俺が眠らせてあげるから3

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3章 不眠の原因

【朝の寝室】
修司はベッドの上であぐらをかき話を聞く体勢を取る。
その正面に正座すれば一瞬戸惑う様子を見せた。
しかし正座に言及されることはなかった。

修司:ねぇ、なんでいるの?

ケイ:修司さんが起きるの、待ってました

修司:それって大丈夫なの?

ケイ:大丈夫っていうのは?

修司:契約違反と言うか、業務違反?
  :契約通りに帰らないってのは、怒られるやつじゃない?

ケイ:まぁ、そうですね
  :知られたら怒られますね

修司:あ、俺が先輩に黙ってればいいってことか?

ケイ:内緒にしてくれるんです?

修司:先輩には悪いけど、仕方ないだろ
  :これでケイくんの立場悪くなって、来て貰えなくなると困る

ケイ:優しいんだ

修司:こういうのは優しいって言わないよ

ケイ:じゃあなんて?

修司:利害の一致、とか?

ケイ:なるほど
  :(俺が来れないのは困る、ってくらい必要とされてるんだよなぁ)

修司:で、何か理由があるんだよね?

ケイ:はい
  :でもこれも、本当はやっちゃダメな奴で

修司:今更だろ
  :いいよ、言ってみて

ケイ:その、もっと知りたいんですよ
  :修司さんのこと

修司:えっと……
  :それも業務違反なの?
  :客のことを知っておこうっていうのはキャストとして当然じゃないの?

ケイ:相手が話したいのを聞くのは仕事だけど
  :でも、修司さんは違うというか
  :俺に自分のこと聞いて欲しいわけじゃないでしょ?
  :それをこっちから、教えてってやるのは多分、ダメです

修司:ああ、まぁ
  :それはわからなくはないな

ケイ:添い寝屋キャストとして失格というか
  :こんなの、他の子には絶対やらない自信があるのに……
  :でも、修司さんが……

修司:俺が?
  :何かしちゃった?

ケイ:いえ、むしろ何もなさすぎなのが原因ですかね

修司:何もなさすぎ……?

ケイ:結構リピートしてくれてるのに、俺、修司さんのこと何も知らない
  :シュンさんが可愛がってた後輩で、何かが理由で酷い不眠で
  :俺の添い寝は効果あり、くらいしか知らないんですよ
  :だっていつもすぐ寝ちゃうから

修司:俺と先輩の話、聞きたかったりする?

ケイ:それも興味ありますけど

修司:やっぱ、なんで眠れないか、ってのが気になってる?

ケイ:まぁ……
  :聞いていいなら、聞きたいです
  :だってシュンさんは知ってますよね?
  :(あれ?)
  :(俺、もしかしてシュンさんに張り合ってるのか?)

修司:まぁ先輩には情けない話もしやすかったし

ケイ:情けない話、なんです?

修司:まぁね :簡単に言うと、フラれたの

ケイ:恋人に?

修司:そう

ケイ:(これ、性別どっちなんだろ?)
  :(俺に添い寝されてるってことは相手男?)
  :えっと、酷い振られ方だった、ってことですよね?

修司:そうだね
  :先輩が相当怒ってくれた程度には

ケイ:シュンさんが相当怒るレベル……
  :(しかもそれ原因で眠れなくなるレベル)
  :想像つきません

修司:想像ついちゃう方が嫌だよ

ケイ:それを聞かせて貰うことは?

修司は軽く頷いて話し始める。

修司:結構長いこと付き合っててさ
  :結婚とかも考えてたんだけど

ケイ:(あ、相手女性なんだ)

修司:他の男と婚約されちゃったんだよね

ケイ:は?え?婚約?
  :他の男と?
  :結婚する気があるって、言ってなかったとか?

修司:いや、言ってたよ
  :そろそろご両親に挨拶にって話もしてた

ケイ:な、なんでそれで、他の人と?

修司:それがさ、俺が知らなかっただけで
  :俺より長く付き合ってる男がもう一人いたの

ケイ:えっ?えっ?

混乱しきれば自嘲めいた笑みを見せる。

修司:二股かけられてたんだよね
  :しかも俺が浮気相手だったってオチ

ケイ:あー……
  :あああー……
  :それは……
  :キツい、ですね

修司:わかってもらえて何より

ケイ:それで眠れなくなっちゃいました?

