まるで呪いのような18

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 あんなに泣かれても止められないくらいやっぱりお前を抱きたいし、あんなに泣きまくったくせにそれでもまだちゃんと俺に抱かれてくれる気でいるお前の、泣きまくって酷くなった顔が可愛くないわけないだろと彼は続ける。その後、笑わせたいし、泣かせたくないし、でも泣かせたら泣かせたでこんなに可愛いと言って、真っ赤に腫れているだろう目元にそっとキスをくれた。
「ほ、本気で、言ってる?」
「言ってる」
「ホントに、萎えない?」
「萎えない。むしろギンギン」
 手を取られて彼の股間に導かれれば、ゴムの膜を被った熱の塊に指先が触れる。握ってと促されて、おずおずとその熱を握りしめた。
 初めて触れる自身以外の勃起ペニスは、ゴムを装着済みというのもあってか、やっぱりなんだか得体が知れないもののように思えたし、これが今から自分のお尻の穴に入ってくるのだと思うとどうしても体が震えそうになる。
「悪ぃ。怖がらせるつもりじゃなかった」
 握る手をそっと剥がされた後、今度はその手を強めに引かれて、少しばかり浮いた体を抱きしめられた。ギュッと背に回る腕に力が入って、互いの肌が密着して気持ちが良い。抱き返しながら、ホッと安堵の息を吐いた。
 好きだ、好きだよ、と繰り返してくれる優しい声は、やっぱり自分のためにと彼が与えてくれるものだけど、でももう、それでいいって十分に知ってる。好きだと言われるたびに頷いて、時々自分も好きだと返せば、やっぱり相手も頷いてくれた。
 ああ、なんて、嬉しい。こういう時間を、ずっと彼と持ちたかったんだなって、しみじみと思う。
「ありがと。落ち着いた。怖くなくはないけど、も、多分、大丈夫」
 だから挿れてと言えば、少し浮いたままだった背がベッドマットの上に降ろされ、なんどかチュッチュと唇を吸われたあとで彼が上体を起こしていく。足を開かれ腰を抱えられて、その場所に彼の熱の先が触れた。
 穏やかに抱き合って好きって言い合っている間も、萎えたりはしなかったらしい。その状態でオアズケされる苦しさがわからなくはないから、彼がくれた優しさも気遣いも、やっぱり嬉しいばっかりだった。
「挿れる」
「うん」
「我慢できないくらい痛かったら、言って」
「うん」
「息吸って」
「え、う、うん」
「吐いて」
 言われるまま息を吸って吐いてしている中で、少しずつ先程まで散々指で弄られ拡げられていた場所に、また圧がかかって拡げられていく。
「ぁ、っ……あぁっ……んんっっ」
「息して。吸って」
 もれ出る声が恥ずかしくて隠そうとしたら、必死な声が息をしてと促してくる。思わず見つめてしまった相手は、切羽詰まった顔でこちらを見下ろしていた。
 彼を受け入れる自分だけが大変な思いをしているわけじゃない。彼もまた、早く抱きたい繋がりたい自分のものにしたいって衝動と戦って、なるべく乱暴にしてしまわないようにと努めてくれているのだ。それがわかって、嬉しいのに、なんだか胸が詰まる。
 またじわっと涙が浮いてしまったけれど、でも多分顔は笑っているだろう。頷いて、言われた通りに、息を吸って吐いてを頑張って繰り返す。相手は一瞬躊躇う様子を見せたけれど、なにも言わずにまた少しずつ、奥へ奥へと入ってきた。
「はい、った」
 尻タブに彼の腰が密着している。涙でぼやぼやになった視界で相手を必死に見つめながら、何度も首を縦に振って、もういいよねって気持ちで腕を伸ばした。
 やっと繋がれた彼に、自分も触れたい。触れて、そしてぎゅって抱きしめてほしかった。

続きました→

 
 
