金に困ってAV出演してみた10

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 小柄な体格と童顔にプラスして、衣装だった学生服が印象的すぎて、車に案内された時の違和感は凄かった。自己紹介時に高校卒業済みと言われているのだから、車の免許を所持していたってなんらおかしなことはないのに。
 そんなこちらの戸惑いに、きっと理由まで気づかれている。笑いながら免許証見せようかと言われたのに首を振って助手席に腰を下ろせば、同じく運転席に腰を下ろした相手が、ハンドルに頭をもたせ掛けるようにして振り向きニヤリと笑う。悪戯を思いついた悪ガキの顔だ、と思った。
「ねぇ、車って二人きりの密室空間だよ?」
「えーっと、それは俺に身の危険を感じろって言ってる?」
「んー……まぁ、力でどうこうはさすがに無理そう、ではある」
「だよね」
「ただ、行き先も聞かずに乗り込むのは迂闊じゃない? このまま簡単には帰れないような遠方のラブホに連れ込まれちゃうかもよ?」
 にやにや笑いながら言うってことは、そんな事を本気でする気はないんだろう。焦ったり慌てたりの反応を求められているんだろうか。しかし残念ながら、欠片だって焦りはない。
「いやそれ、行き先聞いてから乗ったって、連れてかれるときは連れてかれるだろ」
「うーん……確かに」
「あと、本気ならやってみてもいいけど、」
「え、いいの?」
 心底驚いた様子でハンドルへ預けていた頭をガバっと起き上がらせるから、なんだか笑ってしまいそうだ。
 セックスを匂わせた相手からの食事の誘いに付き合う時点で、そうなる可能性も考えてはいる。絶対お断りなら、食事にだって付き合わない。そんなの、当然伝わっているかと思っていた。
 でも驚かれるってことは、本当に食事だけのつもりで誘いに乗ったと思われていた、って事なんだろう。先日まで童貞だった男はピュアだな、なんてことをチラリと思う。
「うん。でも、力技でどうこう出来ないのわかってんだから、やるならせめて、目的地着くまでに俺をその気にさせて?」
「なるほどー。てことは、俺次第でワンチャン有り?」
「ワンチャンがプライベートでもセックスするか、って話なら、絶対お断りとまでは思ってないよ」
「そうなんだ。それはいいこと聞いちゃった」
「で、一応聞くけど、どっか食事できるとこに行くんだよな?」
「ラブホでも御飯食べれるけどね。大概は」
「えっと、やっぱ本気でラブホなの?」
「ううん。連れてきたいのはどっちかというと自宅」
「は? 自宅? 本気で?」
 驚きすぎて、疑問符が脳内にも吐き出す言葉にもあふれてしまった。確かにセックス済みの仲だけど、でも会うのは二度目で、互いの本名だって知らない、友人とはとても言えないような相手を自宅に上げようとする、その気持ちがわからない。
 なのに相手は本気だと肯定してみせる。
「俺の手料理に不安があるなら、どっか寄って弁当とか惣菜とか買うんでいいから、俺の家に来てよ。見せたいもの、あるし」
「見せたいものって? てか手料理?」
「パスタとか簡単なものになるけど、一応食材は揃えてる。し、万が一に備えてちょっとお高いレトルトソースも買ってある」
 それはつまり、あまり作り慣れてないって事じゃないのか。不安しかないが、興味の有る無しで言えば、どんなものが出てくるんだろう的興味はある。
「見せたいものは?」
「見せたいというか、一緒に見たいというか」
「映画とか?」
「まぁそれに近いものではあるかな。この前撮ったやつのざっくり編集版、焼いて貰ってきた」
「え、ちょっと待って。もしかして一緒にAV見ようって言ってる? しかも自分たちの?」
「うん。言ってる。興味ない?」
 全く興味がないわけではないけれど、自身の出演するAV鑑賞にどんな気持ちになるのか、全く想像ができない。
「無理そうなら途中でギブアップしてくれていいから。とりあえず、俺んち、向かってもいい?」
 即答できずに悩めば妥協案らしきものを提示されて、結局、迷いながらも頷いてしまった。

