生きる喜びおすそ分け31

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 体の準備はしてあるのでと伝えたけれど、相手の困惑顔は変わらなかった。
「いやでも、だからって、じゃあ入るねってスルッと挿れられるようなものじゃないでしょ」
「ですかね。でもちょっとくらい痛くてもいいというか、多少強引に突っ込んでくれていいですけど」
「すぐそういうこと言って煽らない」
 痛いより気持ちいいほうがいいでしょと言いながら、こちらの差し出すゴムを受け取って相手が脱衣所を出ていくから、慌ててその背を追いかけた。
 さっさと湯の中に入った相手が、海の方角を眺めながら、まぁまぁの広さがある風呂の中をウロウロと歩いている。思わずそれをジッと眺めてしまえば、やがて立ち止まってこちらを呼んだ。
「早くおいで。日の出見ながらするんでしょ」
 ゴムを受け取ったことが了承とわかっていながらも、言葉にされるとやはり嬉しい。簡単にかけ湯してから、相手の元へと急いだ。
「この位置なら海見えるし、ここでいいかな」
「あ、はい」
「一応の確認だけど、抱かれながらって、体を繋げた状態で、って意味だよね?」
 指で慣らしたりもセックスの一部だと思うんだけど、そういう前戯を全部含めた抱かれながらではないよね、と続いた言葉に、もちろん体を繋げた状態でという意味だと返す。
「君のして欲しいには極力応えてあげたいけど、これはそういう旅行だけど、でも抱かれながら日の出が見たいはダントツにハードル高いからね? わかってる?」
「わかってます。凄く嬉しいし、めちゃくちゃ楽しみ、です」
 にっこり笑って告げれば、頬に相手の手が添えられて、すぐに相手の顔も寄ってくる。ちゅっと唇を吸われて、でもそれは深いキスにはならずに離れてしまう。ちょっと残念。
「もう。それ言われたら弱いの知っててやってるでしょ」
「そりゃあ」
「じゃあ時間もなさそうだし、まずはどこまで準備できてるのか確認させて」
 言われるまま、風呂の縁となった岩に両手をついて、相手にお尻を突き出した。右手の近くに、先程渡したゴムのパッケージがポンと置かれているのが、自分が持ち込んだものなのになんとも生々しい。
「触るよ」
 既に腰というかお尻の両方の膨らみを包み込む手のひらが、左右に開くように力を掛けている中でのそのセリフに頷けば、晒されたアナルにぴとっと指の腹が押し付けられる。触れたままで軽くゆすられた後、それはぬぷっとアナルの中に侵入してきた。
「っ……ふっ、……ぅ……」
 ぬるぬると指を前後されて、あっさり息が荒くなる。でもまだ指一本だし、専用庭とは言え外だし、前立腺を狙ってこねられても居ない。
「うん。思ったよりは柔らかい。指増やすよ」
「は、はいっ」
 その後、二本に増えた指はすぐに三本に増えて、その太さを慣らすようにぐちゅぐちゅとアナルを擦りたてる。昨日みたいな気持ちよさはない。本当に、性急にただただ拡げられている。
「ぁ、んっ、んんっ」
 それでもグッグと指を突かれるのに合わせて、殺しきれない音が鼻から漏れてしまう。
「苦しい?」
「へ、っき、です」
「じゃあ今から少し気持ちいいとこ弄ってくけど、びっくりして大声あげないようにね」
「はぅんっ」
 はいと返事をしようとしたのに、それより早く弱いところをグリッと押されて、慌てて口を閉じた。ああごめん、とは言われたものの、そのままグニグニと前立腺を狙って弄られ、こちらは声を噛むので必死だ。このままだと口を開いて喘いでしまいそうで、左手を持ち上げ自らの口を覆うように押し隠す。
「ふぅんんっ」
 まるで口を押さえたのを見たからそうしたとでも言うように、直後にペニスを握られゆるく扱かれ、声をあげない代わりにビクビクと体が跳ねてしまった。痺れるみたいに気持ちよくて、でもかなり苦しい。

