罰ゲーム後・先輩受2

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 お前どこまであいつに本気なのと、割合真剣な口調で聞かれたのは、二週間学食奢りの最終日である土曜のランチタイムだった。
 バスケ部の彼らはこの後部活で、自分はいつも通り教室に戻ってそれが終わるのを待つ予定だ。もちろんここに居る誰かを待つのではなく、正式に恋人となった男を待つためだけれども。
 つまりここに居る彼らは、自分よりも恋人であるバスケ部後輩のほうが付き合いが深い。ほとんどが中学時代にバスケを通じて知り合った顔見知りという感じで、はっきり友人なのは今もクラスが同じ一人だけだからだ。
 全く面識のなかった一年生男子と、知り合ってから一ヶ月足らずでごっこのつかない恋人になってしまったのは、彼らが仕組んで始めた罰ゲームがキッカケなわけだし、彼らからすれば、大事な期待の新入部員が自分たちのせいでヤバイ男に引っかかってしまった的な捉え方をしていてもおかしくない。というか多分その認識は間違ってない。
 だからもし、自分たちの交際に真っ向から反対してくる誰かが居るとしたら、彼らだろうと思ってはいた。いまのところ交際をぶち壊す気満々の敵意は感じていないけれど。
 今このタイミングなのは、来週からは揃って昼飯を食べることもなくなるから、その前に色々はっきりさせて置こうという感じなのかもしれない。
「どこまで、って、普通に本気でお付き合いしてるけど。というかこれ言うの二回目じゃない?」
 恋人宣言のあった日のランチタイムも、同様の質問をされていた。もちろんあの時も、本気で恋人になるよと返したはずだ。ただ、彼らの真剣さは格段に違うこともわかってはいる。あの時はほとんどが冷やかしで、大半が遊びの延長と思って言っているようだった。
 この様子だと、女の子の恋人と過ごすよりも気の合う後輩とつるんでる方が楽しいから女の子からの告白避けに恋人になっちゃいました、という誤解は解けてしまったか、もしくは疑う程度には真実が見えてきたんだろう。
 交際宣言から一週間と半分ほどが経過しているが、それが早いのか遅いのかはわからない。こちらからすれば、恋人となったのだから恋人として接しているというだけなのだけれど、罰ゲーム中には見せなかったような姿も一部晒しているようで、それが各所に波紋を呼んでいるらしいのは知っていた。
 ただ、罰ゲームじゃなくなったからと言って、元々学年も違う相手と校内でそうそうイチャつけるわけもなく、何を指して言われているかは若干不明でもある。そもそも、憶測で膨らんだ噂もあるに決まってる。
 しかも情報源は恋人なので、かなり厚めのフィルター越しに情報が伝わっている可能性も高かった。だって正直、自分自身の噂なんてどうでもいいのだ。ただそれが恋人になった相手へ向かうのはやはり申し訳ないと思うから、自分と恋人となったことで嫌な思いをしていないか尋ねていると言うだけで。
「それってさ、今までの彼女と扱い一緒って意味であってる?」
「一緒……ではない、かなぁ。さすがに男の恋人は俺も初めてだし、あっさり振られないように慎重にはなってる」
 周りに何か言われてないかと気にかけるのだって、その一つだと思う。今までの彼女相手なら、自分と付き合うことで何か言われるの込みで告白してきたんでしょってスタンスだった。
「でも校内でキスとかしてるって、噂になってんぞ」
「あー……まぁ、したいって言われて断る理由もないかなって、思って」
 認めれば、事実かよと何人かが項垂れたので苦笑する。
 あいつなら男相手でも校内でキスくらい平気でするだろって思われての、証拠なんてない、完全に単なる噂だったんだろう。そんな気はしていたから否定しても良かったんだけど、でも、事実か嘘かで言えば事実ではある。
 だって平日に家に寄って貰うことはないから、別れ際の駅前に高身長の制服男子二人がイチャツイてる姿を晒すより、自分たちが恋人として付き合っているという事実がそこそこ広まっている校内でイチャツクほうがまだましだろと思うのだ。
 なお彼女相手にはちょっと触れる程度のキスに、場所なんてものを考慮したことはほとんどない。学校から駅までの道のりだって、手を繋いだり肩を抱いたりとそれなりにスキンシップが取れていた。
 だから正直、校内でちょっとキスする程度じゃ、全然足りないくらいなんだけど。あまり派手にイチャツイて余計な噂が立つのも嫌で、これでも我慢してる方なんだけど。らしくなく慎重なのは、相手にそれだけ本気ってことだと自分では思ってるんだけど。
 いやでもそう思うと、ごっこではなく正式に恋人となったことで、相手に対するスキンシップ欲求は格段に上がっているようだ。罰ゲーム中も週末家の中で何度もハグして貰っていたけれど、校内で、家にいる時のように抱きしめて欲しいなんて思ったことは一度もなかった。
 罰ゲーム開始からずっと変わらず、部活終わりに教室まで迎えに来た相手が、自分たち以外誰もいない静かな教室で、キスしていいですかと初めて言ったのはいつだった?
 初めて恋人として週末を過ごした後の、今週月曜日だったはずだ。キスしていいかと聞かれたのは初日だけで、それから毎日、教室を出る前に軽いキスを一つ落としてくる。
 甘えたいの内容が、キスしてではなくキスしたいだった過去があったから、甘えられているのかと思っていたけれど、どうやらそれは勘違いだったらしい。