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竜人はご飯だったはずなのに22

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 スリットは彼の性器を収めている袋であって、人間の女性の膣とは全く違う。自分が突っ込む側でのアナルセックス経験はないが、筒状の直腸はやはり膣に近いはずだし、自分の体感からしてもそうだろうなと思う。
 つまり何が言いたいかというと、スリットは射精を促すように、グニグニとペニスを締め付けてはくれないってことだ。ただ、ヌルヌルな粘液で満たされた中で、彼のペニスと自分のペニスが触れ合い擦れる刺激は悪くなかった。
「ぁ、う、うぁっ、ぁあっ」
 腰を突き入れるたびに、自分よりも体の大きな竜人が、戸惑いの滲む甘えたような声をあふれさせているのもたまらない。
「は、っはぁ、どうよ。痛いとか、しんどいとか、あるか?」
「それは、大丈夫そう、だ」
「ん、なら、もーちょい動く。やな感じしたら、教えろよ」
 単調な突き入れを止めて、どうすれば相手がもっと気持ちよくなれるかを探るように、腰を揺らしてペニスで中をかき回した。
「んぁっ」
 指を突っ込んで弄った時に、反応が良かった場所をペニスの先で狙って突いてみれば、思わずと言った様子の高めの声が漏れ落ちる。
「やっぱここ、か」
 スリット内の彼のペニスは、発情時に比べれば十分に小さいのだろうけれど、それなりに太さも大きさも硬さも保持している。
 実のところ、コツさえ掴めば強引にスリットから剥き出すことも可能だし、そうやって確かめた平時の彼のペニスは、人基準ならやや小ぶりかも程度の立派さがある。その状態を維持して貰えれば、それで尻穴を犯してもらうことも可能かな、なんてことを考えてしまった程度に魅力的だったけれど、さすがに提案したりはしなかった。
 まぁ、どれくらい維持できるのか試すみたいに、維持できなくなるまででいいからしゃぶらせて、っていう提案はしたけれど。結果、繋がる前に相当焦れきってなきゃ、その時間でイクのは無理だなって思ったから、尻穴で扱かせてなんてことは言わずに済んだってだけなんだけど。
「ぁあっっ」
 いくつもある段差の、一番付け根に近いところへペニスの先を押し当て、グッグと何度か押し上げたあと、ずりりとその段差を捲るように一つ上の窪みへペニスを滑らせてやった。
「……ぁあっ……あああっっ」
 段差の下部分が敏感で、ずりっと段差を捲られるのが、かなり弱いらしい。しかも感度はペニスの先端に近づくほど高くなる。そうやって段差を捲るたびに、堪えきれない嬌声が溢れてくる。指で弄るより、ずっと強く押し付け擦り上げている自覚はあるから、甘く吐息をこぼす程度じゃ収まらないんだろう。
 何かに耐えるように、脇に投げ出されている手がシーツをキツく握りしめていた。
「ツライ?」
「いい」
 多分、大丈夫という意味だろう。
「善いのか? きもちぃの? まだダイジョブ? もっとして、いい?」
 コクコクと頭が縦に揺れたけれど、どれに対する肯定かを確認するほど意地悪くはない。
 一度少し腰を引いて、また根本に近い部分から順に、段差を抉るように刺激してやる。先端まで到着したら、もう一度根本から。そうやって何度も自分のペニスを使って、相手のペニスを可愛がってやる。
 相手は何かに耐え続けながらも甘く啼き続けていて、もうやめてくれとは一切言わなかった。けれど、キモチイイからもっともっと続けて、という様子ではないのもわかっている。
 自分自身のペニスも気持ちはいいが、射精しそうだという感覚はやはり起こっていない。繁殖期ではなく薬も使用していない相手だって、当然射精はしないだろう。
 こちらの体力が尽きるまで、もしくは相手が刺激に耐えきれなくなるまで。やはりそれが終わりの目安だろうか?
 結構アレコレ指でも舌でも弄り回したけれど、自分が尻穴で絶頂を極めるように、彼がスリットで絶頂を極めたことはない。強い刺激にいつも以上に乱れた姿を見せてくれているけれど、だからって彼自身が全く未知の絶頂へ、連れていってやれるとは思えない。もちろん、いつかそうなればと思う気持ちはあるけれど。
 だとしたら、自分自身がイクことを目指すほうが、まだ可能性がありそうだと思った。間違いなく精液なんて出ないけど、大昔、射精を覚えてバカみたいにオナニーしまくっていた頃、白いものなんてもう出ないってほど出しまくった後で、精液を出さずにイッたような記憶がおぼろげにある。さすがにあれはやりすぎだったが、あんな感じで、射精しなくても絶頂に到れるんじゃないだろうか。
「なぁ、俺が気持ちぃように、動いてみて、いいか?」
「ぁあ……もちろん、だ」
 どこかホッとした様子を見せるから、やっぱり相当キツかったんじゃないかと思って苦笑する。
「じゃ、お言葉に甘えて。けど、止めてくれってときは、ちゃんと言えよ」
 わかってると返った言葉の信憑性はやっぱり薄そうだと思ったけれど、取り敢えず、相手を刺激する動きから、自分自身の気持ち良さを探っていく動きに変えた。