修司:メンタル脆くて情けないだろ?

ケイ:そんなことないですよ!
  :それほど相手のことを真剣に想ってたってことでしょ?

修司:今となってはどうかなぁ
  :アイツのおかげでその後も散々だったしね
  :眠れないのと人間不信で仕事にならなくてさ
  :薬も軽めのじゃ効かないし眠れるのは副作用キツいし
  :で、結局、休職して引きこもりの完成だよ

ケイ:薬が合わなくて添い寝を?
  :あ、でも、シュンさんが強引に勧めたんですっけ?

修司:いや、最初は自分で頼んだよ
  :先輩んとこじゃなくて、女の子派遣してくれるとこ

ケイ:え?

修司:ただこれも元カノの残したトラウマなんだろな
  :女の子と一緒のベッド入れなかった
  :ってのを、先輩に愚痴ったのさ
  :添い寝試すのすら無理でした〜って

ケイ:あ、それで男の、俺?

修司:そ
  :先輩が、うちのキャストは男だし優秀だから試せって

ケイ:最初は渋ってたって、聞いてます

修司:まぁ男に添い寝してもらうとか考えたこともなかったし
  :でもいい加減眠りたかったと言うか
  :今後の生活かかってたと言うかで
  :ダメ元で試してみる気になったよね

ケイ:結果、よく眠れたようで良かったです

修司:あれは本当に驚いたな
  :翌朝目が冷めて、時計何度も見直したよ

ははっと笑う声に思わず目を見開いた。

ケイ:今、笑いましたよね!?

修司:あー、うん、笑ったな

ケイ:嬉しい、初めて笑顔見れた

修司:そんなのを喜んでくれるとか、さすが売れっ子

ケイ:売れっ子?

修司:先輩のとこの売れっ子なんだろ?
  :そんな子をこの頻度で呼んでて申し訳ないよね
  :先輩が気にするなって言ってくれるから甘えちゃってるけど

ケイ:それはホント気にしなくていいです!
  :これからも気にせず呼んで下さい
  :約束ですよ!?

修司:はいはい
  :てか俺がお願いする立場なはずなんだけどな

ケイ:呼んでくれるの嬉しいって何度も言ってるじゃないですか!
  :本気って!

修司:うん、ありがとう

続きました→

 
 
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俺が眠らせてあげるから2

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2章 もっと知りたい

【翌日の事務所】
シュン:昨日はありがとうな

ケイ:あ、修司さんと連絡取りました?
  :鍵、勝手に借りちゃった件とか

シュン:ああ、うん、鍵な
  :あっちも、渡しそこねて悪かったってよ
  :あと、感謝してたぞ

ケイ:感謝されるほどのことはしてませんけどねぇ

シュン:でも驚くほどぐっすり眠れたらしい
  :あんなに寝れたの久々だって

ケイ:なら良かったです

シュン:もしかしたらリピートあるけど
  :また頼めるか?

ケイ:いいですよ〜
  :(全然喋れなかったからなぁ)
  :(シュンさんが可愛がってた後輩、気になってるのに)

【2週間後】
ケイ:修司さん、こんばんは〜
  :2週間ぶりですね
  :(ってまただいぶ酷い顔してんなぁ)

修司:これ

ケイ:あ、鍵ですね!
  :ありがとうございます、お預かりします

ケイは受け取った鍵をしまった。
修司はフラフラとした足取りで寝室へ入っていく。

ケイ:(これもう相当眠いやつ〜)
  :(こんな状態になる前に呼んでくれればいいのに)
  :ねぇ修司さん

修司:ん?

修司はさっさとベッドの中で横になっている。
隣に潜り込み寄り添いながら、その頬をそっと手のひらで包み込む。

ケイ:あなたが安心して眠れるなら、俺はいつでも駆けつけますからね
  :ケイが必要だよ、って言ってくれさえすれば

修司:ふっ……

ケイ:(あ、今ちょっと笑った?)
  :今日はそれだけ、覚えてから眠って?

修司:ああ
  :おぼえとく

ケイ:じゃあ目ぇ閉じて

修司:頭

ケイ:もちろん撫でてあげますよ〜

修司:ん

ケイ:ふふっ、気持ちよさそな顔
  :おやすみなさい、修司さん

修司:ん……スー……

ケイ:(相変わらずはっやっ!)

