就職を機に逃げたけれど本当は

キスのご褒美で中学生の成績を上げています → 脅されて高校生に買われています からの続きです。

 代引きで通販という手を覚えた彼が、アパートの住所宛にあれこれとアダルト商品を通販し始めたのは、彼が高校1年の終わり頃だった。
 就職が決まって引っ越しをする時にそれらのグッズは全て廃棄したけれど、結局、頻繁に使用されていたいくつかを、今度は自分の意志で購入してしまった。

 床に取り付けた吸盤付きディルドをまたいで、ゆっくりと腰を落としていく。準備はしてあるが、敢えてあまり解すことをしていない。簡単には飲み込めないそれを、体重をかけることで半ば強引に埋め込んでいく。入り口がめりめりと軋むようで、強い拡張感と圧迫感にあっさり歓喜の声がこぼれ落ちる。
「ふぁっ……んぅ、…は、はふぁああん」
  耳の奥で、ここには居ない彼の声が響いた。
『また声漏れちゃってるよ、センセイ』
 ふふっと笑うかすかな声と気配を思い出しながら、きゅっと唇を噛み締めた。
『さ、じゃあ、少しずつ動いてみよっか。馴染んでないから最初はゆっくりね。はいっ』
 耳の奥に響く手拍子に合わせて、腰を上げて下ろしてを繰り返す。
「ふ、ッ…ぁあっ、…ァっ、アアっ……」
『声、ぜんぜん抑えられてないね。俺に塞いで欲しくてわざとやってるの?』
 首を振って、再度唇を噛み締める。しかしやはりこぼれ落ちてしまう声は、やがて仕方がないなという言葉共に彼の唇で塞がれた。
 口の中を彼の舌でいじられる感触を出来る限り思い出しながら軽く口を開き、彼の舌を辿るように、自らの口内を舌先でくすぐる。
『動きとめちゃダメだよ、センセイ。ほら、さっきのリズム思い出して』
 動きを止めるとキスは中断され、もう一度手拍子が始まった。
 またすぐにあふれだす声を塞がれ、手拍子がやんでも、今度は腰の上げ下げを同じリズムで繰り返す。
 動きが止まってしまったら、キスを中断して手拍子。というのを繰り返すうちに、だんだんとリズムが早くなり、昇りつめるギリギリまで自分を追い込んでいく。
「イくっ、イッちゃう」
『いいよ。でも今日は、おちんちん触って、出しながらイッて?』
 命じられるままにペニスを握り数度上下させただけで、簡単に絶頂はやってきた。
「ぁァアアああ゛あ゛んんっ」
 物理的に塞がれているわけではない口から、抑えることをすっかり忘れた声が迸るが、ここはもう壁の薄いアパートではない。多少大きな声を出した所で、隣に聞こえる心配はなかった。

 後始末をしながら、惨めだ、と思う。あんな関係からどうにか必死で逃げ出したというのに、結局彼とのあれこれを思い出しながら、自分を慰めることが増えている。
 就職活動をする時に、なるべく遠方の会社ばかりを受けた。もちろん、脅されて内定を蹴ることになる可能性もあったが、彼はそんな事はしなかった。あまつさえ、心配の種だった中学生の彼相手に色々致している動画の数々を、就職祝いにと全てプレゼントされた。もちろん複製品が彼の手元に残っている可能性もないわけではないが、これ以上脅して関係を強要する気はないという、彼の意思を示すにはそれで充分だ。
 こちらが驚くほどあっさりと関係を解消した彼は、色々と教わりありがとうございましたという言葉を最後にアパートを訪れなくななり、自分は就職先の近くに部屋を借りて引っ越した。
 彼に、彼以外との交際を制限されたことはなかったが、彼一人で手一杯だったので久々に新たな出会いを求めてみたりもした。しかし結果は散々だった。
 ストライクゾーンは広めで、割りと誰とだって楽しめるタイプだったはずなのに、誰と寝ても物足りない。
 そもそも、特定の相手とあんなに長く関係していたことが初めてだったのだ。しかも旺盛な好奇心で色々なことを試されたし、性感帯をあれこれと開発された自覚も確かにある。しかし彼相手でなければ物足りないほどの影響を受けているとまでは思っていなかった。
 自分の体に彼のプレイが色濃く染み付いている事に絶望するまで、そう時間はかからなかった。
 拭いたばかりの床に、ボタリと大粒の涙が落ちる。
 彼に聞かれたのは就職先の会社名程度で、もちろん新しい住所を聞かれることもなかった。それどころかあの挨拶を最後に、メールもLINEも一切送られてこない。あのあっけなさ同様、こちらの連絡先などとっくに削除済みなんだろう。
 その事実に安心するのではなく、追いかけてもらえないどころか一切気にかけてもらえなかった事に、打ちひしがれている。
 遊ばれているだけだとはわかっていた。自分は彼にとって都合のいい玩具だった。
 その自覚があったのに、重ねる行為に情が湧いてしまった。しかも、自分にだけ。
 彼があっさり引いたのは、もしかしたら、そんなこちらの情に気づいたからかもしれない。その考えが正しいような気がして、ますます気持ちは落ち込んだ。
 惨めだし、寂しいし、悲しいし、胸が痛い。けれどこちらから彼に連絡を取ることなど出来るはずもない。
 一度も好きだと口にすることなく終わった想いは、この先もまだ当分引きずりそうだった。

