罰ゲーム後(目次)

Wバツゲームの続きです。全19話。
前作で恋人になった二人が、先輩が抱かれる側でセックスする話。糖度高め。
視点そのままで、バスケ部の高校1年生 × 帰宅部の高校3年生(視点の主)。
いつか途中分岐して後輩受けルートも書きたい気持ちがあって、途中までは相変わらず受け攻めだいぶ曖昧です。

下記タイトルは内容に合わせたものを適当に付けてあります。
性的なシーンが含まれるものはタイトル横に(R-18)と記載してあります。また、後輩が中学時代の処女彼女とのセックストラウマ(流血関係)を語るシーンがあります。

1話 再告白
2話 学食奢り最終日
3話 友人の見解
4話 土曜夕方の教室で
5話 待ちきれない玄関先
6話 先に帰った結果
7話 夏休み直前
8話 抜き合い中断(R-18)
9話 セックスするのが怖い
10話 セックスのトラウマ
11話 もしする時は抱かれる側で
12話 お出かけデートの結果
13話 もっと深く繋がりたい
14話 体を慣らす(R-18)
15話 花火デートの後
16話 繋がる(R-18)
17話 不安の正体(R-18)
18話 甘やかし上手
19話 ずっと、恋人でいたい

 
 
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罰ゲーム後・先輩受19(終)

