弟に欲情されています3

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 親の出かけた週末、指でたっぷりと慣らされた後で弟のペニスがゆっくりと挿入されていく。
 先日の宣言通り、今日は最後まで抱かれるつもで始めているので、たっぷり慣らされたとはいえイキたくて仕方がないというほどまで高められていないし、期待も不安も緊張も色々入り混じってグチャグチャだ。
「ぁ、あぁっ、あああ」
 さして痛みはないが圧迫感は指の非じゃない。閉じていられない口からは、どうしようもなく音の乗った息が漏れていく。まるで下から押し入られた分、上から吐き出されていくみたいだった。
「痛くない?」
「ん、ぅん、ぁあっ」
 背中に掛かる心配げな声に必死で大丈夫と頷けば、グッと押し入られて一段と圧迫感が増した代わりに、尻たぶに弟の腰が密着したのがわかる。どうやらこれで、根本までズッポリ入ったらしい。
「はぁぁ〜……」
 安堵と恍惚の混じったような吐息が背中に落ちた。
「すっげ、気持ちぃんだけど」
 こちらの体を気遣ってかいきなりガツガツ腰を振ったりはされていないが、我慢できないとでも言うように小刻みに腰が揺れている。小さな振動ではあるものの、やはりまだ慣れないせいか、普段指では届かないような奥の方をかき回されているみたいで、お腹の中がなんとも変な感じだった。
「兄貴は?」
 気持ちいい? という言葉は続かなかったが、キモチイイと返るのを期待する声なのはわかる。
「わ、っかん、ない」
 でも残念。さすがにうっとりキモチィなんて返せる状況にない。それどころか、わからないと口にだすのすら一苦労だった。
「マジか。痛みは?」
「それ、は、へーき」
「萎えちゃった?」
 返事を待つつもりなんてなさそうで、言いながら既に腰の脇から回ってきた手が股間をわしづかむ。
「はぁあんっ、ちょっ、やぁ」
 挿入の緊張と衝撃で少々萎えてしまっていたペニスは、弟の手にやわやわと揉まれて扱かれ、あっさり元の硬さを取り戻したようだった。
「硬くなってきた」
 嬉しそうな声に、当たり前だと返す余裕がない。後ろに嵌ったものが少し大きめに抜かれて、再度グッと押し込まれたせいだ。
「んぁああっっ」
「ごめっ、も、我慢できねぇ」
 急に激しく揺さぶられて、前を握る手にも力が篭って、突然襲った前後同時の強い刺激に目の前に星がチラついた。ただ、それはほんの短な時間で、あっと言う間に弟は動きを止めた。
 直前弟が小さく息を詰めたのと、体の中で脈打つ弟のペニスから、どうやら達したらしいと思う。
「イッ……た?」
「あー……うん、ゴメン」
 気持ちよすぎたと言いながら、弟がズルリと抜け出ていく。決して気持ちが良い思いをしていたわけではないのに、喪失感が酷くてなんだか戸惑ってしまう。
 四つ這いになっていた体を起こして、ぺたりとベッドの上に座り込んだまま、ぼんやりとコンドームを処理している弟を眺めていたら、それに気づいた弟が困った様子で苦笑した。
「先に一発抜いとけばよかった。早漏すぎてガッカリした?」
「そ、……んなことは、思って、ない、けど」
「めっちゃ物足りないって顔してるけど」
「ばっ、ちょ、なっ、言って」
 確かにこの喪失感は物足りないってことなのかもしれないけれど、そんな指摘は恥ずかしすぎる。
「図星。ま、こんな持たないとか思ってなかったし、俺もショックと言えばショックなんだけど、そこはほら、若さで挽回するからさ」
 そう言って新しいコンドームのパッケージを箱から取り出し封を切った。このコンドームは弟の所持品でポリウレタン製だ。
 こちらも一応色々調べて、こっそりローションとゴムを用意していたのだけれど、普段慣らすのに使っているのはワセリンなんだからそっち使おうよという弟の意見により、それらの出番はなくなった。
 思わず視線を投げてしまった弟の股間は、確かに一度出したと思えないほど、未だ大きさも硬度も保っている。
「準備できた。ってわけで、いい?」
 頷いて先ほどと同じように四つ這いになろうとしたら、寄ってきた弟に仰向けに押し倒されてしまった。
「次は顔見て繋がりたい。痛かったり苦しかったら諦めるけど、でもなんか大丈夫そうじゃない? どう? ダメ?」
 ダメと返らないのをわかった顔をしているから、少しだけ悔しいような気もしたけれど、そんな悔しさよりも、正常位でしてみたい好奇心混じりの欲求のほうがはるかに勝る。
 ダメじゃないと言えば、嬉しそうな笑顔とともに、足を左右に大きく開かれた。