続きました→

 
 
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脅されて高校生に買われています

キスのご褒美で中学生の成績を上げていますから続いていますが、単体でも読めると思います。

 アパートの壁が薄いから、声をなるべく発してしまわないように、両手で口を押さえて必死で耐えている。
 くちゅり、くちゃり、と時折小さく音を立てているのは自身の肛門からで、今日は束ねてゴムを被せたペンが出入りしているはずだ。
 結局何本入れられているのか、増やすたびに実況する声だけは耳に届いていたが、とてもじゃないが覚えていられない。その場所がどんな風に拡がり緩んでいくかもつぶさに語ってくるので、そんなものは知りたくないし聞きたくなかった。だから、相手の声は音として耳に入っても、なるべく聞き取らないようにしていた。
 彼にとって自分のこの体は、単なるオモチャでしかない。
 彼には、こちらの性対象が男であることも、抱かれる側になる方が圧倒的に多いことも、知られている。知られたその時にさっさと逃げて、彼との縁を切ってしまわなかったことが本当に悔やまれる。
 あの時彼はまだ中学生で、家庭教師先の教え子だった。待遇の良さなどもあって、彼という生徒を手放したくないと思ってしまったのが敗因だ。
 興味の対象が自分に向いているのをわかっていて、成績向上と引き換えにキスを許したりするべきじゃなかった。最初は相手からキスすることを許しただけだったはずのそれは、少しずつエスカレートして、請われて手で慰めてやったのが決定打だった。まさか盗撮なんて真似をしているとは思っていなかった。
 それを証拠として出されたら、自分は簡単に犯罪者の烙印を押されていただろう。ゲイであることすら普段は極力隠して生活していたから、少年相手に淫行罪だなんて最悪の事態だ。
 こちらのそんな事情ももちろんしっかり把握されていて、証拠動画をたてに要求されるいろいろを断りきれなかった。そうして、彼の手には証拠動画が積み上がっていくという悪循環にはまってしまった。
 それでも、彼が中学を卒業するまでは、行為自体はここまで酷くなかった。中学生の教え子へ手を出す家庭教師、という証拠動画を撮影するため、どちらかと言うと彼への奉仕が主だったからだ。
 どう言いくるめたのか知らないが、彼の高校入学を機に彼の家へ通うのではなく、彼がこちらに通うようになった。目的はわかりきっていたが、当然こちらに拒否権などはない。
 すでに勉強なんてほぼ教えていなかったが、彼が通ってくるようになってから、一緒に教科書を開いたことは一度だってなかった。この部屋で開くのはいつだってこの体だけだ。
 持ち前の知性と駆使した情報とであっさりこの体を攻略した彼は、旺盛な好奇心で現在は更なる開発に取り組んでいる。
 体も心もこの異様な関係に慣らされきって、入れられているのはペンだとわかっているのに、無機質でゴリゴリとしたそれらの束を、揺すられ軽く前後に動かされるだけで、足の先から頭の上まで緩くしびれるような感覚が走ってたまらない。どれだけ声を飲み込んでも熱い息は抑えきれず、時折たまらず甘く鼻を鳴らして、より強い刺激を求めてしまう。
「腰揺れてきてるよ、センセイ。キモチイイんだね。こんなんでもちゃんとイけそうだ」
 嫌だと示すように首をゆるく横に振ってはみるが、やはり止めてはもらえない。
「今日はどこまでなら拡げても感じられるか確かめたいって言ったよね。センセイがイくたび、ペンの数増やしてくつもりだからさ。おしりでなら何度イッてもいいからね」
 耳に届く声は甘やかで楽しげだ。
「だいぶ慣れてきたみたいだし、ちょっと一度これでイッてみようか。センセイのイイトコ、いっぱい突いてあげる」
「ふぁっ、ぁあっ、んあぁぁっ」
 動きが大きくなり、中の弱い部分に押し付けるように擦られると、両手で口を覆っていてさえ歓喜の声があふれてしまう。
「声漏れちゃってるよセンセイ。俺はいいけど、声、隣に聞こえちゃったらマズイんでしょ?」
 ほら頑張ってこらえてと囁く声も、やはり楽しくてたまらない様子だった。
「ぐうっ、……ううっ、ん……ん、んっ!」
 必死で声を飲み込むのに合わせるようにグイグイと刺激されて、体は昂ぶりきって、そのままドライでオーガズムを迎えてしまう。ギュウときつく閉じた瞳からでもボロリボロリと涙がこぼれ落ちていった。
「泣くほど気持ちよかった? もう少ししたら、少し本数増やそうね」
 ふふっと笑う気配は残酷だ。ゆるやかな刺激は続いている。
 心のなかは絶望で満ちているのに、より強い快楽を約束された体は期待に昂ったままで、それがますます心に暗い影を落としていく。
 泣き顔を晒したって相手は喜ぶばかりだとわかっているのに、涙は止まりそうになかった。