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 この関係は最長でも自分が卒業するまでと口に出して言ったことはないけれど、当然そのつもりだったし、相手だってそれをわかっていただろう。だってこれは、わかっているからこその発言だ。
 本気かなんて聞くのはバカらしくて、けれどあまりにも想定外な発言に、結果、口を閉ざすしかなかった。
「俺に甘やかされるの、嫌になりました?」
 そっと伸ばされた手が、頭を撫でるようにして髪を優しく梳いていくのを、これ以上甘やかすなと振り払うことなんて出来ない。でもこいつじゃなきゃダメってくらいに甘やかされて、別れられなくなるのは困るとも思う。
 既に手放したくないなと思ってしまっているけれど、だからって卒業後も付き合い続けようなんて発想は一切していなかったのに。それは考えてはいけないことだったのに。
 それをあっさり、本気とわかる熱心さで突きつけられて、酷く動揺していた。
「嫌っていうか、だって、俺がどこの大学行くかなんて、まだ全然決まってもないのに」
「でもどの辺狙いかは聞いたっすよ」
「最悪飛行機の距離だし、最短でも、学校帰りに毎日寄ってなんて絶対言えない距離だよ」
 たとえここから通える距離の大学へ入学したとしても、引っ越しは間違いなくするだろう。交通費も通学時間もただの無駄でしかないからだ。
「だからこそ、身近で新しい相手探すより、俺と付き合い続けたいって思ってもらえるくらい、先輩を俺に夢中にさせたいんすよね」
「それは、怖い、よ」
「俺に今以上に夢中になることがっすか? それとも、恋人と頻繁に触れ合えないこと?」
「そんなのどっちもだよ。遠恋向きじゃないのなんてわかりきってるのに、お前じゃなきゃダメってほどお前に骨抜きにされちゃったら、お前がそばに居てくれない俺の大学生活、毎日泣き暮らす羽目になるよ?」
 そんな泣き言を連ねても、相手はふにゃんと緩んだ顔をして、大丈夫すよなんて言いながら愛しそうに見つめてくるから、ドキリと心臓が跳ねてしまった。
 だけどすぐに気付いてしまう。動いてないと寝落ちしそうと言っていたことを思い出してしまう。
 これもう絶対、半分くらい眠りに落ちてる。
 だからこれは、二人は末長く幸せに暮らしましたという、ハッピーエンドな寝物語みたいなもので、多分もう寝ぼけてて、夢の話で寝言なんだろう。きっとその方がいいから、夢の話にしてしまおうと思った。
「そうだな」
 柔らかに吐き出して、そっと相手の頭に手の平を乗せる。先程されたみたいに数度優しく髪を梳いて、最後に額を撫で下ろすみたいに滑らせて目元を覆ってやった。
「信じてないっすね」
 そのまま寝てしまえと思ったのに、相手は不満げに口先を尖らせると、目元を覆われたままグッと顔を寄せてくる。正確には体ごと寄ってきて、あっという間にこちらを抱き込み引き寄せる。
 軽く覆っていただけの目元の手はあっさり外れて、トロリと優しいままの瞳に、また見つめられてしまった。相手は眠いだけなはずなのに、やっぱり少しばかり鼓動が速くなるようだった。
「大丈夫」
 甘やかな声が間近で繰り返す。
「二股かけない先輩は、恋人居ない時期もあったっすよね?」
 やはり相当眠いのか、吐き出す声もトロリと甘く緩やかだ。
 なんだか相手が溶けてしまいそうな錯覚に襲われる。でももしかすると、溶けているのは自分の方なのかも知れない。ぜんぜん大丈夫じゃないだろって気持ちが、溶かされて曖昧になっていくような気がした。トロトロな甘い気配に包まれて、大丈夫を信じたくなってしまう。
「寂しいなら毎朝毎晩電話します。おはようも、おやすみも、大好きも、毎日先輩の耳に届けます。そして出来る限り会いに行きます。俺調べでは恋人不在期間最長三ヶ月だったんで、たとえ飛行機の距離でも、三ヶ月以上開けませんから。会えない時間埋まるくらい、先輩ドロドロに甘やかしますから」
 途中でとうとう瞼を下ろしてしまった相手は、それでもうっとりとそんな言葉を吐き出し続ける。
「ばーか」
 吐き出す自分の声も甘かった。
「んなの聞いて、飛行機距離の大学なんか行くわけ無いだろ。そこ滑り止めだし、気合で他の、というより本命の合格もぎ取るっての」
「それ、こっから一番近いトコ、すか?」
「そーだよ」
 目は閉じたままだけれど、それでも嬉しそうにくふふと笑う。嬉しそうに、幸せそうに、大好きですと囁くようにこぼす。
「俺も、好きだよ」
 顔を寄せて、ちぅ、と軽く唇を吸って放せば、閉じていた目が薄っすら開いた。
「先輩の、恋人でいたい、す。これからも、ずっと」
「うん」
「先輩に、惚れ続けて貰えるように頑張るんで、だから、」
 いっぱい俺を欲しがって、と続いた声はほとんど音になっていなかったし、目はまた閉じてしまっていたけれど。お前の全部が欲しいよと囁いた声に返る声はもうなかったけれど。
 頭の中で、あげます全部、という彼の声が響いた気がした。更にそれは、貰いますよ、俺だって、全部、と続けてくれたから、顔が熱くなっていく。
 さっき抱かれてる最中に実際聞いた言葉だと、気づいてしまったからだ。
「恥ずかしっ」
 照れてこぼした声に応えるのは、規則正しく繰り返される寝息だったので、ベッドヘッドに置いたリモコンを弄って明かりを落とした後、甘えるみたいにすり寄ってくっついて、おやすみと呟き目を閉じた。

<終>

 
 
