俺が眠らせてあげるから・その後の二人の初エッチ3(終)

1話戻る→   目次へ→

 あまりにも珍しい光景に感動を覚えてしまい、胸の内に愛しさが溢れた。けれど申し訳ないことに、それを伝えるよりも早く、小さな笑いがこぼれ落ちて行く。
「ちょっ、もーっ!」
「ごめん。あんまり可愛いから、つい」
「その顔見ればわかるんで、わざわざ言わなくていいですよ」
「そう? 恋人に可愛いって言われるのも、慣れたら意外と嬉しいもんだよ?」
「え、嬉しいんですか!?」
 嫌がられてはいないと思っていたけれど、嬉しそうには見えなかったと続いた言葉に、伝わっているようで伝わっていないことも多いのかも知れないと思う。
「さすがにあからさまに喜ぶのはね、まだ抵抗があるかな。でも、本気で言ってるんだろうなってのは伝わってくるから、気恥ずかしいけどなんだかんだやっぱり嬉しいよ。まぁ、可愛いって言って蕩けるみたいに笑うケイくんのが、よっぽど可愛いのにって思ってることも多いけど」
「ううっ、今そんな事言うの、ずるいっ」
「そうだね。好きだよ、ケイくん」
「ほんっと、ずるいっ」
 俺だって好きですと張り合うように告げられて、やっぱり愛しさが笑いとなってこぼれ落ちた。
「ね、汚いとも気持ち悪いとも、ちっとも思ってないから、続き、していい?」
「はい。でもだいぶ覚悟も決まってきたんで、ゆっくり慣らすとか不要です。というか、早く、修司さんが欲しいです」
「ん、俺も、早くケイくんが欲しくなってきた」
 多少は不安が解消されたのか、それこそ覚悟が決まったのか、ガチガチだった緊張が解けている。様子を見ながら、2本、3本と指の数を増やして行っても、そこまで辛そうな顔を見せはしなかった。
 それどころか、戸惑いと躊躇いをたっぷりと混ぜながらも、気持ちが良い場所を知らせるように時折小さく喘いでもくれて、それがまたたまらなく可愛らしい。慣れないながらも必死に応じようとしてくれる様が愛おしい。
 そんなのを見せられていたのだから、一瞬だって萎える隙はなかったし、それはケイの目にも明らかだったはずだ。
 だからだろうか。指を抜いて足を抱えた時には随分とホッとした様子だったし、無事に体を繋げきり、全部入ったよという申告には感極まったように泣かれてしまって驚いた。泣きそうな顔は見たことがあっても、本当に泣いている姿を見るのは初めてで、内心かなり焦ってもいた。
「え、ちょ、ケイくん!?」
「ご、ごめっなさっ、うれ、嬉しくてっ」
「そ、そっか」
「しゅぅじ、さん」
 伸ばされた手を取れば足りないとでも言うように強く引かれ、それと同時に、待てないとばかりに上体を起こそうとする。慌ててその背を支えるように空いた側の手を回し、少し迷ったものの、結局そのまま抱き起こしてしまった。
 対面座位で腿の上に乗っているので、当然ケイの顔のほうが上に位置する。軽く見上げた先にあるのは、涙を流してはいるものの、確かに満足げな笑顔だった。
 その笑顔が近づいて、何度かチュッチュと唇を啄んでいく。そっと舌を差し出せば、すぐに絡め取られて深いキスになる。
 乱暴ではないが、どことなく衝動で貪られているようなキスを黙って受け止める。やっと開放される頃には、その頬を濡らす雫はもうなかった。
「落ち着いた?」
「はい。というかなんか、すみません」
「ちょっとビックリしたけど、嬉しくて感極まっちゃったのは事実なんでしょ?」
「う、はい……」
「初めて体を繋げたってことを、こんなにも喜んでくれる恋人が居て、俺はなんて幸せ者なんだろう。って思ってた」