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兄は疲れ切っている38

※ 軽めの排泄描写あり

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 嫌そうな呻き声と共に、中からとろりとした半透明の液が少量こぼれ出てくる。そしてその声を聞いたせいで、さっきから時折呻いていたのは、中からこぼれ出る感触が気持ち悪くてということらしいと気づいた。
 なるほど、これは口に出して説明しにくいのも頷ける。体のどこかが痛くて呻いているわけではないというのも、納得だし安心もする。
「中から溢れてくるのって、ちゃんとわかるんだな。シーツも部屋着も汚したって言ってたから、全部出ちゃったのかと思ってた」
 残ってるなら先に指で掻き出そうかと言ってみたら、もう殆ど残ってないはずだから必要ないと、割とガチトーンで返された。確かにこぼれ出てきたのは少量だったし、指を突っ込み掻き出してみたいのは単にこちらの好奇心と下種な欲望だという自覚もあった。それにこれから幾らでもチャンスはありそうだし、とも思う。
 それならばと予定通り、ちょろちょろとぬるま湯を吐き出し続けるホースの尖端を押し付けた。
「んっっ」
「いつもどれくらい入れてるの」
 頭の中で数を数えながら、ストップ掛けてねと言っておく。
 後始末としての洗腸というだけで、無理をさせる気も苦しませる気も欠片だってないけれど、当然初めてなのだから、加減なんてわからない。だったら兄本人に教えて貰えばいい。
 脳内のカウントと、兄の様子と、お湯で膨らむ腹具合はきっちり覚えて、次回に活かそうという心づもりでもあった。
「っ、もっ、それくらい」
 兄の訴えに、素直にホースの先を離せば、ホッとした様子で壁から手を離しこちらに向き直る。排泄するところなんて見せないぞって意味かと思ったら、そのままヨロヨロと歩き出す。
「え、どこ行く気?」
 前準備でトイレと風呂場とを何度も行き来しているなんてことはないはずだけれど、自分がいるせいでトイレまで行く気なのかと思って聞いた。けれどさすがに風呂場を出る気まではなかったらしい。
「どこって、そこ」
 兄の視線の先を追えば、そこにあるのは排水口だった。
 なるほど、と思う。兄が普段しているのは前準備なのだから、汚物も一緒に排泄されてしまう可能性を考えたら、なるべく排水口の近くでというのも納得だった。
 蓋を開けてそこに向かってしゃがみこんだ兄の顔は赤い。追いかけるように近づいて、兄の正面に自分も腰を落とす。
「えっ……」
 ギョッとする兄の頬を軽く撫でながら、約束、と口にした。
「やく、そく?」
「可愛いねってキスしてあげるよ、って言ったろ」
 言いながら顔を近づける。可愛いって囁きながら、ちゅっと唇を吸ってやる。
「どう洗ってるか知らなかったから、お湯が吹き出てくるとこじっくり見てあげようかと思ってたけど、代わりに恥ずかしそうな顔、ずっと見ててあげる」
 少し意地悪かなと思いながらも、この距離ならお湯が吐き出されてくる音も聞こえそうだし、とにっこり笑ってみた。
「は、ちょっ」
 兄はますます顔を赤くしていく。
「我慢してる間も、お湯吐き出してる間も、いっぱいキスしてあげるよ」
 今度は極力優しく笑いかければ、真っ赤な顔がふにゃっと歪む。唇がわなわなと震えているから、可愛いって言いながらちゅっちゅと唇を吸った。
 可愛いねと口づけるのを繰り返せば、やがて兄の体がふるふると小さく震えだす。既に真っ赤でふにゃふにゃな顔が、今にも泣きそうになっている。
「いいよ」
 大丈夫、と囁やけば、兄の口から小さな吐息が漏れて、ほぼ同時に、ぷしゃっとお湯の跳ねる音が聞こえてくる。
「ぁ……ぁぁ……」
 絶望混じりにこぼれ出てくる息を、大丈夫、可愛い、と繰り返しながら吸って、合間にぽろっと流れ落ちた涙へも唇を寄せた。