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罰ゲーム後・先輩受18

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 動いてないと寝落ちしそうだから先に後始末をしたいと言う相手に、寝ちゃってもいいからまだ側に居てとねだる。
「体、気持ち悪くないんすか?」
 冷房は低めに設定してあるけれど、それでも汗はかいたし、さっぱりしたい気持ちもわからなくはない。でも、じゃあ一緒にシャワーに行こうかって言える程、こちらの体力と気力が残っていなかった。
「さすがにもーちょいぐったりしてたい。シャワー行く元気ないし、ざっと拭いてあとは明日で良いかなって。お前は? どーしてもシャワーしてから寝たい感じ?」
 どーしてもと言われたら、行っておいでと言うしかないのはわかっている。相手は夜更かしがあまり得意じゃないから、普段ならとっくに寝ている時間の今、寝落ちしそうの言葉に一切の嘘はなく、もう相当眠いはずだった。余韻が欲しいなんて言ってベッドに引き止めて、不快なまま寝落ちさせてしまうのは申し訳ない。
「ぐったりしてて良いっすよ。濡れタオル、あっためて来ますから」
「あれ? もしかして、後始末って、俺の?」
「余裕あったら、シャワーもして来たいすけど。でも取り敢えずは先輩の方すね」
 それを聞いて、思わずふふっと柔らかにこぼれた笑いは、幸福感からだった。
「お前はホント、どこまでも俺を甘やかすね」
「甘えたがりの恋人を出来る限り甘やかすのなんて、当たり前じゃないすか?」
「本気トーンでそれをさらっと口に出すところがもう、デロデロに甘やかされてる感じしかない」
 くふふとこぼれ出るまま笑い続ければ、もちろん狙ってやってますよと言いながら、相手もふふっと柔らかに笑う。
「で、ほんとにこのまま眠るんでも平気なんすね?」
 軽く頷けば、じゃあここで出来る範囲だけと言って、下に敷いたバスタオルを剥がしたり、下半身の酷い汚れを拭き取ってくれたりと、なんだかんだ甲斐甲斐しい。
 疲れた体を労るように世話を焼かれて、これは癖になりそうだと思う。このふわっとした幸福感に包まれ続ける感じがたまらない。
「抱かれた後でお前に甘やかされるの、なんか癖になりそ」
 ぽそりと零した呟きに、相手は嬉しそうに、癖になっていいっすよと笑う。
「お前ホント、俺を甘やかすの上手すぎ」
「まぁ必死に先回りして甘やかすのは、それなりに下心もあるからっすけどね」
「あ、これ、お前、必死に先回りしてやってんの?」
「必死っすよ。モテル男のノウハウ系とかも、あれこれざっくり読みましたし」
「マジでっ!?」
 とうとうぶはっと吹き出すほどに笑ってしまったけれど、肯定する相手は変わらず柔らかに笑ったままだった。
「笑っていいすよ。必死の努力は順調に報われてるっぽいんで、笑われても止めませんけど」
「そんな必死に努力しなくても、言えば叶えてやるかもよ? 俺もお前を甘やかしたいんだって、知ってるだろ? で、お前の下心って何?」
「言ったら甘やかされてくれなくなるかもなんで内緒っす」
「え、なにそれ怖い。隠されたら今後安心して甘えられなくなるかも。てわけで、はい言って」
 しまったという顔をされたけれど、もちろん逃してやる気なんかない。だって気になる。もう十分すぎるほど甘やかされているし、叶えられるものなら叶えてやりたい。
「先輩に、もっともっと、俺にメロメロになって欲しいんすよ。それだけっす」
「え……っと、そろそろちょっとまずくない? ってくらい、既にお前にメロメロしてるけど。それじゃ足りないって言ってる?」
「全然足りないす。というかっすね、先輩を手放したくないんすよ。先輩が、卒業した後も」
「ふぁっ!?」
 は? と声に出したはずが、慌てすぎたのか驚きすぎたのか妙な音になって漏れた。
「甘やかして、愛情注ぎまくったら、身近で都合よく触れ合える相手を新たに探すより、俺と付き合い続けるほうがいいって思ってもらえるかもって思ってて」
 年齢だけはどうしようもないので、卒業後の二年間をどうするか本当に悩んでてと言う相手は、本気で卒業後もこの関係を続けたいと思っているようだった。

続きました→

 
 