続きました→

 
 
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罰ゲーム後・先輩受1

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 罰ゲームを開始して一ヶ月経過した日の一限終了後、最初のあの日を真似たのか、わざわざこちらの教室まで尋ねてきた相手は、これで罰ゲームは終了でいいですよねと聞いてきた。
 こちらがいいよと返す前に、罰ゲーム期間は最低一ヶ月であって、上手く行ってるなら別に続けてたって良いんだぞと横槍を入れてきたのは、同じクラスのバスケ部員でこの罰ゲームを仕組んだうちの一人でもある。
「はい。だから、終わるのは罰ゲームだけっす」
「ん? どういうこと?」
 不思議そうな顔をするバスケ部員からこちらに向き直り、真っ直ぐに見据えてくる真剣な顔から、彼の思惑ははっきりと伝わっていた。罰ゲームを終えたら本気の告白をしに行く、とは言われていたのだから当然だ。ただ、教室でどうどうと、あえて周囲に聞かせるような告白をする、などとはもちろん聞いていない。
「一応聞くけど、時と場所とを選んで、この状況?」
「そぉっす」
 考えなしに突っ走るようなタイプではないのは、一ヶ月の恋人ごっこ期間で重々承知していたけれど、はっきりきっぱり肯定されて苦笑した。
 きちんと考えた結果ならいい。彼とごっこの付かない恋人となる覚悟はとうに出来ている。
 今更どんな噂がたとうと気にはしないし、周りにはっきりと知らせてしまったほうが減る面倒事もあるだろう。逆に増える面倒事もありそうだけれど。
「じゃあどうぞ」
「好きです。今度は罰ゲームとしてじゃなく、俺と、付き合って下さい」
 促せば、あの日と同じようによく通る大きな声が教室内に響いた。ざわつきがピタリとおさまり、シンと静まり返ってしまった教室内では、多分ほとんどの生徒が自分の返答を待っている。
「いいよ。じゃあ今度はちゃんと恋人として、宜しく」
 瞬間、教室内に喧騒が戻った。ぎゃーとかマジかとかの声は、明らかにこちらの返答に対する反応だろう。
「おいおいおい。マジかよ。罰ゲームで本気になったとかあんの? え、男同士で?」
 はっきりと声を掛けてきたのは、もちろんすぐ傍らでこの告白劇を見ていたバスケ部員の友人だ。
「まぁ実際、罰ゲームうまく行ってたからね。なんとなくダラダラ罰ゲーム続けるより、恋人になるならなっちゃってもいいかなって」
「いやいやだってお前、罰ゲームの恋人と本気の恋人って違っ……わない、のか?」
「そりゃ違うでしょ。恋人は恋人だからね。罰ゲームで仕方なく一緒にいるわけじゃないからね。こいつと破局するまでは他の告白は受けないよって、周りに知っててもらうのは悪くないかなって思って」
「いやそーゆーの聞いてるわけじゃなくて。あ、でも、これがお前らのパフォーマンスなのはわかった」
「じゃ、そゆわけなんで、今後も宜しくお願いしまっす」
 その宜しくはどちらかというと自分よりもバスケ部の先輩宛という気がしたが、晴れて恋人となった相手を放置で話す自分たちへ一度深々と頭を下げてから、彼は次の授業があるのでと言って教室を出ていった。
「あっけねー。つかあれ、本気の告白して、本気で好きな人と恋人になりました、って態度じゃなくね?」
「そうかな?」
 教室での告白を許可して、皆の前で恋人宣言したことを、結構嬉しそうにしていたと思うんだけれど。いやでも平然を装っている感じはあったかもしれない。
 結果的に、このバスケ部友人は完全に暫く女の恋人は要らないというパフォーマンスと受け取ったようだし、それが彼の狙いだったなら大成功じゃないか。でもそう思うと、ちょっとだけ何かが悔しい。
 だってお互いちゃんと、恋愛をするつもりで恋人になったのだから。決して、男同士つるむのが気楽でいい、なんて気持ちで恋人になったわけじゃない。
「まぁでも罰ゲームは確かに終了で、恋人は恋人だから」
 少しばかりムキになって告げれば、それはわかったからと軽くいなされますます冷静さが失われていく気がする。キスもするし抜き合うし、それ以上のことだってちょっと狙ってるくらい、本気で恋人なんだけど。と口に出しかけた所で、さすがにマズイとどうにか言葉を飲み込んだ。
 本気で男同士で恋人になりました、というよりは、気が合う後輩と親しくしてるのが楽だから暫く女の子とお付き合いする気はないです、って思われていたほうが絶対いいに決まってる。

