気持ちとを思い出して、気持ちをユラユラと揺らしていた。
 彼がそこを剃りたいと言い出したのも、執拗に剃りたがっていたのも、誕生日後の幼い子どものような口調をかなり強要されていた頃だし、剃り落とされてツルツルになった子供みたいな体を、家に帰ってまで意識したくなんてなかった。優しい声音で剃られることを促す彼に、気持ちを揺らされながらも拒否し続けられたのは、きっとキスマークの二の舞いになることがわかりきっていたからだ。
 ただ、胸を弄られすぎたせいで日常生活に支障が、みたいな影響があるわけじゃなかったし、絶対に嫌だという態度で引いてくれたし、理由ごと口に出して、剃りたがるのは止めてくれとお願いしたことはない。それでも結局は、プレイが進む内にある程度満足したのか、想いをはっきり自覚してからは少し雰囲気が変わったとも言われたからそれで合わなくなったのか、幼い口調の強要やらは減っていったし、同時に剃りたいと言われることも減っていた。
 自分の中の気持ちが変わったのは、やはり初めて抱かれたあの日だ。彼の体に残る傷を見て、血が流れるほど強く噛まれて、その傷が自分の体にも残ればいいのにと思ってしまった。上手にできなかったら意識を飛ばされる覚悟と、起きた時には毛を剃り落とされている覚悟をしてなんて事も言われたが、意識を飛ばしても無事だったその場所に気付いた最初、安堵するのではなく、剃られてても別に良かったのにと思ってしまった。
 彼がこの体に残してくれるもの、自宅へ帰っても彼との時間を思い出せるようなものを、最近ではむしろ欲しがっている。なのに欲しい気持ちを自覚したせいで、逆に彼がこの体に痕を残さないようにしているのだろうことに、気付いてしまった。
 お金は半ば強引に突っ返してしまったけれど、傷跡なんてほとんど残らないだろう噛み傷に、十万という金額を払おうとした人だ。たまにプレイ後うっすらと拘束された痕が残っていることもあるが、多分確実に、そういう時は給料にその分が上乗せされているんだろう。考えてみれば、拘束を解いたときや、拘束を含むプレイをした日の終わり際は、念入りに体をチェックされているような気もする。
 そんなわけで、彼が気にしているのは主に拘束の痕で、毛を剃り落とすことや、こちらが望んでねだったキスマークに対して、彼がどんな感情を持つのかは知らない。
 キスマークに関しては、おぼろげな記憶ではあるが、あなたのものにしてと言ってねだった結果のものだし、彼が喜んで応じてくれていた記憶もない。当然、彼自身からつけたいと言われたことも一切ないそれを、自分からまた望むことはしないだろうと思う。
 そして剃毛に関しては、剃られたら生え揃って元通りになるまでには、そこそこの期間が必要になるはずだ。数日も残らない拘束の痕より、確実に長くこの体に剃られた事実が残るわけだけれど、それを彼がどう思うのかはやっぱりちっともわからない。でもこちらからすれば、彼からしたいと望んでくれて、体にはっきりと彼と過ごした時間の痕跡が残る行為に他ならない。しかも今日この場所でというなら、帰宅後その場所を見て思い出すのは、剃られた後でトロトロになるまで可愛がって貰った記憶なんじゃないかと思う。
 そう考えたら、むしろ期待で体の熱があがっていく。