続きました→

 
 
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竜人はご飯だったはずなのに21

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 彼のスリットにペニスを突き立て腰を振る自分や、それに善がり喘ぐ彼の姿を想像すれば、期待はますます膨らんでいく。彼の舌が巻き付く自身のペニスも膨らんで、直接受け取る快感と、視覚から受ける刺激への興奮と、見事に勃起しているペニスへの感動と、自分もまた雄であることの自信と、行為への期待と、胸の中に一度に色々なものが湧き出てくるから、なんだか溺れてしまいそうな気分だった。
「も、いいだろ。早くお前に、突っ込みてぇ」
 喘ぐような訴えに、ようやく彼が頭を上げる。興奮しきった顔をしている相手をジッと見つめてやれば、恥ずかしそうに顔を背けてから、おずおずと体を背後へ倒していく。追いかけるように覆いかぶさり、ちゅっと音を立てて口先に一度触れた後は、すぐに頭を下ろしてスリット部へ吸い付いた。
「んぁ、っ」
 ビクリと体を跳ねさせて、嫌がるように腹をよじる。
「何? 土壇場で、怖くなった?」
 前回は反応したと言っても勃ち上がりかけた程度だったから、相手がこちらの勃起しきったペニスを見るのは初めてだ。体格相応にデカイ自覚はあるが、けれどそれも人としてならであって、自分より体格も良ければペニスだってデカイ相手が怯むほどではないはずなのだけれど。ただ、いくら元々そのつもりでいたとしても、彼が他の雄の欲情したペニスを受け入れた経験がないのも事実だった。
「今更やっぱなしは無理だぞ。けど、優しくする努力は、する」
 初めてだもんな。優しくしてやらないとだよな。そんな気持ちで、これから自分を受け入れてくれる予定の場所を、愛しさを込めてそっと撫でた。
 まぁ、こっちだって竜人のスリットに突っ込むなんて経験は初めてなのだけれど。でも期待と興奮に任せきって、乱暴に突っ込みかき回すような真似をしていいわけがない。少しだけ冷静さを取り戻せたようでホッとする。
 なのに。
「違う。それはいい、から、早く、入れてくれ」
 萎えてしまう前に、なんて続いた言葉に、そっちの心配かよと苦笑を噛み殺す羽目になった。
「んな簡単に萎えてたまるか」
「しかし、興奮が覚めてしまったら」
「だからそう簡単に覚めねぇよって。けどまぁ、心配なら、可愛く啼いとけ」
「かわい、……く?」
「そうそう。俺がお前に舐められてる時みたいに、もっと素直に気持ちぃって喘げよってこと」
 意味がわからないと言いたげだった相手にそう告げて、もう一度スリット部へ顔を寄せる。手早く舐め濡らして、軽く解したら突っ込んでやれと思っていた気持ちを脇へ放って、いつも以上に執拗に舐め啜って、数本の指をまとめて突っ込みかき回してやった。
 スリットの中の粘液を掻き出して、甘酸っぱいそれをジュルジュルと音を立てて吸いあげる。指先に触れる、袋の中に収まっている彼のペニスを撫で擦る。
「ぁ、あっ、ぁあ、気持ちが、いいっ」
 甘い吐息を零すことは多くても、はっきり気持ちが良いなんて言ってくれたことはなかった。ただ、気持ちが良いと言ってくれと求めたこともなかった。
 こちらが萎えないようにと必死なのかもしれないが、言われた通りに気持ちが良いと零す素直さが、可愛いとも愛しいとも思う。
「なぁ、想像してみ。ここに俺の勃起ちんこ突っ込まれて、これが俺のにゴリゴリぬるぬる擦られるとこ」
「ぁあ、ああっ」
「どうよ。一緒に気持ちよくなれそ?」
「ぁ、なる。なれる、からっ」
 再度早くと急かされて、突っ込んでいた指を引き抜いた。ドロドロに濡れたその手で、数度自分のペニスを扱く。もちろん、少しも萎えてなんかいない。それどころかさっき以上に張り詰めている。
「な、こっち見て」
 呼びかけて、相手の目に手の中の勃起ペニスを見せつけた。
「ちっとも萎えてないの、わかるか?」
「……ああ」
 ゴクリと相手の喉が鳴る。はっきりと期待の滲んだ顔に、満足気に笑ってしまうのを自覚する。
「これがお前の中入るとこ、しっかり見てて」
 言いながら、相手のスリットにペニスの先をゆっくりと押し付けていく。
「ぁ……ぁあ……」
 緩んだスリットがくぷりと中の粘液を溢れさせながら、ぬぷぬぷと亀頭を飲み込むのに合わせ、戸惑いと歓喜とを混ぜたような声が相手の口から細く漏れ出ていた。

