雷が怖いので プレイ26

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 とても足を抱えた体勢を維持出来ない。外してしまった手を、救いを求めるみたいに彼へ向かって伸ばした。
 払われてしまうかと思った手は、けれどあっさり彼を捕まえる。身を寄せてくれた彼に必死でしがみつけば、少しばかり浮いた背中を支えるように腕を回され、ぎゅうと強く抱きしめてくれた。辛さや苦しさではなく、嬉しさで新たな涙があふれ出る。
「ったく、別のおしおき要求とは、随分えらくなったもんだ」
 呆れの交じる声は、それでももう、冷たく響いて心を突き刺してくることはない。そしてごめんなさいと告げようとした声は、またグリっと押し付けられたローターによって汚く善がる声へと変わってしまう。
「う゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛っっ」
「苦しいか?」
 かろうじて首を横に振れば、喉の奥で笑われる気配がする。体は追い詰められて苦しくてたまらないけれど、でもさっきまでに比べれば全然マシだった。彼の腕の暖かさに包まれて、彼の声を聞いて、笑う気配を感じて、心の苦しさが少しずつほどけていく。
「いい子だ。じゃあ、このままもーちょい頑張れ。おしおき、続けるからな?」
 優しい声音でほんのりと語尾を上げた問いかけに、嫌だの無理だの言えるはずもない。相手だって、拒否が返るなんて思っているはずがない。だから頷く間も強い振動は前立腺に押し当てられたままで、体はあっさりと、半ばむりやりに絶頂へ向かって駆け昇っていく。
 体にグッと力が入って、反ってしまう背中を強い腕に支えられる。玩具の振動とは別に腸内が収縮してガクガクと腰が揺れた。
「ぁああ、あ゛あ゛っ、あああ、で、るっっ」
 頭の中が白く爆ぜて、ペニスが震えて先走りよりも濃いものがドロリと吐き出されていく感覚。とうとう玩具にイカされてしまった。
 ほんの少しガッカリしたような寂しさはあるものの、彼の指に直接弄られてではなく射精できたことと、おしおきの後はいっぱい甘やかして貰えるはずだという期待混じりの安堵に包まれて、ホッと息を吐きだそうとした。
「ぁ、ぁあ、あ、なん、で」
 お尻から抜け出ていったのは彼の指だけで、ローターは依然としてそこで震え続けている。
「キツイおしおきするって言ったろ。せっかくだからこのまま、玩具だけでイケる体になろうか。他のことなんか考えてる余裕ないほど責めてあげるから、お尻で気持ち良くなることだけ考えてな」
 ブーンと鈍いモーター音を響かせながら、起動済みのローターがアナルに押し当てられた。
「っぁあ、ん」
 ゾワゾワっと一瞬にして肌を粟立てている間にも、それは振動したままゆっくりとアナルに押し込まれていく。それはすぐに腸内で震え続けるローターに接触し、お尻の中で二つのローターがカチカチとぶつかりあって暴れている。
「あっ、あっ、ぁあ、ああっ」
「次の玩具は何がいい? バイブでローターごとナカかき回してやろうか? それとも、もう二個くらいローター突っ込んでやろうか?」
 楽しそうな問いかけがどこまで本気かわからないが、想像しただけでも血の気が失せた。
「っても、自分で選べるような余裕ないよなぁ」
 結局ローターをさらに一個追加された後、プラグでお尻に栓をされてしまう。後はもう暴力的な快楽に晒されながら、彼の腕の中で身悶え続けるだけだった。
 そう。彼はずっと、キツイ快楽に暴れる体を抱きしめて、宥めるようにあちこち擦ってくれながら、頑張れとかキモチイイなとか甘やかな声を掛け続けてくれていた。いっぱい泣いたし、すぐに彼の言葉を聞き取るような余裕なんてなくなったけれど、でも宥め続けてくれているのは感じていたから、ムリだとかイヤダとかヤメテとかを口に出さずに耐えられた。ごめんなさいと繰り返すことも、許しを請うことも、しなかった。

続きました→

 
 
