竜人はご飯だったはずなのに18

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 毎日それなりに忙しくしていても、たまに一日まるまるオフだという日がある。そんな日は当然、昼間から目一杯キモチガイイ行為に耽る。
 食事のセックスは夜から朝にかけてだったけれど、彼の寝室がこの部屋になってからは、夜遅くに行為をねだることはしなくなった。早く戻れた日に少しと、オフな日にたっぷりと。それでだいたい満足できる。
 長時間触れ合うときは、だいたい最初は人型だ。加減は覚えてもらったから、元の姿だってそうそう傷つくことはないのだけれど、こちらが竜人の姿で触れられるのを好むように、相手が人型で触れ合うのが好きだと言うので、相手がある程度満足行くまでは人の彼に触れられる。
 鋭い爪を持つ竜人の指をアナルに突っ込むなんて真似はさすがに出来ないが、人の指なら尻穴の中を色々イジれる、というのが相手にとってかなりポイントが高らしい。
 尻穴に味覚はないものの、やっぱり唾液を送り込まれる方が体が喜ぶのがわかるし、どうしたって指より舌で舐めて貰うほうが好きだけど、唾液という圧倒的な快楽物質なしに指だけでイカされるのも悪くはない。これは食事ではないと思い知るような、純粋な快感が嬉しい。互いに性器が勃たない状態での触れ合いだけれど、肌を触れ合わせて想いを通わせ気持ちよくなるこの行為は、間違いなくセックスだろと思う。
 それと最近は、人型の間に立場を変えて、相手のアナルを弄ってみたりもしている。指で弄られるだけで気持ちよくなれるのだから、もしかしたら、相手だって中を弄られる快感で絶頂を極められるようになるかもしれない。
 まぁ、魔法で人型になるというのが、どこまで同じになれるものなのかはわからないけれど。
 ただ、自分の体で気持ちが良いと感じることを、相手の体にも試しているうちに、少しずつ相手の体も変化しているようだった。しかもその変化はどちらかというと、竜人の姿のほうが顕著だった。
 人型のアナルは深く弄ってもなんとなく気持ちがいい程度らしいのに、竜人のスリットは随分と敏感になってしまって、指を突っ込んでかき回しても、舌を突っ込んで舐め回しても、感じ入って甘い吐息を零す。かといって湧き始めた快楽に身を委ねきることは出来ないようで、戸惑いの滲む恥ずかしげな様子がたまらなく自分の中に残る雄の部分を刺激する。
 彼を絶頂に連れていきたい。もっともっと気持ちよくさせたい。そして今後もし勃起機能が回復するなら、その時はこのスリットにペニスを差し込み、何度も突き入れかき回してやりたい。
 そんな欲求を漏らせば、相手はあっさり、当然そのつもりでいると返してきたから驚いた。でも言われてみれば納得する部分も多い。
 こちらはスライムに嬲られまくって体の機能を変えられているし、初めて彼に抱かれたときはとにかく飢えきって死を待つような状態だったから、男に抱かれるという行為を否応なく受け入れてきてしまった。けれど彼は違う。抵抗感がかなり強そうなのに、それでも拒むこと無く触れさせてくれるのが嬉しくて、でもなぜ許すのかはなんとなく聞けずにいた。
 だって仕事として仕方がなく受け入れてくれているだけだって知ってしまったら、やっぱりそれなりにショックを受けるだろうなって、わかっていたからだ。
「もしかして、いつか勃起した時には相手しろって、言われてたりする?」
 だから嫌々でも受け入れて弄らせてくれるのか、とまではやっぱり聞けない。
「強制はされていない。拒否権はある。ただ、現段階でお前に誰かを抱きたい衝動が起きた場合、相手は私かあの子の二択しかないからな」
「つまり、アイツにそんな相手を務めさせるのは可哀想、みたいな理由で、お前が抱かれる気でいる?」
「まさか。彼にだって拒否権はある。あの子は確かに初心だけれど、芯はしっかりしてるから、彼の意に沿わなければ応じないよ。まぁお前が本気で頼み込んだら、頷くとは思うがな」
 好きな相手の発情を受け止めるのは喜ばしいことだからと続いた言葉に、そういや似たようなことを聞いたことがあるなと思った。

続きました→

 
 