続きました→

 
 
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別れた男の弟が気になって仕方がない14

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 早く抱いてと返された答えに、小さく息を吐きだした。そう言うだろうと思っていた。
 わかったと返して、ベッド脇に置いてあるサイドテーブの引き出しを開ける。中から取り出したのはアイマスクだ。
 涙を隠すように、さきほどからずっと彼の片腕が目元に乗せられたままだった。
「目は閉じたままでいいから、ちょっと一回腕どけて」
 一瞬の躊躇いの後、それでも素直に腕が外されるのを待って、アイマスクを着けてやる。
「えっ?」
 突然目元を覆った感触に、驚き戸惑うのは当然だろう。
「ただの安眠用アイマスク。これで腕で隠してなくても、俺にお前の泣き顔は見えないし、お前も俺を見なくて済むから、四つ這いにだってなれるよな」
 四つ這いにという単語に納得した様子で、相手は一つ頷いた後で寝返りをうち、促した通りの格好を取った。
「うん、いい子。初めてはこっちのが入れやすいし、キツくても向き合って正常位で抱かれたいなんて可愛いこと、お前は言ってくれそうにないもんな」
 言いながら素早く自身のペニスにコンドームを装着し、尖端をアナルにピタリと押し付けてやる。ピクリと体を震わせた相手は、息を潜めてその続きを待っている。
「十分慣らしてるから、そこまで痛くはないと思うけど、痛かったら我慢してないで痛いって言えよ」
 相手が頷くのを待ってゆっくりと腰を押し進めれば、慣らして拡げたその場所は、柔からに開いて尖端を飲み込んでいった。
「ぁあ、ああぁぁっっ」
「そう。そのまま口開けて、息は出してると楽だよ」
 浅い場所が一番感じるようだから、抵抗があるようならそこをたっぷり擦ってやろうと思っていたのだが、大丈夫そうだったのでそのままゆっくりと指では届かなかった深くまで掘り進む。痛みを訴えたらすぐにでもそれ以上の侵入は止めるつもりだった。けれど、苦しげな声を上げはしても痛いとは言わなかったし、もちろん最初に設定したストップワードもない。
「全部、入ったよ」
 相手の尻タブに自分の腰を押し付けた。相手は荒い息を吐きながら、わかっていると言いたげに何度も頷いている。しゃくりあげる余裕もなさそうなその息遣いからは、泣いているかまではわからなかった。
「さすがに全部は苦しいね。初めてのお前相手に、こんな奥の方まで突き荒らす気はないから安心していいよ」
「待っ、て」
 ゆっくりと腰を引いていけば、苦しげな息の中でそれを止める声がする。
「どうしたの?」
「平気、です」
「なに? もしかして、奥までガンガン突き上げられてみたいとか、そういう話?」
 そうだと言うように頷くから、でも気持ちよくはなれないよと忠告混じりに苦笑した。
「いい、です」
「俺があんまり良くないんだけど。それともレイプ願望無いって思ってたのが勘違いで、本当は酷くされたいの?」
 聞けば長いこと逡巡した後で、はいと肯定を返してくる。本当に困ったバカな子だ。その逡巡が、既に否定を示しているのに。
「でもお前、さっさと終わって欲しいんだよな? 俺に奥まで犯せってなら、さっさと終わるのは無理だよ?」
 痛い痛いと泣かれたらこちらが精神的に萎えてしまうのは目に見えているから、どうしても奥を突いて欲しいと言うなら、それなりに奥を馴染ませ慣らして拡げる必要がある。さっき指が届く範囲を散々慣らして拡げたが、指ではなくペニスを使って同じ要領で慣らしていく。
「それにきっとまたいっぱい泣くよ?」
 お前に泣かれるのは辛いよとまでは言えなかった。嫌がられても、たとえ暴れられても、最後まで抱ききってやるという前提で始めた行為で、泣かれることだって十分想定内だ。こちらが辛いから泣くのを我慢しろなんて、言えるわけがない。
「それでも奥まで使って欲しいの?」
 聞けば頷かれて、諦めに似たため息がこぼれ落ちる。怯えたように身を竦ませてしまうから、別に怒っているわけではないと、掴んだままだった腰を宥めるように優しく撫でた。
「じゃあお願いして。奥まで使ってってはっきり言えたら、してあげる」
「…………奥まで、使って」
 覚悟を見せてと言うつもりで告げれば、暫く待たされた後、躊躇いがちに、それでもはっきりとした声が聞こえてくる。
「良く言えました。じゃあ、奥も慣らして拡げていくよ」
 言いながら、さきほど引き抜いた分をもう一度奥まで押し込んだ。