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金に困ってAV出演してみた9

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 一本目の撮影が当たりだったとか、かなり運が良かっただとか、それを強く意識したのは二本目の撮影中だった。初回の撮影から数日しか経過していないその日、一応初回よりは内容を把握した上で挑んだけれど、結果は散々だった。
 金銭的に困窮していて、なるべく早くある程度の金額を稼ぎたい、という気持ちにつけ込まれた自覚はある。わざわざ髪色を変えて、チャラく見えるようにしたのだって自分自身だ。
 いわゆる、万引を見つかって事務所で脅されて色々されてしまう系で、やってもいない万引を責められて、怒られて、何度もごめんなさいを言わされて、相当精神が削られた。感じるどころじゃなかったし、かなり泣いたりもしたけれど、内容的にはそれで問題ないようで、殆ど休憩もないまま気づけば撮影は終了していた。
 時給換算的にはどう考えても今回のほうが段違いに良かったけど、あまり進んで受けたい内容じゃない。とはいえ、次に斡旋される仕事がこっちよりでも、多分きっと受けてしまうんだろうけれど。
 相手役の人も仕事として演技していただけで、本当はそんなに怖い人ではないんだろう。終了が告げられた後は雰囲気を一転して、怖い思いさせてごめんねと何度も謝られてしまったけれど、相手が悪いわけじゃないのもわかっている。わかっていてもやっぱり染み付いた恐怖心は残っていたし、この後プライベートで慰めようかという誘いには全力で断りを入れる。
 そんな中、どう考えても場違いな人物が、元気のいい挨拶を告げながら入室してきた。前回の相手役だった彼だ。
 片付け中のスタッフ陣に声を掛けたあと、近づいてくる彼の目的がこちらだと気付いたらしい隣の相手役は、またどっかで一緒になってもあんまり怯えないでくれよと残して、入れ違いに去っていく。わかりましたと返して相手役を見送ってから、目の前に立つ男の子を見上げれば、来ちゃったと言って笑う。
「えっと、なんで……」
「今日ここで撮影してるって聞いたから。もしかしなくても泣いたよね?」
 目が赤くなっているという指摘に、色々あってと濁しながらも肯定すれば、濡れ衣で怒られたら悔しいし悲しいよねと返されて驚く。
「え、濡れ衣って?」
「え、本当には万引なんてしてないんだから、濡れ衣でしょ?」
「そ、だけど。え、内容まで知ってて来たの?」
「うん。撮影も見たかったけど、間に合わなかった。本当はね、終了直後に掻っ攫ってくつもりだった」
「掻っ攫う?」
「そ。泣いて弱ってるとこにつけ込みたかったのに、失敗したかな?」
 まだ間に合うかと聞かれて首を傾げてしまえば、デートに誘ってるんだよと苦笑された。弱ってるとこにつけ込むだの言っておいて、デートの誘いってなんだそりゃ。とは思ったが、それでも目的はわかってしまった。
「えー……っと、プライベートで慰めエッチしてあげようか的な?」
 可愛らしくデートなどと言った所で、つまりはそういうことだろう。
「もしかしてもう誘われた?」
「あー、まぁ、うん。断ったけど」
「断ったんだ。良かった。いや良くないな。つまりデートは無理だよって、俺もお断りされちゃうやつ?」
 慰めエッチが要らないならご飯だけでもと食い下がられて、それくらいならと了承した。
 慰めて貰うかは、また後で考えようと思う。しんどいセックスを強要された反動で、優しく抱かれたい気持ちがなくはないのだけれど、それを彼に求めていいかは迷うところだ。