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竜人はご飯だったはずなのに17

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 結果から言うと、プロポーズ云々はひとまず棚上げされてしまったものの、彼の寝室がこの部屋になった。つまり、一日の終りに彼は毎回この部屋を訪れ、同じベッドに入って眠っていくわけだ。
 それなりに忙しいのか、カーテンが閉められて随分経過してから戻ってくることも多かったし、何の連絡もなく一晩中姿を見せない日もなくはない。でもそういう時は謝ってくれるし、お詫びの名のもとに甘やかして構ってくれるから正直どうでもいい。というか、ほぼ毎日会えるってことが以前の生活と違いすぎて、たまに会えない日があるのなんてホントどうでもいい。
 もちろん、世話係の彼も相変わらずこの部屋には出入りしていて、朝と夜にカーテンの開閉と共に食事の液体を運んでくるし、日中のほとんどを彼と過ごす。口直しのキスは貰わなくなったし、誘惑しまくることもなくなったけれど、そんな自分の変化を、食事担当の彼と上手くいっているからだと言う理由で喜んでくれている。
 ただ、食事としてのセックスは、あれ以来一度もしていない。生きるためのエネルギーは朝晩の液体で補えたし、味の改良は着々と進んでいるし、口直しとしてではないキスをたくさん食事担当の彼が与えてくれるから、体の奥が疼きまくって精液を搾り取りたいって欲求が湧かなくなった。精神的な満足というのはやはり大事らしい。
 強い薬で体を発情させなければならないと知ってしまったし、そんな負担をかけてまでセックスで食事をする必要なんてない。というのも、大きな理由の一つだ。
 もの凄く正直に言ってしまえば、大きなペニスで奥を突かれることで得る快感はやっぱりあったし、結局一度きりになってしまった、竜人姿の彼の勃起ペニスへの未練もある。でも、あの日こちらが望んだとおりに、食事目的じゃないイヤラシイことを重ねるうちに、ペニスに貫かれなくたって十分気持ちよくイけるようになった。
 当初望んでいた以上の生活に激変して、こちらとしては大満足なのだけれど、少しだけ問題があるとすれば、あの日勃ちかけたペニスがあれ以降結局無反応という辺りだろうか。
 もちろん自分的にはどうだっていいんだけど、彼らがどうでも良くないらしいというか、人としての機能を取り戻させたがっているというか。多分、モンスターの餌食になって肉体改造までされてしまった人間たちを、もとの体に戻してまた人間界で生活できるようにしたいっぽい計画な気がしている。
 体の機能が完全に戻ったって、今更人間界へ戻ろうなんて欠片も思えないだろう。けれど、同じような目にあって元の生活に戻れるなら戻りたいってヤツのために、モルモットを続けるのは構わない。あんな目にあって精神が壊れること無く生き続けていること自体が、そうとう稀なケースで、自分自身が彼らにとって超貴重なサンプルだってのも、わかっているつもりだ。
 竜人本来の彼のペニスで絶頂した、という部分が引き金の可能性があるから、いずれ食事目的ではなくこちらの勃起を促す目的で、セックスをする日が来るかもしれない。ただ、今のところは様子見だそうだ。
 食事目的ではない彼との行為で、もっと深く感じるようになれば、反応する可能性があること。もしかしたらもっと効力の弱い低リスクな薬が出来るかもしれないこと。世話係の彼の繁殖期の周期が2年程度なこと。最悪10年待てば食事担当の彼の繁殖期が来ること。
 なんて聞かされて、長命種族ゆえののん気さってのは、やっぱりあるのかもしれないと思った。後、世話係の彼とのセックスが計画に組み込まれていたのは驚きだった。だったら先に、繁殖期中のそこらの竜人とセックスしてみるのが手っ取り早そうなのに。
 ただこれは、世話係の彼も食事担当の彼も揃って酷く言葉を濁すので、気づくのに時間がかかったけれど、つまりは雌ならまだしも雄の人間なんかとセックスできるわけねーだろ、と多くの竜人が思っているということだった。繁殖期であれば肉体は発情しているから、仕事として割り切って応じてくれる相手を探すことは可能かもしれないけれど、どう考えてもそんな事務的なセックスに感じて勃起するタイプじゃないからただの無駄だという判断は、多分正しい。
 さらってきた人間を開放しようという動きはそこそこあるものの、モンスターの餌食になって肉体改造までされた人間を、保護して生かして元の生活に戻れるようにしようなんて活動はかなり細々としたものらしいから、見つけてくれたのが彼らだった自分は、間違いなく相当運がいい。元々、保護した以上は最後まで責任持って世話してくれる気でいたらしいけれど、さすがにこんな関係になるとは思っていなかったと言った彼は、濃厚な唾液をたっぷり口内に流してくれた後で、でもこの生活も悪くはないと笑った。

続きました→

 
 
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フラれたのは自業自得2(終)