続きました→

 
 
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親友の兄貴がヤバイ19(終)

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 わかってるよと返る相手の口調もいささか強いが、憤りというよりはもどかしくて仕方がないと言いたげだ。
「知ってるし、分かってるし、でもまだ傷ついてないし、多分この後も傷ついたりしない」
 強い口調のままそう吐き出した相手は、それから柔らかな声で、ねぇ、と続ける。
「これ以上、焦らす気ないって、言ってたろ?」
「焦らしてるわけじゃ……」
「お前は俺に優しくしてくれてるだけってわかってるけど、でもそれ、めちゃくちゃ焦らされんだってば。俺だって早く見たいんだよ?」
 腰を掴んだ手に相手の手が添えられたかと思うと、腰を掴む手を剥がしにかかられる。口調は柔らかだったのに、手に掛かる力は強かった。そして拘束が緩めばまた腰を揺すってくる。
「ぁあっ、ちょ、……見たいって、何、をですかっ」
 抱きつく腕のなくなった上体を起こし、揺れる腰を再度強く掴んだ。強く掴みすぎたのか、一瞬相手の顔が苦痛に歪んだ気がして、慌てて力を緩めたけれど、相手も諦めたのか再度手を剥がしに掛かることも、腰を揺すってくることもなかった。
「っそんなの、お前のヤラシイ顔、にっ、決まってる。俺に突っ込んで、気持ち良くなってイッちゃうとこ、見せてよ」
 お前ばっかり俺を二度もイかせてズルいと拗ねた口調で言われたけれど、その二回とも、相手のイキ顔なんて見ていない。まぁ、そういう話ではないって事はわかっているけれど。
「あーもう、目一杯優しくしたいこっちの気持ち折るようにそーやって煽るの、本当、酷いですよっ」
「だってもう目一杯、優しくされたもん」
「もん、とかクソ可愛いのどうにかしろ。じゃあもう、お望み通りがっついてあげますよ」
 こっちの顔見る余裕があったらいいですねと言いながら、素早く腰を引いて強く打ち付ける。
「ぅあっ!!」
 そのまま自分の快楽だけを追って腰を振り立てれば、ひっきりなしに高い声が上がった。
「あっ、ぁあ、ぁああっっ」
 声も、僅かな明かりの中に浮かぶ表情も、どちらもかなり苦しそうだけれど、こちらももう止まれない。
「も、イキます、よ」
 告げれば、辛そうに眉間を寄せてこちらを必死に見つめていた相手の顔が、一瞬柔らかにほころんだ。この状況で、そんな嬉しそうに微笑まれたら堪らない。
「ヤバすぎ」
 思わず零した呟きと共に、相手の中に思いの丈をぶちまける。正確には、さきほど装着したゴムの中だけど。
 吐き出してスッキリしてしまうと、次にやってくるのはなんとも中途半端な後悔だった。
 煽ってきたのは相手で、多分相手の望むままに振る舞ったはずで、でも本当はもっと優しくしたかった。性急に自分の快楽だけ貪るような真似はしたくなかった。いきなりでは難しいかもしれないが、相手のキモチイイだって探りたかった。さっき確かめた前立腺だって、優しく突いて擦ってしてみたかった。
 そんな気持ちがグルグルして、吐精した余韻に浸るどころか固まって動けなくなっていたら、相手が動いて力をなくしたペニスがズルリと相手の中から吐き出されてくる。確かに繋がっていたものが切られたような気がして寂しい。
「おーい」