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雷が怖いので プレイ25

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 姿勢はそのままで、彼の指が抜け出た代わりに振動の強力な小型のローターが、お尻の中に埋められる。もちろんそれは、ちょうど前立腺を刺激するような位置に置かれていて、その刺激だけで吐精しなさいと言い渡された。上手にイケたらおしおきは終わりにするから頑張れとも、口調だけは優しい意地悪で少し冷たい響きの声が告げた。
 確かにお尻だけでイケるようにというか、トコロテンはするようになった。でも未だに無機物の玩具でその状態になったことはない。ローターでもスティックでもバイブでもディルドでも、そこそこの太さがあるもので擦られてさえ、お尻がキモチイイって感じるようにはなったけれど、どうにも玩具にイかされるということに抵抗感があるらしい。
 キモチイイのにイケなくて、ドロドロに蕩けてもうイキたいと啜り泣く体を抱きしめて貰って、彼に縋りながら、もしくは彼の胸や腕や肩に顔を押し付けながら、彼の指で前立腺を弄ってもらう。大丈夫だからこのまま出せと、甘やかに射精を促されて、ようやくナカの刺激だけで吐精する。
 彼の腕の中だから、そして彼の指だから、そこまで感じることが出来るし、お尻だけでイッちゃう姿も晒せる。
 それは間違いなく、彼への恋情を自覚してしまったせいだけれど、そんな事情はもちろん彼の知るところではないし、早く玩具相手でもトコロテンする体に躾けたいんだろうこともわかっている。トコロテンの先があることも、いずれは吐精の伴わないドライオーガズムも教え込まれるんだろうってことも、知ってる。
 それにこれはおしおきだから、無理だとか出来ないとかの泣き言は言わないつもりだった。もしかしたら彼が言うように、ちゃんと集中すればローターの刺激だけでトコロテンが出来るかもしれない。玩具じゃ嫌だってのは自分の精神面の問題で、体はもう間違いなく、そこへの刺激で吐精出来るようになっている。
 でもいつもとは明らかに違う雰囲気と、時折与えられる痛みに、あっさり心が悲鳴をあげた。だって彼が全く楽しそうじゃない。途中からは黙ってしまって、冷たい瞳だけが自分に向かって注がれている。
 別のことを考えて、行為中に彼を蔑ろにしたことを怒っているのかは、正直もうよくわからなかった。
 パァンと乾いた大きな音が鳴って体が跳ねる。またお尻がじんわり熱くなる。その熱が引いて、叩かれたショックをどうにか飲み込んだ辺りで、思い出したようにまた叩かれるのを繰り返していた。
 痛みだけなら最初の数発のが痛かったと思う。今のは音の割に痛みは少なくて、ローターのもたらす強い快楽と混ざってしまうからか、その軽い痛みを辛いと思うことはなかった。でもその大きな音に驚くのと、やっぱり彼に叩かれるという行為そのものが苦しい。それを楽しんでいる様子が欠片もないから尚更、そんな真似を彼にさせている自分に、腹が立つしガッカリだし悲しくなる。
 ごめんなさいと零しても、もう、何の謝罪かと聞いてもくれない。逆効果で怒りを煽ったのかもわからないくらい、彼の様子に変化はなかったから、そのままごめんなさいを繰り返した。
 一度苦しさを吐き出してしまうと、もう止まらない。
 怒らせてごめんなさい。叩かせてごめんなさい。玩具で上手にイケなくてごめんなさい。許して。怒らないで。優しくして。こんなに苦しいのは、全部おしおきだからなの? このおしおきじゃなきゃダメなの? 他のおしおきがいい。お願い。他のにして。これもうヤダ。いつもと違う。本当にごめんなさい。もう許して。あなたの指じゃなきゃイケない。イキたくない。ごめんなさい。痛いおしおきでもいいから、せめてもっと優しい顔を見せて。お願いだからいつもみたいに笑ってて。
 グスグスと泣きながら思いつくまま口走り懇願すれば、彼は嫌そうに眉を寄せてみせた後、ずぷっとアナルに二本の指を突き立ててくる。
「ぁあああ゛あ゛あ゛」
 激しく震えるローターを捉えた指が、前立腺にそれをグイと押しつけてくるから、目の裏がチカチカと明滅した。

続きました→

 
 