 

 唯一の救いは、およそのプレイ時間に決まりがあることだろうか。勉強など一切教えては居ないが、一応これは家庭教師の延長上にあって、彼がここに滞在するのは決まった曜日の決まった時間だけだった。
 しかしそれと同時に、救いようのない状態に追い込まれてもいる。売りはしていないと言っているのに、学校では教わらないことを教わってるからと言って、彼が月謝という名のお金を置いていくからだ。
 力関係がはっきりしきっている現在、それを突っ返すだけの勇気はなく、結果仕方なく受け取り続けている。
 いくつも年下の高校生に脅された上、金で体を自由にされていると思うと、どうしようもなく情けなくて、彼の去った部屋に深いため息が満ちた。

続きました→

 
 
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キスのご褒美で中学生の成績を上げています

 頬は紅潮し、時折こぼれる吐息からはあからさまな興奮が感じ取れる。閉じられた目元、かすかに睫毛が震えているようだ。
 差し込まれた舌の拙い動きに惰性で応じながら、やっぱりこれはマズイよなぁと、どうにかなかったことに出来ないか必死で考える。
 今キスを仕掛けてきている相手は、家庭教師先の教え子で、しかも義務教育中の中学生だ。身長は自分と変わらないくらいあるし、変声期も終えてはいるようだが、まだまだ顔つきも仕草も子どもだと思う。
 未成年に手を出したら同意の上でも犯罪。という朧げな知識はあるが、キスくらいなら犯罪にはならないだろうか?
 というかそもそもこれは手を出されているのであって、断じて手を出しているわけではない。けれどそんな言い訳が通じるはずもないことは明白だ。年齢差から言っても関係性から言っても、知られた時に悪者になるのは自分のほうだとわかりきっている。
 男と恋愛できるタイプの人間だと知られたあの時に、潔く家庭教師のバイトを辞めればよかったのだ。ということもわかってはいた。ただ、いくつか掛け持つバイト先でも、ここは一番のお気に入りだったから手放すのが惜しかった。お気に入りというか、美味しいお茶菓子が当たり前でたまに食事まで出てくる待遇の良さと、成績の悪い原因は明らかに本人のやる気の無さというか計算のうちで、頭の出来そのものは良く授業内容はしっかり理解していたから楽だったのだ。
 今遊ばなきゃエスカレーター式の私立中学に入った意味がない。と豪語する相手は、暗記項目にひたすら手を抜いている。そこにやる気を出させるのが家庭教師の本分とわかっていつつも、理解はできているがテストで良い点を取るために必死で頑張る理由がないと言われれば、それもそうだとつい思ってしまう。
 家庭教師に来ている手前、少しは成績上がってくれないと困るよと言ったら、気持ち成績を上げてくれるという、ひねくれているんだか素直なんだかわからない対応をされたりもしたが、楽な仕事場という点では間違いなくダントツだ。