 掛けられた声にハッとして相手を見れば、嬉しくて仕方がないという気持ちに苦笑を上乗せしたみたいな顔をしていた。その顔がぐっと近づいてきて、ギュウギュウに抱きしめられたかと思うと、わしゃわしゃと頭を撫でられる。
「わがままきいてくれて、ちゃんとがっついてくれて、ありがとな」
 きっとその言葉に嘘はない。本心なのだというのはわかるが、でも納得はできそうになかった。
「本当に、あんなのが、良かったんですか?」
「うん」
「全く気持ちよさそうじゃなかったですけど。というか、辛かった、ですよね?」
「まぁ体は初めてなんだから仕方ないよな。でも痛いのは殆どなかったし」
「やり方次第で、もうちょっと、貴方も気持ちよくなれたと思うんですけど」
「それはゴメン。次は俺も、お前だけ気持ちよくなってなんて言わないから、一緒に気持ちよくして?」
 次という言葉に、ああ、次もあるのだと思って少しだけ気持ちが浮上する。
「次、あるんですね」
「俺より若いんだから、そんな体力ないとか言わないだろ? ああ、もしかして一回だけで終わるつもりだったから、あんな必死に堪えて頑張ってたの?」
「え、次って、まさか今日の話ですか?」
「そうだけど。というか、お前の言う次って、またお泊りデートがあるかどうかって話なの?  お前の受験終わったらデートもセックスもいっぱいする気でいるんだけど、そんなつもりないとか言うなよ?」
 言いませんよと答えながら、抱きつく体を抱きしめ返した。
「でもなんか、抱かれる側の貴方が、セックスにこんな積極的なのめちゃくちゃ想定外だったんで、イマイチ信じられないと言うか」
「ああ、うん。それは確かに。俺も自分が抱かれる側で、こんなにお前欲しくなるって思わなかった」
 こんなイヤラシイ体にしたのお前だからね? 責任取ってね? と続いた言葉に、即座にもちろんですと返せば腕の中の体が楽しげに小さく揺れる。
「じゃ、も少し休憩したら、今度は二人一緒に気持ちよくなれるセックスな」
 その言葉通り、二回目は体を繋げてからの時間を大事にするようなセックスをした。お互い相手の快楽を煽りまくるようなことはせず、同時に果てられるようにと、快感の波を合わせていく作業はひたすら幸せだった。
 しかも更にその後、相手の手で、結局自分も三回目をイかされることになった。
 十分満足した後だったので全く必要ないのだが、彼によって植え付けられた過去のトラウマを、彼自身が随分と気にしているらしいのを知ってしまって拒否できなかったからだ。
 彼の手に反応するペニスを包み込んで扱きながら、二度もイッた後なのにすぐにこんなに硬くして淫乱でイヤラシイ体だと笑う顔は、あの日の蔑むような冷たいものとは全く違う。
 愛しくて仕方がないと言いたげな優しい顔だ。
「俺が何度だってこんなになるのは、弄ってくれるのが貴方の手だからですよ。俺を、淫乱でイヤラシイ体にしてるのは、今も昔も、貴方なんですからね?」
「そうだよ。だから、ちゃんと責任取らせてね?」
 ふふっと笑った顔がスススッと降りていって、まさかと思ううちにパクリとその口に咥えられてしまう。
 口内の温かさと、ぬめる気持ちよさと、くちゅくちゅと小さく響く卑猥な音。そしてなにより、若干潔癖気味な彼が口を使って愛してくれているという事実に。三度目だというのにあっと言う間に昇り詰める。
 なお、さすがに飲むのは無理だと判断した相手が咄嗟に顔を離したものだから、初お泊りデートの締めくくりに、意図せずして顔射を決めるというオマケが付いた。