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罰ゲーム後・先輩受17

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 ちゅっちゅと宥めるみたいなキスを繰り返されて、やっぱりなんだか誤魔化されてるみたいな気持ちになる。小さな不安の種らしきものが、胸の中にプツプツと湧き出るみたいな感じがする。
 縋るみたいにまたぎゅっと抱きつけば、さっきみたいに相手の体温に安堵するのだろうか。ぎゅってして、好きって言って、好きって言われて、不安の種から目を逸らして。そうやって誤魔化されてしまってもいいのかもしれない。
 本当に気持ちいいの言葉も、多分きっと嘘じゃなくて、ただ、自分の体の方が貪欲で、ついでに言うなら他者と繋がる行為で快楽を拾うことに慣れているだけだ。痛いとか苦しいとかが思っていた程酷くないからか、抱かれる側でも、深く繋がる心地良さや粘膜が擦れ合う興奮はそこまで変わらないと思う。
 だからって、相手に自分と同じだけの興奮が見えないのが不満だなんて、ホント、我侭で強欲にも程がある。トラウマ持ちの彼が慎重になるのは仕方がないし、理性を保ってこちらの体を気遣う余裕を見せるのは、間違いなく彼からの深い愛情なのに。わかっているのに。
「ごめんなさい」
 ふいにそんな言葉が聞こえて、ちゅっちゅと降り注いでいたキスがやむ。
「キスなんかで誤魔化そうとして、余計不安にさせただけっすよね。すみません」
 謝られながら、みたいではなく相手にも誤魔化そうとする意志があったのだとぼんやり思った。本当に誤魔化したいと思ってたなら、さっさと誤魔化されてやれば良かったとも。
「もともと、先輩にはもしかしたらバレるかなと思ってたんすけど、ホント、俺のことよく見てますよね」
 申し訳ない、みたいな口調なのに、なぜか相手はどこか嬉しそうでもあった。
「え? バレる? って何が?」
「勢いで突っ込みそうだった俺が、いくら頭冷やしたからって、あんまがっつかずにいるの、どっか変だって感じたんじゃないすか?」
「あっ!」
 聞いた瞬間、そうか、それだ、と思ってしまった。どこからともなく漂い纏わりつくみたいな不安と苛立ちの正体と言うか出処は、多分きっとそれだった。
 一緒にシャワーを浴びたらその場で突っ込みそうだったという言葉もするりと信じられるくらい、帰宅後玄関先で交わした、貪られるみたいに性急に性感を煽ってくるキスの興奮を覚えている。あの熱と興奮のまま求められる喜びを、一度は想像してしまった。期待してしまった。
 きもちぃと耳元に吹き込まれた甘ったるい声は本物だと思ったから、それを信じたい気持ちと、余裕のありすぎる素振りに、もしかして本当は思ったより気持ち良く感じられていないのではと疑う気持ちとが、無意識下でせめぎ合っていたようだ。
 過去に失敗しているから、むりやり揺すって強引に快楽を貪るような真似をしないだけで、きっと基本的には、抱いた相手の体でイカないのは失礼だって、そういう考えを今も持っているだろう。挿れてみたらそこまででもないなと思っても、絶対に、それを口に出したりわかりやすく態度にだって出さないだろう。