暫く様子を見てからそっとベッドを抜け出す。

ケイ:修司さん、寝てますよね?
  :じゃあ俺、帰りますから
  :いい夢、見て下さい

起こしてしまわぬよう小声で囁いた。

【2週間後】
ケイ:修司さん、こんばんは〜

修司:ケイくん、こんばんは

ケイ:最近は随分顔色良くなりましたよね
  :(ついでに随分小綺麗にもなったよね)
  :(髪とかしたり髭剃ったりの余裕が出来たなら良かった)

修司:まぁこの頻度で来てもらってれば、な
  :よく眠れて体調も随分いいよ

ケイ:数日置きですからねぇ

修司:負担になってない?

ケイ:ちっとも!
  :ほんとは毎日だって呼ばれたいくらいですけど

修司:ふっ

ケイ:今、笑いました!?

修司:いや笑ってない

ケイ:(確かに顔は笑ってないけど)
  :(ああ、笑ってる顔、見てみたいなぁ)
  :本気で言ってますからね、俺

修司:知ってる
  :いつもあっさり寝落ちる俺は、楽な客の部類なんだろ?

ケイ:ちがっ!
  :いや、違ってないけど、でも!
  :毎日呼ばれたいのは楽だからじゃなくて!

修司:いいよいいよ
  :そっちにもメリットあったほうが気楽に頼みやすいし
  :だからほら、今日も頼むよ

ケイ:もー
  :じゃあはい、ベッド入って
  :てかたまには頭撫でる以外も試しません?

修司:もっと色んなテクを見せつけてやりたい的な話?

ケイ:そう、って言ったら腕枕させてくれる?

修司:いやぁさすがにそれは
  :その、楽してるとか言って悪かったよ
  :だからいつも通りで

ケイ:はーい

頭を撫でてやればゆるりと修司の目蓋が落ちていく。
程なくして寝息が聞こえてきた。

ケイ:(あーあ、もう寝ちゃった)
  :(気持ち良さそうな寝顔だなぁ)
  :(安心して眠ってくれるのは嬉しいけど)
  :(眠るまでが早すぎるよ)
  :(修司さんともっと話がしたいのに)
  :(修司さんが起きるまで、待ってちゃダメかなぁ)
  :(まぁダメに決まってんだけどさぁ)

寝顔を見ながら悶々としている内に終了時間が来てしまう。
帰らなければと思いながらもベッドを出られない。

【朝】
ケイ:(完全に業務違反やらかした)
  :(でももう、ここまできたら)
  :(修司さんが起きるの見届けずにいられないよね)

修司:んんっ……

ケイ:修司さん?

修司:ん……けーくん?

ケイ:(わぁ〜、寝ぼけた声、新鮮!)
  :そうです

修司:あれ?
  :んん??

ケイ:よく眠れました?

修司:うん、それは
  :え、朝?

ケイ:朝ですね
  :おはようございます

修司:えっ!?

修司がガバリと身を起こす。

続きました→

 
 
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俺が眠らせてあげるから1

CHAT NOVEL@CHATNOVEL)さんで公開された「俺が眠らせてあげるから」(リンク先は試し読みのWeb版で3章まで読めます)がアプリで読めなくなったので全文公開します。

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1章 オーナーからの紹介

【ピコン♪】
バイト先のオーナーであるシュンからLINEが届いた。

ケイ
:(あれ、シュンさんからのLINE?)

シュンLINE:突然で悪いんだけど、男性客取る気ないか?

ケイ:(え、ちょ、なんで?)
  :(うちの店、女性専用じゃなかった??)

ケイLINE:本当に突然ですね
     :何か事情があるんですか?

シュンLINE:知り合いが相当ひどい不眠らしくて、つい、
      :うちのキャスト試せよって言っちゃったよね

ケイLINE:あー……で、俺に行けと

シュンLINE:嫌?

ケイLINE:嫌というか、自信ないです
     :男性客取ったことないですもん

シュンLINE:指名No.1の売れっ子が何言ってんの
      :男相手でもケイなら大丈夫って俺が保証するよ
      :というか、うちのキャストではケイが一番
      :あいつと相性良さそうなんだよね

ケイLINE:相性どうこう言えるほど相手のこと知ってるんです?