<終>

ダラダラセックスにお付き合いありがとうございました。書いててとても楽しかったです!
予定していたオマケ話も無事書き上がりました〜
オマケを読む→

 
 
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親友の兄貴がヤバイ18

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 晒されたアナルへペニスの尖端を押し当て、ゆっくりと体重をかけていく。視線はどうしたってその場所へ注いでしまうが、そんな自分に相手の視線が注がれているのは気配でわかる。
「んっ……」
「うぁ……」
 押し込む力に従いじわりと広がっていたアナルに、とうとう亀頭の張り出した傘部分がズリと入り込めば、息を詰めるような声が耳に届いた。同時に自分も、亀頭を包み込むキツい締め付けに吐息を零す。
「はい、った」
 安堵するような相手の言葉に疑問符はない。
「まださきっぽだけですよ」
「うん」
 はにかみながらの短い肯定は、どことなく嬉しげだ。しかもまた、なんだか幼く見えて随分と可愛らしい。
 そう思ったら、下半身が正直に反応した。
「ふはっ」
「うっ……」
 驚きと笑いとが混ざったような息を零した相手が、キュッとその場所を締め付けてくるものだから、こちらも堪らず呻いてしまう。
「早く奥まで入れたいんだろ? 我慢してないで入っておいで」
 苦笑混じりの甘い誘いに、大きくしたのは早く突っ込みたくて焦れたからではないのだと、そんな訂正はしなかった。代わりに、痛みはないかと確かめる。
「うん、まぁ、なんとか大丈夫っぽい、かな。だからいいよ」
 もう一度おいでと誘われて、またゆっくりと腰を押し付けていく。既に一番太い部分を抜けているので、それは加えた力のままヌプヌプとアナルの奥へ沈んていった。
 だから力任せに押し込んでしまわないよう気をつけながら、少しずつ馴染ませるように奥へと進んでいく。痛いのを嫌がって自分で慣らすような真似をした恋人に、なるべく痛みを与えず繋がりたかった。
「は、……ぁ……ぁあ……」
 それでも押し入るごとに、細い息が漏れ聞こえる。感じているのがわかるような色のあるものではないが、取り敢えずは辛さを訴えるような苦しみの乗った声でもなさそうだ。
「くっ……んん……」
 意識的にか無意識にかわからないが、キュウキュウと締め付け蠢く内部に、こちらも時折動きを止めて漏れかける息を噛み殺した。
 薄い膜越しにもわかる、彼の内側の熱。繋がる場所から流れ込んで、自身の体温も確実に上昇している。のぼせそうだと思った。