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兄は疲れ切っている37

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 準備と違って、一度綺麗に洗ってある場所で、そこを汚したのはこちらで、何より兄は足元をふらつかせるくらい疲れ切っている。汚いなんて欠片も思わないし、疲れ切った体を預けてもらって、自分の手で綺麗にしてあげたい。
 そもそも汚くたって別にそう気になんかならないんだけど。だって兄がそういう準備をするようになる前は、洗っていない腸内に指を突っ込んでまさぐっていたわけだし。準備をするようになってからだって、最初っから完璧に洗えていたわけではなかったし。つまり、指だったりゴムだったりが汚れてしまうことが全く無かったわけじゃないし。でもそれで気持ちが萎えたことなんてない。
 だから本当に、いつかは準備だって手伝いたいと、本気で思っているのだ。
「いやだから、お前が汚いと思うかどうかじゃなくて。というか、そう思ってくれてるのはわかってるけど、それとこれとは別っていうか」
 とにかく恥ずかしいんだよと言い募る兄に、じゃあもういっそと、その恥ずかしい姿が見たいんだよと返してみたら、呆気にとられた顔をした後、変態と罵られてしまった。
「変態でいいし。事実だし。期待してるから」
「え、期待って?」
「お腹に入れられたお湯、我慢できなくてお漏らしするとこ見せてもらうから、恥ずかしいって泣いてもいいよ」
 可愛いねってキスしてあげるよと言えば、想像したのか羞恥と恐怖とが入り混じったような顔で後ずさる。といっても、兄の背後には浴室へのドアがあるだけなのだけど。
「あ、風呂場行く気になってきた?」
「ち、ちがっ」
 慌てて否定する兄をいいからいいからと宥めつつ、浴室のドアを開けてしまう。兄の肩を抱いて促すように中へ踏み込めば、諦めたように兄もついてくる。
「なんだ。もっと早くこうすりゃ良かった」
 多少強引にでもさっさと浴室に連れ込んでしまえば良かったのだと思い至って、つい口からこぼせば、隣で不満そうな声が上がった。
「俺はまだ全然納得してないけど」
「そりゃあ俺だって、兄貴が嫌がること、極力したくないし、納得して体預けてほしいなとは思ってるけど。でも、恥ずかしいからが一番の理由なら、今すぐどうこうできねぇもん」
 慣れてよと言えば、慣れたくないと即答されたけれど、別にそれならそれでも構わない。
「いつまで経っても後始末手伝われるのが恥ずかしいってぐずってくれるなら、それはそれでそういうプレイを楽しませて貰うから」
「なんだよプレイって」
「最終的には俺に洗われるのわかっててぐずるなら、それはもうそういうやりとりを楽しむプレイって事でいいんじゃないの。嫌がって無理やり俺にお湯注がれて、恥ずかしいよぉって言いながらお漏らしするとこ見て貰いたいんでしょ?」
「んなわけ」
「ないって言うなら、俺に無理やりお湯注がせるようなこと、しないで」
 今の疲れきった兄の体なんて、容易に押さえ込めてしまえる。それは兄だってわかっているだろう。
「ほら、お尻こっちに向けて」
 ヘッドを外して温度と湯量を調節したシャワーホース片手に告げれば、小さな溜息と、ずるいと言うボヤキを零しながら、壁に手を付き腰を突き出してくる。さすがにもう抗う気はないらしい。
 尻タブを割ってホースの先を穴に押し当てようとして、内腿へと流れるように続く汚れに気づいて、思わずその汚れを指ですくい上げた。
「ぁっ、おいっ」
「次、中出しした時は、俺の精液がこぼれ出てくるとこ、見たいかも」
「へ、へんたい」
「だからそう言ってんじゃん」
 なんなら指を突っ込んで掻き出してやってもいい。なんてことを思いながら、濡れてふっくらとした尻穴を開くように、縁に当てた二本の指に力を込めてみた。