 気にすることはないというつもりで口に出したが、どうやら逆効果だったらしい。
「そう言われちゃうと、なんか申し訳ないような気もしてくるんですけど……」
 また少し困ったように顔を曇らせながら言われた言葉の意味は、正直よくわからなかった。
「申し訳ないって、どうして?」
「だって多分俺、修司さんが俺を好きって、きっとどこかでちょっと疑ってたんですよ。修司さん優しいから、俺の好きを受け入れてくれて恋人にしてくれたけど、でも安眠に必要で手放せないからって理由も少しくらいはあるんだろうなって思ってて」
「不安にさせてた?」
「不安、だったのかな? あまり不安だった自覚はなくて、でも、もっともっと必要とされたいって、頑張ってたとこはあります」
 ずっと色々と頑張ってくれてたのはもちろん伝わっているけれど、その根底に、もっと必要とされたい気持ちがあったからだなんて、こうして言われるまで考えもしなかったことを恥じる。
「俺が抱かれる側になろうと思ったのだって、元カノに対抗する気持ちが無かったとは言えないし、俺の体で気持ちよくイカせられたら自信が持てそうな気がしてたからで、でも今日、俺が上手く出来なくて、途中から修司さんが変わって俺を抱いてくれて、可愛いって言って貰って、繋がれる場所、汚いとか気持ち悪いとか思わないよって言ってくれて、いっぱい弄ってくれて、その間ずっと俺のこと愛しそうに見てたし、ちっとも萎えないの見てたら、俺、本当に、」
 またじわじわと涙が滲んできた目元をそっとぬぐってやりながら。
「俺がどれだけケイくんを愛してるか、実感できた?」
 はいと頷かれて、申し訳ないのはこっちの方だと思う。
「ごめんね。言葉も、態度も、足りなすぎたね。ケイくんが男の子で、しかも俺よりよっぽど男前でカッコイイから、俺が受け身で居たほうが扱いやすいのかと思ってた。でもそうじゃないってわかったから、これからは俺ももっと、ケイくんを甘やかすの頑張っていくね」
「でも俺、多分、甘えるの、下手なんで。見た目可愛い系なの自覚あるんですけど、だからこそ可愛いって思われるんじゃなくて、カッコイイとか、頼りになる男目指してたから、甘やかすの頑張られても、きっと上手に甘えられない、です」
 むしろ男前でカッコイイって言って貰えたのが嬉しかったとはにかまれたら、ますます頑張らねばと思ってしまうし、我儘な恋人に散々振り回されても全く苦にならないどころかそれが愛しいと思っていたような男が、恋人にどれだけの情を注ぐのか思い知ればいいとも思う。
 必要がなさそうだとか、むしろ嫌がられそうだと思っていただけで、相手の機嫌を探って尽くすことも、本来はそう苦手ではない。今日、修司が積極的になったことで、あんなにも可愛らしい姿が色々と見れたのだから、尽くし甲斐もあるだろう。
「あのね、ケイくん。ケイくんが下手くそに甘えてくれるの、絶対に嬉しい自信がある」
「ちょっ、それ、」
 ずるいとぼやかれたけれど、狙い通りの反応だ。
「それと、ケイくん自身、その身を持ってわかってると思うんだけど、こうやって喋ってても一切萎えてないくらいには、俺も、男としての欲がはっきりあるんだよね」
「う、あ、それは、はい」
「だからね、俺に愛されることにも、これから否応なく慣れてくはずだし、これから先、ケイくんがちょっとずつ俺に愛されることを覚えていってくれるんだって思うと、楽しみでたまらない」
「ううっ、お手柔らかに、お願いします」
 既に結構限界ですと、真っ赤になった顔を隠すように抱きつかれてしまった。