続きました→

 
 
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親睦会(目次)

キャラ名ありません。全18話。
< 寮で親睦会をかねて鍋を囲んでいたら友人が襲われていて、その横で自分もまた違う男に襲われていてのちに二組のカップルが出来る話 > というお題を頂いて書いたもの。

セックスは上手いが色々酷いバツイチ先輩 × 流されやすくて御しやすい色々無頓着な貧乏人(視点の主)
童顔かわいい系先輩 × 童顔先輩に恋する視点の主の同期
の二組のカップルが出てきますが、童顔先輩と同期のカップルについては前半軽くしか出てません。

寮住まいの先輩社員に恋してしまった同期に情報提供していた寮住まいの視点の主が、同期が寮へ引っ越してきた際の親睦会で酔い潰されて、同期が恋する先輩とは別の先輩相手にアナル処女喪失。
あっさり想い人と恋人となった同期を横目に、視点の主はずるずるとセフレのような状態でセックスを繰り返す。やがて攻めを好きになってしまうが、相手の態度から想いが報われないことはわかりきっていて、辛く感じることが増えていく。
そんな中、急に誘われた温泉旅行で攻めの過去やなぜ抱き続けるかなどを聞かされ、謝罪と共に優しくされる。今後の二人の関係をどうするかという話は、結局視点の主が泣き疲れて眠ってしまったため中断するが、一週間後、気持ちの整理をつけたという攻めに付き合って欲しいと言われて恋人になります。

下記タイトルは内容に合わせたものを適当に付けてあります。
性的なシーンが含まれるものはタイトル横に(R-18)と記載してありますが、中盤風呂場での描写はかなり控えめ。優しいエッチはありません。