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追いかけて追いかけて22

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 二人一緒に寄り添って、お湯の降り注ぐ下でホッと安堵の息を吐く。顎をすくわれ唇を塞がれれば、それにもやっぱりホッとしてしまうのだけれど、問題は二人の身長差だ。
 降り注ぐシャワーの下で上向かされてのキスなんて、そうそう長くは続かない。すぐに気づいて貰えたから軽く咳き込む程度で済んだけれど、溺れるかと思った。
「溺れるかと思った」
「ふはっ、ごめん」
 そのまま口に出せば、相手が小さく吹き出すように笑う。馴染んだ優しい気配に、またしてもホッと安堵する。相手にもっと近づきたくなって、おずおずと指を伸ばしてみれば、相手の手に触れた瞬間、指を絡め取るみたいに握られてしまった。今度は安堵じゃなくて、ドキッと心臓が跳ねる。しかも相手の顔がまた近づいてくる気配がして、ドキドキは簡単に加速していく。
「ねぇ、待っててって言ったのに、どうして来たの」
 耳の横でしゃべられると、どうしてもゾワリとした何かが背中を走る。反射的に肩を竦めてしまえば、耳が弱いことを思い出したらしい相手がごめんと言って離れていこうとするから、絡んだ指先を引いてしまった。
「こういうの、期待しないでいられないんだけど」
 軽くボヤかれた後で、唇が耳に触れる。
「っぁ……」
 ゾクゾクっとした何かは快感だ。
「きもちぃ」
「うん」
「きも、ち」
「そう」
「ん、ほん、と」
「わかってる」
 自分自身に言い聞かせるみたいに繰り返しても、返るのは優しい相づちばっかりだ。でも耳に響く相手の息遣いや些か乱暴な扱いに、先程よりもずっと相手の興奮を感じ取ることができる。それがなんだか嬉しくて、絡んだままの相手の指を、不器用ながらもそっと撫でた。
 応じるように撫で返されて、今度はそちらからもジワジワと快感が広がっていく。するりと解かれた指が快感を引き連れながら、ゆるりと手首から腕を伝って這い登ってくる。それはやがて耳へと到達した。
「ぁ、あっ、ゃっ、あぁっっ」
 左右同時に耳を弄られて、キモチイイは一気に数倍に跳ね上がった気がする。頭を振って嫌がる素振りはあっさり抑え込まれてしまった。というか左右の耳を顔と手で挟まれて、頭なんて振らせてもらえない。
 逃げかける体も、もう片手が宥めるみたいに背中を撫で降りて、少し強めに腰を抱かれればそれ以上の抵抗は出来なかった。それどころか、彼の手が触れる腰からもジワッと快感が広がっていくのが恐ろしい。だって、手の平も指先も、ただ腰を支えるだけじゃなくサワサワと撫でるみたいに動いている。
「やっ、やぁっ、ぁん、も、だめ」
 思うように動かせない体に、逃せないキモチイイが溜まっていくみたいだった。膝が震えてこのままだとこの場に座り込んでしまいそうだ。そう思う頃には、腰を抱く相手の腕にますます力がこもって、相手とのわずかな距離がなくなった。
「んぁああっっ」
 濡れた部屋着の内側でとっくに勃起しているペニスを相手の体に押し付けることになって、耳を弄られるのとは別種の強い快感が走る。
「ガチガチだね」
 ふふっと笑われて恥ずかしい。
「自分で握って扱ける? それとも揺すってあげたらイケるかな?」
 何を言っているんだと思ったが、次の瞬間には言葉通り腰を抱く腕に体を揺すられ、自分の体と相手の体に挟まれたペニスがズリズリと揉まれて悲鳴を上げた。
「ぁあああ゛あ゛」
 イッていいよの言葉を聞きながら、抗えない快楽に体を震わせる。頭の中は白く爆ぜたが、射精した感覚は薄かった。でも吐精した後の脱力感みたいなものが襲ってきたから、多分きっと射精したんだろう。