シュンLINE:学生時代に可愛がってた後輩だからな

ケイ:(シュンさんが可愛がってた後輩かぁ)
  :(それはちょっと気になる)

ケイLINE:なら行ってもいいですけど
     :でもあんまり期待しないでくださいよ

シュンLINE:わかってるよ
      :そもそもお試しだからあまり気負わなくていいぞ
      :ケイでだめならキャスト変えたってダメだろうし

ケイLINE:そうなんです?

シュンLINE:そうそう
      :あいつ最初かなり渋ってたし、そこまで乗り気でもないから

ケイLINE:そんな相手の所へ俺を送り込むんだ……

シュンLINE:嫌な思いさせたら悪いな
      :まぁその分、給料割増で出すからさ

ケイLINE:シュンさんが?

シュンLINE:そう、俺が
      :今回の依頼は俺からって事で頼むよ

ケイ:(シュンさんにここまでさせる相手、ますます気になる)

ケイLINE:わかりましたー
     :コースどうします?
    :依頼者がシュンさんなら、シュンさんが決めるんですか?

シュンLINE:あー、そうだな
      :そこ臨機応変でってのでもいい?

ケイLINE:臨機応変、ってのは?

シュンLINE:相手が眠るか追い返されるかしたら終了みたいな

ケイLINE:あー、なるほど了解
     :終えたらシュンさんに連絡でいいです?

シュンLINE:うん、それで頼む

ケイLINE:じゃあ相手の情報とか希望日とか送って下さい

シュンLINE:わかった

【修司の家の前】
ケイ:(さて、どんな男が出てくるのかな)

チャイムを鳴らして暫く待つ。

【ガチャ】
ケイ:初めましてケイです!

修司:……

ボサボサ頭に無精ひげの陰気な男だ。
ジロリと見られて怯みかけるが笑顔を保つ。

ケイ:(あーこれは……)
  :(確かにやばいレベルで睡眠取れてない感じ)
  :シュンさんからの依頼で伺ったんですけど
  :えっとぉ
  :まずはお家、お邪魔していいですか?

修司:……

男は無言のまま踵を返した。
ケイは男に続いて家の中へ入っていく。

ケイ:おじゃましまぁす
  :(ああ、フラフラしてる)
  :(これ初回の説明とか飛ばしていいかな?)
  :(臨機応変でって言ってたし、いいよね?)
  :あの!
  :いきなりですけどもう布団行っちゃいましょう
  :あ、俺が添い寝するのでダメじゃなければ

修司:じゃ、ぁ
  :ケホッ
  :ここ、が

ケイ:(久しく喋ってないのか……)
  :(この状態なら納得だけど)
  :無理して喋ろうとしなくていいですよ
  :そこが寝室?

頷く男の後に続いて寝室へ入る。
しかし男はベッドの前で立ちすくんでしまう。
ケイは男の隣に立って相手の顔をそっと窺った。

ケイ:(渋ってたって言ってたしなぁ)
  :(でも寝室へ入れてくれたってことは)
  :(全くダメでもないんだよな?)
  :立ってたら辛いですよね?
  :まずはあなただけでも座って、って
  :あー……
  :呼び名対応も出来るんですけど
  :希望の呼び名がなければ修司さんで
  :そう呼んで、いいです?

修司:ん

ケイ:じゃあ修司さん、座って下さい

修司は促されるままベッドに腰掛ける。
その前に跪いて顔を見上げながら。

ケイ:返事は頷くか、首を振ってくれればいいので
  :俺がシュンさんの依頼で添い寝に来たのはわかってますよね

修司:ん

ケイ:俺が横で寝ても、いいですか?

修司:ん

ケイ:そこに薬がありますね
  :今日の分はもう飲みました?

修司:……

ケイ:(薬のせいでぼんやりしてるわけじゃないってことか)
  :えっと、飲まずに寝ます?

修司:ん

ケイ:まぁ薬飲んじゃったら、添い寝で寝れたかわからないですもんね
  :じゃあ目を閉じて、まずは横になりましょうか

修司はやはり促されるまま目を閉じ横になる。
布団を掛けてやりその隣に滑り込んだ。

ケイ:素直ないい子ですね
  :頭なでられるの、嫌じゃない?