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 シャワーを止めて、大きなため息を吐き出した。随分はっきり思考がまわるようになったけれど、結局、酔っ払って当初の予定すら遂行出来なかった情けない自分を突きつけられただけだったなと思う。
 いい加減、後輩の本音を確かめるべきなんだろう。後輩自身、想いはあっても男同士で恋人という関係にまで踏み込むのは躊躇う、と思っている可能性だってないわけじゃない。こちらの想いもちゃんと晒して、過去に逃げたことも謝って、それから、今後どうするかを二人で決めなきゃいけない。
 彼はどういうつもりで、ここへの宿泊を決めたのだろう。もし同じように考えてくれているなら話が早いんだけどと思いながらそっとバスルームの扉を開けば、先ほどと違って部屋には明かりがともされていた。
 すぐさま確認したベッドの上、上体を起こして座っていた後輩も、こちらに顔を向けている。
「起こしたなら悪い」
「いえ。酔いは覚めました?」
「ああ」
「なら、聞きたいこと、あるんですけど」
 硬い声と真剣にこちらを見つめる瞳に、彼には覚悟ができているようだと思った。良かった。
「俺もある。でもちょっと待って」
 なんせ腰にタオルを巻いただけの状態だ。バスルームに飛び込むみたいにしてシャワーを浴びてしまったせいだ。
 ちゃっかりホテル備え付けの寝間着で寝ていた後輩に、そこの引き出しにありますよと言われるまま、しまわれていたもう一着を取り出し着込んだ後、ベッドではなく椅子を移動し正面から後輩と向き合うように腰をおろした。
 一度深く息を吸って、吐いて、こちらも覚悟を決めて口を開く。
「で、お前の聞きたいことって?」
「言ったこと覚えてるかわかりませんけど、先輩がフラれたのは俺のせいって、どういう意味っすか」
「なんとか覚えてる。でもお前のせいじゃない。俺の、自業自得だ」
 ごめんと言って、一度深々と頭を下げた。
「でも、俺が関わっては、いるんですよね?」
「まぁな」
「俺は本当に、ただ家が近いからってだけで、呼ばれたんですか?」
「違う。さっき行ったレストラン、お前、初めてじゃないだろ。家族の記念日で行って、凄く美味しかったからまた行きたいって、言ってたよな」
「ああ。それ覚えてたから、誘ってくれたってことすか」
「それも違う。俺は無意識に、お前とここに来たいと思ってた。彼女とのデートの多くで、俺はそういうことをしてたっぽい。今日フラれたのは、俺がそんな自覚もないまま、彼女との関係を深めようとしたからだ。いい加減自覚しろとあれこれ言われて、本当にクリスマスを一緒に過ごしたい相手は、彼女じゃなくてお前だってわかったから、お前を呼んだ」
「えっ……」
 さすがにかなり想定外な返答だっただろうか。すぐには続く言葉が見つからないらしい相手は、じわじわと頬を赤くそめていく。
「あの、それ、……って、俺のこと……」
 はっきり頷いてから、お前が好きだと言葉にした。
「ほんと、に?」
「ここで嘘言ってどうする。本当に決まってんだろ」
「だっ、て……」
「お前には謝らなきゃならないことばっかりなんだが、取り敢えず、ずっとお前と向き合うの逃げてて悪かった。自分の本当の気持ちすら押し込めて無視して、自覚するのにここまで掛かったけど、もう、俺の気持ちもお前の気持ちも無視しない。だからお前の気持ちも教えてくれ。お前、俺と、どうなりたい?」
「ちょ、待って。急展開すぎてついてけない」
「ああ、悪い。俺だってお前への気持ちを自覚したばっかりで、今すぐお前とどうこうなりたいとか、はっきり言える状態じゃねーんだ。ただ、もう逃げない。ちゃんと考えるから、お前も考えてくれ。で、お互いが納得行く形を、探したい」
 本気だということが伝わるように、しっかり相手を見据えて、言葉を選びながらゆっくりはっきり喋るのを、相手も真剣に聞いてくれていた。なのに、言い終わって相手の反応を窺えば、暫く考えるような様子を見せた後で、クスッと小さく笑うから、あれ? と思う。