 そんな中、どうやら彼の遊びの対象に、自分が入ってしまったらしい。
 男とホテルに入っていくの見ちゃったよと笑った相手は、その時点で既にかなりこちらの状況を把握していた。家庭教師として訪れる以外で彼と会ったことなどなかったから油断していたのもあるけれど、互いの行動範囲を考えれば外で互いを見かけることがあっても不思議じゃない。
「同じ相手じゃないみたいだから恋人ってわけじゃないんでしょ? どうやって相手探すの? 売春? 公園でキスされてるのも見たけど、先生はネコなの?」
 次々こぼれ落ちる問いかけに、あまりに焦って思わず一部を認めてしまったのは大失態だと言えるだろう。特定の恋人はいないし、基本ネコだ。
「お金払ったら俺にもさせてくれる?」
 などと言い出した相手に、必死で売りはしていないと断り、ちょっと大人ぶって、好奇心で男に手を出そうなんて絶対間違ってると説いてみたりもした。仮に男が恋愛対象なのだとしても、そういうことは好きな相手とするもんだ。なんてありきたりのセリフは、不特定の相手との関係を見られている以上まるで説得力がなく、鼻で笑われただけだったけれど。
「じゃあさ、キスだけでも教えてよ。ね、センセイ」
 そんなおねだりを始めた相手に、軽い気持ちでまずは成績を上げてからと返したのは迂闊だった。彼が本気で試験に取り組んだら、いともたやすく成績なんて上げられる。
 彼の親には大層感謝されたが、口が裂けても、ご褒美にちょっとキスをぶら下げてやっただけですよ、だなんて言わるわけもない。そしてきっちり結果を出してきた相手に、約束を反故にすることも出来なかった。
 それでもまだ諦め悪く、自分からキスを教えるなんて状況を避けるようにして、まずはどれくらい出来るのか見せてみろと彼のしたいようにさせている。
 必死な感じは可愛くもあるが、やっぱり相手は子どもで、基本ネコの自分に年下趣味はなく、要するに一切感じない。まぁ教え子の中学生にキスされて感じてたら相当ヤバイので、ホッと胸を撫で下ろすものの、顔を離した相手はやはり不満気だ。
「下手くそって言いたいんでしょ?」
「いや別にそんなことは」
「いいよ別に。でもすぐ上手くなるから覚悟してよね」
「覚悟?」
「今回限りでなんて言わせないから。センセイのお陰で成績上がって、親が随分喜んでたし、少しは時給上がったりもするんじゃない? 良かったね。でももし辞めるなんて言い出したら、今後家庭教師のバイト一切できないようにするくらいわけないから、そのつもりで」
 どうやって。なんて聞けなかったけれど、本気だというのは伝わってきたし、多分きっとそう出来るだけの自信も何かしらの根拠もあるんだろう。
「だからこれからも、良い点取れたらご褒美にキスさせてよね、センセイ」
 にこりと笑う顔は爽やかですらあるのに、背筋を冷たいものが伝う気がした。

続きました→

 
 