修司:ん

ケイ:ん、じゃあ、暫くこうしてるので

修司:スー……

ケイ:(えっ!?)
:(いやちょっと待って、早い)

頭を撫でるのを止めても深い呼吸は変わらない。
そのまま暫く様子を見てみる。
変化がないのでベッドを抜け出した。

ケイ:修司さん?
  :起きてませんね?

【修司の家の廊下】
ケイ:はぁ……
  :(超展開すぎた)
  :(え、で、どうしよこれ)
  :(ま、まずはシュンさんに報告と相談だ)

ケイLINE:シュンさんどうしましょう!!

シュンLINE:何があった?

ケイLINE:修司さん、寝ました

シュンLINE:は?
      :慌てさせんなよ、さすがだな
      :いやでも早すぎないか?

ケイLINE:そうなんですよ!
     :しかも俺、鍵渡されてないんです、まだ

シュンLINE:あれ?
      :用意しとくよう言ったぞ俺は

ケイLINE:それがその、あんまり辛そうなんで寝室直行しちゃって
     :ほとんど会話ないまま眠られちゃって  
     :ていうか、鍵もらい忘れた俺のミスです
     :すみません

シュンLINE:あー……
      :リビング場所わかる?
      :テーブルの上確認してみて

ケイLINE:許可なく勝手にうろついたら問題あるんじゃ

シュンLINE:俺が許可する
      :だから自力で鍵探せ

ケイLINE:はーい

リビングを探して移動する。

シュンLINE:てかそんな酷かったか?

ケイLINE:かなり酷かったですね
     :あ、鍵発見しました

シュンLINE:じゃあそれ使って
      :ポスト入れて帰宅な

ケイLINE:了解です!

シュンLINE:お疲れ様

続きました→

 
 
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俺が本当に好きな方(目次)

CHAT NOVELさんでWeb版が3章まで読めます。
高校同級生。三角関係。全6章+後日談1話。
主人公の祐希は親友隆史への恋心を隠していたが、クラス替えの後、隆史の双子の弟である悟史にその恋情を知られてしまい、更には好きになったと告白までされる。隆史と悟史の間で気持ちを揺らしながらも、最終的には隆史と恋人になります。キスまで。
後日談は隆史視点で、恋人として初めて祐希の部屋を訪れる隆史の話。

1章 双子の弟
2章 隆史に彼女
3章 悟史からの告白
4章 揺れる気持ち
5章 男同士で好きなんて
6章 本当の本当に両想い?
後日談

 
 
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俺が本当に好きな方6(終)

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6章 本当の本当に両想い?

【悟史の部屋】
祐希を押し倒す悟史を見た隆史が、問答無用で悟史を殴りつけた。

祐希:(やばい、さっき以上に怒ってる)
   (なんで隆史が帰ってくるかもって考えなかったんだよ、俺)

悟史:いってぇな!
  :突然入ってくるわ、人のこと殴るわ、何なんだお前!

隆史:何だじゃねぇ!
  :お前こそ祐希に何してんだ!

悟史:泣くから慰めようとしてただけだよ、邪魔すんなよ

隆史:泣かしてんのお前だろ!

悟史:はぁ?
  :俺のせいなわけあるかよっ

隆史:明らかに嫌がってただろうがっ
  :ほら来い、祐希
  :とりあえず俺の部屋に移動な

悟史:おい、横暴すぎんだろ!

隆史:うっせぇ、大事な話があるんだよ

祐希:え、あ、ちょっ

有無を言わさぬ勢いで腕を捕まれ、隆史の部屋へと連れて行かれる。
ドアが閉まると同時にジロジロ顔を見られ、いたたまれずに顔をそらした。

祐希:なんだよ……

隆史:悟史に、何かされたか?

祐希:何か?

隆史:キスとか、それ以上とか?

祐希:な、ないよっ
  :てか押し倒されてたのも、悟史が悪いわけじゃないから!
  :お、俺が、全部悪い

隆史:なんでだよ
  :悟史がお前を好きで、ああなってたなら、お前が襲われてたんだろ

祐希:ちがっ!ちがうから!!

隆史:あんな困った情けない顔してたくせに、なんで悟史庇うんだよ
  :そういやほとんど抵抗してなかったよな?
  :まさか嫌じゃなかったとか?
  :やっぱ悟史が好きなのか?
  :悟史と付き合う気で、だから黙って押し倒されてたのかよ!