「全部、入り、ました、よ」
 相手の臀部に自分の腰が密着する頃には、随分と息も上がっていた。
 ホッとしつつ窺い見た相手も、上気させたほの赤い頬と潤んだ瞳でこちらを見返していたが、その表情は色々なものが入り混じった様子でなんとも微妙だ。
「大丈夫、ですか?」
「ん……」
 問えば小さく頷いて、少しの逡巡の後、両腕を広げるようにしながら伸ばしてくる。来てという声はなかったが、多分そういう意味なのだろうと思って、なんだろうと思いながらも上体を相手に寄せた。
「えっ、ちょっ……」
 待てないとばかりに肩を掴まれたかと思うと、思いの外強い力で引き寄せられて抱きしめられる。
「お前……おまえ、さ……」
 耳の横で吐き出される、感極まって切羽詰まった様子の声は、少しだけ涙声だ。正直意味がわからない。
「はい」
 それでも聞いてます、聞こえてますという意味と、先を促すつもりで短く言葉を返した。
「好きだ」
「えっ?」
「好きだよ。お前が好きだ」
「俺も、好きです」
 意味のわからなさは益々加速した感じがするが、それでも応じるように好きだと返す。しかしそれは、益々相手の涙を誘ったらしい。
「うん。わかる」
「あの、なんで泣いてるんですか? 痛いとかじゃない、ですよね?」
「ん、痛く、ない」
「じゃあ、なんで……」
「お前が、俺を好きだから」
「は?」
「本当に、俺を大事に抱いてくれてるの、わかるから。お前が苦しそうに、我慢しながら、俺を気遣ってゆっくり入ってくれたのが、なんかもう、たまんない」
 もっとがっつけよ、なんて泣き声で言われても苦笑するしか無い。
「凄い煽ってきますけど、がっついて痛いって泣かれたら、それこそトラウマになりそうなんで」
「お前はもっと下半身に正直でいいと思う」
 繋がっている場所から、相手にもこちらの状態は筒抜けらしい。こちらの締め付けが強くなったと感じるのと同じように、相手も煽られたこちらがまた大きくしたのを、その体で感じているんだろう。
「ちょ、っと、……腰、揺すんないでっ」
 だからって、これは些か煽り過ぎじゃないかと思う。
 抱かれるの初めてのくせに、自分で腰揺すっておねだりとか、随分と淫乱なんじゃないですか?
 そう言ってやりたい気持ちをグッと飲み下す。この人に淫乱な体だと言われて傷ついた過去は確かにあるが、それをここで持ち出してやり返すのはあまりに子供じみている。
 しかもきっとこの人は、淫乱だと罵られることよりも、やり返されたことに傷つくのだ。
「傷つけたく、ないんですってば」
 相手の腰をガッチリ掴んで動かせないようにして、憤りごと吐き出した。