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あの人の声だけでイッてしまう

 耳元に甘く響く「好き」の言葉。演技掛かって多少大げさに感じることもあるけれど、まごうことなきあの人の声だ。
 怒って、拗ねて、甘えて、キスをねだる。そんな姿を実際に見せてもらったことはない。
 自分の知るあの人は、豪快に笑う顔がいつもキラキラで、手を引いてくれる背中がいつも眩しくて、怒った時はめちゃくちゃ怖いのに、こちらが落ち込んだり泣いている時はとことん優しい。同じ目線まで腰を落としながら頭を撫でてくれるのがわかっていたから、子供の頃の自分は今思うと恥ずかしいくらいに泣き虫だった。
 記憶の中で彼の姿が鮮明なのは、彼が高校へ上る前頃までだろうか。彼が中学の頃はまだ、夕方や週末に遊んでもらっていた記憶がある。
 少し年の離れた幼なじみと、同じ学校へ通えたのは小学校だけだった。自分が中学へ入学できる頃には、彼はもう高校生で、自分が高校へ通い出す前に大学生となってこの町を出てしまった。
 その彼が声優になったと知ったのは、彼の母親が自分の母親へ愚痴っているのをたまたま聞いてしまったためだ。ちゃんとした企業に勤めて貰いたかったと、彼の母親はかなり落ち込んでいる様子だった。
 懐かしさもあって、すぐに彼の名前を検索した。本名そのままではなかったけれど、見つけるのは簡単だった。
 最初はちょっとした好奇心。それでも、彼の関わった作品を見たり聞いたりするようになって、もう随分経つ気がする。最初の頃は名前の無いキャラも多かったのに、最近は役に名前がないことなんてほとんどない。
 自分がそんな風に彼が出た作品を追いかけていることなど、当然彼は知らないだろう。親ですら息子の興味の矛先が、作品そのものではなくそこに出演している幼なじみの彼だなんてことは多分わかっていない。
 BLCDという存在も、彼の出演をキッカケにして知った。予備知識ほぼなしで聞いてしまったそれは衝撃的で、彼が脇役だったことにひどく安堵したのを覚えている。しかし次の作品は主役の片方で、当然のように濡れ場もあった。そうだろうとわかっていたから、最初買うのを躊躇いはしたけれど、結局買わずにはいられなかった。
 もちろん演技だということはわかっている。原作でのキャラのイメージ画像もちゃんとある。それでも、アニメと違い声だけだと、あの人の姿で想像してしまう。
 目を閉じて、イヤホンから響く彼の甘い吐息に感じ入る。
 あッあッと少し高く響く声は時折掠れて、そのざらつきが耳の奥を撫でるようでゾクリとする。
 CDのストーリーなど既に頭には入ってこない。物語の中で彼を抱く男の声すらどうでもいい。耳はただただあの人の声だけを拾い、想像の中、あの人を抱いているのは自分だった。
「だめっ…ぁ、いっちゃういっちゃうっからっ」
 そんな甘ったるい声をあげる想像の中のあの人は、今の自分よりも確実に幼い。一緒に遊んでいた頃の彼だからだ。喘ぐ声の高さや掠れが、声変わりの頃を思い出させるのかもしれない。
「やぁあんっ、きもちぃ、だめっだめぇ」
 切羽詰まって身をよじる彼を押さえて、ひたすら突き上げる。
 実際に見たことなどないのに、快楽にとろけるあの人の顔だって、いともたやすく想像できる。遊んでくれるから大好きだったはずのあの人の、顔や表情も好きだったのかもしれない。あれこれと細かな表情も、かなり覚えている自分の記憶力がありがたい。
「やだやだああぁぁっんんー」
 極まってヒクヒクと蠢く穴を想いながら、自身をしごきたてる手の中に精を放つ。
 イッた後の心地よい脱力感はあるが、熱が去ってしまえば、一体自分は何をしているんだと、恥じ入る気持ちも押し寄せる。いくらもう顔を合わせることはほぼないとはいえ、昔お世話になりまくった相手に酷い妄想をしている。
 自覚はあるし、罪悪感がないわけでもない。けれど体の中に熱がたまると、結局また、あの人の声を求めてしまう。

続きました→

 
 
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トキメキの行方 目次

同じチームに所属するプロサッカー選手である遠井遙と神崎太一の話。
8つの歳の差がある先輩(遠井)と後輩(神埼)。
ある日の飲み会で潰れた神埼は、翌朝遠井のベッドで目を覚ます。その際寝ぼけて抱きしめられたせいで、遠井を意識しだしてしまう。
遠井には神埼と同じ年の妹が居て、元々弟のように可愛がっていたのだが、神埼に意識されたことで手を出してしまう。
エロ描写はそこそあるのですが、行為は控えめで挿入はしていません。
視点はシーンによって変わります。目次にのみどちらの視点かわかるよう表示しました。