祐希:違う違う違うっっ
  :抵抗出来なかったのは理由が……
  :っていうか、本当に、悪いの俺だから
  :ごめん、ごめんなさい
  :(ああくそ、また涙が……)

隆史:おい、泣くなよっ
  :泣いてねぇで、
  :なんで悟史じゃなくて祐希が悪いのか説明しろって!

祐希:だって、俺が……
  :俺が、隆史のこと、好きになったのが悪い

隆史:はぁ?

祐希:ごめん、気持ち悪よな、ほんと、ごめん

隆史:いや、別に、気持ち悪くは……

祐希:泣いてるからって、気ぃ使わなくていいよ
  :男同士で好きとか、俺だって気持ち悪いって思うもん
  :でも悟史はさ、俺が隆史のこと好きって知って
  :逆に俺を好きになってくれたんだよ

隆史:は?なんだそれ?

祐希:隆史に彼女できて落ち込んでる俺を、ずっと慰めてくれてたの
  :隆史の代わりにしていいよって、言ってくれてた

隆史:俺の、代わり……

祐希:そうだよ、悟史、優しすぎんだよ
  :あんまり優しいから、甘えて、甘えすぎて
  :だからさっきのは俺の自業自得なんだ
  :好きって言ってくれる相手に期待させた、俺が、悪い

隆史:あー……
  :それで、嫌とも言えずに、押し倒されてたってのかよ

祐希:ごめん、悟史のことも、俺が悪い
  :俺が誘惑したようなもんだから、気持ち悪いの、俺だけだから
  :俺のことは切っていいからさ
  :だから悟史は許してやってよ

隆史:待て待て待て
  :切っていいって何?

祐希:だって俺と親友続けんの、もう、無理だろ
  :俺、恋愛感情で、隆史のこと好きなんだから

隆史:あーその、俺だって……
  :俺も、祐希が、好きなんだけど

祐希:気ぃ使わなくっていいってば
  :それとも、泣いたから同情してんの?

隆史:違うって、本気で言ってる
  :俺も、恋愛感情で、祐希が好きだ

祐希:ばかっ!
  :そんなの信じられるわけ無いだろ
  :彼女持ちが何言ってんの

隆史:それだけど、俺、彼女とは別れてる

祐希:は?なんで?まじで?

隆史:マジで
  :なんかやっぱ違うって気がして、
  :彼女と遊ぶより祐希と遊びたいなって思うこと増えて
  :そしたら、振られた

祐希:振られたの?

隆史:うん、そう
  :ただまぁお互い様っつうか、
  :向こうもなんか違うって思ってたみたいだから
  :どっちが先に言い出したかってだけの話だよ

祐希:そ、っか……

隆史:それよりさ、彼女と付き合ってた時の違和感の理由、
  :さっきわかったんだよ

祐希:違和感の理由?

隆史:祐希が悟史に好きって言われてるって聞いて、
  :めちゃくちゃ頭に血ぃのぼった
  :絶対許せないって思って、ああ、俺も祐希が好きなんだ、って

祐希:待って待って
  :さっき言ってた許せないっていうの
  :男同士で付き合うなんてありえないって話じゃなくて?

隆史:男同士がありえないとか、気持ち悪いとか、
  :俺は一言も言ってねぇよ
  :なんか、誤解してるみたいだけど
  :俺が許さないって言ったのは、悟史と、っていうか
  :祐希が俺以外と付き合うの、許せそうにないわ

祐希:それって、隆史、俺と付き合いたいの?

隆史:そりゃ好きなんだから付き合いたいに決まってんだろ

祐希:ほ、本気で?

隆史:さっきから全部本気だけど
  :なぁ、信じろよ、俺を

祐希:信じたいよ、信じたいけど、でも……

隆史:俺ら、両想いだぞ?

祐希:うぅっ……
  :(そんな事言われたら……)
  :(また泣いちゃうじゃん)

隆史:泣くなって
  :それとも嬉し泣きか?

祐希:わか、っないっ
  :嬉しい、もあるけどっ
  :でも喜んでいいのか、わかんなくて

隆史:そこは素直に喜べよ
  :でもって、俺を好きだっていうなら、頼むから、
  :俺以外の男には触らせんな
  :さっき、悟史に押し倒されてるの見て、
  :とっさに殴っちゃうくらい嫌だったんだ
  :これからは、俺にだけ、触らせてよ

祐希:隆史だけ、って……
  :本気で俺に、そんなことしたいって思うの?