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雷が怖いので プレイ31

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 昼間の話が尾を引いてか、夜は少し飲みすぎた。正しくは、飲まされた、かもしれないけれど。
 夕飯時にお酒を勧められればもちろん断ることなんてせずに飲むけれど、足元が覚束なくなるほど酔うのは誕生日以降初めてだった。とは言っても、誕生日の時は最初から酔い潰されるつもりでと言われていたし、あの時に比べれば意識はまだまだはっきりしている。
 ただ、心も体もふわふわしていて、たまらなく幸せで楽しい気持ちが胸の中を満たしていた。これはアルコールによって感情が増幅した結果らしい。
 昼間、やっぱり嬉しいと思うんだな、などという言葉を聞いたせいで、素直に喜びきれずに胸の底で燻っていた想いが、お酒の力で膨らんで溢れ出したようだ。
 覚束ない足取りでも、とりあえず部屋までは支えられながら歩いた。でも一歩部屋に入ってしまえば、当たり前みたいに抱き上げられてベッドの上へと連れて行かれる。
 もちろん、食事へ向かう前に体の準備は済ませてあった。ローションをたっぷり注いでプラグで栓をして、なんてことまではしていないけれど、だからこそこの後、ベッドの中でゆっくりじっくり彼の手で慣らしてもらうその過程こそが、今日みたいにホテルへ泊まる日の醍醐味というか最大の楽しみでもある。
 頭の両脇に肘から先をついて、間近に見下ろしてくる彼の顔も楽しげだ。それだけでまた嬉しさが募って、ふへへと気の抜けたような笑いがこぼれ落ちる。それを掬い取るみたいに、ちゅうと唇に吸い付かれた。
 ちゅっちゅとキスを重ねられる合間に、ふはふはと笑いを零しながら、なんて幸せなんだろうと思う。
 彼側の事情だの言いつつも、このお泊りがお金を貰う代わりの贅沢だということもわかってはいる。でも、彼に抱かれるようになった先で、こんな風に触れて貰えるようになるなんて、以前は欠片も想像できなかった。あの日の言葉通り、したいこと、して欲しい事を、彼はたくさん叶えてくれている。
 誕生日の時に貰った服を、ゆっくりと脱がされていく。自分からも手を伸ばして、彼のシャツのボタンを外していった。
 素肌を晒して抱きしめあって、相手の肌の暖かさに包まれていると、本当に嬉しい。うっとりと目を閉じれば、穏やかな声がまだ寝るなよと告げる。
「寝ません、よ」
「でも眠いだろ? 少し飲ませすぎたか」
「ん、でも、美味しかった、です」
 そりゃ良かったと言いながら髪を梳くように頭を撫でられて、その心地よさにますますうっとりと蕩けていくようだ。
「今日のお前は、凄く機嫌が良かったな」
「だって、なんか、嬉しくて」
「俺がプレイの誘いを断ることが?」
 そうなんだろうと断定するような気配と、それでいてこちらからの肯定を待たれているような気配が混ざる、そんな声音だった。もちろん、ハイと短く肯定を返す。
「わかってるか? 今後、他で発散しない分がお前に向かう可能性だってあるんだぞ?」
 今度は安堵と、からかいの混じる声だった。だからこれは、言葉ほどには深刻な話じゃない。
「はい」
「明日、酔ってて覚えてないとか言いそうだけどな」
 苦笑される気配に、閉じていた瞼を持ち上げた。うっとり蕩けかけてはいても、意識はそれなりにしっかりしてる。このまま眠りに落ちるなんて、そんなもったいない真似をする気は全然なかった。
「大丈夫です。わかってるし、頑張ります、から」
「頑張るって何を?」
「何をって、その、俺だけでも、あなたに満足してもらえるように?」
 相手はふーんと楽しげに笑う。
「なるほどね。じゃあ、ちょっと何か頑張ってもらおうか」
「え、今から?」
「そう、今から。そうだな。今までのお前なら断ってくるようなことで、今この場で簡単に何か、って考えると、剃らせて、とかか?」
 当然、剃らせてってのは陰毛をってことだろう。
「いいです、よ」
 まさか許可すると思っていなかったのか、随分と驚かせてしまったようだった。