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金に困ってAV出演してみた8

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 それでも結局、更にオモチャでイカされる、という事にはならなかった。いいよと口走りそうになった所で、困らせてごめんね。もう抱くね。と相手に言われてしまったからだ。
 まぁこれ以上オモチャプレイは必要ないって判断された可能性が高いんだけど。だってさっき相手が監督をチラ見してたのを知っている。
 そして、さすがに緊張すると言いながら挿入を開始した相手は、演技も多々含まれているんだろうけれど、なかなかに煩かった。凄いとかヤバいとか気持ちぃとかどうしようとか言いながら、初っ端から結構ガツガツと腰を振られて、こちらもそれなりに派手に喘いでしまったと思う。
 オモチャで散々慣らされた後の体だから、激しい動きをされても苦しいより気持ちいいが勝って、あっさり昂ぶってしまう。けれど、彼に抱かれて気持ちよくイクことは出来なかった。
 ごめん。我慢できない。と言われて、ひときわ強く穿たれた後で彼の動きが止まる。お腹の中で彼のペニスが脈打っている。
 やがて射精を終えたのか、ぬるっと彼のペニスが引き抜かれていく。外したゴムをわざわざカメラの前に掲げて、脱童貞記念精液などとわけがわからない単語を口走っている彼をぼんやり見ながら、終わりかぁと思う。最後だけちょっと不完全燃焼だったけれど、でも部屋の鍵は開いたはずだ。これ以上続ける理由がない。
 そう、思ったのに。
「ね、もう一回、したい」
 使用済みゴムの撮影を終えた相手が振り返って言った。
「えっ?」
「ダメ?」
「だめ、っていうか……でももう、部屋、出れるんじゃ?」
「それはそうかもだけど、それはそれとして、もう一回したいというか、あんなんじゃ納得いかないというか、オモチャに負けたくないっていうか、出来れば、俺に抱かれながらイッて欲しいっていうか。いやまぁ、全然保たなかったくせに何言ってんのって話かもだけど、次はもっと頑張れると思うし。だから、ダメ?」
「だめ、じゃ、ない」
 だってこれは、どちらかと言えば渡りに船の提案だ。
「やった」
 そうして開始した二回目は、さっきのはまるっと全部、あっさり射精した部分まで含めて演技だったんじゃと疑いたくなるくらいに善かった。ここだよねと確認されて頷けば、中のイイトコロを的確に擦ってくれる。
 ほんのちょっと前まで童貞だったくせにと思ったけれど、時折与えられるキスがめちゃくちゃ気持ちいいから、多分、相当器用なんだろう。それプラス、知識に技術を追いつかせることに貪欲なんだろうとも思う。
「ぁっ、ぁっ、あっ」
「かーわいい。ね、きもちぃ?」
「ん、きも、ちぃ。きもちぃから、もっと」
「はは。すごっ。嬉しい。どうしよう、俺のちんこ、きもちぃって」
 可愛い可愛いと繰り返す相手こそが、なんだか可愛い。随分と一生懸命に、気持ちよくさせてくれようとしているのが、嬉しかった。
 演技でも。さっきあれだけオモチャで善がったのだから、彼に抱かれて気持ちよく果てる事も出来るはずだと思われてるだけだとしても。そんな映像を残したいだけだとしても。
「ぁっ、ぁっ、い、きそ、かも」
「ほんと? 良かった。頑張るから、俺のちんこで、イッて」
「ぁっ、それっ、いいっ」
 張り切ったらしい相手が少しばかり強く突き上げてきたのが、たまらなく気持ちいい。
「ん。りょーかい」
 同じ刺激を繰り返し送れるようにと頑張ってくれているのがわかるから、そこ、と思った時にはこちらも繰り返し「いい」と口にした。そうすると、本当に、すごく気持ちがいいばかりになっていくから、本当に器用だと思う。
「ぁぁあ、それ、いいっ、それ、イッちゃう、いきそ」
「うん。これね。も、わかった。いいよ。ここ、ずっとズコズコ擦っててあげる。だから、ね」
「ん、うん、いく。きもち、ぁっ、ぁあっ、いく、ああっ、いっちゃう、でちゃ、ぁ、いくいくぁああ」
 ぎゅううとお腹の中のペニスを締め付けながら昇りつめれば、相手も眉を寄せて呻きながら何度か腰を揺らした。どうやら一緒にイッてくれたらしい。