1話 親睦会で鍋
2話 気づけば抱かれてた(R-18)
3話 幸せそうな同期
4話 温泉に誘われる
5話 大浴場から戻ったら
6話 一緒に昼寝
7話 起きたら一人
8話 様子がおかしい相手と夕食
9話 夜中の露天風呂
10話 最後のセックス宣言(R-18)
11話 揺れる思考と気持ちよさのない指(R-18)
12話 泣いたら優しい
13話 バツイチ
14話 重ねて見ている
15話 試していた
16話 好きの出処
17話 泣き疲れて眠る
18話 恋人に

 
 
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親睦会18(終)

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 今後のことは帰ってから話そうと言いながらも、そんな時間が取れたのは翌週末の日曜の、それなりに遅い時間だった。
 相手は土曜の朝からその時間まで何処かに出かけていて、一応出かける前には一言貰っていたのだけれど、どこへ何をしに行くのかなどは一切聞いていなかったから、こんな時間に悪いと言って部屋を訪れた相手からの報告には驚かされた。
 お前と今後のことを話す前に気持ちにケリ付けたくてと言った相手は、元嫁と元間男に連絡を取って、わざわざ会ってきたらしい。その後結局二人が結婚したことも、随分と遠方に引っ越していたことも、今回初めて知ったそうだ。
 わざわざ部屋を訪れて報告してきた割に、何故会いに行ったのか、気持ちのケリが何なのか、会って何を話したかなどの詳細はほとんど話さなかったけれど、現実の元嫁と元間男が動いて話すのを目にしたおかげで随分スッキリ出来たという言葉に嘘はないだろう。
「それでだな、色々スッキリ出来たから、俺は多分もうこれで、元嫁やら元間男やらをお前に被せて混乱することはないと思う。後はお前の気持ちと向き合うだけだけど、この一週間でお前も何か考えたか?」
「あんまり。というかもう、どうでもいいかなって思っちゃってる部分もあって」
 思った以上に、好きだという気持ちが胸に湧いてしまっている現状を相手に知られたことと、その気持ちに対してありがとうと言って貰えたことと、彼の腕の中で泣き疲れて眠ったことで満足してしまっていた。ほんの一瞬でも、どうしようもなく持て余していた想いを優しく慰められたことで、ササクレだっていた気持ちが凪いでしまった。
 相変わらずチョロい自覚はある。
「どうでもいいってどういう意味で?」
「あなたがこの関係をどうしたいのかわかんないですけど、取り敢えず提示されたものに従えばいいかなって思ってる。って意味ですかね」
 このまま終わりにしようでも、今までみたいにセフレっぽく続けようでも、どっちでも良いなと思っていた。強いて言うなら、どっちになってもたまには食事に連れ出して貰える程度の、そんな関係でいられたらいいなとは思う。
「え、っと、投げやりになってる? ……って感じでもないよな?」
「あー、はい。なんていうか、あの日もですけど帰ってからも、それに今もですけど、あなた俺に優しい顔を見せてくれてるから、あなたにされた酷いことに関してはもう良いかなって。酷いことされたって言っても、本当に酷かったのは酔い潰して勝手に突っ込んだ最初だけで、後は拒まず受け入れてた俺の自業自得も大きいし、セックス気持ちよかったのも事実、ですしね」