<終>

 
 
*ポチッと応援よろしくお願いします*
にほんブログ村 BL短編小説/人気ブログランキング/B L ♂ U N I O N/■BL♂GARDEN■


HOME/1話完結作品/コネタ・短編 続き物/CHATNOVEL/ビガぱら短編/シリーズ物一覧/非18禁

抱かれたら慰めてくれんじゃないのかよ19

1話戻る→   目次へ→

 足を抱えられて、再度、受け入れる穴に先端が押し付けられる。ハッとして思わず開いた股間の間を覗き見てしまったが、最後の方は尻穴だけ弄られていたのにしっかり反応している自身の息子が邪魔をして、相手の状態はよくわからない。
「どうかした?」
「あ、いや……」
「まだ怖い?」
「じゃなくて。お前、」
「俺が?」
「あー……ゴム、着け直したり、しないんだ、って、思って」
 それはつまり、結構長々と弄られていたはずのその間、着けたゴムが緩んだり外れたりはしなかった、って事なんだろう。
「まぁ、着け直す必要なさそうだから。てかもしかして引かれてる?」
「ひく、っていうか……」
「好きな子に受け入れて貰うための準備で、相手が少しずつ感じてくれるようになるのを目の前にして、萎える要素なんてないんだけど?」
「あー、うん、うん、まぁ、それは」
 そうなんだろう、というのはわかる。頭では理解できる。でもなんか、実感が湧かないというか、この体を弄っているだけで興奮が持続するらしいという事実が受け入れがたいというか、要するに、どうにも気持ちが落ち着かない。
「俺としては、俺が全く萎えなかったことを、自分にはそれだけの魅力があるんだって自信を持つか、俺にそれだけ愛されてるって喜ぶかして欲しい所だけど」
「あ、いされ、て……!?」
 好きだとは言ってもらったが、愛されているって何事だと慌ててしまえば、そんな驚かないでよと苦笑された後。
「俺の好きは、恋情ってより愛情だよ。とっくにね」
 照れるでもなくシレッと、愛してるよと柔らかに零す相手に思わず見惚れてしまったその瞬間、グッと相手の腰が押し付けられて、散々弄られた穴が相手を迎え入れるようにクプッと開くのがわかった。
「ふぁあっっ」
 耐える準備が全く整って居なかった口から、押し出されるまま声を上げると同時に、多分、先端の膨らみが通り抜けた。思ったよりすんなり入ってしまった、というのが正直な感想で、入っているという違和感はもちろんあるけれど、痛みなどはない。
「大丈夫そうだね」
 一旦止まって様子を窺う相手も、こちらのダメージのなさにはすぐに気付いた様子で、すぐにそのままググッと押し込まれてくる。たっぷりローションを使われているせいか、感覚的にはヌププと滑り込んでくるようだったけれど。
「ぁぁあああああ」
 やっぱり閉じ忘れた口からは、押し出されるみたいに声が漏れてしまったけれど、反射的なもので痛いとか苦しいとかはあまりなかった。さっきまで散々指で弄り回されていたからか、指程器用に動かない分、ただ、そこにあるのを感じているだけに近い。
 慣らした所で苦しい目にはあうんだろうと思っていたせいで、安堵よりも若干拍子抜けなのは否めなかった。しかもそんなこちらの気持ちは、相手にもだだ漏れらしい。
「ねぇ、これ、間違いなくただの俺の劣等感のせいなんだけど、なんだこんなもんか、みたいな顔されると、結構困る」
 根本まで埋めたのか、相手の腰が尻タブに密着した後、相手の顔が近づいてきてそんな事を言う。言葉通り、少し困った様子の苦笑顔で。
「あ、いや、ゴメン。お前がいっぱい慣らしてくれたから、ってのは、わかってる、から」
「ああうん、それは理解してくれてありがとう。ただ、困るってそういう話じゃないっていうか」
「え、じゃあ、何が?」
「大きけりゃ大きいなりの使い方があるんだろうけど、それはこっちも同じなんだよね、っていう」
「え? は? 何の話?」
「つまり、こんなもんか、なんて顔されたら、そのコンナモンで、うんと感じさせてやりたくなるから、困ったね、と思って」
 意地悪されたって泣かれたくないんだけど加減が難しいなんて続く言葉に、全く想定外の不安が湧き出す。ここにきて、テクには自信あります的な宣言に近いものを出されても、こっちこそどうしたらいいかわからなくてめちゃくちゃ困る。

続きました→

 
 