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金に困ってAV出演してみた7

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 どうやら映像内の自分は、せっかく用意されてるなら使ってみたいなぁという、相手のおねだりに負けたらしい。らしい、というのは、はっきりとそういった会話のやり取りなどはしておらず、相手がそれっぽいセリフを吐いていた事からの推測だ。
 まぁオモチャを使うことになった流れなんて、きっとたいして重要じゃない。
 そんなわけで、一緒に閉じ込められた相手があなたで良かったとかなんとか、ニコニコ笑顔で言われながら、ローターをあちこち当てられて感じる場所を探されたり、あれこれ体位を変えながらアナルスティックを出し入れされたりを経て、現在は仰向けにM字開脚でウネウネと動き振動するバイブを押し込まれながら喘いでいた。
「んっ、ぁっ、あ、ああっ、きもち、ぁっ、あっ」
「ここであってる?」
 確認するように、バイブの先端が中の弱い所を緩く突いてくる。お腹の中からゾワゾワ湧き出す気持ちよさには、間違いなく期待も混じっていた。
「ん、ぅん、そこ、それっ」
 頷けば、さらにグッと強く押し当てられた上で、モードを変えられたらしく振動もうねりも加速する。
「ぁあああいくっ、またいっちゃう、いっちゃう」
「ん、いいよ。いって。さっきみたいに、上手に出せる? おちんちん触られなくても、白いのこぼして気持ちよくイッちゃうとこ、今度はちゃんと、見せてね?」
 その言葉に引き寄せられるみたいに、カメラが移動するのを意識の端で認識していた。さっき四つ這いでアナルスティックを出し入れされながらも一度トコロテンでイッてしまったのだけれど、射精の瞬間はあまり上手くカメラに収められなかったらしいから、今度こそというのがあるんだろう。まぁトコロテンしそうって時に、四つ這いから体を起こしてカメラの前にペニスを晒すなんてテクを初心者に求められても困るし、カメラマンは何やら悔しがっていたものの、相手役の彼は、トコロテンでイッたという事をめちゃくちゃに褒めてくれたんだけど。本気で感動しまくった様子で、もう一度、今度は仰向けでしてみせて、と言われての現在なんだけど。
「ああ、いくっ、でるっ」
 せり上がる射精感とふくれあがった快感の波に飲まれながら、体を、主には腰を、ガクガクと揺すってしまう。ただ、三回目ともなると、やはりかなり少なかったんだと思う。射精している、という感覚はあまりなかった。
 それでもバイブのスイッチを切った後はすぐに、にこにこ笑顔が息を整えるこちらを窺うように覗き込んできて、すっごい可愛かったと何度も軽いキスを繰り返してくる。オモチャでトコロテンしてこんな反応をされるのはもちろん初めてで、さっきの会話を意識しての態度だってわかってても、胸の中がこそばゆいような嬉しさで満ちていく。
「ん、でも、あんま、出なかったんじゃ……」
「うん。だって三回目だもんね。でも、たら〜ってこぼれ出て、もう出せるもの無いよ、でももっと出したいよって感じに、何度もビクビクしてるのとか、ほんと凄い可愛かったから。めちゃくちゃ興奮した」
「そ、なら、いいんだけど……」
「ね、もう一回、って言ったらどうする?」
「えっ」
「おにーさんが気持ちよくイクとこ、何度だって見たい」
 スイッチは切られたもののまだお腹の中にあるバイブの持ち手に手を伸ばした相手が、かなりゆっくりとした動きで前後させるのに合わせて、またすぐに甘い息を零してしまう。
「ぁ……でもぉ……セックス、しないと」
「うん。セックスしないと、俺がおにーさんに突っ込まないと、この部屋、いつまでも出れないよね」
「ぁ、ぁあっ、ならっ」
「でも逆に、俺が突っ込まない限り、いつまでもおにーさんが可愛くイクとこ、見てられるのかなって」
 早く抱きたいのに抱きたくないよと困り果てた顔で言われて、その困り顔になんだかキュンとしてしまう。撮影慣れした相手の言葉や態度や表情を真に受けるべきではないと思うのに、本気で惜しまれていると思いたくなっている。