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雷が怖いので21

20話へ戻る→   おまけのオマケ6話へ戻る→   目次へ→

 お尻でイけるようになって、彼サイズだという玩具も受け入れるほどに慣らされて、最後に渡される封筒の中身はだいたい五万前後に増加した。でも滞在時間は減っている。とは言っても、自宅を出る前からプレイが開始するようになっただけなので、プレイ時間にそう変化はないのかもしれない。
 自宅で中を洗って、慣らして、渡されていたプラグを自分でお尻に嵌めて、彼の家に向かうのだ。途中、事前に指定された買い物をすることも多かった。買った商品と一緒にレシートも提出するので、事前に買っておいたものを持っていくことは許されない。
 エッチな玩具をお尻に入れて、素知らぬ顔で普段から利用するコンビニやらで買い物をするというドキドキに、びっくりするほど興奮した。自宅近辺なんて、同じ大学に通う学生が溢れている。実際に学科の友人と鉢合わせたのは一度だけだけれど、知人に出会う可能性というのは、何故か興奮を加速する。
 毎回興奮した状態でたどり着く自分に、彼は随分と満足そうだ。
 今日は買い物の指示がなく直接向かったけれど、チャイムを押した直後から、プラグが振動を始めて家の前でへたり込むはめになった。遠隔操作可能なモーター付きプラグということはもちろんわかっていたのだけれど、家に入る前にスイッチが押されるとは思っていなかった。
 まさか玄関先であんあん喘ぎまくるわけにも行かず、必死で両手で口を押さえる。普段のプレイ場所が防音室ということもあって、いつも快楽に任せて喘いでいるしそれを咎められることもなかったので、声を抑えようとするだけでも本当に苦しくて辛い。
 胸の中、早くドアを開けてと必死で願いながら、玩具に与えられる快楽に悶えていたのはどれくらいの時間だったのだろう。玄関扉のすぐ向こうに居るのだろう相手が、振動の強弱を変えてくるのに翻弄され、お尻だけでもイけるようになった体は途中何度か達しかけた。けれどそれも、必死で気を散らして耐える。彼の許可が降りるまでイくのを耐えられたら、優しく褒めて貰えることを、その後甘やかに触れて貰える事を、それが心まで包み込んでくるみたいにメチャクチャ気持ちが良いことを、体ごと知ってしまっている。
 だから、ようやく振動が止まって、ドアを開いて姿を表した彼が、良く声も上げず勝手にイくこともせずに頑張ったねと優しく頭をなでてくれた時には、安堵でぶわわと涙が浮かんだ。
「そんなお前に、今日は特別なご褒美を用意してるよ」
 そっと涙を拭ってくれる指先に、胸の奥がキュンキュンと甘く疼く。
 甘えるように腕を伸ばせば軽々と抱き上げられた。相変わらずの姫抱っこだ。
「よしよし。いい子だ。本当によく頑張ったよ」
 応じるように甘やかな声が降って、嬉しいのにぼろぼろと涙がこぼれてしまう。顔を隠すように身をひねり、肩口に目元を押し当てても、柔らかに笑われる気配がしただけだった。
 そのまま、ゆっくりとした足取りで運ばれていく。顔を隠していたせいで、連れて行かれた部屋がいつもの防音室じゃないことに気づいたのは、降ろされた背に触れる柔らかな感触からだった。
 部屋の中は薄暗い。厚手の遮光カーテンがしっかり閉められているせいだ。
「ここ、…は?」
「寝室」
「な、んで……」
「お前を抱くから」
 息を呑んだ。やっと抱いてもらえるという興奮や嬉しさよりも、戸惑いが大きい。だってまさか寝室で、彼が普段から使っているベッドの上で、初めてを奪われるなんて欠片も想定していなかった。
「こ、ここで、俺を抱く、の?」
「嫌だ、なんて言うなよ?」
「でも……」
「一度っきりの初めてなんだから、いつものプレイの流れで奪うより、こういう方がお前好きそう」
 誕生日の時みたいにホテルが良かった? と聞かれてブンブンと首を横に振った。

続きます→

 
 