「じゃあもし俺が、男同士で恋人なんて世間的に面倒なことはしたくないけど、先輩の体が魅力的だからセックスだけはしたいんです、とか言い出したら、セフレになるって言うんすか?」
「う゛ぇっ? マジかよ」
 さすがにそんな展開、欠片も想像できなかった。
「あー……まぁ、お前が本気でそうしたいってなら、考える、けど」
「それ、考えた結果、やっぱ無理でしたーってなるだけっすよね?」
「ならねーよ。ただ俺が、お前とセフレになりたいとは、現段階で全く思ってないだけだ。応じる方向で考えはするけど、お前も少しはこっちに譲れよ」
「譲るって、たとえば、俺は先輩を抱きたいけど、先輩も俺を抱きたいなら、俺が抱かれる側になるとかですか?」
「おまっ、ほんっと、……」
 再度マジかよと言いかけて、でもあまりに相手がニヤニヤと笑っているから、一度言葉を切って呼吸を整える。
「あんまからかうなよ。本気にすんだろ。お前が何言い出したって、ちゃんと考える。無理だって逃げないし、お前を好きだって気持ちを投げ出して終わりにしたりしない。だからお前も、本気で考えて、本気を伝えろ。頼むから」
 言えば相手は両手で顔を隠すように覆うと、背中を丸めて引き寄せた膝に頭を埋めてしまう。
「もーっ! もーっ!!」
 なんだよ。牛かよ。って突っ込みを入れたい気持ちが湧いたが、照れてるらしいとわかってそっと苦笑を噛み殺すに留める。
 ひとしきりモーモー喚いたあと、顔をあげた相手は頬を膨らませて怒っていたけれど、下げた眉尻や水分量が増して揺らめく瞳と合わされば、ただひたすら可愛いばかりに思えた。
「なに笑ってんすか」
「んー、やっぱ可愛いなぁって思って」
「ちょ、っと! 俺が可愛いのなんて今更ですー」
「なら一段と可愛い」
「それ、寝起きボサボサの今じゃなくて、会った時に聞きたかったセリフなんすけど」
「ああ、さすがにあれはちょっとビビったわ。男のお前がああいう化け方すると思ってなかったし」
「全く褒めてないですよね。ビビるとか化けるとか、ホント失礼」
「だってあれ、マジに女と間違うレベルだったぞ」
「だからわざとですってば。彼女の代わりに連れてくなら、女の子に間違うくらいでちょうどいいだろうと思って頑張ったのに」
「ん。ありがとな。凄く可愛かった」
 言って欲しかったと言うから言ったのに、相手はまたしてもモーと吠えた。その後大きく息を吐いてから、ごそごそとベッドに横たわる。
「なんか色々疲れたんで寝ます」
「おう」
「先輩は? もう寝ないんですか?」
「いや、寝たい」
 なら早く来てくださいと急かされて隣のスペースに潜り込めば、部屋の明かりを落としたあと、相手がもぞもぞと擦り寄ってくる。
「おいこら、どーゆーつもりだ」
「俺が好きならいいじゃないですか、別に」
「よくねぇよ。俺まだお前の返事、一切聞いてないんだけど」
「俺がしっかり考えて答えだすの、待ってくれるんじゃないんですか?」
「だからって、こんなんただの生殺しだろ」
「わかっててやってんですよ。だってなんか悔しいから」
 手ぇ出してきたら軽蔑しますねと言われて、出すわけねーだろと返せば、知ってますと言ったあとで大人しくなった。
 この体勢であっさり眠れるなんて、こちらが期待するほどには、やはり意識されていないのかもしれない。人との距離感がちょっと近いだけで、特に自分相手には甘えやすかったとか、その程度の可能性も高そうだ。
 好きだと自覚してしまった相手を腕の中に抱えて、そう簡単に眠れるはずもない。けれど暫くそんな風に、恋人に発展しない未来をあれこれ模索しているうちに、いつしか眠りに落ちていた。
「考えたんですけど、先輩と恋人としてお付き合いしてみたい、です」
 だからまさか、寝起きにそんな言葉を聞かされるなんて思ってなかったし、そろそろチェックアウトだって部屋を出ようとしたら引き止められて、やたらもじもじと躊躇う相手にキスをねだられたのも衝撃だったし、その唇に触れてしまえば男同士で恋人なんて躊躇いは簡単に吹っ飛んだ気がした。