「人がいいのか欲がないのか、なんつーか、お前って、怒りが持続しないタイプではあるよな」
 さんざんそこにつけ込んどいて今更だけどとこぼす相手に、こちらも苦笑交じりにですねと肯定を返した。チョロい同様、もちろん自覚はある。
「自業自得で納得しちまったなら、俺への気持ちも自分で処理済みか?」
 今度は自分が、どういう意味かと尋ねる番だった。
「あれは勘違いの思い込みだったって納得しきったら、俺を好きって気持ちはもう無くなったか?」
「しんどくて、辛くて、切なくて、って感じではなくなったので大丈夫ですよ」
 想いの出処が問題とは言われているけれど、それは同時に、好きと思ってしまったのは仕方がないって意味にも思えたし、ありがとうと言って貰えたから、この感情を強く否定する必要もないのだろう。そう思ったら、随分と胸が軽くなった。
「それ、質問の答えになってないぞ」
「なくなってはいないですけど」
 でもこのまま終わりにしようって言われても多分大丈夫。とまでは続けないでおいた。相手の様子からすると、決して終わりたがってるわけではなさそうだからだ。
 現に、なくなってないと告げた後、随分と安堵したようだった。
「じゃあ俺と付き合って」
「は?」
「付き合って」
「えっ?」
「セックスは出来ても恋人にはなれない、みたいな何かがあるなら言って」
「えっ?」
 唐突過ぎて、あまりの驚きにまともに言葉を返せないこちらに、相手は少し呆れ顔だ。
「こう言われる可能性、全然考えなかったのか?」
「ええ、まぁ。せいぜい、今まで通りご飯食べてセックスする関係がこのまま続くかな程度で」
「お前がそうしてってなら、それでも良かったんだけどな。さすがに今までと同じセックスは無理だけど」
「そうなんですか?」
「でもどうでもいいんだろ? 取り敢えず提示されたものに従うんだろ? だったら俺と付き合って」
「え、なんで……」
「お前の事が好きだから」
「え、嘘?」
「ここで嘘つく意味がないだろ」
 やっぱり呆れた様子でそう告げた相手は、今すぐ返事を決めなくていいから考えてと言って言葉を続ける。
「お前が色々知った後でも俺を拒絶しなかったら、一旦全部やめて白紙の状態から、もしくは今までとそう変わらない関係の中、お前の気持ちがどう変わってくか見守るつもりだった。想いの出処が問題だと思ってるのは今もだし、今後俺がお前に優しくし続けたら、いつかお前は俺が好きだったなんて錯覚だったと自覚するかもしれないと思ってる。でも今現在、お前がまだ俺を好きだと思ってるなら、そして俺との今後の関係をどうしたいかの希望が俺任せなら、俺はお前の恋人って立場で、お前の気持ちが錯覚だったとならないように繋ぎ止めながら、お前の気持ちの変化を見守りたい」
「罪悪感とか責任感とか」
「じゃないって。そういう気持ちだけなら、誠心誠意謝罪して、金積んで許しを請うって教えたろ」
「じゃあ、あの時言ってた、それだけじゃない部分って……」
「あの時は、お前を好きだって言い切れなかった。でも気持ちにケリつけてきた今はもう言える」
 俺もお前を好きになってたよと困ったように笑うから、今すぐ決めなくていいと言われたけれど、あなたの恋人になりたいと返していた。