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罰ゲーム後・先輩受16

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 短期集中ではあったものの、日中の殆どを使って慣らしまくった体は、無事に相手の勃起ペニスを全て受け入れた。耐え難い痛みに襲われることもなかったし、裂けて流血なんてことも起きていない。
 ただやはり、さすがの質量に圧迫感が凄い。
「痛くない、すか?」
「ん、それは、平気」
 不安そうに聞いてくる相手に大丈夫と笑ってやりたいのに、そこまでの余裕がないのが悔しい。強引に口角を上げれば頬がプルプルと引き攣る感じがして、こんなんじゃ余計に心配を掛けてしまうし、下手したら萎えられてしまう。
「けど……」
「苦しいのは事実、だ、けど、でも、嬉しい、から、へーき」
 また笑うのを失敗して、今度はふへっと妙な音が漏れた。でもその音に釣られたように、相手も少し笑ってくれたから、もういいやと更にふへへと笑いをこぼす。
「俺ん中、お前で、満たされてる、って感じ、する」
「俺は、先輩に体ごと全部包まれてる、って感じっす。なんかこのまま俺の全部を、先輩に飲み込まれそうって気もします」
 繋がってるのはほんの一部なのに不思議だと言うから、お前を全部飲み込んでやりたいこっちの気持ちが、繋がってる部分から流れ込んでんじゃないのと言ってみた。
「先輩って……」
「ん、なに」
 しばし考えるような素振りの後、可愛いですねと何やら色々含ませた様子で笑われてしまったけれど、さっぱり意味がわからない上になんだか逃げられたような気分になって気持ちが揺れる。咄嗟に腕を伸ばせば相手が前傾して身を寄せてくれたので、肩を掴んでさらに引き寄せ、最終的には背を抱くようにしてギュッとしがみついてしまった。
 より深くなった繋がりと、密着した相手の体温とに安堵して、ホッと息をつく。
「せんぱい、好きです」
 甘い声が耳の横で響いて、しがみつく腕に力を込めながら俺もと返す。
「俺も、好き」
「先輩ん中、きもちぃっす」
 甘えを含んだトロリとした淫靡な声とともに、ハァと零れる熱い息が耳にかかって、体だけでなく心までなんだかゾワゾワした。比較的スムーズに繋がれたものの、過去のトラウマから挿入状態が続けられるかの不安はないわけではなかったから、この状態でちゃんと気持ちが良いと感じて貰えて嬉しかった。
「ん、なら、良かった」
「痛くない、なら、少し、動いてみて、いいっすか」
 いいよと返して腕を緩めたけれど、相手の体は離れていかない。それどころか、ぎゅってしたままでいいと言われて、再度相手の背を抱いた。
 本当に小さく、腰を揺する程度に動かれる。そんな小さな振動も、続けばジワジワと体の熱が上がっていく。いつの間にか勃起しきったペニスが相手の腹に擦れるものだから、前後同時の刺激で達することを繰り返した体が、もどかしさでより強い刺激を欲しているのがわかる。
 あっ、アッと零す嬌声の中に、もっと激しくされたい気持ちを素直に混ぜて吐き出せば、わかりましたと頷かれて、探るように少しずつ動きが大きくなった。
 こっちははっきりと、徐々に余裕をなくしていってるのに、相手は未だこちらの体をしっかり気遣えるだけの余裕があるらしい。それが少し悔しくて、ちょっとくらい乱暴でもいいからもっとがっつかれたいな、などと思ってしまう自分は、やはり相当欲深いのかもしれない。
 理性取っ払ってがっついてなんて、その結果どうなるか最悪の事態を考えたら、とても言えるようなことじゃないのに。
「どーしました?」
 なのに、こちらの気配にやたら敏感な相手によって、あっさり気付かれてしまった。ホント、どんだけ見てるの。
 驚きと緊張とが混ざって思わず身を固めれば、相手は動きを止めて少しばかり身を起こす。
「何か、気がかり、ありますか?」
 しっかり顔を覗き込まれて何かを確認されたが、それを聞くということは、気がかりの内容までだだ漏れてはいないらしい。
「なんで、わかる、の」
「さぁ、なんとなく」
「お前ばっかり余裕あって、ズルいって思ってた、だけ」
「余裕なんてないっすよ。いっぱいいっぱい、す」
「でも、俺の変化に気付いてる」
「だってやっぱ怖いんすよ。失敗したくないというか、終わった後、して良かったって思えるようなセックスにしたいというか」
「しなきゃ良かったなんて絶対ならない。もし、いまここで中断することになったって、お前とちゃんと繋がれて良かったって思うよ」
 何言ってんだという気持ちでいささか強い口調になってしまったら、困ったように中断しますかなんて言うから、ますます腹が立ってくる。
「ちっがう。何聞いてたんだよ。もしって言ったろ。細かい気遣い嬉しいけど、お前は俺を気にしすぎ。お前が気持ち良くイッてくれたら俺はそれでいいの。でもお前だけ気持ち良くなるのはお前には無理なんだろうなって思うから、俺も一緒に気持ちよくなりたいけど、俺だって俺だけ気持ちいいのは嫌なの。わかる?」
「俺も、ちゃんと、きもちぃす、よ?」
「でも俺だけアンアン言ってるし、お前、俺が気持ち良くなれるようにって方に必死だもん」
「あー……」
「何、その、あー……って」
「いや、何が引っかかってるかわかったかも、ってだけっす」
 本当にちゃんと気持ち良くなれてますよと繰り返す顔は、なんだか苦笑を噛み殺すみたいな感じだった。