*ポチッと応援よろしくお願いします*
にほんブログ村 BL短編小説/人気ブログランキング/B L ♂ U N I O N/■BL♂GARDEN■


HOME/1話完結作品/コネタ・短編 続き物/CHATNOVEL/ビガぱら短編/シリーズ物一覧/非18禁

いつか、恩返し16

1話戻る→   目次へ→

 今だから言う、というのは、今日あたりいい加減抱かれることになるだろうという予測を、肯定されたようなものでもある。そう思った矢先に、短な宣言が伝えられる。
「抱くね」
「ああ」
 頷けばアナルから相手の指が引き抜かれていき、暫くして、今度はペニスの尖端が押し当てられるのがわかる。期待と興奮と混じりに見上げてしまう相手の顔は、自分と同じように期待と興奮とが混じっているみたいだった。さすがにもう、キラキラとした輝きはない。
 目があって、少しの間黙ったまま見つめ合う。先に口を開いたのは、相手の方だった。
「楽しみ?」
「そりゃあな。お前は?」
「もちろん楽しみでもあるけど、」
「あるけど?」
「嬉しいって気持ちがとにかく強いかな」
「ちょっと気が早くないか? まだ入ってないのに」
「確かにそうなんだけどさ」
 苦笑する相手の顔が、前屈みに寄ってくる。両手を伸ばして相手の肩を掴み、相手を引き寄せると同時に、自分自身も軽く身を起こして、相手へと顔を寄せた。
「ね、好きだよ」
 柔らかな笑いに変えた相手が、甘い声で囁いてくる。
「……俺も、」
 好きだ、とまでは言えなかったが、それは相手に唇を塞がれたからにすぎない。
 軽いキスを何度か繰り返している中、ぐっと足を抱え直されて、くる、と思う。その直後、ぐぷっと太く熱い塊が押し込まれたのを感じた。
「ぁうぅっ」
「痛い?」
「いた、くなっ」
 痛くはない。でも指とは違う質量が、相手のペニスが、自分の体を押し開いて貫いていく、というのを意識せずにいられない。多分、体にかかる圧のせいだ。こんな風にのしかかられるみたいな格好で、解されたことはなかったから。
「痛かったら、言ってよ」
「ん、ぁ、ぁああぁあ、ああ」
 こちらが頷くのも待たずに、そのまま体重をかけられて、ぬぷぷと体内に相手のペニスが沈んでいく。それを感じながら吐き出す息は、戸惑いの交じる情けない音を乗せている。
「おまっ、おまえっ」
 ほぼ一息にきっちり最後まで繋がってきた相手の動きが止まって、文句の一つも言ってやろうと口を開いたけれど、上手く舌が回らない。強い痛みは確かになかったが、それなりに動揺はしていた。
「ゆっくりするより、こっちのが楽かと思って。経験的に」
 経験的にだなんて言われてしまうと、こちらは返せる言葉がない。
 彼を初めて抱いた時、めちゃくちゃ気を遣ってゆっくりと挿入したけれど、確かにずっと、ふぅふぅ荒い息を繰り返しながら辛そうな顔を見せていた。大丈夫って言いながら無理やり笑顔を作る姿に、胸を締め付けられるような思いだってした。さっさと繋がってしまった方が楽だった、と言われても納得ではある。
 不満を残しながらも口を閉じてしまえば、相手は少し困ったように笑って、ゴメン嘘、と続けた。
「うそ、って?」
「ゆっくり挿れてあげたかったけど、無理だった。思ったより難しい」
「思ったより?」
「ごめん。これは意図的に隠してたんだけど、ほんの数分前まで、童貞だった」
 はぁあああと声を上げたら、どうやら腹筋にけっこうな力が入ったらしい。その結果、二人同時に呻く羽目になった。

続きました→

 
 