<終>

最後まで遅刻続きですみません。2カップル成立ということで、取り敢えずここでエンドとさせて下さい。

 
 
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親睦会17

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 この気持が錯覚の思い込みだったとして、じゃあどうすればいいっていうんだろう。話を聞いて、そうかもしれないと思ってしまった所で、そうか別に本気で好きってわけじゃないのかと、あっさり気持ちが覆ることなんてない。
 こんな男を好きになっただなんて、やっぱり気のせいで勘違いで思い込みだったのだと、安堵して喜ぶ気持ちよりも、相手からそう指摘されたこと、相手がそう思っていること、そしてそれを自分自身が受け入れてしまったことへのショックの方がはるかに強かった。
 胸が締め付けられるように苦しくて、浅い呼吸を繰り返す。相手はそれを何も言わずにただジッと見守っているだけだった。
 相変わらず眉尻を下げた困り顔をしているようだったが、その顔を見てもぐちゃぐちゃの感情が更に乱れるだけと気付いてそっと視線を机に落とす。これ以上泣き顔なんて晒したくないのに、なんだか泣いてしまいそうだった。胸が軋んで目の奥が痛くなって、ますます顔を俯ける。涙が溢れてしまわないように、キツく瞼を閉ざした。
 机を挟んで対面に座っていた相手が立ち上がる気配がする。そのまま机を回り込んで近づいてくるのはわかったが、顔は上げられなかった。身構えるように体を固くして、相手がどうするのか気配を探り続ける。
 結局すぐ隣に腰を下ろした相手が、そっと背中に手の平を押し当ててくる。はっきり緊張はしていたし、それはその手から相手にも伝わっただろうけれど、その手を振り払うことはせず、口で何かを言うこともしなかった。もしくは出来なかった。
 まるでこちらの様子を窺うようにしばらく背を撫でていた手がやがて肩へと移動し、ゆっくりとした仕草ではあったものの、引き寄せるようにじわりと力をかけてくる。迷ったのは一瞬で、抵抗はしなかった。
「想いの出処は問題だと思ってるけど、既に自覚があるお前の想いを否定したいわけじゃない。好きだと思ってくれて、ありがとう。辛い想い抱えさせた上に、それに気づくのも遅くて、本当に、ゴメン」
 抱きしめられた腕の中、柔らかな声音で告げられた言葉で涙腺が決壊した。
 相手の肩口に目元を押し付けて、涙が溢れ出るまま子供みたいにわんわん泣いた。相手はありがとうとゴメンを繰り返しながら、抱きしめ続けたまま、時折宥めるように背を擦ってくれてもいた。少なくとも、記憶が途切れる直前まで、ずっと。
 色々なものに目を背けていたせいもあるけれど、色々な情報を一度に受け取って処理許容量を超えて脳が考えることを一旦放棄したのか、泣いて緊張の糸が切れたのか、どうやら泣き疲れて寝たらしい。
 気付いたら布団の上で、しかも夜が明けたのがわかる程度に部屋の中は明るかった。
 上体を起こして布団の上に座ったまま、ぼんやりと昨夜へ思いを馳せる。正直、相手の話は多分まだ途中だったし、なんの結論も出ていないけれど、泣ききったせいかどこかスッキリとしてもいた。
 眠りに落ちる寸前、これからのことは、これからゆっくり考えていこうと言われた気がする。相手にもう眠りなと促されたことも、焦って色々聞かせてゴメンと言われたことも、なんとなく覚えている。
 そう言って泣き疲れた自分を寝かしつけた相手の姿は部屋にない。
 立ち上がって部屋を区切る襖を開ければ、座卓に突っ伏す背中が見えた。起こして少しでも布団で横になって貰った方がいいのか、起こさず少しでも睡眠を取ってもらったほうがいいのか迷いながら近寄れば、気配に気づいたのか相手が身を起こして振り返る。
 寝不足がありありとわかる酷い顔をしていた。
「おはようございます」
「ん、はよ」
「ずっとこっち居たんですか?」
「まぁ、色々な」
 過去の反省でもしていたのか、今後の自分たちのことを考えていたのか、それとも自分の隣で寝る気になれなかったって話なのか。その色々を聞いて欲しいって感じでもないし、もちろんこちらも追求する気はない。
「酷い顔してますよ。朝食まで、少しでも布団で寝たらどうです?」
「あー……お前はどうすんの」
「ちょこっと朝風呂します」
「そっか。じゃ、朝飯の支度整ったら起こして」
 わかりましたと返せば、相手は立ち上がって寝室スペースへ移動するようだった。
「色々あったけど、せっかく来たんだから取り敢えずお前は風呂と飯、堪能しきって。後のことは帰ってからゆっくりな」
 すれ違いざま一度足を止めた相手に、そう言われながらポンと軽く肩を叩かれて、フッと体の力が抜ける。普段通りを意識しすぎて、少しばかり緊張していたらしかった。
「はいっ」
 振り向いて、思わずで力強くそう返す。多分、笑っても居たと思う。
 既に寝室スペースの襖に手をかけていた相手は、一瞬ビックリしたように目を瞠ったけれど、すぐに安堵の滲むどこか満足気な顔で頷かれた。

続きました→

 
 