 それがわかっているから、そんなはずはないと思うのに、気持ちが揺れてしまうのだ。
「もちろん、先輩との繋がるセックスが思ったより気持ち良くなかった、ってわけじゃないすよ? 本当に、今だってずっと、先輩んナカめちゃくちゃ気持ちぃって、思ってます」
 随分と真剣な顔をして、まるで念を押すように告げる言葉を、今更疑う気持ちはないのだけれど。
「じゃあ、なんで……」
「これ言ったら絶対怒るか拗ねるかされそうなんすけど」
 そう言われて、怒ったり拗ねたりしないから言って、なんて言ってやれるほどの気持ちの余裕はなかった。
「じゃあ多分、怒るし拗ねるけど、言って」
 既に拗ねたみたいな口調だなと思っていたら、やはり相手も同じように思ったのか、空気がほわっと緩む気配がした。そんなこちらの子供っぽい態度を、可愛いとか愛しいとか思われたんだろう。声に出されなくたって、こうまであからさまだと、わかってしまうし恥ずかしい。
「ほら、早く言って」
「先輩って……」
「可愛いっすね、じゃ誤魔化されないからなっ」
 また色々含ませた可愛いですねで逃してたまるかと先手を打ったのに、相手はまんまとその言葉を吐き出し笑ってみせる。なんともわざとらしい。
「お前っ!」
「誤魔化そうってつもりじゃなくて、本心っすもん。ねぇ先輩。俺、本当に先輩のこと、すげー好きっすよ。先輩が欲しいだけ全部、持ってっていいって思うくらい」
 繋がるここから俺を丸呑みする気なんでしょう? と言いながら、ゆるく腰を揺すられた。
「がっついて腰振ったりしなくても、先輩が気持ちよくなって、ココ、きゅうきゅう締め付けて俺をうんと欲しがってくれたら、俺多分、そんな持たずにイッちゃいますよ? 先輩と違って二発目なのに」
「二発目? って、ど、ゆー、こと?」
「俺ね、先輩絶対傷つけたくなくて、頭冷やしついでに一発抜いたんス。風呂場で」
「おまっ、それ、ズルいっ」
 これは確かに、怒って拗ねていい案件じゃないだろうか。そんな理由があるなら、余計な不安を持たずに、相手の気遣いを喜んで受け入れていたかもしれないのに。
「言わなかったことは謝ります。でも、抜いといて良かったって、本気で思ってるんで。抜いてなかったらかなりヤバかったっす」
 それくらい先輩のナカ気持ちぃんすよと吐き出す声は、甘えを含んでトロリとしている。心ごとゾワゾワして、動きを止められ体の奥に燻っていた熱が煽られていく。
「んぁっ、」
「きもちぃ、す。ね、もっと、俺を、欲しがって」
 気持ちいいと繰り返してくれる声に興奮が加速する。もともとない余裕が更に奪われていく。
「ぁ、んぁ、俺も、キモチィ、きもちぃ、からぁ、……もっと、お前もっ」
 ゆるゆると揺すられるのがもどかしくて、もっともっとと相手をねだる。
「ん、うぅっ、欲しい。お前が、ほし、よ」
「あげます、全部」
「でもぉ、ああっ、俺も、あぁんっっ」
「貰いますよ、俺だって、全部」
 お前に同じだけ欲しがられたいという気持ちを取りこぼすことなく、拾い上げて笑ってくれるこの男を、このままずっと手放したくないと思った。