*ポチッと応援よろしくお願いします*
にほんブログ村 BL短編小説/人気ブログランキング/B L ♂ U N I O N/■BL♂GARDEN■


HOME/1話完結作品/コネタ・短編 続き物/CHATNOVEL/ビガぱら短編/シリーズ物一覧/非18禁

いつか、恩返し11

1話戻る→   目次へ→

「先っぽ入ったけど、このまま奥まで入ってみても平気そう?」
「ん、いい、よ」
 頷かれるのを待って、相手の足を抱え上げた。それを更に持ち上げるようにして、ゆっくり体重を掛けて行けば、ぬぷぷとペニスが飲み込まれていく。
 自分の下で、従兄弟が首まで赤くしながら、ふぅふぅと荒い息を繰り返している。辛そうな顔だと思ったが、腰を止めて様子を窺えば、大丈夫と言いながら笑って見せる。どうしたってむりやり作ったとしか思えない笑顔に、きゅっと胸が締めつけられる気がした。
 健気、だとか、いじらしい、だとか。そんな単語が頭の中をまわる。
 なんでそこまで自分を想ってくれるのかわからなくて、でも、嘘でもからかわれているのでも好奇心でもなく、彼に想われている事だけは、確かに伝わっていた。
 こんな彼を抱きしめてキスしてやりたい気持ちは、きっと好奇心なんかではない。ただ、でも、それが恋情なのかは、やっぱりわからなかった。だから、こんな曖昧な気持ちによる衝動で、抱きしめてキスしてしまっていいのかも、実のところよくわからない。
 けれど同じ想いなど求めず、好奇心でいいと言い切る彼にしてみれば、こちらの感情がなんであれ、しないよりはしてくれた方が嬉しい、と思うだろうこともわかっていた。とはいえ、この中途半端な挿入状態では、抱きしめるのもキスするのも難しい。
「痛めつけたいわけじゃないんだから、あんま無理はすんなよ」
 まずはしっかり繋がってしまえと、それだけ伝えて更に体重を掛けていく。相手はやっぱり苦しげな息を繰り返していたけれど、痛いとも辛いとも止まってくれとも言わないので、そのまま互いの肌がぴたりとくっつき合うまで押し込んでしまう。
「はい、った?」
「入った」
「ど? きもち、ぃ?」
 気持ちいいよと返せば、ホッとした様子で良かったと笑われて、またしても胸がきゅっとなる。相手は気持ちよくなんてないだろうと思うから、余計に胸が締め付けられる気がする。
「もちょっと、待て、る?」
 馴染むまでもう少し待って欲しい、ということらしい。当然、そのつもりでいた。
 ああと頷いて、それからようやく、なるべくゆっくり体を前傾させていく。相手の体の負担がよくわからないから、動作はきっと極力ゆっくりな方がいいだろう、という判断だった。
 おかげで、こちらを見上げる相手の顔が何をする気だと訝しげなものへ変わるのも、途中でこちらの意図を察したらしくじわっと驚きへ変わって行くのも、全て見てしまった。唇が触れる少し前、期待を混ぜた瞳が泣きそうに潤んでいたことさえも。
 キスはもう何度も繰り返している。相手の口内の弱い場所だって知っている。ちゅっちゅと何度も唇を吸って、招くように開かれた隙間に舌を差し入れて、感じる場所を擽ってやれば、甘い吐息を漏らしながらキュッキュとペニスを締め付けてくる。
 キスをしながら相手の胸に手を這わせ、小さな膨らみを捉えて指先で捏ねれば、ビクビクっと相手の体が跳ねた。抜きあう時にもたまに弄ってみたりはしていたが、こんな反応は初めてだ。もちろん、繋がる場所もきゅうきゅうと収縮を繰り返している。
「すごいな。今日は、胸も感じてる」
「ぁ、ゃっ、なん、で」
「なんでだろ? 俺も知りたい」
 指でこの反応なら、舐めたらどうなるんだろう。そんな衝動のままそこへ顔を寄せていけば、ダメっという声が耳に届く。
「なんで? 舐められるの、いや?」
「いや、っていう、か」
「舐めたらもっと気持ちよくなれそう」
「え、お前、が?」
 そうだと言ったら間違いなく、じゃあ舐めていいよって言われるんだろう。胸の奥が甘く疼いて仕方がない。
「お前も俺も、だよ。お前が気持ちよくなったら、俺も気持ちぃ。お前が気持ちぃとここがキュッキュってなる」
 ここ、と言いながら彼の中に埋まったペニスを意識させるように、軽く腰を揺すってやった。

続きました→

 
 