隆史:好きなら当然だろ

祐希:男同士なのに……

隆史:まだそれ言うかよ
  :好きって気持ちに性別なんか関係ないだろーが

祐希:(おんなじこと、言ってる……)

隆史:っつーかそんな気になるなら試してみりゃいいんじゃね?

祐希:試すって?

隆史:んーじゃあ、キスでもしてみる?

祐希:き、きす!?
  :俺が相手で出来んの??

隆史:出来るよっ

引き寄せられたかと思うと、唇にふにっと柔らかな感触が押し付けられる。

祐希:(あ、隆史とまじで、キス、してる……)
  :(どうしよ、嬉しい)
  :(気持ち悪いとか、全然思えない)

隆史:ほら出来た
  :俺は全然気持ち悪くなかったぞ
  :むしろめっちゃ良かったしもっとしたい
  :祐希は?

祐希:お、俺も、嬉しいばっかりだった

満足げな顔がまた近づいてきて、何度もちゅっちゅと唇をついばんでいく。

祐希:(隆史のキス、すげー気持ちぃ)
  :(男とキスなんてしたら、もっと気持ち悪いはずって思ってた)
  :(実際はこんなにも満たされてる)
  :(ごめん悟史、俺、やっぱ……)
  :(隆史じゃないと、ダメみたいだ)
  :隆史、俺……

隆史:好きだよ祐希、俺と、付き合ってよ
  :なぁ、頼むから

祐希:うん

やったぁと満面の笑みを浮かべる隆史に、これからは恋人としてよろしくと返して、後で一緒に悟史に謝りに行こうと笑いあった。

<終>

後日談を読む→

 
 
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俺が本当に好きな方5

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5章 男同士で好きなんて

【夜の住宅街】
半泣きで隆史から逃げ出したものの、とても自宅へ戻る気にはなれない。

祐希LINE:悟史、今どこにいるの?

悟史LINE:どこって、家にいるけど

祐希LINE:わかった、今から行く

悟史LINE:なんだよ突然
     :何かあったのか?
     :おーい、祐希?
     :ダメだ、携帯見てないな

【悟史の家の前】
祐希LINE:家の前、着いた
     :ごめん、携帯見てなくて

悟史LINE:いーよー
     :ちょっと待ってろ迎えに行く

数分と経たずに目の前のドアが開き、祐希を見て驚いた悟史に手を引かれるまま、部屋へと連れて行かれる。

悟史:ほら入って
  :てかマジで何があった?

祐希:その、隆史に呼び出されて……

悟史:やっぱ隆史か
  :で、何言われて泣いたんだよ

祐希:泣いては、ない

悟史:ウソつけ、目ぇ真っ赤だっての

祐希:まだ!泣いてない!

悟史:あーつまり、今から泣く?
  :あれ?もしかして泣きに来た?

祐希:そゆこと言うなよっ

悟史:あ、図星?
  :ははっ、なんか嬉しいな
  :俺のとこ来てくれてありがと

笑われて緊張が緩むと同時に、こらえていた涙がボロリとこぼれ落ちた。

祐希:も、ほんと、ばかぁ……

悟史:胸なら貸すけど?

祐希:そんな、の、要らなっ

悟史:泣きに来といてつれないなぁ

祐希:泣き、きたんじゃ、な、っい

悟史:ん、じゃあほら、ティッシュ
  :でもって、そろそろ聞かせて?
  :隆史に、いったい何言われた?

祐希:その……
  :悟史と付き合うなんて許さない、って

悟史:え、ちょ、待って
  :俺と付き合ってくれる気、あるの?

祐希:いや、ちがっ、デートが!

悟史:デート?

祐希:悟史と週末デートするみたいなこと言っちゃって
  :これ、お前がデートって言いはるからだぞ!
  :止めろって言ってんのに

悟史:あー、うっかり言っちゃったって話か

祐希:で、なんか色々ごまかせなくなって……
  :悟史に好きって言われてるってこと、言った

悟史:そしたら俺とデートするなって?