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雷が怖いので プレイ30

※ ここから先、相手へ告白済みです
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 第四土曜日にデートみたいなお出かけをするようになって数ヶ月、その日は初めて、迎えに行くから家で待つようにと言われていた。いったい何の演出なのか、今日は何か特別な日だったりするのか、さっぱりわからないまま時間ぴったりにアパート前に停まった車に乗り込んだ。
 本日の目的地はやっぱり聞いたことのあるホテルで、今日は泊まりだよと言われたけれど、『今日は』ではなく『今日も』だと思う。確かにあの日、雰囲気のいいお店で食事を楽しんだ後で彼に抱かれたい、というような希望を口にしたけれど、まさか月イチの頻度で連れて行かれるとは思っていなかった。
「明日の予定、何か入ってる? 夕方まで連れ回しても平気か?」
「大丈夫です。でもあの、毎月こんな豪華なお出かけ、しなくていいんですけど」
「それはまぁ、こっちの事情もあるから、お前は気にせず楽しんでよ」
「そっちの事情、って?」
 んー……と渋るような迷うような様子を見せられて自分も迷う。彼がこういう態度な時は、自分にとってはあまりいい話じゃないけれど、特別隠すようなことでもない、という場合が多いからだ。
 どうせ好奇心で聞いて痛い目を見るのは自分だし、話してもいいと思っている事はなんだって聞きたい。だから結局、迷ってもやっぱりいいですと聞かずに済ますことは殆どなかった。逆に、先を促すように、話せないような事情なのかと問いかける。
「いや。たんに今日明日とあの部屋を貸すことになってるだけ。迎えに来たのも、お前と鉢合わせたら面倒なことになりそうだと思ったからだ」
 一応聞くけどと前置いて、いくら積まれたら俺以外ともプレイできる? などと続けば、どんな面倒が起こるのかを想像するのは容易い。多分相手も、こちらが気づくこと前提で話しているのだろうけれど。
「いくら積まれたって嫌ですけど」
「って言うと思ったから、迎えに来たんだろ」
「で、そういうあなたは、いくら積まれたら参加するんです? 副業、なんですよね?」
 心臓がキュッと絞られるような痛みを感じて、バカなことを聞いているなと心の中で自嘲する。でも以前、金を積まれてプレイに参加することがあると聞いてから、ずっと気にはなっていた。彼の体の傷を見て、少しばかり過去を知ってしまった今は、その思いはますます強くなっている。
 断ることも多いようなことを言っていたから、過去はともかく現在は意に沿わない行為を嫌々させられているとは考えにくい。それは彼が彼の意思で値段をつけて、納得の上でプレイしているってことだ。
 彼が自分以外の相手にどんなプレイをするのかなんて知りたくない気持ちも強いけれど、どんなことをどの程度の値段で受け入れているのか、それを知りたい気持ちも同じくらいに強かった。自分自身は彼任せで、ほとんどが与えられるままにただ給料を受け取っているし、彼が買えるほどの金銭を積めるわけがないのに、彼の値段が知りたいだなんて、本当は思うべきじゃないんだろうけれど。
 そんな自己嫌悪にそっと苦笑を噛み殺していたら、隣の運転席から、参加しないよとの言葉が飛んできた。
「え?」
「俺も最近はいくら積まれても全部断ってる」
「は?」
「お前抱くようになったし、副業とは言ったが、金が必要で応じてたわけでもないしな」
 思わずジッと運転する横顔を眺めてしまえば、ちらりと優しい視線だけが応えてくるからドキリとする。多分きっと、自分が彼を好きになってしまったと言ったせいで、こちらに気を遣って断ってくれている部分もあるんだろう。
 彼が自分以外ともプレイすることがあるのはわかっていても、自分の感知できないところでして欲しいし、なるべく気付かせないで欲しい。痕跡に酷く動揺したせいでキツイおしおきを食らったり、今現在彼が一対一で関係を持っているのは自分だけだと言われて安堵した過去がある。彼もそれを覚えているから、断れる誘いは全て断ってくれるようになったと、そう考えるのが妥当な気がする。
 恋人になれる相手じゃない。どれだけ好きだと思ったって、相手から同じ想いは返らない。でも、差し出したこちらの『好き』を、思いのほか大切に扱ってくれているとも思う。
「ねぇ、俺はこれ、喜んで、いいの?」
「嬉しいか?」
「そりゃあ、嬉しいです、よ」
「そうか。俺が他でプレイしないのは、やっぱり嬉しいと思うんだな」
 そこに納得されるのかと驚く気持ちはないわけではないが、そんなどこか少しズレた返答は、いくぶん安堵の滲んだ声で告げられた。

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