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タチ予定だったのにネコにされた2(終)

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 相手は中のクリームを少しばかりすくい取ると、クリームの乗った指先を強制的に開かれている足の合間へと伸ばしてくる。
「ううっっ」
 指先がアナルに触れた瞬間、ぞわわと鳥肌が立って呻いてしまった。しかしそんなこちらの反応に構うことなく、アナルの中へとクリームを運んでいく指の動きに躊躇いはない。
「おっ、前……どーゆー、つもり、だ」
「どーゆーつもりもなにも、ここまでしといて、お前を抱く以外の何かがあると思ってんの?」
「なんでっ、俺がっ、抱かれる側なんだよっっ」
 もし今後そういう事までするような深い仲になったとして、抱くのと抱かれるのどっち側が希望かという話を振られた時に、絶対に抱く側と主張しておいたのに、あの確認の問いかけはいったい何だったのか。しかもあの時、わかったって返してきただろう。
 そもそも告白したかった相手とでさえ、自分が抱かれる側での妄想なんてしたことがないのに。自分でケツ穴を弄ったこともなく、正真正銘まっさらな処女穴だっつーのに。なんの覚悟もなく、他人の指を突っ込まれて媚薬クリームなんてものを塗りたくられている現実を、そう簡単に受け入れられるはずがない。このままこいつに抱かれるとか冗談じゃない。
「だって抱く側がいいって言いながらも、ずっと手ぇだしてくれなかったから。俺には抱かれたくないってだけで、本当は抱かれる側が良いのかなっていうか、まぁ、考えてみたらそっちのが自然って気もしたし」
「まてっ。待て待て待て」
 必死で待てと繰り返したら、話を聞いてくれる気になったのか、中に埋まった指の動きも止めてくれた。正直ホッとして、小さく安堵の息を吐く。
「反論ある?」
「あるに決まってんだろ。何がそっちのが自然な気がする、だ」
「じゃあもしお前と付き合ってるのがさ、」
 続いた名前に息を呑む。まさか本命の友人の名前が、その口からこぼれ出るとは思わなかった。
「お前が本当に好きなの、あいつでしょ」
「な、んで……」
「本当は誰を好きかなんて、ずっと好きで見てた相手なんだから、わかるに決まってるだろ。というかお前、あんま隠せてなかったから、あいつ含めて皆知ってたよ」
「は? マジか」
「マジで。でもあいつはお前の気持ちには応えられないってはっきり言ってたし、だったら俺が落としてやれって思って、皆に協力頼んだの。お前はまんまと俺たちに乗せられて、あいつに告白したはずが、なぜか俺に告白したことになってた上に俺の恋人にさせられたわけ」
「ひでぇ」