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雷が怖いので プレイ36

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 今度は意識がはっきりしたままなので、脇やらスネやらに生えた毛を丁寧に剃り上げられるだけでも十分に恥ずかしい。あとスネはともかく、脇の下を滑るカミソリの感触はちょっと擽ったい。
 自分で剃れる、という主張は当然あっさり却下されたし、相手は随分と真剣で、そのくせ酷く楽しげだし、許可したのは自分だし、別に嫌なわけじゃない。でも性的興奮を煽るような触れ方はされてないのに反応してしまうのは恥ずかしいし、それを見てニヤつかれるのも恥ずかしい。
 からかわれるのでもいいから、いっそ何か言ってくれればいいのにと思う気持ちもあるが、何を言われたって恥ずかしい気持ちが増すだけだとわかってもいる。
「のぼせそう……」
 恥ずかしさで、という意味で呟いた言葉は多分相手にも正確に伝わったと思うのだけど、壁のフックに掛けられたまま湯を吐き出し続けているシャワーの、湯温を少し冷たいくらいに下げるという対応をされた。
 傍らの床に跳ねるぬるい水が、浴室内にこもる熱気をいくぶん払ってくれるようで、頭がスッキリしてくる気がする。のぼせそうなのは事実で、顔が熱くてぼんやりするのは、羞恥からだけじゃなかったらしい。
 げんきんなもので、頭の中の靄が晴れたら、この状況を楽しめる余裕が少しばかり自分の中にも湧いてくる。だっていつも見上げてばかりの彼を、見下ろす状況なんて珍しい。
 目の前に片膝をついて、立てた方の膝上にこちらの足を乗せて、熱心にカミソリを這わせている。そんな彼へこちらも熱心に視線を注ぎ続けてしまえば、気づいた彼が顔を上げて、ふ、と楽しげな吐息を漏らした。明確に笑っているわけではないけれど、柔らかな表情はかすかな笑みを湛えている。
 楽しそうで良かったと思うし、彼のそんな様子がたまらなく嬉しいとも思う。
 童顔とあいまってますます子供みたいになってるはずだし、もしかしたらこの後、また幼い言葉遣いをねだられるかもしれない。わかってるし予測もしてる。もし本当にそれを求められたら、応じる気でもいる。
 それで彼が満足気にしてくれるなら、多分きっと、もっともっと嬉しくなれる。
 だって、好きな人が喜んでくれたら、楽しそうにしてくれたら、嬉しいに決まってる。ツルツルにされるくらい、実年齢を大きく離れた幼い子供扱いされるくらい、どうってことないと思える。
 彼が欲しいものも、したいことも、自分にできることは全部叶えてあげたい。こちらが差し出せるものは全部差し出したい。
 良かった、嬉しい、という気持ちが、彼が好きだという気持ちへ転化していく。好きだ好きだと、胸の内で想いを膨らませてしまう。
「もう、終わるよ」
 ゆっくりと足を降ろされて、目の前に跪いていた彼が立ち上がる。湯温を戻した温かなシャワーが掛けられて、毛を剃るために塗られていたシェービング剤を流していく。
 肌を撫でていく手つきはやっぱり酷く丁寧で優しかった。
「好き……」
 膨らみきって抱えきれなくなった想いが、ほろりと音になってこぼれ落ちていく。
 返るのは優しいキスだけだけれど、繰り返し落とされる優しいキスは、この想いを否定も拒絶もせずにいてくれるから、ちょっとくらいの胸の痛みは我慢してしまう。胸が痛いとか、抱えてしまった想いが辛いとか、そう言って泣いて彼を困らせるより、優しく降るキスが嬉しいと笑ってみせるほうがいい。
「好き、……好き、です」
 キスの合間にもほろほろと想いを零してしまうせいで、キスはいつまで経っても終わる気配がない。だから自分で先を誘った。
「ね、早く、ベッドへ」
 好きの言葉をぐっと飲み込み、待ちきれないとばかりにねだる。
 好きだと返さなくていいから、彼の指も舌も肌も、もっともっと感じたかった。心に触れて貰う代わりに、彼以外には決して触れさせない、体の深い場所へと触れて欲しかった。
 早く、と口に出したせいか、本当に待ちきれなくなる。早く早くと気がはやる。
 はやく、埋まらない心なんて気にならなくなるくらいに、彼の熱で、その熱に呼び起こされるキモチイイで、体の中も頭の中も満たされてしまいたい。

続きました→

 
 