1話 酔いつぶれ(遠井)
2話 連れ帰り(遠井)
3話 翌朝の動揺(神埼)
4話 意識される(遠井)
5話 迷い(神埼)
6話 来訪(遠井)
7話 触れる(遠井)
8話 弄る(遠井)
9話 寝室へ(遠井)
10話 感じ合う(遠井)
11話 覚悟を決める(神埼)

 
 
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電ア少年 家教と生徒の場合

<< 短編一覧

 

「ナツ先生、電気アンマの刑って、知ってます?」
 予定された授業時間の半分が過ぎた頃だろうか。今日はめずらしくソワソワしていると思っていた教え子の青治が、意を決した様子でそう口にした。
「電気アンマの刑?」
 つい先ほどまで青治が挑戦していたミニテストの解答を赤ペン片手にチェックしていた夏至は、答案用紙から目を離さないままで聞き返す。
「そう、です。あの、今、クラスで流行ってるんですけど、先生が小学生の頃も、ありましたか?」
「ああ、そういえば、そんなのが流行った事もあったかな」
「本当ですか? 先生も、したり、されたり、したんですか?」
 チェックを終えて顔をあげれば、真っ赤になりながらも真剣な表情で夏至を見詰める青治と目が合った。随分と興奮している。
「どうしたの?」
 本当に珍しいと思いながら、柔らかな声で問い掛ければ、教えて欲しいんです、なんて言葉が返ってきて、さすがの夏至も驚いた。しかし、表情には出さない。それくらいのポーカーフェイスはお手の物で、やはり柔らかな表情を崩さないまま、再度問い掛けの言葉を口にする。
 今度はもう少し、詳しい話を聞くために。
「僕は家庭教師だから、教えてくれと頼まれれば、教科外だろうと知ってることは教えてあげようと思うけれど、クラスで流行ってるなら、今更何を教えて欲しいと言っているんだろうね? 青治は」
「それは、あの……」
「はっきり言ってくれないと、何を教わりたいのかわからないよ?」
「されたこと、ないんです。もちろん、したことも。別にそれでクラスの友達から仲間はずれにされてるわけでもないんですけど。僕がその刑をされそうな雰囲気になると、なぜか途中で止まっちゃうんです。みんな、僕にはしたがらない。だから僕だけ、流行ってるのに一度も経験した事がない」
 夏至は目の前の少年の顎に手を添えると、不躾にジロジロとその顔を眺め見る。青治の優しく整った面立ちを、クラスメイトの男の子たちが、電気アンマなどという遊びで歪ませたくないと思うだろうことは容易に想像がついた。
「それは、みんなが青治の事を大好きってことだろう?」
「どういう意味ですか?」
「痛い事、したくないんだよ。青治には。例え遊びでもね」
「でも、僕だって……」
「されてみたい?」
 コクリと頷く顔は上気している。変な頼みごとをしているという自覚からか、それとも行為への期待からか、どちらにしろ面白そうだと思った。
「いいよ」
「本当ですか!?」
 答えれば、目を輝かせて夏至を仰ぎ見る。内心では、この綺麗な顔を苦痛に歪ませても構わないなんて、飛んで火に入る夏の虫とはまさにこのことだなどと思いながらも、夏至は柔らかな笑顔を湛えたまま頷いて見せた。
「ああ。このミニテスト、一問もミスがなかったご褒美にね」
 言いながら青治の手を取り立ち上がった夏至は、青治のズボンのポケットから、ハンカチをスルリと抜き取った。
「口を開けて、青治」
「え?」
「これからすることが痛みを伴うと言うことは知っているんだろう? 叫ばれてお家の方が飛んできたら、家庭教師をクビになってしまうからね。コレを噛んで、声を出すのは我慢しなさい」
「はい」
 素直に開かれた青治の口に、夏至は丸めたハンカチを押し込める。小さな口からはみ出したハンカチに、それだけでも、酷く嗜虐心を煽られた。