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親睦会16

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 自分の気持ちも試してたんだって言ったろと続けた相手は、今更なのはわかってるけどお前に優しくしたいとも続けていく。だからそれが罪悪感と下心からだろって話なのに。
「あー、難しいな。どう言えばいいんだ」
 何言ってんだというこちらの気持ちに気づいたようで、相手はますます困った様子で考え込んでしまう。
「だからさ、例えば罪悪感と恨まれたくない下心、だけ、ならお前に優しい態度取る必要ないだろって話なんだけど」
 だけって部分をいやに強調した言い方だった。
「お前への謝罪の気持ちだけなら、酷い真似してたって自覚出来たからもう止めるって言って、謝って、誠意って形で慰謝料包んで終わりにする。それでお前の気が済まない場合、俺の顔を二度と見たくないってなら寮を出るとか、仕事辞めるとか、そういう話に発展する可能性はあるけど、謝罪の意思とお前に優しくしたいは違うものなんだよ」
「優しくするのは罪悪感と恨まれたくない下心から、って言ったのあなたですけど」
「だーかーらー、それ ”だけ” じゃないって話だろ」
「でもその ”だけ” じゃない部分、言わないじゃないですか」
 自覚はあるようで、一瞬、言うかどうかを迷う素振りを見せた。けれど結局、その口から次の言葉が告げられることはない。
「結局言えないんですか」
「だってお前に、俺を好きって自覚あると思ってなかった。ついでに言うと、お前の食いついてくる部分が一々なんか俺の想定とズレてて、わかってて話逸らしてるのかと思ったりもして悩んでる」
 彼の何かをわかっていて、意識的に話をズラしているつもりはないけれど、彼の過去も後悔も自分への謝罪も、積極的に聞きたいわけじゃない自覚はある。だから、無意識に避けようとしている可能性はあるし、実のところ、相手の真剣具合に比べたら、そこまで真剣に彼と向き合っているとは言えない状態にあるのかもしれない。
「わざと話を逸してるつもりはないですけど。それより、俺にあなたを好きって自覚があると、何かマズイんですか?」
「マズイっていうか、そもそもお前に自覚があってもなくても、その好きの出処が問題だと思ってて、既に自覚があるってなるとさすがに慎重にもなる」
「好きの出処……ですか」
 なんでこんな男を好きなのかなんて、本気でわからないのだけれど。それとも相手には、何かしら理由となるものがわかっているんだろうか。
「俺の何を好きか、わからないんだろ?」
「あなた自身、なんだって俺なんか、って言ってたじゃないですか。それくらい、オカシナ感情だってことはわかってますよ」
「うん。だからそれさ、多分、本当には好きなわけじゃないと思う」
「は?」
 意味がわからなすぎて、咄嗟に口から溢れたのは疑問符の乗った音だけだった。気持ちを落ち着けるように、一度深い呼吸をしてから再度口を開く。
「どういう意味ですか」
 深呼吸はしたものの、それでも結局、言いながら相手のことを睨みつけてしまった。
 だって本当に勝手だ。この胸の中のしんどい気持ちが、あの切ない胸の痛みが、相手にどれだけわかるって言うんだろう。
「多分自己防衛本能みたいなものの一種でさ、酷い目にあってメチャクチャ傷つくと、わざと似たような経験繰り返して、こんなの大した事ないって思い込むようなやつ。の発展形で、酷い形で始まったセックスでも、ずっと続けてられるのは相手のことが好きだから、好きでもない相手とセックスしてこんなに気持ちいいはずがない、って思い込んだ……のかと思ってる」
 お前が誰相手でも気持ち良くなれるのかって方向に走って、色んな男に抱かれる経験積み始めるよりは、好きだからって思い込んでくれて良かったけどと続いた声は、既にどこか遠くの方で響いている感じがした。
 頭の中がグラグラと揺れている。彼の言葉にショックを受けたのだと言うことに気付いて、それから、なぜこんなにもショックなのかと考え、彼が告げた理由を心の何処かで正解として受け入れたせいだと思い至った。

続きました→

 
 
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