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雷が怖いので18

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 誕生日を祝ってもらってから先、イヤラシイおねだりを口にする、というプレイが格段に増えた。今までは恥ずかしさにやだやだ言いながらも、結局感じまくってイかされて、羞恥と居た堪れなさで泣いてしまうことが多かったのに、今は焦らされすぎるのとその結果言わされてしまうセリフが辛くて泣いてしまう。
 多分あの日、酔って甘えて、ちんちん入れてよなどと口走ったのが原因だ。
 外見も相まって背徳感が増すとかいう理由で、おちんちん弄って気持よくしてだとか、もっとおちんちんクチュクチュしてだとか、幼い言葉使いをさせられるのが恥ずかしすぎる。チビな童顔でも、股間にぶら下がるものにおちんちんという呼称が似合う幼さはさすがにない。酔っていたからといって、いつになく随分と甘やかな雰囲気だったとはいえ、なんであんな単語を口にしてしまったのか、今となってはもうさっぱりわからなかった。
 体毛だって薄い方ではあるかもしれないが、あちこちちゃんとそれなりに生えている。それらを剃りたいという要望は今のところ拒否できているけれど、いつまで拒否し続けられるかという不安は大きい。
 無理に感じさせられるよりもじりじりと炙られるように焦らされ続けるのとでは、圧倒的に後者のほうが思考力を奪っていくし、その状態で体毛の比較的濃い部分を柔らかに撫でられながら、剃ってツルツルにして可愛くしてしまおうよと優しい声音で囁かれると、彼以外に裸を見せる機会なんてそうそうないのだから別に剃られたって構わないのではと思考がグラグラ揺れるのがわかる。
 しかも、抱いてというお願いはその後も何度か口に出して頼んでいるのに、未だ叶えてもらっていない。それは可愛くおねだりが出来ていないとか、本気で求めていないとか、そういった話ではなく、体の準備がまだできてないと言う理由だった。
 せっかくだからちゃんとキモチイイ処女喪失がいいだろう? と言われたけれど、正直、そんなのどうでもいいから早く抱かれてしまいたい。そもそも、それなりの太さのある玩具やらを突っ込まれ済みなので、とっくに処女とは言えない気もする。わざわざ言ったりはしないけど。
 要するに、相手が、そうしたいだけ。結局のところ、まだその気にならないだけ。そして、そう思っている相手の気持ちが変わるような、有効的な誘惑が出来ていないというだけだ。
 整骨院やらマッサージ店とかに置かれているものより、やや幅広に感じる本当に簡易な造りのベッドの上、四つ這いで掲げたお尻に幾つかのボールが連結した形のアナルスティックがゆるゆるとした速度で出入りしている。
「ぁ、……あっ、…あぁ……」
 アナル以外一切弄るどころか触られていないし、両手は括られてベッドマットから離れないようにされていて自分で触ることだって出来ない状態なのに、ペニスは先端が腹につくほどはっきりガチガチに勃起していた。
「ふぁああああ」
 ずるずると抜け出ていく時にゾクゾクとした快感が背筋を走り、膝をガクガクと震わせながらたまらず声を上げる。
「お尻の穴、気持いいな?」
「ん、あっ、おしり、気持ちぃ」
 すでに癖のようなもので、言われた言葉を繰り返す。
「イヤラシク腰振って、凄く、可愛いよ。もっと気持ちよくなるには、どうすればいい?」
「も、っと、おしり、ずぽずぽぐりぐりして、ほし」
「うん、いい子だ」
 自分から言えるようになってきたねと褒められながら、出入りするスティックの速度が速められる。
「あああ、っああっっ」
 角度を変えたり回すように捻ったりと、求めた言葉通りに動かされて、強烈な快感にますます声を上げた。
 お尻の穴の中を玩具に擦られるだけでこんなに気持ちよくなれるのに、彼の言うキモチイイ処女喪失に、一体何が足りないのかわからない。
「あっ、あっ、やぁ、きもちぃっ、いきたい、も、いかせてっっ」
「いっていいよ。このままおしりズポズポされながらいってごらん?」
 そう言われたところで、簡単に達せられるものでもない。
「や、やぁ、いけ、ないっ」
「どうして? おしり、きもちいいんだろ?」
「きもちぃ、きもちぃっ」
「うん。きもちいぃな」
「うぁあああっっ」
 ますます激しくなる動きに、言葉が紡げなくなる。前も、ペニスも一緒にいじってほしいのに、それを口にだす余裕を奪われている。多分きっと、わざとだ。
 最近はこうやっておねだりすらさせて貰えないまま、脳が焼ききれそうな快感にさらされる時間が増えている。
「あああ、んああっ、やぁっ」
「ほら、どうした。いつでもイッて良いんだぞ」
 少し緩んだ動きに、ぐすっと鼻をすすった。
「おもちゃじゃ、やだぁ」
「え?」
「おもちゃ、やだ。入れて。も、ちんちん入れてよぉ。ちんちんで気持ちくしてよぉ」
 多分彼の予定では、ちんちん弄ってと言われるはずだったんだろう。実際、そうお願いするつもりだった。だって言ったところで、どうせ入れてもらえないことはわかっている。
 でも、お尻でこんなに気持ち良くなれてるのに、一向に抱いてもらえないことが、今日はなんだか凄く悲しいような気になってしまった。