*ポチッと応援よろしくお願いします*
にほんブログ村 BL短編小説/人気ブログランキング/B L ♂ U N I O N/■BL♂GARDEN■


HOME/1話完結作品/コネタ・短編 続き物/CHATNOVEL/ビガぱら短編/シリーズ物一覧/非18禁

いつか、恩返し10

1話戻る→   目次へ→

 多分、穴だけ差し出してこちらが気持ちよくなるだけだって、彼にとっては充分に満足する、好きな子とのセックスだ。こちらが抱かれる側になったって、こちらの快楽優先で抱いてくれる気でいるだろう。それは先程の会話からも明確だった。
 でもごっこだろうと、こちらにはっきりと恋愛感情だと言えるような想いがなかろうと、自分たちは恋人なのだ。今しているのは恋人同士のセックスだ。
「ごっこだろうとフリだとうと、恋人には違いないんだし、」
「ああ、うん。そうだね。わかった。いいよ」
 こちらの言葉を遮るように口を開いた相手は、続けてと先を促してくる。
「でも、さすがに前立腺いじめ抜かれる、みたいなの想定外だから、加減はしてよ。そんなとこ、自分で弄ったことなくて、自分がどうなるかわからないのは、ちょっと不安なのも、知っといて」
 なるほど、そういう理由で躊躇ったのか。
「ん、わかった。お前にしんどい思いさせたいわけじゃないし、いじめ抜く、なんて考えてない」
「ホントかよ。中弄られて感じる俺が面白くってやりすぎた、とか、ありそうで怖い」
「しないって。多分」
 多分は絶対に余計だった。相手はやっぱり諦めのにじむ呆れた息を吐きながら、ホント頼むよと念を押して、それから続きを待つように口を閉じた。
 釘を差されているので、そこばかりをしつこく弄ってしまわないように気をつけながら、指で中を探る行為を再開する。
「ぁっ…………ぁ、……ぁあ……」
 指先の動きに釣られるように、甘やかな吐息がゆるりゆるりと溢れでるのは確かに楽しい。
「ん、ぁっ、あぁっ」
 少し激しく動かせば、声も体もちゃんと大きな反応を返してくるのだって、楽しい。
 指を増やして拡げる動きに変えても辛そうな様子はなく、指の動きに合わせて甘い声を零すのも、体を震わせ腰が揺れるのも変わらなかったが、放射状に寄る皺が伸びてぐちゅぐちゅと濡れた音を立てる穴の卑猥さは格段に上がったと思う。
 ここに自分のペニスを入れて、現在指で感じている圧と蠢きを今度はペニスで感じるのだと思うほどに、興奮が増していく。
「な、も、じらさない、で」
 その声にハッとして、思わず指の動きを止めてしまった。耐えられなくなったら、その言葉で先を誘ってくれと言ったことは覚えている。
 でもどう見ても、もう耐えられなくてというより、こちらの興奮を読み取っての誘いだろうと思った。
 まぁ、相手の余裕を奪うような弄り方はせずにいられた、という意味でなら、安堵しておくべき場面かも知れないけれど。
「なぁ、も、いいだろ。も、入るよ、多分」
 だから挿れてと誘う相手に、そうだなと返しながら、埋めていた指をゆっくりと抜いていく。そしてその指が抜けた穴に、今度はペニスの先端を押し当てた。
「挿れる」
 そんな短い宣言には、うん、と小さな頷きが一つ返っただけだったけれど、さすがにもうそれ以上の言葉は不要だ。
 ぐっと腰を押し出すのに合わせて、尖端がアナルを拡げてくぷっと入り込んでいく。
「んっ……」
 少し苦しそうかとは思ったが、腰を引いたりはせず、そのままアナルを押し広げてまずはカリ首まで押し込んだ。一番太い部分を飲み込んで大きく広がったアナルが、今度は包み込むように窄まってくる。
「ぁっ……」
 どうやら相手もそれは感じ取れているらしい。

続きました→

 
 