祐希:というより、男同士だぞ!?って驚いてた
  :その後、許せないって言ってたから、その、ゴメン……

悟史:いや、謝られる意味がわかんないんだけど

祐希:だってこれから先、きっと悟史も
  :隆史に気持ち悪いやつって、思われる
  :だから、ゴメン

悟史:え、気持ち悪いって言われたのか?

祐希:直接そう言われたわけじゃないけど
  :お、男同士で好きだとか、そんなの気持ち悪いって
  :絶対そう、思ってる
  :(俺に向かってあんな怒ったの、初めてだった……)

思い返したせいでまた涙が溢れてくる。
涙を拭いながら必死で言葉を続けていく。

祐希:それに俺だってわかってるんだ
  :男同士で好きだなんて、頭おかしい
  :そんなの気持ち悪いに決まってる、って
  :(わかってても、自分が思ってるだけならまだ耐えられたけど)
  :(好きな相手にそんな態度見せられるのはやっぱ……)

次々と流れ落ちてしまう涙に俯けば、そっと悟史の腕に抱きしめられる。
体は跳ねてしまったが、黙って受け入れ、跳ね除けることはしなかった。

祐希:(優しい悟史に黙って甘えてる俺って)
  :(……ほんと、ずるい)

悟史:なぁ……

祐希:ごめん……

悟史:謝んなくていいけどさ
  :でも、聞いておきたいことあるんだけど、いい?

祐希:うん

悟史:俺のことも、頭がおかしくて気持ち悪い奴だと思ってる?
  :だから付き合ってくれないの?

祐希:そ、れは……
  :(違うって言いたいけど)
  :(好きって言ってくれるのに好きになれないの)
  :(隆史に似てるからだけじゃないのかも?)

悟史:こんな風に頼ってくるのに、俺じゃダメなの?
  :祐希を好きになったせいだ、って言うならさ
  :俺はどうしたらいいんだろうな?

祐希:悟史の気持ち知ってて、甘えて……
  :甘えるばっかで、本当、ごめん
  :こんなの、よくないよな

悟史の腕から抜け出そうともがくが、逆にギュッと抱きしめられてしまう。

祐希:悟史?

悟史:謝られたいわけじゃない
  :人を好きになる気持ちに性別なんて関係ないだろ
  :気持ち悪いなんて思わないし、思って欲しくないよ

祐希:うん……
  :(でもそんな簡単に、変われないよ)
  :(俺も、きっと、隆史も……)

悟史:祐希を好きになって、俺は幸せを感じてるよ
  :だからこそ、祐希にも俺を好きになって欲しい

祐希:それは、やっぱ俺には難しい、よ
  :ごめん、だから、ねぇ悟史
  :そろそろ放して欲しいんだけど……

悟史:この幸せを祐希にも教えたてやりたいんだ

祐希:そんなこと言われたって、困る
  :っていうか、放せってば!

悟史:隆史の許しなんて必要ないし、何を言われようが俺が守るよ
  :だからさ、祐希……

グラリと体が傾いで、気づけば悟史に押し倒されていた。

祐希:え、ちょっ、なにを……

悟史:わかんない?

祐希:わかりたく、ない、かも

悟史:俺にしとけよ
  :俺なら祐希泣かせたりしない
  :俺の気持ちを利用して、甘えまくればいい

祐希:それは、ダメだろ

悟史:祐希はそう言うけど、でも俺はそれで幸せ感じてる
  :だからダメじゃない

祐希:でも……

悟史:好きな子にさ、泣きたいって時に頼られて
  :目の前で泣かれて、腕の中でも泣かれたら
  :こんなのダメだとか、俺を好きになるの難しいって言われたって
  :やっぱ期待はしちゃうもんだよ?

祐希:(それは、そうかも……)
  :(ああ俺、ほんと、何やってんだろ)
  :(こんなの絶対ダメって思ってんのに)
  :(優しい悟史に甘えまくった自業自得じゃん)

悟史:もっと慰めても、いい?

祐希:(ダメって言いたいけど、言えないよ……)
  :(ああでも、やっぱ気持ちは受け入れられないし)
  :(なんか怖い……)

遠くから慌ただしい足音が近づいてくると、ノックもなく突然部屋の扉が開かれる。

隆史:おい、祐希来てんのかっ
  :って何やってんだお前ら!?

続きました→

 
 
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