 
 
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フラれたのは自業自得1

フラれた先輩とクリスマスディナーの続き。先輩側。

 尿意で目覚めてトイレを済ませたついでに、シャワーを浴びてさっぱりしようと思い立つ。そうして目を向けた便器横のバススペースを見て、一瞬動きが止まった。
 だいぶ乾いているけれど、ところどころ水滴が残っているし、その他もろもろ、どう考えても誰かが使った形跡がある。誰かというか、そんな事が可能な人物は一人しか居ないのだけれど。
 じゃあ帰りますねと言われて、引き止めたことまではおぼろげながら覚えている。誘うような言葉を吐いて、でも欲しいのはフラれたことを慰めてくれるような優しい同情じゃないのだと、言ったような気がする。しかも、フラれたのはお前のせいだとも、言ってしまった気がする。
 でもそこから先の記憶がなくて、慌てて3点ユニットの小さなバスルームを飛び出した。
 明かりが落とされた暗い部屋でも、目を凝らせば自分が寝ていたスペースの隣に、人一人分の盛り上がりがあるのがはっきりわかる。もしかしたらやらかしたかもしれない不安を抱えてドキドキしながら、ベッドサイドに置かれたランプスイッチのツマミをゆっくりとひねっていく。
 相手の表情が分かる程度の明かりをともしてから、息を詰めつつその顔を覗き込んだ。酷く穏やかな顔で幸せそうに眠る相手を確認し、別の意味でドキドキしながら、再度スイッチを弄って部屋を暗くする。それからそっとまたバスルームへ移動し、扉を閉じてから大きな深呼吸を数回繰り返した。
 大丈夫。あんな顔で寝ていられるなら、酔った勢いで襲ったりはしていない。はず。多分酔ってあっさり寝落ちただけだ。
 それとも、記憶にないだけでもっといろいろ何か会話を重ねたのだろうか?
 そうじゃなきゃ、わざわざ泊まるまでするはずがない。……とは言い切れないような気もするのが、自分の勘違いやうぬぼれの可能性もあって、よくわからない。自分に都合がいいように解釈してしまいそうで混乱する。ついでに、さっき見た可愛らしい寝顔が、チラチラと何度も繰り返し脳内に蘇る。
 くらくらして纏まらない思考に、とにかく一度シャワーを浴びてシャッキリしようと思った。