続きました→

 
 
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雷が怖いので14

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 そこを弄られるのはまだ四回目なのに、お腹の中を洗って、お尻にアナルストッパーを入れられて、ペニスはほぼ完勃ちだった。というか、自分で弄って出しなさいと言われて、必死に弄ったせいでもある。
 要するに、言われた通りには出来なかった。
 だって与えられた時間が短かったし、相手に後ろを慣らされながらだったし、なにより、オナニー披露も経験済みとはいえ、やっぱり自分自身で弄ってイくところを見せることに慣れていない。
 そんな状態で、用意されていたカジュアル寄りのスーツを着せられて、もしかしなくてもこのまま食事に連れ出されるのだと思って血の気が引いた。
「股間パンパンに膨らませて、誰かに気づかれるかもと思いながら過ごすの、楽しそうだろ?」
 自分と違って着替えるというほどではなく、ジャケットを羽織ってネクタイを締めていた相手が、こちらの不安に気づいた様子で顔を覗きこんでくる。ニヤつく顔はいつも通りなのに、なぜか一瞬見惚れてしまったのは、多分見慣れない格好のせいだろう。
 家でしか会わないから、知らなかった。カジュアル寄りとはいえ、きっと七五三状態で似合ってない自分と違って、なんの違和感もないどころかしっくり嵌って格好良いなんて、なんかズルいし詐欺っぽいし騙されたって気がする。
「ん? どうした?」
 股間に血が行き過ぎて頭回ってないのか? なんて、やっぱりからかうみたいに言われて恥ずかしい。だからって、見惚れてたなんて言えるわけがなかった。
「な、んでも、ない」
「俺に見惚れてたって、言やいいのに」
「なっ!?」
「お前わかりやすいんだよ。多分こういうの好きそうと思ってたけど、ちょい予想以上ではあったかな」
 ぐっと寄せられた顔にとっさに仰け反ってしまえば、後ろに倒れこまないようにと背に腕が回って抱き寄せられてしまう。
「ほら、キスしてって言ってみな?」
「…………きす、……して」
「はいよく言えました」
 吐き出す声は明らかに震えていたが、相手はそれをからかうことなく、にこりと笑って口を塞いでくる。初めは優しく触れるだけ。繰り返されて少しずつ啄まれて焦らされて、自らもっととねだるように舌を差し出せば、それを待っていたというように深いキスを与えられる。
 こんなことをしてたら、更に興奮してしまうのに。頭ではちゃんとわかっているのに。少しでも股間を鎮めるべき場面で、真逆の行為に浸っている。
「んっ、……ふぁっ……」
 甘えるように吐息をこぼしながら、いっそ夕飯なんてなしにして、このままプレイを続けて欲しい。なんて思ってしまう中、部屋にチャイムが響き渡ってビクリと体が跳ねた。
「ああ、時間だな」
 熱心に口の中を蹂躙していたはずの相手は、あっさりキスを終えて体を離してしまう。
「凄くイヤラしくていい顔だ。さ、行こうか」
 濡れた口元を指で軽く拭ってはくれたが、落ち着く時間は一切くれない気らしい。途端に泣きそうな気分になりながら、手を引かれてベッドの置かれた部屋を連れだされる。
「はいじゃあ、ここ座って」
「え?」
 隣の部屋の、バースデーケーキが乗ったままのテーブルセットの椅子を引かれて、訳がわからず驚いた。
「まぁ、外に連れ出すのはさすがにまだ難易度高いってわかってるからな」
 夕飯はルームサービスと言われて、安堵のあまり涙がホロリと流れ落ちた。

続きました→

 
 