続きました→

 
 
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雷が怖いので22

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 約束通りちゃんと気持ち良くしてやるし、ここまで良い子で待てたご褒美にうんと甘やかしてやろうなと言って、彼がベッドへと乗り上げてくる。覆いかぶさるようにして近づいてきた顔は、良く見るニヤリとした笑顔ではなく、柔らかに笑んだものだった。
 見惚れていたら唇が触れる間際にクスリと笑われて、ドキドキはどんどんと加速していく。さすがに期待が膨らんで、だから胸の奥に感じるかすかな痛みは無視をした。
 うんと甘やかすの宣言通り、愛しむように肌へと触れてくる唇や指先。お尻以外はそこまで開発されていないはずなのに、どこを触られてもビリビリと強い快感が走ってしまうのは、好きな人に優しく触れてもらえる喜びからなのだろうか。それともやはりこの人が、こういった行為に長けていて上手いのか。玄関先でへたり込むほど玩具で焦らされたのだから、体は興奮しきっているはずで、結局はそのせいだったりするのだろうか。
 ついそんな事を考えてしまうけれど、でも余計な事は考えたらダメだ。
 目の前の男が好きなのだという気持ちと向き合ったら泣いてしまうので、なるべく頭の中を空っぽにする。気持ちが良いということにだけ集中して、相手に体ごと全部預けてしまうことに慣れている。
「ふ、…っぁ、……ぁっ、だ、…め、イっ…ちゃう」
「そうだな。ナカもとろっとろで、イかせてって必死に絡みついてきてる」
 お尻に入れていた玩具の代わりに、彼の指が入ってくると、さすがにもう耐えきれない。気持ちが良い場所をもっと弄って擦って欲しくて、はしたなく腰が揺れてしまう。
「ん、んっ、イかせて、お願い、も、イかせて」
「可愛くおねだり出来たらな。今回はちゃんと応えてやるから、言ってみな?」
 なにをと聞こうとして、けれど問う前に気づいてしまった。
「ち、ちんちん、入れ、て」
「それだけ?」
「ちんちんズポズポして、おしり、きもちく、して。おれに、あなたを刻んで、教えて。お願いだから、おれを、抱いて」
 思いつくまま重ねる言葉は震えていたかも知れない。でも思い浮かんでも、言えない言葉もあった。だって、彼のものになるというのが奴隷やペットになることを指すのなら、あなたのもにしてとは言えるわけがない。
「よく言えました。じゃあ、俺のちんちんでいっぱい気持ちよくイこうか」
 ちんちんって可愛らしさはないけどなと言って、くつろげたスラックスから勃起したペニスを取り出した。初めて見た彼のペニスは確かに大きい。しかしじっくり観察する余裕などくれるはずもなく、それはすぐにアナルに押し当てられてしまう。
「入れるぞ」
 頷けばアナルを広げて熱い塊がミシミシと押し入ってきた。大きくて苦しいとは思うのに、それ以上に、焦らされすぎた体が待ち望んでいた刺激で快感の波が押し寄せる。
「んああああああっっ」
 頭の中が真っ白になって焼き切れるような気がした。ジンワリとした痺れが身体中を駆け巡ったままピリピリと痺れ続けている。
「あ、ああ……あぁ……」
 頬を軽くペシペシと、撫でるに近い感覚で叩かれて、霞んでいた視界が開けてくる。同時に聞こえてきたハァハァと荒い息遣いが、自分の発するものであることも自覚した。
「お前、想像以上だよ」
「んんっ」
 柔らかに唇を食まれるようなキスと、お尻の中の圧迫が増したのとで、痺れが増して甘く鼻を鳴らしてしまう。キスはすぐに終わったけれど、顔は近いままで、相手は苦笑に喜びを混ぜ込んだ表情をしていた。
「ど、ゆ…、いみ」
「さすがに入れただけでイくとは思ってなかったって話」
 それはこっちも同じだ。しかも玩具でいかされるのより、ずっとずっと気持ちよく激しくイった。でもそれは仕方ないだろうとも思う。だって、ずっとずっと、この日を待っていたのだから。
「だ、って……」
「ずっと待ってたんだもんな」
 はっきりと指摘されて、恥ずかしい上に胸が苦しい。
 なんでこんなにも抱かれたいのか、だってこの人は本当のことを知らない。好きだから抱かれたくて、好きだから嬉しくて、好きだからこんなにも気持ちが良いのだと、そう思ってしまう気持ちを知らない。
 好きという気持ちがなくても、もしかしたら同じように気持ちよくイかされてしまうのかもしれないけれど。それくらい、この人はエッチなことが上手くて、体は慣らされたし開発されてもいるけれど。でも、気持ちがない状態との比較なんて、出来ないのだから仕方がない。
 好きだなんて気持ちを意識したくないのに、体の中に感じる彼の熱があまりに嬉しすぎて、好きだという気持ちが胸の中にあふれてくる。
 ああ、どうしよう。このまま抱かれ続けたら、どうなってしまうんだろう。
「大丈夫か?」
 こちらの不安や戸惑いはやはりすぐに伝わるらしい。けれど、どう伝えていいかわからないどころか、これは伝える気のない想いが原因だ。そして、たとえどうなったとしても、自分からもう止めてなんていう気はなかった。

続きました→

 
 
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解禁日 6(終)