 ちょっと生意気なところもあるけれど、なんだかんだ慕ってくれているのがわかる後輩を、こいつ可愛いな、と思うのは多分そうオカシナ感情ではないと思う。ただ相手は、中身はともかく見た目だけなら可愛い系とか言うらしいイケメンで、中性的なあのキレイな顔で懐かれ笑われると、なんとも言えない気持ちになる。
 よく皆平気だなと思っていたら、アイツがそこまで露骨に甘えてんのはお前くらいだと指摘されて、ますますなんとも言えない気持ちになった。
 彼は自分の顔の良さを自覚しているし、それを時にあざとく利用してもいる。だからその一端で、どうしたって戸惑いを隠しきれないこちらをからかって楽しんでいるのかと、そう疑う気持ちもあるにはあったが、わざわざ確かめることはしなかった。なんとなく、そこは突き詰めてはいけないような気がしていた。からかって楽しんでるだけなら、もうそれでいいと思う程度に、深入りするのが怖かった。
 そんな何とも言えない気持ちになる瞬間がじわじわと頻度を増していく中、同じ学科の女子から告白されて、思わず飛びついてしまったのは夏前だ。
 サークルには今まで通り顔をだすつもりだが、彼女が出来たから多少はそっちを優先することもあると大々的にサークルメンバーに伝えた時、彼は酷くあっさり良かったですねと笑って、おめでとうございますと続けた。安堵に混じるわずかな落胆に気付いてしまって、内心自分への嫌悪で吐きそうだったのを覚えている。
 まるで逃げるみたいに彼女を作ったことも、こんな試すような真似をしたことも、彼の反応に僅かでもガッカリしてしまったことも、どうしようもなく情けない。なんてみっともない男なんだろう。
 それでも、彼女を作ったことに後悔はなかったし、まるで利用するみたいに告白を受けてしまったからこそ、彼女のことは出来る限り大事にしてきたつもりだった。彼女の存在があるからこそ、自分と彼とは多少距離が近くとも単なるサークルの先輩後輩でいられるのだと、頭の何処かではっきりとわかっていたからだ。
 ただ、気付いてしまわないようにと胸の奥底へ沈めたはずの彼への想いを、暴いて焚き付けたのも、その彼女だった。それなりの頻度で会話にのぼらせてしまう、そのサークルの後輩の細かな情報を、その時の自分の様子を、彼女には抜群の記憶力で覚えられていた。
 お付き合いを開始してからそこそこの期間が経過していながらも自分たちの関係はキス止まりで、今回、クリスマスを機にもう一歩進んだ関係になるつもりだった。23日の土曜に泊りがけでクリスマスを過ごしたいと持ちかけた時、相手は随分と迷う様子を見せたが、それは単に、そろそろ肉体関係を持ちたいと示したこちらへの戸惑いだと思っていたのに。
 一度ははっきりと了承を告げたはずの彼女は、レストランを予約した時間まではのんびりしようとチェックインを済ませた部屋へ入るなり、真剣な顔で大事な話があると言い出した。そして、大事に思ってくれる気持ちは伝わっていたから恋人を続けていたけれど、本気の一番好きをくれない相手とこれ以上深い関係にはなりたくないと、この土壇場できっぱり言い切った彼女の前で、後輩に連絡を取る羽目になった。
 無意識で宿泊先にこのホテルを選んだ意味まで含めて色々暴かれ突きつけられてしまった後だったから、逆らう気なんてとても起きなかったし、後輩もあっさり捕まったけれど、後輩が来ることになって一気に冷静になる。不安になる。
 メッセージのやりとりと、その後一気にテンションを下げた自分を見ていた彼女は、自分たちの雑でそっけないやりとりに苦笑した後、きっと大丈夫だから頑張ってと言い、今までありがとうと柔らかに告げて去っていった。
 フラれたのはお前のせいだなんて、よくも言えたもんだ。こんなの、どう考えたって自業自得だ。
 彼女が言うところの、本気の一番好きを向ける相手とクリスマスを祝えるというのに、彼女が帰ってしまった後も気持ちは沈んでいくばかりだった。頑張ってと言われた所で、むりやり自覚させられたばかりの想いを持て余すだけで、どう頑張ればいいのかなんてわかるはずもない。呼び出しにあっさり応じた後輩だって、どういうつもりで来るのかさっぱりわからない。
 そもそも、今現在自分の中での一番好きが彼に向いているからと言って、後輩と恋人のように付き合いたいのか、もし彼が交際を受け入れたとして、デートしたりキスしたりいずれはそれ以上のことをしたい欲求があるのか、正直自信を持って回答できない。男同士であることへの嫌悪はなくても、そこに躊躇いがないわけじゃない。
 彼と恋人として付き合うことをあっさり受け入れられる精神構造なら、想いを沈める必要も、彼女を作る必要もなく、さっさと彼の本意を確かめていたはずだ。確かめて、もし好きだと返ってしまった場合にそれを受け入れられないと思ったから、彼女を作って自分から先輩後輩のラインをはっきり引いて示したし、彼もそれを受け入れた。
 それを、想いを自覚したからと言って、いきなり翻すのも人としておかしいだろうと思う。それはあまりに自分勝手だ。
 考えれば考えるほど、想いを自覚した所で、今すぐどうこうなんて考えられない。だから今日の所は、せっかくのクリスマスディナーを、一緒に美味しく食べることだけに集中しようと思った。するはずだった。
 なのにアイツが、見たことないレベルの可愛らしい格好をしてくるから。彼女のフリだの代りにだの言うから。フラれたことを喜ぶような素振りをするから。傷心なはずの自分を慰めたがるから。もっと隙を見せろと言うから。
 いや違う。そうじゃないだろう。後輩のせいにしてどうする。