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金に困ってAV出演してみた6

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 イッたからか一度休憩が入るらしい。渡されたバスローブのようなものだけ羽織って、連れ出されるまま控室らしき所へ移動した後は、並んで一緒に歯磨きをした。
 こちらは彼のを口に出されたわけではないけれど、フェラした後の口でキスをされたくない気持ちはわかるし、相手にはアナルをがっつり舐められたどころか中にまで舌先を突っ込まれたわけで、まさかの歯磨き休憩なんてものがあったことには驚いたけれど、正直とてもありがたい。
 そして誘われるまま、というか、雰囲気に流されるまま、歯磨き後にはキスを繰り返していた。カメラが回っているわけではないけれど、撮影再開直後にいきなりさっきの続きになんて戻れないだろうから、少しでも気持ちや体を中断直前に近づけて置こうとかなんとか言われたからだ。
 でも多分、実験台にされている。本当にファーストキスだったのかという問いには、唇が触れ合うだけのも含めるなら初めてでは無いけどと返されたので、舌を触れ合わせたり相手の口内を探るキスは本当に初めてだったということなんだろう。
 だからこそ、チャンスとばかりに、今、自分相手にキスの練習をしている。そう思ったから、どうされると気持ちがいいかを隠すことなく教えてしまった。
 だってこの後の撮影でもキスは何度もするのだろうし、どうせなら気持ちよくなれたほうがいい。それに、彼とのキスが全く嫌じゃない、というのも結構大きかった。
 撮影だからとか、お金のためにだとかで、嫌々ながら受け入れるような相手だったら、きっとこんな場所での誘いからは逃げ出していた気がする。そう思うと、初めての撮影相手がこの子だったことは、本当にラッキーだったとしか言いようがない。
 そうこうしているうちに、撮影を再開するからとスタッフの一人が呼びに来る。
 開かない部屋のセットはそう大きく変化はなかったけれど、怪しげな白い箱の蓋は開いていて、その中に入っていたのだろうローションやらゴムやら大人のオモチャやらがベッドの上に散らばっていた。投げ出されているオモチャは定番とも言えるピンクローターが一つと、アナルスティックがサイズ違いで二本。それとアナル用のバイブが一本だ。
「あー……そうかぁ……」
 オモチャか。そうか。これ、使われるのか。
「どうかした?」
「童貞の学生に、この後オモチャで好き勝手されちゃうんだ、みたいな」
 AV撮影に玩具類が出てくるのなんて想定内ではあるけれど、当初考えていたのとはかなり違った撮影に、すっかり頭から抜け落ちていたらしい。
「ちなみに使ったことは?」
「あるから嫌なんだよ」
 アナルを舐めたいとは言わなかったが、あれこれオモチャやらを試したがる男と付き合っていた。最初の頃はそれなりに抵抗があったし、自分が感じると言うよりは相手がかなり興奮してくれるからという理由で受け入れていたけれど、何度もしつこく使われているうちに、オモチャでも感じる体になってしまった。
「オモチャでかなり感じちゃう?」
「多分……」
「好き勝手ってどんなの想像してる? こういうのはヤダっていうのあれば、気をつけるけど」
「感じるの、からかわれたり、エロい体だって指摘されたりは、あんまり……」
 オモチャでこんなに感じてって言われるのは嫌だったけれど、相手が凄く楽しげだったから、それで興奮が増すんだって知ってたから、受け入れていた。好きだったから、恋人だったから、許せていたんだって部分はかなり大きい。でもその事実が、信じていた男に裏切られた今は苦しくもある。
「ああ、煽られて興奮が増すタイプではない、ってこと?」
「あー、うん、そうかも?」
 指摘されるまであまり自覚はなかったけれど、そうなのかも知れない。
「なんかちょっと、わかる気はする。優くされるセックスが好き?」
「え、そりゃあ」
「だよね。じゃあ、なるべく優しくするし、未経験なりにいっぱい気持ちよくなって貰えるように頑張るから、また、どうすると気持ちよくなれるのか、色々教えてね」
「えっ?」
 にこっと意味深に笑われてドキリとする。
「そろそろ行こうか。さっきから監督もスタッフも待ってくれてる」
 言われて初めて、ベッドの上の玩具類に動揺して足を止めてしまったせいで、気持ちの整理を待たれていたのだと気付いた。なので、彼がこの後どういう展開を想定しているかは聞きそびれてしまった。