「でも結構前からお前を好きって思ってたのは本当だから。お前が俺を抱けないなら、俺がお前を抱くわ」
「いやいやいや。今ちゃんと勃ってんじゃん。お前が抱かれる側でいいなら抱くから抱かせろ。つか抱かれるとか無理だから」
「そんなに俺に抱かれるのは嫌なの?」
「相手が誰でも抱かれるのは嫌なの」
 そこでもう一度本命友人の名前を出されたが、今度ははっきりと、抱きたい方向で好きだったと言い切ってやった。
「本気で言ってんの?」
「本気ですけど。つかもう今さらだから言うけど、俺が抱きたいのはああいうタイプ」
「マジか」
 本気で相当驚かれたみたいだけれど、気持ちはわからない事もない。だってあいつは俺よりガタイも良くて男臭くて、どう考えても押し倒して喘がせたいってより、お願い抱いてーって方がしっくりくる。反面、目の前の相手は決して男臭いタイプではなく、雰囲気だって男にしては随分と柔らかで優しい。体の線だって随分と細く、女のようだとまでは言わないが、こうやってこちらにのしかかっているような現状には思いっきり違和感があるし、むしろ組み敷かれてアンアン喘いでいる姿のほうがイメージしやすいだろう。
 ただ、一般的にそうだろうという判断はできるけれど、自分の好みが一般的じゃないので、組み敷き喘がせたいのはこいつではなくあいつってだけだ。
「マジで」
 はぁああと大きくため息を吐かれたので、ようやく諦める気にでもなったかと思ったら、埋められていた指がグニグニと中を擦りだすから焦る。
「ちょ、おま、やめろって」
「いやもうどうでもいいわ」
「どうでもよくねーって。ヤダヤダやめろ。俺を抱こうとすんなよ」
 ちゃんと抱いてやるからと言ったら、フンッと鼻で笑われてしまった。
「お前が今勃ってんの、結局はクリームと前立腺刺激のおかげだろ。全く好みじゃない俺を、お情けで抱いてくれる必要なんてないね。それよりこのまま、抱かれたくないって言いながらもきゅんきゅんケツ穴締めまくって喜んでるここ可愛がって、俺に抱かれる気持ちよさを叩き込んでやる方が建設的っぽい」
 優しく愛してあげるから任せてなどという、全く嬉しくない言葉とともにその後も散々嬲られて体はあっさり陥落した。媚薬クリームとか卑怯すぎだろ。くっそ気持ちよかった。
「あいつを抱きたい方向で好きだったってなら、俺がお前を抱きたいと思っても、なんの不思議もないと思うんだよね」
「ソウデスネ」
「怒ってる?」
「イイエ」
「またしていい……よね?」
 する気満々なくせに、こっちの反応を窺うような聞き方はヤメロ。
 ぎろりと睨みながらも黙って頷いてやれば、相手は幸せそうに笑ってみせた。

お題箱から<友人に恋してたタチ側のはずの男が違う男によってネコにされるギャグ話>
ギャグとかどう書いていいかさっぱりわかりません。てわけでこれが限界です。

 
 