 そうしてから、青治の身体をベッドの上ではなく、あえて床上へと横たえる。両足首を掴みあげて見下ろせば、既に潤んだ瞳が期待の熱を孕んで見詰め返した。やはり行為への興奮なのかと思うと、笑ってしまいそうになるのを堪えるのが、いささか大変だった。まさか青治に、こんな素質があるとは思っていなかった。
「いい? するよ?」
 それでもまだ、優しい家庭教師の仮面を被ったまま、問い掛ける。ただし、頷くのを待って、股間を踏みにじる足に、容赦はしなかった。
「んんーっ……!!」
 ハンカチに吸われ、くぐもった悲鳴。
 ハンカチを吐き出したらその時点で終了するつもりだったが、青治はギュッとそれを噛み締め耐えている。痛みに身悶え、嫌々と首を振るのに合わせて、溢れた涙が散る姿が愛おしいと思った。
 もっとずっと眺めていたい気持ちを押さえ込んで開放した後は、グッタリと身体の力を抜いた青治の脇へと膝を付き、その身体をゆっくりと起こし、口からはハンカチを抜き取ってやる。
「大丈夫?」
 そう言って覗き込んだ、涙で濡れた瞳の中、興奮は去っていなかった。期待通りの反応に、嬉しさがこみあげる。
「痛かっただろう?」
 返事を待たずに、股間に手を伸ばしてそっと撫でてやった。確かめるように握りこんだ小さな膨らみは、硬く手の平を押し返す。
「痛いのに、感じてた?」
 さすがに恥ずかしいのか、赤くした顔を逸らそうとする。その顎を捕まえて、顔をジッと覗き込んだ。
「正直に言えたら、もっと手伝ってあげるよ」
「えっ……」
「こんな状態だったら、イきたいだろう?」
 再度、足で踏まれて感じたのかと問えば、困ったように頷いてみせる。
「本当は、最初から、こうなることがわかってて、誘ったの? それとも本当に、試してみたかっただけ?」
「それはっ、本当に、こんなになるなんて思わなくてっ」
 誘ったのならお仕置と言いたいところだったが、無自覚だったと言うのなら、それはそれでも構わない。
「ずいぶんいやらしい身体をしてるね、青治は。踏まれて痛い思いをしたのに、それでもここはこんなに硬くなってる」
「あ、あっ、ごめんなさい。先生、ダメっ、触らないでっ」
 少し強めに揉み込んでやれば、小さな悲鳴が甘く響いた。
「どうして? 痛いのが気持ちいいんだろう? ちゃんと、もっと手伝ってあげるよ?」
「でもっ」
「それならどうして欲しい? 青治が自分でするのを見ていてあげようか? それとも、もう一度、足で踏んであげようか?」
 見詰める顔に浮かぶ期待の色に、夏至はうっすらと笑みを浮かべた。
「足でイかせて欲しいなら、今度は下着も全部脱ぎなさい。下着が汚れたら困るだろう? 先生も靴下を脱いで、今度は直接、踏んであげるよ」
 逡巡はそう長くは掛からず、青治はズボンのボタンに自ら手を伸ばす。ズボンと下着とを脱ぎ捨てた青治の口に、再度ハンカチを押し込んだ夏至は、ハンカチを咥えるその口にそっと口付けた。
「さっきよりずっとイヤラシイ格好だよ、青治。可愛くて、うんと泣かせてあげたくなる」
 驚きに目を見張る青治に、いままで見せた事のない笑顔を湛えながら、先ほどと同じように両足首を掴んで持ち上げる。剥きだしの股間の中心では、小さな性器がそれでも頭をもたげながら、刺激を待ちわび震えていた。
 もちろん、簡単にイかせてやるつもりなどなかったが、達してしまわない程度に、まずはゆっくりと足の裏で捏ね回してやる。
「んーっ、んっ、んっ……」
 身体を震わせ、夏至の与える快楽に素直に身悶える青治を見ながら、この子供の持つマゾヒストとしての素質を、自らの手で開花させてやりたいと思った。

 
 
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