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金に困ってAV出演してみた5

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 相手は学生服だが、こちらも一応、私服とそう代わらない衣装が下着から全て用意されていたし、撮影前に案内と説明とを受けてシャワーも浴びたし体の中を洗っても居る。抱かれる気満々で、ここへ来る前に既に家でしっかり準備してきた、なんてのはもちろん言っていない。
 到着時に既に学生服を着ていた彼だって、中まで洗ったのかは知らないし聞いてもいないが、少なくとも同じ様にシャワーは浴びているはずだ。なので、嫌じゃなければ口でされてみたいなというおねだりにも、特に抵抗なく応えてやったし、お返しにと咥えられるのだって拒む理由がない。
 初めてってのは多分嘘じゃないんだろうなと思う程度には拙かったけれど、知識と好奇心は旺盛らしいと思う程度には、あれこれ積極的だったしそれなりに気持ちも良かった。こちらが抱かれる側になることが決定しているのだから、フェラついでにアナルを突付かれ弄られるのだって想定済みだ。
 ただ、いくら好奇心が強かろうと、アナルを舐められるのは想定外だった。どれだけ綺麗に洗ったとしても、さすがにそこを舐められるのは抵抗がある。今まで、舐められたいと思った事もなかったし、舐めたがる相手と交際した経験もない。
「やっ、ちょっ、待って」
 相手の舌がそこに伸ばされる気配に、慌てて起き上がって距離を取った。
 相手はかなり驚いた顔を見せているが、いきなり逃げられたことへの不満などはないようで少しばかりホッとする。思い通りにいかないとすぐに不機嫌になるような相手じゃなさそうで良かった。
 彼の持つ、あえて可愛らしさを振りまいているかのような雰囲気が、実はかなり好ましい。初めての撮影相手が彼で良かったと思っているし、できればその雰囲気を壊すことなく、可愛い年下の男の子の童貞を貰ってあげる、という方向のままでこの撮影を終わりたいと密かに思ってもいた。
「なんで? 嫌?」
「汚いよっ」
「俺は気になんないけど」
「俺が気にするってば」
「フェラはするのもされるのもあっさりオッケーだったのに?」
「フェラとそれとは全然違う」
「ねぇ、もしかして、今まであんまり舐められたこと、ない?」
 一度もないと頷いて見せれば、少し黙って考え込んだ後、ごめん中断させてという言葉とともに監督を呼ばれる。さっきよほどのことがなければノンストップでと提案していた彼自身が止めたということは、これはよほどのことなんだろうか。
 ちょっと意味がわからない。と思ったのも束の間、アナルを舐められる事への値段交渉をされて理解する。結果、ギャラの上乗せに釣られて了承してしまった。
「俺の初めては全部おにーさんが持ってくんだから、俺にもおにーさんが未経験だってこと、させて欲しいなぁ」
 再開された撮影は、そんな言葉に押し切られる形を取って、アナルに彼の舌を受け入れる。
「んひっ」
 背徳感といたたまれなさが酷いのに、舌先が触れただけでゾワッと強い快感が走った。
「ぁっ、ぁっ、ゃんっ、んっ、んんっ」
 アナルのシワを確かめるみたいに、舌先で何度もアナル周りをなぞられて、気持ちよさに上がってしまう声を必死で飲み込む。どうしよう。思っていたよりずっと気持ちがいい。
 汚いとか、そんな場所を舐めるなんて、という抵抗感はもちろんまだある。でも、既に了承してしまって受け入れるしかないのだ、という気持ちが、抵抗感を霞ませる。
「良かった。舐められるの、気持ちぃんだ。ね、声、もっと聞かせて欲しいな」
「恥ずかしい、よ」
「ちょっとだけ聞こえた声、凄く可愛かったよ?」
「でも……」
「じゃあ、もっとうんと気持ちよくなって貰えるように頑張るから、我慢できないくらい気持ちよくなったら、遠慮なく声出して?」
「や、ちょっと、そんな、ぁあっっ」
 頑張らなくていいからとは言えないまま、またアナル舐めが再開されてしまう。丁寧に舐められて、穴の中に舌先をツプツプと抜き差しされてを繰り返されて、時折顔が離れている間は、多分カメラが寄っているんだろう。
 カメラは当然こちらの顔を撮りにくることもあるし、カメラを前にして撮られていることを意識せずにはいられないし、感じている顔や声を晒すのはやっぱりそれなりに抵抗がある。でもそれも、しつこく舐められているうちに、だんだんと意識が出来なくなる。
「ひぁぁああっっ」
 ぐっと舌先を埋め込まれながら、押し付けられた唇でぢゅっとアナル周りを吸われて、目の前がチカチカと爆ぜた。
「んっ、ふぅうっ」
 舌が抜けていく時に、相手が笑ったらしい息がアナルに掛かって、それさえも気持ちが良くて、しかも緩んでしまった口はなかなか閉じられない。
「あぁっ、あっ、やぁあ、それだめっ、やっ、やっ」
 ずっとアナルを舐められるばかりだったのに、突然ペニスを握られ扱かれ出すから慌ててしまう。前と後ろの同時責めなんて弱いに決まってる。
「待って。イッちゃう、それ、イッちゃうって」
 言いながらも、これは間違いなくイカされようとしているのだ、という認識はあった。当然、待ってと言った所で加減なんてされないし、むしろイッていいよとでも言いたげに、扱く動きが加速してしまう。
「あ、ぁあっ、いくいく、でる、でちゃ、あああっ」
 キュッとアナルが窄まった先で、彼の舌がその締め付けを楽しむみたいに蠢くのを感じていた。

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