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親睦会2

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 意識が浮上した際、聞こえてきたのは同期の友人が嫌だ止めて違うと抗うか細い声と、それを宥めているらしい甘やかな声だった。んっ、だとか、ふっ、だとか漏れ聞こえる息から、泣いているような、それでいてなんだか色っぽい気配を感じて、いったい同期に何が起きているのかと声のする方へ顔を向け、それから重い瞼を薄っすらと押し上げていく。
(えっ?)
 驚きすぎると声は出なくなるものらしい。しかしあまりの衝撃に、酔いも忘れて意識がはっきりし、重かった瞼が嘘みたいに目を大きく見開いてしまった。
 嫌だ止めてと零している同期は、恋する相手に組み敷かれて喘いでいる。違う、そんなつもりじゃない、という言葉の意味を自分は理解しているが、多分同期を組み敷く先輩だってわかっているだろう。年齢よりずっと若く見える可愛い顔は、随分と楽しげに同期を見下ろしている。
 というか、風呂場共同だからって他人が入浴中なら遠慮して時間をずらすし、先輩の裸なんて見たことがなかったけれど、服の下の筋肉が随分とエゲツナイ。その体を知っていたら、果たして同期はその先輩に恋心を抱いたりしただろうか?
 嫌だ止めて違うと繰り返しながらも、同期はもう完全に喘いでしまっているし、彼が想定していた役割が逆ではあるものの、好きになった相手から落とされるキスに嬉しそうな顔を見せてしまっているし、先輩はずっと満足げで楽しげだ。だから二人を止める気にはならなかったし、むしろだんだんそんな二人の情事を、ほぼ不可抗力とは言え覗き見ている気まずさが押し寄せてくる。
 自分が潰れた後何があったか知らないが、いくら潰れたからって人のいる部屋でおっぱじめた向こうも悪い。でもこういうのは途中で気付いてしまっても、目を逸らして気づかぬふりをしてやるもので、向こうがこちらに気づいてなかろうとジロジロ見続けるものじゃない。とは思うのに、目の前で繰り広げられる二人の痴態から目が離せない。
「おい。向こうが気になるのはわかるが、せっかく起きたならそろそろこっちに集中してくれ」
 ふいに落とされた声に、驚きそちらへ顔を向ければ、この親睦会を企画した先輩が自分を見下ろしていた。うっすらと汗の浮かんだ額や上気した頬からはっきり示される興奮の中、射抜くような鋭い瞳が自分を捉えている。
「っえ、なっ、ぅあっっ、ちょっ」
 体を揺すられ反射で声が漏れ、それに伴い感じた自分の体の異変に戸惑い慌てれば、見上げた先の先輩が口角を釣り上げた。
「うそっ、うそっ、やだっ」
 下半身は痺れるみたいにだるくて尻の穴が熱い。
「抜いてっ、嘘、ね、嘘でしょ、やだっ」
「起きた途端、随分騒がしいな」
 ふっ、と笑いを零した後で、近づいてきた顔に口をふさがれた。容赦なく侵入してきた厚い舌が、好き勝手に口内を舐め啜って荒らしていく。
「んっ、んんっ」
 抗議するような唸りも簡単に飲み込まれ、口の中の弱い場所を執拗に擦られてゾクゾクする。快感に震えてしまえば、連動するように尻穴がキュッと締まって、そこに咥えこんでいる先輩のペニスを意識せずにいられない。
 嘘だ嘘だ違う。これは何かの間違いだ。なんていくら頭で否定しようと、自分の置かれた現状が変わるはずもなかった。
「気持ちぃ?」
 キスの合間の問いかけに、けれど頷けるはずがない。
「も、やめっ」
「なんで? 気持ちよさそに見えるけど」
 初めてでも痛くなんてないだろと続いた言葉に、体の熱が上がる気がする。痛くないとか気持ちいいとかそういう問題じゃないし、初めてってわかってて断りなく、しかも意識がない間に突っ込んだって部分を問題視して欲しい。
「そ、ゆー問題、じゃ、ない」
「知ってる。お前、俺のことなんてなんとも思ってないもんな」
「じゃ、なん、っで」
「んー、お前男同士あんま抵抗ないみたいだから、強引に押したら落ちるかもと思って?」
 抵抗なく見えるのは同期が男の先輩に恋しようと自分は無関係と思っているからだし、そもそもこれは強引に押したら落ちるとかいうレベルを超えている気がする。
「でもこれレイプ、っすよ、ね」
 そうだなとあっさり肯定が返るとは思っていなかったが、だからこそ、わかったらもうヤメロが通じる相手ではないと思い知らされる。
 その後は話は終わりとばかりにキスが再開されてしまったが、そのキスが終わる頃にはあちこちメロメロにされていて、ケツ穴を擦られながらいつの間にか勃起していたペニスを握って扱かれるまま気持ちよくイッてしまって呆然となった。その頃にはすぐ傍らで同じように致していた二人も終えていたようで、同僚がやはり呆然とした顔でこちらを見ていたから、なんだか酷く恥ずかしい。
 同僚があっさり先輩に押し倒されていた件も含め、なにもかもが想定外のメチャクチャな夜だった。

続きました→

 
 
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