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恋人になった元教え子にまた抱かれる日々の幸せ

取引先に元教え子が就職してましたの続きです。最初から読む場合はこちら→

 普通の抱かれ方じゃどうせ満足できっこないから、昔みたいにして欲しい。苗字なんてもってのほかで、けれど名前でもなく、出来ればやはりセンセイと呼んで欲しい。
 晴れて恋人となった元教え子に、正直にこちらの欲望を突きつけたら、彼は少し困った様子で、けれど楽しそうに、センセイがそれでいいならと言った。願ったりかなったりだとも付け加えて。
 結局あんな関係が長いこと続いていたのは、当時はまだ無自覚だったり未開発だったにしろ、互いの性癖がうまいこと合致していた結果だったんだろう。
 そうして再開した関係は順調だった。
 今日もまた彼の目の前で、獣のように四つ這いになって腰を高くあげ、添えた左手の人差指と中指で左右にぐいと伸ばしひろげて見せながら、先細りの円錐形アナルバイブを自ら突き刺し前後させている。振動はさせていないが、それでも慣れた体はすでに充分昂ぶっている。
「あ、あアっ、イイっ、ぁあん、んっ」
 声を噛まずにこぼれさせるよう言われているので、開かれた口からはひっきりなしに音がもれていた。安アパートで行為を重ねた昔と違って、音が漏れる心配があまりないためだ。昔みたいにとは言っても、そんな風に変化したことも多々あった。
「イイ、イッちゃう、おしりだけでイッちゃうっ」
「トロトロだねセンセイ。でもまだイッたらダメだよ。イくのは我慢しないとね」
 これも変化したことの一つだろう。昔はイくのを耐えろと言われることはほぼなく、ひたすら何度もイかされ続けることが多かった。
 昔は言われるまでもなく耐えていた、というのもあるかもしれない。恋人となった甘えから、彼の前に快楽を晒す抵抗が薄くなったのを、的確に見ぬかれた結果かもしれない。
 背後からかかる声に荒い息を吐きながらどうにかイッてしまうのを耐える。なのに、続く声は容赦がない。
「だからって手を止めていいとも言ってないよ?」
「あああぁっんんっ」
 ほらちゃんと動かして。という言葉に、恐る恐る埋まっているバイブを引き出すが、背筋を抜ける快感にやはり途中で動きを止めてしまった。動かし続けたらすぐさまイッてしまいそうだった。
「むりっイッちゃう、イッちゃうから」
「じゃあ少し休憩しようか」
 その言葉にホッと出来たのは一瞬で、休憩中はバイブスイッチを入れるよう命じられる。
「弱でいいよ。それで5分我慢できたら、後はいっぱいイかせてあげる」
 いっぱいイカせてあげるという言葉だけで、期待に腸壁が蠢き中のバイブを締め付ける。しかしこの状態で振動なんてさせたら、動かさなくたって充分にキツイ。5分も耐えられる自信はなかった。
「自分で入れられない?」
 躊躇えば、俺がスイッチ入れようかと優しい声が響く。けれどその場合、ただスイッチだけが入れられるのみ、なんてことは絶対にないのがわかりきっている。
「でき、る。やる、から」
 覚悟を決めてスイッチへ指先を当てた。
「ふぁぁあんあ゛あ゛ぁぁ」
 始まる振動に、背を大きく逸らして吠える。弱とはいえ機械の振動に容赦なく追い詰められていく。
 結局半泣きで耐えられたのは何分だったのだろうか。
「だめっダメッ、あ、イッちゃぅんんっっっ痛っっ!!」
 上り詰めてしまった瞬間、尻に熱い痛みが走った。
「い、った、あっ、あっ、ごめん、痛っあぁんっ」
 無言のまま10回ほど尻を叩かれたが、これは始めから言われていたことだ。我慢できずに勝手にイッたら、そのたびにお尻を10回叩くお仕置きをするよと。
「センセイはお尻を叩かれても感じちゃうの?」
 叩かれ熱を持つ尻を優しく撫でながらふふっと笑われ、カッと顔も熱くなる。その言葉を否定しきれない自覚があるくせに、口は否定を音にする。
「ち、違っ」
「本当に?」
 先程よりもずっと軽く尻を叩かれ、こぼれ落ちた声は自分でもわかる程に甘い響きをしていた。
「はぁあん」
「次はおしり叩かれながらイッてみる?」
 言葉に詰まってしまったら、やはり小さく笑われた後、バイブを握られるのがわかった。バイブはもちろん、未だ小さな振動を続けている。
「はあぁぁ、あああ…んんっっ、んっ、ああっ」
「ほら、やっぱり気持ちいいんだ」
「いいっ、ああぁイイっ」
  バイブを抜き差しされながら軽く尻を叩かれ続け、未知の快感に体も心も喜び震えた。
 これだ、という満ち足りた思い。優しく追い詰められながら、自分一人ではたどり着けない、快楽の新しい扉を開いて行くような感覚。与えてくれたのは彼だけだった。
 しかもそこには今、紛れもなく愛があるのだ。この体を使ってただ遊ばれているわけじゃない。
 このままイッてごらんと囁く甘やかな言葉に導かれて、幸せを噛み締めながら上り詰めた。

 
 
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