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雷が怖いので プレイ35

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 今度はじっくりと、剃られてツルツルになっているのだろう、会陰部や尻タブの合間やらを丁寧に舐め吸われる。会陰部を撫でられ緩く押されることで発生する快感を知っている体は、舐められれば当然のようにいつも以上の反応を返した。
 時折舌を伸ばされ刺激は陰嚢にも与えられたけれど、体の向きは変えられること無く、興奮しきって勃ち上がるペニスには一切触れてもらえない。舐められながらイッてみようっていうのは、もしかして、後ろを舐められるだけでイケってことなんだろうか?
 その予想は多分当たりで、再度アナルに舌が触れるまでにも随分焦らされたし、触れた後もすぐに舌を差し込んでくるような真似はせず、さっきよりもずっと時間を掛けて舐め解される。
「ぁ、ぁああっ……、ぁあ、イイっっ」
 イキたい、イかせて、前も触って、早く挿れてと、頭の中では散々繰り返したけれど、口から零すのは甘い嬌声だけだ。口に出してねだってしまったら、きっと中断させてしまうから。仕方がないねと言いながら、望む刺激をくれるだろうから。
 壁に押し当てた手にぐっと力を込めて、自らペニスに手を伸ばして、弄ってしまわないように必死で耐えた。
 やがてつぷつぷと舌先をアナルに出し入れされると、お腹の中がぎゅんぎゅんと蠢き、その舌をもっと奥まで迎え入れたいと体が願う。相手もわかっているようで、楽しげに熱い息を零しながら、少しずつ深くまで舌を押し込んでくる。
 それでも足りない。前立腺をキツく弄られたい。前立腺を弄られながら、押し出されるように射精したい。足りない。足りない。もっと深くまで欲しい。
 刺激は前立腺にまで届いてない。なのに繰り返される動作にグッと射精感が高まっていく。
 アナルの開発を開始した初期はやっぱり浅い場所ばかり弄られたし、そこでの快楽を覚え込まされイカされていたけど、でも前に触れないまま達したことなんてない。お尻でイけるようになってからも、射精するのはいつだって前立腺への刺激を受けながらだったし、ドライでイクなんてのはそれよりもっと難しい。
 こんな浅い場所だけを舐め弄られて、体が昇り詰めるかもしれないなんて、吐精してしまうかもだなんて、嘘みたいだった。
「あぁ……ぁ、……うそ…………いき、そ……」
 戸惑いながら漏らした声を拾ったのか、舌の動きが激しくなる。
「ぁあああ、あああっっんぁあ゛あ゛あ゛あ゛」
 ひときわグッと押し込まれて、アナルごとぢゅうぢゅう吸い付かれて、体がブルリと震えた。ペニスの先からドロリと白濁が吐き出されていくのがわかる。
 膝が震えて崩れ落ちてしまいそうだった。もちろん、本当に崩れ落ちちてしまう前に、彼によって抱き支えられたけれど。
 ようやく壁から引き剥がされて、彼の腕の中でくるりと体を反転される。
「舐められるだけで、イケたな」
 満足気な声と顔。しかもだいぶ興奮してくれているようだ。
「はい」
 良かった。嬉しい。冷め切らない興奮に安堵を混ぜて頷いた。
「可愛い顔して頷いちゃって。ベッド行ったら、今度はこっちじっくり舐めてやるから、期待して?」
 ニヤリと笑いながら剃られたペニス周りを撫でられて、吐き出したばかりでもちっとも萎えきってなんかいないペニスが、期待しての言葉にあっさり期待を膨らませて揺れる。
「ほんと、素直な」
「ぁんっ」
 柔く握られ甘く吐息をこぼした。そのまま擦られれば、当然あっさり硬度が増していく。
「まだ、ここで、する?」
「いや。ベッド行くよ」
 そう言いながらも、彼の手は離れていかないし、手の中のペニスへ緩く刺激を送り続けている。
「なぁ、他も剃らせてって言ったら、どうする?」
「他、……って?」
「脇とか、スネとか。全身ツルツルにして、ひたすら舐め可愛がってやりたい」
「今後ずっと全身ツルツルのままでいろ、とか言わないなら」
「それをここで言うってことは、陰毛は剃りっぱなしにしてって言ったら、従うつもりがあるってことか?」
「言うんですか?」
「言わない。絶対ダメってわけじゃなくなったのわかったから、今度は何かのおしおきで、うんと恥ずかしい格好に縛ってからの剃毛とかもやりたいし?」
 今日はほとんど記憶にないまま剃られちゃったもんなと笑われたけど、それはそれでなんとも複雑だ。別に、いつかそんなおしおきをされるかも知れないことが、凄く嫌ってわけじゃないけれど。
「で、本当に他も剃っていいんだな?」
「はい」
 頷いて、彼が先程一度片付けたカミソリやらを、再度持ってくるのを待った。

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