続きました→
気になって続きを書いてしまったのですが、長くなりすぎたので切りました。2話で終わります。続きは明日9時半更新。
イベントネタのため、現在書いてる続き物より優先して上げてます。竜人の続きは28日から再開します。

 
 
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竜人はご飯だったはずなのに16

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 ベッドの上で広げた足の間に、頭というか口先を突っ込まれ、伸ばされた舌で尻穴に唾液を送り込んでもらう。人の姿のときとはやっぱり全然違う。舌の長さや厚みが違うのは当然だが、鼻も口先も押し付けられていないのに、人のときよりも奥まで舌が届いているのがわかる。
 たまらなく、気持ちがイイ。
 本当はもっと竜の頭を肌で感じられたらいいんだけど。でももっと奥にと頼んだって、これ以上顔を寄せてはくれないだろうし、何かを察した彼によって足を押さえられているので、足を閉じて彼の頭を挟んでやることも出来ない。
 それでも、気持ちが良いと喘いで、もっと奥まで欲しいとねだり、キツく押さえられているわけではないから腰を揺すってみせる。
 あまり暴れるなと掛けられる言葉を無視して腰を揺すり続ければ、だんだん押さえつける力も強くなっていく。気をつけてくれているのだろうけれど、たまに爪の先が肌に刺さる痛みにゾクゾクする。痛めつけられたい被虐趣味なんてないけれど、本当の姿で触れて貰っているのだとわかるのがたまらない。
 ただ、こちらがどれだけこの行為を喜び、快楽に体を震わせたって、彼からすれば食事の疑似行為でただの奉仕で、なによりこの体を傷つける事は禁忌だった。
 唐突に、突き放されるようにして彼の舌も手も気配も遠ざかっていく。ビックリして身を起こせば、彼がこちらの腿を凝視しながら固まっていた。
 その視線をたどるように自分の脚へと目を向けて気づく。彼の爪によって裂かれたらしきところから、わずかに血が滲んでいた。
「あー……こんなの気にしなくていい。っつってもやっぱ無駄、だよな」
「すまない」
「いや多分、謝るのこっちの方。お前が押さえつけてくるの嬉しくて、かなりお前煽った自覚ある」
「押さえつけられるのが、嬉しい? のか?」
 酷く困惑させている。さんざん重ねた食事タイムは、基本的には優しさと楽しさと気持ち良さで満たされていて、無理やりされたいなんて様子を見せたことはなかった。
「というかお前の爪が肌に当たってチクってするのが、人じゃないお前が触れてくれるんだって思えて、凄く嬉しかった。お前の頭挟ませてくれないし、もっと奥にってどんだけ言っても、ケツ穴に口先押し付けてもくれないから」
「私の硬い皮膚が擦れたら、お前の肌に傷がつく」
「それはわかってるんだけど。わかってるつもりだったけど」
 でも調子に乗って爪を立てさせて、結果あっさり放り出されたことを思うと、やっぱり考えなしだったかもしれない。
「やっぱ、もう二度としない、とか言い出す感じ?」
「なぜ、私、なんだ」
 ああこれ、また世話係の彼に頼めって言われるパターンだ。でも世話係の彼とは、性的な方面で深い関係になるつもりはなかった。少なくとも、目の前の男が、自分よりも彼をと勧めてくるうちは。
「そんなの、お前がいいから以外の理由があるかよ」
「食事とセックスがセットになっているから、いやらしい事を頼むのは私にと、思い込んでいるだけじゃないのか。あの子に舐めてもらった事はまだないんだろう?」
「あいつのが上手に舐めれて、俺を傷つけること無く、もっと気持ち良くしてくれるはずだって、そう言いたいわけ?」
「まぁ……そうだ、な」
 聞けばやはり、少し躊躇ったあとで肯定された。
 そりゃ確かに、彼に頼んだらもっと気持ち良くなれる可能性はある。ただしそれは今ではなく、将来的に、というやつだ。彼なら、こちらがどうすればより気持ち良くなれるかを、一緒に探ってくれるはずだからだ。
「俺さ、風呂入った時に、あいつに体洗ってもらうのめちゃくちゃ好きなんだけど、それ知ってる?」
「お前の体を、直接手の平で擦って洗っている、という話は聞いているが、それが何か?」
「俺の体に傷つけたら大変なのはあいつも一緒どころか、多分、あいつの方が問題になるよな。でも、あいつは俺のお願いに折れて、ゆっくり俺への触り方を覚えてくれただけなんだよ。お前みたいに魔法で人の姿になるって逃げが出来ないから、最初の頃はホントおっかなびっくりで、ちっとも気持ち良くなんかなかった」
 一度言葉を切って、何が言いたいかわかるかと聞いてみる。相手は渋々ながら頷いているから、多分、ちゃんと伝わっているだろう。
「俺は、アイツじゃなくてお前に、尻穴舐められるだけでイケるくらい上手になって欲しい。ついでに言うなら、繁殖期じゃないお前を性的に気持ちよく出来る方法があるなら、それを知りたいし実践したい。食事目的じゃなく、もっとお前といやらしいことがしたい。人の姿じゃない、そのままのお前と、したい」
「まるで……」
 戸惑う相手の顔に、ゆっくりと朱がさしていく。竜人は表情が読みにくいと思っていたこともあるけれど、とっくに慣れたし、慣れれば簡単にわかってしまう。
「プロポーズを受けているような気分だ」
 さすがに飛躍しすぎだと思ったけれど、それは人の常識で考えてしまうからなんだろう。彼らの繁殖に関する話は詳しく聞けていないし、そもそも結婚という概念があるらしいことすら今知ったのだけど、それならそれでいいかなと思ってしまう気持ちもある。
「プロポーズだっつったら、受けてくれんの? でもって俺と一緒に、この部屋で新婚生活とかしてくれんの?」
 言いながら、それってかなり理想的な生活なのではと思う。もしそうだってなら、本気で結婚してくれと頼み込みたいくらいだ。
 しかし相手は酷く狼狽えてしまって、なかなか次の言葉が出ないようだった。

続きました→

 
 