続きました→

 
 
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罰ゲーム後・先輩受16

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 短期集中ではあったものの、日中の殆どを使って慣らしまくった体は、無事に相手の勃起ペニスを全て受け入れた。耐え難い痛みに襲われることもなかったし、裂けて流血なんてことも起きていない。
 ただやはり、さすがの質量に圧迫感が凄い。
「痛くない、すか?」
「ん、それは、平気」
 不安そうに聞いてくる相手に大丈夫と笑ってやりたいのに、そこまでの余裕がないのが悔しい。強引に口角を上げれば頬がプルプルと引き攣る感じがして、こんなんじゃ余計に心配を掛けてしまうし、下手したら萎えられてしまう。
「けど……」
「苦しいのは事実、だ、けど、でも、嬉しい、から、へーき」
 また笑うのを失敗して、今度はふへっと妙な音が漏れた。でもその音に釣られたように、相手も少し笑ってくれたから、もういいやと更にふへへと笑いをこぼす。
「俺ん中、お前で、満たされてる、って感じ、する」
「俺は、先輩に体ごと全部包まれてる、って感じっす。なんかこのまま俺の全部を、先輩に飲み込まれそうって気もします」
 繋がってるのはほんの一部なのに不思議だと言うから、お前を全部飲み込んでやりたいこっちの気持ちが、繋がってる部分から流れ込んでんじゃないのと言ってみた。
「先輩って……」
「ん、なに」
 しばし考えるような素振りの後、可愛いですねと何やら色々含ませた様子で笑われてしまったけれど、さっぱり意味がわからない上になんだか逃げられたような気分になって気持ちが揺れる。咄嗟に腕を伸ばせば相手が前傾して身を寄せてくれたので、肩を掴んでさらに引き寄せ、最終的には背を抱くようにしてギュッとしがみついてしまった。
 より深くなった繋がりと、密着した相手の体温とに安堵して、ホッと息をつく。
「せんぱい、好きです」
 甘い声が耳の横で響いて、しがみつく腕に力を込めながら俺もと返す。
「俺も、好き」
「先輩ん中、きもちぃっす」
 甘えを含んだトロリとした淫靡な声とともに、ハァと零れる熱い息が耳にかかって、体だけでなく心までなんだかゾワゾワした。比較的スムーズに繋がれたものの、過去のトラウマから挿入状態が続けられるかの不安はないわけではなかったから、この状態でちゃんと気持ちが良いと感じて貰えて嬉しかった。
「ん、なら、良かった」
「痛くない、なら、少し、動いてみて、いいっすか」
 いいよと返して腕を緩めたけれど、相手の体は離れていかない。それどころか、ぎゅってしたままでいいと言われて、再度相手の背を抱いた。
 本当に小さく、腰を揺する程度に動かれる。そんな小さな振動も、続けばジワジワと体の熱が上がっていく。いつの間にか勃起しきったペニスが相手の腹に擦れるものだから、前後同時の刺激で達することを繰り返した体が、もどかしさでより強い刺激を欲しているのがわかる。
 あっ、アッと零す嬌声の中に、もっと激しくされたい気持ちを素直に混ぜて吐き出せば、わかりましたと頷かれて、探るように少しずつ動きが大きくなった。
 こっちははっきりと、徐々に余裕をなくしていってるのに、相手は未だこちらの体をしっかり気遣えるだけの余裕があるらしい。それが少し悔しくて、ちょっとくらい乱暴でもいいからもっとがっつかれたいな、などと思ってしまう自分は、やはり相当欲深いのかもしれない。
 理性取っ払ってがっついてなんて、その結果どうなるか最悪の事態を考えたら、とても言えるようなことじゃないのに。
「どーしました?」
 なのに、こちらの気配にやたら敏感な相手によって、あっさり気付かれてしまった。ホント、どんだけ見てるの。
 驚きと緊張とが混ざって思わず身を固めれば、相手は動きを止めて少しばかり身を起こす。
「何か、気がかり、ありますか?」
 しっかり顔を覗き込まれて何かを確認されたが、それを聞くということは、気がかりの内容までだだ漏れてはいないらしい。
「なんで、わかる、の」
「さぁ、なんとなく」
「お前ばっかり余裕あって、ズルいって思ってた、だけ」
「余裕なんてないっすよ。いっぱいいっぱい、す」
「でも、俺の変化に気付いてる」
「だってやっぱ怖いんすよ。失敗したくないというか、終わった後、して良かったって思えるようなセックスにしたいというか」
「しなきゃ良かったなんて絶対ならない。もし、いまここで中断することになったって、お前とちゃんと繋がれて良かったって思うよ」
 何言ってんだという気持ちでいささか強い口調になってしまったら、困ったように中断しますかなんて言うから、ますます腹が立ってくる。
「ちっがう。何聞いてたんだよ。もしって言ったろ。細かい気遣い嬉しいけど、お前は俺を気にしすぎ。お前が気持ち良くイッてくれたら俺はそれでいいの。でもお前だけ気持ち良くなるのはお前には無理なんだろうなって思うから、俺も一緒に気持ちよくなりたいけど、俺だって俺だけ気持ちいいのは嫌なの。わかる?」
「俺も、ちゃんと、きもちぃす、よ?」
「でも俺だけアンアン言ってるし、お前、俺が気持ち良くなれるようにって方に必死だもん」
「あー……」
「何、その、あー……って」
「いや、何が引っかかってるかわかったかも、ってだけっす」
 本当にちゃんと気持ち良くなれてますよと繰り返す顔は、なんだか苦笑を噛み殺すみたいな感じだった。