*ポチッと応援よろしくお願いします*
にほんブログ村 BL短編小説/人気ブログランキング/B L ♂ U N I O N/■BL♂GARDEN■


HOME/1話完結作品/コネタ・短編 続き物/CHATNOVEL/ビガぱら短編/シリーズ物一覧/非18禁

追いかけて追いかけて29

1話戻る→   目次へ→

 好きだとか可愛いだとか繰り返されながら、慈しむみたいな手付きで肌の上を撫でられて、なのに体は簡単に昂ぶっていく。これが彼に、恋人に、愛される行為なのだと、巧みに意識させられ続けているからだ。
 いつの間にやら仰向けに転がされて、自らの意思で足を開いて、恋人に秘所を差し出している。薄いゴムとたっぷりのローションを纏わせた指は、欠片だってこの体を傷つけない。
 乾いた指をむりやりねじ込まれる痛みを思い出して竦んでいた体は、気持ちの準備が整うまでは入れたりしないと宣言されて、その言葉通り、ひたすらアナルとその周辺をぬるぬるな液体まみれにされて、クチュクチュと撫で突かれている間に弛緩した。むしろ早く入れて欲しいとだんだん体が焦れていたから、彼の指がようやく、想像していたよりずっと簡単にするりと体内に入り込んだ時には、いろいろな意味で安堵の吐息を漏らした。
 わきあがる羞恥も快感に変わることを教え込まれながら、小指一本の細さから焦れったいくらいにゆっくりと慣らされて、じわじわと拡げられていく。大好きな男の手によって、より深く愛されるための体に作り変えて貰う。
 彼は酷く辛抱強く、また、どこまでも優しい愛に溢れている。想像通りな気もしたし、想像以上でもあった。
 彼も既に裸なので、股間で反り立つペニスだって丸見えだったけれど、チラチラと視線を向けてしまうこちらに苦笑はしても、早く君の中に入りたいなとうっとり口にしながらも、慣らし拡げる行為を急ぐことはなかった。あまりの焦れったさと、早く入りたいの言葉に触発されて、こちらから早く入れてと頼んでも、上手に躱して宥めてこちらの言葉に流されてくれることもなかった。
 彼と恋人になるというのは、彼に愛されるというのは、こういうことなのだと身をもって知らされていく。刻み込まれていく。
 長い時間をかけてようやく彼と繋がったときも、圧迫感はあっても痛みは予想よりも遥かに少なかった。大事な恋人に痛い思いなんてさせたくないからと繰り返された、先を急ぐこちらを宥める言葉を思い出して胸が詰まる。
「いっぱい焦らしちゃったもんね。俺も、嬉しいよ」
 愛しい子とやっと繋がれたと言って、ふにゃっと崩した笑顔に胸の中で膨らんだ何かが弾ける気がした。
「すき、です」
「うん。俺も好き。やっと、言ってくれたね」
 このタイミングだなんて可愛すぎだよと笑いながら、流れてしまった涙を彼の指先が拭っていく。
「好き」
「好きだよ」
「好きです」
「俺も。すごく好き」
「だい、すき」
「ありがとう。嬉しい。愛してる」
 ふにゃふにゃと嬉しそうに笑う顔にどんどん涙腺が刺激されて、次から次へと涙があふれて止まらない。好きだ好きだとこぼすのも止められなくて、でも、どうしようという焦りも胸の中で広がっていく。
 これは一度限りの思い出になるはずの行為なのに、彼がこんな風に愛を注いだ相手が少なくとも二人いることに、バカみたいな嫉妬をしている。これから先、彼が別の誰かを愛して、その相手にもこんな風に優しく愛を刻み込むのかと思うと、やりきれない焦燥に胸が熱く焦がれていく。
 これは抱えてはいけない感情で、決して表にこぼしてはいけない想いだとわかっているのに、好きだ好きだとこぼすことを覚えてしまった体は、自覚してしまった抱えた想いを隠すことが出来なくなっていた。
「や、やだっ、も、いや、だ」
 好きだ好きだと甘ったるく繰り返しこぼしていた口から、唐突にそんな言葉を漏らされて、相手が驚き焦ったのがわかる。
「ん、なに? どうしたの? 何がいや?」
 探るようにぐっと顔を寄せて覗き込まれ、近づいた体に両腕を伸ばした。簡単に捉えた、意外と筋肉のついた細い体をぎゅうと抱きしめ、逃げるようになけなしの腹筋に力を込めて、その胸元に顔を寄せて隠す。
「ぅ゛う゛っっ」
「ちょっ、無茶しないで」
 強引に動いたせいか、繋がった場所の圧迫感の変動に小さく呻けば、焦った声とともに少しばかり浮いた背中に彼の腕が回されて、宥めるみたいに何度も背を撫でられた。

続きました→

 
 
*ポチッと応援よろしくお願いします*
にほんブログ村 BL短編小説/人気ブログランキング/B L ♂ U N I O N/■BL♂GARDEN■


HOME/1話完結作品/コネタ・短編 続き物/CHATNOVEL/ビガぱら短編/シリーズ物一覧/非18禁