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フラれた先輩とクリスマスディナー

 サークルの先輩から、今から出て来れないかという連絡が入ったのは土曜の夕方だった。確か一日早いクリスマスを彼女と過ごすと言って浮かれていたはずだ。
 フラれたんですかと直球でメッセージを送れば、うるせー来るのか来ないのかどっちだと返って来たので、奢りなら行きますと返して家を出る支度を始める。家を出る直前にチェックした返信には、奢ってやるから急げと書かれていた。
 呼び出された先は最寄り駅から二駅ほど移動したターミナル駅の改札で、こちらの顔を見るなり遅いと文句を言いかけた先輩は、途中で言葉をとめて訝しげに眉を寄せる。
「どうです? ちょっとは可愛いですか?」
 さすがにスカートやらは履いていないが、ぱっと見ただけでは性別不詳な格好をしてきていた。性別不詳と言うか、普段大学へ行く時に着ているものより、格段に可愛らしい服を選んできた。ついでに言うと、目元にちょっとだけメイクもしている。
「つか何だよそのカッコ」
「彼女にドタキャンされた先輩に、彼女のために用意したディナー奢ってもらうお礼に、彼女のふりしてあげようかと。というか、俺に声かけたの、そのためじゃないんすか?」
 男性平均並の身長があるので、女性と考えたら背はかなり高い部類に入ってしまうが、母親譲りの女顔だという自覚はある。昔はしょっちゅう、今でもたまに、素で女性に間違われる事があるくらいだから、そのせいで呼ばれたのだと本気で思い込んでいたのだけれど。
「ばっ、……ちげーよっ!」
「じゃ、なんで俺なんです?」
「お前の家、確かこの辺だったっての覚えてただけだ。てか一番はやく来れるの、お前だと思ったんだよ」
 そう言った先輩は、そこで急いでいたことを思い出したらしい。時計を確認するなり、とにかく行くぞと歩きだす。
 連れて行かれたのはそこそこ名の知れたホテル内のレストランで、もしかしなくてもしっかり部屋まで押さえてあった。さすがに不憫過ぎる。思わずうわぁと声を漏らしてしまったが、先輩は黙れと言い捨て、さっさとレストランの中へと入っていく。
 料理はコースで決まっていて、飲み物は先輩がシャンパンをボトルで注文した。最初、自分だけ酒を頼んでもいいかと言った先輩に、先週誕生日だったので一緒に飲めますよと返した結果だ。ただ、一緒に飲めますとは言ったものの、実際にはほとんど飲まなかった。
 一口飲んだ瞬間、マズっと思ってしまったのが、先輩にあっさりバレたせいだ。
 美味いと思えないなら無理して飲むなよと言われて、ドリンクメニューのノンアルコール欄を突きつけられてしまえば、大人しく引き下がるしかない。しかし、ソフトドリンクにしろノンアルコールカクテルにしろ、どれもこれもめちゃくちゃ高い。選べない。
「あの、」
「なんだよ」
「水でいいです」
「値段気にしてんなら余計なお世話」
「いやだって、」
「パーッと金使いたい気分なんだから付き合えって」
 明日は彼女へ贈るクリスマスプレゼントを一緒に選ぶ予定だったそうで、そのために用意していたお金を使ってしまいたいらしい。ますます不憫だと思ったけれど、さすがにもう、うわぁと声に出してしまうことはしなかった。しなかったけれど、振られたんですかと聞くことはした。
「つまり急用ができてドタキャンってわけじゃなく、フラれたってことでいいんですかね?」
「聞くな」
「奢ってもらってるし、泣き言なり愚痴なり文句なり、なんでも聞いたげますけど」
「いやいい。飯まずくなりそうなことしたくねぇし」
 迷う素振りもなく断られて、ああくそカッコイイな、と思ってしまった。
「ホテルレストランで食事して、そのままホテルお泊りして、翌日はプレゼント買いに行くようなデートをドタキャンして振るって、先輩いったい何したんです?」
「お前な。その話はしなくていいっつの」
「フラれた理由、聞いてないんですか?」
「おい。いい加減にしとけ。つかなんでんなの聞きたがるんだよ」
「だってこんないい男をこのタイミングで振る理由、わかんないんすもん」
 嫌そうに眉を寄せていた先輩が、少し驚いたような顔をしてから笑い出す。
「いい男、ね。別に煽てなくていいぞ。さっきも言ったけど、お前に奢ってんのは、お前の家が一番近かったってだけだし」
「本気でいい男だって思ってますけど。あと、さっき言った彼女のふりしてあげましょうかも、割と本気だったんですけど」
「は?」
「傷心な先輩を、彼女の代りに慰めてあげよう。ってつもりで出てきたんで、もうちょい落ち込むなりして下さいよ。つかフラれたくせに隙なさすぎじゃないですか?」
 あ、ちょっと余計なことまで言い過ぎた。これ以上漏らさないよう、慌てて口を閉ざした。
「なんだそりゃ。慰めなんていらねーし」
 先輩はまるで気づかなかったらしく、ホッと胸をなでおろす。さすがにこれ以上この話題を続けるのはやめておこうと、その後はサークルの話題をメインに乗り切った。
 ただ、シャンパンをほぼボトル一本飲み干した先輩はいつの間にかかなり酔っていて、仕方なく足元がフラフラの先輩をチェックイン済みだという部屋まで連れて行く。
 ダブルの大きなベッドに先輩をごろりと転がし、じゃあ帰りますねと声を掛けたら、服の裾をガッツリ握られ引き止められた。
「なんすか? 何かしておいて欲しいことでもありますか?」
「今、俺、隙だらけなのに帰んの?」
「はい?」
 言葉は返らず、酔ってトロリとした目で睨みつけてくるからドキリとする。
「えっと、慰めはいらないって……」
「慰めろとは言ってない。後、俺がフラれた理由、多分、お前」
「は? えっ? なんすかそれ」
「さぁ?」
 くふふと笑った相手は、多分間違いなくただの酔っ払いだった。しかもその後目を閉じて、握っていた服もあっさり手放してしまう。
「えー……」
 零した声に返るのは寝息だ。その寝姿を眺めながら、取り敢えずシャワーを浴びようかなと考える。
 さすがにあんな意味深なセリフを吐かれて、そのまま帰る気にはなれない。どこまで覚えてるかわからないけれど、明日絶対問い詰めると心に決めて、バスルームへ移動した。

続きました→
どうしてもクリスマスネタやりたかった。二人はほんのり両片想い。先輩は彼女に男への恋情がバレて振られた感じ。

 
 
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