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 もちろんセックスはしたい。続きしたいと返せば、相手はホッとしたように笑いながも、少しだけ拗ねたみたいに唇を突き出してみせる。
「あんま焦らすなよ。さっさと抱いて、セックスしたってお前は俺をもっと好きになるだけだって、俺に証明して。安心させて。それに俺も、お前をもっと好きになる予定なんだからさ。お前だって早くそうなって欲しくない?」
「何それ。お前めちゃくちゃ可愛い事言ってる自覚ある?」
 素なの? わざとなの? と思いながら思わず聞いてしまったら、相手の顔が赤く染まって、自覚あるに決まってると返された。
「ってか煽ってんだよ」
 バカと零す唇を塞ぎに行く。キスを繰り返す合間に好きだよと告げれば、告げた数だけ、相手もキスの合間を縫って好きだと返してくる。
 再度押し倒して、抜いてしまった指をもう一度窄まりへ埋めていけば、触れた唇に甘い吐息が吹きかかった。
 準備の進んだその場所は、ちょっと話していた程度で固く閉じてしまうことはない。だから指で弄るのは確認程度で済ませて、ずっと勃起しっぱなしの自身のペニスを取り出した。
 自分の体に対しては脳内シミュレーションではなく実地で経験が積めたので、躊躇いない手つきでゴムを被せていく。
「もしかして、練習した?」
 女の恋人が居た事もないわけではないが、セックスまでは至らなかった童貞だということも知られている。さっき、元々男が好きなわけじゃないだろとか、彼以外の男に欲情したりしないだろと指摘されたのも、こういった過去の交際に関してを、なんだかんだほぼ全て知られているからだ。
「当たり前」
「ゴム一つスムーズに付けれないとか恥ずかしいって?」
「そうそう。童貞丸出しってね。ていうか、俺が童貞だからってのも、お前が自分で勝手に慣らしちゃった理由になってる?」
「そりゃあそれも理由の一つにはなるけど、でも、お前が童貞で良かったって気持ちはかなりでかいよ」
「え、そうなの?」
 童貞相手に処女(しかもアナルの)喪失なんてむしろ不安じゃないのと思って居たから、良かったなどと言われたのは意外だった。
「いやだって、女の体と比較されないって、それだけでかなり安心できるよ? やってみたらやっぱ男の体より女のが断然いいや、なんて事になったら引きとめようがない。お前が基本的には異性愛者だってわかってるから、尚更、お前が女の体知る前で本当良かった」
 ふふっと笑う顔は可愛いのに、やっぱりまだまだ相手の中に、あれこれ不安が詰まっているんだなと思わされる。でもその不安は口であれこれ言うよりも、さっき彼が言っていたように、さっさと抱いてもっと好きになったと証明してやる方がいいんだろう。
「あーじゃあ、俺、童貞大事にしといて本当良かったわー」
 にっこり笑って、お前のために童貞とっといたと嘯いてやれば、相手は素直に俺にとっといてくれてありがとうと返してきた。本当、クソ可愛い!
「でさ、脳内シミュレーション完璧だけど、まぁそういうわけで童貞なんで、下手だったらゴメンね?」
 言いながら開かせた足の間に置いた身を進めて、慣らした場所へペニスの先端を押し当てる。
「そんなの、お互い様だろ。俺なんかお前が何もかも初めてなんだから、お前が下手でも分かんないし、俺が下手で気持よくなれないという可能性だってある」
「確かにそうなんだけど、なんつーか、お前のそういうとこ、本当、好きだわ」
 頑張って一緒に気持ちくなろーなと続けながら、少しずつ体重をかけていく。頷きかけた相手の口から押し出されてくる声は、快楽と苦痛が半々くらいで、けれど辛いかという問いかけには必死で首を横に振る。中途半端に止めている方が辛そうだと、取り敢えず全て埋めてから一息ついた。
「全部、入った」
「ん、お前の、熱い……」
「俺も、お前の中、熱いよ。気持ちぃ」
「なら、良かった」
「お前は? って言っても、さすがにキモチクはないよな」
 辛くない? と聞いたら、少し躊躇った後で、照れくさそうに幸せって感じと返され胸の奥がキュッとなる。
 可愛くて、愛しくて、なんて幸せなんだろうと思った。
「俺も、幸せ」
 伝えれば嬉しそうにはにかんでくれるから、幸せがますます膨らんでいく。

<終>

 
 
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