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罰ゲーム後・先輩受15

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 さすがに花火は別の日にというわけに行かないし、日々こんなにも触れ合って過ごしているのだから早々スキンシップが不足すると思えないし、多少ストレスや欲求不満がたまった所で、その日は泊まって貰うことになっていたから帰宅後どうとでもなると思ったし、行けばそれなりに楽しめるだろう確信もあって、つまり折角なのでと繰り出した。
 海ほどあからさまに女の子狙いな感じは出なかったのか、はっきりナンパとわかる声掛けはなかったし、会場近くではめちゃくちゃ混み合った人の波に紛れてこっそり手を繋いで歩いてみたりと、少しはデートっぽい気分を感じることも出来たのだが、その結果、溜まったのはストレスや欲求不満ではなく、期待だった。
 わかりやすく花火大会のムードに飲まれて、早く最後まで抱かれたいって気分が、思いっきり盛り上がってしまったのだ。元々、週明けから夏期講習が再開するので、今夜か明日の日中には繋がるセックスを試す予定だったのだけれど、今日も花火大会に出かける直前までベッドの上にいたし、出掛けて疲れて帰った後で試すことはないかと思っていたのに。
 そんなこちらの期待や気持ちの盛り上がりはやっぱりダダ漏れだったらしく、玄関を施錠し振り返った直後、玄関扉に体を押し付けられるようにしてキスされた。部屋へと向かわずに居たのは気配でわかっていたものの、まさかキスするためだなんて思っていなくて驚いた。
 しかも性急に性感を煽るようなキスに、もしかしたら彼自身、花火デートで気持ちが盛り上がって、自分と同じように興奮しているのかもしれないと嬉しくなる。
「なぁ、しよ。最後まで」
 キスの合間、相手を自分の中に感じたくてたまらないのだと訴えれば、名残惜しげに唇を吸われた後、手を引かれて風呂場へ連れて行かれた。
 しかし、このまま一緒に入って汗を流すのかと思いきや、相手は先に準備しておきますと行ってさっさと脱衣所を出ていってしまう。前みたいに、部屋の準備を終えた後で入ってくるのかと少しゆっくり目に体を洗ってみたが、一向に戻ってくる様子はない。
 仕方なくシャワーを終えて部屋へと戻れば、相手は腰掛けていたベッドから立ち上がった。どうやらこちらが出てくるのをわざわざ待っていたようだ。
「俺もシャワー、行ってきます」
「待って。シャワー使う気あったなら、なんでお前、来なかったの?」
 言外に待ってたのにと言う気持ちを含ませ問えば、相手は少し困ったように笑ってみせる。
「もう、失敗したくなかったからっす」
「失敗って?」
「あのまま一緒にシャワー浴びてたら、俺、その場で突っ込みそうだったんで。そんなんしたら、セックスのトラウマ増やす結果にしかならないすよね。だから少し、頭冷やしてました」
 せっかくお互い気持ち盛り上がってる所だったのにすみませんと言われて、慌てて頭を左右に振った。
「あやまんなくて、いい。俺こそ、ごめん」
 お互い童貞じゃなくたってアナルセックスの経験なんてもちろんなくて、だからここ数日ずっと、体を慣らして拡げるという準備を丁寧に行っていたのに、感情の高ぶりに任せて勢いで繋がろうとするところだった。
 もし一緒にシャワーを浴びて、彼の早く挿れたい気持ちに気付いてしまったら、きっとそれを制止することなく、むしろ煽ってその場で繋がっていただろう。だって早く挿れたいなんて思って貰えたら、絶対に嬉しい。その場で突っ込みそうだったって聞いた今だって、こんなにも嬉しいのだから。
 きっと、無茶して多少痛い思いをしたって、そんなの構わないと思ったはずだ。求められる喜びを優先させたはずだ。もしそれでこちらの体が傷つくようなことになれば、彼の心の傷をえぐることになると、あの興奮状態でそこまで思考がまわるはずがないからだ。
「先輩こそ、謝らないで。すぐ戻るんで、もうちょっとだけ、待ってて下さい。そして戻ったら、最後まで抱かせて下さい。先輩の中、俺も、感じたいっす」
 そんな言葉を甘やかに吐き出し、一瞬覚めかけたこちらの興奮を煽った後、宥めるようなキスを残して相手は部屋を出ていった。

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